説明

動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステム

【課題】振動の微小検出及び検出特性の調整が容易に行え、更には駆動電源を不要にすると共に小型化可能な、動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムを得る。
【解決手段】動電型3軸加速度センサとして、コイル及びマグネットが同軸方向に相対振動すべく少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネを形成したダイヤフラムを前記マグネット又はコイルに固着して構成した動電型加速度センサを、X軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して構成し、振動検出機能付きRFIDタグとして、前記動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサより出力されるアナログ信号をA/D変換回路にてデジタル信号による加速度データに変換すると共に、外部リーダーからの読出し信号に応答して加速度データ及びIDデータの伝送処理を行うためのRFIDチップ及びアンテナにて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動電型加速度センサをX軸,Y軸及びZ軸方向に組合せて構成した動電型3軸加速度センサにより、被測定物の前後左右及び上下方向の振動を検出することができる、動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFID(Radio Frequency Identification Tag)タグシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物特に人体の体動検出や歩数計の歩数検出等を行う方法として、体動センサが使用されている。該体動センサの種類としては、特開2000−041971号公報の「カロリ測定器」に記載されているように、光電式体動センサや接点式体動センサ又は振り子式体動センサがある。また、特開2002−191580号公報の「体動検出装置」に記載されているように、圧電素子を使用した加速度センサによるものもある。
【0003】
上記光電式体動センサは略方形をした容器内の相対する角部に発光素子と受光素子を配置すると共にボールを収容する。そして、体動によりボールが容器内を動き回ることにより発光素子と受光素子間の遮光と受光が繰り返されてパルスを出力するものである。また、接点式体動センサは方形の頂点位置に4個の導電性ピンを配置すると共に大きな導電性ボールを当該導電性ピンの内部に収容する。そして、体動により導電性ボールが導電性ピン間に接触して導通しパルスを出力するものである。他の方式として球状の容器内の相対する面に導電性電極を配置すると共に小さな導電性ボールを複数個収容する。そして、体動により複数の導電性ボールが導電性電極の片側に集められると当該導電性ボール同士が接触して導電性電極間が導通しパルスを出力するものである。また、振り子式体動センサは筒状の容器内にマグネットを収容すると共に外部近傍にリードスイッチを配置する。そして、体動によりマグネットが容器内を移動する度にリードスイッチの接点がON/OFFしてパルスを出力するものである。更に、上記加速度センサによるものは板状の支持体の表面に圧電素子を配設すると共に当該支持体の片端部に重りを配設する。そして、体動により重りが振動すると加速度に応じた電圧信号が圧電素子より出力されるものである。
【0004】
しかしながら、上記光電式体動センサや接点式体動センサ及び振り子式体動センサは体動をパルス信号として出力するため一定方向の周期的な動きによる体動検出を行うには好適であるが、体動の方向や加速度は検出することができないといった問題点があった。また、圧電素子を使用した加速度センサによるものは体動を電圧の変化による電気信号として出力するため体動の方向のみならず加速度も検出することができるが、圧電素子によるセンサ回路を駆動するために電源が必要であるという問題点があった。更には支持体の片端部に重りを配設する構造のため小型化ができないといった問題点もあった。
【0005】
上記問題点を解決すべく、本願出願人による特開2005−065789号公報の「磁気平衡型3軸加速度センサ及び該センサを使用した体動検出装置」に開示されるように、シリンダ内部を軸方向に振動可能に平衡させた可動マグネットと当該シリンダ外面に巻いたコイルにより構成した磁気平衡型加速度センサをX軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して構成した磁気平衡型3軸加速度センサが自ら振動量に応じた誘導起電力を発生するため、体動の方向や加速度の検出を行なうセンサ回路を駆動するための電源が不要となり、構造的にも5ミリ角程度の小型化が可能となった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−041971
【特許文献2】特開2002−191580
【特許文献3】特開2005−065789
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8の従来の磁気平衡型加速度センサの構造図に示すように、上記磁気平衡型3軸加速度センサを構成する各磁気平衡型加速度センサ28の可動マグネット30は、シリンダ29の両端部にある固定マグネット32の反発磁力により当該シリンダ29の略中央部で平衡保持されているため、磁気平衡型加速度センサ28の小型化即ちシリンダ29の長さが短くなるに従い、前記可動マグネット30の振動幅及び振動数が少なくなり、最悪の場合には振動自体が起きなくなる。このため、可動マグネット30及び当該可動マグネット30の両端部に配設した硬球31の先端部分のシリンダ29外面に巻いたコイル33から発生する誘導起電力の出力電圧及び出力時間が減少し、微小振動による加速度の検出が困難になるという問題点が発生した。また、検出特性を変えるためには磁力強度を変える必要があるが、バランスが取り難く調整が困難であるという問題点も発生した。
【0008】
また、上記磁気平衡型3軸加速度センサから出力されたアナログ信号をA/D変換装置にてデジタル信号にスケール変換した後、該データを無線受信機やLAN等の通信機器に伝送するためRF出力部又はシリアルデータ出力部を内蔵したデータ出力装置に接続する必要があるが、該RF出力部は電波を送信するためにバッテリーが必要となり装置が大きくなってしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するために成されたものであり、振動の微小検出及び検出特性を変える際の調整が容易に行え、更にはセンサ回路及びRF回路を駆動するための電源を不要にすると共に機構的に小型化が可能な、動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムにおいて、動電型3軸加速度センサにあっては、コイル及びマグネットが同軸方向に相対振動すべく少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネを形成したダイヤフラムを前記マグネット又はコイルに固着して構成した動電型加速度センサを、X軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して構成する。また、振動検出機能付きRFIDタグにあっては、前記動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサより出力されるアナログ信号をA/D変換回路にてデジタル信号による加速度データに変換すると共に、外部リーダーからの読出し信号に応答して前記加速度データ及び当該RFIDタグ固有のIDデータの伝送処理を行うためのRFIDチップ及びアンテナにて構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムにより被測定物の前後左右及び上下方向の振動を検出するようにすれば、該動電型加速度センサのマグネット又はコイルの固着方法が少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネを形成したダイヤフラムであるため、前記マグネット又はコイルが僅かな振動にも容易に反応し、振動の微小検出が可能になるという効果を奏する。更には機構的にも小型化が可能になるという効果を奏する。また、前記動電型加速度センサが自ら振動量に応じた誘導起電力を発生すると共に、加速度データ及びIDデータを送信するためのRF回路もRFIDタグを使用するため、センサ回路及びRF回路を駆動するための電源を不要にすることができるという効果を奏する。また、リング状板バネを形成するダイヤフラムの厚さを変えることにより検出特性が変化するため、調整が容易に行えることにより量産化し易くなるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグを実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの一実施例の構造図であり、(a)はケーシング2を取り外した状態の平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【0013】
該図に示すように、動電型加速度センサ1は、コイル5内をマグネット9が振動すべく少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネ8a,8b,8cを形成したダイヤフラム8を前記マグネット9に固着すると共に、前記コイル5とダイヤフラム8を支持するための支持リング4をシールド処理したケーシング2及びベース3内に収納して構成する。前記リング状板バネ8a,8b,8cは、(a)においてダイヤフラム8の黒く塗られた部分を抜くことにより形成される。
【0014】
静止状態においてマグネット9の底面部はコイル5の略半分の厚さの処に位置し、振動状態においてマグネット9は図中矢印の範囲内を振動する。従って、マグネット9の底面部とベース3に固着したシールド板7の上面部との空間距離と、マグネット9の上面部に固着したダイヤフラム8とケーシング2内の上面に固着したシールド板11との空間距離は、図中矢印の振動範囲以上とする必要がある。なお、前記マグネット9の底面部とベース3に固着したシールド板7の上面部との空間は、ダイヤフラム8を載置する支持リング4の高さにより確保され、前記マグネット9の上面部に固着したダイヤフラム8とケーシング2内の上面に固着したシールド板11との空間は、ブッシュ10により確保される。
【0015】
また、コイル5の内面にガイドリング6を配設してあるが、これはコイル5内をマグネット9が振動する際に、当該マグネット9の側面がコイル5の内面に接触することによる滑り摩擦の影響を減少させるためのものである。従って、コイル5の内面に予め滑り摩擦による影響を減少させる加工処理が施されていれば、前記ガイドリング6は不要となる。
【0016】
なお、上記マグネット9の磁力強度やコイル5の巻数及びリング状板バネ8a,8b,8cを形成するダイヤフラム8の厚さは、使用するシステムに合わせて任意に設計するものである。
【0017】
図2は本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの周波数特性グラフであり、上記動電型加速度センサ1のダイヤフラム8の厚さを30μ(実線)及び40μ(一点鎖線)とした2種類の動電型加速度センサ1に、1Gの加速度振動を加えた時の周波数特性を表している。該図よりダイヤフラム8の厚さが30μでは固有振動周波数が約100Hzであり、ダイヤフラム8の厚さが40μでは固有振動周波数が約150Hzであり、ダイヤフラム8の厚さを変えることにより固有振動数を容易に変えられることが判る。
【0018】
図3は本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの出力信号波形であり、上記動電型加速度センサ1に約3Gのインパルス振動を連続的に加えた時の出力信号波形を表している。該図より減衰振動は約200msec間続き、約50msec間においては出力信号電圧として約10〜15mVp−pが得られることが判る。
【0019】
上記のような動電型加速度センサ1を、X軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して一体化することにより、動電型3軸加速度センサが構成される。ここで、該動電型3軸加速度センサが振動を受けると、各軸方向に配設した動電型加速度センサ1のコイル5から振動量に応じた誘導起電力がそれぞれ発生する。なお、上述の説明においては固定されたコイル5内をマグネット9が振動する構造について説明したが、マグネットを固定し当該マグネット外のコイルが振動する構造であっても構わない。
【0020】
次に、図4は振動検出機能付きRFIDタグの構成図であり、上位通信機器に加速度データ及びIDデータを伝送するためのRFIDタグ12は、上記動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサ1より出力されるアナログ信号をA/D変換回路にてデジタル信号による加速度データに変換すると共に、外部リーダー(図示せず)からの読出し信号に応答して前記加速度データ及び当該RFIDタグ12固有のIDデータの伝送処理を行うためのRFIDチップ13及びアンテナ14にて構成する。
【0021】
上記アンテナ14は外部リーダーと電磁界又は電磁波による無線通信を行うため、RFIDチップ13内又は一部RFIDチップ13外の同調キャパシタ(図示せず)から成る同調回路15に接続し、本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用するキャリア周波数、例えば13.56MHzや2.45GHz又は950MHz帯等に同調させて共振回路を構成する。
【0022】
上記同調回路15の後段には、外部リーダーのアンテナから出力された電磁界又は電磁波が当該RFIDタグ12のアンテナ14を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波したり、該誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路16を接続する。
【0023】
次に、上記整流回路16の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路17と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作を行ったり信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作を行うための変復調回路18と、上記直流電圧を安定化して回路電源を供給したり、充電用コンデンサ20に充電電圧を供給するための電源回路19を接続する。該充電用コンデンサ20は一般的にはセラミックコンデンサであり、電力を必要とする場合には電気二重層コンデンサが好適であるが、特に限定するものではない。
【0024】
次に、上記変復調回路18の後段には、該変復調回路18の制御や不揮発性メモリであるSiRAM(Sensor Interface RAM:センサが必要とする処理単位にてアクセス可能なメモリで、本願出願人による登録商標)22に対する当該RFIDチップ13のIDデータや加速度データ等の書込み又は読出し制御及び後述のA/D変換回路24の制御を行うためのロジック回路21を接続する。
【0025】
A/D変換回路24には、動電型3軸加速度センサを構成するX軸方向の動電型加速度センサ1のコイル5より出力されるアナログ信号と、Y軸方向の動電型加速度センサ1のコイル5より出力されるアナログ信号と、Z軸方向の動電型加速度センサ1のコイル5より出力されるアナログ信号を入力する。該A/D変換回路24は、被測定物の振動による各軸方向の動電型加速度センサ1のコイル5より発生したアナログ信号である誘導起電力を、アナログ演算処理及びA/D変換処理によりデジタル信号である加速度データに変換するものである。
【0026】
図5は図4におけるA/D変換回路の第一実施例の概略ブロック回路図であり、動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサ1より出力される誘導起電力であるアナログ信号をアナログ入力回路25に入力してレベル変換した後、高速A/D変換を行うための独立したA/Dコンバータ26に接続する。前記アナログ入力回路25は入力電圧を適正レベルにスケーリングするためのOPアンプや抵抗等で構成され、A/Dコンバータ26は外部リーダーからの指令により任意の分解能に設定してA/D変換した後、データ出力をSiRAM22の特定アドレスにパラレル接続すると共にクロックに同期してダイレクト書込みを行うものである。該方式によれば、SiRAM22本来の高速動作と相まって、更なるデータの高速書込み又は高速読出しが可能となる。
【0027】
図6は図4におけるA/D変換回路の第二実施例の概略ブロック回路図であり、動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサ1より出力される誘導起電力であるアナログ信号をアナログ入力回路25に入力してレベル変換した後、アナログマルチプレクサ27に接続してサンプリングを行い、選択された入力信号をA/Dコンバータ26に接続する。前記アナログ入力回路25は入力電圧を適正レベルにスケーリングするためのOPアンプや抵抗等で構成される。
【0028】
また、上記図5におけるアナログ入力回路25や図6におけるアナログ入力回路25又はアナログマルチプレクサ27において、別途設けた整流回路及びCRによる一次遅れ回路(図示せず)を経由してA/Dコンバータ26に入力信号を接続することにより、動電型加速度センサ1から出力されたアナログ信号の固有振動数が高くても直流レベルでA/D変換が行われるため、演算処理が確実且つ容易に行える。
【0029】
上記SiRAM22は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がOFFになっても当該RFIDチップ13のIDデータや加速度データ等は消失することはない。また、データの書込み電圧は、EEPROMやフラッシュメモリのように高圧に昇圧する必要がないため、昇圧回路が簡略化される。また、書込み又は読出し速度はDRAMと同等であり、EEPROMやフラッシュメモリよりはるかに高速であるという特徴を持つものである。このように、不揮発性メモリとしてはSiRAM22が好適であるが、データ変換に高速処理を必要としない場合、例えばA/D変換回路24にアナログマルチプレクサ27を使用した一般的なサンプリング方式の場合、SiRAM22に代えてFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)や他のメモリを使用しても構わない。
【実施例】
【0030】
本発明の実施例を図を用いて説明する。まず、図1に示した動電型加速度センサ1を、X軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して一体化した動電型3軸加速度センサを接続したRFIDタグ12を、被測定物として例えば人体の被測定部位に装着する。また、前記RFIDタグ12と無線通信を行う外部リーダーを近傍に設置する。
【0031】
ここで上記人間が適度に動くと、該動きに応じて動電型3軸加速度センサも前後左右及び上下方向に動き、該動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサ1より誘導起電力であるアナログ信号が出力される。該アナログ信号は、図3に示したような固有振動周波数を持つ減衰振動であるため、アナログ入力回路25においてOPアンプにてスケーリングした後、整流回路及び一次遅れ回路(図示せず)を経由させることにより、減衰振動特性のエンベロープを有した直流電圧信号に変換される。該直流電圧信号のレベルは、図3の例では立ち上がりより約50msec間において10〜15mV以上が得られ、A/D変換回路24により各軸方向の加速度データを取得するためのサンプリング時間及び信号レベルとしては十分なレベルであるため微小振動の検出が可能となる。なお、前記A/D変換回路24内のA/Dコンバータ26の分解能としては8ビット程度で十分であるが、これに限定するものではない。
【0032】
また、図7は本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムから出力されるデータフォーマットの一例であり、データの始まりを示すヘッダーと、X軸データ,Y軸データ,Z軸データと、当該RFIDタグ12に固有に与えられたIDデータにより構成される。そして、外部リーダーからの読出し信号に応答して前記加速度データ及び当該RFIDタグ12固有のIDデータを送信し、上位通信機器に接続された演算装置にて各軸方向の加速度データをベクトル的に解析処理することにより、被測定物の振動方向とその加速度を検出することが可能となる。なお、RFIDチップ13のロジック回路21がCPUである場合は、当該RFIDタグ12が自ら加速度データの演算処理を行うようにしても構わない。
【0033】
また、RFIDタグ12を構成するRFIDチップ13において、変復調回路18とロジック回路21に接続されている信号線を端子23に接続しておけば、図示しない他の外部通信モジュールやLAN等のネットワークに接続することも可能となる。
【0034】
また、上記動電型3軸加速度センサは自ら振動量に応じた誘導起電力を発生すると共に、加速度データ及びIDデータの伝送方式としてRFIDタグ12を使用するため、電源を不要にすることができる。また、リング状板バネ8a,8b,8cを形成するダイヤフラム8の厚さを変えることにより検出特性が変化するため、調整が容易に行えることにより量産化し易くなる。
【0035】
また、リング状板バネ8a,8b,8cを形成するダイヤフラム8の厚さを変えて検出特性を変化させた複数の動電型加速度センサ1を同一方向に配設し、前記動電型加速度センサ1より出力されるアナログ信号をA/D変換回路24にてデジタル信号による加速度データに変換することにより、振動の検出レベルを複数段階に変化させることができるため、検出レベルの範囲が広がる。
【0036】
なお、上述の動電型3軸加速度センサを接続したRFIDタグ12を装着する被測定物は、人体の他に動物,機械,車両,建築構造物など如何なるものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの一実施例の構造図である。
【図2】本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの周波数特性グラフである。
【図3】本発明の振動検出機能付きRFIDタグシステムで使用する動電型加速度センサの出力信号波形である。
【図4】振動検出機能付きRFIDタグの構成図である。
【図5】図4におけるA/D変換回路の第一実施例の概略ブロック回路図である。
【図6】図4におけるA/D変換回路の第二実施例の概略ブロック回路図である
【図7】本発明の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムから出力されるデータフォーマットの一例である。
【図8】従来の磁気平衡型加速度センサの構造図である。
【符号の説明】
【0038】
1 動電型加速度センサ
2 ケーシング
3 ベース
4 支持リング
5 コイル
6 ガイドリング
7 シールド板
8 ダイヤフラム
9 マグネット
10 ブッシュ
11 シールド板
12 RFIDタグ
13 RFIDチップ
14 アンテナ
15 同調回路
16 整流回路
17 クロック生成回路
18 変復調回路
19 電源回路
20 充電用コンデンサ
21 ロジック回路
22 SiRAM
23 端子
24 A/D変換回路
25 アナログ入力回路
26 A/Dコンバータ
27 アナログマルチプレクサ
28 磁気平衡型加速度センサ
29 シリンダ
30 可動マグネット
31 硬球
32 固定マグネット
33 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステムを構成する動電型3軸加速度センサにあっては、コイル及びマグネットが同軸方向に相対振動すべく少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネを形成したダイヤフラムを前記マグネット又はコイルに固着して構成した動電型加速度センサを、X軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して構成し、
振動検出機能付きRFIDタグにあっては、前記動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサより出力されるアナログ信号をA/D変換回路にてデジタル信号による加速度データに変換すると共に、外部リーダーからの読出し信号に応答して前記加速度データ及び当該RFIDタグ固有のIDデータの伝送処理を行うためのRFIDチップ及びアンテナにて構成することを特徴とした、動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステム。
【請求項2】
動電型加速度センサ内を振動するマグネット又はコイルの固着方法が少なくとも3点の支持部を有したリング状板バネを形成したダイヤフラムとしたことにより、前記マグネット又はコイルが僅かな振動にも容易に反応し、動電型3軸加速度センサを構成する各軸方向の動電型加速度センサより出力される誘導起電力であるアナログ信号を整流回路及びCRによる一次遅れ回路を経由させることにより、固有振動数が高くても直流レベルでA/D変換が行われ、同時に複数入力を検出した場合でも演算処理が確実且つ容易に行えることを特徴とした、請求項1に記載の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステム。
【請求項3】
リング状板バネを形成するダイヤフラムの厚さを変えて検出特性を変化させた複数の動電型加速度センサを同一方向に配設し、前記動電型加速度センサより出力されるアナログ信号をA/D変換回路にてデジタル信号による加速度データに変換することにより、振動の検出レベルを複数段階に変化させることができることを特徴とした、請求項1及び2に記載の動電型加速度センサを使用した振動検出機能付きRFIDタグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−209550(P2007−209550A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33000(P2006−33000)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(501360979)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】