説明

動画像送信装置

【課題】
音声データフォーマットの切り替えに伴う音声欠落(ミュート)期間を低減又は解消する。
【解決手段】
多重分離部(110)は、MPEG−TSのPSI/SIから、動画像コンテンツ跨ぎにおいて音声データフォーマットが切り替わるか否かを検出する。オーディオブロック内で音声データフォーマットの変化があると、パケット処理部(113)は、当該変化に続く後継音声データがAC3の場合、そのオーディオブロック内で、後継音声データの先頭のAAU(Audio Access Unit)を破棄し、LPCMの場合、オーディオブロック内のLPCM音声データを破棄する。又は、パケット処理部(113)は、変化を検出したオーディオブロック内で、その変化に先行する音声データを破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに同期する映像情報と音声情報からなる動画像を送信する動画像送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声データの伝送フォーマットとしてSPDIF(Sony Philips Digital InterFace)フォーマットが広く普及している。例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)の一部としても使用されている。
【0003】
SPDIFは、非圧縮音声データの伝送フォーマット(IEC60958)と、圧縮音声データの伝送フォーマット(IEC61973)の両方に対応している。このような異なる音声データフォーマットでの伝送を可能とするため、SPDIFパケットは、実データを格納するペイロード部に伝送音声データフォーマットを示すメタ情報を付加した構造からなる。このメタ情報が、音声データフォーマットの識別子として利用される。
【0004】
このメタ情報は、192個のパケットに1ビットずつ分割して格納されており、この192パケットを集めることで復元可能である(図2(A))。メタ情報の復元に必要な192パケットをオーディオブロックと呼び、この期間内はメタ情報を切り替えることができない。一方、メタ情報とペイロード部の同期関係に関する規定は定義されていない。従って、音声データフォーマットの切り替え時に、このメタ情報とペイロード部の間に不一致が発生し得る。例えば、メタ情報がリニアPCM(LPCM)であるオーディオブロック中でAC3(Dolby Digital, AC-3:Audio Code number 3)へと切り替わった場合、受信器はAC3データをLPCMデータと誤認する。誤認の結果、このオーディオブロックで異音が出る可能性がある(図2(B))。
【0005】
音声データフォーマットの現実的な切り替え手段として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、HDMI内のデジタル音声の信号線(SPDIF)とは別の信号線を用いて、音声データフォーマットの切り替わり期間を受信器に通知する。切り替わり期間を通知された受信器は、伝送されたデジタル音声データを用いずに、その期間をミュート再生する。これにより、異音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−107397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、特殊な信号の使用を前提とするので、汎用的な機器では、異音発生の抑止効果が得られない。また、HDMI以外の伝送方法、例えば、映像信号をD端子で、音声信号をSPDIFで伝送する伝送方法の場合、特許文献1に記載の技術を適用できない。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の技術では、音声データフォーマットの切り替わり期間を通知する信号が音声データと非同期である。この結果、音声データフォーマットの切り替えタイミングに対して十分なマージンを持って切り替わり期間を通知する必要があり、ミュート期間が長くなってしまう。
【0009】
本発明は、このような問題を解決し、異音の発生を抑制し、音声欠落(ミュート)期間を低減又は解消する動画像送信装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における動画像送信装置は、映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックにおいて、前記変化に時間的に先行する音声データを含む前記伝送パケット、または、前記変化に続く後継音声データを含む前記伝送パケットを破棄する破棄手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明における動画像送信装置は、映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、前記映像データの、前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックに対応する映像をリピートし、リピートで生じる前記音声データの空きにヌルバーストデータを挿入する手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る動画像送信装置は、映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックにおける、前記変化に続く後継音声データを、次のオーディオブロック以降に遅延させる手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、音声データフォーマットが異なるコンテンツを連続的に送出する場合に、異音の発生を抑制でき、音声データフォーマットの切り替えに伴う音声欠落(ミュート)期間を低減又は解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】SPDIFパケットの構造と異音発生の説明図である。
【図3】本実施例の音声出力処理のフローチャートである。
【図4】図3に示す処理での音声データ伝送タイミング例を示す図である。
【図5】本実施例の別の音声データ出力処理のフローチャートである。
【図6】図5に示す処理での音声データ伝送タイミング例を示す図である。
【図7】本実施例の別の音声データ出力処理のフローチャートである。
【図8】図7に示す処理での音声データ伝送タイミング例を示す図である。
【図9】本実施例の別の音声データ出力処理のフローチャートである。
【図10】図9に示す処理での音声データ伝送タイミング例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る動画像送信装置の一実施例を有する動画像伝送システムの概略構成ブロック図を示す。送信装置100は、映像データ及び音声データを含むコンテンツ(動画像ビデオコンテンツ又は動画像コンテンツ)をHDMI信号で受信装置101に送出する。受信装置101は、送信装置100からHDMI信号として受信した映像データ及び音声データをそれぞれ図示しないモニタおよびスピーカに出力する。HDMIケーブル102が、送信装置100と受信装置101を接続する。動画像コンテンツは、本実施例では、MPEG−TSストリームである。MPEG−TSストリームは、管理情報として、PTS(Presentation Time Stamp)、及びPSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)を有する。
【0017】
多重分離部110には外部から動画像コンテンツが入力し、また、パケット処理部113からオーディオブロックの境界を示すタイミング信号(オーディオブロックタイミング信号)が入力する。多重分離部110は、入力された動画像コンテンツを映像データと音声データに分離し、映像データを復号部111に、音声データをパケット処理部113に出力する。多重分離部110はまた、映像データと音声データを出力する際に、MPEG−TSストリーム内のPTSから同期信号を分離し、パケット処理部113及びDPB112に供給する。この同期信号は、パケット処理部113及びDPB112が処理済みのデータをTMDSエンコーダ(TMDS ENC)114に出力するタイミングを決定するのに利用される。
【0018】
多重分離部110は更に、MPEG−TSストリームのPSI/SIから、動画像コンテンツの跨ぎによる音声データフォーマットの切り替えを検出し、オーディオブロックタイミング信号に従い以下の1又は複数の処理を選択的に実行する。第1の処理は、MPEG−TS内の音声データの一部をパケット処理部113へ出力せずに破棄する音声データ破棄処理である。第2の処理は、後述するヌルバースト(null-burst)データを生成してパケット処理部113へ出力するヌルバースト出力処理である。第3の処理は、映像データを1フレームリピートするように同期信号を生成するリピート処理である。第4の処理は、音声データの出力タイミングを、PTSに対して調整するタイミング調整処理である。
【0019】
復号部111は、多重分離部110から出力される圧縮映像データを復号し、非圧縮映像データをDPB112に出力する。
【0020】
DPB112は、復号部111からの非圧縮映像データを一時蓄積し、多重分離部110からの同期信号に同期して、TMDSエンコーダ114に出力する遅延及びタイミング調整の回路である。
【0021】
パケット処理部113は、多重分離部110から出力される音声データをペイロード部に入れ、多重分離部110からの音声データフォーマット情報からチャネルステータス等のメタ情報を生成し、伝送パケットであるSPDIFパケットを生成する。パケット処理部113は、生成したSPDIFパケットを多重分離部110からの同期信号に同期して、TMDSエンコーダ114に出力する。パケット処理部113はまた、多重分離部110から入力する音声データの一部を破棄し、所望のデータをペイロード部に入れる機能も有する。音声データは、固定長のオーディオブロックを単位に伝送され、1オーディオブロック内に192個のSPDIFパケットが配置される。
【0022】
TMDSエンコーダ114は、DPB112からの非圧縮映像データと、パケット処理部113からのSPDIFパケットを遷移時間最短差動信号伝送方式、いわゆるTMDS方式で外部に出力する。TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)は、Silicon Image社の商標である。
【0023】
受信装置101のTMDSデコーダ(TMDS DEC)120には、HDMIケーブル102を介して送信装置100からのT.M.D.S方式の信号が入力する。TMDSデコーダ120は、入力信号から非圧縮映像データとSPDIFパケットの音声データを取り出し、非圧縮映像データをV遅延バッファ121に、SPDIFパケットの音声データをパケット処理部122に出力する。
【0024】
V遅延バッファ121は、TMDSデコーダ120からの非圧縮映像データを一定時間、遅延して、出力する。
【0025】
パケット処理部122は、SPDIFパケットからメタ情報とペイロード部を抽出して出力する。パケット処理部122はまた、取得したメタ情報からペイロード部に含まれる音声データフォーマットを検出し、音声データの処理系を決定しスイッチ125,126を制御する。
【0026】
スイッチ125は、パケット処理部122の制御下に、パケット処理部122からのAC3データをAC3復号部123に供給し、LPCMデータをA遅延バッファ124に供給する。AC3復号部123は、スイッチ125からのAC3データを復号してLPCMデータを出力する。A遅延バッファ124は、スイッチ125からのLPCMデータを一定時間、遅延して、出力する。スイッチ126は、スイッチ125と連動して、AC3復号部123又はA遅延バッファ124の出力を選択する。スイッチ126で選択されたLPCMデータを外部に出力する。
【0027】
本実施例における動画像コンテンツの伝送動作を説明する。HDMIケーブル102によって送信装置100と受信装置101が接続されると、HDMI上の図示しない信号線HPD(Hot Plug Detect)によって、送信装置100は、受信装置101との接続を認識する。また、HDMIの図示しない信号線DDC(Display Data Channel)によって、送信装置100は、受信装置101の構成情報を確認し、接続状態を確立する。
【0028】
接続状態が確立されると、送信装置100は動画像コンテンツの出力を開始する。送信装置100は、図示しない記録媒体から動画像コンテンツを読み出し、多重分離部110へ入力する。以下の説明では、動画像コンテンツは、多重化方式がMPEG−TS、音声データフォーマットがLPCM又はAC3であるものとする。
【0029】
多重分離部110は、入力されたMPEG−TSデータのPSI/SIを元に、圧縮映像データと音声データ(LPCM又はAC3)に分離し、PSI/SIから音声データフォーマット(LPCM又はAC3)を検出する。多重分離部110は、音声データフォーマットの切り替わり又は変化とパケット処理部113からのオーディオブロックタイミング信号に従い、動画像コンテンツ跨ぎに関する必要な処理を加える。この処理の詳細は後述する。
【0030】
多重分離部110は、分離した圧縮映像データを復号部111に出力し、PTSから生成した同期信号をDPB112とパケット処理部113に出力する。復号部111は、多重分離部110からの圧縮映像データを復号し、復号結果である非圧縮映像データをDPB112に出力する。DPB112は、多重分離部110からの同期信号に基づいたタイミングで、復号部111からの非圧縮映像データをTMDSエンコーダ114に出力する。
【0031】
多重分離部110はまた、分離した音声データと音声データフォーマット情報をパケット処理部113に供給する。パケット処理部113は、多重分離部110からの音声データからSPDIFパケットを生成し、音声データフォーマットからメタ情報としてチャネルステータスビット(Channel-Status bit)を生成する。パケット処理部113は、多重分離部110からの同期信号に基づくタイミングで、SPDIFパケットをTMDSエンコーダ114に出力する。
【0032】
TMDSエンコーダ114は、DPB112からの非圧縮映像データとパケット処理部113からのSPDIFパケット形式の音声データをTMDS信号に変換し、HDMIケーブル102に出力する。
【0033】
送信装置100と接続が確立されると、受信装置101は、映像音声データの受信を開始する。TMDSデコーダ120は、HDMIケーブル102からのTMDS信号から非圧縮映像データとSPDIFパケットを分離し、前者をV遅延バッファ121に、後者をパケット処理部122に出力する。
【0034】
V遅延バッファ121は、TMDSデコーダ120からの非圧縮映像データを所定時間、遅延して、外部の図示しないモニタ等に出力する。
【0035】
パケット処理部122は、TMDSデコーダ120からのSPDIFパケットのメタ情報のチャネルステータスビットから音声データフォーマット情報を取得し、音声データの復号処理系を選択する。すなわち、音声データがAC3形式で符号化されている場合は、AC3復号部123を選択するようにスイッチ125,126を制御し、LPCM形式の場合には、A遅延バッファ124を選択するようにスイッチ125,126を制御する。パケット処理部122は、SPDIFパケットのペイロード部に入る音声データ(AC3又はLPCM)をスイッチ125に出力する。AC3復号部123は、スイッチ125からのAC3音声データを復号し、得られたLPCM音声データをスイッチ126に出力する。A遅延バッファ124、スイッチ125からのLPCM音声データを、所定時間遅延して、スイッチ126に出力する。
【0036】
図3及び図4を参照して、送信装置100の音声データ送出処理を説明する。図3は、送信装置100の音声データ出力処理のフローチャートを示す。図4は、伝送タイミング例を示すタイミングチャートである。
【0037】
S300において、多重分離部110は、PSI/SIから動画像コンテンツ跨ぎにおいて音声データフォーマットが切り替わるか否か、すなわち、音声データフォーマットの変化を検出する。図4(A)に示すように、動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わらない(共にAC3)場合、パケット処理部113は、特別な処理はせず、同期信号に基づく音声データの出力を継続する。図4(B)又は図4(C)に示すように動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わる場合(図示例では、AC3からLPCMに)、S301に進む。図4(B)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に、後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれない場合を示す。図4(C)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれる場合を示す。
【0038】
S301において、多重分離部110は、パケット処理部113からのオーディオブロックタイミング信号と音声データフォーマットの切り替わりタイミングを確認する。図4(B)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有しない場合には、S305に進み、音声データフォーマット切り替えに必要な処理を行う。逆に、図4(C)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有する場合、S302に進む。
【0039】
S302において、パケット処理部113は、音声データフォーマットが切り替わるタイミングより時間的に後の音声データ、すなわち後継音声データの音声データフォーマットが符号化形式であるか否かを判定する。符号化形式(AC3)の場合、S303に進み、非符号化形式(LPCM)の場合、S304に進む。
【0040】
S303において、パケット処理部113は、後継音声データの先頭のAAU(Audio Access Unit)を破棄する。AC3のAAUサイズがオーディオブロックサイズより十分大きいので、先頭のAAUを破棄することで、混在するオーディオブロック内のAC3音声データを破棄できる。
【0041】
S304において、パケット処理部113は、音声データフォーマットが混在するオーディオブロック内のLPCM音声データを破棄する。
【0042】
S302〜S304の処理によって、図4(C)の場合のパケット処理部113の出力は、図4(B)の場合のそれと同様、同一オーディオブロック内に1種類の音声データフォーマットのみが存在するものとなる。
【0043】
S305において、パケット処理部113は、動画像コンテンツの跨ぎにおける先行動画像コンテンツの音声データ末尾と後継動画像コンテンツの音声データ始端との間にヌルバースト(null-burst)データを挿入又は配置する。ヌルバーストデータは、SPDIFによる伝送で音声データフォーマットの切り替えが発生する際に、送信装置が出力すべき信号である。ヌルバーストデータの詳細はIEC61973に説明されており、これ以上の説明は省略する。
【0044】
S306において、パケット処理部113は、後継動画像コンテンツの音声データ始端を含むオーディオブロックタイミングから、音声データフォーマット信号を切り替える。これにより、後継動画像コンテンツに対応したチャネルステータス(Channel-Status)が出力される。
【0045】
このように、本実施例では、動画像コンテンツ跨ぎ時に音声データフォーマットの切り替えが発生しても、メタ情報であるチャネルステータスとペイロードとを一致させることができ、最短のミュート期間で異音の発生を抑止できる。
【0046】
送信装置と受信装置との間のインターフェースをHDMIとしたが、音声データの送出がSPDIF又はこれに類するパケット構造を有するものであれば、同様の作用効果を得ることができる。また、音声データフォーマットとしてAC3/LPCMの例を説明したが、この組み合わせに限定されない。
【実施例2】
【0047】
後継動画像コンテンツの音声データ始端を破棄する代わりに、先行動画像コンテンツの音声データ末尾を破棄してもよい。図5は、その音声データ出力処理のフローチャートを示す。図6は、伝送タイミング例を示す。
【0048】
S500において、多重分離部110は、PSI/SIから、動画像コンテンツ跨ぎにおいて音声データフォーマットが切り替わるか否かを検出する。図6(A)に示すように、動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わらない(共にAC3)場合、パケット処理部113は、特別な処理はせず、同期信号に基づく音声データの出力を継続する。図6(B)又は図6(C)に示すように動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わる場合(図示例では、AC3からLPCMに)、S501に進む。図6(B)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に、後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれない場合を示す。図6(C)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれる場合を示す。
【0049】
S501において、多重分離部110は、パケット処理部113からのオーディオブロックタイミング信号と音声データフォーマットの切り替わりタイミングを確認する。図6(B)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有しない場合には、S505に進み、音声データフォーマット切り替えに必要な処理を行う。逆に、図6(C)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有する場合、S502に進む。
【0050】
S502において、パケット処理部113は、音声データフォーマットの切り替わりより時間的に先行する音声データ、すなわち先行音声データの音声データフォーマットが符号化形式であるか否かを判定する。符号化形式(AC3)である場合、S503に進む。非符号化形式(LPCM)である場合、S504に進む。
【0051】
S503において、パケット処理部113は、先行音声データの末尾のAAUを破棄することで、混在するオーディオブロック内のAC3音声データを破棄する。
【0052】
S504において、パケット処理部113は、音声データフォーマットが混在するオーディオブロック内のLPCM音声データを破棄する。
【0053】
S502〜S504の処理によって、図6(C)の場合のパケット処理部113の出力は、図6(B)の場合のそれと同様、同一オーディオブロック内に1種類の音声データフォーマットのみが存在するものとなる。
【0054】
S505において、パケット処理部113は、動画像コンテンツの跨ぎにおける先行動画像コンテンツの音声データ末尾と後継動画像コンテンツの音声データ始端との間にヌルバースト(null-burst)データを挿入又は配置する。
【0055】
S506において、パケット処理部113は、後継動画像コンテンツの音声データ始端を含むオーディオブロックタイミングから、音声データフォーマット信号を切り替える。これにより、後継動画像コンテンツに対応したチャネルステータス(Channel-Status)が出力される。
【実施例3】
【0056】
先行動画像コンテンツの最終出力映像をリピートする動作を説明する。図7は、そのための音声データ出力処理のフローチャートを示し、図8は伝送タイミング例を示す。
【0057】
S700において、多重分離部110は、PSI/SIから、動画像コンテンツ跨ぎにおいて音声データフォーマットが切り替わるか否かを検出する。図8(A)に示すように、動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わらない(共にAC3)場合、パケット処理部113は、特別な処理はせず、同期信号に基づく音声データの出力を継続する。図8(B)又は図8(C)に示すように動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わる場合(図示例では、AC3からLPCMに)、S701に進む。図8(B)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に、後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれない場合を示す。図8(C)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれる場合を示す。
【0058】
S701において、多重分離部110は、パケット処理部113からのオーディオブロックタイミング信号と音声データフォーマットの切り替わりタイミングを確認する。図8(B)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有しない場合には、S703に進み、音声データフォーマット切り替えに必要な処理を行う。逆に、図8(C)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有する場合、S702に進む。
【0059】
S702において、多重分離部110は、先行動画像コンテンツの映像データの末尾に1フレームのリピートを加える。具体的には、DPB112への後継動画像コンテンツの出力タイミングを1フレーム分遅延させてリピート映像を発生させ、それに合わせて後継動画像コンテンツの映像・音声データの出力タイミングを1フレーム遅延させる。この処理によって、図8(C)の場合のパケット処理部113の出力は、図8(B)の場合のそれと同様、同一オーディオブロック内に1種類の音声データフォーマットのみが存在するものとなる。
【0060】
S703において、パケット処理部113は、動画像コンテンツの跨ぎにおける先行動画像コンテンツの音声データ末尾と後継動画像コンテンツの音声データ始端との間にヌルバースト(null-burst)データを挿入又は配置する。
【0061】
S704において、パケット処理部113は、後継動画像コンテンツの音声データ始端を含むオーディオブロックタイミングから、音声データフォーマット信号を切り替える。これにより、後継動画像コンテンツに対応したチャネルステータス(Channel-Status)が出力される。
【実施例4】
【0062】
後継動画像コンテンツの音声データ出力タイミングを、オーディオブロック境界まで遅延させる動作を説明する。図9は、この動作の音声データ出力処理のフローチャートを示し、図10は伝送タイミング例を示す。
【0063】
S900において、多重分離部110は、PSI/SIから、動画像コンテンツ跨ぎにおいて音声データフォーマットが切り替わるか否かを検出する。図10(A)に示すように、動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わらない(共にAC3)場合、パケット処理部113は、特別な処理はせず、同期信号に基づく音声データの出力を継続する。図10(B)又は図10(C)に示すように動画像コンテンツの跨ぎで音声データフォーマットが切り替わる場合(図示例では、AC3からLPCMに)、S901に進む。図10(B)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に、後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれない場合を示す。図4(C)は、先行動画像コンテンツの音声データ(AC3)を出力しているオーディオブロック内に後継動画像コンテンツの音声データ出力が含まれる場合を示す。
【0064】
S901において、多重分離部110は、パケット処理部113からのオーディオブロックタイミング信号と音声データフォーマットの切り替わりタイミングを確認する。図10(B)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有しない場合には、S903に進み、音声データフォーマット切り替えに必要な処理を行う。逆に、図10(C)に示すように、同一オーディオブロック内に異なる音声データフォーマットの出力タイミングを有する場合、S902に進む。
【0065】
S902において、パケット処理部113は、後継動画像コンテンツの音声データの末尾に遅延を加える。加える遅延は、始端となる音声データの出力タイミングを、次オーディオブロックの境界に合わせるために必要な量であり、後継音声データを次のオーディオブロック以降に遅延させる。この処理によって、図10(C)の場合のパケット処理部113の出力は、図10(B)の場合のそれと同様、同一オーディオブロック内に1種類の音声データフォーマットのみが存在するものとなる。
【0066】
S903において、パケット処理部113は、動画像コンテンツの跨ぎにおける先行動画像コンテンツの音声データ末尾と後継動画像コンテンツの音声データ始端との間にヌルバースト(null-burst)データを挿入する。
【0067】
S904において、パケット処理部113は、後継動画像コンテンツの音声データ始端を含むオーディオブロックタイミングから、音声データフォーマット信号を切り替える。これにより、後継動画像コンテンツに対応したチャネルステータス(Channel-Status)が出力される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、
前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、
前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、
前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックにおいて、前記変化に時間的に先行する音声データを含む前記伝送パケット、または前記変化に続く後継音声データを含む前記伝送パケットを破棄する破棄手段
とを具備することを特徴とする動画像送信装置。
【請求項2】
前記破棄手段が、破棄した前記伝送パケットに対してヌルバーストデータを配置することを特徴とする請求項1に記載の動画像送信装置。
【請求項3】
映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、
前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、
前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、
前記映像データの、前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックに対応する映像をリピートし、リピートで生じる前記音声データの空きにヌルバーストデータを挿入する手段
とを具備することを特徴とする動画像送信装置。
【請求項4】
映像データと、それぞれペイロード部、及び、音声データフォーマットを示す音声データフォーマット情報を含むメタ情報を有する複数の伝送パケットからなるオーディオブロックを単位に伝送される音声データとを有する動画像コンテンツを送信する動画像送信装置であって、
前記音声データの前記メタ情報の前記音声データフォーマット情報から、前記音声データの前記伝送パケットごとの音声データフォーマットを検出する手段と、
前記オーディオブロック内で前記音声データフォーマットが変化するか否かを検出する手段と、
前記音声データフォーマットの変化を検出した前記オーディオブロックにおける、前記変化に続く後継音声データを、次のオーディオブロック以降に遅延させる手段
とを具備することを特徴とする動画像送信装置。
【請求項5】
前記伝送パケットが、SPDIFパケットであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の動画像送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−75069(P2012−75069A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220351(P2010−220351)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】