動画像記録再生装置および動画像管理装置
【課題】反省会で再生する動画像は、訓練生の人数が多くなればなるほど、再生できる時間が限られる。できるだけ効率よく、気をつけるべき点に絞って再生できるように、動画像の効率的な頭出しと管理を実現する。
【解決手段】CCDカメラによる研修者の撮影中にバーコードリーダで読み取った研修者IDを、動画像記録開始から経過した時間と関連付けて、記録した。また、入力された任意の文字列と動画像再生時間とを関連付けて記録し、文字列をソートしてコメントとして一覧表を生成し、表示した。
【解決手段】CCDカメラによる研修者の撮影中にバーコードリーダで読み取った研修者IDを、動画像記録開始から経過した時間と関連付けて、記録した。また、入力された任意の文字列と動画像再生時間とを関連付けて記録し、文字列をソートしてコメントとして一覧表を生成し、表示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像記録再生装置および動画像管理装置に適用して好適な技術に関する。
より詳細には、臨床訓練施設で撮影される訓練の進行を記録する動画を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の進歩は目覚しく、その技術内容は高度になっていることは周知のとおりである。しかし、それ故に残念ながら医療事故も増加する傾向にある。
【0003】
医療業界、特に医療現場に携わる人材は、ここ数年慢性的な人材不足の状態が続いており、人材の確保とその教育がきわめて重要な課題となっている。
【0004】
本出願人は、医療現場に従事する者ができるだけ早期に現場に慣れてもらうこと、また医療事故を減少させることを目的として、臨床訓練施設を建設し、医業従事者への利用を推進している。
【0005】
臨床訓練施設は、オープンスペース内に病院を模倣した設備を設置している。ベッドには模擬訓練用人体模型が横たわっており、心臓マッサージや輸液投与、酸素吸入等の訓練が可能になっている。
【0006】
ベッドの天井には動画像を撮影するためのCCDカメラが設けられている。動画像は一通りの訓練を終了した後、反省会として会議室で再生し、実際の現場でどのような点に気をつけるべきなのかを訓練生に考えてもらう。
【0007】
【特許文献1】特開2008−148071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
反省会で再生する動画像は、訓練生の人数が多くなればなるほど、再生できる時間が限られる。できるだけ効率よく、気をつけるべき点に絞って再生できるように、頭出しが瞬時にできる必要がある。
【0009】
また、訓練の様子を撮影した動画像が蓄積されると、同じ内容の訓練で生じる事故の可能性の傾向が掴める。実際に事故に至る場合や、事故に至らずとも事故に至る直前になって医業従事者が気付く場合もある。医療業界等において、このようなケースは「ヒヤリとしたとき」「ハッと気付いたとき」という言葉から、「ヒヤリハット」と呼ばれており、本出願人は医業従事者に「ヒヤリハットをなくそう」との啓蒙活動を推進している。
【0010】
つまり、訓練の様子を撮影した動画像が蓄積されると、この「ヒヤリハット」の瞬間を蓄積することが可能になる。しかし、そのためには、従来では動画像の編集作業という、手間のかかる作業を必要としていた。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、撮影した動画像の効率的な頭出しを実現する動画像記録再生装置、および動画像の効率的な頭出しと管理を実現する動画像管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、動画像データを生成するカメラと、カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、動画像ファイルおよびタグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、タグファイルに含まれる研修者IDを表示する表示部と、操作部と、操作部によって表示部に表示された操作者IDから任意の研修者IDが選択されると、選択された研修者IDに対応する時間情報をタグファイルから読み出し、読み出した時間情報に基づいて動画像ファイルをデコードして、動画像を表示部に表示させる再生処理部とを備えるものである。
【0013】
上記構成によれば、表示部に表示される研修者IDを操作部で選択するだけで、選択した研修者IDに対応する研修者が映っている時間の先頭から動画像を再生することができる。
【0014】
さらに、上記課題を解決するための本発明は、動画像データを生成するカメラと、カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、動画像ファイルおよびタグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、タグファイルに含まれる研修者IDを表示する表示部と、操作情報を出力する操作部と、表示部に表示された操作者IDから操作部が出力する操作情報に基づいて任意の研修者IDが選択されると、選択された研修者IDに対応する時間情報をタグファイルから読み出し、読み出した時間情報に基づいて動画像ファイルの頭出しを行ってデコードして、動画像を表示部に表示させる再生処理部とを備えるものである。
【0015】
上記構成によれば、動画像の再生中に操作部からコメントをリアルタイムで入力するだけで、次回動画像を再生する際、前回コメントを入力した場面になると表示部にコメントを表示させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、撮影した動画像の効率的な頭出しを実現する動画像記録再生装置、および動画像の効率的な頭出しと管理を実現する動画像管理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0018】
[1. 動画像記録再生装置の構成]
図1は、本発明の実施形態の例である、動画像記録再生装置101の機能ブロック図である。
動画像記録再生装置101の実体は、動画記録プログラムと動画再生プログラムとwebブラウザがインストールされているパソコンに、CCD(Charge Coupled Devices)カメラとバーコードリーダ103をUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースで接続したものである。
【0019】
CCDカメラ102およびバーコードリーダ103はパソコンの記録処理部104と電気的に接続されており、CCDカメラ102より取得された動画像データおよびバーコードリーダ103より取得された情報は記録処理部104に供給される。バーコードリーダ103より取得される情報(以下、「研修者ID」という)は、CCDカメラ102で撮影されている研修者を識別するための情報である。
【0020】
記録処理部104は、CCDカメラ102が得た動画像データを時間情報を含めエンコードして動画像ファイル110を作成する。それとともに、記録処理部104は、当該動画像ファイル110に含まれる時間情報およびバーコードリーダ103より取得した研修者IDを対応付けたテキストデータであるタグデータよりなるタグファイル111を作成する。記録処理部104の詳細な構成については、図2にて後述する。また、タグファイル111に記載されるテキストデータの具体例については、図7および図8にて後述する。
【0021】
OSより提供される機能であるファイルシステムは、記録処理部104から発生する動画像データを、不揮発性ストレージ105内に動画像ファイル110として記録する。また、記録処理部104から発生するタグデータを、不揮発性ストレージ105内にタグファイル111として記録する。
【0022】
再生処理部106はファイルシステムから動画像ファイル110とタグファイル111を読み込み、表示部107に表示する。その際、タグファイル111の一部を表示部107に表示させ、入力部から選択入力させることにより、動画像ファイル110の頭出しを行う。
【0023】
また、再生処理部106は、ユーザの操作部109に対する操作に基づいて制御部108によって生成される所定のデータを一時的に記憶し、そのデータに基づいて不揮発性ストレージ105に記憶されているタグファイル111を更新する。なお、再生処理部106の詳細な構成については、図3にて後述する。
【0024】
制御部108は、パソコンを構成する各機能ブロックの動作を制御するものである。本例では、この制御部108の制御対象となる機能ブロックは、記録処理部104、不揮発性ストレージ105および再生処理部106とする。制御部108は、操作部109と電気的に接続されており、ユーザの操作部109に対する様々な操作に基づいて記録処理部104、不揮発性ストレージ105および再生処理部106を動作させる。
【0025】
操作部109は、パソコンに配設されたキーボードやポインティングデバイス等からなり、操作に応じた操作信号が図示しないインターフェースを介してこの操作部109から制御部108に入力される。
【0026】
[2.記録処理部の構成]
図2は、記録処理部104を中心とする機能ブロック図である。
CCDカメラ102から得られる動画像データは、一旦フレームメモリ202に蓄えられた後、主に圧縮のためのエンコーダ203に送られてから、動画像ファイル110に変換される。そして、この動画ファイルは、不揮発性ストレージ105に記憶される。
【0027】
一方、図示しないフォトトランジスタはバーコードを光の強弱の信号として出力し、バーコードリーダ103に送る。バーコードリーダ103はバーコードをデコードし、内容を読み取る。読み取ったバーコードの情報はID記録部204に送られる。
【0028】
ID記録部204は、フレームメモリ202に供給されるクロックを受けている時計206から、動画像記録開始からのフレーム数に応じた時間(以下、「経過時間」という)を得ている。ID記録部204は、バーコードリーダ103から送られるバーコード情報と時計206から得る経過時間とを関連付けた情報(前述のタグデータの一部)よりなるタグファイル111を生成し、このタグファイル111を不揮発性ストレージ105に記録する。
【0029】
[3.再生処理部および制御部の構成]
図3は、再生処理部106および制御部108を中心とする機能ブロック図である。
動画像ファイル110がデコーダ302でデコードされて動画像データに変換された後、当該動画像データは一旦フレームメモリ303に蓄えられてから画像合成部304に入力される。
【0030】
一方、タグファイル111のタグデータはタグリスト作成部305によって解析される。タグリスト作成部305では、この解析結果に基づいてタグの一覧が形成され、タグの一覧に関する情報が画像合成部304に入力される。
【0031】
画像合成部304に入力された、動画像データおよびタグデータは、合成されて表示部107に入力される。すると、表示部には、動画像およびタグデータで表されるタグの一覧が合成された画面(以下、「初期合成画面」という)が表示される。
【0032】
キーボードとマウス等のポインティングデバイスよりなる操作部109は、表示部107に表示されるタグの一覧を選択する。すると、その情報は頭出し制御部306に送られ、指定されたタグに基づいて、デコーダ302に頭出しの指示を行う。
【0033】
また、操作部109は、表示部107に表示される、初期合成画面の所定の位置にコメントを入力する。すると、そのコメントおよび当該コメントが入力された位置等を示す情報はコメント制御部307に送られる。
【0034】
コメント制御部307は、タグファイル111の更新に関する制御をタグリスト作成部305に対して行う。具体的には、コメント制御部307は、操作部109から入力されるコメントおよび当該コメントが入力された位置等を示す情報を一時ファイル308としてタグリスト作成部内に一時記憶する。コメント制御部307は、操作部109によってコメント等の情報が入力される度に、そのコメント等の情報を一時ファイル308に追記する。タグリスト作成部305は、コメント制御部307による一時ファイル308の更新が完了すると、この一時ファイル308に基づいてタグファイル111を更新する。なお、タグファイル111更新の詳細については、図6〜図8にて後述する。
【0035】
[4.動画像の頭出し]
図4は、表示部107に表示される動画像とタグファイル111のタグ情報の表示状態である、前述の初期合成画面を示す図である。ただし、タグファイル111は、タグリスト作成部305による更新が行われていないものとする。
【0036】
webブラウザ402の表示領域内の左側には動画像表示領域403が設けられている。
webブラウザ402の表示領域内の右側にはID一覧表示領域404が設けられている。
【0037】
ID一覧表示領域404に表示されている内容は、タグファイル111の中身そのものである。つまり、バーコードリーダ103で読み取った研修者IDと、バーコードを読み取った時点の動画像記録開始からの経過時間が表示される。なお、タグファイル111の中身については、図6にて後述する。
【0038】
ID一覧表示領域404の中の任意の研修者IDをダブルクリックすると、その研修者IDに紐付いている経過時間で、動画像の頭出しを行う。例えば、ユーザがID一覧表示領域404に含まれる領域405の「000123」という研修者IDをダブルクリックしたとする。すると、「000123」という研修者IDに紐付いている「00:12:34」という経過時間からの動画像が動画像表示領域403で再生されるように、デコーダは頭出し制御部によって制御される。
【0039】
[5.更新前のタグファイル]
次に、図4に示す表示状態を生成するためのタグファイルの中身について図5を参照して説明する。
図5は、更新前のタグファイルの一例を示す図である。
このタグファイル502は、ID記録部204によって生成された、更新前のタグファイル502である。
【0040】
タグファイル502は、テキストデータより構成されており、フィールドセパレータ503で2つのフィールドに分割されている。図5では、フィールドセパレータ503には「カンマ」を用いる。
【0041】
左から1番目のフィールドは、「時間情報」フィールドである。この「時間情報」フィールドには、動画像の経過時間が書き込まれる。
【0042】
左から2番目のフィールドは、「研修者ID」フィールドである。この「研修者ID」フィールドには、バーコードリーダ103より取得された、研修者を識別するための識別番号が書き込まれる。
【0043】
[6.一時ファイルの生成および更新]
次に、一時ファイル308の生成および更新について説明する。
図6は、図4に示すwebブラウザ402の動画像表示領域403付近の拡大図である。
動画像表示領域403のすぐ上側には、現在表示部107に表示中の動画像に対するコメントを入力するためのコメント表示領域605が設けられている。コメント表示領域605は、動画像の表示を妨げないために、動画像表示領域403とは重ならないように設けられることが好ましい。
【0044】
ユーザは、操作部109の一例であるマウスおよびキーボード等を操作して、コメント表示領域605内に吹き出しを生成し、吹き出し内にコメントを入力する。この時、ユーザは、マウス等を操作して、吹き出しと動画像の所定の位置とを接続するポインタ602を付したりすることもできる。これにより、吹き出し内に入力したコメントが、動画像のどの位置に対するものであるのかを正確に示すことができる。
【0045】
以下、ポインタ602の付いた吹き出しはポインタ付き吹き出し603と記載し、ポインタ602の付いていない吹き出しはポインタなし吹き出し604と記載する。
【0046】
コメントと、吹き出しの位置と、ポインタ602の位置に関する情報は、動画像の各フレーム毎、すなわち各経過時間毎に更新される一時ファイル308としてタグリスト作成部305内に記憶される。このような一時ファイル308の更新は、コメント制御部307の制御に基づいてタグリスト作成部305で行われる。
【0047】
[7.更新完了後の一時ファイル]
図7は、更新が完了した一時ファイルの一例を示す図である。
更新が完了した一時ファイル702は、テキストデータより構成されており、フィールドセパレータ703で3あるいは4のフィールドに分割されている。フィールドの数が3つの行にはポインタなし吹き出し604を生成するための情報が格納されており、フィールドの数が4つの行にはポインタ付き吹き出し603を生成するための情報が格納されている。
【0048】
左から1番目のフィールドは、「時間情報」フィールドである。この「時間情報」フィールドには、動画像の経過時間が書き込まれる。
【0049】
左から2番目のフィールドは、「コメント」フィールドである。この「コメント」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603およびポインタなし吹き出し604に入力した文字列が書き込まれる。
【0050】
左から3番目のフィールドは、「吹き出し位置座標」フィールドである。この「吹き出し位置座標」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603およびポインタなし吹き出し604の位置に関する情報が書き込まれる。
【0051】
左から4番目のフィールドは、「ポインタ位置座標」フィールドである。この「ポインタ位置座標」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603から延びるポインタ602の終点に関する情報が書き込まれる。
【0052】
[8.タグファイルの更新]
次に、タグリスト作成部305が行うタグファイルの更新について説明する。
図8は、タグリスト作成部305によって更新されたタグファイルの一例を示す図である。
【0053】
タグファイル802は、ID記録処理部104によって生成された、更新前のタグファイル502に一時ファイル702を追記して、行を「時間情報」の小さい順にソートしたものである。すなわち、このタグファイル802は、フィールドセパレータ803により2、3あるいは4のフィールドに分割されている。
【0054】
フィールドの数が2つの各行が更新前のタグファイル502に相当する。これらの各行の左から1番目のフィールドは「時間情報」フィールドである。左から2番目のフィールドは「研修者ID」フィールドである。
【0055】
フィールドの数が3つあるいは4つの各行が一時ファイル702に相当する。これらの各行の左から1番目のフィールドは「時間情報」フィールドである。左から2番目のフィールドは「コメント」フィールドである。左から3番目のフィールドは「吹き出し位置座標」フィールドである。左から4番目のフィールドは「ポインタ位置座標」フィールドである。
【0056】
[9.吹き出しおよび動画像の合成]
次に、タグファイル802を利用した合成動画像再生、コメント付きの動画像の再生について図9を参照して説明する。
図9は、吹き出しおよび動画像の合成の流れを示すフローチャートである。
【0057】
動画像が再生される、すなわち動画像ファイル110が、デコーダ302、フレームメモリ303および画像合成部304を通じて、表示部107に入力される(ステップS901)。すると、タグリスト作成部305は、カウンタを構成する変数mを1に初期化する(ステップS902)。
【0058】
タグリスト作成部305は、現在表示部107に表示されている動画像の再生時間を、デコーダ302およびフレームメモリ303を介して動画像ファイル110より取得する(ステップS903)。そして、タグリスト作成部305は、不揮発性ストレージ105に記憶されたタグファイル802を読み出し、当該タグファイル802のm行目に記載された時間情報を取得する(ステップS904)。
【0059】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305は、ステップS903の処理で取得した現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するか否かを確認する(ステップS905)。現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致しないならば(ステップS905のNO)、後述するステップS913の処理へ移行し、ステップS903の処理に戻り、再度現在の再生時間を取得する。すなわち、現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するまで待機する。
【0060】
現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するならば(ステップS905のYES)、タグリスト作成部305はタグファイル802のm行目のフィールド数が2以上であるか否かを確認する(ステップS906)。タグファイル802のm行目のフィールド数が2より小さいならば、後述するステップS910の処理へ移行し、mをインクリメントし、m行目のフィールド数が2以上になるまで待機する。
【0061】
タグファイル802のm行目のフィールド数が2以上であるならば(ステップS906のYES)、タグリスト作成部305は、さらにタグファイル802のm行目のフィールド数が4であるか否かを確認する(ステップS907)。
【0062】
タグファイル802のm行目のフィールド数が4であるならば(ステップS907のYES)、タグファイル802のm行目の4つのフィールドに書き込まれた情報に基づいて、ポインタ付き吹き出し603を生成し(ステップS908)、生成したポインタ付の吹き出しを画像合成部304へ出力する。ここでの4つのフィールドとは、「時間情報」フィールド、「コメント」フィールド、「吹き出し位置座標」フィールドおよび「ポインタ位置座標」フィールドである。
【0063】
そして、画像合成部304は、フレームメモリ303から入力される動画像データおよびポインタ付き吹き出し603を合成し、当該動画像データで表される動画像とポインタ付き吹き出し603が所定の位置で合成された画面を表示部107に表示させる(ステップS909)。ここでの動画データは、動画像ファイル110がデコーダ302およびフレームメモリ303を介することにより復号されたものである。
【0064】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305はカウンタを構成する変数mをインクリメントする(ステップS910)。
【0065】
一方、タグファイル802のm行目のフィールド数が4でないならば(ステップS907のNO)、タグファイル802のm行目の3つのフィールドに書き込まれた情報に基づいて、吹き出しを生成し(ステップS911)、生成した吹き出しを画像合成部304へ出力する。ここでの3つフィールドとは、「時間情報」フィールド、「コメント」フィールドおよび「吹き出し位置座標」フィールドである。
【0066】
そして、画像合成部304は、フレームメモリ303から入力される前述の動画像データおよびポインタ付き吹き出し603を合成し、当該動画像データで表される動画像と吹き出しが所定の位置で合成された画面を表示部107に表示させる(ステップS912)。そして、ステップS910の処理へ移行し、タグリスト作成部305はカウンタを構成する変数mをインクリメントする。
【0067】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305はタグファイル802のm行目が存在するか否かを確認する(ステップS913)。タグファイル802のm行目が存在するならば(ステップS913のNO)、ステップS903の処理に戻り、各処理を繰り返す。タグファイル802のm行目が存在しないならば(ステップS913のYES)、処理を終了する(ステップS914)。
【0068】
[10.時系列順コメント一覧表]
以上、上述した本発明の実施形態において、吹き出しが付けられた動画像の再生と同時に、当該吹き出しに入力されたコメントを時系列順に並べた、図10に示す時系列順コメント一覧表1002を表示部に表示するようにしてもよい。この時系列順コメント一覧表は、タグファイル802そのものである。すなわち、時系列順コメント一覧表は、タグリスト作成部によってタグファイル802から作成可能となっている。さらに、時系列コメント一覧表の任意の研修者IDをダブルクリックすることにより、動画像の頭出しを行えるようにしてもよい。
【0069】
[11.多い順コメント一覧表]
また、上述した本発明の実施形態において、吹き出しが付けられた動画像の再生と同時に、当該吹き出しに入力されたコメントを多い順に並べた、図11に示す多い順コメント一覧表1102を表示部に表示するようにしてもよい。この多い順コメント一覧表は、タグファイル802の「コメント」フィールドの重複した行をカウントするとともに、重複した行を削除し、カウントで行をソートしたものである。このようなソート処理を行う機能をタグリスト作成部に持たせることにより、タグリスト作成部はタグファイル802に基づいて多い順コメント一覧表を作成することができる。
【0070】
[12.効果]
以上説明したように、本発明は、CCDカメラによる研修者の撮影中にバーコードリーダ103で読み取った研修者IDを、動画像記録開始から経過した時間と関連付けて、記録するようにした。これにより、この研修者IDで動画像の頭出しが容易に行えるという、効果がある。
【0071】
また、文字列と動画像再生時間とを関連付けて記憶するようにすることで、動画像の再生中に入力した任意の文字列を記録するようにした。そのため、文字列の入力が完了した後に再度当該動画を再生する際に再生時間に対応した文字列をコメント表示領域に表示することができる。これにより、いわゆる「ヒヤリハット」の資料の集積を効率よく実現する、という効果がある。
【0072】
さらに、付与したコメントをソートして一覧表示する、時系列順コメント一覧表や多い順コメント一覧表を生成できるようにした。これにより、なるべく付与するキーワードの種類を少なくさせるとともに、同じ意味を持つにも拘らず異なる言葉を付与したことが一目で判るようにする、という効果がある。
【0073】
その他、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る動画記録装置を示すブロック図である。
【図2】記録処理部を中心とするブロック図である。
【図3】再生処理部および制御部を中心とするブロック図である。
【図4】動画像とタグファイルのタグ情報の表示状態を示す図である。
【図5】更新前のタグファイルの一例を示す図である。
【図6】webブラウザの動画像表示領域付近の拡大図である。
【図7】更新が完了した一時ファイルの一例を示す図である。
【図8】更新されたタグファイルの一例を示す図である。
【図9】吹き出しおよび動画像の合成の流れを示すフローチャートである。
【図10】時系列順コメント一覧表を示す図である。
【図11】多い順コメント一覧表を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
101…動画像記録再生装置、102…CCDカメラ、103…バーコードリーダ、104…記録処理部、105…不揮発性ストレージ、106…再生処理部、107…表示部、108…制御部、109…操作部、110…動画像ファイル、111…タグファイル、202…フレームメモリ、203…エンコーダ、204…ID記録部、205…クロック発生部、206…時計、302…デコーダ、303…フレームメモリ、304…画像合成部、305…タグリスト作成部、306…頭出し制御部、307…コメント制御部、308…一時ファイル、402…webブラウザ、403…動画像表示領域、404…ID一覧表示領域、405…領域、502…タグファイル、503…セパレータ、602…ポインタ、603…ポインタ付き吹き出し、604…ポインタなし吹き出し、702…一時ファイル、703…セパレータ、802…タグファイル、803…セパレータ、1002…時系列順コメント一覧表、1102…多い順コメント一覧表
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像記録再生装置および動画像管理装置に適用して好適な技術に関する。
より詳細には、臨床訓練施設で撮影される訓練の進行を記録する動画を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術の進歩は目覚しく、その技術内容は高度になっていることは周知のとおりである。しかし、それ故に残念ながら医療事故も増加する傾向にある。
【0003】
医療業界、特に医療現場に携わる人材は、ここ数年慢性的な人材不足の状態が続いており、人材の確保とその教育がきわめて重要な課題となっている。
【0004】
本出願人は、医療現場に従事する者ができるだけ早期に現場に慣れてもらうこと、また医療事故を減少させることを目的として、臨床訓練施設を建設し、医業従事者への利用を推進している。
【0005】
臨床訓練施設は、オープンスペース内に病院を模倣した設備を設置している。ベッドには模擬訓練用人体模型が横たわっており、心臓マッサージや輸液投与、酸素吸入等の訓練が可能になっている。
【0006】
ベッドの天井には動画像を撮影するためのCCDカメラが設けられている。動画像は一通りの訓練を終了した後、反省会として会議室で再生し、実際の現場でどのような点に気をつけるべきなのかを訓練生に考えてもらう。
【0007】
【特許文献1】特開2008−148071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
反省会で再生する動画像は、訓練生の人数が多くなればなるほど、再生できる時間が限られる。できるだけ効率よく、気をつけるべき点に絞って再生できるように、頭出しが瞬時にできる必要がある。
【0009】
また、訓練の様子を撮影した動画像が蓄積されると、同じ内容の訓練で生じる事故の可能性の傾向が掴める。実際に事故に至る場合や、事故に至らずとも事故に至る直前になって医業従事者が気付く場合もある。医療業界等において、このようなケースは「ヒヤリとしたとき」「ハッと気付いたとき」という言葉から、「ヒヤリハット」と呼ばれており、本出願人は医業従事者に「ヒヤリハットをなくそう」との啓蒙活動を推進している。
【0010】
つまり、訓練の様子を撮影した動画像が蓄積されると、この「ヒヤリハット」の瞬間を蓄積することが可能になる。しかし、そのためには、従来では動画像の編集作業という、手間のかかる作業を必要としていた。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、撮影した動画像の効率的な頭出しを実現する動画像記録再生装置、および動画像の効率的な頭出しと管理を実現する動画像管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、動画像データを生成するカメラと、カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、動画像ファイルおよびタグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、タグファイルに含まれる研修者IDを表示する表示部と、操作部と、操作部によって表示部に表示された操作者IDから任意の研修者IDが選択されると、選択された研修者IDに対応する時間情報をタグファイルから読み出し、読み出した時間情報に基づいて動画像ファイルをデコードして、動画像を表示部に表示させる再生処理部とを備えるものである。
【0013】
上記構成によれば、表示部に表示される研修者IDを操作部で選択するだけで、選択した研修者IDに対応する研修者が映っている時間の先頭から動画像を再生することができる。
【0014】
さらに、上記課題を解決するための本発明は、動画像データを生成するカメラと、カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、動画像ファイルおよびタグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、タグファイルに含まれる研修者IDを表示する表示部と、操作情報を出力する操作部と、表示部に表示された操作者IDから操作部が出力する操作情報に基づいて任意の研修者IDが選択されると、選択された研修者IDに対応する時間情報をタグファイルから読み出し、読み出した時間情報に基づいて動画像ファイルの頭出しを行ってデコードして、動画像を表示部に表示させる再生処理部とを備えるものである。
【0015】
上記構成によれば、動画像の再生中に操作部からコメントをリアルタイムで入力するだけで、次回動画像を再生する際、前回コメントを入力した場面になると表示部にコメントを表示させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、撮影した動画像の効率的な頭出しを実現する動画像記録再生装置、および動画像の効率的な頭出しと管理を実現する動画像管理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図9を参照して説明する。
【0018】
[1. 動画像記録再生装置の構成]
図1は、本発明の実施形態の例である、動画像記録再生装置101の機能ブロック図である。
動画像記録再生装置101の実体は、動画記録プログラムと動画再生プログラムとwebブラウザがインストールされているパソコンに、CCD(Charge Coupled Devices)カメラとバーコードリーダ103をUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースで接続したものである。
【0019】
CCDカメラ102およびバーコードリーダ103はパソコンの記録処理部104と電気的に接続されており、CCDカメラ102より取得された動画像データおよびバーコードリーダ103より取得された情報は記録処理部104に供給される。バーコードリーダ103より取得される情報(以下、「研修者ID」という)は、CCDカメラ102で撮影されている研修者を識別するための情報である。
【0020】
記録処理部104は、CCDカメラ102が得た動画像データを時間情報を含めエンコードして動画像ファイル110を作成する。それとともに、記録処理部104は、当該動画像ファイル110に含まれる時間情報およびバーコードリーダ103より取得した研修者IDを対応付けたテキストデータであるタグデータよりなるタグファイル111を作成する。記録処理部104の詳細な構成については、図2にて後述する。また、タグファイル111に記載されるテキストデータの具体例については、図7および図8にて後述する。
【0021】
OSより提供される機能であるファイルシステムは、記録処理部104から発生する動画像データを、不揮発性ストレージ105内に動画像ファイル110として記録する。また、記録処理部104から発生するタグデータを、不揮発性ストレージ105内にタグファイル111として記録する。
【0022】
再生処理部106はファイルシステムから動画像ファイル110とタグファイル111を読み込み、表示部107に表示する。その際、タグファイル111の一部を表示部107に表示させ、入力部から選択入力させることにより、動画像ファイル110の頭出しを行う。
【0023】
また、再生処理部106は、ユーザの操作部109に対する操作に基づいて制御部108によって生成される所定のデータを一時的に記憶し、そのデータに基づいて不揮発性ストレージ105に記憶されているタグファイル111を更新する。なお、再生処理部106の詳細な構成については、図3にて後述する。
【0024】
制御部108は、パソコンを構成する各機能ブロックの動作を制御するものである。本例では、この制御部108の制御対象となる機能ブロックは、記録処理部104、不揮発性ストレージ105および再生処理部106とする。制御部108は、操作部109と電気的に接続されており、ユーザの操作部109に対する様々な操作に基づいて記録処理部104、不揮発性ストレージ105および再生処理部106を動作させる。
【0025】
操作部109は、パソコンに配設されたキーボードやポインティングデバイス等からなり、操作に応じた操作信号が図示しないインターフェースを介してこの操作部109から制御部108に入力される。
【0026】
[2.記録処理部の構成]
図2は、記録処理部104を中心とする機能ブロック図である。
CCDカメラ102から得られる動画像データは、一旦フレームメモリ202に蓄えられた後、主に圧縮のためのエンコーダ203に送られてから、動画像ファイル110に変換される。そして、この動画ファイルは、不揮発性ストレージ105に記憶される。
【0027】
一方、図示しないフォトトランジスタはバーコードを光の強弱の信号として出力し、バーコードリーダ103に送る。バーコードリーダ103はバーコードをデコードし、内容を読み取る。読み取ったバーコードの情報はID記録部204に送られる。
【0028】
ID記録部204は、フレームメモリ202に供給されるクロックを受けている時計206から、動画像記録開始からのフレーム数に応じた時間(以下、「経過時間」という)を得ている。ID記録部204は、バーコードリーダ103から送られるバーコード情報と時計206から得る経過時間とを関連付けた情報(前述のタグデータの一部)よりなるタグファイル111を生成し、このタグファイル111を不揮発性ストレージ105に記録する。
【0029】
[3.再生処理部および制御部の構成]
図3は、再生処理部106および制御部108を中心とする機能ブロック図である。
動画像ファイル110がデコーダ302でデコードされて動画像データに変換された後、当該動画像データは一旦フレームメモリ303に蓄えられてから画像合成部304に入力される。
【0030】
一方、タグファイル111のタグデータはタグリスト作成部305によって解析される。タグリスト作成部305では、この解析結果に基づいてタグの一覧が形成され、タグの一覧に関する情報が画像合成部304に入力される。
【0031】
画像合成部304に入力された、動画像データおよびタグデータは、合成されて表示部107に入力される。すると、表示部には、動画像およびタグデータで表されるタグの一覧が合成された画面(以下、「初期合成画面」という)が表示される。
【0032】
キーボードとマウス等のポインティングデバイスよりなる操作部109は、表示部107に表示されるタグの一覧を選択する。すると、その情報は頭出し制御部306に送られ、指定されたタグに基づいて、デコーダ302に頭出しの指示を行う。
【0033】
また、操作部109は、表示部107に表示される、初期合成画面の所定の位置にコメントを入力する。すると、そのコメントおよび当該コメントが入力された位置等を示す情報はコメント制御部307に送られる。
【0034】
コメント制御部307は、タグファイル111の更新に関する制御をタグリスト作成部305に対して行う。具体的には、コメント制御部307は、操作部109から入力されるコメントおよび当該コメントが入力された位置等を示す情報を一時ファイル308としてタグリスト作成部内に一時記憶する。コメント制御部307は、操作部109によってコメント等の情報が入力される度に、そのコメント等の情報を一時ファイル308に追記する。タグリスト作成部305は、コメント制御部307による一時ファイル308の更新が完了すると、この一時ファイル308に基づいてタグファイル111を更新する。なお、タグファイル111更新の詳細については、図6〜図8にて後述する。
【0035】
[4.動画像の頭出し]
図4は、表示部107に表示される動画像とタグファイル111のタグ情報の表示状態である、前述の初期合成画面を示す図である。ただし、タグファイル111は、タグリスト作成部305による更新が行われていないものとする。
【0036】
webブラウザ402の表示領域内の左側には動画像表示領域403が設けられている。
webブラウザ402の表示領域内の右側にはID一覧表示領域404が設けられている。
【0037】
ID一覧表示領域404に表示されている内容は、タグファイル111の中身そのものである。つまり、バーコードリーダ103で読み取った研修者IDと、バーコードを読み取った時点の動画像記録開始からの経過時間が表示される。なお、タグファイル111の中身については、図6にて後述する。
【0038】
ID一覧表示領域404の中の任意の研修者IDをダブルクリックすると、その研修者IDに紐付いている経過時間で、動画像の頭出しを行う。例えば、ユーザがID一覧表示領域404に含まれる領域405の「000123」という研修者IDをダブルクリックしたとする。すると、「000123」という研修者IDに紐付いている「00:12:34」という経過時間からの動画像が動画像表示領域403で再生されるように、デコーダは頭出し制御部によって制御される。
【0039】
[5.更新前のタグファイル]
次に、図4に示す表示状態を生成するためのタグファイルの中身について図5を参照して説明する。
図5は、更新前のタグファイルの一例を示す図である。
このタグファイル502は、ID記録部204によって生成された、更新前のタグファイル502である。
【0040】
タグファイル502は、テキストデータより構成されており、フィールドセパレータ503で2つのフィールドに分割されている。図5では、フィールドセパレータ503には「カンマ」を用いる。
【0041】
左から1番目のフィールドは、「時間情報」フィールドである。この「時間情報」フィールドには、動画像の経過時間が書き込まれる。
【0042】
左から2番目のフィールドは、「研修者ID」フィールドである。この「研修者ID」フィールドには、バーコードリーダ103より取得された、研修者を識別するための識別番号が書き込まれる。
【0043】
[6.一時ファイルの生成および更新]
次に、一時ファイル308の生成および更新について説明する。
図6は、図4に示すwebブラウザ402の動画像表示領域403付近の拡大図である。
動画像表示領域403のすぐ上側には、現在表示部107に表示中の動画像に対するコメントを入力するためのコメント表示領域605が設けられている。コメント表示領域605は、動画像の表示を妨げないために、動画像表示領域403とは重ならないように設けられることが好ましい。
【0044】
ユーザは、操作部109の一例であるマウスおよびキーボード等を操作して、コメント表示領域605内に吹き出しを生成し、吹き出し内にコメントを入力する。この時、ユーザは、マウス等を操作して、吹き出しと動画像の所定の位置とを接続するポインタ602を付したりすることもできる。これにより、吹き出し内に入力したコメントが、動画像のどの位置に対するものであるのかを正確に示すことができる。
【0045】
以下、ポインタ602の付いた吹き出しはポインタ付き吹き出し603と記載し、ポインタ602の付いていない吹き出しはポインタなし吹き出し604と記載する。
【0046】
コメントと、吹き出しの位置と、ポインタ602の位置に関する情報は、動画像の各フレーム毎、すなわち各経過時間毎に更新される一時ファイル308としてタグリスト作成部305内に記憶される。このような一時ファイル308の更新は、コメント制御部307の制御に基づいてタグリスト作成部305で行われる。
【0047】
[7.更新完了後の一時ファイル]
図7は、更新が完了した一時ファイルの一例を示す図である。
更新が完了した一時ファイル702は、テキストデータより構成されており、フィールドセパレータ703で3あるいは4のフィールドに分割されている。フィールドの数が3つの行にはポインタなし吹き出し604を生成するための情報が格納されており、フィールドの数が4つの行にはポインタ付き吹き出し603を生成するための情報が格納されている。
【0048】
左から1番目のフィールドは、「時間情報」フィールドである。この「時間情報」フィールドには、動画像の経過時間が書き込まれる。
【0049】
左から2番目のフィールドは、「コメント」フィールドである。この「コメント」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603およびポインタなし吹き出し604に入力した文字列が書き込まれる。
【0050】
左から3番目のフィールドは、「吹き出し位置座標」フィールドである。この「吹き出し位置座標」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603およびポインタなし吹き出し604の位置に関する情報が書き込まれる。
【0051】
左から4番目のフィールドは、「ポインタ位置座標」フィールドである。この「ポインタ位置座標」フィールドには、ポインタ付き吹き出し603から延びるポインタ602の終点に関する情報が書き込まれる。
【0052】
[8.タグファイルの更新]
次に、タグリスト作成部305が行うタグファイルの更新について説明する。
図8は、タグリスト作成部305によって更新されたタグファイルの一例を示す図である。
【0053】
タグファイル802は、ID記録処理部104によって生成された、更新前のタグファイル502に一時ファイル702を追記して、行を「時間情報」の小さい順にソートしたものである。すなわち、このタグファイル802は、フィールドセパレータ803により2、3あるいは4のフィールドに分割されている。
【0054】
フィールドの数が2つの各行が更新前のタグファイル502に相当する。これらの各行の左から1番目のフィールドは「時間情報」フィールドである。左から2番目のフィールドは「研修者ID」フィールドである。
【0055】
フィールドの数が3つあるいは4つの各行が一時ファイル702に相当する。これらの各行の左から1番目のフィールドは「時間情報」フィールドである。左から2番目のフィールドは「コメント」フィールドである。左から3番目のフィールドは「吹き出し位置座標」フィールドである。左から4番目のフィールドは「ポインタ位置座標」フィールドである。
【0056】
[9.吹き出しおよび動画像の合成]
次に、タグファイル802を利用した合成動画像再生、コメント付きの動画像の再生について図9を参照して説明する。
図9は、吹き出しおよび動画像の合成の流れを示すフローチャートである。
【0057】
動画像が再生される、すなわち動画像ファイル110が、デコーダ302、フレームメモリ303および画像合成部304を通じて、表示部107に入力される(ステップS901)。すると、タグリスト作成部305は、カウンタを構成する変数mを1に初期化する(ステップS902)。
【0058】
タグリスト作成部305は、現在表示部107に表示されている動画像の再生時間を、デコーダ302およびフレームメモリ303を介して動画像ファイル110より取得する(ステップS903)。そして、タグリスト作成部305は、不揮発性ストレージ105に記憶されたタグファイル802を読み出し、当該タグファイル802のm行目に記載された時間情報を取得する(ステップS904)。
【0059】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305は、ステップS903の処理で取得した現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するか否かを確認する(ステップS905)。現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致しないならば(ステップS905のNO)、後述するステップS913の処理へ移行し、ステップS903の処理に戻り、再度現在の再生時間を取得する。すなわち、現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するまで待機する。
【0060】
現在の再生時間がタグファイル802のm行目に記載された時間情報と一致するならば(ステップS905のYES)、タグリスト作成部305はタグファイル802のm行目のフィールド数が2以上であるか否かを確認する(ステップS906)。タグファイル802のm行目のフィールド数が2より小さいならば、後述するステップS910の処理へ移行し、mをインクリメントし、m行目のフィールド数が2以上になるまで待機する。
【0061】
タグファイル802のm行目のフィールド数が2以上であるならば(ステップS906のYES)、タグリスト作成部305は、さらにタグファイル802のm行目のフィールド数が4であるか否かを確認する(ステップS907)。
【0062】
タグファイル802のm行目のフィールド数が4であるならば(ステップS907のYES)、タグファイル802のm行目の4つのフィールドに書き込まれた情報に基づいて、ポインタ付き吹き出し603を生成し(ステップS908)、生成したポインタ付の吹き出しを画像合成部304へ出力する。ここでの4つのフィールドとは、「時間情報」フィールド、「コメント」フィールド、「吹き出し位置座標」フィールドおよび「ポインタ位置座標」フィールドである。
【0063】
そして、画像合成部304は、フレームメモリ303から入力される動画像データおよびポインタ付き吹き出し603を合成し、当該動画像データで表される動画像とポインタ付き吹き出し603が所定の位置で合成された画面を表示部107に表示させる(ステップS909)。ここでの動画データは、動画像ファイル110がデコーダ302およびフレームメモリ303を介することにより復号されたものである。
【0064】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305はカウンタを構成する変数mをインクリメントする(ステップS910)。
【0065】
一方、タグファイル802のm行目のフィールド数が4でないならば(ステップS907のNO)、タグファイル802のm行目の3つのフィールドに書き込まれた情報に基づいて、吹き出しを生成し(ステップS911)、生成した吹き出しを画像合成部304へ出力する。ここでの3つフィールドとは、「時間情報」フィールド、「コメント」フィールドおよび「吹き出し位置座標」フィールドである。
【0066】
そして、画像合成部304は、フレームメモリ303から入力される前述の動画像データおよびポインタ付き吹き出し603を合成し、当該動画像データで表される動画像と吹き出しが所定の位置で合成された画面を表示部107に表示させる(ステップS912)。そして、ステップS910の処理へ移行し、タグリスト作成部305はカウンタを構成する変数mをインクリメントする。
【0067】
以上の処理が完了した後、タグリスト作成部305はタグファイル802のm行目が存在するか否かを確認する(ステップS913)。タグファイル802のm行目が存在するならば(ステップS913のNO)、ステップS903の処理に戻り、各処理を繰り返す。タグファイル802のm行目が存在しないならば(ステップS913のYES)、処理を終了する(ステップS914)。
【0068】
[10.時系列順コメント一覧表]
以上、上述した本発明の実施形態において、吹き出しが付けられた動画像の再生と同時に、当該吹き出しに入力されたコメントを時系列順に並べた、図10に示す時系列順コメント一覧表1002を表示部に表示するようにしてもよい。この時系列順コメント一覧表は、タグファイル802そのものである。すなわち、時系列順コメント一覧表は、タグリスト作成部によってタグファイル802から作成可能となっている。さらに、時系列コメント一覧表の任意の研修者IDをダブルクリックすることにより、動画像の頭出しを行えるようにしてもよい。
【0069】
[11.多い順コメント一覧表]
また、上述した本発明の実施形態において、吹き出しが付けられた動画像の再生と同時に、当該吹き出しに入力されたコメントを多い順に並べた、図11に示す多い順コメント一覧表1102を表示部に表示するようにしてもよい。この多い順コメント一覧表は、タグファイル802の「コメント」フィールドの重複した行をカウントするとともに、重複した行を削除し、カウントで行をソートしたものである。このようなソート処理を行う機能をタグリスト作成部に持たせることにより、タグリスト作成部はタグファイル802に基づいて多い順コメント一覧表を作成することができる。
【0070】
[12.効果]
以上説明したように、本発明は、CCDカメラによる研修者の撮影中にバーコードリーダ103で読み取った研修者IDを、動画像記録開始から経過した時間と関連付けて、記録するようにした。これにより、この研修者IDで動画像の頭出しが容易に行えるという、効果がある。
【0071】
また、文字列と動画像再生時間とを関連付けて記憶するようにすることで、動画像の再生中に入力した任意の文字列を記録するようにした。そのため、文字列の入力が完了した後に再度当該動画を再生する際に再生時間に対応した文字列をコメント表示領域に表示することができる。これにより、いわゆる「ヒヤリハット」の資料の集積を効率よく実現する、という効果がある。
【0072】
さらに、付与したコメントをソートして一覧表示する、時系列順コメント一覧表や多い順コメント一覧表を生成できるようにした。これにより、なるべく付与するキーワードの種類を少なくさせるとともに、同じ意味を持つにも拘らず異なる言葉を付与したことが一目で判るようにする、という効果がある。
【0073】
その他、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る動画記録装置を示すブロック図である。
【図2】記録処理部を中心とするブロック図である。
【図3】再生処理部および制御部を中心とするブロック図である。
【図4】動画像とタグファイルのタグ情報の表示状態を示す図である。
【図5】更新前のタグファイルの一例を示す図である。
【図6】webブラウザの動画像表示領域付近の拡大図である。
【図7】更新が完了した一時ファイルの一例を示す図である。
【図8】更新されたタグファイルの一例を示す図である。
【図9】吹き出しおよび動画像の合成の流れを示すフローチャートである。
【図10】時系列順コメント一覧表を示す図である。
【図11】多い順コメント一覧表を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
101…動画像記録再生装置、102…CCDカメラ、103…バーコードリーダ、104…記録処理部、105…不揮発性ストレージ、106…再生処理部、107…表示部、108…制御部、109…操作部、110…動画像ファイル、111…タグファイル、202…フレームメモリ、203…エンコーダ、204…ID記録部、205…クロック発生部、206…時計、302…デコーダ、303…フレームメモリ、304…画像合成部、305…タグリスト作成部、306…頭出し制御部、307…コメント制御部、308…一時ファイル、402…webブラウザ、403…動画像表示領域、404…ID一覧表示領域、405…領域、502…タグファイル、503…セパレータ、602…ポインタ、603…ポインタ付き吹き出し、604…ポインタなし吹き出し、702…一時ファイル、703…セパレータ、802…タグファイル、803…セパレータ、1002…時系列順コメント一覧表、1102…多い順コメント一覧表
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データを生成するカメラと、
前記カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、
前記動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、前記動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と前記研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、前記動画像ファイルおよび前記タグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、
前記タグファイルに含まれる前記研修者IDを表示する表示部と、
操作情報を出力する操作部と、
前記表示部に表示された前記操作者IDから前記操作部が出力する前記操作情報に基づいて任意の前記研修者IDが選択されると、選択された前記研修者IDに対応する前記時間情報を前記タグファイルから読み出し、読み出した前記時間情報に基づいて前記動画像ファイルの頭出しを行ってデコードして、動画像を前記表示部に表示させる再生処理部と
を備える動画像記録再生装置。
【請求項2】
前記再生処理部は、前記動画像の再生中に前記操作部からコメントが入力されると、前記コメントおよび前記操作部から前記コメントが入力された時点の前記動画像の再生時間を前記時間情報として前記タグファイルに追記して前記タグファイルを更新し、更新した前記タグファイルに基づいて前記動画像と前記コメントを合成した画面を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の動画像記録再生装置。
【請求項3】
エンコードされた動画像ファイルおよび前記動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と前記時間情報に対応するシーンを示す識別情報とを含むタグファイルが記録された不揮発性記録媒体と、
前記動画像ファイルに係る動画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示されている前記動画像の再生中にコメントを入力する操作部と、
前記コメントおよび前記操作部から前記コメントが入力された時点の前記動画像の再生時間を前記時間情報として前記タグファイルに追記して前記タグファイルを更新し、更新した前記タグファイルに基づいて前記動画像と前記コメントを合成した画面を前記表示部に表示させる再生処理部と
を備える動画像管理装置。
【請求項1】
動画像データを生成するカメラと、
前記カメラで撮影中の各研修者を識別するための研修者IDを取得するバーコードリーダと、
前記動画データをエンコードして動画像ファイルを生成するとともに、前記動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と前記研修者IDとを関連付けた情報を含むタグファイルを生成し、前記動画像ファイルおよび前記タグファイルを不揮発性記録媒体に記録する記録処理部と、
前記タグファイルに含まれる前記研修者IDを表示する表示部と、
操作情報を出力する操作部と、
前記表示部に表示された前記操作者IDから前記操作部が出力する前記操作情報に基づいて任意の前記研修者IDが選択されると、選択された前記研修者IDに対応する前記時間情報を前記タグファイルから読み出し、読み出した前記時間情報に基づいて前記動画像ファイルの頭出しを行ってデコードして、動画像を前記表示部に表示させる再生処理部と
を備える動画像記録再生装置。
【請求項2】
前記再生処理部は、前記動画像の再生中に前記操作部からコメントが入力されると、前記コメントおよび前記操作部から前記コメントが入力された時点の前記動画像の再生時間を前記時間情報として前記タグファイルに追記して前記タグファイルを更新し、更新した前記タグファイルに基づいて前記動画像と前記コメントを合成した画面を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の動画像記録再生装置。
【請求項3】
エンコードされた動画像ファイルおよび前記動画像ファイルの各フレームに対応する時間情報と前記時間情報に対応するシーンを示す識別情報とを含むタグファイルが記録された不揮発性記録媒体と、
前記動画像ファイルに係る動画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示されている前記動画像の再生中にコメントを入力する操作部と、
前記コメントおよび前記操作部から前記コメントが入力された時点の前記動画像の再生時間を前記時間情報として前記タグファイルに追記して前記タグファイルを更新し、更新した前記タグファイルに基づいて前記動画像と前記コメントを合成した画面を前記表示部に表示させる再生処理部と
を備える動画像管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−74778(P2010−74778A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243108(P2008−243108)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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