説明

包装体の製造装置および包装体の製造方法

【課題】 いわゆる輪転製袋機によって蓋付き包装体の開口縁を非直線状に形成することができ、これにより、手袋を装着しなくても手を傷つけることなく被包装物を収容することが可能な蓋付き包装体を製造する。
【解決手段】 原反2のうち蓋付き包装体3の開口縁8の中央部分に相当する部分をギザギザ状に切断する開口縁切断部9と、開口縁切断部9における原反2の搬送方向の下流側に位置し、原反2を折曲して筒状体14を成形する筒状体成形部15と、筒状体成形部15における搬送方向の下流側に位置し、筒状体14を所定の長さ寸法に切断して生袋22を成形する筒状体切断部21と、筒状体切断部21における搬送方向の下流側に、生袋22における開口縁8の両端部に相当する部分を切断して開口縁8の全体を成形する端部切断部29とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き包装体の開口縁を非直線状に形成するのに好適な包装体の製造装置および包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、宅配袋や封筒等の蓋付き包装体の製造装置として、簡易かつコストの低廉化を図ることが可能である等の理由から、包装体の原材料となる原反から包装体を自動的に製造することができるいわゆる輪転製袋機が用いられている。
【0003】
このような輪転製袋機は、まず、原反を折曲するとともに、前記原反の一側縁と他側縁とを接着して長尺の筒状体を成形する。続いて、前記筒状体を所定の長さに切断して包装体の原型である生袋を成形する。次に、生袋の一端部を折曲して底部を成形し、さらに、生袋を構成する前面版および後面版の他端部における両側縁部を切断する。そして、生袋の前面版および後面版のいずれか一方のみの他端部を、前記生袋の幅方向に横断するように直線状に切断して蓋版と開口縁とを形成することにより、蓋付き包装体を製造するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、前述の蓋付き包装体において、前記開口縁は、カッターにより直線状に切断されるので非常に鋭利になっており、このため、蓋付き包装体の内部に被包装物を収容する際、被包装物を把持する手が蓋付き包装体の開口縁に接触し、手が傷ついてしまうことがあるという問題を有していた。特に、蓋付き包装体としての宅配袋は、強度のある原紙やフィルム加工を施した原紙等を使用して製造されているため、その開口縁は一層鋭利となり、より容易に手を傷つけてしまうおそれがあった。ここで、手が傷つかないように手袋を装着して被包装物を蓋付き包装体に収容することも考えられるが、手袋を装着していると細かい作業を行うことが困難となり不便である。
【0005】
そこで、開口縁を、凹凸が交互に並列されたギザギザ状や波形状に形成することにより、手が傷ついてしまうのを防止することが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、前述のいわゆる輪転製袋機においては、生袋の前面版および後面版が重なっている状態でいずれか一方のみを切断することにより蓋版と開口縁とを形成するようになっている。このように、前面版および後面版の両版が重なっている状態でいずれか一方のみを切断刃によって切断するためには、微妙な刃の圧力調整が必要であり、切断刃の圧力が強すぎると両版ともに切断されてしまい、逆に、弱すぎると切断することができない。一方、開口縁を細かいギザギザ状や波形状に切断するためには、直線状に切断する場合に比べ、より一層切断刃の加圧力の調整が必要になり、生産スピードが低下すると同時に、切断刃も高価なものになってしまう。このため、簡易かつ安価に包装体を製造することができる前記輪転製袋機において、ギザギザ状や波形状の開口縁を有する蓋付き包装体を製造するのは困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開平5−077507号公報
【特許文献2】登録実用新案第3021367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、いわゆる輪転製袋機によって蓋付き包装体の開口縁を非直線状に形成することができ、これにより、手袋を装着しなくても手を傷つけることなく被包装物を収容することが可能な蓋付き包装体を製造することができる包装体の製造装置および包装体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る包装体の製造装置の特徴は、蓋版および開口縁を有する蓋付き包装体を製造する包装体の製造装置において、一方向に搬送される前記蓋付き包装体の原反のうち前記開口縁に相当する部分を非直線状に切断する開口縁切断部と、前記開口縁切断部における前記原反の搬送方向の下流側に位置し、前記原反を折曲して筒状体を成形する筒状体成形部と、前記筒状体成形部における前記搬送方向の下流側に位置し、前記筒状体を所定の長さ寸法に切断して生袋を成形する筒状体切断部とを有する点にある。
【0010】
この本発明に係る包装体の製造装置によれば、筒状体を成形する前、すなわち前面版および後面版が重なる前の状態において、開口縁に相当する部分を切断し、切込みを形成するので、前記切込みを形成するにあたり、原反に対して切断刃を強く当接させることができる。このため、開口縁に相当する部分に例えばギザギザ状等の非直線状の切込みを形成することができ、蓋付き包装体の開口縁を非直線状に形成することができる。
【0011】
また、前記本発明に係る包装体の製造装置において、前記開口縁切断部は、前記原反における前記開口縁の中央部分に相当する部分を切断し、前記筒状体切断部における前記搬送方向の下流側に、前記生袋における前記開口縁の両端部に相当する部分を切断して前記開口縁の全体を成形する端部切断部を有してもよい。
【0012】
これにより、筒状体の成形時においては、原反に開口縁の中央部分に相当する部分のみしか切れ込みが形成されないので、広範囲に切れ込みが形成されてしまう場合と比較して、原反を折曲する際に切れ込みを基端としてしわが寄ってしまうことを防止することができる。この結果、しわのない良好な蓋付き包装体を製造することができる。
【0013】
また、本発明に係る包装体の製造方法の特徴は、蓋版および開口縁を有する蓋付き包装体を製造する包装体の製造装置において、前記蓋付き包装体の原反のうち前記開口縁に相当する部分を非直線状に切断する開口縁切断工程と、その後、前記原反を折曲して筒状体を成形する筒状体成形工程と、前記筒状体を所定の長さ寸法に切断して生袋を成形する筒状体切断工程とを有する点にある。
【0014】
この本発明に係る包装体の製造方法によれば、筒状体を成形する前、すなわち前面版および後面版が重なる前の状態において、開口縁に相当する部分を切断し、切込みを形成するので、前記切込みを形成するにあたり、原反に対して切断刃を強く当接させることができる。このため、開口縁に相当する部分に例えばギザギザ状等の非直線状の切込みを形成することができ、蓋付き包装体の開口縁を非直線状に形成することができる。
【0015】
さらに、前記本発明に係る包装体の製造方法において、前記筒状体成形工程前に、前記原反における前記開口縁の中央部分に相当する部分を非直線状に切断し、前記筒状体切断工程後に、前記生袋における前記開口縁の両端部分に相当する部分を切断して前記開口縁の全体を成形してもよい。
【0016】
これにより、筒状体の成形時においては、原反に開口縁の中央部分に相当する部分のみしか切れ込みが形成されないので、原反に広範囲に切れ込みが形成されてしまう場合と比較して、原反を折曲する際に切れ込みを基端としてしわが寄ってしまうことを防止することができる。この結果、しわのない良好な蓋付き包装体を製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明の包装体の製造装置および包装体の製造方法によれば、いわゆる輪転製袋機によって蓋付き包装体の開口縁をギザギザ状等の非直線状に形成することができ、これにより、手袋を装着しなくても手を傷つけることなく被包装物を収容することが可能な蓋付き包装体を、簡易かつ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る包装体の製造装置の一実施形態を図1から図5を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る包装体の製造装置の製造工程における封止用シールの貼着から筒状体の成形までを示す概念図であり、図2は、図1の製造工程における生袋の成形から蓋付き包装体の完成までを示す概念図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の包装体の製造装置1においては、長尺の原反2が一方向に搬送されるようになっており、原反2の搬送方向における最上流側には、原反2における蓋付き包装体3の蓋版4に相当する位置に、封止用シール5を貼着する貼着部6が設けられている。
【0021】
貼着部6の搬送方向における下流側には、原反2における蓋付き包装体3の開口縁8に相当する部分を切断する開口縁切断部9が設けられている。この開口縁切断部9には、原反2における蓋付き包装体3の開口縁8の中央部分に対応する部分に、被切断物を平面上ギザギザ状に切断することが可能なギザ刃10を有するギザ刃カッター11が回転可能に設けられている。このギザ刃カッター11は、原反2が所定の位置に搬送されると、回転してギザ刃10を原反2における前記開口縁8の中央部分に相当する部分に当接させることにより、図3に示すように、直線状の複数の凹凸が並列するギザギザ状の切込み12を形成するようになっている。本実施形態においては、蓋付き包装体3の後面版17に開口縁8が形成されるようになっているので、原反2における後面版17の開口縁8の中央部分に相当する部分にギザギザ状の切込み12が形成されることとなる。
【0022】
なお、本実施形態においては、開口縁8の中央部分に相当する部分にギザギザ状の切込み12が形成されるが、開口縁8の形状は、皮膚が接触したときに皮膚を傷つけないような非直線状であればこれに限定されるものではない。例えば、図4(a)に示すように、曲線状の複数の凹凸が並列する波形状であってもよく、さらには、図4(b)に示すように、半円形状の複数の凸が並列する形状であってもよい。また、本実施形態においては開口縁8の中央部分に相当する部分にギザギザ状の切込み12を形成しているが、これに限定されず、開口縁8に相当する部分を非直線状に切断するものであればよい。
【0023】
開口縁切断部9の下流側には、原反2を筒状体14に成形する筒状体成形部15が設けられている。筒状体成形部15は、原反2における前面版16と後面版17となる部分の境界にそれぞれガゼット18を形成しながら原反2をその長さ方向に平行に折曲した後、原反2の一側縁と他側縁とを接着材19により接着してガゼット18を有する筒状体14を成形するようになっている。
【0024】
さらに、図2に示すように、筒状体成形部15における搬送方向の下流側には、筒状体14を所定の長さ寸法で切断する筒状体切断部21が設けられている。筒状体切断部21は、図示しないカッターを筒状体14の所定の部分に当接させることにより筒状体14の前面版16および後面版17を同時に切断して、生袋22を成形するようになっている。
【0025】
筒状体切断部21における搬送方向の下流側には、生袋22の一端部を折曲して角底23を成形する底部成形部24が設けられている。
【0026】
底部成形部24における搬送方向の下流側には、生袋22を構成する前面版16および後面版17の他端部における両側縁部に図示しないカッターを当接させて前記両側縁部を切断し、前記両側縁部の各切り捨て片26を除去するエッジ切断部27が設けられている。
【0027】
エッジ切断部27における搬送方向の下流側には、蓋付き包装体3の開口縁8の両端部に相当する部分を切断する端部切断部29が設けられている。ここで、本実施形態においては、蓋付き包装体3の開口縁8は後面版17に形成されるようになっている。このため、端部切断部29は、図示しないハーフカッターを、重なっている前面版16および後面版17のうち後面版17における前記開口縁8の両端部に相当する部分のみに当接させることにより、前記両端部に相当する部分を直線状に切断し、後面版17の他端部の切り捨て版30を除去するようになっている。これにより、端部切断部29においては、前面版16の他端部に蓋版4が成形されるようになっている。
【0028】
そして、包装体の製造装置1は、前述の各工程を経て、ガゼット18を有する角底23の蓋付き包装体3を完成するようになっている。
【0029】
次に、前述の包装体の製造装置1を用いた蓋付き包装体3の製造方法について説明する。
【0030】
まず、原反2が繰り出されて貼着部6に搬送されると、原反2の蓋版4に相当する位置に封止用シール5を貼着する。
【0031】
続いて、封止用シール5が貼着された原反2が開口縁切断部9に搬送されると、ギザ刃カッター11を回転させて、原反2における蓋付き包装体3の開口縁8の中央部分に対応する部分にギザ刃10を当接させる。これにより、原反2における後面版17の開口縁8の中央部分に相当する部分にギザギザ状の切込み12を形成する。
【0032】
次に、ギザギザ状の切れ込みが形成された原反2が筒状体成形部15に搬送されると、原反2に一側縁に接着材19を塗布し、原反2における前面版16と後面版17となる部分の境界にそれぞれガゼット18を形成した後、原反2の一側縁と他側縁とを接着材19により接着してガゼット18を有する筒状体14を成形する。
【0033】
この筒状体14が筒状体切断部21に搬送されると、カッターを筒状体14の所定の部分に当接させて、筒状体14の前面版16および後面版17を同時に切断して生袋22を成形し、さらに、前記生袋22が底部成形部24に搬送されると、生袋22の一端部を折曲して角底23を成形する。
【0034】
その後、角底23が成形された生袋22がエッジ切断部27に搬送されると、前面版16および後面版17の他端部における両側縁部にカッターを当接させて、生袋22から各切り捨て片26を切断する。
【0035】
そして、各切り捨て片26が切断された生袋22が端部切断部29に搬送されると、後面版17における蓋付き包装体3の開口縁8の両端部に相当する部分にハーフカッターを当接させて、生袋22から切り捨て版30を切断し、蓋版4および開口縁8を成形することにより、ガゼット18を有する角底23の蓋付き包装体3を完成させる。
【0036】
本実施形態によれば、筒状体14を成形する前、すなわち前面版16および後面版17が重なる前の状態において、開口縁8の中央部分に相当する部分に切込み12を形成する。このため、切込み12を形成するにあたり、原反2に対してギザ刃10を強く当接させることができるので、開口縁8の中央部分に相当する部分にギザギザ状の切込み12を形成することができる。この結果、蓋付き包装体3の開口縁8の中央部分をギザギザ状に形成することができる。
【0037】
したがって、前述のようないわゆる輪転製袋機によって蓋付き包装体3の開口縁8をギザギザ状に形成することができ、これにより、手袋を装着しなくても手を傷つけることなく被包装物を収容することが可能な蓋付き包装体3を、簡易かつ安価に製造することができる。
【0038】
また、包装体の製造装置1によれば、原反2の状態においては開口縁8の中央部分に相当する部分のみを切断してギザギザ状の切込み12を形成し、開口縁8の両端部に相当する部分は、生袋22に成形された後に切断するようになっている。このため、筒状体14の成形時においては、原反2に開口縁8の中央部分に相当する部分のみしか切れ込み12が形成されていないので、原反2を折曲する際に、切れ込み12を基端としてしわが寄ってしまうことを防止することができる。これにより、しわのない良好な蓋付き包装体を製造することができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0040】
例えば、本実施形態においては、ガゼット18を有する角底23の蓋付き包装体3を製造する場合について説明したが、これに限定されず、蓋付き包装体3であれば、図5に示すような、ガゼット18が形成されていない平袋の蓋付き包装体3でもよく、また、包装体の前面版16の一端部に形成された底版32を後面版17に貼着してなる平底等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る包装体の製造装置の製造工程における封止用シールの貼着から筒状体の成形までの一実施形態を示す概念図
【図2】図1の製造工程における生袋の成形から蓋付き包装体の完成までの一実施形態を示す概念図
【図3】本発明の包装体の製造装置により製造する蓋付き包装体を示す概念図
【図4】(a)は、本発明の包装体の製造装置により製造した蓋付き包装体の開口縁の他の形状を示す概念図、(b)は、前記開口縁の他の形状を示す概念図
【図5】本発明に係る包装体の製造装置により製造される包装体の他の実施形態を示す概念図
【符号の説明】
【0042】
1 製造装置
2 原反
3 蓋付き包装体
4 蓋版
5 封止用シール
6 貼着部
8 開口縁
9 開口縁切断部
10 ギザ刃
11 ギザ刃カッター
12 切込み
14 筒状体
15 筒状体成形部
16 前面版
17 後面版
21 筒状体切断部
22 生袋
29 端部切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋版および開口縁を有する蓋付き包装体を製造する包装体の製造装置において、
一方向に搬送される前記蓋付き包装体の原反のうち前記開口縁に相当する部分を非直線状に切断する開口縁切断部と、
前記開口縁切断部における前記原反の搬送方向の下流側に位置し、前記原反を折曲して筒状体を成形する筒状体成形部と、
前記筒状体成形部における前記搬送方向の下流側に位置し、前記筒状体を所定の長さ寸法に切断して生袋を成形する筒状体切断部とを有することを特徴とする包装体の製造装置。
【請求項2】
前記開口縁切断部は、前記原反における前記開口縁の中央部分に相当する部分を切断し、前記筒状体切断部における前記搬送方向の下流側に、前記生袋における前記開口縁の両端部に相当する部分を切断して前記開口縁の全体を成形する端部切断部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装体の製造装置。
【請求項3】
蓋版および開口縁を有する蓋付き包装体を製造する包装体の製造装置において、
前記蓋付き包装体の原反のうち前記開口縁に相当する部分を非直線状に切断する開口縁切断工程と、その後、前記原反を折曲して筒状体を成形する筒状体成形工程と、前記筒状体を所定の長さ寸法に切断して生袋を成形する筒状体切断工程とを有することを特徴とする包装体の製造方法。
【請求項4】
前記筒状体成形工程前に、前記原反における前記開口縁の中央部分に相当する部分を非直線状に切断し、前記筒状体切断工程後に、前記生袋における前記開口縁の両端部分に相当する部分を切断して前記開口縁の全体を成形することを特徴とする請求項3に記載の包装体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76048(P2006−76048A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260592(P2004−260592)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(591161715)スーパーバッグ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】