説明

包装媒体収納容器

【課題】包装媒体が収納容器に戻るのを安定して防止できる収納容器を提供する。
【解決手段】包装媒体12が円筒状に巻かれた体巻回体2を収納し、開口部30を有する収納容器3であり、開口部に対向する底板4と、底板の一辺31に立設された前板5と、底板の他の一辺32に立設された後板6と、底板の他の一辺に対向する第1連接辺38を有し、第1連接辺で後板に回動可能に連接され、開口部を塞ぎえる蓋板22と、底板の一辺に対向する第2連接辺39を有し、第2連接辺で前板に連接された副前板7とを備え、副前板は、開口部に対して角度αで開口部側に張り出す二つの抑板9とを有し、角度が、開口部に対して底板に向かって傾く角度であり、抑板の張り出した部分の外周線16は、第2連接辺の中点19に最も近い点を始点17とし、当該始点が第2連接辺より離れた所にあり、中点から最も遠い点を終点18とし、当該終点が第2連接辺上にある収納容器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装媒体が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体を収納する包装媒体収納容器に関し、特に、包装媒体収納容器から包装媒体を引き出したときに、包装媒体が包装媒体収納容器内に巻き戻ることを防止することができる包装媒体収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4(A)に示すように、従来の包装媒体供給具101は、包装媒体巻回体102(以下、適宜、巻回体102)と、巻回体102を収納する包装媒体収納容器103(以下、適宜、収納容器103)とを含んで構成される。巻回体102は、食品包装用等に使用される包装媒体112を円筒状の巻芯(図中、不図示)に巻きつけて巻回体102としたものである。巻回体102は、細長い直方体形状である紙製の収納容器103の中に収納される。
【0003】
収納容器103は、一面全体に渡って開口している開口部130を、図中、上部に有する容器本体115と、開口部130を覆って蓋をするように形成され、一端が容器本体115に回動可能に連接された蓋板122とを含んで構成されている。
【0004】
容器本体115は、底板104と、前板105と、後板106とを有する。収納容器103は、蓋板122に立設された蓋前板123であって、蓋板122が開口部130を塞いだときに、前板105に重なる蓋前板123を備える。蓋前板123の一端140であって、蓋前板123が蓋板122に連接された一端140に対向する一辺146には、カッター124が形成されている。
【0005】
前板105の長手方向Xの中央部分には、包装媒体112の先端を保持する包装媒体保持部126(以下、適宜、保持部126)(図4(C))が形成されている(特許文献1参照)。前板105には副前板107が第2の連接辺139にて連接され、副前板107は、前板105の裏側に貼り付けられている。副前板107は、その一部分である抑え板109を有する。抑え板109は、使用開始時に前板105の裏側に接着している状態から第2の連接辺139を中心に回動し角度α(図4(B))で切り起こされ、開口部130側に張り出すように配置される(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
包装媒体112を使用するときは、収納容器103を手に持ち、蓋板122を開け、包装媒体112を摘んで引き出すと、巻回体102は収納容器103内で回転し、包装媒体112を巻回体102から剥離させ、収納容器103の外部に引き出すことができる。必要な長さの包装媒体112を引き出した後に、蓋板122を閉め、蓋前板123の長手方向Xの中央を、包装媒体112を引き出した手と反対の手の親指で押さえ、カッター124を使用して包装媒体112を切断し、切り離した包装媒体112を使用する。包装媒体112を収納容器103から引き出してカッター124で切断した後は、包装媒体112は保持部126に保持されるが、包装媒体112が収納容器103内に戻ろうとするときは、当該戻ろうとする包装媒体112の動きが抑え板109に規制され、収納容器103内に戻りにくい構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−55043号公報(図1等)
【特許文献2】特開平5−229551号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、容器本体115から包装媒体112を引き出す際は、多くの場合、使用者は包装媒体112の先端であって長手方向Xの中央部分を指で摘んで引き出す。その際、包装媒体112の当該中央部分に強いテンションがかかり、抑え板109が収納容器103内部の当該中央部分で、切り起こされ過ぎた形で存在すると、包装媒体112が抑え板109に引っかかることがあった。
【0009】
また、包装媒体112を保持する保持部126は前板105の長手方向Xの中央付近に設けられることが多いため、包装媒体112が収納容器103内に戻るというトラブルは、前板105の長手方向Xの端部において起きることが多い。このため、抑え板109は長手方向Xの中央部以外に設け、包装媒体の戻りを防止することが望まれていた。また、切り起こした抑え板109は、起き上がりが不十分であったり、起き上がり角度が不安定である場合があり、引き出された包装媒体112の戻りを十分に規制できない場合があった。
【0010】
そこで、本発明は、収納容器から包装媒体を引き出す時の抵抗とならず、一方、包装媒体が収納容器内に戻ろうとする動きを、収納容器の中央部以外においても十分に規制する働きを行うことができる抑え板を備えた包装媒体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1、図2、図3において、包装媒体12が円筒状に巻かれた細長い包装媒体巻回体2を収納し、一面に開口部30を有する包装媒体収納容器3であって;開口部30に対向する底板4と;底板4の一辺31に立設された前板5と;底板4の一辺31に対向する底板4の他の一辺32に立設された後板6と;底板4の他の一辺32に対向する第1の連接辺38を有し、第1の連接辺38において後板6に回動可能に連接され、開口部30を塞ぐように構成された蓋板22と;底板4の一辺31に対向する第2の連接辺39を有し、第2の連接辺39において前板5に連接された副前板7とを備え;副前板7は、開口部30に対して角度αをなして開口部30側に張り出すよう配置された二つの抑え板9を有し;角度αが、開口部30に対して底板4に向かって傾く角度αであり;抑え板9の張り出した部分の外周線16は、第2の連接辺39の中点19に最も近い点を始点17とし、当該始点17が第2の連接辺39より離れた所にあり、中点19から最も遠い点を終点18とし、当該終点18が第2の連接辺39上にあるよう構成される。
【0012】
このよう構成にすると、二つの抑え板の張り出した部分のそれぞれの外周線は、第2の連接辺の中点に最も近い点を始点とし、当該始点が第2の連接辺より離れた所にあり、第2の連接辺の中点から最も遠い点を終点とし、当該終点が第2の連接辺上にあるよう構成されるので、二つの抑え板の始点に近い部分は起上がりが抑制され、終点に近い部分は起上がりが抑制されることがなく始点に近い部分より大きい角度で起上がり、包装媒体収納容器から引き出された包装媒体が包装媒体収納容器に戻るのを二つの抑え板によって安定して防止することができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1、図2に示すように、第1の態様の包装媒体収納容器において、外周線16は、始点17に近い部分が、始点17より離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを緩やかに増加させ、終点18に近い部分が、終点18より離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを始点17に近い部分の増加に比べて急激に増加するよう構成される。
【0014】
このように構成すると、二つの抑え板のそれぞれの外周線は、始点に近い部分が、始点より離れるにしたがい第2の連接辺からの距離を緩やかに増加させ、終点に近い部分が、終点より離れるにしたがい第2の連接辺からの距離Wを始点に近い部分の増加に比べて急激に増加するよう構成されるので、包装媒体収納容器から引き出される包装媒体 は、始点に近い部分では2つの抑え板に接触しにくく、また接触した場合でも二つの抑え板と包装媒体との間のこすれによる抵抗を低く抑えることができる。終点に近い部分では距離Wの急激な増加により、包装媒体が包装媒体収納容器内に戻ろうとする動きを規制する二つの抑え板の働きが十分に行われる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1に示すように、二つの抑え板9が、第2の連接辺39の中点19を通り底板4に直角な面25に対して面対称に配置される。
【0016】
このように構成すると、二つの抑え板が第2の連接辺の中点を通り底板に直角な面に対して面対称に配置されるので、包装媒体の抑え板への接触防止と包装媒体の包装媒体収納容器への戻り防止を二つの抑え板によって安定して行うことができる。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の第4の態様に係る包装媒体供給具1は、例えば図1に示すように、第1の態様乃至第3の態様のいずれか1の態様の包装媒体収納容器3と;包装媒体12が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体2とを備える。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の包装媒体収納容器によれば、二つの抑え板の張り出した部分のそれぞれの外周線は、第2の連接辺の中点に最も近い点を始点とし、当該始点が第2の連接辺より離れた所にあり、第2の連接辺の中点から最も遠い点を終点とし、当該終点が第2の連接辺上にあるよう構成されるので、二つの抑え板の始点に近い部分は起上がりが抑制され、終点に近い部分は起上がりが抑制されることがなく始点に近い部分より大きい角度で起上がり、包装媒体収納容器から引き出された包装媒体が包装媒体収納容器に戻るのを二つの抑え板によって安定して防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る、包装媒体収納容器を備える包装媒体供給具を前面上方から見た斜視図である。
【図2】図1の包装媒体収納容器の蓋板と蓋前板の部分と包装媒体巻回体とを省略した、包装媒体収納容器を備える包装媒体供給具を背面上方から見た斜視図である。
【図3】図1の包装媒体収納容器の長手方向の中央部における長手方向に直角な方向の包装媒体供給具の包装媒体巻回体を省略した断面図である。
【図4】図4(A)は、従来の包装媒体供給具の斜視図である。図4(B)は、従来の包装媒体供給具の部分断面図である。図4(C)は、従来の包装媒体供給具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態の、包装媒体収納容器3(以下、適宜、収納容器3)を備える包装媒体供給具1(以下、適宜、供給具1)の構成を説明する。図1は、水平に配置された状態の供給具1の斜視図である。図2は、図1の収納容器3の蓋板22と蓋前板23の部分と包装媒体巻回体2(以下、適宜、巻回体2)を省略した容器本体15の斜視図である。図3は、図1の収納容器3の長手方向中央部における長手方向Xに直角な方向の、巻回体2を省略した断面図である。図1、図3では、蓋板22は、開いた状態である。
【0022】
供給具1は、巻回体2と、巻回体2を収納する収納容器3とを含んで構成される。巻回体2は、食品包装用等に使用される包装媒体12を円筒状の巻芯10に巻きつけて巻回体2としたものである。巻回体2は、収納容器3の中に収納される。収納容器3は、例えば、厚紙またはボール紙などの紙素材(不図示)により形成される。収納容器3は、複数枚、または、1枚の紙素材から形成することが可能である。
【0023】
収納容器3は、容器本体15を備える。容器本体15は略直方体形状をなす。容器本体15は、紙素材(不図示)を折り曲げて形成され、当該紙素材は一度折り曲げても元に戻ろうとする曲げに対する弾力性(復元性)を有している。容器本体15は、包装媒体12が円筒状に巻かれた巻回体2を収容する。容器本体15には、図1中、上側の一面が開口され、開口部30が形成されている。すなわち、収納容器3は、開口部30を有する。当該開口部30から巻回体2を出し入れすることができる。巻芯10に巻かれた包装媒体12は、ポリ塩化ビニリデンを原材料とする透明包装媒体であるが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、もしくはこれらを組み合わせた多層包装媒体であってもよい。また、包装媒体12は、ロール紙、キッチンペーパ、アルミホイル、加熱調理用紙シート等であってもよい。
【0024】
収納容器3は、底板4と、底板4の一辺31(長辺)に底板4に対し直角に立設された前板5と、一辺31に対向する底板4の他の一辺32(長辺)に底板4に対し直角に立設された後板6と、底板4の一辺31に対向する第2の連接辺39を有する副前板7とを備える。底板4、前板5、後板6、副前板7は、容器本体15を構成する。底板4は、開口部30に対向するよう配置されている。副前板7は、第2の連接辺39において前板5に連接される。副前板7は、略直方体形状の容器本体15の形成に際し、第2の連接辺39に沿って、収納容器3の内側(巻回体2を収納している側)に180度折り込まれ、前板5に重ねられる。折り込まれた副前板7は、前板5の側の表面に接着剤がライン状に塗布され、前板5と接着され、固定される。折り込みは、第2の連接辺39上で行われる。底板4、前板5、後板6、副前板7は、略長方形である。底板4は長辺である一辺31および他の一辺32に加えて、短辺61、62を有する。収納容器3は、側面板71、72を備える。側面板71、72は、それぞれ短辺61、62に立設されている。側面板71、72は略正方形である。
【0025】
収納容器3は、さらに、蓋板22と、蓋前板23とを備える。蓋板22は、略長方形である。蓋板22は、底板4の他の一辺32に対向する第1の連接辺38を有し、第1の連接辺38において後板6に回動可能に連接され、開口部30を塞ぐよう構成される。蓋前板23は、第1の連接辺38に対向する蓋板22の一辺40に蓋板22に対して直角に立設され、蓋板22が開口部30を塞いだ状態のとき、前板5に沿って前板5の外側(副前板7側とは反対側)に重なるよう配置される。
【0026】
蓋板22は長辺である第1の連接辺38と一辺40に加えて、短辺63、64を有する。収納容器3は、蓋側面板73、74を備える。蓋側面板73、74は、それぞれ短辺63、64に立設されている。蓋側面板73、74は略長方形である。
【0027】
蓋前板23の底板4の一辺31に対向する側(蓋板22が閉じた状態で対向)には、包装媒体12を切断するためのカッター24が一辺46に沿って設けられている。カッター24の先端には複数の鋸刃80が形成されている。カッター24の一部は、蓋板22を完全に閉じて(すなわち、蓋板22が底板4に平行になって)、開口部30を塞いだ場合、底板4方向に突出するように構成されているが、これには限定されないものとする。
【0028】
前板5の中央部分には、包装媒体保持部26(以下、適宜、保持部26)が形成されている。保持部26の形成方法としては、包装媒体12に対して粘着性を有する粘着剤を塗布し粘着剤層を設ける方法や、包装媒体12に対して密着性を有し、平滑性のあるニスを塗布し平滑層を設ける方法、さらには包装媒体12自体の自己密着性を利用し、包装媒体12と実質的に同一材料からなる自己密着性包装媒体層を設ける方法等がある。包装媒体12を保持する保持部26は前板5の外側の外表面に形成される。
【0029】
副前板7は、二つの抑え板9と副前板本体とを含んで構成される。副前板本体は、副前板7の二つの抑え板9以外の部分である。副前板7は、前板5の内側に前板5に沿って配置され、前板5の内側の面に接着されている。抑え板9は、切り込みを有するので切り込みの部分で副前板7から分離され、副前板7から切り起こされるように構成され、前板5に対して角度α(開口部30に対しての角度は90度−α)をなして副前板7から副前板7の内側に張り出すように配置される。抑え板9は、容器本体15の形成時に副前板7が前板5と重なるように折り曲げられたときに、副前板7から起き上がる。抑え板9においては、切り込みが入れられている線が、外周線16を形成する。角度αは、抑え板9の前板5に対する角度であって、抑え板9が開口部30に向かうように起き上がった状態で傾く角度である。角度αは、収納容器3から引き出され、カッター24によって切断された包装媒体12が、収納容器3から引き出されるときは、抑え板9に接触せず、カッター24によって切断された後に、包装媒体12が収納容器3に戻ろうとする時に抑え板9に接触するように決めるとよい。
【0030】
抑え板9は長手方向Xに細長い形状を有する。抑え板9の長手方向Xに沿う第2の連接辺39側の一方の直線状の辺20が、第2の連接辺39に対して角度βをなして配置されている。抑え板9の長手方向Xに延在する他方の山形の辺16が副前板7から分離されて外周線16を形成している。辺16(外周線16)と辺20は始点17と終点18を有し、第2の連接辺39の長手方向Xの中点19に最も近い方が始点17であり、第2の連接辺39の中点19から最も遠い方が終点18である。始点17は、第2の連接辺39から副前板7に沿って距離W1だけ離れたところにあり、終点18は第2の連接辺39上にある。抑え板9は、終点18が第2の連接辺39上にあるので、抑え板9を、十分な角度αで起き上がらせることができ、始点17は、第2の連接辺39から距離W1だけ離れたところにあるので、起き上がった抑え板9の角度αが大きくならないように抑制し、すなわち抑え板9の起上がりを抑制し、安定して維持することができる。
【0031】
収納容器3の組立時に、前板5と副前板7が第2の連接辺39に沿って重なるように折り曲げられる。しかし、抑え板9は終点18が第2の連接辺39上にあるので、折り曲げられた状態から元に戻ろうとする復元力が比較的よく働き、角度αを持って起き上がるが、この角度αを大きくするよう(より起き上がるように)に作用する。また、始点17は、第2の連接辺39上にあるのではなく、第2の連接辺39から副前板7に沿って距離W1だけ離れたところにあるので、抑え板9の始点17に近い部分は、副前板7の折り曲げの影響を受けやすく、角度αを小さくし(すなわち、起き上がりが抑制され)、かつこの角度αを維持するよう作用する。抑え板9の角度αは、始点17から終点18に向かうにしたがって、大きくなり、すなわち、より起き上がり、抑え板9の表面はねじれたウェーブ状となる。抑え板9の始点17に近い部分における角度α1は、10度から30度になるようにするとよい。抑え板9の終点18に近い部分における角度α2は、30度から90度になるようにするとよい。
【0032】
抑え板9を二つとし、それぞれ第2の連接辺39の中点19から長さL0だけ離して、中点19を通り底板4に直角な面25(図2に一点鎖線にて表示)に対し面対称となるように設けたので、中点19に近い部分には抑え板9は配置されず、また抑え板9の中点19に最も近い点である始点17を、第2連接辺39から距離W1だけ離すように構成することによって、包装媒体12が収納容器3から引き出されるとき抑え板9に接触しにくくすることができる。
【0033】
図1〜図3を参照して、説明を続ける。抑え板9の外周線16は、始点17に近い部分が、始点17より終点18に向かって離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを緩やかに増加させ、終点18に近い部分が、終点18より始点17に向かって離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを点17に近い部分の増加に比べて増加率が高く急激に増加させるよう構成される。距離Wは、抑え板9が包装媒体12の収納容器3内への戻りを防止できるよう、開口部30の幅W0の10%から40%の間とすることが望ましい。距離W1は、好ましくは、4mm以内、より好ましくは2mmから3mmの間とするとよい。
【0034】
抑え板9は長手方向Xの長さL1を有し、始点17が中点19から長手方向Xに長さL0だけ離れている。抑え板9の終点18から側面板71、72の外側の表面までの長手方向Xの長さは長さL2である。抑え板9の長さL1は、包装媒体12の戻りを抑制するため、収納容器3の長手方向Xの中央部以外の端部の近くをカバーし、当該中央部以外の端部における包装媒体12の戻りを抑制できるよう、十分な長さであるようにする。抑え板9が十分に切り起こされるよう、また抑え板9が、包装媒体12を引き出すときに過度な抵抗を生じないよう、かつ切断された包装媒体12が収納容器3内へ戻らない抵抗を生じるよう、長さL0は、収納容器3の長手方向Xの長さの5%から25%、長さL1は、収納容器3の長手方向Xの長さの10%から40%とすることが望ましい。
【0035】
従来は、抑え板が前板の長手方向の中央部にのみ配置されている場合は、前板の長手方向の端部において、包装媒体が収納容器に戻ろうとするトラブルが発生しやすかった。これを防止するため、抑え板9は、二つとし、前述のように配置した。引き出された包装媒体12の側面板71、72に近い端部の戻りを抑え板9により規制し、包装媒体12全体の戻りを効果的に防止できるようにする。このため、L2の長さは、30mm以下とすることが望ましい。引き出された包装媒体12の中央部の戻りを抑制したのでは不十分であり、包装媒体12の中央部以外の端部を含んだ範囲(図2の抑え板9が配置されている範囲)における戻りを抑制する必要がある。このように引き出された包装媒体12の中央部以外の端部を含んだ範囲における戻りを抑制すると、包装媒体12の全体の戻りを防止することができる。
【0036】
外周線16は、始点17に近い部分である、始点17から長手方向Xに離れるにしたがって距離Wが増加する増加部16Aと、終点18に近い部分である、終点18から長手方向Xに離れるにしたがって距離Wが増加する増加部16Cと、距離Wが一定の一定部16Bとを有する。増加部16Aの長手方向Xの長さは長さL1Aであり、増加部16Cの長手方向Xの長さは長さL1Cであり、一定部16Bの長手方向Xの長さは長さL1Bである。長さL1Aは、長さL1Cより長く形成されている。増加部16Cにおける距離Wの増加率(長さに対する距離の全体的増加率)は、増加部16Aにおける距離Wの増加率(長さに対する距離の全体的増加率)より高い。
【0037】
抑え板9は、副前板7から開口部30側に張り出すように配置されているので、巻回体2が収納容器3から飛び出すのを防止することができる効果をも有する。
【0038】
実施の形態に係る包装媒体収納容器3によれば、収納容器3が二つの抑え板9を備え、抑え板9の張り出した部分の外周線16は、始点17が第2の連接辺39から内側方向に距離W1だけより離れた所にあり、終点18が第2の連接辺39上にあるので、収納容器3から包装媒体12を引き出す時は、包装媒体12は抑え板9に接触しにくく、包装媒体12が収納容器3内に戻ろうとするときは包装媒体12の動きを規制する働きを十分行うことができる。二つの抑え板9の外周線16は、始点17に近い部分が、始点17より終点18に向かって離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを緩やかに増加させ、終点18に近い部分が、終点18より始点17に向かって離れるにしたがい第2の連接辺39からの距離Wを始点17に近い部分の増加に比べて急激に増加するよう構成されるので、包装媒体12が収納容器3に戻ろうとする動きが特に起こりやすい終点18に近い部分において、安定してその包装媒体12の動きを規制することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 包装媒体供給具
2 包装媒体巻回体
3 包装媒体収納容器
4 底板
5 前板
6 後板
7 副前板
9 抑え板
10 巻芯
12 包装媒体
15 容器本体
16 外周線(辺)
16A、16C 増加部
16B 一定部
17 始点
18 終点
19 中点
20 辺
21 先端部
22 蓋板
23 蓋前板
24 カッター
25 面
26 包装媒体保持部
30 開口部
31 一辺
32 他の一辺
38 第1の連接辺
39 第2の連接辺
40 一辺
46 一辺
61、62、64、64 短辺
71、72 側面板
73、74 蓋側面板
80 鋸刃


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装媒体が円筒状に巻かれた細長い包装媒体巻回体を収納し、一面に開口部を有する包装媒体収納容器であって;
前記開口部に対向する底板と;
前記底板の一辺に立設された前板と;
前記底板の一辺に対向する前記底板の他の一辺に立設された後板と;
前記底板の他の一辺に対向する第1の連接辺を有し、前記第1の連接辺において前記後板に回動可能に連接され、前記開口部を塞ぐように構成された蓋板と;
前記底板の一辺に対向する第2の連接辺を有し、前記第2の連接辺において前記前板に連接された副前板とを備え;
前記副前板は、前記開口部に対して角度をなして前記開口面側に張り出すよう配置された二つの抑え板を有し;
前記角度が、前記開口部に対して前記底板に向かって傾く角度であり;
前記抑え板の張り出した部分の外周線は、前記第2の連接辺の中点に最も近い点を始点とし、当該始点が前記第2の連接辺より離れた所にあり、前記中点から最も遠い点を終点とし、当該終点が前記第2の連接辺上にあるよう構成された;
包装媒体収納容器。
【請求項2】
前記外周線は、前記始点に近い部分が、前記始点より離れるにしたがい前記第2の連接辺からの距離を緩やかに増加させ、前記終点に近い部分が、前記終点より離れるにしたがい前記第2の連接辺からの距離を前記始点に近い部分の増加に比べて急激に増加するよう構成された;
請求項1に記載の包装媒体収納容器。
【請求項3】
前記二つの抑え板が、前記第2の連接辺の中点を通り前記底板に直角な面に対して面対称に配置された;
請求項1または請求項2に記載の包装媒体収納容器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の包装媒体収納容器と;
前記包装媒体が円筒状に巻かれた前記包装媒体巻回体とを備える;
包装媒体供給具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131522(P2012−131522A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284426(P2010−284426)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】