説明

包装体

【課題】操作性に優れた包装体を提供すること。
【解決手段】包装体1は、袋状をなし、その内側を手術室における不潔域とし、外側を手術室における清潔域として仕切り、不潔域に向かって医療器具が挿入される挿入口21と、挿入口21と反対側の部分が閉塞する閉塞部22とを有する袋体2と、袋体2を収納する袋状の包材3とを備えている。また、包材3は、挿入口21に対応する部分に設けられ、その部分を開封するための第1の開封部33と、閉塞部側に対応する部分に設けられ、その部分を開封するための第2の開封部34とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の生体管腔内に挿入して、当該管腔内を超音波等により診断するのに用いられる医療システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の医療システムは、ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体のルーメンに挿入され、先端部に超音波を発する超音波発振部を有するシャフトとを有するカテーテル組立体と、カテーテル組立体が接続され、カテーテル組立体を変位駆動する駆動装置とを備えている。医療システムでは、駆動装置の作動によりカテーテル内に挿入されているシャフトをその軸回りに回転させるとともに基端方向に移動させて、血管壁の超音波画像を取得することができる。また、駆動装置は、通常、滅菌袋内に収納された状態で用いられる。
【0004】
ところで、滅菌袋は、未だ駆動装置を収納していない状態、すなわち、未使用状態では、2枚のシート材の縁部同士を融着して袋状にした包材に収納されている。この包材には、シート材同士の融着部を剥離可能な部分が1箇所(以下この部分を「剥離可能部」と言う)だけ設けられている。そして、滅菌袋に駆動装置を挿入して収納するときには、まず、剥離可能部を剥離して、包材を開封する操作を行なう。次に、滅菌袋の駆動装置を挿入する挿入口を開口する操作を行なうために、包材から滅菌袋を取り出して、駆動装置を挿入していた。また、カテーテル組立体は、清潔者が取り扱わなければならず、駆動装置は、不潔者が取り扱わなければならないため、清潔者と不潔者とが交互に作業を行う必要があった。
【0005】
このように、特許文献1に記載の医療システムでは、滅菌袋に駆動装置を挿入して当該駆動装置が使用可能な状態となるまでに、少なくとも3つの操作、すなわち、包材開封操作と、滅菌袋取り出し操作と、滅菌袋の挿入口開口操作とを行なっており、さらには、清潔者と不潔者との交互の作業が必要なため、その結果、全体として使用時の操作が煩雑となり、迅速な手技を行なうことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−244290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、操作性に優れた包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 袋状をなし、その内側を手術室における不潔域とし、外側を前記手術室における清潔域として仕切り、前記不潔域に向かって医療器具が挿入される挿入口と、該挿入口と反対側の部分が閉塞する閉塞部とを有する袋体と、
前記袋体を収納する袋状の包材とを備え、
前記包材は、前記挿入口に対応する部分に設けられ、当該部分を開封するための第1の開封部と、前記閉塞部側に対応する部分に設けられ、当該部分を開封するための第2の開封部とを有することを特徴とする包装体。
【0009】
(2) 前記第1の開封部および前記第2の開封部の少なくとも一方の開封部は、切断により開封されるよう構成されている上記(1)に記載の包装体。
【0010】
(3) 前記袋体は、前記包材が前記一方の開封部で開封された際、前記包材から突出する上記(2)に記載の包装体。
【0011】
(4) 前記一方の開封部は、ティアテープを有する上記(2)または(3)に記載の包装体。
【0012】
(5) 前記第1の開封部および前記第2の開封部のうちの前記第1の開封部が前記第2の開封部に先行して開封される上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の包装体。
【0013】
(6) 前記第1の開封部を開封した後から前記第2の開封部を開封する以前に、前記挿入口から医療器具が挿入される上記(5)に記載の包装体。
【0014】
(7) 前記包材は、前記第1の開封部および前記第2の開封部以外の部分が前記袋体と接合されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の包装体。
【0015】
(8) 前記袋体は、前記挿入口からその反対側の部分を内側かまたは外側に向かってつづら折り状に複数折り曲げられた折り曲げ部を有し、前記第1の開封部が開封した状態で前記各折り曲げ部を伸長して用いられ、
前記包材は、前記各折り曲げ部を伸長する際に把持される把持部として機能する上記(7)に記載の包装体。
【0016】
(9) 前記医療器具は、電源と電気的に接続されるケーブルを有するものであり、
前記袋体の前記各折り曲げ部を伸長した部分は、前記ケーブルを覆う上記(8)に記載の包装体。
【0017】
(10) 前記医療器具は、カテーテルと、該カテーテルに挿入される長尺状の医療用長尺体とを有するカテーテル組立体に接続され、該カテーテル組立体をその軸方向に沿って移動するとともに、前記医療用長尺体をその軸回りに回転する駆動源となるものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の包装体。
【0018】
(11) 前記袋体は、前記カテーテル組立体が挿入され、前記医療器具に接続される接続口を、前記挿入口とは異なる部分に有する上記(10)に記載の包装体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、包材の第1の開封部に対する開封操作の直後に、包材から袋体を取り出す操作を省略して、当該袋体の挿入口に対する開口操作を迅速に行うことができる。これにより、例えば包材開封操作と滅菌袋取り出し操作と袋体の挿入口開口操作とを順に個別に行う場合に比べて、使用時の操作の煩雑さが低減される。
【0020】
また、包材の第2の開封部に対する開封操作の直後に、袋体の閉塞部およびその近傍を、清潔域への進入を許可された操作者が触れることができ、その後の操作(例えば医療器具に対する操作)を迅速に行なうことができる。
このように本発明は、操作性に優れたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図2】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図3】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図4】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図5】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図6】本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図である。
【図7】図4中のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の包装体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は、それぞれ、本発明の包装体の使用方法を順に説明するための平面図、図2は、図4中のA−A線断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図7中右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0023】
図1〜図6に示す包装体1は、医療装置(医療器具)20を収納する袋体(ドレープ)2と、未使用状態の袋体2を収納する包材3とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0024】
まず、包装体1について説明する前に、医療装置20について説明する。
図6に示すように、医療装置20は、袋体2に収納された状態で、カテーテル組立体30に接続されて、当該カテーテル組立体30を変位駆動する駆動源である。
【0025】
なお、カテーテル組立体30は、カテーテル301と、カテーテル301に挿入されるドライブシャフト(医療用長尺体)302とで構成されている。そして、このカテーテル組立体30は、生体管腔(以下では「血管」を代表的に扱う)内に挿入されて、その画像を取得することができる。
【0026】
カテーテル301は、チューブ状をなし、その先端部にガイドワイヤ50が挿通される管状の挿通部303を有するカテーテル本体304と、カテーテル本体304の基端部に固定され、医療装置20に接続されるコネクタ(カテーテル側コネクタ)305とで構成されている。
【0027】
ドライブシャフト302は、長尺状をなし、例えば、その先端部に超音波振動子(図示せず)が配置され、基端部が医療装置20に接続されるものである。そして、医療装置20に内蔵されているスキャナで、超音波振動子から発せられる超音波が血管壁で反射した反射波に基づいて、血管壁の超音波画像を形成することができる。
【0028】
医療装置20は、カテーテル組立体30が接続される接続部201を有している。そして、この接続状態で、医療装置20は、カテーテル組立体30をその軸方向に沿って移動するとともに、ドライブシャフト302をその軸回りに回転することができるよう構成されている。これにより、血管に対して任意の位置で、その周方向全周にわたって、超音波画像である血管内の断層画像が得られる。
【0029】
なお、カテーテル組立体30を変位させる構成としては、特に限定されないが、例えば、モータとリニアガイドとを有するものが挙げられる。
【0030】
また、図6に示すように、医療装置20は、例えば約2mのケーブル202を有している。このケーブル202の端部には、図示しないコンソールの接続端子40と電気的に接続されるコネクタ(装置側コネクタ)203が配置されている。医療装置20では、コネクタ203を接続端子40に差し込むと、当該接続端子40から電力が供給され、前述したようにカテーテル組立体30を変位させることができる。
【0031】
次に、包装体1について説明する。
前述したように、包装体1は、袋体2と包材3とを備えている。
【0032】
袋体2は、その基端が開口した開口部である挿入口21と、先端が閉塞した閉塞部22とを有する、全体として長尺な袋状をなすものである。また、袋体2の先端部は、その幅が先端方向に向かって漸減している。
【0033】
この袋体2は、折り畳まれた折畳み状態(図1〜図3に示す状態)で包材3に収納され、折畳み状態から展開した展開状態(図5、図6に示す状態)で使用される。このように折畳み状態で袋体2が包材3に収納されていることにより、未使用状態の包装体1が小型化のものとなり、よって、当該包装体1を容易に持ち運ぶことができる。
【0034】
また、袋体2は、滅菌されており、その内側を手術室における不潔域10aとし、外側を手術室における清潔域10bとして仕切ることができる。この不潔域10aとなる、袋体2の内部空間には、挿入口21から医療装置20を挿入することができる。また、清潔域10bとなる、袋体2の外側からは、滅菌されているカテーテル組立体30を医療装置20に向けて接続することができる。
【0035】
袋体2の長手方向の途中、すなわち、挿入口21と閉塞部22との間の部分には、接続口23が設けられている。図6に示すように、接続口23には、袋体2に挿入された医療装置20の接続部201が位置する。そして、接続口23を介して、カテーテル組立体30の基端部を挿入することができ、当該基端部を医療装置20の接続部201に確実に接続することができる。なお、接続口23の平面視での形状は、図示の構成では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形、多角形等であってもよい。また、接続口23には、カテーテル組立体30と医療装置20との接続を補助するアダプタが装着されていてもよい。
【0036】
図7に示すように、袋体2は、挿入口21から先端側(その反対側)の接続口23に至る前の部分が蛇腹状に折り畳まれている、すなわち、外側に向かってつづら折り状に複数回折り曲げられている。また、図1〜図3に示すように、袋体2の閉塞部22から基端側の接続口23に至る前の部分も1回折り曲げられている。このような折り曲げにより、袋体2の折畳み状態での全長を、展開状態での全長よりも短くすることができ、包装体1の小型化に寄与する。
【0037】
そして、挿入口21側の前記折り曲げられた複数(図7に示す構成では4つ)の折り曲げ部241、242、243、244のうち、最も外側に位置する折り曲げ部244の近傍は、後述する接合部材4a、4bが配されて、袋体2と包材3とを接合する「接合代」となる。
【0038】
また、図5、図6に示すように、包材3が開封した状態では、各折り曲げ部241〜244は、一括して伸長され、袋体2の閉塞部22側の折り曲げ部245も伸長される。これにより、袋体2が展開することとなる。また、各折り曲げ部241〜244を伸長した部分で、非滅菌状態の医療装置20のケーブル202を覆うことができ、よって、不潔域10aと清潔域10bとを確実に仕切ることができる。
【0039】
袋体2の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、あるいはこれらを複合した材料が挙げられる。また、袋体2では、その内部の視認性を確保するために、全体が透明性を有している。
【0040】
図1に示すように、包材3は、袋体2を収納する袋状のものである。この包材3は、平面視で、折畳み状態の袋体2の面積よりも大きい、すなわち、折畳み状態の袋体2を包含する2枚のシート材31、32で構成されている。シート材31、32は、それぞれ、平面視での形状が四角形状をなす。
【0041】
シート材31の構成材料としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、あるいはこれらを複合した材料が挙げられる。また、包シート材31では、その内部の視認性を確保するために、全体が透明性を有している。
【0042】
一方、シート材32は、空気は通過するがゴミ、塵、埃等の異物は通過できず、さらに、細菌が発生しない、菌不透過性を有する材料で構成されている。これにより、袋体2を収納した包材3を滅菌処理した際に、シート材32により、滅菌のための気体の流通性が確保され、袋体2に対する滅菌を良好に行なうことができる。なお、このようなシート材32は、織布(布地)、不織布、紙類、メッシュ、発泡体やその他の多孔質体等で構成することができる。
【0043】
また、シート材31および32の縁部同士は、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)されている。これにより、シート材31とシート材32とで画成された空間内に袋体2を収納することができる。
【0044】
図1に示すように、このようなシート材31、32で構成された包材3は、その基端部に設けられた第1の開封部33と、先端部に設けられた第2の開封部34と、第1の開封部33と第2の開封部34との間に位置する中間部35とに分けることができる。
【0045】
第1の開封部33は、包材3内に袋体2を収納した状態で、袋体2の挿入口21に対応する、すなわち、平面視で重なる部分に設けられている。そして、この部分を開封するために第1の開封部33が用いられる(図2参照)。
【0046】
一方、第2の開封部34は、包材3内に袋体2を収納した状態で、袋体2の閉塞部22側にある折り曲げ部245に対応する、すなわち、平面視で重なる部分に設けられている。そして、この部分を開封するために第2の開封部34が用いられる(図4参照)。
【0047】
第1の開封部33と第2の開封部34とは、開封される構成、すなわち、開封操作については、ほぼ同じであるため、以下、第1の開封部33の開封される構成について代表的に説明する。
【0048】
第1の開封部33は、中間部35との境界部に、可撓性を有するティアテープ36が設けられている。このティアテープ36は、シート材31、32に固着されている。また、ティアテープ36は、その長さがシート材31、32の幅(図1中の上下方向の長さ)の合計よりも長いものである。そして、ティアテープ36の一端部は、外側に突出しており、ティアテープ36を操作する際に把持される把持部361として機能する。また、ティアテープ36は、その厚さがシート材31、32の各厚さよりも厚さが大のものである。
【0049】
このようなティアテープ36の把持部361を把持して、当該把持部361を引張りつつ、包材3の周方向に沿って移動させると、その移動に伴って、シート材31、32のティアテープ36に固着した各部分が切断される。これにより、第1の開封部33が開封されることとなる。このように、ティアテープ36を操作するという簡単な操作で、第1の開封部33を容易かつ確実に開封することができる。従って、包装体1は、包材3の開封操作に優れたものとなっている。
【0050】
また、図2に示すように、開封された第1の開封部33は、中間部35から分離する。この分離した第1の開封部33は不用なものであり、それ自体のみを廃棄することができる。図4に示すように、開封された第2の開封部34も、第1の開封部33と同様に、中間部35から分離する。この分離した第2の開封部34は不用なものであり、それ自体のみを廃棄することができる。
【0051】
図2に示すように、包材3が第1の開封部33で開封された際、袋体2は、挿入口21が包材3から露出するとともに、突出する。これにより、図3に示すように、挿入口21を医療装置20が挿入可能な程度にまで開口する操作を行なう際、当該挿入口21およびその周辺部を容易に把持することができ、よって、その開口操作を確実に行なうことができる。
【0052】
第1の開封部33と第2の開封部34との間には、中間部35が位置している。中間部35は、第1の開封部33および第2の開封部34のいずれの開封部よりも面積が大きい部位となっている。
【0053】
図7に示すように、中間部35は、接合部材4a、4bにて袋体2の折り曲げ部244付近と接合されている。接合部材4aと接合部材4bとは、不潔域10aを介して互いに対向する位置に配置されている。
【0054】
また、接合部材4a、4bは、それぞれ、例えば本実施形態では両面粘着テープで構成されている。これにより、接合部材4a、4bがそれぞれ簡単な構成のものとなるとともに、袋体2と包材3とを確実に接合することができる。なお、両面粘着テープでの粘着剤(粘着性組成物)としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよい。
【0055】
そして、中間部35を把持部として把持して、基端方向に向かって引張った際に、その引張り力は、接合部材4aを介して袋体2の折り曲げ部241〜244に伝達するとともに、接合部材4bを介しても折り曲げ部241〜244に伝達する(図7参照)。これにより、折り曲げ部241〜244がそれぞれ展開し、伸長する(図4、図5、図7参照)。
【0056】
次に、包装体1の使用方法について説明する。
[1] まず、図1に示す未使用状態(初期状態)の包装体1を用意する。
【0057】
[2] 次に、図2に示すように、不潔域10aへの進入を許可された操作者(図示せず(以下この操作者を「第1操作者」と言う))は、第1の開封部33のティアテープ36の把持部361を把持して、前述したように第1の開封部33に対する開封操作を行なう。これにより、第1の開封部33が中間部35から分離され、袋体2の挿入口21が露出する。また、この分離した第1の開封部33は、破棄に供される。
【0058】
[3] 次に、第1操作者は、図3に示すように、袋体2の前記露出した挿入口21を医療装置20が挿入可能な程度にまで開口し、その状態を維持したまま、当該挿入口21に向けて医療装置20を挿入する。
【0059】
[4] 次に、第1操作者は、図4に示すように、第2の開封部34のティアテープ36の把持部361を把持して、第1の開封部33を開封するときと同様の操作で、第2の開封部34に対する開封操作を行なう。これにより、第2の開封部34が中間部35から分離される。また、この分離した第2の開封部34は、破棄に供される。
【0060】
その後、第1操作者は、医療装置20をさらに先端方向に向かって押し込む。これにより、袋体2の折り曲げ部245から閉塞部22までの部分が中間部35から突出するとともに、折り曲げ部245が医療装置20によって内側から押し広げられる。そして、第1操作者は、この袋体2の突出した部分28を、清潔域10bへの進入を許可された操作者(図示せず(以下この操作者を「第2操作者」と言う))に向ける。第2操作者は、袋体2越しに医療装置20を受け取る。
【0061】
[5] 次に、第1操作者は、図5に示すように、中間部35を把持して、そのまま基端方向へ引張る。これにより、袋体2は、前述したように折り曲げ部241〜244が伸長して、医療装置20をケーブル202まで覆うことができる。
【0062】
一方、第2操作者は、カテーテル組立体30を把持して、その基端部を袋体2の接続口23に挿入する。これにより、カテーテル組立体30の基端部と医療装置20の接続部201とが接続され、超音波画像を取得することができる。
【0063】
このように、包装体1では、第2操作者がカテーテル組立体30を医療装置20に接続する以前の操作までを、1人の第1操作者でほぼ行なうことができる。これにより、例えば2人の操作者(第1操作者、第2操作者)で交互に各操作を行なう場合よりも、迅速な手技(手術)を行なうことができる。
【0064】
また、包装体1の使用方法では、第1の開封部33および第2の開封部34のうちの第1の開封部33を第2の開封部34に先行して開封している。これにより、包材3の開封後に迅速に袋体2への医療装置20の挿入操作に移行することができる。また、第1の開封部33のみを開封するため、袋体2の開口部(挿入口21)へ医療装置20を確実に挿入することが可能であると言う利点もある。
【0065】
また、包装体1の使用方法では、第1の開封部33を開封した後から第2の開封部34を開封する以前に、袋体2の挿入口21から医療装置20を挿入している。これにより、医療装置20で袋体2の折り曲げ部245を押し広げる操作を迅速に行なうことができる。また、袋体2の外側の滅菌性を保ったまま、第1の開封部33の開封、および医療装置20の挿入が可能であるため、清潔域10b外での準備実施が可能になると言う利点もある。
【0066】
以上、本発明の包装体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、包装体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0067】
また、本発明の包装体は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0068】
また、包材の第1の開封部および第2の開封部は、前記実施形態ではこれら双方の開封部が切断により開封されるよう構成されているが、これに限定されず、例えば、第1の開封部および第2の開封部のうちの一方の開封部のみが切断により開封されるよう構成されていてもよい。
【0069】
また、包材の第2の開封部は、前記実施形態では操作者の手を直接介して開封されているが、これに限定されず、例えば、袋体に医療装置を押し込んで挿入した際に、その押し込み力により開封されてもよい。
【0070】
また、包材の第1の開封部および第2の開封部は、それぞれ、前記実施形態ではティアテープで開封するよう構成されたものであるが、これに限定されず、例えば、包材のシート材同士の融着した部分を剥離して開封するよう構成されたものであってもよい
また、袋体の折り曲げ部は、図7に示す構成では袋体の挿入口からその反対側の部分を外側に向かってつづら折り状に折り曲げられた部分であるが、これに限定されず、袋体の挿入口からその反対側の部分を内側に向かってつづら折り状に折り曲げられた部分であってもよい。
【0071】
また、袋体の折り曲げ部の形成数は、図7に示す構成では4つであるが、これに限定されず、例えば、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0072】
また、袋体と包材とを接合するものは、前記実施形態では一例として両面粘着テープからなるものであるが、これに限定されず、例えば、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)された融着部からなるものであってもよいし、接着(接着剤や溶媒による接着)された接着部からなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 包装体
2 袋体(ドレープ)
21 挿入口
22 閉塞部
23 接続口
241、242、243、244、245 折り曲げ部
28 突出した部分
3 包材
31 シート材
32 シート材
33 第1の開封部
34 第2の開封部
35 中間部
36 ティアテープ
361 把持部
4a、4b 接合部材(接合部)
10a 不潔域
10b 清潔域
20 医療装置(医療器具)
201 接続部
202 ケーブル
203 コネクタ(装置側コネクタ)
30 カテーテル組立体
301 カテーテル
302 ドライブシャフト(医療用長尺体)
303 挿通部
304 カテーテル本体
305 コネクタ(カテーテル側コネクタ)
40 接続端子(電源)
50 ガイドワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状をなし、その内側を手術室における不潔域とし、外側を前記手術室における清潔域として仕切り、前記不潔域に向かって医療器具が挿入される挿入口と、該挿入口と反対側の部分が閉塞する閉塞部とを有する袋体と、
前記袋体を収納する袋状の包材とを備え、
前記包材は、前記挿入口に対応する部分に設けられ、当該部分を開封するための第1の開封部と、前記閉塞部側に対応する部分に設けられ、当該部分を開封するための第2の開封部とを有することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記第1の開封部および前記第2の開封部の少なくとも一方の開封部は、切断により開封されるよう構成されている請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記袋体は、前記包材が前記一方の開封部で開封された際、前記包材から突出する請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記一方の開封部は、ティアテープを有する請求項2または3に記載の包装体。
【請求項5】
前記第1の開封部および前記第2の開封部のうちの前記第1の開封部が前記第2の開封部に先行して開封される請求項1ないし4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記第1の開封部を開封した後から前記第2の開封部を開封する以前に、前記挿入口から医療器具が挿入される請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記包材は、前記第1の開封部および前記第2の開封部以外の部分が前記袋体と接合されている請求項1ないし6のいずれかに記載の包装体。
【請求項8】
前記袋体は、前記挿入口からその反対側の部分を内側かまたは外側に向かってつづら折り状に複数折り曲げられた折り曲げ部を有し、前記第1の開封部が開封した状態で前記各折り曲げ部を伸長して用いられ、
前記包材は、前記各折り曲げ部を伸長する際に把持される把持部として機能する請求項7に記載の包装体。
【請求項9】
前記医療器具は、電源と電気的に接続されるケーブルを有するものであり、
前記袋体の前記各折り曲げ部を伸長した部分は、前記ケーブルを覆う請求項8に記載の包装体。
【請求項10】
前記医療器具は、カテーテルと、該カテーテルに挿入される長尺状の医療用長尺体とを有するカテーテル組立体に接続され、該カテーテル組立体をその軸方向に沿って移動するとともに、前記医療用長尺体をその軸回りに回転する駆動源となるものである請求項1ないし9のいずれかに記載の包装体。
【請求項11】
前記袋体は、前記カテーテル組立体が挿入され、前記医療器具に接続される接続口を、前記挿入口とは異なる部分に有する請求項10に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−200439(P2012−200439A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68417(P2011−68417)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】