説明

動画撮影可能なカメラ

【課題】 動画の撮影中に、印象的な部分を容易に静止画撮影することができる動画撮影可能なカメラを提供することを目的とする。
【解決手段】 カメラは、被写体を撮像する撮像部4と、撮像部4からの画像情報に基づく動画撮影の開始と終了を決定する動画撮影操作部9と、撮影状況の変化に応じて静止画タイミング信号を自動的に発生する撮影状況検知部13と、動画撮影操作部9の操作に応答して動画情報を記録させるとともに、動画情報の記録中に撮影状況検知部13に応答して静止画情報を記録させる制御部1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を撮影することができる動画撮影可能なカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、静止画のみならず、動画の撮影も可能なデジタルカメラが広く知られている。こうしたカメラには、静止画と動画を別々の撮影タイミングで撮影するものの他、動画の撮影中に静止画を撮影することができるものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたカメラにおいては、動画の撮影中に静止画撮影用のスイッチを操作したときに、スイッチ操作のタイミングを示す識別信号を動画情報とともに記録し、静止画再生を望む場合には、識別信号に基づいて、動画情報からスイッチが操作されたときの画像を取り出して再生するように構成されている。こうしたカメラによれば、例えば、連続的に被写体を撮影して動画を記録しながら、同時に動画で撮影している被写体の静止画を記録することもでき、撮影の自由度を高めることが可能になる。
【特許文献1】特開平2−312364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮影者は、動画の鑑賞に際し、撮影した動画のすべてを観賞する場合のみならず、印象の強かった部分のみを抽出して観賞したい場合がある。このような場合、特許文献1に記載のカメラにおいては、印象的な被写体を撮影しているタイミングで静止画撮影用のスイッチを操作しておけば、後々、その部分のみを選択的に観賞することが可能である。
【0005】
しかしながら、動画撮影の操作中であるため、強い印象を受けた瞬間に、即座に静止画撮影用のスイッチを操作して静止画を記録することは容易ではない。このため、静止画を記録しておいても、強い印象を受けた部分と静止画として記録されている画像とが一致せず、印象の強かった部分のみを選択的に観賞することができないことがあるという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、動画の撮影中に、印象的な部分を容易に静止画撮影することができる動画撮影可能なカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部からの画像情報に基づく動画撮影の開始と終了を決定する動画撮影操作部と、動画撮影中に静止画タイミング信号を自動的に発生するタイミング信号自動発生部と、前記動画撮影操作部の操作に応答して動画情報を記録するとともに、前記動画情報の記録中に前記タイミング信号自動発生部に応答して静止画情報を記録する記録制御部とを有することを特徴とする動画撮影可能なカメラによって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動画の撮影中に、印象的な部分を容易に静止画撮影することができる動画撮影可能なカメラを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の動画撮影可能なカメラの実施例に関するブロック図であり、制御部1が全体の機能を統括する。電源・録/再操作部2は、電源のオン/オフ、および、録画モードと再生モードとの切換を行う手動操作部であり、その詳細構造の一例は後述の図2に示す。モード選択操作部3は、カメラの動作モードを、その詳細を後述の図4に示す種々のモードに切換えるための操作を行う手動操作部である。
【0010】
電源・録/再操作部2により録画モードで電源がオンされると、撮像部4による撮像が開始され、撮像された動画像が出力部5の画像表示部6に表示される。撮像部4によって撮像された動画データは、同時にバッファ部7に取り込まれる。バッファ部7は、所定時間、例えば10秒間分の動画データを保持可能であり、10秒経過する都度、バッファ部7に保持されるデータは、次々に新しいデータに置き換えられる。このため、バッファ部7には、常に最新の10秒間の動画データが保持されることになる。また、録画モードで電源がオンされることにより、並行してマイクロフォン8による音声データの取得も開始され、動画データと関連付けられてバッファ部7に取り込まれる。音声データも動画データと同様にして最新10秒間分が常にバッファ部7に保持される。
【0011】
動画撮影操作部9が操作されると動画撮影が開始され、バッファ部7に保持されている動画データが圧縮部10で動画圧縮されて記録部11に記録される。このとき、バッファ部7の音声データも連動して圧縮され、記録部11に記録される。バッファ部7に保持されている動画データおよび音声データをどう採用して動画圧縮するかは、撮影モードによって異なり、その詳細は後述する。
【0012】
一方、静止画撮影操作部12が操作されると、そのタイミングにおいて撮像部4からバッファ部7に取り込まれた静止画データが圧縮部10で静止画圧縮され、記録部11に記録される。静止画撮影操作部12が操作されたときの機能は、このような通常の静止画記録だけでなく、後述する種々の撮影モードがある。例えば、静止画撮影操作部12の操作によって、所定時間、例えば15秒間のショートムービーを記録する機能や、動画撮影中に静止画撮影操作部12を操作した際に動画データ中に静止画タイミング信号を付加記録する機能などがある。
【0013】
また、本実施例にかかるカメラには、動画撮影状況の変化に応じて静止画タイミング信号を自動的に発生させるための撮影状況検知部13が設けられており、上記のように静止画撮影操作部12による手動操作に応じて静止画タイミング信号を発生させる場合の他、動画撮影状況の変化に応じて自動的に静止画タイミング信号を発生させることも可能である。
【0014】
また、電源・録/再操作部2により再生モードへの切換えを行い、再生操作部14で再生指示を行うと、記録部11からのサムネイルデータが画像表示部6に表示される。その後、再生操作部14で、その一つを選択すると、記録部11からの画像データが伸張部15で伸張され、画像が画像表示部6に、また、音声データがあればスピーカ16にそれぞれ出力される。なお、再生モードについてもモード選択操作部3で切換え可能な種々のモードがある。
【0015】
図2は、電源・録/再操作部2の詳細構造の一例を示す正面図である。電源・録/再操作部2は、スライド可能な操作ボタン2aを有し、図2では、この操作ボタン2aは、電源オフの位置にある。操作ボタン2aが破線で示す位置2bにスライドさせられると、電源がオンになるとともに、カメラは撮影モードで立ち上がる。一方、操作ボタン2aが破線で示す位置2cにスライドさせられると、電源がオンになるとともに、カメラは再生モードで立ち上がる。なお、電源・録/再操作部2は、図2に示すような構造に限らず、電源のオン/オフボタンと、撮影モードおよび再生モードを切換えるモード切換えボタンとに分けて構成してもよい。
【0016】
図3は、撮影状況検知部13の構成を示すブロック図である。
【0017】
撮影時間検知部41は、動画撮影時間の経過に基づいて検知信号を出力するものであり、動画撮影の開始から撮影時間をカウントして所定時間(例えば、30秒)毎に検知信号を出力する。また、この撮影時間検知部41は、撮影時間の経過に応じて検知信号の出力頻度を変更し、例えば、撮影時間が長時間(例えば、5分)に至った場合には、その後の検知信号の発生間隔を30秒よりも長い時間に設定して検知信号の出力頻度を少なくする。
【0018】
画像検知部42は、撮像部4から出力される画像信号を解析して撮影画像の変化を検知するものであり、例えば、フォーカス情報、顔認識情報および目線認識情報などに基づいて検知信号を出力する。具体的には、撮影画面内でフォーカス位置が変わったときにその移動量が所定のしきい値を越えた場合、撮影対象が変更されて焦点距離が変化した場合、撮影画面内に人物や動物の顔と認識される画像が含まれている場合、および、撮影画面内の人物や動物の目線がカメラ側に向いていることを認識した場合などに検知信号を出力する。
【0019】
明るさ検知部43は、撮像部4や測光センサー(図示せず)から出力される画像信号に基づいて撮影画面内の明るさの変化や明るさの状態を検知するものである。例えば、撮影画面内の明るさを検知するに際しては、所定時間間隔で撮影画像の平均輝度の変化を計測し、変化の度合いが所定のしきい値を越えたときに検知信号を出力する。一方、撮影画面内の明るさの状態を検知するに際しては、例えば、被写体にスポットライトが照射され、撮影画面の中央部が明るく、周囲が暗くなるなどの特定の明るさ状態になっている画像を検出した場合に検知信号を出力する。
【0020】
音声検知部44は、マイクロフォン8から出力される音声信号に基づいて被写界の音声の変化を検知するものである。例えば、歓声が上がったりなどしてマイクロフォン8で集音される音声のレベルが高くなり、所定のしきい値を越えたときに検知信号を出力する。
【0021】
視線検知部45は、操作者の視線を検知するものであり、視線の移動量が所定のしきい値を越えたときに検知信号を出力する。例えば、ファインダーの周辺に赤外LEDを設けて操作者の目に赤外線を照射し、その反射光を読み取ることによって、ファインダーを覗いている操作者の瞳の位置を検出することが可能であり、視線検知部45は、その瞳の位置から操作者の視線の方向を算出し、所定時間間隔で視線の変化を計測する。
【0022】
発汗検知部46は、カメラを持っている操作者の手の発汗状態を検知するものであり、操作者が緊張又は興奮して手の発汗量が多くなったときに検知信号を出力する。具体的には、カメラの持ち手部分に電極を設けて、所定時間毎にその抵抗値を測定し、持ち手部分が濡れて抵抗値が所定のしきい値以下となったときに検知信号を出力する。
【0023】
生体信号検知部47は、操作者の生体信号を検知するものであり、本実施例においては、操作者の脳波を検知する。具体的には、操作者に取り付けた脳波センサーなどからの出力信号に基づいて操作者の脳波を測定し、測定した脳波が操作者の緊張又は興奮状態を示す場合などに検知信号を出力する。
【0024】
パンニング検知部48は、操作者のパンニング操作を検知するものである。例えば、角速度センサーや手ぶれ補正用のセンサーなどをカメラに設け、パンニング検知部48は、それらのセンサーからの出力信号に基づいて所定時間毎にカメラの向きの変化を測定し、その変化量が所定のしきい値を越えたときにパンニング操作が行われたと判定して検知信号を出力する。
【0025】
これら画像検知部42、明るさ検知部43、音声検知部44、視線検知部45、発汗検知部46、生体信号検知部47およびパンニング検知部48は、検知信号を出力すべき状態を検出している間、連続的に検知信号を出力し続けるのではなく、撮影時間検知部41と同様に、検知信号を出力すべき状態を検出してから所定時間(例えば、30秒)間隔で断続的に検知信号を出力し、また、検出してから長時間(例えば、5分)が経過した後は、検知信号の出力間隔を30秒よりも長い時間に設定して検知信号の出力頻度を少なくする。
【0026】
ズーム操作検知部49は、カメラのズーム操作が実行されているか否かを検知するものであり、ズーム操作が実行されている間にズーミング信号を出力する。
【0027】
自動焦点検知部50は、カメラのフォーカス状態を検知するものであり、焦点の調整中は検知信号を出力せず、合焦状態になったときに合焦信号を出力する。
【0028】
姿勢検知部51は、カメラの縦方向の向きを検知するものである。例えば、傾きを検出する傾斜センサーなどをカメラに設け、姿勢検知部51は、それらセンサーからの出力信号が水平であることを示すときに水平信号を出力する。
【0029】
以上の検知部41ないし51は、機能させるか否かを別個に設定することが可能であり、特定の検知部のみを機能させ、その他の検知部を機能させないようにすることも可能である。
【0030】
タイミング信号自動発生部52は、撮影時間検知部41、画像検知部22、明るさ検知部23、音声検知部44、視線検知部45、発汗検知部46、生体信号検知部47およびパンニング検知部48から検知信号が出力されたときに、静止画タイミング信号を発生する。また、タイミング信号自動発生部52は、ズーミング信号が出力されている期間、ならびに、合焦信号および水平信号の少なくとも一方が出力されていない期間は、検知部41ないし48からの検知信号を無効なものとして扱って静止画タイミング信号を発生せず、その他の期間に限って検知信号に応答して静止画タイミング信号を発生する。なお、ズーム操作検知部49、自動焦点検知部50および姿勢検知部51が機能しないように設定されているときには、常時、検知部41ないし48からの検知信号に応答して静止画タイミング信号を発生する。
【0031】
図4は、撮影モードと再生モードの詳細を示す概念図である。図4において、モードは大別して「撮影」モードと「再生」モードに区分され、更に、「撮影」モードは「単純静止画」モード以下5つのモードに細分化されている。説明の便宜上、本明細書においては、例えば、「撮影」モードにおける「単純静止画」モードを「単純静止画撮影モード」と称し、以下、他のモードにおいても、再生モードにおける細分化モードも含め、同様の要領の読み方で説明を加える。
【0032】
「単純静止画撮影モード」は、静止画撮影操作部12が操作されたタイミングで静止画を撮影するモードであり、圧縮部10における画像記録方式は「静止画圧縮」モードとなる。なお、この際、静止画撮影タイミングの数秒前から静止画撮影タイミングの数秒後までの間の音声データを同時に記録し、音声付静止画データとすることも可能である。
【0033】
また、動画の撮影中に、カメラの動作モードを「単純静止画撮影モード」に切り換えて、静止画を撮影することも可能である。この場合には、静止画圧縮データが記録される他、静止画撮影操作部12の操作を行った操作タイミングを示す静止画タイミング信号が、動画撮影による動画圧縮データ中に記録される。
【0034】
「ショートムービー撮影モード」は、静止画撮影操作部12の操作によって、その前後の所定時間、例えば操作前7秒、操作後8秒の合計15秒間のショートムービーを記録するモードである。合計時間の長さ、および、これを操作前後にどのように配分するかは予め選択して設定しておくことが可能である。操作前の設定時間は、バッファ部7の容量限界、例えば10秒まで可能である。また、ショートムービーの合計時間の全てを静止画撮影操作部12の操作後とすること、換言すれば、静止画撮影操作部12の操作時点から所定時間のショートムービーの作成を開始するような設定も可能である。圧縮部10における画像記録方式は「動画圧縮」モードとなり、音声付動画が記録されるが、これに加え、静止画タイミング信号が動画圧縮データに付加して記録される。
【0035】
「単純動画撮影モード」は、動画撮影操作部9の操作によって、動画を記録するモードであり、本モードでは、動画撮影操作部9が操作されたタイミングにおいて撮像部4からバッファ部7に取り込まれた動画データから動画撮影が開始される。また、「単純動画撮影モード」では、動画撮影操作部9が操作されたタイミングを示す撮影操作タイミング信号が、動画データ中に付加されて記録される。「単純動画撮影モード」での圧縮部10における画像記録方式は「動画圧縮」モードとなり、音声付動画が記録される。
【0036】
なお、「単純動画撮影モード」に設定された状態での動画の撮影中に、撮影モードが「単純静止画撮影モード」に切り換えられた場合には、動画撮影が継続された状態で、「単純静止画撮影モード」による静止画の撮影が可能な状態となる。
【0037】
「動画/手動静止画撮影モード」は、動画を撮影するとともに、その動画撮影中に、手動操作によって静止画を撮影するモードである。「動画/手動静止画撮影モード」では、「単純動画撮影モード」の場合とは異なり、撮影モードを切換えなくても、動画の撮影中に静止画を撮影することが可能である。
【0038】
動画の撮影に際しては、動画撮影操作部9が操作されたタイミングでバッファ部7に保持されている全ての音声付動画データに、動画撮影操作部9の操作タイミング時点からの音声付動画データを繋げた形の動画データが記録される。例えば、バッファ部7に、その容量一杯の動画データが保持されているとすると、動画撮影操作部9の操作タイミングの10秒前から始まる動画データが記録されることになる。圧縮部10における画像記録方式は「動画圧縮」モードである。なお、「動画/手動静止画撮影モード」においても、「単純動画撮影モード」と同様に、動画撮影操作部9が操作されたタイミングを示す撮影操作タイミング信号が、動画データ中に付加されて記録される。
【0039】
一方、静止画の撮影に際しては、「単純静止画撮影モード」の場合と異なり、静止画圧縮データが生成されることはなく、静止画タイミング信号のみが生成され、音声付動画データに付加して記録される。
【0040】
また、「動画/手動静止画撮影モード」では、動画の撮影に際し、静止画タイミング信号の発生時点の数秒前から発生時点の数秒後までの間の所定時間分の動画圧縮データと、その他の時間帯の動画圧縮データとが区分して生成される。これらの動画圧縮データは、時間的には連続した動画データとなるが、動画データとしては、それぞれ、独立したデータとなるため、動画撮影の開始から終了までの間に、一つの動画圧縮データが生成されるのではなく、複数の動画圧縮データが生成される。
【0041】
「動画/自動静止画撮影モード」は、上記のような「動画/手動静止画撮影モード」と同一の機能にさらに自動静止画撮影機能を付加したものである。すなわち、動画撮影中に静止画撮影操作部12の操作によって静止画タイミング信号が発生した場合だけでなく、動画撮影状況の変化に応じて静止画タイミング信号が自動的に発生した場合でも、これを音声付動画圧縮データに付加して記録する。圧縮部10における画像記録方式は「動画圧縮」モードである。
【0042】
これらの撮影モードの切換えは、モード選択操作部3を操作して行う他、動画撮影操作部9を操作することによっても可能である。従って、例えば、「単純静止画撮影モード」に設定されているときに、動画撮影操作部12を操作した場合には、カメラの動作モードは、「単純動画撮影モード」、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」のいずれかに変更される。なお、動画撮影操作部12が操作されたときに、どの動画撮影モードに切り換えられるかは、予め設定しておくことが可能である。
【0043】
以上で「撮影モード」の概略説明を終わり、次に「再生モード」について説明する。
【0044】
「静止画再生モード」は、再生操作部14の操作によって、静止画を再生するモードである。本モードでは、「単純静止画撮影モード」において記録された静止画圧縮データだけでなく、動画圧縮データに付加された静止画タイミング信号に基づき、そのタイミングでの静止画を動画圧縮データに基づいて再生することも可能である。
【0045】
「音声付静止画再生モード」は、再生操作部14の操作によって、音声付静止画を再生するモードであり、本モードでは、「ショートムービー撮影モード」で記録された音声付動画データに基づく再生が行われる。具体的には、記録された静止画タイミング信号に基づく静止画が、動画圧縮データに基づくショートムービー期間の音声とともに再生される。また、同様の再生を「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」で記録された音声付動画圧縮データに基づき、個々の静止画タイミング信号を利用して行うこともできる。なお、「音声付静止画再生モード」では、上記のように再生操作部14の操作の都度、動画圧縮データに基づいて静止画を作成するのに代え、後述する編集操作によって静止画が確定すれば、これを関連する音声データとともに音声付静止画圧縮データとして再記録し、以後は再生操作部14の操作で直接この音声付静止画圧縮データを再生することもできる。また、編集操作によれば、このような音声付静止画圧縮データを「ショートムービー撮影モード」で記録された音声付動画圧縮データからだけではなく、「単純動画撮影モード」、「動画/手動静止画撮影モード」、「動画/自動静止画撮影モード」において記録された音声付動画圧縮データから作成することもできる。更に、「音声付静止画再生モード」では、当然ながら、再生操作部14の操作によって、「単純静止画撮影モード」で記録された音声付静止画圧縮データの再生をすることも可能である。
【0046】
「ショートムービー再生モード」は、再生操作部14の操作によって、「ショートムービー撮影モード」で記録された音声付動画データに基づく再生を行うモードである。
【0047】
「ハイライト動画再生モード」は、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」において記録された音声付動画圧縮データを再生するモードである。「ハイライト動画再生モード」では、動画の再生に際し、記録された動画データが全編再生されるのではなく、記録されている動画データの中から、動画撮影操作部9の操作タイミングを基準とした所定時間分の動画データ、および、静止画タイミング信号を基準とした所定時間、例えば静止画タイミング信号前の10秒と静止画タイミング信号後の10秒の合計20秒間の動画データのみが読み出され、これらが繋ぎ合わされて連続再生される。
【0048】
「単純動画再生モード」は、「単純動画撮影モード」、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」において記録された音声付動画圧縮データを全編再生するモードである。
【0049】
図5は、図1に示した実施例における制御部1の動作を示すフローチャートであり、電源オフ状態から電源オン状態になった場合の動作を示す。電源のオン/オフは、電源・録/再操作部2によって行われるが、操作ボタン2aが図2のオン位置2bまたは2cにスライドさせられていても、所定時間、カメラの無操作状態が続くと、省電設計により回路的に電源オフになる。この状態から電源オンするには電源・録/再操作部2を一度オフ位置に戻して再度オン位置にする場合の他、モード選択操作部3、動画撮影操作部9、静止画撮影操作部12、再生操作部14等、他の操作部の操作によっても電源オン状態に復帰する。
【0050】
フローがスタートすると、ステップS1で上記のいずかにより電源オン状態となるのを待つ。オン状態が検出されると、ステップS2に進んで無操作タイマーにリセットスタートをかける。なお、この無操作タイマーは、後のステップにおいて、ユーザによって何らかの操作が行われた場合には、その時点で改めてリセットされ、そこからカウントが開始される。次にステップS3で、カメラの動作モードが撮影モード、つまり図2の操作ボタンの位置が2bにあるかがチェックされる。
【0051】
ステップ3において撮影モードであった場合は、ステップS4に進み、撮影モード初期値設定を行う。撮影モードの設定は、電源をオフしても記憶しておくことが可能であり、以前に設定されているモードがあれば、それを呼び出して初期値として設定する。設定の記憶がない場合は、ステップS4では、デフォルトで「動画/自動静止画撮影モード」に設定する。次にステップS5で、撮影モード選択操作を可能とし、モード選択操作部3による初期値以外の撮影モードへの変更ができるようにする。
【0052】
ステップS6では、後述する画像キャプチャー開始処理を行い、撮像部4による撮像、その画像の画像表示部6での表示、およびバッファ部7への動画データの蓄積を開始する。次いでステップS7で、動画撮影の操作受付を可能とするとともに、ステップS8で、静止画撮影の操作受付を可能とする。これによって、動画撮影操作部9または静止画撮影操作部12が操作されたときに撮影が可能となる。
【0053】
ステップS9では、電源オフ操作の受付を可能にし、電源・録/再操作部2の操作ボタン2の操作でカメラをオフできるようにする。次いで、ステップS10で、無操作タイマーがスタートしてからカメラの無操作状態が所定時間以上続いたかどうかをチェックする。所定時間経過でタイムアップとなれば、ステップS11に進んで電源を回路的にオフし、ステップS1に戻る。
【0054】
一方、ステップS3において、撮影モードでなかったときは再生モードであるから、再生モード初期表示処理を行い、初期画面を画像表示部6に表示する。この初期画面としては、例えばモード選択操作部3や再生操作部14の操作と関連付けられたユーザーインターフェース画面を表示する。次いでステップS13で、再生モード選択操作を受付可能とし、モード選択操作部3による再生モードでのモード選択操作ができるようにする。更に、ステップS14において、再生操作を受付可能とし、再生操作部14による再生操作ができるようにするとともに、ステップS9に移行する。
【0055】
図6は、図5のステップS6における画像キャプチャー開始処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS21で、撮像部4による撮像を開始する。そして、ステップS22で、バッファ部7への音声付動画データの蓄積を開始する。更に、ステップS23において、撮影開始から所定時間、例えば10秒経過した時点でバッファ部7に保持されているデータ(以下、「バッファ部7に保持されているデータ」を「バッファデータ」ということがある)を、撮影部4から新しく入力されるデータに、順次、上書きさせる処理を開始させて、ステップS7に移行する。
【0056】
図7は、図5のステップS7で受付可能となった動画撮影操作部9の操作によってスタートする動画撮影フローである。動画撮影の操作が受付けられると、カメラの動作モードが、「単純動画撮影モード」、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」のいずれかに設定され、フローがスタートする。フローがスタートすると、まず、ステップS31において、動画撮影の操作受付の前に、カメラの動作モードが「ショートムービー撮影モード」に設定されていたかどうかをチェックする。ステップS31で、「ショートムービー撮影モード」に設定されていた場合には、ステップS32に進む。
【0057】
ステップS32では、「ショートムービー撮影モード」に設定された状態で静止画撮影操作部12を操作してから、所定時間内に動画撮影操作部9が操作されたかどうかをチェックする。ステップS32の判定結果がYESであれば、ステップS33に移行し、そのショートムービーデータを動画撮影モードで撮影した動画データにシームレスに繋いだ動画データを作成するための処理の準備を行う。そして、ステップS34に移行し、動画記録開始処理を行う。ステップS34の詳細は後述する。
【0058】
なお、ステップS32における所定時間は、「単純動画撮影モード」においては、「ショートムービー撮影モード」で設定されている状態で、静止画撮影操作部12を操作した後の設定記録時間に対応する。一方、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」においては、「ショートムービー撮影モード」で設定されている状態で、静止画撮影操作部12を操作した後の設定記録時間と、バッファ部7に保存されている音声付動画の時間との和になる。これらのいずれを所定時間とするかは、ステップS32内において撮影モードを判定し、自動的に決定する。これについては、後述の図9で詳述する。
【0059】
一方、ステップS31で「ショートムービー撮影モード」でなかった場合には、ステップS31から直接ステップS34に移行する。また、ステップS32において、静止画撮影操作部12を操作してから所定時間内に動画撮影操作部9が操作されなかったときは、ステップS32から直接ステップS34に移行する。
【0060】
ステップS34の処理の後、ステップS35に進み、「動画/自動静止画撮影モード」設定であるかどうかをチェックする。該当すればステップS36に進み、静止画タイミング信号の自動発生指示処理を行って、静止画タイミング信号の自動発生処理を開始させた後、ステップS37に移行する。一方、該当しなければステップS35から直接ステップS37に移行する。
【0061】
ステップS37では、静止画撮影操作部12の操作を受付けたかどうかをチェックする。受付けていなければステップS38に移行し、静止画タイミング信号が自動発生したかどうかをチェックする。自動発生があれば、ステップS39に移行して静止画タイミング記録処理を行う。ステップS39の詳細は、後述する。
【0062】
一方、ステップS37において静止画撮影操作部12の操作を受け付けていれば、これに基づき静止画タイミング信号が発生しているので、直接ステップS39に移行し、静止画タイミング記録処理を行う。
【0063】
いずれの場合も処理が済めば、ステップS40に移行する。また、ステップS38に至っても静止画タイミング信号が発生していなければ、静止画タイミング記録処理は不要なので、直接ステップS40に移行する。
【0064】
ステップS40では、画像表示部6において動画撮影中に実行すべき表示のための処理を行う。また続くステップS41では、動画撮影中における記録部11の残容量の表示処理を行う。
【0065】
ステップS41の処理が終了すると、ステップS42に移行して動画撮影操作部9によって動画撮影終了のための操作が行われたかどうかをチェックし、操作が行われていれば、ステップS43に移行して、動画撮影終了後の表示処理を行う。この処理が終われば、動画撮影処理を終了する。
【0066】
一方、ステップS42において動画撮影の終了操作が行われていなかった場合は、ステップS37に戻り、動画撮影を継続する。
【0067】
図8は、図7のステップS34における動画記録開始処理の内容を示すフローチャートである。処理がスタートすると、ステップS51で「単純動画撮影モード」設定状態であるかどうかをチェックする。該当しなければ、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」であるが、この場合は、ステップS52に進み、静止画タイミング信号の受付を可能とする。
【0068】
次にステップS53に進み、撮影開始から所定時間(例えば10秒)経過するか又は静止画タイミング信号が入るまでは、バッファデータの圧縮処理を保留する処理を開始させる。ステップS53の意義は、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」においては、撮像開始時点でバッファ部7に保持されている音声付画像データを、撮影開示時点からの音声付き画像データに繋げた形の動画データを記録する必要があるため、このようにしてバッファデータの圧縮処理を保留することにある。
【0069】
バッファデータの圧縮処理の保留時間が経過すると、ステップS54に進み、動画撮影操作部9の撮影タイミングを基準とした所定時間分の動画データを圧縮して、独立した動画圧縮データとして作成するとともに、撮影操作タイミング信号を付加する処理をさせて動画記録開始処理を終了し、図7のステップS35に移行する。ステップS54において、動画撮影タイミングを基準とした所定時間分の動画圧縮データを生成するのは、動画撮影の開始前後の画像は撮影者の関心が高い部分であり、ハイライト動画再生モードにおいて、この部分も再生対象とするためである。また、動画撮影操作部9の撮影操作タイミング信号の情報を動画ファイルに付加しておくことにより、動画開始前後の動画部分をショートムービー記録と同様に扱うことも可能になる。
【0070】
一方、ステップS51において「単純動画撮影モード」設定であったときは、ステップS55に進み、動画撮影操作部9の操作後、速やかにバッファデータの圧縮処理を開始させて動画記録開始処理を終了し、図7のステップS35に移行する。
【0071】
図9は、図7のフローにおけるステップS32からステップS34、および図8の機能を説明するためのタイミングチャートであり、左から右に時間が経過するように時間軸を設けている。図中、静止画撮影操作部12の操作タイミングを矢印sで、動画撮影操作部9の操作タイミングを矢印mでそれぞれ示す。また、以下の説明においては、「ショートムービー撮影モード」に設定された状態で静止画撮影操作部12を操作してから、ショートムービーの撮影が終了するまでの時間を「後半時間」と称する。
【0072】
図9の(a)、(b)は「ショートムービー撮影モード」において静止画撮影操作部12の操作をした後に、「単純動画撮影モード」にて動画撮影操作部9を操作した場合である。図9の(a)は、図7のステップS32から直接ステップS34に移行し、図8では、ステップS51からステップS55に移行した場合に該当する。つまり、静止画撮影操作タイミングsから後半時間の経過後、すなわち、ショートムービー撮影の時間帯の経過後に「単純動画撮影モード」にて動画撮影が開始されているため、ショートムービーと動画は繋がらず、それぞれ、そのまま独立した動画ファイルとして記録される。
【0073】
一方、図9の(b)は、図7のステップS32からステップS33経由でステップS34に移行し、ステップS34の内容を示す図8では、ステップS51からステップS55に移行した場合に該当する。つまり、静止画撮影操作タイミングsの後、後半時間の経過前、すなわち、ショートムービー撮影の時間帯の終了前に「単純動画撮影モード」にて動画撮影が時刻mで開始されている。この場合は、ショートムービー動画をシームレスに繋げた動画ファイル23を作成する。この動画ファイル23には、静止画撮影操作部12が操作されたタイミングを示す静止画タイミング信号21sと、動画撮影操作部9が操作されたタイミングを示す撮影操作タイミング信号22mが付加される。これらのタイミング信号21s、22mは、静止画撮影操作部12が操作された後の所定時間内に動画撮影操作部9が操作されたかどうかを示す情報となる。なお、当初の時間帯どおりのショートムービー21も独立して作成される。
【0074】
図9の(c)、(d)は、モード及びフローの流れとも図9の(a)、(b)と共通であるが、「ショートムービー撮影モード」において静止画タイミング前の時間帯がゼロに設定されている場合を示したものである。図9の(c)は、静止画撮影操作タイミングsの後、後半時間の経過後に「単純動画撮影モード」にて動画撮影が時刻mで開始されているため、ショートムービー24と動画22は繋がらず、それぞれ、そのまま独立した動画ファイルとして記録される。一方、図9の(d)は、静止画撮影操作タイミングs後の後半時間の経過前、すなわち、ショートムービー撮影の時間帯の終了前に「単純動画撮影モード」にて動画撮影が時刻mで開始されているため、ショートムービー24と動画22をシームレスに繋げた動画ファイル25が作成される。動画ファイル25においても、動画ファイル23と同様に、静止画タイミング信号24sおよび撮影操作タイミング信号22mが付加される。
【0075】
図9の(a)、(b)および図9の(c)、(d)のいずれの場合においても、ショートムービー21、24と動画22がシームレスに繋がるかどうかは、図7のステップS32のチェック、つまり、静止画撮影操作タイミングsの後の所定時間内に、動画撮影が開始されるかどうかで決まる。
【0076】
図9の(e)、(f)は、「ショートムービー撮影モード」において静止画撮影操作部12の操作をした後に、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」にて動画撮影操作部9を操作した場合である。なお、図9の(e)、(f)の場合、図7のステップS32における「所定時間」は、ショートムービーにおける静止画撮影操作部12の操作タイミングs後の時間帯21b(後半時間)と、動画撮影操作部9の操作タイミングm前の時間帯26aとの和になる。時間帯26aは、バッファ部7に保存され、圧縮処理を保留されている音声付動画の時間に該当しており、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」における動画ファイル26では、動画撮影操作部9の操作タイミングm前のこの時間帯の動画データも取り込まれるからである。
【0077】
図9の(e)は、図7のステップS32から直接ステップS34に移行し、図8では、ステップS51からステップS52を経由してステップS53に移行した場合に該当する。図9の(e)の場合、静止画撮影操作部12の操作タイミングsの後、時間帯21bと時間帯24aの和よりも長い時間が経過した後の時刻mで動画撮影操作部9が操作されているため、ショートムービー21と動画26は繋がらない。従って、それぞれそのまま独立した動画ファイルとして記録される。
【0078】
一方、図9の(f)は、図7のステップS32からステップS33経由でステップS34に移行し、図8では、ステップS51からステップS52を経由してステップS55に移行した場合に該当する。つまり、時間帯21bと時間帯24aの和の時間内の時刻mにて動画撮影操作部9が操作されている。この場合は、時間帯21bと時間帯24の重複部分を除いて、ショートムービー21と動画26をシームレスに繋げた動画ファイル27を作成する。なお、当初の時間帯どおりのショートムービー21も独立して作成される。
【0079】
図9で説明した以上の機能の意義は、当初、静止画撮影の意図で撮影を始めたところ、途中から動画の撮影を望んだときに、関心の高かった静止画撮影時点のデータも含めて動画ファイルを作成することを可能にし、シームレスに静止画撮影モードから動画撮影モードに移行することができるようにすることにある。
【0080】
図10は、図7のステップS36によって開始される静止画タイミング信号の自動発生処理の内容を示すフローチャートである。ここでは、図3に示した検知部41ないし51の全てが有効に機能するように設定されている場合を例示して説明を加える。
【0081】
フローがスタートすると、まず、ステップS61において、ズーム操作検知部49からズーミング信号が出力されている否かをチェックする。出力されていれば、ステップS62に進んで静止画タイミング信号の自動発生を禁止した後、ステップS61に戻ってズーミング信号の出力が停止されるまで待機する。
【0082】
一方、ズーミング信号が出力されていない場合には、ステップS63に進んで自動焦点検知部50から合焦信号が出力されているか否かをチェックするとともに、ステップS64において、姿勢検知部51から水平信号が出力されているか否かをチェックする。
【0083】
ステップS63、S64において、合焦信号又は水平信号が出力されていない場合には、ステップS62に進んで静止画タイミング信号の自動発生を禁止し、ステップS61に戻る。一方、合焦信号および水平信号の双方が出力されている場合には、静止画タイミング信号の自動発生を許可し、ステップS65に進んで撮影時間の検知処理を実行する。その後、ステップS66ないしS72に進んで、画像検知処理、明るさ検知処理、音声検知処理、視線検知処理、発汗検知処理、脳波検知処理およびパンニング検知処理をそれぞれ実行する。
【0084】
次いで、ステップS73において、ステップS65ないしS72の検知処理の結果、検知信号が出力されたか否かをチェックする。検知信号が出力されている場合には、ステップS74に進み、静止画タイミング信号を自動発生してステップS75に進む。一方、検知信号が出力されていない場合には、静止画タイミング信号を発生することなく、ステップS75に進む。
【0085】
ステップS75においては、動画撮影を終了する操作が実行されたか否かをチェックし、操作が実行されている場合には、処理を終了する。これに対して、動画撮影を終了する操作が実行されていない場合には、ステップS61に戻り、以後、ステップS61ないしS75の処理を繰り返す。
【0086】
図11および図12は、図7のステップS39における静止画タイミング記録処理の内容を示すフローチャートであり、図13は、静止画タイミング記録処理に際しての動画ファイルの作成状態を示すタイミングチャートである。
【0087】
フローの説明に先立って、まず、静止画タイミング記録処理の概要を説明する。この処理は、ハイライト動画再生モードのために行われる処理であり、動画の撮影中に、静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画を独立した動画ファイルとして作成することを主眼とする。このようにすることにより、ハイライト動画再生の際に静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画のみを容易に抽出し、これらを繋ぎ合わせて再生することを可能とする。通常、静止画タイミング前後の記録時間は、ショートムービー撮影モードにおける静止画タイミング前後の記録時間と等しく設定するが、異なるように設定することも可能である。
【0088】
さて、図11および図12において静止画タイミング記録処理がスタートすると、ステップS81において、前回の静止画タイミング信号sn−1が手動操作によって発生したものであるか否かをチェックする。手動操作によって発生したものである場合には、ステップS82に進み、今回の静止画タイミング信号sが発生したか否かをチェックするとともに、その静止画タイミング信号sが手動操作によって発生したものであるか否かをチェックする。
【0089】
手動操作によって発生したものである場合には、ステップS83に進み、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から所定時間(bn―1+a)内に、今回の静止画タイミング信号sが発生したかどうかをチェックする。ここに、時間aは静止画タイミング前の所定時間であり、時間bは静止画タイミング後の所定時間である。つまり、ステップS83は、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から時間bn−1が経過し、その後さらに、時間aが経過してから今回の静止画タイミング信号sが発生したかどうか、換言すれば、静止画タイミング信号が時間的に近接して発生し、前回の静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画と、今回の静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画とが時間的に重ならないかどうかをチェックしていることになる。
【0090】
ステップS83で、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から所定時間(bn―1+a)内に今回の静止画タイミング信号sが発生していなければ、ステップS84に進み、図13(a)に示されるように、今回の静止画タイミング信号sの発生タイミングよりも時間aだけ前からのバッファデータを取得する。
【0091】
次いで、ステップS85において、今回の静止画タイミング信号sの発生タイミングから第一の時間Tおよび第二の時間Tのうちの長い方の時間が経過したか否かをチェックする。第一の時間Tおよび第二の時間Tについては後述する。第一の時間Tおよび第二の時間Tのうちの長い方の時間が経過している場合には、ステップS86に進み、経過していない場合には、時間が経過するまで続く処理を待機する。
【0092】
ステップS86においては、取得したデータに基づき今回の動画圧縮処理を開始し、続くステップS87においては、動画圧縮データに今回の静止画タイミング信号sを記録する。
【0093】
ステップS88では、今回の静止画タイミング信号sの発生から時間bが経過したかどうかをチェックしており、経過していなければステップS89で動画撮影が強制打ち切りされていないかどうかをチェックする。そして、強制打ち切りがない限り、ステップS89からステップS88に戻り、ステップS88とステップS89を繰り返しながら時間bの経過を待つ。そして、時間bが経過すれば、ステップS88からステップS90に移行し、今回の動画ファイルの作成を完了して、図7のステップS40に進む。
【0094】
ここに、ステップS89は、次回の静止画タイミング信号sn+1が近接して入った場合に、時間bの経過待ちのループから抜け、次回の動画ファイルの作成開始を優先するためのものである。ステップS89において強制打ち切りを検知すれば、時間bの経過前であっても即座にステップS90に移行する。
【0095】
一方、ステップS83において、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から所定時間(bn―1+a)内に今回の静止画タイミング信号sが発生したときは、前回の静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画と、今回の静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画とが時間的に重なることになる。このため、ステップS91に移行し、図13(b)に示されるように、今回の動画ファイルの作成を優先し、時間aの開始時点で前回の動画ファイルの作成を打ち切る。この結果、前回の動画ファイルの静止画タイミング後の動画長さは、時間bn−1より短くなり、最短ではゼロになる。但し、前回の静止画タイミングを越えて今回の動画ファイルの時間が、前回の動画ファイルの時間に食い込むことはない。
【0096】
次にステップS92で前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から時間a以内に今回の静止画タイミング信号sが発生したかどうかをチェックする。図13(b)に示されるケースは、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から時間aが経過した後に、今回の静止画タイミング信号sが発生しているため、ステップS84に移行し、通常通り、今回の静止画タイミング信号sの発生タイミングよりも時間aだけ前からの動画ファイルの作成に入る。
【0097】
一方、図13(c)に示されるように、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生から時間a内に今回の静止画タイミング信号sが発生した場合には、ステップS93に進み、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生タイミングで、前回の動画ファイルの作成を打ち切るとともに、前回の静止画タイミング信号sn−1の発生タイミングから、今回の動画ファイル作成のためのバッファデータを取得する。この結果、前回の動画ファイルにおける静止画タイミング後の動画長さはゼロとなり、また、今回の動画ファイルにおける静止画タイミング前の動画長さは時間aより短くなる。
【0098】
一方、ステップS82において、今回の静止画タイミング信号sが手動操作によって発生したものでない場合、すなわち、手動操作によって静止画タイミング信号sn−1が発生した後に、静止画タイミング信号sが自動発生した場合には、ステップS94に進み、前回の静止画タイミング信号sn−1が発生してから第一の時間Tが経過する前に、今回の静止画タイミング信号sが発生したか否かをチェックする。ここに、第一の時間Tは、手動操作による静止画タイミング信号と自動発生による静止画タイミング信号とが発生したときに、それらの静止画タイミング信号が近接しているか否かを判定するためのものであり、所定時間(bn―1+a)よりも短い時間とされる。この第一の時間Tは、所定時間(bn―1+a)よりも短い時間であればとくに限定されるものではなく、設定によって任意の時間に決定することが可能である。
【0099】
ステップS94の判定結果がYESであり、手動操作による静止画タイミング信号sn−1に近接して、自動発生による静止画タイミング信号sが発生している場合には、ステップS95に進んで、自動発生による静止画タイミング信号sを無効なものとして扱い、今回の静止画タイミング信号sの記録処理を実行いないで処理を終了する。
【0100】
これに対して、ステップS94の判定結果がNOであった場合には、今回の静止画タイミング信号sの発生タイミングが第一の時間Tの経過後であっても所定時間(bn―1+a)の範囲内であることがあるため、ステップS83に進み、以後、静止画タイミング信号sn−1および静止画タイミング信号sのそれぞれが手動操作によって発生した場合と同様の処理を実行する。
【0101】
これらに対して、ステップS81において、前回の静止画タイミング信号sn−1が手動操作によって発生したものでない場合、すなわち、前回の静止画タイミング信号sn−1が自動発生によって発生したものである場合には、ステップS96に進んで、今回の静止画タイミング信号sが発生したか否かをチェックするとともに、今回の静止画タイミング信号sが手動操作によって発生したものであるか否かをチェックする。
【0102】
ステップS96の判定結果がNOであり、今回の静止画タイミング信号sが自動発生によって発生したものである場合には、ステップS97に進んで、前回の静止画タイミング信号sn−1が発生してから第二の時間Tが経過する前に、今回の静止画タイミング信号sが発生したか否かをチェックする。ここに、第二の時間Tは、自動発生による2つの静止画タイミング信号が発生したときに、それらの静止画タイミング信号が近接しているか否かを判定するためのものであり、第一の時間Tと同様に、所定時間(bn―1+a)よりも短い時間とされる。この第二の時間Tは、所定時間(bn―1+a)よりも短い時間であれば設定によって自由に決定することが可能であり、また、必ずしも第一の時間Tと同じ時間に決定する必要はなく、第一の時間Tと異なる時間に決定してもよい。
【0103】
ステップS97の判定結果がYESであり、自動発生による静止画タイミング信号sn−1に近接して、自動発生による静止画タイミング信号sが発生している場合には、ステップS95に進み、今回の静止画タイミング信号sを無効なものとして扱って記録せず、処理を終了する。なお、第二の時間T内に、3つ以上の静止画タイミング信号が発生している場合には、最先の静止画タイミング信号が有効なものとして選択され、その他の静止画タイミング信号が無効なものとして扱われる。
【0104】
これに対して、ステップS97の判定結果がNOであり、前後の静止画タイミング信号sn−1、sが近接していない場合には、ステップS83に進み、以後、手動操作によって静止画タイミング信号sn−1が発生した後に、手動操作によって静止画タイミング信号sが発生した場合と同様の処理を実行する。
【0105】
一方、ステップS96において、今回の静止画タイミング信号sが手動操作によって発生したものである場合には、ステップS98に進み、前回の静止画タイミング信号sn−1が発生してから第一の時間Tが経過する前に、今回の静止画タイミング信号sが発生したか否かをチェックする。ステップS98の判定結果がYESであり、自動発生による静止画タイミング信号sn−1に近接して、手動操作による静止画タイミング信号sが発生している場合には、自動発生による前回の静止画タイミング信号sn−1を無効なものとして扱う。
【0106】
上述したように、本実施例においては、先のステップS85において、第一の時間Tおよび第二の時間Tのうちの長い方の時間が経過するまでは、動画ファイル用の圧縮処理および静止画タイミング信号の記録処理を実行しないため、この時点では、前回の静止画タイミング信号sn−1を基準とした動画ファイルの圧縮処理が開始されておらず、また、前回の静止画タイミング信号sn−1も動画ファイル中に記録されていない。
【0107】
このため、ステップS99において、前回の静止画タイミング信号sn−1を基準とした動画ファイルの圧縮処理を取消すとともに、続くステップS100において、前回の静止画タイミング信号sn−1の記録処理を取り消す。こうして前回の静止画タイミング信号sn−1が記録された動画ファイルが作成されないようにした後に、ステップS84に進み、以後、ステップS84以降の処理を実行する。
【0108】
図14は、以上のような図11および図12のフローにおける機能を説明するためのタイミングチャートであり、左から右に時間が経過するように時間軸を設けている。図14(a)、(b)、(c)におけるそれぞれの帯は、矢印mのタイミングにて動画撮影操作部9を操作することによって撮影された動画を示し、太線は、独立した動画ファイルとして区切られている部分を示す。また図中の破線は、動画撮影操作部9の操作タイミングまたは静止画タイミング信号が入ったタイミングを示す。
【0109】
図14の(a)で上記の機能を具体的に説明すると、動画ファイル31には、時刻mにおける動画撮影操作部9の撮影操作タイミング信号が付加されている。この動画ファイル31は、ショートムービー記録と同列に扱うため、時刻mから所定時間が経過したところで区切られ、一つの動画ファイルとされる。図14においては、時間的に、動画ファイル31に続いて動画ファイル32が作成されているが、この動画ファイルには静止画タイミング信号が付加されていないため、動画ファイル32は、動画ファイル31とは別の動画ファイルとして作成される。その後、時刻s1で静止画タイミング信号が入り、静止画タイミング信号を付加した動画ファイル33が作成されている。動画ファイル33中の部分33bは、静止画タイミングs1から所定時間bが経過する時点までに対応する。続く動画ファイル34には静止画タイミング信号が付加されていない。次に時刻s2で発生した静止画タイミング信号に基づきこの静止画タイミング信号を付加した動画ファイル35が作成されている。動画ファイル35の作成が終わると動画ファイル36が作成されるが、この動画ファイル36には静止画タイミング信号が付加されていない。因みに、「ハイライト動画再生モード」では、動画撮影操作部9の撮影操作タイミング信号が付加されている動画ファイル31および静止画タイミング信号が付加されている動画ファイル33、35等が抽出され、繋ぎ合わせて再生される。一方、静止画タイミング信号が付加されていない動画ファイル32、34、36等は、「ハイライト動画再生モード」では、再生処理の対象から省かれる。
【0110】
以上の図14(a)は、図11および図12のフローにおいて、ステップS83からステップS84を経由してステップS86に至り、ステップS88から直接ステップS90に移行する動作に該当する。
【0111】
次に図14(b)は、図11および図12のフローにおいて、動画ファイル35に注目した場合、前回の静止画タイミング信号s1の発生から所定時間(bn−1+a)以内に今回の静止画タイミング信号s2が発生した結果、ステップS83からステップS91に進む場合に該当する。また、前回の静止画タイミング信号s1の発生から所定時間(a)以上経過して今回の静止画タイミング信号s2が発生した結果、ステップS92からはステップS84に進む場合に該当している。図14(b)で言うと、今回の動画ファイル35が前回の動画ファイル33の時間帯に重複して発生しているが、今回の動画ファイル35を優先し、前回の動画ファイル33の作成を強制打ち切りしている。この結果、動画ファイル33の静止画タイミング以降の部分33bの時間が短くなっている。この機能は、図11および図12のステップS91に該当する。
【0112】
次に図14(c)は、静止画タイミング信号がさらに近接して発生している場合であって、図11および図12のフローにおいて、ステップS83からステップS91に進んだ後、ステップS92からステップS93に進む場合に該当する。つまり、今回の動画ファイル35の本来の時間帯が前回の静止画タイミングよりも前の領域に食い込む状況である。図11および図12のフローでは、ステップS92の判定結果がYESとなる場合に相当する。このような場合でも今回の動画ファイルを優先すると、前回の静止画タイミング信号に基づく動画ファイルがなくなってしまう。そこで、ステップS93では、今回の動画ファイルを前回の静止画タイミング時点から作成するようにしている。この結果、図14(c)における動画ファイル33は、その終端部で静止画タイミングs1が来るよう作成されるとともに、動画ファイル35の静止画タイミング以前の部分35aが本来よりも短くなっている。
【0113】
図15は、図5のステップS8で受付可能となった静止画撮影操作部12の操作によってスタートする静止画撮影フローである。静止画操作が受け付けられると、フローがスタートし、ステップS111において、カメラの動作モードが「単純静止画撮影モード」かどうかをチェックする。「単純静止画撮影モード」以外のモードである場合には、ステップS112において動画撮影中かどうかをチェックする。ステップS112で動画撮影中でなければ「ショートムービー撮影モード」であることが確定するのでステップS113に進む。
【0114】
ステップS113では、静止画撮影操作部12の操作タイミングを基準とした所定時間分の動画データをバッファ部7から取り込み、ステップS114に進む。ステップS114では、静止画撮影操作部12の操作後、図7のステップS32で設定されている時間に相当する所定時間が経過したかどうかをチェックしている。経過していなければステップS115に進み、動画撮影操作部9の操作があるかどうかをチェックし、操作がなければステップS114に戻る。以下、所定時間の経過まで、このループを繰り返す。
【0115】
ステップS115において所定時間の経過前に動画撮影操作部9の操作があればステップS116に進み、ステップS113で取り込んだ動画データを、動画撮影操作部9の操作に応じて取得される動画データにシームレスに繋げるために、前編の動画データとして記録部11に記録しておく。そして、ステップS117のショートムービー記録開始に移行する。一方、ステップS114で動画撮影操作部9の操作がないまま所定時間が経過すればステップS117に進む。
【0116】
ステップS117においては、ステップS113で取り込んだ動画データに基づきショートムービー記録を開始し、ステップS118に進む。ここに、ステップS118は、図11および図12で示した動画撮影における静止画タイミング記録処理に対応するものである。このようにしてショートムービーファイルを作成した後、ステップS119に移行して静止画撮影中の残容量表示処理を行い、静止画撮影処理を終了する。
【0117】
一方、ステップS111において「単純静止画撮影モード」設定であった場合は、ステップS120に進み、静止画圧縮で静止画ファイルを作成する。そして、ステップS121で、動画撮影中かどうかをチェックし、動画撮影中であれば、静止画圧縮記録と併せて、静止画撮影部12の操作に基づく静止画タイミング信号を動画ファイル中にも記録するため、ステップS118に移行する。これに対し、ステップS121において動画撮影中でなければ直接ステップS119に進み、静止画撮影中の残容量表示処理を行って静止画撮影処理を終了する。
【0118】
図16は、図5のステップS14で受付可能となった再生操作部14の操作によってスタートする再生フローである。再生操作が受け付けられると、フローがスタートし、ステップS131において、編集操作を受付可能とした後、ステップS132でサムネイル表示処理を行う。ステップS132では、静止画タイミング信号が記録されている動画ファイルについては、静止画タイミング信号の発生時点の画像が静止画サムネイルとして表示される。また、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」で動画が撮影され、動画の撮影開始から撮影終了までの間に、複数の動画ファイルが生成されている場合には、これらの動画ファイルのサムネイルを混合して表示することが可能である。例えば、互いに異なる時間帯に撮影された動画Aと動画Bがあり、動画Aの撮影に伴って静止画タイミング信号が記録された動画ファイルa1、a2、a3、a4が発生し、一方で動画Bの撮影に伴って静止画タイミング信号が記録された動画ファイルb1、b2、b3が発生したとする。このとき、動画発生の由来に拘わらず、動画ファイルa1、a2、a3、a4、b1、b2、b3のサムネイルを混合して一覧表示することが可能である。また、これらの動画ファイルのうちから特定の動画ファイルを所定の検索条件で抽出し、検索条件に合致する動画ファイルのサムネイルのみを表示することも可能である。
【0119】
ステップS132のサムネイル表示処理によりサムネイルが表示されると、ステップS133で静止画再生モードかどうかをチェックする。静止画再生モードでなければ動画再生モードであるため、ステップS134に移行し、画像表示部6に表示されているサムネイルのうちから、静止画圧縮されたデータのサムネイル(静止画専用サムネイル)の表示を停止する。これは、静止画圧縮されたデータのサムネイルは、静止画情報のみに対応しているため、動画再生モードに設定されている状態で、かかるサムネイルが選択されても画像データを再生することができないからである。
【0120】
静止画専用サムネイルの表示を停止すると、ステップS135に移行し、「単純動画再生モード」であるかどうかをチェックする。「単純動画再生モード」設定であることが確定するとステップS136に移行し、サムネイルを選択する操作を待ち、操作があれば、ステップS137に移行して、選択されたサムネイルから始まる動画データを、その終端まで連続的に読み出して、再生処理を開始する。この際、再生対象となる動画データが、「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」で生成された複数の独立した動画ファイルから構成されるデータである場合には、それらの複数の独立した動画ファイルが生成順序の早いものから順に再生され、切れ目のない連続した動画となるように再生される。
【0121】
ステップS138では、動画再生の終了を待ち、終了すればステップS139に進んで再生操作部14によって再生終了の操作がなされたかをチェックする。ステップS139において再生終了の操作が検出されれば再生処理を終了し、検出がなければステップS132に戻る。
【0122】
ステップS135において「単純動画再生モード」以外であればステップS140に移行し、サムネイルを選択する操作を待ち、操作があれば、ステップS141に移行して、選択されたサムネイルに対応する動画ファイルを読出す処理を行う。「単純動画再生モード」以外であったときは、「ショートムービー再生モード」または「ハイライト動画再生モード」のいずれかに設定されているため、ステップS141では、撮影操作タイミング信号または静止画タイミング信号を基準とした所定時間分の動画データが記録された動画ファイルが読出し対象とされる。
【0123】
ステップS141で読出し終了を待ち、終了すればステップS142で「ショートムービー再生モード」設定かどうかをチェックする。判定結果がNOであれば、「ハイライト動画再生モード」であることが確定するので、ステップS143に進む。ステップS143では、動画撮影操作部9の操作によって動画の撮影開始と撮影終了が指定された一連の動画の中で、時間的に次のタイミング信号を含む動画ファイルがあるかどうかをチェックする。該当する動画ファイルがあればステップS141に戻り、以下、一連の動画中の静止画タイミング信号を含む最後の動画ファイルを読み出すまで、ステップS141からステップS144のループを繰り返す。これによって、一連の動画中に存在する静止画タイミング信号が記録された動画ファイルのすべてが抽出される。ステップS144で、これ以上、静止画タイミング信号が記録された動画ファイルがないことがわかると、それまで抽出した動画ファイルを繋げて再生する処理を開始し、ステップS138に移行する。
【0124】
ステップS143で、「ショートムービー再生モード」設定であることが確定した場合は、選択されたサムネイルに該当する動画ファイルの読出し完了後、その動画ファイルの再生を行う処理を開始してステップS138に移行する。
【0125】
これらに対し、ステップS133で静止画再生モード設定が検出された場合は、ステップS145に移行し、画像表示部6に表示されているサムネイルのうちから、撮影操作タイミング信号または静止画タイミング信号が記録されていない動画ファイルのサムネイル(動画専用サムネイル)の表示を停止する。ステップS145において、撮影操作タイミング信号または静止画タイミング信号が記録された動画ファイルのサムネイルを表示対象としているのは、静止画圧縮された画像データのサムネイルのみならず、撮影操作タイミング信号または静止画タイミング信号が記録された動画ファイルからも静止画を表示することが可能だからである。
【0126】
動画専用サムネイルの表示を停止すると、ステップS146に移行し、サムネイルを選択する操作を待ち、操作があれば、ステップS147に移行して、選択されたサムネイルに対応する静止画の読み出しおよび表示の処理を行う。ステップS147では、選択されたサムネイルが静止画圧縮されたものである場合だけでなく、選択されたサムネイルに対応する静止画を動画ファイルから切り出しで静止画処理し、表示する処理も行う。
【0127】
静止画の表示処理が完了すると、ステップS148に移行し、「音声付静止画再生モード」設定であるかどうかをチェックする。「音声付静止画再生モード」である場合は、ステップS149に進み、音声データを読み出して静止画とともに再生する。ステップS150では、音声付静止画の再生において、音声再生が終了したかどうかを見ており、音声の再生が終了すると、ステップS151に進んで、同時に静止画の再生表示も終了させる。このように、音声付静止画再生モードでは、音声の終了に伴って静止画の表示も自動的に終了させる。
【0128】
一方、ステップS148において、「音声付き静止画再生モード」ではなく、音声無しの「静止画再生モード」であることがチェックされたときは、ステップS152に移行する。ステップS152では、静止画の再生が再生操作部14によって手動で終了操作されたかどうかを見ており、終了操作があれば、ステップS151に移行し、静止画の再生表示を終了する。
【0129】
本発明は、以上の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0130】
例えば、前記実施例においては、カメラの動作モードが「動画/手動静止画撮影モード」または「動画/自動静止画撮影モード」に設定されているときには、静止画タイミング信号のみを記録するように構成されているが、静止画タイミング信号と併せて静止画圧縮データも記録するように構成されてもよい。
【0131】
また、前記実施例においては、図10に示されるように、ズーミング信号が出力されているとき、ならびに、合焦信号又は水平信号が出力されていないときに、静止画タイミング信号の発生を禁止するように構成されているが、静止画タイミング信号の発生を禁止するのに代え、上記の期間でも静止画タイミング信号の発生を許可し、後の静止画タイミング信号の記録処理において、それらの静止画タイミング信号を記録しないように構成してもよい。
【0132】
さらに、前記実施例においては、図11および図12に示されるように、自動発生による2つの静止画タイミング信号が近接して発生した場合に、先の静止画タイミング信号を有効とし、後の静止画タイミング信号を無効とするようにしているが、後の静止画タイミング信号を有効とし、先の静止画タイミング信号を無効とするようにしてもよい。この場合、ステップS97の判定結果がYESとなったときに、ステップS95に代えて、ステップS99に移行するように構成すればよい。
【0133】
また、前記実施例においては、図11ないし図14に示されるように、静止画タイミング信号が記録された動画ファイルを、タイミング信号が記録されていない動画ファイルと区分して作成しておき、ハイライト動画再生の際に、タイミング信号が記録された複数の動画ファイルを抽出して繋ぎ併せて再生するよう構成しているが、一連の動画撮影において静止画タイミング信号が発生しても、動画ファイルを分割して作成せず、単に静止画タイミング信号のみを記録するに留めることも可能である。このような動画記録に基づいてハイライト動画再生を行うには、再生の際に静止画タイミング信号前後の所定時間のタイムスタンプを一対検出し、これらのタイムスタンプの間の動画データを抽出する。そして、複数のタイムスタンプに対応して同様の動画データを抽出し、繋ぎ併せて再生すればよい。
【0134】
さらに、前記実施例においては、図9に示されるように、ショートムービーと動画データを繋ぎ合わせた動画データを生成するに際し、ショートムービーの動画データを独立して生成しているが、必ずしも、ショートムービーの動画データを独立して生成する必要はない。この場合、ショートムービーの再生に際しては、ショートムービーと動画データを繋ぎ合わせた動画データから、動画データ中に付加される静止画タイミング信号に基づいて所定時間分の動画データを抽出し、ショートムービー用の動画データとして再生すればよい。
【0135】
また、必ずしも、ショートムービーと動画データを繋ぎ合わせた動画データを生成する必要もなく、図11ないし図14に示される場合と同様に、ショートムービーと動画データを区別して生成するようにしてよい。このような構成において、ショートムービーの後半時間内に動画撮影が開始された場合には、動画撮影の開始タイミングでショートムービーの撮影を打ち切り、動画撮影の開始タイミングから動画データを生成するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の動画撮影可能なカメラの実施例に関するブロック図である。
【図2】電源・録/再操作部の詳細構造の一例を示す正面図である。
【図3】撮影状況検知部の構成を示すブロック図である。
【図4】撮影モードと再生モードの詳細を示す概念図である。
【図5】図1に示した実施例における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS6における画像キャプチャー開始処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図5のステップS7で受付可能となった動画撮影操作部の操作によってスタートする動画撮影フローである。
【図8】図7のステップS34における動画記録開始処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】図7のフローにおけるステップS32からステップS34、および図8の機能を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】図7のステップS36によって開始される静止画タイミング信号の自動発生処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】図7のステップS39における静止画タイミング記録処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】図7のステップS39における静止画タイミング記録処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】静止画タイミング記録処理に際しての動画ファイルの作成状態を示すタイミングチャートである。
【図14】図11および図12のフローにおける機能を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】図5のステップS8で受付可能となった静止画撮影操作部の操作によってスタートする静止画撮影フローである。
【図16】図5のステップS14で受付可能となった再生操作部の操作によってスタートする再生フローである。
【符号の説明】
【0137】
1 制御部
2 電源・録/再操作部
3 モード選択操作部
4 撮像部
5 出力部
6 画像表示部
7 バッファ部
8 マイクロフォン
9 動画撮影操作部
10 圧縮部
11 記録部
12 静止画撮影操作部
13 撮影状況検知部
14 再生操作部
15 伸張部
16 スピーカ
41 撮影時間検知部
42 画像検知部
43 明るさ検知部
44 音声検知部
45 視線検知部
46 発汗検知部
47 生体信号検知部
48 パンニング検知部
49 ズーム操作検知部
50 自動焦点検知部
51 姿勢検知部
52 タイミング信号自動発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部からの画像情報に基づく動画撮影の開始と終了を決定する動画撮影操作部と、動画撮影中に静止画タイミング信号を自動的に発生するタイミング信号自動発生部と、前記動画撮影操作部の操作に応答して動画情報を記録するとともに、前記動画情報の記録中に前記タイミング信号自動発生部に応答して静止画情報を記録する記録制御部とを有することを特徴とする動画撮影可能なカメラ。
【請求項2】
手動操作によって静止画タイミング信号を発生するための静止画撮影操作部を有し、
前記記録制御部は、さらに、前記静止画撮影操作部の操作に応答して発生する静止画タイミング信号に応答して静止画情報を記録することを特徴とする請求項1に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項3】
前記記録制御部は、前記タイミング信号自動発生部からの前記静止画タイミング信号および前記静止画撮影操作部の操作による前記静止画タイミング信号の一方が発生してから他方が所定時間以内に発生したとき、その一方の静止画タイミング信号を優先し、他方の静止画タイミング信号に基づく静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項2に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項4】
前記記録制御部は、前記タイミング信号自動発生部からの前記静止画タイミング信号および前記静止画撮影操作部の操作による前記静止画タイミング信号の一方が発生してから他方が所定時間以内に発生したとき、前記静止画撮影操作部の操作による静止画タイミング信号を優先し、前記タイミング信号自動発生部からの静止画タイミング信号に基づく静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項3に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項5】
前記記録制御部は、前記タイミング信号自動発生部から複数の静止画タイミング信号が所定時間以内に発生したときは、その一つを優先し、他の静止画タイミング信号に基づく静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項6】
撮影中の状況変化を自動検知する検知部を有し、
前記タイミング信号自動発生部は、前記検知部の検知に基づいて前記静止画タイミング信号を自動発生することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項7】
前記検知部は、撮影時間の経過を検知する撮影時間検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項8】
前記検知部は、前記撮像部からの画像情報の変化を検知する画像検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項9】
前記画像検知部は、前記撮像部からの画像を解析し、画像情報の変化を検知することを特徴とする請求項8に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項10】
前記検知部は、被写界の明るさの変化を検知する明るさ検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項11】
マイクロフォンを有し、
前記検知部は、前記マイクロフォンが拾う音信号の変化を検知する音声検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項12】
前記検知部は、撮影者の視線の変化を検知する視線検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項13】
前記検知部は、カメラを保持する撮影者の手の発汗を検知する発汗検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項14】
前記検知部は、撮影者の生体信号を検知する生体信号検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項15】
前記生体信号検知部は、撮影者の脳波を検知することを特徴とする請求項14に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項16】
前記検知部は、パンニング操作の有無を検知するパンニング操作検知部を有することを特徴とする請求項6に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項17】
前記記録制御部は、特定の撮影条件のときに前記静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項1に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項18】
ズームレンズを有し、
前記ズームレンズによるズーミング中は、前記静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項17に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項19】
自動焦点検知部を有し、
前記自動焦点検知部が合焦状態を検知しないときは、前記静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項17に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項20】
カメラの姿勢を検知する姿勢検知部を有し、
前記姿勢検知部が水平状態を検知しないときは、前記静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項17に記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項21】
前記特定の撮影条件のときに、前記タイミング信号自動発生部からの前記静止画タイミング信号の発生を禁止することを特徴とする請求項17ないし20のいずれかに記載の動画撮影可能なカメラ。
【請求項22】
前記特定の撮影条件のときに、前記タイミング信号自動発生部が前記静止画タイミング信号を発生しても前記静止画情報を記録しないことを特徴とする請求項17ないし20のいずれかに記載の動画撮影可能なカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−215086(P2007−215086A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35006(P2006−35006)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】