説明

包装容器を押すための装置

本開示は包装機械内で第1の方向に移動するカセット18内に支持される多数の包装容器12を押すための装置10に関する。この装置10は、それを使用して包装容器を前記カセット18に対して第1の位置から第2の位置に押すことができるキャリア40を備える。本発明によれば、この装置10は、装置10の第1の部分では第2の方向に移動し、装置10の第2の部分では第3の方向に移動する少なくとも1つのベルト30、32を備え、かつ、前記第1と第2の部分の間に曲げローラ24が配設され、前記第2の方向及び第3の方向のおのおのは、前記第1の方向とある角度αをなし、最終的にキャリア40は、クランプ装置を使用してベルト30、32に固定される軸38に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装機械で移動するカセットで運ばれる包装容器の位置を変更する押出し機構を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品用の包装容器、例えば、ジュース、ミルク等などの液体食料、又は例えば、スープ、野菜等などのより固体的な性質の食料を有する包装容器は、切断され、折り畳まれ、かつ例えば平行6面体の形状の仕上包装容器に熱シールされる包装用積層板からしばしば製造される。この包装用積層板は、例えば、ポリエチレンなどの熱硬化性の材料の層によって両側が被覆された紙又は板紙などの繊維材料のキャリヤー層を備える。この包装用積層板は、例えば、アルミニウムなどの金属のバリヤー層もしばしば備える。
【0003】
これらの、又は同様な型式の包装容器を製造するための多数の異なる包装機械がこの分野で知られている。これらのいくつかは、平らに置かれた状態で機械に供給され、その中で好ましくは正方形の、又は四角形の断面を得るように起こされる筒状の包装容器素材を処理する。包装機械を通るそれらの移動中、包装容器は、包装容器素材の第1の端部を圧縮し、シールすることによって通常形成される液体漏れのない底部を段々に備える。この包装容器はその後所望の種類の内容物が包装容器内に供給される充填ステーションにさらに移動され、その後容器のまだ開いたままの端部が、例えば、圧縮やシーリングによってシールされる。
【0004】
この型式の包装機械を通り移動する各個々の包装容器は、例えば、底部形成、充填及び頂部形成用の異なるステーションの間を包装容器が移動するのを確実にするため、何らかの形態のコンベアによって支持することが好ましい。高速かつ急加速で動作する包装機械では、個々の包装容器が、例えば、底部形成及び充填の異なる動作段階のために正しい位置に配置され保持されることがどちらも決定的に重要であり、結果として、包装容器に対して3つの側面で当接し、それをコンベア及び異なるステーションに対して注意深く所定の位置に固定するキャリア又はカセットによって各個々の包装容器が支持されるのが現在では通常である。コンベアの縦方向及び横方向での各個々の包装容器の正確な位置決めに加え、特に機械的な加工、例えば、包装容器の底部又は頂部のシールでは、それがコンベアに配置されるとき、包装容器の垂直な位置が正確に決められることも主要な重要事項である。これらの特性を備えているカセットは、例えば、欧州特許第1062160号明細書に開示されている。このカセットは、その両端部のところで包装容器をカセット内に移動させ、又はカセットから出して移動させることを可能にし、かつ包装容器を垂直位置に配置させることができる開放設計(open design)を示しており、そこでは包装容器の1つ又は複数の柔軟な、突起する部分又はコーナー・フラップ(corner flap)が包装容器を正しい位置に固定するのに利用される。包装容器のカセット内での垂直方向位置決めは、包装容器を押すための装置を使用して通常行われ、この装置は、包装容器をカセット内で例えば上方向に押すキャリア・プレート(carrier plate)を備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、単純なかつ動作的に信頼性の高い構造を示す、包装容器を押すための装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、包装機械内で第1の方向に移動するカセット内で運搬される多数の包装容器を押すための装置によって達成されてきており、この装置は、それを使用して包装容器を前記カセットに対して第1の位置から第2の位置に押すことができるキャリアを備える。本発明は、前記装置が、この装置の第1の部分では第2の方向に移動し、装置の第2の部分では第3の方向に移動する少なくとも1本のベルトを備え、
かつ、第1と第2の部分の間に曲げローラが配設され、かつ、第2の方向及び第3の方向のおのおのは、第1の方向とある角度をなし、かつ、キャリアはクランプ装置を使用してベルトに固定される軸に連結され、かつ、軸のどちらもが第1又は第2の部分に配置されていようが、それらの軸が曲げローラのどちら側にも配置されていようがそれらに関わらず、第1の方向に測定される2本の軸間の互いの距離が実質的に同じになるように、軸の中心点が、ベルトのピッチ・ラインから、曲げローラに向かって内側に、ピッチ・ラインに対して実質的に直角な方向にある距離だけオフセットすることを特徴とする。軸の中心点をピッチ・ラインからある距離だけオフセットさせることによって、包装容器を押すための装置用にベルト動作を使用することにおいても同期駆動を実現することが可能になる。この結果、カム表面及び直線案内部を含む構造を回避することができる。これによって多くの利点がもたらされ、例えば、少ない部品を備える装置を実現でき、これは清掃及び摩耗のどちらの観点からも有利である。同様に、軽量な装置が実現される。この装置は、包装容器の容積が変更になった場合垂直方向に容易に移動させることができる、すなわち包装容器コンベアに対して上昇させたり下降させたりできる利点も享受する。万一包装容器の底部の形状も変更された場合は、キャリアのみしか交換する必要がない。これによって高い柔軟性及び経済的に実行可能な解決策がもたらされる。キャリアを軸に固定し、次いで軸をクランプ装置を使用してベルトに相互接続させることによって、ベルトを取り外す又は変更する必要なしにキャリアを容易に交換することができる利点が与えられる。したがって、点検又は保守等に関する時間を減少させることができ、交換する必要のある部品の数も少ないので、この装置はこの観点からも経済的に実行可能な解決策である。
【0007】
本装置の好ましい一実施例では、ベルトピッチ・ラインからの距離の長さが、式
【数1】


によって計算され、ここでαは前記角度であり、Kは式
K=R(tanα−α)
によって計算され、ここでRは前記曲げローラの中心から前記ピッチ・ラインまでの半径であり、αはラジアンで与えられる。Kは、両方の軸が第1又は第2の部分に配置されていようが、それらの軸が曲げローラのどちら側にも1本配置されていようがそれらに関わらず、2本の軸間の互いの距離が同じになるように補償されなければならない第1の方向での距離である。
【0008】
別の好ましい実施例では、このキャリアは、包装容器に対して当接するようになされた表面が設けられ、キャリアの表面が軸に対して少なくとも前記角度αにわたり回転することができるように軸上にジャーナル支承される。このキャリアは次いで、包装容器に応答してそれ自体を調整する、すなわち包装容器との接触に際して、キャリアの表面は、包装容器に均一な力が加えられるように、それ自体を実質的に第1の方向と平行に調整する。
【0009】
この装置は、互いに対して同じ高さに配置され、かつ曲げローラのどちら側にも1つ配置される第1及び第2のプーリを備えることが好ましい。これによって、保守が容易で清潔な少数の耐久性のある部品を有する、極めて簡単な構造が与えられる。例えば、この装置は、包装機械で通常行われる毎日の清掃に耐えることができる。
【0010】
好ましい一実施例では、このベルトは歯付きベルトである。そのような手段によって、従来型のベルトを使用することができ、軸の固定が歯付きベルトの歯によって容易になることがまもなく示されるであろう。
【0011】
好ましい一実施例では、軸をベルトに固定するクランプ装置は、ベルトの歯の隙間及び軸の支持手段に全体的に又は部分的に当接するようになされた第1の部分を備え、この支持手段は、そのおのおのの端部で前記歯の隙間と続きを形成し、その支持手段に第1の部分を留めることができ、かつ、各端部のところのその第1の部分はヨーク要素の形態の第2の部分に接続され、このヨーク要素は、軸の支持手段内の第1の部分の当接点と軸の幾何学的形状がクランプ装置を固定した位置に保持することができるように十分に大きい軸に対するヨーク要素の当接点との間にラッピング角が形成されるように、軸を取り囲むようになされる。この型式のクランプ装置を使用することによって、キャリアを非常に簡単にベルトに固定することができ、1つ又は複数のキャリアを交換する必要がある場合は、これ又はこれらのみしかベルトから取り外す必要はない。このクランプ装置は、それ自体単純であり、製造するのに経済的である。
【0012】
軸に、ベルトを少なくとも部分的に収容するようになされた少なくとも1つのくぼみが設けられ、そのくぼみ内に支持手段が配置されることが好ましい。軸にベルト用のくぼみを設けることによって、軸の中心点をベルトのピッチ・ラインからある距離に配置することが非常に簡単になるであろう。
【0013】
歯付きベルトの平らな表面が、軸のくぼみ内の対応する表面に当接するようになされることが好ましい。そのような手段によって、安定したかつ組み立て容易な構造が得られるであろう。
【0014】
好ましい一実施例では、各ヨーク要素は、おのおの軸の対応する穴内に留まるようになされた外側端部を有する。この穴は、クランプ装置がベルト及び軸に固定されたその位置からほどける危険性を最小限にする。さらに、小さなラッピング角も選択することができる。
【0015】
次いで、本発明の現行の好ましい一実施例を、添付の図面を参照してより詳細に以下で説明する。
【実施例】
【0016】
図1及び2は、製品、例えば食料を容器に入れるための包装機械での生産ステップ前の移動可能な包装容器12を押すための、参照番号10によって包括的に指示される装置の好ましい一実施例を示す。この実施例では、包装容器は、例えば、紙又は板紙の芯層及びプラスチックの外側液体密封層を備える積層包装材料から製造される平行6面体の容器である。
【0017】
本発明でのこの装置10は、横方向のシール・ステーション(図示せず)と包装容器がそれらの意図した内容物で充填されるべきそれに続く充填ステーション(図示せず)の間に配置される。この包装容器が装置10を通過するとき、それらは底が完全に開いている。しかしながら、包装容器の頂部はシールされているが、最終的な折り畳みがまだ行われておらず、その理由のために、2重壁のコーナー・フラップ14はまだ包装容器の外側に向かって折り込まれず、それに対してシールされておらず、この位置では包装容器の両側から外に実質的に一直線を指している。この包装容器は横のシール・ステーションから充填ステーションにコンベア16を使用して移動され、どちらの図でも左から右の移動の方向は矢印で印を付けられ、第1の方向と呼ばれる。このコンベア16は、欧州特許第1062160号明細書で開示された型式のカセット18を備え、各個々の包装容器12は、カセット18によって支持される。そのようなカセット18は本明細書ではより詳細に説明しないが、上記で述べた欧州特許文書に対し参照がなされている。図の左側で、包装容器12が開口する底部を上側にして置かれ、したがって、先行するステーションで包装容器12の頂部に形成された横方向シール・フィンは、このフィンの縦方向を実質的に移動の方向と平行にして、その面を下側に転回される。このカセット18は、底部及び頂部が開口しており、包装容器12の頂部のシール・フィンは、カセット18の下に配置される。この装置の役割は、包装容器12が通過するとき、後でシールされ、その底部を形成する包装容器12の領域がカセット18から外に突き出す、すなわち、カセット18の上側に開口する端部からある距離突き出すように、カセット18内で包装容器12を上側に押すことである。垂直方向での位置決めが行われ、そこでは包装容器12のコーナー・フラップ14が利用され、カセット18内の支持手段と協働する。
【0018】
この装置10は、互いに対し垂直方向で同じ高さに配置される第1及び第2のプーリー20、22を備える。プーリー20、22間の実質的に中央に、曲げローラ24が配設され、この曲げローラ24は、プーリー20、22から垂直方向にある距離に、すなわち、図の上側垂直方向に配置される。ある角度αが曲げローラ24と第1のプーリー20の間に形成され、やはりαで示される同じ寸法の角度が曲げローラ24とプーリー22の間に形成される。
【0019】
プーリー20、22及び曲げローラ24は第1及び第2の枠26、28の間でジャーナル支承され、少なくとも1つのプーリー22が駆動手段(図示せず)によって駆動される。この実施例では、第1のプーリー20は軸を使用して互いに非回転的に相互接続される、第1及び第2のプーリー部品20a、20bから構成される。対応して、第2のプーリー22は軸を使用して互いに非回転的に相互接続される、第1及び第2のプーリー部品22a、22bから構成される。同様に、曲げローラ24は、互いに非回転的に相互接続される第1のローラ部品24a及び第2のローラ部品24bから構成される。第1の駆動ベルト30は、第1のプーリー20の第1のプーリー部品20a、曲げローラ24の第1のローラ部品24a及び第2のプーリー22の第1のプーリー部品22a上を走る。第2の駆動ベルト32は、第1のプーリー20の第2のプーリー部品20b、曲げローラ24の第2のローラ部品24b及び第2のプーリー22の第2のプーリー部品22b上を走る。この実施例では、これらのベルト30、32は、刃付きベルト形式の従来型ベルトである。このベルト30、32は、図で時計回りに同期して駆動される。第1のプーリー20から曲げローラ24までの第1の部分34に沿って、このベルト30、32は第2の方向に走り、この第2の方向は第1の方向、すなわちコンベア16の移動の方向と角度αを作る。曲げローラ24から第2のプーリー22までの第2の部分36で、このベルト30、32は第3の方向に駆動され、この第3の方向も第1の方向と角度αを作る。
【0020】
軸38は、移動の方向に対して実質的に直角に、ベルト30、32に固定して配設される。これらの軸38のベルト30、32に対する固定を以下で説明する。各軸38の上に、キャリア40が固定されている。このキャリア40はプレートとして設計され、プーリー駆動部から外側に延びる軸38の一端にジャーナル支承されている。このジャーナル支承は、プレートが固定されている軸38が、例えば、第1の部分34に位置している、換言すれば第2の方向に移動するとしても、プレートの頂部表面が実質的に第1の方向と平行であることができるまで、プレート40が軸38の周りを枢動することができるロッカーを構成するように形成される。したがって、このプレート40は、軸38に対して少なくとも角度αにわたり枢動可能である。プレート40が包装容器12に対して当接し、力が加えられるとき、それはそれ自体を調整し力の平衡が得られる。
【0021】
この装置のコンベア16及びベルト30、32は、互いに同期して駆動される。
【0022】
前に述べたように、各キャリア40は軸38に固定され、この軸は各ベルト30、32のところでクランプ装置42を使用してベルト30、32のどちらにも固定される。以下の開示で、かつ図3を参照して、このクランプ装置42の第1の実施例がより詳細に説明され、どのように軸38がクランプ装置42を使用して、例えば、第1のベルト30に固定することができるか示されるであろう。このクランプ装置42は、ベルト30に対して当接することができるようになされた、ピンの形態の第1の部品44を備える。ベルト30に対するこの当接はベルト30の刃のすきま内で行われる。このピン44は、軸38内に形成される支持手段46にも同様にうまく留めることができるようにもなされている。これらの支持手段46は、その各端部のところで刃の隙間の続きを形成する、すなわち、この支持手段46は、ベルト30の刃の隙間と整列する小さな「刃の隙間」として形成される。ピン44は、この支持手段46内に留めることができる。第1の部品44のどちら側にも、すなわちピンの各端部に、第2の部品48、50がそれぞれ配設される。したがって、第1の部品44は中央の部品である。この2つの別の部品48、50は、実質的に同じであり、おのおのが軸38を取り囲むことができるようになされたヨーク要素の形態を有する。各ヨーク要素は、軸38の対応する穴54内に留めるようになされた外側端部52、すなわち自由端を有する。軸38が、その中央点が後で説明するピッチ・ラインからある距離に位置するように置くことができるようにするために、ベルト30を少なくとも部分的に収容するように配設されるくぼみ56が軸38に設けられる。このくぼみ56は凹部として形成され、ベルトの平らな表面に当接するようになされた表面を有する。この表面は、この表面が2つのヨーク要素48、50も収容できるように、ベルトの幅方向に見えるベルト30より大きな、軸の縦方向の延長部を有する。この支持手段46は、この表面内の複数の断絶部で形成される、すなわち、軸38の内のくぼみ56は実際に3つの部分、ベルト30を収容できる中央部分56a、並びにおのおのがヨーク要素48、50のうちの1つを収容できる支持手段46の外側の小さな外側部分56b、56cで形成される。図4参照。外側部分56b及び56cは、ヨーク要素を支持するためのものであり、このクランプ装置がその力全部でベルトを押し下げないように、一部のばね力を引き受ける。そのような手段によって、ピン44がベルトの方向を「侵食する(eat)」危険性が最小限にされる。したがって、支持手段46内に留められるのはヨーク要素48、50に隣接するピン44の外側端部である。支持手段46は、ヨーク要素48、50が軸38を取り囲むことができるようにピン44の回転ができるように設計される。術語「取り囲む」は、必ずしもヨーク要素48、50が軸38に全体として当接することを意味せず、ピン44と支持手段46の間の当接点に加えてヨーク形態に沿ってどこかで当接点が存在することで十分であることに気付くべきである。
【0023】
このヨーク要素48、50は、軸38内の支持手段46の第1の部分の当接点と、軸の幾何学的形状がクランプ装置42を固定した位置に、すなわち、クランプ装置42がベルト30を軸38に対して固定する位置、に保持することができるのに十分大きな軸38に対するヨーク要素の当接点との間に、ラッピング角βが形成されるように、軸38を取り囲むようになされている。図5は、十分に大きなラッピング角βによって意味することを図示している。図Iに上記で説明したものと同様な、穴54を有する軸38の断面を見ることができる。穴54のお陰で、この場合はヨーク要素の当接点は180°より若干小さいラッピング角βを有する。図6は、ヨーク要素48、50が軸38の穴内に留めるためのものではなく、ヨーク要素48、50の外側部分52’が軸38に当接するためのみに配設されるクランプ装置42の第2の実施例を示す。この変形形態は、少なくとも180°のラッピング角を必要とする。図6の図IIを参照。この軸38は、図IIIに示すように三角形の断面、又は図IVに示すように多角形、例えば、正方形の形態の断面を有して設計することもでき、したがって、ラッピング角βが第1の角を越えて及ぶので十分である。しかしながら、ヨーク要素の形態及び断面積は、必要とされるラッピング角βのために当然重要であることは認識されるべきである。ヨーク要素48、50が弱い場合、例えば、それが小さな断面積と大きなヨーク形態を有する場合は、大きなラッピング角βが多分必要とされる。図V参照。
【0024】
図3に示すクランプ装置42の説明した第1の実施例では、軸38の穴54は、実質的にくぼみ56と見当を合わせて、すなわち軸38のもう1つの「側」に配置される。したがって、本明細書ではラッピング角βは実質的に180°である。
【0025】
このクランプ装置42は、鋼の棒を曲げることによって簡単に製造することができる。
【0026】
クランプ装置42の取り付けに際し、刃付きベルト30が、その平らな表面が軸38のくぼみ56内の平らな表面に当接するように、最初に配置される。図3参照。その後で、クランプ装置42の第1の部品44、ピンが支持手段46内に押し下げられる。図3の上側右手の図参照。その後で、ヨーク要素48、50の外側端部52が軸38の下側の穴54内に留められるように、ヨーク要素48、50が軸38を取り囲むように回転させられる。図3の対応する下側の図及び図3の上側左手の図参照。
【0027】
以下の開示で、軸38の固定を図7を参照して説明する。ベルト30、32が同期して駆動され、形態及び位置決めのどちらでも実質的に同一であるので、この固定は、簡単のために第1のベルトを参照してのみ説明する。2本の軸38の間の互いの距離はDで示され、この距離は2本の軸38の中心点が図の幾何学的点A及びDの間の線L上に、かつ、無限に小さな半径を有する曲げローラ24の上に配置されている限り維持される。しかしながらほとんどの場合は、この曲げローラは無視できない半径を有する。この実施例では、この半径はRで示され、曲げローラの中心からピッチ・ラインまでが測定される。軸38の中心点がベルト30のピッチ・ライン上に万一配置されている場合は、図の線Lを参照、すなわち伸張がゼロであるこの線上では、この軸38は、曲げローラ24上のベルトの傾斜が角度αから逸れるので、点Dの上ではなく点Eの上を「近道(short cut)」するであろう。したがって、曲げローラ24のどちら側にも配置される2本の軸38間のx軸での互いの距離Yは、曲げローラ24の同じ側にどちらもが配置される2本の軸38間のx軸、例えば、図に示す装置10の第1の部分34内での距離Xより長いであろう。
【0028】
この軸38がいつでも実質的に同じ速度で移動するために、すなわち軸38が曲げローラ上を移動する、すなわち移動の移動の方向を変えるときにx軸でのそれらの互いの間隔Xを失わないようするに、軸38は、各軸38の中心点がベルトのピッチ・ラインからある距離J変位するようにベルト30に固定される。この距離Jは、曲げローラ24に向かって内側の方向に測定され、この距離はピッチ・ラインLの各点での接線に対し実質的に直角のところにある。点Aと点Cの間の第1の部分34では、距離Jはしたがって第2の方向に対して実質的に直角のところにあり、第2の部分36では、この距離は第3の方向に対して実質的に直角のところにある。この距離Jは、以下の理論によって計算することができる。
【0029】
長さCD間の長さの差K、すなわち点CとD間の距離、及び長さCE,すなわち点Cと点Eの間の孤の弓形を計算することによって、Yを実質的にXと同じ長さに維持するために「近道」を補償することができることが可能になる。長さの差Kは、x軸での距離であり、以下の式をよってJを計算するために使用される。
【数2】


ここでKは、前に述べたように、CD−CEの長さの差であり、ここで、
【数3】


Kは、したがって、以下により簡略化することができる。
K=R(tanα−α)
ここで、αはラジアンで表される。
【0030】
軸38の中央点を曲げローラ24に向かう内側の方向で、ピッチ・ラインLから距離J移動させることによって、曲げローラ24のおのおのの側に配置される2本の軸38の間のx軸での互いの距離Xは、曲げローラ24の同じ側にどちらもが位置する2本の軸38間のx軸での互いの距離Xと実質的に同じ長さにすることができる。この理解は点B及びBを考慮する場合容易になる。点Bはピッチ・ラインL上にあり、点Bはピッチ・ラインLから距離Jだけ移動した軸38の中心点である。点Bが接線点Cに到達し、ベルト30が角度αから逸れ始めるとき、点Bはさらに前方の距離Kに位置するであろう。点Bが点Eに到達しこの角度がゼロになるとき、点Bは丁度点Bの下にあり、それによって長さの差Kは補償される。この対応は点A及びAにも当てはまる。第2のプーリ(図示せず)に向かう方向での点Eのもう1つの側に配置される点に対しては、逆の状況が当てはまる。すなわち点Bが曲げローラ24を通過するとき、点Bは点Bの後ろに位置する、すなわち点Bはx軸に見られる点Bより曲げローラにより近接して配置されるであろう。したがって、X及びXは、実質的に同じ長さになるであろう。
【0031】
本発明を1つの現今での好ましい実施例を参照してのみ説明してきたが、当業者の読者には、本発明はそれに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく多数の変形形態及び改変形態を考え得ることは明らかであろう。
【0032】
この実施例では、装置は2本のベルト30、32を有して示されてきたが、この数は当然改変することができる。
【0033】
同様に、当業者の読者には、この装置が歯付きベルトの代わりに平ベルト又はチェインを用いて設計することができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による装置及びそれと協働するコンベアの一実施例の概略斜視図である。
【図2】図1に示す図の概略平面図である。
【図3】クランプ装置の第1の実施例とどのようにそれが軸をベルトに固定するかを、いくつかの図で示す概略図である。
【図4】軸の概略斜視図である。
【図5】図I〜Vに示す異なる軸の断面及びラッピング角の概略図である。
【図6】クランプ装置の第2の実施例の概略斜視図である。
【図7】軸の固定を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア(40)を備え、前記キャリア(40)を使用して包装容器(12)をカセット(18)に対して第1の位置から第2の位置に押すことができる、包装機械内で第1の方向に移動する前記カセット(18)内に支持される多数の前記包装容器(12)を押すための装置(10)であって、
前記装置(10)は、前記装置(10)の第1の部分(34)では第2の方向に移動し、前記装置(10)の第2の部分(36)では第3の方向に移動する少なくとも1本のベルト(30、32)を備え、
前記第1と第2の部分(34、36)の間に曲げローラ(24)が配設され、
前記第2の方向及び第3の方向のおのおのは、前記第1の方向とある角度αをなし、
前記キャリア(40)は、クランプ装置(42)を使用して前記ベルト(30、32)に固定される軸(38)に連結され、
両方の軸(38)が前記第1又は第2の部分(34、36)に配置されていようが、前記軸が曲げローラ(24)のどちら側に配置されていようがそれらに関わらず、前記第1の方向に測定された2本の軸(38)間の互いの距離(X、X)が実質的に同じ寸法になるように、前記軸の中心点が、前記ベルトのピッチ・ライン(L)から、前記曲げローラ(24)に向かって内側に、ピッチ・ラインに対して実質的に直角な方向にある距離(J)だけオフセットされていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ベルトピッチ・ライン(L)からの前記距離(J)の長さが、式
【数1】


によって計算され、ここでαは前記角度であり、Kは式
K=R(tanα−α)
によって計算され、ここでRは前記曲げローラの中心から前記ピッチ・ライン(L)までの半径であり、αはラジアンであらわされる、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記キャリア(40)が、前記包装容器(12)に対して当接するようになされた表面を有し、前記キャリアの前記表面が前記軸(38)に対して少なくとも前記角度αにわたり回転することができるように前記軸(38)上にジャーナル支承される、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記装置が、互いに対して同じ高さに配置されかつ前記曲げローラ(24)のどちら側にも配置される第1及び第2のプーリ(20、22)を備える、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記ベルト(30、32)が歯付きベルトである、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記軸(38)を前記ベルト(30、32)に固定する前記クランプ装置(42)が、前記ベルト(30、32)の歯の隙間及び前記軸(38)の支持手段(46)に全体的に又は部分的に当接するようになされた第1の部分を備え、前記支持手段(46)は、そのおのおのの端部で前記歯の隙間と続きを形成し、その支持手段(46)に前記第1の部分(44)を留めることができ、かつ、各端部のところの前記第1の部分(44)はヨーク要素の形態の第2の部分(48、50)に接続され、前記ヨーク要素(48、50)は、前記軸(38)の前記支持手段(46)内の前記第1の部分の当接点と前記軸の幾何学的形状が前記クランプ装置(42)を固定した位置に保持することができるように十分に大きい前記軸(38)に対する前記ヨーク要素の当接点との間にラッピング角(β)が形成されるように、前記軸を取り囲むようになされる、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記軸(38)に、前記ベルト(30、32)を少なくとも部分的に収容するようになされた少なくとも1つのくぼみ(56)が設けられ、前記くぼみ(56)内に前記支持手段(46)が配置される、請求項6に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記歯付きベルトの平らな表面が、前記軸(38)の前記くぼみ(56)内の対応する表面(56a)に当接するようになされた、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
各ヨーク要素(48、50)が、おのおの前記軸(38)の対応する穴(54)内に留まるようになされた外側端部(52)を有する、請求項5に記載の装置(10)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−517736(P2007−517736A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545278(P2006−545278)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001720
【国際公開番号】WO2005/058702
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】