説明

包装乾麺及びその保存方法

【課題】 包装されている乾麺に折れ等の損傷が発生するのを防ぐとともに、製造直後の乾麺の風味を長期間保持できる包装乾麺およびその保存方法を提供する。
【解決手段】 包装素麺1は、複数の素麺束2と、これら複数の素麺束2を包んだカバー3と、このカバー3を介して複数の素麺束2を真空パックした包装袋4とを備えている。複数の素麺束2は横一列に並んで配置されており、各素麺束2は複数の直線状の素麺21が紐22で束ねられて形成されている。またカバー3は前後端が開口した筒状に形成されており、包装袋4はこのカバー3を介して複数の素麺束2を密着させて真空パックするように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素麺やスパゲッティ等の直線状の乾麺を包装した包装乾麺に関する。
【背景技術】
【0002】
素麺、冷麦、蕎麦、うどん、スパゲッティ等に代表される乾麺は、古くから長期保存可能な食品として広く一般に普及している。これらの乾麺は、小麦粉、蕎麦粉等の粉類、水、少量の綿実油等の油類及び、麺の種別によっては塩等を含んで直線状に形成されており、通常は茹でて食するようになっている。
【0003】
またこれらの乾麺の中でも、特に素麺は長期保存が可能な乾麺として知られており、その細さに優れた製造技術が表れた一種の芸術的な食品である。さらにこの素麺は、製造から数年経過したものの方が、製造直後のものよりもコシがあって美味であるとも言われている。
【0004】
またこれらの乾麺を包装した包装乾麺としては、湿気を防ぐためにプラスチック製の袋で乾麺を包装したものが最も広く利用されている(特許文献1参照)。また、素麺、冷麦、うどん、蕎麦等の和風乾麺を包装した包装乾麺としては、約一人前分の乾麺を帯封したものを一束としてプラスチック製の包装袋で包装したものや、和紙で乾麺を包んで木箱に収めたもの等が知られている。
【特許文献1】特開2004−352357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装乾麺には二つの問題がある。第一の問題は、従来の包装乾麺の中には包装されている乾麺が外気との接触を防ぐことができないものがあり、長期保存する場合には以下のような現象が発生する。すなわち、乾燥した大気中に包装乾麺が長時間晒されると乾麺の表面に微細な毛羽立ち(凹凸)が発生し、その乾麺を茹でて食しても喉ごしが悪くなる。また乾麺が油分を含んでいる場合には、その油分が酸化して麺の風味を劣化させてしまう。
【0006】
第二の問題は、乾麺自体は硬くて脆い状態であり、包装された状態では一本一本が動くようになっているため、輸送時や取扱時等において乾麺に折れや割れ等の損傷が発生しやすい。その結果、梱包の際には少なくとも割れ物扱いをした包装が必要になって梱包コストが上昇するとともに、大量の包装乾麺を積み重ねた状態で積載することは困難であった。
【0007】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、包装されている乾麺に折れ等の損傷が発生するのを防ぐとともに、製造直後の乾麺の風味を長期間保持できる包装乾麺およびその保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の包装乾麺においては、複数の乾麺と、これら複数の乾麺を密着させて真空パックした包装袋と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
かかる構成においては、包装されている複数の乾麺同士が密着して擬似的に固化した塊状態になるとともに、包装されている複数の乾麺は外気と遮断される。
【0010】
さらに本発明の包装乾麺においては、前記包装袋は、排気率が80%〜99.8%に設定されて前記複数の乾麺を真空パックしたものが好ましい。
【0011】
この排気率は乾麺の種類(細さ)によって異なる。ここで単に乾麺の長期保存性を確保するのであれば、包装袋内を80%未満の排気率で真空状態にするとともに脱酸素剤を入れる等して酸化原因となる酸素を除去することは可能である。しかしながら80%未満の排気率で真空パックを行った場合には、疑似的に固化した包装乾麺の強度が十分でなく、輸送の際の振動や揺れ等の外的要因によって乾麺のズレが生じ易くなる。一方、排気率が99.8%を超えて真空パックを行う場合には特殊な真空装置が必要となるため、設備投資費用が上昇して好ましくない。
【0012】
また本発明の包装乾麺においては、前記複数の乾麺を少なくとも一つに束ねる束ね手段を備え、前記包装袋は、前記束ね手段によって束ねられた少なくとも一つの乾麺束を密着させて真空パックしたことを特徴としている。
【0013】
かかる構成において製造の際には、予め束ね手段で複数の乾麺を束ねておくことにより、乾麺を乾麺束にした状態で真空パックすることが可能になる。
【0014】
また本発明の包装乾麺においては、断面形状が三角形以上の多角形になるように形成されたことを特徴としている。
【0015】
かかる構成において収容空間に包装乾麺を配列して収容した際には、包装乾麺間の隙間が小さくなるため、多くの包装乾麺を収容することが可能になる。
【0016】
また本発明の包装乾麺においては、前記複数の乾麺を位置決めする位置決め手段を備え、前記包装袋は、前記位置決め手段で位置決めされた前記複数の乾麺を密着させて真空パックしたことを特徴としている。
【0017】
かかる構成において製造の際には、予め位置決め手段で複数の乾麺を位置決めしておくことにより、これらの乾麺を固定した状態で真空パックすることが可能になる。
【0018】
また本発明の包装乾麺においては、前記位置決め手段は、前記包装袋よりも固い材料を用いて形成されたことを特徴としている。
【0019】
かかる構成においては、包装乾麺全体の強度が上がる。
【0020】
さらに本発明の包装乾麺においては、前記位置決め手段は、前記複数の乾麺を包んで位置決めするカバーであって、このカバーは少なくとも一端側が開口していることを特徴としている。
【0021】
かかる構成においては、包装されている複数の乾麺がカバーで保護される。
【0022】
さらに本発明の包装乾麺においては、前記カバーが、真空パックした際に前記複数の乾麺に密着するように形成されたことを特徴としている。
【0023】
かかる構成において真空パックした際には、疑似固化状態が高まって包装乾麺全体の強度がさらに上がる。
【0024】
また本発明の包装乾麺においては、前記乾麺束は、位置決め時に丸棒状に形成されている一方、前記カバーは、位置決め時に前記乾麺束を複数載置させる載置面を有し、この載置面は、一端から他端側へ向けて複数の前記乾麺束が一端を揃えて且つ外周面を面接させた状態で一列に並ぶように形成されて、一番他端側に位置する前記乾麺束の一部が他端からはみ出るように前記乾麺束の並び方向の長さが設定されたことを特徴としている。
【0025】
かかる構成において真空パックした際には、乾麺間及び乾麺束間に存在している空気が排出されてカバーが乾麺に密着することにより疑似固化状態が高まって包装乾麺全体の強度がさらに上がる。
【0026】
また本発明の包装乾麺の保存方法においては、本発明の包装乾麺を冷蔵または冷凍して保存することを特徴としている。
【0027】
かかる構成においては真空パックに加えて冷蔵または冷凍保存することから、包装されている乾麺が油分を含んでいる場合には、油分の酸化を極端に遅らせることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の包装乾麺においては、包装されている複数の乾麺同士が密着して擬似的に固化した塊状態になるようにした。よって、包装されている乾麺に折れ等の損傷が発生するのを防ぐことができる。さらに真空パックしたことで、包装されている複数の乾麺が外気と遮断されるようにした。よって製造直後の乾麺の風味を長期間保持できる。
【0029】
また本発明の包装乾麺においては、製造の際に予め乾麺を乾麺束にした状態で真空パックすることが可能になるため、真空パックの作業効率を高めることができる。よって、生産性を高めることができる。
【0030】
また本発明の包装乾麺においては、収容空間に多くの包装乾麺を収容することが可能になるようにした。よって、収容性を高めることができる。
【0031】
また本発明の包装乾麺においては、製造の際に複数の乾麺を固定した状態で真空パックすることが可能になるため、真空パックの作業効率をさらに高めることができる。よって、生産性をさらに高めることができる。
【0032】
また本発明の包装乾麺においては、包装乾麺全体の強度が上がるようにした。よって、包装されている乾麺の損傷防止機能を高めることができ、輸送時において乾麺が振動で折れる等の不良発生を更に軽減することができる。
【0033】
また本発明の包装乾麺においては、包装されている乾麺が保護されるようにした。よって、包装されている乾麺の損傷防止機能をさらに高めることができる。
【0034】
また本発明の包装乾麺においては、真空パックした際に疑似固化状態が高まって包装乾麺全体の強度がさらに上がるようにした。よって、包装されている乾麺の損傷防止機能をさらに高めることができる。
【0035】
また本発明の包装乾麺の保存方法においては、包装されている乾麺が油分を含んでいる場合には油分の酸化を極端に遅らせることが可能になるようにした。よって、乾麺を常に一定の品質を保持した状態で長期間保存できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0037】
第1の実施の形態:
図1は本発明の第1の実施の形態を示す包装素麺1の斜視図であり、図2は図1のA−A断面図である。この包装素麺1は耐冷蔵性および耐冷凍性であり、複数の素麺束2と、これら複数の素麺束2を包んだカバー3と、このカバー3を介して複数の素麺束2を真空パックした包装袋4とを備えている。
【0038】
複数の素麺束2は横一列に並んで配置されており、各素麺束2は、周知の製造方法で製造された複数の直線状の素麺21が紐22で束ねられて形成されている。
【0039】
またカバー3は、包装袋4よりも固い紙材によって、前後端が開口した断面長方形の筒状に形成されており、真空パックした際には複数の素麺束2全体に密着するように形成されている。
【0040】
また包装袋4は透明の合成樹脂材によって形成されている。さらにこの包装袋4は、排気率が90%〜99.8%に設定されて、カバー3を介して複数の素麺束2を密着させて真空パックするように形成されている。
【0041】
かかる構成においては複数の素麺21が包装袋4に密着して真空パックされたことから、複数の素麺21同士が密着して擬似的に固化した塊状態になり、素麺21一本一本が動いてしまうことがない。よって、本実施の形態の包装素麺1においては、輸送時や取扱時等の際に包装されている素麺21に折れ等の損傷が発生するのを防ぐことができる。
【0042】
またこの結果、輸送時の際には、従来の包装素麺のように木箱等を使用して頑丈に梱包する必要がないので梱包コストの上昇が抑えられるとともに、大量の包装素麺1を積み重ねて積載することもできる。
【0043】
さらに素麺21を真空パックしたことから、包装されている素麺21が外気と遮断された状態になるため、気温や気候に影響されることなく常に一定の品質を保持でき、製造直後の風味を長期間保持できる。
【0044】
また複数の素麺21を真空パックする際の排気率は90%〜99.8%の範囲が好ましい。ここで単に素麺21の長期保存性を確保するのであれば、包装袋4内を90%未満の排気率で真空状態にするとともに脱酸素剤を入れる等して酸化原因となる酸素を除去することは可能である。しかし90%未満の排気率で真空パックを行った場合には、疑似的に固化した包装素麺1の強度が十分でなく、輸送の際の振動や揺れ等の外的要因によって乾麺のズレが生じ易くなる。一方、排気率が99.8%を超えて真空パックを行う場合には特殊な真空装置が必要となるため、設備投資費用が上昇して好ましくない。
【0045】
また素麺21は、気温の高い夏場での保存性を確保するために古来からの知恵として、気温の低い冬場に製造する場合には塩分の含有量を少なくし、気温の高い夏場に製造する場合には塩分の含有量を多くしている。そこで本実施の形態のような包装形態を採用すれば季節により塩分の含有量を変えて素麺21を製造する必要がなくなり、素麺21の製造コストを削減することができる。
【0046】
またこの包装素麺1を冷蔵または冷凍した場合には、素麺21に含まれている油分の酸化を極端に遅らせることが可能になる。よって、素麺21を常に一定の品質を保持した状態でさらに長期間保存することができる。
【0047】
またこの包装素麺1を製造する際には、まず紐22で複数の素麺21を束ねて素麺束2を形成する。次に、長方形状に展開されているカバー3の一端側31上にカバー3の長手方向3Xに沿って複数の素麺束2を縦にした状態で一列に並べて置き、カバー3の他端側32でこれらの素麺束2を巻いて一端側31に固定する。そして最後に、カバー3で包まれた複数の素麺21を包装袋4に入れ、包装袋4内の空気を排出して真空パックをする。
【0048】
このように包装素麺1を製造する際には、真空パックをする前に予め素麺21の束ね作業と、それに続く素麺束2の位置決め作業をしておくことで、複数の素麺束2を固定した状態で真空パックすることが可能になるため、真空パックの作業効率を高めることができる。よって、生産性を高めることができる。
【0049】
なお本発明の束ね手段は、本実施の形態で説明した紐22の他にプラスチック製の封帯等、所定量の素麺21を束ねることが可能な全ての概念を含むものである。また束ね手段および束ね手段によって形成される素麺束2の数は特に限定されることはなく、包装する素麺21の量に応じて適宜決めて良い。
【0050】
またカバー3は、包装袋4よりも固い紙材を用いて複数の素麺21を保護しているとともに、真空パックした際には複数の素麺束2全体に密着するように形成されているため、包装素麺1全体の強度を上げている。よって、包装されている素麺21の損傷防止機能を高め、特に輸送時において素麺21が振動で折れる等の不良発生を更に軽減することができる。
【0051】
なお本発明の位置決め手段は、本実施の形態で説明したカバー3の他に、複数の素麺21自体に巻き付けるシートや、素麺束2を載置させる型紙、素麺束2を仮収容するガイド部を備えた台紙、素麺束2の配列に合わせて形成された収容箱、包装袋に設けられた凹部等、複数の素麺21または少なくとも一つの素麺束2を位置決めすることが可能な全ての概念を含むものである。
【0052】
また位置決め手段に用いる材料としては、完全に硬質な材料よりも紙又はプラスチック材等、ある程度のフレキシビリティのある材料を用いて形成されたものであることが好ましい。この場合には、真空パックしたときに内包されている素麺21または素麺束2の外形に沿って変形するため、良好なパッケージングが可能となる。
【0053】
また複数の素麺束2は包装袋4内で横一列に配置されていることから、包装素麺1は平板状(断面形状が長方形)になっている。したがって、梱包時等において収容空間に包装素麺1を配列して収容すると包装素麺1、1間の隙間が小さくなるため、多くの包装素麺1を収容することができる。よって、収容性を高めることができる。
【0054】
なお本実施の形態では素麺に本発明を適用した場合について説明したが、もちろん、蕎麦、冷麦、うどん、スパゲッティ等の直線状の乾麺に本発明を適用しても良い。
【0055】
第2の実施の形態:
図3は、本発明の第2の実施の形態を示す包装素麺10の概略縦断面図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0056】
この包装素麺10は、複数の素麺束2と、これら複数の素麺束2を包む紙製のカバー30と、このカバー30を介して複数の素麺束2を密着させて真空パックした合成樹脂製の包装袋40とを備えており、真空パックする際の排気率が90%〜99.8%に設定されている。
【0057】
そして本実施の形態の包装素麺10においては、複数の素麺束2が横一列に配置されたものが包装袋40内で二段に積み重ねられている。またカバー30は、前後端が開口した断面長方形の筒状であって包装袋40よりも固く形成されている。
【0058】
かかる構成においては素麺束2の配置構造を第1の実施の形態の場合の配置構造と変えても、包装されている複数の素麺21(図2参照)同士が密着して擬似的に固化した塊状態になる。よって、素麺21に折れ等の損傷が発生するのを防ぎ、製造直後の素麺21の風味を長期間保持することができる。さらにカバー30を備えたことにより、第1の実施の形態で説明したカバー3を備えたことによる効果と同様の効果を得ることができる。
【0059】
第3の実施の形態:
図4は、本発明の第3の実施の形態を示す包装素麺100の収容状態を示す図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0060】
この包装素麺100は、複数の素麺束2と、これら複数の素麺束2を包む紙製のカバー130と、このカバー130を介して複数の素麺束2を密着させて真空パックした合成樹脂製の包装袋140とを備えており、真空パックする際の排気率が90%〜99.8%に設定されている。
【0061】
そして本実施の形態の包装素麺100においては、断面形状が正三角形になるように包装袋140内で三つの素麺束2が正三角形状に積み重ねられている。またカバー130は、前後端が開口した断面正三角形の筒状であって包装袋140よりも固く形成されている。
【0062】
かかる構成においては素麺束2が正三角形状に積み重ねられても、包装されている複数の素麺21(図2参照)同士が密着して擬似的に固化した塊状態になる。よって、素麺21に折れ等の損傷が発生するのを防ぎ、製造直後の素麺21の風味を長期間保持することができる。またカバー130を備えたことにより、第1の実施の形態で説明したカバー3を備えたことによる効果と同様の効果を得ることができる。
【0063】
さらにこの包装素麺100は断面形状が正三角形であることから、梱包時等において収容空間Sに包装素麺100を配列して収容すると、包装素麺100、100間の隙間が小さくなるため、多くの包装素麺100を収容することができる。よって、収容性を高めることができる。
【0064】
第4の実施の形態:
図5は、本発明の第4の実施の形態を示す包装素麺200の収容状態を示す図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0065】
この包装素麺200は、複数の素麺束2と、これら複数の素麺束2を包む紙製のカバー230と、このカバー230を介して複数の素麺束2を密着させて真空パックした合成樹脂製の包装袋240とを備えており、真空パックする際の排気率が90%〜99.8%に設定されている。
【0066】
そして本実施の形態の包装素麺200においては、断面形状が正方形になるように包装袋240内で四つの素麺束2が正方形状に積み重ねられている。またカバー230は、前後端が開口した断面正方形の筒状であって包装袋240よりも固く形成されている。
【0067】
かかる構成においては素麺束2が正方形状に積み重ねられても、包装されている複数の素麺21(図2参照)同士が密着して擬似的に固化した塊状態になる。よって、素麺21に折れ等の損傷が発生するのを防ぎ、製造直後の素麺21の風味を長期間保持できる。またカバー230を備えたことにより、第1の実施の形態で説明したカバー3を備えたことによる効果と同様の効果を得ることができる。
【0068】
さらにこの包装素麺200は断面形状が正方形であることから、梱包時等において収容空間Sに包装素麺200を配列して収容すると、包装素麺200、200間の隙間が小さくなって多くの包装素麺200を収容できるので、収容性を高めることができる。
【0069】
なお前述した実施の形態では包装素麺の断面形状が、長方形、正三角形または正方形の場合について説明したが、包装素麺の断面形状はこれらの形状に限定する必要はなく、三角形以上の多角形(台形、五角形、六角形等)となるように複数の素麺または素麺束を配列して真空パックすれば良い。
【0070】
第5の実施の形態:
図6は、本発明の第5の実施の形態を示す素麺束2の位置決め時の模式図である。本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。
【0071】
この素麺束2は位置決め時に丸棒状に形成されている一方、複数の素麺束2を包むカバー330は、位置決め時に素麺束2を複数載置させる載置面331を有している。この載置面331は一端332から他端333側へ向けて、複数の素麺束2が一端2aを揃えて且つ外周面2bを面接させた状態で一列に並ぶように形成されている。
【0072】
さらにこの載置面331は、素麺束2の並び方向Xの長さ331Lが、載置面331の一番他端333側に位置する素麺束2の一部2cが他端333からはみ出るように設定されている。
【0073】
かかる構成において、素麺束2をカバー330で包んで位置決めした後に真空パックすると、素麺21、21(図2参照)間および素麺束2、2間に存在した空気が排出されて素麺21同士が密着するとともに素麺束2にカバー330が密着して、包装素麺(図示せず)は擬似的に固化した塊状態になる。よって、素麺21に折れ等の損傷が発生するのを防ぎ、製造直後の素麺21の風味を長期間保持できる。
【0074】
またここで載置面331の長さ331Lは、はみ出された前記素麺束2の一部2cの幅方向Xの最大長さ(以下はみ出し幅)2Lが、素麺束2の直径の50%〜80%になるように設定することが好ましい。
【0075】
このように設定することで、前述した包装袋の排気率の範囲(90%〜99.8%)で真空パックすると、包装素麺は良好な疑似固化状態となる。よって、輸送時の振動、揺れ等による乾麺のズレを効果的に防止でき、また真空パックしたときの外観形状がいびつになるのを防止できる。
【0076】
一方、はみだし幅2Lが50%未満の場合には、十分に疑似固化させた包装素麺が得られないため輸送時の素麺21のずれが生じて商品価値を下げることになり、はみだし幅2Lが80%を超えた場合には真空パックした際の包装素麺の外観形状がいびつになる。
【0077】
なお、このはみだし幅2Lは乾麺の種類(細さ)によって異なるが、乾麺束の直径の20%〜80%になるように設定することが好ましい。逆に、はみだし幅2Lが20%未満の場合には、前述したように十分に疑似固化させた包装乾麺が得られないため輸送時の乾麺のずれが生じて商品価値が下がり、はみだし幅2Lが80%を超えた場合には真空パックした際の包装乾麺の外観形状がいびつになる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように本発明の包装乾麺においては、包装されている乾麺に折れ等の損傷が発生するのを防ぐとともに、製造直後の乾麺の風味を長期間保持できるため、乾麺を包装する技術分野で十分使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す包装素麺の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す包装素麺の概略縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す包装素麺の収容状態を示す模式図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態を示す包装素麺の収容状態を示す模式図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態を示す素麺束の位置決め時の模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1 包装素麺
2 素麺束
2a 一端
2b 外周面
2c 一部
3 カバー
4 包装袋
10 包装素麺
21 素麺
22 紐
30 カバー
40 包装袋
100 包装素麺
130 カバー
140 包装袋
200 包装素麺
230 カバー
240 包装袋
330 カバー
331 載置面
332 一端
333 他端
331L 載置面の長さ
X 素麺束の並び方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直線状の乾麺と、
これら複数の乾麺を密着させて真空パックした包装袋と、
を備えたことを特徴とする包装乾麺。
【請求項2】
前記包装袋は、排気率が80%〜99.8%に設定されて前記複数の乾麺を真空パックしたことを特徴とする請求項1記載の包装乾麺。
【請求項3】
前記複数の乾麺を少なくとも一つに束ねる束ね手段を備え、前記包装袋は、前記束ね手段によって束ねられた少なくとも一つの乾麺束を密着させて真空パックしたことを特徴とする請求1または2記載の包装乾麺。
【請求項4】
断面形状が三角形以上の多角形になるように形成されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の包装乾麺。
【請求項5】
前記複数の乾麺を位置決めする位置決め手段を備え、前記包装袋は、前記位置決め手段で位置決めされた前記複数の乾麺を密着させて真空パックしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の包装乾麺。
【請求項6】
前記位置決め手段は、前記包装袋よりも固い材料を用いて形成されたことを特徴とする請求項5載の包装乾麺。
【請求項7】
前記位置決め手段は、前記複数の乾麺を包んで位置決めするカバーであって、このカバーは少なくとも一端側が開口していることを特徴とする請求項5または6記載の包装乾麺。
【請求項8】
前記カバーは、真空パックした際に前記複数の乾麺に密着するように形成されたことを特徴とする請求項7記載の包装乾麺。
【請求項9】
前記乾麺束は、位置決め時に丸棒状に形成されている一方、前記カバーは、位置決め時に前記乾麺束を複数載置させる載置面を有し、この載置面は、一端から他端側へ向けて複数の前記乾麺束が一端を揃えて且つ外周面を面接させた状態で一列に並ぶように形成されて、一番他端側に位置する前記乾麺束の一部が他端からはみ出るように前記乾麺束の並び方向の長さが設定されたことを特徴とする請求項8記載の包装乾麺。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の包装乾麺を冷蔵または冷凍して保存することを特徴とする包装乾麺の保存方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−1620(P2007−1620A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183877(P2005−183877)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(305038979)
【出願人】(505237835)
【出願人】(505237857)
【Fターム(参考)】