説明

動的に画像を位置合わせする印刷装置

【課題】経路に沿ってほぼ処理方向に移動される対象支持媒体に対して動的に画像を位置合わせする印刷装置を提供する。
【解決手段】この印刷装置は、対象支持媒体に転写する画像を生成するマーキング・エンジンと、このマーキング・エンジンから転写領域において画像を受け取るために対象支持媒体を経路に沿って処理方向に移動する搬送部(50)と、この搬送部によって以前に移動された少なくとも1つの他の支持媒体の特徴を検出する感知システムであって、このような特徴を検出するのに用いられるベルト縁部センサ、シート縁部センサ、ポイント・センサ、及びアレイ・センサのうちの少なくとも1つを含む感知システム(60、61)と、この感知システムからの少なくとも1つの信号に基づいて、マーキング・エンジンによって生成される画像を変更する修正モジュール(70)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されている技術は、印刷システムにおいて画像の位置を制御且つ/又は調節することに関し、詳細には、動的画像レジストレーション(位置合わせ)方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真システム又は静電記録システムを用いる従来の画像形成装置(例えば、コピー機及びレーザ・プリンタ)は、感光ドラムの表面で画像の露光が行われることにより静電潜像が形成される構造を備え、この感光ドラムの表面に形成された静電潜像が現像デバイスによって現像されることにより、所定カラーのトナー画像が形成され、このトナー画像が記録紙又はその他の支持媒体シートに直接的に転写されて定着されるか、或いは中間転写体に一時的に転写された後に一度に記録紙に転写されることにより、画像が形成される。この受光体がベルト若しくはシートと係合及び/又は相互作用する領域を、転写領域と呼ぶ。シート又は転写体への画像の転写は、正確に位置合わせされているべきであり、そうでなければ、処理の中断若しくは遅延が生じ及び/又は印刷品質が損なわれる可能性がある。
【0003】
フルカラー印刷装置の場合、一般的には、4つの現像ユニット(シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK))がある。ブラックとその他所定の一色を印刷することが望まれる「ハイライト・カラー」印刷装置では、ブラック現像ユニットと、選択可能な1セットのハイライト・カラー(一度に使用されるのは一色だけ)のそれぞれに対する1つ以上の現像ユニットとを備えるのが、一般的な構成である。その他のタイプのアーキテクチャとしては、CMYK以外に二色の追加現像ユニットがあるためプリンタに拡張色域をもたらす「ヘキサクローム」と、クリア・トナーを付与する現像ユニット又は特別な性質を備えたトナー(例えば、MICR(磁気インク文字認識)トナー)を付与する現像ユニットを含む構成とが挙げられる。
【0004】
1つの受光体ベルト周囲において、現像ユニットは様々に配置することができる。各現像ユニットが1つのドラム受光体と関連付けられてもよく、これらのドラム受光体は、印刷シートへの転写に向けて原色トナー画像を蓄積する共通の「中間ベルト」周囲に配置されてもよいし、各受光体を通過するシートに原色画像をそれぞれ直接的に転写してもよい。
【0005】
今日のシステムは、シートは転写領域を通過するとき一定且つ滑らかに動くと想定する。従って、転写領域に運び込まれ受光体ドラム又はベルトに留められたときのシートの向き及び側方位置は、転写領域を出るときも同じ状態のままであることが想定される。実際には、一定且つ滑らかな移行を確実にするために、多くのシステムは、シートの前方縁部が留まるとすぐに、転写領域の上流にあるシート・ニップ・アセンブリを解放する。このようにニップを解放することによって、あらゆる力及び速度振動が転写領域におけるシートの動きに与える影響を最小限に抑えることができる。更に、転写後の搬送部は、画像転写後にシートの前方縁部が取得されてフューザに搬送されるとき、シートにかかる力及びトルクを最小限に抑えるように設計されている。しかしながら、特にモジュラー印刷アセンブリでは、モジュール間におけるシートの移送によって、シートの速度ベクトル誤差が累積する可能性がある。このような累積した速度ベクトル誤差は、シートに大きな押力/引力を与え得る。このような力は、中量又は軽量の支持媒体シートに対して、しわ、よじれ、及び/又は裂け目をもたらす可能性がある。更に、各モジュールが前のモジュールに重ねて印刷するモジュラー重ね刷りシステムでは、このような押力/引力は、紙に対する画像の位置合わせ(Image-on-Paper registration)及び色と色との位置合わせ(color-to-color registration)に大きな誤差を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,137,517号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、経路に沿ってほぼ処理方向に移動される対象支持媒体に対して動的に画像を位置合わせする印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書中に記載の発明の態様によれば、印刷システムにおいて対象支持媒体に対し動的に画像を位置合わせする装置が開示されている。この装置は、マーキング・エンジンと、搬送部(搬送機構)と、感知システムと、修正モジュールとを含む。マーキング・エンジンは、対象支持媒体に転写する画像を生成する。搬送部は、マーキング・エンジンから転写領域において画像を受け取るために、対象支持媒体を経路に沿って処理方向に移動する。感知システムは、搬送部によって以前に移動された少なくとも1つの他の支持媒体の特徴を検出する。また、修正モジュールは、感知システムからの少なくとも1つの信号に基づいて、マーキング・エンジンによって生成される画像を変更する。前記少なくとも1つの他の支持媒体の特徴は、経路の、転写領域の処理方向における対向するサイドに位置する少なくとも2つの部分から検出される。
【0009】
本明細書中に記載の別の態様によれば、前記少なくとも1つの信号は、経路に対する少なくとも1つの他の支持媒体の処理方向の動き、処理方向横断方向の動き、及びスキュー(傾き:skew)のうちの少なくとも1つを示し得る。前記少なくとも1つの他の支持媒体の特徴は、支持媒体を感知することによって直接的に、且つ/又は、搬送部の少なくとも一部を感知することによって間接的に検出され得る。また、変更された画像は、少なくとも1つの他の支持媒体の、処理方向、処理方向横断方向、及びスキューのうちの少なくとも1つにおけるシフト(変位・ずれ)に対応し得る。加えて、前記感知システムは、転写領域の対向するサイドのそれぞれに配置された少なくとも1つのセンサを含み得る。更に、前記感知システムは、少なくとも1つの他の支持媒体の縁部を検出するベルト縁部センサ、シート縁部センサ、ポイント・センサ、及びアレイ・センサのうちの少なくとも1つも含み得る。前記少なくとも1つの他の支持媒体は、複数の他の支持媒体を含み得る。前記修正モジュールは、対象支持媒体の寸法、複数の他の支持媒体間の間隔、及び、対象支持媒体の処理方向における前及び/又は後ろにある少なくとも1つの他の支持媒体の存在、のうちの少なくとも1つに基づいて、生成される画像を変更し得る。この印刷装置は、マーキング材料の供給源を更に含み、マーキング・エンジンによって生成される画像は、マーキング材料から形成される。マーキング・エンジンは、転写領域における支持媒体と係合してマーキング材料を転写する、静電写真受像体を含み得る。また、前記修正モジュールは、生成する画像の倍率をマーキング・エンジンに変更させ得る。
【0010】
本明細書中に記載の別の態様によれば、印刷システムにおいて対象支持媒体に対し動的に画像を位置合わせする方法が開示されている。前記対象支持媒体は、印刷システム内で経路に沿ってほぼ処理方向に移動する。この方法は、印刷システムにおけるマーキング・エンジンの転写領域を横断する少なくとも1つの試験的支持媒体の特徴を検出することを含む。前記特徴は、転写領域の処理方向に対する対向するサイドから検出される。この方法は、検出された特徴に基づいて、マーキング・エンジンによって生成される画像をシフトする(変位する、ずらす)ことも含む。また、この方法は、シフトされた画像を対象支持媒体に転写することを含む。
【0011】
本明細書中に記載の別の態様によれば、前記検出された特徴は、経路に対する少なくとも1つの試験的支持媒体の処理方向の動き、処理方向横断方向の動き、及びスキューのうちの少なくとも1つを示し得る。また、前記シフトされた画像は、少なくとも1つの試験的支持媒体の、処理方向、処理方向横断方向、及びスキューのうちの少なくとも1つにおけるシフトに対応し得る。加えて、前記特徴は、少なくとも1つの試験的支持媒体の縁部を検出するベルト縁部センサ、シート縁部センサ、ポイント・センサ、及びアレイ・センサのうちの少なくとも1つを含む感知システムによって検出され得る。前記少なくとも1つの試験的支持媒体は、複数の試験的支持媒体を含み得る。また、画像は、対象支持媒体の寸法、複数の他の支持媒体間の間隔、及び、対象支持媒体の処理方向における前後のうちの少なくとも一方にある少なくとも1つの他の支持媒体の存在、のうちの少なくとも1つに基づいて、生成される画像を変更する、修正モジュールによってシフトされ得る。加えて、前記修正モジュールは、生成する画像の倍率をマーキング・エンジンに変更させ得る。更に、前記マーキング・エンジンは、転写領域における支持媒体と係合してマーキング材料を転写する、静電写真受像体を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】開示した技術の態様による動的画像レジストレーション装置の略正面図である。
【図2】開示した技術の態様による動的画像レジストレーション装置の一態様から分離した平面図である。
【図3】開示した技術の態様による複数の動的画像レジストレーション装置を含む、印刷システムのモジュラー・アセンブリの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの例としての実施形態を、図面を参照しながら、これから更に詳細に説明する。印刷システムにおいて支持媒体又は中間転写体上に画像をより正確に置くための動的画像レジストレーション装置及び方法が開示される。従って、ここには、一例としての印刷システムの一部、及び印刷システムのモジュラー・アセンブリが示されている。
【0014】
本明細書中で用いられている「プリンタ」又は「印刷システム」とは、「プリントアウト」又はプリント出力機能(あらゆる目的で「支持媒体」上に情報を複製することを指す)をもたらすのに用いられる、1つ以上のデバイスを指す。本明細書中で用いられている「プリンタ」又は「印刷システム」は、プリント出力機能を行うあらゆる装置(例えば、デジタル及び/又はアナログ・コピー機、製本機、ファクシミリ装置、多機能装置など)又はその一部を含む。
【0015】
印刷システムは、プリントアウトをもたらすのに「静電写真処理」(静電気的帯電パターンを形成し用いて情報を記録し複製することを指す)、「電子写真処理」(例えばトナーのような樹脂性粉末を電気的帯電プレート、ローラ、若しくはベルト上に用いて情報を複製することを指す)、又は、プリントアウトをもたらすその他適切な処理(例えば、インクジェット処理、液体インク処理、固体インク処理など)を用いることができる。また、このような印刷システムは、白黒或いはカラーの画像データを印刷する且つ/又は取り扱うことができる。
【0016】
本明細書中で用いられている「支持媒体」とは、好ましくはシート若しくはウェブの形態をした、例えば、紙、透明紙、羊皮紙、フィルム、布地、プラスチック、又は、その上に情報を複製することのできるその他の支持体を指す。「対象支持媒体」とは、転写画像を受け取るよう意図された1つ以上の特定の支持媒体を指す。「試験的支持媒体」とは、対象支持媒体の前に印刷システム若しくは少なくともその転写領域を通過する、1つ以上の支持媒体予備シートを指す。
【0017】
本明細書中で用いられている「ベルト」又は「転写ベルト」という語は、例えば、処理の流れ方向に沿った移動に向けて支持されている細長い可撓性ウェブを指す。例えば、画像転写ベルトは、トナーの形態である画像を、支持媒体への転写に向けて運搬することができる。別の実施例は、好ましくは印刷システム内で支持媒体と係合する且つ/又は支持媒体を運ぶ媒体転写ベルトを含む。このようなベルトは、連続作動するように印刷システム内で輪になっているエンドレス・ベルトであってよい。従って、ベルトは、巡回して輪を描きながら処理方向に動く。ベルトは、このような輪の少なくとも一部で、支持媒体と係合し得る且つ/又は支持媒体上の画像を運び得る。画像又はその一部を運ぶ画像転写ベルトは、その上にトナーを蓄積することのできる伸縮不可能な静電若しくは受光体ベルトを含み得る。
【0018】
本明細書中で用いられている「センサ」とは、物理的刺激に反応し、得られたインパルスを測定及び/又は制御動作のために送信する、デバイスを指す。このようなセンサは、圧力、光、動き、熱、音、及び磁気を用いるセンサを含む。また、本明細書中で述べられているこのようなセンサはそれぞれ、ベルト、画像、又は支持媒体の特徴(例えば、速度、向き、処理方向若しくは処理方向横断方向における位置、サイズ、又は厚さ)を検出する且つ/又は測定する、1つ以上のポイント・センサ及び/又はアレイ・センサを含み得る。従って、本明細書中で述べられている「センサ」は、1つ以上のセンサを含み得る。
【0019】
本明細書中で用いられている「処理方向」という語は、支持媒体上に情報を印刷又は複製する処理と関連付けられた経路に沿った方向を指す。この処理方向は、ベルトがシステムの一部として動いて印刷システム内における1つの場所から別の場所へ画像及び/又は支持媒体を運搬する流路である。「処理方向横断方向」は、この処理方向に対してほぼ垂直である。また、本明細書中で用いられている「上流」又は「下流」という語は、処理方向を基準として用い、下流方向とは処理方向と同じ方向であり、上流方向とは処理方向と反対の方向である。更に、本明細書中で用いられている「側方」又は「側方向」という語は、処理方向横断方向と同じ方向である。
【0020】
図1は、印刷システム10の一部の略正面図である。この印刷システム10は、「マーキング・エンジン」を含む。本実施形態では、このマーキング・エンジンは、静電写真式又は電子写真式であって、ドラム受光体20の形態をした受像体を含み、この受光体20の周りには、単色若しくは単一タイプのマーキング材料の電子写真印刷に関するよく知られたエレメント(例えば、帯電デバイス22、露光デバイス24、現像ユニット26、支持媒体搬送部50、及びクリーニング・デバイス30)が配置されている。現像ユニット26には、マーキング材料源32が送り込まれる。このマーキング材料としては、所定タイプのトナーや現像剤粒子などが挙げられ、露光デバイス24の動作によって、受光体20上に画像が置かれる。この実施形態では、印刷システム10はシート経路内にフューザを含まない、ということに留意されたい。概して、電子写真エレメントは、受光体20上にマーキング材料から成る画像を作成する手段を形成するが、印刷システム10内のマーキング・エンジンの別の実施形態では、その他の技術(例えば、様々な形態のインクジェット)が用いられてもよい。
【0021】
更に、印刷システム10内には、シート経路の印刷システム10対応部分を通してシートの形態である支持媒体を運ぶ、通常「搬送部(搬送機構)」50と呼ぶことのできる構造がある。この搬送部50の総合的機能には、シートを受け取り、シート経路Pを通してシートを移動させて受光体20からトナー画像を受け取り、必要に応じて、シートを印刷できるように又はシート経路Pにおける次のシステムが更に処理できるようにすることが含まれる。図示されているこの実施形態では、搬送部50は、シートを受光体20と接触させる機能も有する。シート経路Pの、受光体20がシート及び/又は搬送部50と接触する部分並びにその直接隣接部分は、「転写領域」と呼ばれる。更に、図示されているように、この実施形態の搬送部50は、シート経路Pの印刷システム10対応部分の長さにわたって延びる単一ベルトを含む。当然のことながら、或いは、この搬送部は、1つ以上の印刷システム10に沿って延びるベルトを含み得る。また、この搬送部50は、複数のモジュラー印刷システム10から構成されるより大きな印刷システム・アセンブリにおける複数の印刷システム10にわたって重なる若しくは延びる1つ以上のベルトであってもよい。図示されているこの実施形態は、支持媒体取扱ベルトに関するものであるが、当然のことながら、開示されているこの技術は、中間転写ベルトに適用してもよい。従って、中間転写ベルトにおいて検出された動きは、動的に調節され、画像は、最終的に支持媒体に転写されるときに適切に位置合わせされるように、中間転写ベルト上に置かれる。
【0022】
印刷システム10のプリンタ・ハードウェアは全て、少なくとも受光体20及び搬送部50を支持する機能を有するフレーム11によって支持されている。図示されているように、このフレーム11は、共通のシート経路Pを共有する他の印刷システムと共に使用するために、入力側に構成されても出力側に構成されてもよい。例えば、印刷システム10は、1つ以上の同様の隣接したシステムにつながれたモジュラー・システムであってよい。
【0023】
この図1の実施形態に示されているように、更に、センサ・グループ60及び61を含む感知システムが設けられており、これらのセンサ・グループ60及び61は、印刷システム10において移動され搬送部50上を進むシートの位置及び何らかの特徴を検出するように配置されている。このように、シートの位置及び/又はその他の特徴は、シート自体を感知することによって直接的に検出することができる。或いは、これらのセンサ・グループ60及び61を用いることにより、搬送部50の動きを追跡してシートの動き方を推定してもよい。個々のシートはベルトにかなりしっかりと固定されているため、通常、シートの動きはベルトの位置にきちんと対応しているので、ベルトの動きを追跡又は検出することは有用である。このように、シートの位置及び/又はその他の特徴は、搬送部50の少なくとも一部を感知することによって間接的に検出することができる。また、更なる別の方法として、個々のシート及び/又はベルト・センサを組み合わせ、センサ・グループの一部として用いてもよい。更に、当然のことながら、センサ・グループ60及び61は全く同一でなくてもよく、各グループに含まれる個々のセンサの構造及び/又は構成は異なっていてもよい。この感知システムは、反応時間及び画像解像度の点では、搬送部50上を移動されるシートの位置及びその他の異常を検出して、あらゆる異常に関連した「信号」又は「誤差信号」と呼ばれ得るものを出力する、性能を備え得る。次に、この誤差信号を用いて、露光デバイス24を操作することができる。この感知システムは、シートが搬送部50によって転写領域を通って移動されるときに、通過するシートの縁部、特定の小領域、又は単なる存在を検出することができる。同様に、この感知システムを用いることによって、搬送部50の縁部を感知するか或いはその他何らかの部分を測定して、搬送部50の位置又は速度を検出することもできる。センサ・グループ60及び61は、マーキング・エンジン(詳細には、転写領域)の処理方向における対向するサイドに配置されたセンサを含み、一方のセンサ・グループ60は上流側に、他方のセンサ・グループ61は下流側に配置されている。
【0024】
転写領域の上流にあるセンサ・グループ60及び下流にあるセンサ・グループ61によって、この感知システムは、転写ゾーンにおける又はわたる支持媒体のあらゆる動き及びスキュー(skew)を検出することができる。画像は、支持媒体が転写領域の上流にあるときに(即ち、画像がシートに直接的に転写されるまでに)受光体20上に書き込まれるので、そのシートに対する画像の位置合わせを修正するのに、転写領域で生じたシートの動き又位置ずれ情報を用いるのでは、通常遅すぎる。しかしながら、このような転写領域から検出されたシートの動き又位置ずれ情報は、繰り返す可能性がある場合には、次の支持媒体に画像を適切に位置合わせするのに用いることができる。センサ・グループ60からの情報とセンサ・グループ61からの情報を比較することによって、支持媒体が転写領域を横断するときに生じる動き又は位置ずれが示される。
【0025】
また、転写領域で発生した異常を、転写領域を通過するときに測定されるシートに対して修正するのは難しいが、いくつかの異常は、そのシートが転写領域に到達する前に修正することができる。露光デバイス24は、センサ・グループ60によって所定時に検出された異常を検出してその後すぐに補正(補償)することができるように、静電潜像の対応する部分を受光体20上に生成する。従って、潜像が現像ユニット26によって現像され、転写ゾーンにおいて印刷シートに転写されると、シート上における既存の印刷画像と、修正され新しく転写された画像は、特に色分解の位置合わせの意味で「一致」するであろう。
【0026】
図示されている実施形態では、各印刷システム10内のシート・センサ・グループ60及び61によって出力された様々な誤差信号は、ここでは参照番号70として示された「修正モジュール」と呼ばれるものによって収集され、コンパイルされ、且つ/又は処理される。ハードウェアとソフトウェアの両方を含む(また、印刷システム10によって印刷される部分画像データを受け入れる、より大きな画像処理システムの一部であってもよい)この修正モジュール70の総合的機能は、取り扱い中の支持媒体Sと関連付けられた特徴(例えば、位置、スキュー、動き、又はその他の異常)に関する誤差信号を取得して、これらの誤差信号をマーキング・エンジンに修正させることである。従って、修正モジュール70は、静電写真マーキング・デバイスの変調レーザ若しくはイオノグラフィック・ヘッド又はインクジェット印刷デバイスのインクジェット印字ヘッドの動作を調節且つ/又は変更することによって、マーキング・エンジンを操作することができる。今日の画像レジストレーション調節システム及び方法は、受光体ベルト又は支持体のスキューを動的に補正(補償)することを示している。
【0027】
ゆえに、支持媒体の検出された特徴は、センサ・グループ60及び61からの信号によって示され、修正モジュール70と関連付けられた表に保存され得る。修正モジュール70がこのような表を用いることにより、マーキング・エンジンによって生成される画像を、受光体上の正常位置、初期位置、又は予備位置から、支持媒体の検出された特徴と適合する位置、向き、及び/又は縮尺/サイズに、変更若しくはシフトすることができる。このように、受光体上に生成された画像を変更することによって、検出された繰り返し異常は、処理方向横断方向の動き、処理方向の動き、スキュー、又はこれらのあらゆる組み合わせであっても、予想若しくは予測される。従って、画像の位置、スキュー、又は縮尺を変更することによって、受光体上に置かれる画像は、検出されていない誤差がある画像とは異なる。このような変更によって、場所、向き、縮尺が変化するか、或いは、受光体上の画像配置が歪み(変形し)、これにより、検出されたシート誤差が補償される。また、いくつかの繰り返し異常は、その他の支持媒体特徴(例えば、シートのサイズ又は厚さ)と関連付けられ得る。このように、いくつかの異常は、特定の印刷ジョブと関連付けられる。或いは、画像は、必要であれば、対象支持媒体の検出された特徴に対応するように歪めることさえできる。修正モジュール70は、転写領域において検出された動きに関する1つ以上の表に加えて、シートの長さ、搬送部50によって移動されるシート間の間隔若しくは空隙、シートが転写領域の下流で検出されるか上流で検出されるかというような、更なる情報を用いることができる。このような追加情報によって、修正モジュール70は、受光体20に書き込まれる画像の1つ以上の部分の動的なシフト、歪み(warping)、縮尺、及びスキュー(skewing)への責任を負うことができる。
【0028】
図2は、マーキング・エンジンの一部と関連した一例としてのセンサ・グループ60及び61の平面図である。これらのセンサは、ポイント・センサ62〜65を含み、これらのポイント・センサ62〜65を用いることによって、シートSの前方縁部のスキューを検出すると共に、シートSが搬送部50上を移動するときにその処理方向位置Pを検出することができる。図示されているように、アレイ・センサ66〜69が、シートSの側方縁部及び/又は搬送部50のベルトを検出するように位置付けられている。これらのアレイ・センサ66〜69を用いることにより、処理方向横断方向において、シートSの縁部のスキューを検出すると共に、シートSの位置を検出することができる。従って、シートの位置は、3つの自由度(即ち、スキュー、処理方向における位置、及び処理方向横断方向における位置)で検出することができる。このように、特定のモジュール10に対して関連付けられた修正モジュール70は、これらの位置異常に反応して、印刷される画像を効果的にシフトすることができる。当然のことながら、センサ・グループ60及び61のそれぞれにおいて、より少ない又はより多い数のセンサを用いてもよく、この数は、このようなセンサが得る所望の情報量によってのみ制限される。加えて、更なる1つ以上のセンサ・グループを設けてもよい。また、モジュラー・システムでは、モジュールにわたる複数のセンサ・グループ60及び61からの信号をまとめて用いてもよい。更に、センサ・グループ60及び61は、図面に示されているよりも転写領域に近く又は転写領域から遠くに位置付けてもよい。センサ・グループ60及び61の両方を転写領域のできるだけ近くに位置付けることによって、転写領域内で又は転写領域にわたって生じる動きをより正確に表すことができるが、これは、スペース及び/又は通常同じ近辺にある他のコンポーネントによって制限されることが多い。センサと転写領域との近さは、100mm未満、より詳細には30〜50mmが十分であろう。従って、一実施形態では、センサ・グループ60及び61の両方が転写領域のすぐ近くに置かれる。これらのセンサ・グループ60及び61は両方とも、図1に示されているように、転写領域からほぼ等距離にあってよい。
【0029】
更に、いくつかの実施形態では、感知システムは、そのセンサ・グループ60及び61によって、入ってくるシートのサイズを(又は、適切なセンサによって、シート上の画像を)検出することができ、修正モジュール70は、その情報を取得してマーキング・エンジンを操作することにより、モジュール10によって印刷される画像のサイズ及び/又は縦横比を変えることができる。このように画像を大きくしたり小さくしたりする倍率修正力は、印刷処理中に(例えば、気温又は湿度の変化によって)印刷シート1枚のサイズが変化する可能性がある状況で有用である。
【0030】
当然のことながら、入ってくる媒体の位置を検出することのできる感知システムであればいずれも本発明に用いてよく、本発明はこの実施例に示されている感知システムを用いることに決して限定されない。
【0031】
図3は、複数の動的画像レジストレーション印刷システム10を含む、印刷システムのモジュラー印刷アセンブリ110の略図である。可能な実施例では、複数の印刷システム10を統率して調整する中央処理装置80が設けられている。この中央処理装置80は、各印刷システム10内の個々の修正モジュール70とやりとりをして、これらを調整することができる。つまり、印刷経路に沿った一連のモジュール間における位置又は倍率異常の修正は、各印刷システム10と関連付けられた修正モジュール70と、これらのモジュールの印刷経路にわたるマーキング・エンジンを制御する中央処理装置80とで分けることができる。一実施例では、所定の空間的範囲(例えば、0.5mm未満)内の異常は、各印刷システム10内部で修正することができるのに対し、より大きな又は度重なる空間的異常は、例えば、より体系的な修正及び/又は人間であるユーザへの通知に向けて、効果的に中央処理装置80に付託される。1つの印刷システム10が、検出された異常に反応して修正すると共にその他の印刷システム10とは完全に別個の修正を行うのに対して、或いは加えて、あらゆる目的に対する体系的修正の一例では、シート経路に沿った上流の印刷システム10におけるマーキング・エンジンが、下流の印刷システム10で検出された位置異常に反応して生成する画像をシフト若しくは変更することが含まれよう。別の構成では、個々のモジュールが使用されると位置誤差の繰り返しパターンを検出して動作方針を決定する中央処理装置80を設けてもよい。
【0032】
図示されている実施形態は、静電写真、インクジェット、又は、その他何らかの印刷技術によるマーキング・エンジンが、デジタル形式の入力画像データに最終的に依存しているという点で、いわゆる「デジタル」印刷システムに関するが、より大きなシステムにおける印刷モジュール18のうちのいくつかは、例えばオフセット又はフレキソ印刷のような、アナログ若しくは固定画像システムを用いてもよい。例えば、画像データの一部(例えば、送り先)だけがプリントによって異なり、残りはどのプリントに対しても同じ部分的画像から成る、雑誌を印刷したい場合、シート経路を形成する全てのモジュールのうちの一部だけが、デジタル画像データに反応すればよい。非デジタル・モジュール18は、例えばオフセット又はフレキソ印刷のような、別の技術を用いてもよい。
【0033】
図3は、印刷システム10と直列に作動する、(印刷分野では広く理解されているオフセット又はフレキソ印刷のような)いわゆるアナログ若しくは非デジタル・モジュール18を含む、モジュラー印刷アセンブリ110を示している。或いは、このようなモジュラー・アセンブリには、その他のタイプのモジュールを組み込んでもよい。非デジタル技術を用いたモジュールであっても、感知システムによって検出された異常に基づく画像修正に対してある程度反応するように設計することができ、例えば、フレキソ印刷システムを用いるモジュールは、印刷シートを受け入れるほぼリアルタイムに、(印刷間における画像ロールの回転位置を調節することにより)処理方向において、或いは、(長手方向にロールを動かすことにより)処理方向横断方向において、画像の配置を調節するように設計することができる。参照番号18のような非デジタル・モジュールであっても、上述したような、1つ以上の転写領域におけるシートの位置を検出する感知システム60及び61を含み得る。これらの感知システムからの誤差信号はいずれも、中央処理装置80に送られることによって、モジュラー印刷アセンブリ110全体の制御を助けることができる。
【0034】
当然のことながら、上に開示した及びその他の様々な特性並びに機能、又はこれらの代替物は、望ましくは、その他多くの異なるシステム又はアプリケーションに組み込まれ得る。現在は予測若しくは予想できない様々な代替物、修正物、変更物、又は改良物が、後に当業者によって作られる可能性があり、これらも、後の特許請求の範囲に含まれることが意図される。最初に提示されている補正可能なこの特許請求の範囲は、本明細書中に開示した実施形態及び教示の変更物、代替物、修正物、改良物、等価物、及びほぼ等価物を含み、例えばインクジェット印刷のようなその他のマーキング技術、及び、例えば出願人/特許権所有者などから生じ得る現在は予測若しくは予想できない技術を含む。
【符号の説明】
【0035】
10 印刷システム
11 フレーム
18 非デジタル・モジュール
20 受光体
22 帯電デバイス
24 露光デバイス
26 現像ユニット
30 クリーニング・デバイス
32 マーキング材料源
50 搬送部
60、61 センサ・グループ
62〜65 ポイント・センサ
66〜69 アレイ・センサ
70 修正モジュール
80 中央処理装置
110 モジュラー印刷アセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路に沿って処理方向に移動される対象支持媒体に対して動的に画像を位置合わせする印刷装置であって、
前記対象支持媒体に転写する画像を生成する、マーキング・エンジンと、
前記マーキング・エンジンから転写領域において前記画像を受け取るために、前記対象支持媒体を前記経路に沿って前記処理方向に移動する、搬送部と、
前記搬送部によって以前に移動された少なくとも1つの他の支持媒体の特徴を検出する、感知システムであって、前記特徴を検出するのに用いられるベルト縁部センサ、シート縁部センサ、ポイント・センサ、及びアレイ・センサのうちの少なくとも1つを含む、感知システムと、
前記感知システムからの少なくとも1つの信号に基づいて、前記マーキング・エンジンによって生成される画像を変更する、修正モジュールと、
を備え、
前記特徴が、前記経路の、前記転写領域の前記処理方向における対向するサイドに位置する少なくとも2つの部分から検出される、
前記印刷装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの信号が、前記経路に対する前記少なくとも1つの他の支持媒体の処理方向の動き、処理方向横断方向の動き、及びスキューのうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記感知システムが、前記転写領域の前記対向するサイドのそれぞれに配置された少なくとも1つのセンサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記修正モジュールが、前記対象支持媒体の寸法、複数の前記他の支持媒体間の間隔、及び、前記対象支持媒体の前記処理方向における前後のうちの少なくとも一方にある少なくとも1つの前記他の支持媒体の存在、のうちの少なくとも1つに基づいて、生成される画像を変更する、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−256901(P2010−256901A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94844(P2010−94844)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】