説明

包装フィルム用折り線形成装置

【課題】 フィルムの材質・腰の強弱に関係なく所望位置に折り線をしっかりと形成すること
【解決手段】 帯状フィルム21を挟んで対向配置される第5,第6折り線形成ローラ81,82を備える。第6折り線形成ローラの円周方向の周面には、径方向外側に突出する第6突条82aを設けるとともに、その第6突条の軸方向両側に第6凹溝82bを形成する。第5折り線形成ローラの円周方向の周面には、第6突条に対向する部位に第5凹溝81bを設けるとともに、第6凹溝に対向する部位に第5突条81aを設ける。第6突条と第5凹溝で帯状フィルムを挟み込むことでその帯状フィルムに山折り線21kを形成するとともに、第5突条と第6凹溝で帯状フィルムを挟み込むことでその折り線に沿って谷折り線21jを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム用折り線形成装置に関するもので、より具体的には、帯状フィルムの搬送途中で包装フィルムの適宜位置に折り線を形成するのに適した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、ピロー包装機は、原反ロールに巻き取られた帯状フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋される。そして、製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置にて、製袋器を通して筒状に製袋されて重ね合わされたフィルム重合端をシールすることにより筒状フィルムを形成する。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は筒状フィルムとともに搬送される。そして、ピロー包装機の搬出側に配置されたエンドシール装置にて、筒状フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、製品を内包するピロー包装体が製造される。
【0003】
通常、ピロー包装体の外形は、収納する製品の外形状に起因する。つまり、製品が箱状の場合には、包装体も箱状に形成されるが、飴,小袋等の小物品を複数個収納する場合や、練り状物等の場合には、筒状のままとなる。また、製品の形状が矩形状であっても、カステラ等の軟らかいものの場合には、包装体の外形は、概略矩形になるものの角部は丸みを帯びた形状となる。
【0004】
そこで、この種のピロー包装袋において、商品価値を高める一環として、図1(a)に示すように、包装袋1の四隅が角張るように帯状フィルムの所定位置(包装体で四隅に来る位置)に山折り線2を形成したものがある。また、図1の例では、さらに側面の中央に谷折り線3を形成し、内側に折り込むようにしている。この種の包装体を製造するために用いられるフィルムに折り線を形成するための装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
また、図1(b)は、別の包装形態を示している。この包装形態は、包装フィルム4の一部を重なるように折り込みを行い重ねた部分をシールして、いわゆる、ヘムシール部5を形成したものがある。包装フィルム4のヘムシール部5は、フィルム部位が折り重ねられるとともにシールされているために剛性が高くなり、断面四角形を保とうとする作用がある。ヘムシール付き包装袋6は、その分、形崩れがし難くなり、商品価値を高めることができる。このヘムシール付き包装体6においても、側面の中央に谷折り線7を形成し、内側に折り込むようにしている。
【0006】
この種の折り線を形成する装置は、通常、図1(c)に示すように、帯状フィルム8をその両側から挟み込む一対のローラ9,9′を備え、その一対のローラ9,9′の円周方向の周面の対向する位置に設けた突条9aと凹溝9′aとで帯状フィルム8を所定の圧力で挟み込むことで、折り線を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−301707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のように突条9aと凹溝9′aで挟むことで1本の折り線を形成する方式では、例えば紙のフィルムや腰の強いフィルムは折り癖が付き易いために、包装体を製造した場合でも角がとがった状態に形成できるが、樹脂(プラスチック)フィルム、特に腰の無いものは「しっかりと折り癖が付きにくい」という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の包装フィルム用折り線形成装置は、(1)包装機における帯状フィルムの搬送途中に設けられ、その帯状フィルムの所定位置に折り線を形成する包装フィルム用折り線形成装置であって、前記帯状フィルムを挟んで対向配置される一対の折り線形成ローラを備え、その一方の折り線形成ローラの円周方向の周面には、径方向外側に突出する突条Aを設けるとともに、その突条Aの軸方向両側に凹溝Aを形成し、他方の折り線形成ローラの円周方向の周面には、前記突条Aに対向する部位に凹溝Bを設けるとともに、前記凹溝Aに対向する部位に突条Bを設け、前記突条Aと前記凹溝Bで前記帯状フィルムを挟み込むことでその帯状フィルムに折り線を形成するとともに、前記突条Bと前記凹溝Aで前記帯状フィルムを挟み込むことでその折り線に沿ってその折り線と反対向きに折られた補助折り線を形成するようにした。
【0010】
この包装フィルム用折り線形成装置は、実施形態の折り線形成部43に対応する。一方の折り線形成ローラは、実施形態の第6折り線形成ローラ82に対応し、突条Aは第6突条82aに対応し、凹溝Aは凹溝82bに対応する。他方の折り線形成ローラは、実施形態の第5折り線形成ローラ81に対応し、突条Bは第5突条81aに対応し、凹溝Bは凹溝82bに対応する。この発明によれば、最終的に包装体において折り曲げる部位に対応する帯状フィルムのフィルム部位を突条Aと凹溝Bで挟み込んで所定方向の折り曲げ線を形成する。このとき、同時に、突条Bと凹溝Aにて帯状フィルムを挟み込むことで係る折り線と反対向きに折られた補助折り線が形成される。よって、折り線の両側に逆向きの補助折り線が形成されることもあり、その補助折り線により帯状フィルムがしっかりと癖付けられることから本来的に形成したい折り線を際立たせてしっかりと折ることができる。この折り線の折方向が包装体における内面側を向いている場合には、谷折りとなり、外面側を向いている場合には山折りとなる。前者は、包装体の側面の中間地点などに形成する際に用いられ、実施形態で詳細に説明している。後者は、包装体の角部等に形成する際に用いられる。
【0011】
(2)前記一方の折り線形成ローラの円周方向の周面からの前記突条Aの高さは、その周面からの前記凹溝Aの深さよりも長くするとよい。突条Aの高さは、実施形態では高さaに対応し、凹溝Aの深さは実施形態では高さbに対応する。
【0012】
(3)前記一対の折り線形成ローラの少なくとも片方には加熱手段を設け、一対の折り線形成ローラで挟み込んだ前記帯状フィルムを加熱するように構成すると良い。実施形態では、加熱手段は、ローラに内蔵するヒータにより実現する。熱により帯状フィルムを軟化させたところに折り線形成ローラにより折り癖付けを行い、その後帯状フィルムが冷えて癖付けされた折り線が維持されることで、より確実かつしっかりと折り線を形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、フィルムの材質・腰の強弱に関係なく所望位置に折り線をしっかりと形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来例を説明する図である。
【図2】包装フィルム用折り線形成装置が組み込まれた横型ピロー包装機の好適な一実施形態を示す図である。
【図3】ヘムシール装置を備えたフィルム供給装置を示す図である。
【図4】ヘムシール装置の概略構成を示す平面図である。
【図5】ヘムシール装置の好適な一実施形態を示す図である。
【図6】第1ヘムシール形成部の構成及びその作用を説明する図である。
【図7】図6中X部を拡大して示す図である。
【図8】第2ヘムシール形成部の構成及びその作用を説明する図である。
【図9】折り線形成部の構成及びその作用を説明する図である。
【図10】図9中Y部を拡大して示す図である。
【図11】製袋器で筒状に製袋された状態を示す図である。
【図12】他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明の包装フィルム用折り線形成装置の一実施形態を実装した横型ピロー包装機の一例を示している。この横型ピロー包装機は、図1(b)に示すようなヘムシール部付きの包装体を製造するためのものであり、図3は、そのヘムシール装置が組み込まれるフィルム供給装置の一例を示している。そして、折り線形成装置は、そのヘムシール装置の一部に組み込まれている。
【0016】
まず、本実施形態の横型ピロー包装機10は、上流側から製品搬送供給装置11,包装機本体12の順に配置され、さらにそれらの上方にフィルム供給装置13を備えて構成される。
【0017】
製品搬送供給装置11は、製品14を一定間隔毎に搬送するとともに、次段の包装機本体12に順次供給するフィンガーコンベア装置から形成されている。すなわち、前後に配置されたスプロケット15(図では、前方のみ描画)間に掛け渡されたエンドレスチェーン16に対し、一定間隔で押送フィンガー17を取り付けて構成される。そして、前後の押送フィンガー17間に製品14を供給することにより、製品14を押送フィンガー17のフィンガーピッチで搬送する。
【0018】
フィルム供給装置13は、製品14を包み込む包装フィルム(包材)となる帯状フィルム21を連続して包装機本体12に供給するためのものである。このフィルム供給装置13は、帯状フィルム21をロール状に巻き取った2本の原反ロール20を備える。この2本の原反ロール20のうちの一方が、実際に包装機本体12に帯状フィルム21を供給するものとなり、他方の原反ロール20は予備用となる。つまり、現在供給中の原反ロール20から帯状フィルム21が全て引き出された場合に、図3に示すフィルム接続装置(スプライサー)38にてその引き出された帯状フィルム21の後端に予備用の原反ロール20から引き出された帯状フィルム21の先頭を接続し、帯状フィルム21を包装機本体12に対して連続して供給できるようにしている。
【0019】
フィルム供給装置13は、原反ロール20から連続して引き出された帯状フィルム21を所定の搬送経路で搬送し、包装機本体12の搬入部位に導くためのローラ22(図2では代表して1つのみ描画している)を備える。さらに、フィルム供給装置13は、後述するように帯状フィルム21の所定位置にヘムシール部を形成するヘムシール装置40が組み込まれている。つまり、本実施形態のフィルム供給装置13は、平坦なシート状の帯状フィルム21を搬送し、その搬送途中でヘムシール部を形成し、ヘムシール部付きの帯状フィルムを包装機本体12に供給する。
【0020】
帯状フィルム21は、一方の面(包装体34における内周面)が加熱により溶融し、その同一面の接触部位同士が熱シールされるシーラント面となり、他方の面(包装体34における外側表面)は、加熱されても溶融しない非シール面となる。
【0021】
包装機本体12は、搬入側に製袋器24を備え、フィルム供給装置13から供給される帯状フィルム21を製袋器24に通過させることにより、筒状に製袋する。また、製品搬送供給装置11から順次搬出される製品14は、製袋器24に供給される。
【0022】
さらに包装機本体12は、製袋器24の下流側に、製袋器24を通過して筒状に製袋された帯状フィルム21の両側縁21′を重ね合わせた部位を挟み込んで搬送力を与えるピンチローラ29と、その重ね合わせた部位をシールするセンターシール装置27と、製品14を内包する筒状フィルム25の搬送路を構成する下部ベルト26が、その順に設けられている。さらに、その下部ベルト26の上方所定位置に上部抑えベルト28が配置され、さらにその進行方向前方にエンドシール装置30が配置されている。上部抑えベルト28は、エンドシール装置30の手前側に配置し、製品14が上方に浮き上がるのを抑制する。これにより、筒状フィルム25の所定位置(製品14の存在しない部分)がエンドシール装置30で正しくシール・カットされ、製品14の噛み込みが発生するのを抑制する。
【0023】
エンドシール装置30は、上下に対向して配置された一対のトップシーラ31,32を備えている。上側のトップシーラ31はその下面がシール面31aとなり、下側のトップシーラ32はその上面がシール面32aとなる。さらに、上側のトップシーラ31の下方には、カッター刃を内蔵している。そして、両トップシーラ31,32は、それぞれのシール面31a,32aを対向させた状態を維持しながら、互いに接近離反移動したり前後移動したりすることで、略矩形の軌跡で移動する。そして、両トップシーラ31,32が互いに接近移動し、シール面31a,32a同士が筒状フィルム25の所望部位(前後の製品14の間)上下から挟み込み熱シールするとともに、カッター刃にて筒状フィルム25が横方向にカットされる。これにより、筒状フィルム25の先端部分(先頭の製品14を内包する部分)は、分離され、包装体34が製造される。そして、この包装体34が搬出コンベア装置35上を搬送される。
【0024】
これらの横型ピロー包装機10としての基本構成は、従来と同様であるのでその詳細な説明を省略する。もちろん、本発明が適用される横型ピロー包装機は、これ以外にも各種の構成を用いることができ、帯状フィルムを下側から供給し、センターシール部が搬送路の上方に配置される逆ピロー包装機ももちろん良い。エンドシール装置も、ボックスモーションタイプに限ることはなく、その場で昇降移動する(前後移動はしない)タイプや、回転式など各種のものに適用できる。
【0025】
図2に模式図として2つの原反ロール20と、1つのローラ22と、ヘムシール装置40を示したフィルム供給装置13の具体的な構成は、図3に示すようになっている。すなわち、このフィルム供給装置13は、起立した機枠の上方所定位置に、2本の回転支持軸36が、片持ち支持状態で回転自在に平行に取り付けられている。このそれぞれの回転支持軸36に、原反ロール20が装着され、回転支持軸36と原反ロール20が一体に回転する。
【0026】
それぞれの原反ロール20から引き出された帯状フィルム21は、スプライサー38に導かれ、一方の使用中の原反ロール20から繰り出されている帯状フィルム21は、そのスプライサー38を通過し、複数のローラ22に掛け渡されることで、所望の搬送経路で搬送される。ローラ22は、帯状フィルム21に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状フィルム21の搬送方向を変更するフリーローラなどがある。
【0027】
また、他方の予備用の原反ロール20から引き出された帯状フィルム21の先端は、スプライサー38の位置に導かれて待機する。そして、スプライサー38は、使用中の原反ロールを使いきった際に、その原反ロールから繰り出されていた帯状フィルムの後端に、新しい原反ロールに巻き取られている原反ロールの先端を自動で接合するようになっている。
【0028】
このスプライサー38の下流側に、ヘムシール装置40が配置される。このヘムシール装置40は、平坦なシート状の帯状フィルム21の搬送途中で、その搬送方向と平行な所定位置(製袋器で筒状に形成した際の四隅に対応する位置)に折り線を形成し、その形成した折り線を利用して帯状フィルム21の所定位置を折り畳んで重なった部位をシールすることでヘムシール部を形成するとともに、そのシール時にヘムシール部を帯状フィルム21のフィルム面に沿うようにする。
【0029】
そして、係る4本のヘムシール部の形成は、本実施形態では、図4に示すように2本ずつ2回に分けて形成するようにしている。ここでは、第1ヘムシール形成部41にて、帯状フィルム21の外側の2本のヘムシール部45を形成し、その第1ヘムシール形成部41の下流側に配置した第2ヘムシール形成部42にて、内側中央の2本のヘムシール部46を形成する。さらに本実施形態では、第2ヘムシール形成部42の下流側に、折り線形成部43を配置し、外側のヘムシール部45と内側のヘムシール部46の中間地点に、折り線47を形成するようにしている。後述するように、各ヘムシール部45,46は、包装体34の四隅に位置し、折り線47はその包装体34の側面の中間に形成され、その側面を内側に谷折り状態にするために用いられる。この折り線47を形成するのが、本発明に係る折り線形成装置の一実施形態の装置である。
【0030】
このように、本実施形態では、帯状フィルム21の搬送方向に沿って順に第1ヘムシール形成部41と、第2ヘムシール形成部42を形成し、ヘムシール部を2個ずつ形成するようにしたため、帯状フィルム21の蛇行を抑制できる。すなわち、ヘムシール部45,46は、帯状フィルム21の所定のフィルム部位を折り重ねて形成するため、その形成に際し幅寄せがされる。そのため、4カ所同時にヘムシール部45,46を形成するようにすると、ヘムシール部45,46の形成前の平坦なシート状の帯状フィルム21のフィルム幅に比べて、ヘムシール部45,46の形成後におけるフィルム幅が大幅に短くなり、一気に幅寄せされることから帯状フィルム21に対して搬送方向と直交する方向の付勢力が大きくかかり帯状フィルム21が蛇行するおそれがある。これに対し、本実施形態では、2回に分けてヘムシール部を形成することで、1つのヘムシール形成部では2カ所のヘムシール部を形成するようになり、帯状フィルム21のフィルム幅の減少量を半減することができる。そのため、帯状フィルム21が蛇行することを可及的に抑制できる。なお、後述するように、本実施形態では、ヘムシール部45,46の突出量を小さくすることができる。従って、その突出量を適宜に設定することで、4カ所同時にヘムシール部を形成することも可能である。
【0031】
第1ヘムシール形成部41は、外側の2つのヘムシール部45の形成領域にそれぞれ2本ずつの折り線を形成すると共にフィルムを加熱する第1折り線形成加熱部51と、その第1折り線形成加熱部51で形成した折り線に沿って折り重なるように折り曲げられたフィルム部位を加圧する第1プレス部52と、を備えている。
【0032】
図5,図6(b)に示すように、第1折り線形成加熱部51は、帯状フィルム21を挟んで対向配置された大径円盤状の第1折り線形成ローラ61と、小径円盤状の2個の第2折り線形成ローラ62のペアを2組備えている。第1折り線形成ローラ61は、機枠に軸受け支持されたヒータ内蔵の回転軸63に取り付けられている。回転軸63は、帯状フィルム21の搬送方向と直交する方向に延びるように配置される。この回転軸63は、図外の駆動モータに連結され、帯状フィルム21の搬送速度に併せて回転するようになっている。さらに、各第1折り線形成ローラ61は、回転軸63の軸方向にそれぞれ独立して移動可能としている。そして、所望の位置で固定ネジを締め付けることで、第1折り線形成ローラ61を回転軸63に固定し、一体に回転するようになる。また、回転軸63並びに第1折り線形成ローラ61は、ステンレスその他の金属等の熱伝導性の良好な材料で形成され、回転軸63に内蔵されたヒータの熱が、第1折り線形成ローラ61に伝わり、帯状フィルム21を加熱できるようになっている。
【0033】
第2折り線形成ローラ62は、軸受け板64に回転自在に取り付けられている。この軸受け板64は、ベース台65に取り付けられ、そのベース台65に連結されたスライダ(図示省略)が、回転軸63と平行に設置されたガイドレールと符合し、そのガイドレールに沿って往復移動するようになっている。よって、スライダ(ベース台65)を移動させると、それにともない軸受け板64ひいては第2折り線形成ローラ62が帯状フィルム21に対して横方向に移動する。つまり、この移動により、第2折り線形成ローラ62が帯状フィルム21に接触する位置の側縁から中央に向けての距離を調整することができるようになる。
【0034】
さらに、ベース台65は、スプリング等の付勢手段により第1折り線形成ローラ61側に向けて付勢されるようになっている。これにより、第2折り線形成ローラ62は、所定の圧力で第1折り線形成ローラ61に向けて付勢する。
【0035】
その結果、第1,第2折り線形成ローラ61,62をそれぞれ適宜位置に移動し、両折り線形成ローラ61,62が当接して帯状フィルム21の任意の位置を所定圧力で挟むとともに、接触したフィルム部位を加熱することができる。また、第2折り線形成ローラ62は、フリー状態となっており、上記回転軸63の回転にともなって回転する第1折り線形成ローラ61の回転力を受けて(動作中は帯状フィルム21を介して)回転するようになっている。
【0036】
図6(b),図7に示すように、第1折り線形成ローラ61は、円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面に、径方向外側(相手側)に山状に突出する第1突条61aを設けている。同様に、第2折り線形成ローラ62は、その円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面に、径方向外側(相手側)に山状に突出する第2突条62aを設けている。これら第1突条61a,第2突条62aは、共に図示する略三角形の山状のものが円周方向に連続して一周した形状からなる。また、その外形状は、非対称とし、両突条61a,62aの対向する面側を急峻にしている。そして、第1突条61aを帯状フィルム21の側縁側(回転軸63の軸方向外側)に位置するように設定する。
【0037】
図6(a)に示すように平坦状の帯状フィルム21は、図6(b),図7に示すように、第1折り線形成ローラ61と第2折り線形成ローラ62との間を通過することで、両ローラ61,62に挟み込まれる。このとき、帯状フィルム21は、第1突条61a,第2突条62a間で挟まれて折り曲げられる。より具体的には、それぞれの頂点61a′,62a′により付勢され、その頂点61a′,62a′に接触する部位に折り線が形成される。つまり、帯状フィルム21の側縁側から順に谷折り線21a,山折り線21b(第2折り線形成ローラ62側を基準)の2本の折り線が、それぞれ形成される。
【0038】
さらに本実施形態では、第1折り線形成ローラ61の周面には、第2突条62aの頂点62a′に対向する部位、すなわち、第1突条61aの麓に近接して第1凹溝61bが形成されている。この第1凹溝61bは、第1折り線形成ローラ61の円周方向に連続して形成される。そして、第2突条62aの頂点62a′が、第1凹溝61b内に入り込む。第1凹溝61bの内形状(断面)と、第2突条62aの頂点62a′部分の外形状(断面)とを略一致させ、符合する設定にすると、第2突条62aの頂点62a′で折り込まれたフィルム部位は、山折り線21bがしっかりと形成される。
【0039】
同様に、第2折り線形成ローラ62の周面には、第1突条61aの頂点61a′に対向する部位、すなわち、第2突条62aの麓に近接して第2凹溝62bが形成されている。この第2凹溝62bは、第2折り線形成ローラ62の円周方向に連続して形成される。そして、第1突条61aの頂点61a′が、第2凹溝62b内に入り込む。第2凹溝62bの内形状(断面)と、第1突条61aの頂点61a′部分の外形状(断面)とを略一致させ、符合する設定にすると、第1突条61aの頂点61a′で折り込まれたフィルム部位は、谷折り線21aがしっかりと形成される。さらにまた、第2折り線形成ローラ62の周面の第2凹溝62bの外側の領域は、平坦部62cが形成されており、その平坦部62cに対向するフィルム部位は、通過前の平坦な帯状フィルム21aの搬送高さ位置との関係や、帯状フィルム21の両側縁側はフィルムの両面から挟み持たれてピンと張っているわけではないこともあり、図7に示すように、平坦部62cに接触しない(係るフィルム部位が帯状フィルム21全体と平行とすると、破線で示すように平坦部26cと接触してしまう)。このように非接触とするとこで、帯状フィルム21がケロイド状態になるおそれを可及的に抑制できる。
【0040】
これにより、第2凹溝62bの部分で谷折り線21aがしっかりと形成されるものの、帯状フィルム21の谷折り線21aの外側のフィルム部位は、平坦部62cに案内されてそのまま真っ直ぐ横に延びるので、この一対の第1折り線形成ローラ61と第2折り線形成ローラ62を通過することでは、谷折り線21aと山折り線21bの2本のペアが形成されることになる。
【0041】
また、第1突条61aの高さhと、第2突条62aの高さh′は、ヘムシール部の幅(突出長さ)と略一致させている。厳密には、ヘムシール部の幅は、両突条61a,62aの対向する斜辺の長さのため、h(h′)はヘムシール部の幅よりも短い。上記の構成を採ることで、図6(c)に示すように、帯状フィルム21は、第1折り線形成加熱部51を通過することで、両側縁側にそれそれぞれ谷折り線21aと山折り線21bのペアが2組しっかりと形成される。そして、ペアを構成する谷折り線21aと山折り線21bの間隔は、上記の第1突条61aの高さh(=第2突条62aの高さh′)+αとなる。
【0042】
このように、帯状フィルム21の外側から順に谷折り線21a,山折り線21bがしっかりとその順で形成されることに伴い、第1折り線形成加熱部51(第1,第2折り線形成ローラ61,62)を通過したフィルム部位は、図6(c)に示すように、山折り線21bの部分が外側に倒れる(谷折り線21aが内側に折られる)ように折り曲げ変形することになる。
【0043】
さらに、帯状フィルム21は、第1折り線形成ローラ61により加熱される。上述したように、帯状フィルム21は、一方の面が熱シール可能なシーラント面となっているが、そのシーラント面が第1折り線形成ローラ61側に向くようにセットする。さらに、第1折り線形成ローラ61の周面の第1凹溝61bの外側の領域は、平坦部61cが形成されており、その平坦部61cに帯状フィルム21が接触するようになる。
【0044】
そして、帯状フィルム21の第1折り線形成ローラ61側のシーラント面のうち、第1折り線形成ローラ61の周面に近接するフィルム部位が加熱されて溶融する。特に、第1突条61aの急峻な面と、第1凹溝61b並びに平坦部61cに対向するフィルム部位が、しっかりと加熱される。そして、上述したように、第1折り線形成加熱部51を通過後の帯状フィルム21は、山折り線21bの部分が外側に倒れることから(谷折り線21aが内側に折られることから)、谷折り線21aと山折り線21bで挟まれるフィルム部位21cは、帯状フィルム21の谷折り線21aの外側のフィルム部位21dに折り重なることになる。つまり、このフィルム部位21cが内側に倒れ込むことにより、溶融したシーラント面は、フィルム部位21dと対向して接触することになる。
【0045】
第1プレス部52は、帯状フィルム21を挟んで配置される一対のプレスローラ52a,52bを備えている。図示省略するが、この一対のプレスローラ52a,52bは、横型ピロー包装機の機枠等に回転自在に軸受支持された回転軸に取り付けられ、一体に回転するように構成できる。そして、このプレスローラ52a,52bは、円周方向の周面は平坦面となり、上記の折り重なったフィルム部位21c,21dを含む領域を加圧する。これにより、上記の加熱溶融された状態のフィルム部位21cのシーラント面が、フィルム部位21dに加圧されるとともに、冷却もされてしっかりと熱シールされる。これにより、外側の2つのヘムシール部45が形成される。このヘムシール部45の幅(外側への突出量)は、たとえば2mm程度或いはそれ以下に抑えることもできる。突出量が2mm必要とすると、フィルムを折り重ねることから1つのヘムシール部で4mmのフィルム幅が必要となり、ヘムシール部を四隅に設けると、合計で16mm分フィルム幅が長くかかることになる。これは、従来のもの(ヘムシール部の突出量が5mmで全体で40mm必要)に比べて、フィルムの消費量が少なくて済む。
【0046】
なお、第1折り線形成ローラ61の平坦部61cの接触していたフィルム部位21d′もそのシーラント面が溶融状態となっており、フィルム部位21cの倒れ込みに伴いフィルム部位21c,21d′も折り重なり、上記のプレスローラ52a,52bにて当該フィルム部位21c,21d′も加圧されるが、非シール面が接触しているので熱シールされない。
【0047】
なお、本実施形態では、第1折り線形成ローラ61側を帯状フィルム21のシーラント面としたため、係るシーラント面が直接ローラ61にて加熱され、しっかり溶融されるが、フィルム部位21dは直接加熱されないため、折り重なったフィルム部位21c,21dの接触面は、一方のフィルム部位21cのみが溶融した状態となる。ヘムシールの場合、包装体を閉塞するエンドシールやセンターシールと相違し、それらエンドシール等までのシール強度は要求されないため、片面のみ溶融された状態でのシールでも問題はない。また、第2折り線形成ローラ62側をシーラント面とするとことで、フィルム部位21cの倒れ込みに伴うフィルム部位21c,21d′の接触面が共に溶融した状態となるので、より強固なシール強度を得ることができる。その場合、第1凹溝61bの最深部から平坦部61cの外側までの長さを、第1凹溝61bの最深部から第1突条61aの頂点61a′までの長さと等しくすることで、接触するフィルム部位21c,21d′の溶融した部位が一致する。
【0048】
第2ヘムシール形成部42は、内側の2つのヘムシール部46の形成領域にそれぞれ2本ずつの折り線を形成すると共にフィルムを加熱する第2折り線形成加熱部53と、その第2折り線形成加熱部53で形成した折り線に沿って折り重なるように折り曲げられたフィルム部位を加圧する第2プレス部54と、を備えている。
【0049】
図5,図8に示すように、第2折り線形成加熱部53は、帯状フィルム21を挟んで対向配置された大径円盤状の第3折り線形成ローラ71と、小径円盤状の2個の第4折り線形成ローラ72のペアを2組備えている。第3折り線形成ローラ71が、帯状フィルム21の非シール面側に位置する設定とする。
【0050】
第3折り線形成ローラ71は、機枠に軸受け支持されたヒータ内蔵の回転軸73に取り付けられている。回転軸73は、帯状フィルム21の搬送方向と直交する方向に延びるように配置される。この回転軸73は、図外の駆動モータに連結され、帯状フィルム21の搬送速度に併せて回転するようになっている。さらに、各第3折り線形成ローラ71は、回転軸73の軸方向にそれぞれ独立して移動可能としている。そして、所望の位置で固定ネジを締め付けることで、第3折り線形成ローラ71を回転軸73に固定し、一体に回転するようになる。また、回転軸73並びに第3折り線形成ローラ71は、ステンレスその他の金属等の熱伝導性の良好な材料で形成され、回転軸73に内蔵されたヒータの熱が、第3折り線形成ローラ71に伝わり、帯状フィルム21を加熱できるようになっている。
【0051】
第4折り線形成ローラ72は、軸受け板74に回転自在に取り付けられている。この軸受け板74は、ベース台75に取り付けられ、そのベース台75に連結されたスライダ(図示省略)が、回転軸73と平行に設置されたガイドレールと符合し、そのガイドレールに沿って往復移動するようになっている。よって、スライダ(ベース台75)を移動させると、それにともない軸受け板74ひいては第4折り線形成ローラ72が帯状フィルム21に対して横方向に移動する。つまり、この移動により、第4折り線形成ローラ72が帯状フィルム21に接触する位置の側縁から中央に向けての距離を調整することができるようになる。
【0052】
さらに、ベース台75は、スプリング等の付勢手段により第3折り線形成ローラ71側に向けて付勢されるようになっている。これにより、第4折り線形成ローラ72は、所定の圧力で第3折り線形成ローラ71に向けて付勢する。
【0053】
その結果、第3,第4折り線形成ローラ71,72をそれぞれ適宜位置に移動し、両折り線形成ローラ71,72が当接して帯状フィルム21の任意の位置を所定圧力で挟むとともに、接触したフィルム部位を加熱することができる。また、第4折り線形成ローラ72は、フリー状態となっており、上記回転軸73の回転にともなって回転する第3折り線形成ローラ71の回転力を受けて(動作中は帯状フィルム21を介して)回転するようになっている。
【0054】
これらの基本構成は、第1折り線形成ローラ61や第2折り線形成ローラ62と同様である。そして、第2ヘムシール形成部42は、内側の2つのヘムシール部46を形成するため、第2折り線形成加熱部53を構成する第3折り線形成ローラ71,第4折り線形成ローラ72は、第1折り線形成加熱部51を構成する第1折り線形成ローラ61,第2折り線形成ローラ62よりも内側、すなわち、帯状フィルム21の中央側に位置するように設定される。
【0055】
そして、内側のヘムシール部46を形成するためには、外側のヘムシール部45と反対側に折り曲げる必要があるので、第3折り線形成ローラ71の円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面に形成した径方向外側(相手側)に山状に突出する第3突条71aと、第4折り線形成ローラ62の円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面に形成した径方向外側(相手側)に山状に突出する第4突条72aは、回転軸73の軸方向での配置順番を逆にする。
【0056】
すなわち、第3突条71a,第4突条72aは、共に図示する略三角形の山状のものが円周方向に連続して一周した形状からなる。また、その外形状は、非対称とし、両突条71a,72aの対向する面側を急峻にしている。そして、第3突条71aを第2突条72aに対して帯状フィルム21の中央側(回転軸63の軸方向中央側)に位置するように設定する。
【0057】
図8に示すように帯状フィルム21の側縁側に谷折り線21a,山折り線21bで折り曲げられてヘムシール部45が形成された状態の帯状フィルム21は、第3折り線形成ローラ71と第4折り線形成ローラ72との間を通過することで、両ローラ71,72に挟み込まれる。このとき、帯状フィルム21は、第3突条71a,第4突条72a間で挟まれて、折り曲げられる。つまり、帯状フィルム21の側縁側から順に山折り線21e,谷折り線21f(第4折り線形成ローラ72側を基準)の2本の折り線が、それぞれ形成される。
【0058】
さらに本実施形態では、第3折り線形成ローラ71の周面には、第2突条72aの頂点72a′に対向する部位、すなわち、第3突条71aの基端部に近接して第3凹溝71bが形成されている。この第3凹溝71bは、第3折り線形成ローラ71の円周方向に連続して形成される。そして、第4突条72aの頂点72a′が、第3凹溝71b内に入り込む。第3凹溝71bの内形状(断面)と、第4突条72aの頂点72a′部分の外形状(断面)とを略一致させ、符合する設定にすると、第4突条72aの頂点72a′で折り込まれたフィルム部位は、山折り線21eがしっかりと形成される。
【0059】
同様に、第4折り線形成ローラ72の周面には、第3突条71aの頂点71a′に対向する部位、すなわち、第4突条72aの麓に近接して第4凹溝72bが形成されている。この第4凹溝72bは、第4折り線形成ローラ72の円周方向に連続して形成される。そして、第3突条71aの頂点71a′が、第4凹溝72b内に入り込む。第4凹溝72bの内形状(断面)と、第3突条71aの頂点71a′部分の外形状(断面)とを略一致させ、符合する設定にすると、第3突条71aの頂点71a′で折り込まれたフィルム部位は、谷折り線21fがしっかりと形成される。
【0060】
また、第3突条71aの高さと、第4突条72aの高さは、ヘムシール部の幅(突出長さ)と略一致させている。上記の構成を採ることで、図8(b)に示すように、帯状フィルム21は、第2折り線形成加熱部53を通過することで、外側のヘムシール部45の内側に、それぞれ山折り線21eと谷折り線21fのペアが2組しっかりと形成される。そして、ペアを構成する山折り線21eと谷折り線21fの間隔は、上記の第3突条71aの高さ(=第4突条72aの高さ)+αとなる。
【0061】
このように、帯状フィルム21の外側から順に山折り線21e,谷折り線21fがしっかりとその順で形成される(中央側が谷折り線21f)ことに伴い、第2折り線形成加熱部53(第3,第4折り線形成ローラ71,72)を通過したフィルム部位は、図8(b)に示すように、山折り線21eの部分が帯状フィルム21の中央側に倒れるように折り曲げ変形することになる(谷折り線21fが山折り線21eに比べて外側に位置する)。
【0062】
さらに、帯状フィルム21は、第3折り線形成ローラ71により加熱される。上述したように、帯状フィルム21は、一方の面がシーラント面となっており、係るシーラント面が第3折り線形成ローラ71側に来るようになる。さらに、第3,第4折り線形成ローラ71,72の周面の第1,第2凹溝71b,72bの外側の領域は、平坦部71c,72cが形成されており、それら平坦部71c,72cに帯状フィルム21が接触するようになる。
【0063】
そして、帯状フィルム21は、第3突条71aの急峻な面と、第3凹溝71b並びに平坦部71cに対向するフィルム部位がしっかりと加熱されて溶融する。その結果、第2折り線形成加熱部53を通過後の帯状フィルム21は、山折り線21eの部分がフィルム中央側に倒れることから、谷折り線21fと山折り線21eで挟まれるフィルム部位21gは、帯状フィルム21の谷折り線21fより中央側のフィルム部位21hに折り重なることになり、ここが最終的に内側のヘムシール部46となる。
【0064】
さらに、第3折り線形成ローラ71は、その周面に設けた平坦部71cに対向するフィルム部位は、図8に示すように、平坦部71cに接触しない(係るフィルム部位が帯状フィルム21全体と平行とすると、破線で示すように平坦部71cと接触してしまう)。これは、第3折り線形成ローラ71の軸方向外側に位置する帯状フィルム21の両側縁のフィルム部位は、フィルムの両面から挟み持たれてピンと張っているわけではないこともあり、図7に示すように、平坦部62cに接触しない。特に、第3折り線形成ローラ71は、加熱されているため、その第3折り線形成ローラ71にフィルム部位が触れると、そのヒータにより加熱された当該熱が直接フィルム部位に加わるため、ケロイド状になる可能性が高くなるが、本実施形態ではそれを抑えることができる。
【0065】
なお、帯状フィルム21の中央のフィルム部位は、第4折り線形成ローラ72の平坦部72cに接触しているが、これは、2つの第4折り線形成ローラ72の平坦部72cが比較的近い位置に存在し、帯状フィルム21のフィルム部位をピンと張った状態で支持する。
【0066】
上記の第2折り線形成加熱部53の下流側に配置される第2プレス部54は、帯状フィルム21を挟んで配置される一対のプレスローラ54a,54bを備えている。図示省略するが、この一対のプレスローラ54a,54bは、横型ピロー包装機の機枠等に回転自在に軸受支持された回転軸に取り付けられ、一体に回転するように構成できる。そして、このプレスローラ54a,54bは、円周方向の周面は平坦面となり、上記の折り重なったフィルム部位21g,21hを含む領域を加圧する。これにより、上記の加熱溶融された状態の折り重なったフィルム部位21g,21hが、加圧されるとともに、冷却もされてしっかりと熱シールされて内側の2つのヘムシール部46が形成される。
【0067】
帯状フィルム21は片面のみがシーラント面としているので、上記のフィルム部位21g,21hが帯状フィルム21の表面に沿って倒れ込みにより発生している帯状フィルム21の非シール面同士が接触しているフィルム部位21g,21h′を一対のプレスローラ54a,54bで加圧しても熱シールされることはない。
【0068】
第2ヘムシール形成部42の下流側に配置される折り線形成装置たる折り線形成部43は、図5,図9,図10に示すように、上述した第1,第2折り線形成加熱部51,53と類似する構成を採り、帯状フィルム21に接触する周面の形状をそれらと異ならせている。すなわち、折り線形成部43は、帯状フィルム21を挟んで対向配置された大径円盤状の第5折り線形成ローラ81と、小径円盤状の2個の第6折り線形成ローラ82のペアを2組備えている。第5折り線形成ローラ81は、機枠に軸受け支持された回転軸83に取り付けられている。回転軸83は、帯状フィルム21の搬送方向と直交する方向に延びるように配置される。この回転軸83は、図外の駆動モータに連結され、帯状フィルム21の搬送速度に併せて回転するようになっている。さらに、各第5折り線形成ローラ81は、回転軸83の軸方向にそれぞれ独立して移動可能としている。そして、所望の位置で固定ネジを締め付けることで、第5折り線形成ローラ81を回転軸83に固定し、一体に回転するようになる。
【0069】
なお、折り線形成部43では、折り線を付けるだけでその後にその折り線付近のフィルム部位を重ねて熱シールするわけではないので、第1,第2折り線形成加熱部51,53のように回転軸83内にヒータを内蔵する必要は必ずしもないが、ヒータを内蔵して帯状フィルム21を加熱し折り線を形成しやすく(形成した折り線の形態を保持しやすく)しても良い。すなわち、熱により帯状フィルムを軟化させたところに折り線形成ローラにより折り癖付けを行い、その後帯状フィルムが冷えて癖付けされた折り線が維持される。
【0070】
そしてヒータを内蔵する場合、回転軸83並びに第5折り線形成ローラ81は、ステンレスその他の金属等の熱伝導性の良好な材料で形成され、回転軸83に内蔵されたヒータの熱が、第5折り線形成ローラ81に伝わり、帯状フィルム21を加熱しやすくすると効率がよい。なおまた、ヒータを内蔵する場合でも熱シールはしないので、その第5折り線形成ローラ81の表面温度は、第1,第3折り線形成ローラ61,71の表面温度よりも低い設定になるようにヒータ温度を調整すると良い。
【0071】
第6折り線形成ローラ82は、軸受け板84に回転自在に取り付けられている。この軸受け板84は、ベース台85に取り付けられ、そのベース台85に連結されたスライダ(図示省略)が、回転軸83と平行に設置されたガイドレールと符合し、そのガイドレールに沿って往復移動するようになっている。よって、スライダ(ベース台65)を移動させると、それにともない軸受け板64ひいては第6折り線形成ローラ82が帯状フィルム21に対して横方向に移動する。つまり、この移動により、第6折り線形成ローラ82が帯状フィルム21に接触する位置の側縁から中央に向けての距離を調整することができるようになる。
【0072】
さらに、ベース台85は、スプリング等の付勢手段により第5折り線形成ローラ81側に向けて付勢されるようになっている。これにより、第6折り線形成ローラ82は、所定の圧力で第5折り線形成ローラ81に向けて付勢する。
【0073】
その結果、第5,第6折り線形成ローラ81,82をそれぞれ適宜位置に移動し、両折り線形成ローラ81,82が当接して帯状フィルム21の任意の位置を所定圧力で挟むことができる(ヒータ内蔵の場合、接触したフィルム部位を加熱することができる)。また、第6折り線形成ローラ82は、フリー状態となっており、上記回転軸83の回転にともなって回転する第5折り線形成ローラ81の回転力を受けて(動作中は帯状フィルム21を介して)回転するようになっている。
【0074】
図9,図10に示すように、第5折り線形成ローラ81は、円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面を全体的に平坦面としつつ、その幅方向中央に径方向外側(相手側)に小さい山状に突出する2つの第5突条81aを設けている。この第5突条81aの高さは、他の突条61a,71aに比べると十分に小さくしている。そして、2つの第5突条81aの間には、第5凹溝81bが形成される。
【0075】
また、第6折り線形成ローラ82は、円周方向の周面、つまり、帯状フィルム21に対向する面を全体的に平坦面としつつ、その幅方向中央に径方向外側(相手側)に小さい山状に突出する第6突条82aを設けると共に、その第6突条82aの左右の両麓に,第6凹溝82bを設けている。そして、第6突条82aは、第5折り線形成ローラ81の第5凹溝81bに対向し、第6凹溝82bは、第5折り線形成ローラ81の第5突条81aに対向する位置に設定され、使用状態では図示するように突条が凹溝内に入り込むようにしている。
【0076】
さらに、図10に示すように、高さa(突条82aの先端から第6折り線形成ローラ82の平坦部までの高さ)と、高さb(第6折り線形成ローラ82の平坦部を基準とする第6凹溝の深さ)との関係を、高さa>高さbとする。
【0077】
このようにすれば、第5折り線形成ローラ81の左右の第5突条81aによってフィルムが抑えられた状態になり、突条82aによって折り線をしっかりと形成することができる。すなわち、通常この種の折り癖を付ける場合、図1(c)にも示したように、帯状フィルムを挟み込む一対のローラの周面に、互いに符合し合う一組の突条と凹溝を設け、その突条と凹溝でフィルムを挟み込んで加圧することで折り癖を付けるようにしている。つまり、本実施形態で言うと、突条82aと凹溝81bのペアで帯状フィルムを加圧し、折り線(折り癖)を付けるようにしている。しかし、一組の突条82aと凹溝81bのみの場合、その突条82aの先端に沿って帯状フィルム21に山折り線21jが癖付けされようとするが、その山折り線21jの左右両側に繋がるすそのがなだらかとなり、腰が弱いフィルムなどでは第5,第6折り線形成ローラ81,82を通過後には、帯状フィルム21は広がってしまい山折り線21jの部分でしっかりとして山(折り線)が形成されない事態を生じる。これに対し、本実施形態では、その一組の突条82aと凹溝81bの両側にそれぞれ突条81a,凹溝82bを設けたので、第5,第6折り線形成ローラ81,82で挟まれた帯状フィルム21は、一組の突条82a,凹溝81bで形成される折り癖(山折り線21j)に沿って、その両側に反対向きの折り癖(谷折り線21k)が2組の突条81a,凹溝82bにて形成される。このように2組の突条81a,凹溝82bにて、1組の突条82a,凹溝81bで形成される山折り線21jと反対向きに折り曲げる(谷折り線21Kを形成する)ことで、山折り線21jを中心として折り曲げられるフィルム部位のふもとに谷折り線21kが形成されることから、フィルムの腰の強弱に関係無く折り線がしっかりと折り癖が付けられて形成される。
【0078】
さらに、これらの突条81a,82aと凹溝81b,82bが、第2ヘムシール形成部42までに形成されたペアとなる外側のヘムシール部45と内側のヘムシール部46の中間地点に位置するように設定されている。これにより、それら各ヘムシール部45,46が形成された帯状フィルム21が、この折り線形成部43を通過すると、帯状フィルム21の所定部位が係るローラ81,82で加圧されて突条81a,82aに接触する箇所に折り線が形成される。そして、突条81a,82aに対向する位置に凹溝81b,82bが配置されているので、その折り線は、しっかりと形成される。その結果、図9(b)に示すように、帯状フィルム21には、ペアとなるヘムシール部45,46間の中央に山折り線21jが形成されると共に、その山折り線21jの両側に谷折り線21kが形成される。これらの1本の山折り線21jとその両側に形成される2本谷折り線21kが、図4でまとめて1本の折り線47と描画した部分に対応する。
【0079】
このようにヘムシール装置40を通過することで、原反ロール20から繰り出される平坦なシート状の帯状フィルム21が、搬送途中で適宜位置にヘムシール部45,46や折り線47(山折り線21j,谷折り線21k)が形成された帯状フィルム21(図9(b)参照)となり、係る帯状フィルム21が、包装機本体12の製袋器24に供給される。各図において、帯状フィルム21は、山折り線や谷折り線にて折り曲げ(折り返し)てフィルム部位が折り重なった箇所が離れた状態で描画しているが、これは、フィルムの折り返しの状態をわかるようにしたためであり、上述した各説明から明らかなように、実際にはフィルム部位同士は接触した状態となり、ヘムシール部の部分では、帯状フィルム21のシーラント面同士が接触して熱シールされる。よって、製袋器24に供給される帯状フィルムは、ヘムシール部45,46も倒れて帯状フィルム21のフィルム面に重なった状態となり、ほぼ平坦なシート状になるので、製袋器24内で引っかかることなくスムーズに移動し、図11に示すように筒状に製袋される。なお、図11は、図9(b)との関係で帯状フィルム21を筒状に製袋する際の帯状フィルム21の両側縁21′の折り曲げ方向やシーラント面の位置関係等をわかり訳するため、側縁21′が上に来るように描画している。つまり、図9(b)の状態では、図中上側がシーラント面となっており、その状態から両側縁21′を上に持ち上げるようにして筒状に製袋することで、シーラント面が包装体の内側に位置すると共に、帯状フィルム21と平行に位置していたヘムシール部45,46が外側(包装体の横方向)に開き、かつ、側面に設けた山折り線21jが筒状に形成された包装体の内側に入り込む形態にできる。但し、図3から明らかなように、折り線形成部43の下流側で、帯状フィルム21の搬送経路が反転され、シーラント面の上下が逆になることから、実際に製袋器24に供給される際には,図9(b)とは天地が逆になり、筒状に製袋された帯状フィルム21の両側縁21′も、図11に示すのと逆で包装機本体では下側に位置するようになる。
【0080】
本実施形態では、一対の山折り線と谷折り線を形成することで、その折り線の部分でフィルム部位を折り曲げて、帯状フィルム21に対して折り重なるように倒すことができる。そして、山折り線と谷折り線で仕切られるフィルム部位Aと、折り重なった際にその領域に対向するシーラント面のフィルム部位Bがヘムシール部を構成することになるが、上記の倒した際に帯状フィルム21の他の領域と重なるので、帯状フィルム21の両側からプレスするだけで、フィルム部位A,B同士を熱シールできる。つまり、従来のようにフィルム部位A,Bだけを両側から挟む必要はないので、フィルム部位A,Bの幅が狭くても当該フィルム部位を加圧してシールすることができる。
【0081】
また、このように筒状に製袋されることにともない、ヘムシール部45,46は立ち上がって筒状に形成されたフィルムの胴体部分から外側に突出する。すなわち、帯状フィルムの外側の非シール面の部分は、製袋器24に供給される際は重なって接触しても接着はされていないので製袋される際に立ち上がることができる。その状態で包装機本体12を移動することで、四隅にヘムシール部45が形成されたヘムシール部付きのピロー包装体が製造できる。
【0082】
なお、上述した実施形態では、ヘムシール部45,46は横に突出するように形成されたが、谷折り線と山折り線の形成順番を逆にすることで、ヘムシール部を構成するフィルム部位の倒れ込む方向が反対になり、ヘムシール部45,46が縦(エンドシール部が形成された面を底面とした場合の上下方向)に突出するように形成することもできる。
【0083】
なおまた、上述した実施形態では、四隅にヘムシール部を設けたが、例えば帯状フィルムの側縁側のヘムシール部45を2カ所設ける(装置としては第1ヘムシール形成部41のみ設置し、第2ヘムシール形成部42や折り線形成部43を設けない態様とする)ことで、図12に示すような包装形態のものを製造することもできる。このようにヘムシール部の設置数は任意であり、設置数を変えることで新たな包装形態からなる包装体を提供することができる。
【0084】
また、第1,第2プレス部52,54は、一対のプレスローラ52a,52b,54a,54bにて帯状フィルム21の所定部位を挟み込んで加圧するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、一方のプレスローラ52a,54aのみでも良い。すなわち、帯状フィルム21は、各種のローラ22に掛け渡され、所定の搬送経路で搬送されるが、このとき、一定のテンションがかかった状態が保持される。よって、方向を変更するプレスローラ52a(54a)のみとし、反対側から帯状フィルムを抑えるローラ(プレスローラ52b,54b)が無くても、帯状フィルム21は、そのプレスローラ52a,54aを通過する際に、一定のテンションがかかるとともに冷却され、熱シールがされる。もちろん、プレスローラ52b,54bにて抑える方がより大きな力でプレスできるので力で確実に熱シールできるので、熱シールの確実性が要求される場合には本実施形態の構成を採る。
【0085】
さらにまた、上述した実施形態では、第1ヘムシール形成部41にて外側の2つのヘムシール部を形成し、第2ヘムシール形成部42にて内側の2つのヘムシール部を形成するようにした。このパターンが、帯状フィルム21の中心を取りながら搬送するのが容易にできるが、内側を先に形成してももちろん良い。また、片側半分(例えば左側の2本のヘムシール部)を先に形成し、次に残りの片側半分(例えば右側の2本のヘムシール部)を形成するようにしたり、包装体における対角線上に位置するヘムシール部のペアで形成しても良い。いずれのパターンをとる場合でも、本実施形態では、第1ヘムシール形成部41と第2ヘムシール形成部42に設けた各折り線形成ローラがそれぞれ独立して軸方向に移動できるので、各折り線形成ローラの位置を最終のヘムシール部の形成位置にセットするだけで対応できる。
【0086】
また、上述した実施形態では、ヘムシール部45付きの包装体を製造する横型ピロー包装機に組み込んだため、折り線形成装置(折り線形成部43)にて包装体の両側面中間を内側に折り込むために当該両側面の中央部位に折り線47を形成するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば図1(a)に示すようにヘムシール部が形成されていない包装体の四隅に折り癖を付けるタイプの包装体を製造する場合の当該四隅に対応するフィルム部位に折り線を形成するものにも適用できる。
【0087】
なお、係る場合、当該四隅に形成する折り線の折り曲げ方向は、中央に形成したものと逆向きになることから、大小の突条・凹溝の形成位置は、折り線形成部43のそれと逆になる。
【0088】
さらには、特許文献1等にも開示されているように、帯状フィルムの搬送方向と直交方向に折り線を形成する装置にも、本発明のように1組の突条と凹溝の両側に、2組の凹溝と突条を形成する機構を用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
10 横型ピロー包装機
11 製品搬送供給装置
12 包装機本体
13 フィルム供給装置
14 製品
21 帯状フィルム
40 ヘムシール装置
41 第1ヘムシール形成部
42 第2ヘムシール形成部
43 折り線形成部
45 ヘムシール部(外側)
46 ヘムシール部(内側)
47 折り線
51 第1折り線形成加熱部
52 第1プレス部
52a,52b プレスローラ
53 第2折り線形成加熱部
54 第2プレス部
54a,54b プレスローラ
61 第1折り線形成ローラ
61a 第1突条
61b 第1凹溝
61c 平坦部
62 第2折り線形成ローラ
62a 第2突条
62b 第2凹溝
63 回転軸(ヒータ内蔵)
71 第3折り線形成ローラ
71a 第3突条
71b 第3凹溝
71c 平坦部
72 第4折り線形成ローラ
72a 第4突条
72b 第4凹溝
73 回転軸(ヒータ内蔵)
81 第5折り線形成ローラ
81a 第5突条
81b 第5凹溝
82 第6折り線形成ローラ
82a 第6突条
82b 第6凹溝
83 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装機における帯状フィルムの搬送途中に設けられ、その帯状フィルムの所定位置に折り線を形成する包装フィルム用折り線形成装置であって、
前記帯状フィルムを挟んで対向配置される一対の折り線形成ローラを備え、
その一方の折り線形成ローラの円周方向の周面には、径方向外側に突出する突条Aを設けるとともに、その突条Aの軸方向両側に凹溝Aを形成し、
他方の折り線形成ローラの円周方向の周面には、前記突条Aに対向する部位に凹溝Bを設けるとともに、前記凹溝Aに対向する部位に突条Bを設け、
前記突条Aと前記凹溝Bで前記帯状フィルムを挟み込むことでその帯状フィルムに折り線を形成するとともに、前記突条Bと前記凹溝Aで前記帯状フィルムを挟み込むことでその折り線に沿ってその折り線と反対向きに折られた補助折り線を形成するようにしたことを特徴とする包装フィルム用折り線形成装置。
【請求項2】
前記一方の折り線形成ローラの円周方向の周面からの前記突条Aの高さは、その周面からの前記凹溝Aの深さよりも長くしたことを特徴とする請求項1に記載の包装フィルム用折り線形成装置。
【請求項3】
前記一対の折り線形成ローラの少なくとも片方には加熱手段を設け、一対の折り線形成ローラで挟み込んだ前記帯状フィルムを加熱するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装フィルム用折り線形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−111147(P2012−111147A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262639(P2010−262639)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】