説明

包装容器

【課題】容器の開封状況を確認できるとともに商品管理等もできる包装容器を提供する。
【解決手段】本発明の包装容器1は、別の周波数帯を通信可能な少なくとも2つのアンテナ部32,33を有するRFIDタグ3を備え、前記アンテナ部32,33のうちの1つを容器1の開封とともに通信不能に切断する構成としたことを特徴とする。前記RFIDタグ3は、携帯端末と通信可能とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘した容器の開封状況を確認できる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDタグは、食品や医薬品等のトレーサビリティなどの管理に使用されている。例えば、食品や医薬品等を流通、納入する際に、RFIDタグを備えた粘着ラベルを、これらの包装容器に貼付などして管理することが行われており、これにより在庫管理、納品管理、返品管理などを行うことができ、流通全体での効率化を図ることができる。
【0003】
しかし、RFIDタグでは、返品された商品の開封状況まで管理することはできなかった。例えば、包装容器を封緘ラベルなどで封緘してあっても、剥がしたラベルには粘着性が残っている場合があり、再貼付されると、開封済みであるか見分けがつきにくいものであった。また、封印ラベルをカッターで切り、中身を取り出した後、再封された場合に気付かないこともあった。そのため、開封された容器が返品されても、見過ごしてしまい、在庫として管理し、再度納品してしまうおそれがあった。特に、医薬品ではこのようなことがあってはならないことである。
【0004】
そこで、医療用機器或いは医療用材料の包装容器であって、包装容器の開封とともにRFIDタグを通信不能に破断する包装容器が開発されており、これはRFIDタグが通信不能であることにより開封済みであることを確認することができるようにしたものである(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−215957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の包装容器では、容器の開封状況を確認できるが、商品管理をすることまでを考慮したものではなかった。
そこで、本発明の目的は、容器の開封状況を確認できるとともに商品管理等もできる包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装容器は、別の周波数帯を送受信可能な少なくとも2つのアンテナ部を有するRFIDタグを備え、前記アンテナ部のうちの1つを容器の開封とともに切断する構成としたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の包装容器は、少なくとも2つのアンテナ部を備えることにより、一つは容器の開封状況を確認するために使用することができ、もう一つは商品管理等をするために使用することができ、開封状況の確認及び商品管理等をともにできるものになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の包装容器を示した斜視図である。
【図2】図1の包装容器に用いる粘着ラベルの一例を示した斜視図である。
【図3】図2の粘着ラベルを模式的に示した拡大断面図である。
【図4】図1の包装容器の開封状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、包装容器の一実施形態に基づいて説明する。
本発明の一実施形態の包装容器1は、図1に示すように、容器本体2と、RFIDタグ3とを備えたものである。包装容器1は、薬剤、医薬機器、医薬器具などを収納する医薬品用の包装容器として好適に用いることができ、また、トレーサビリティなどの管理を行う、トレーサビリティ用の包装容器として好適に用いることができる。
【0011】
容器本体2は、図1に示すように、紙、合成紙、合成樹脂などから形成することができ、上方が開口した矩形箱型の収納部21と、収納部21の開口を被覆し、一辺を収納部21に一体的に連結して開閉可能とした蓋部22とを備えており、収納部21内に食品や医薬品などを収納することができるようにしてある。また、収納部21と蓋部22とを連結した一辺とは対向する辺を開封部23としてある。
【0012】
RFIDタグ3は、図2に示すように、ICチップ31とその周囲に形成した第一アンテナ部32と第一アンテナ部32に隣接して設けた第二アンテナ部33とを備えた矩形状の粘着ラベル4として形成してあり、容器本体2の開封部23に貼付して封緘できるようにしてある。
【0013】
第一アンテナ部32及び第二アンテナ部33は、リーダライタなどの通信端末と無線で通信可能であり、この通信の際に用いる周波数帯は、13.56MHz帯,UHF帯,2.45GHz帯のいずれかとするのが好ましく、第一アンテナ部32及び第二アンテナ部33は、それぞれ別の周波数帯で通信可能にするのが好ましい。第一アンテナ部32及び第二アンテナ部33は、ICチップ31と配線34で通信可能に接続してあり、ICチップ31には、納品情報、返品情報など商品管理に必要な管理情報等を格納しておくのが好ましい。
通信端末は、携帯電話などの携帯端末にするのが好ましく、インターネットなどの通信網を介して取得した情報を送信できるものが好ましい。さらに、上記周波数帯のうちの2つの周波数帯で通信できるものが好ましい。
【0014】
粘着ラベル4は、図3に示すように、紙、合成紙、合成樹脂フィルムなどからなる基材41の表面に印刷などでRFIDタグ3を形成し、その上に保護層42を形成してあり、また、基材41の裏面に粘着層43を形成し、その上に合成樹脂フィルムなどからなるセパレート紙44を設けてあり、セパレート紙44を剥離することにより、容器本体2に貼付して封緘できるようにしてある。粘着ラベル4は、カッターやハサミなどで切断できる硬さにするのが好ましく、また、ミシン目を入れたり、一方向に切れやすいフィルム等を使用してカット位置を設けたりするのが好ましい。
保護層42は、ポリエステルフィルムなどから形成することができ、なかでも、RFIDタグ3が外部から視認しにくくするため、白色のポリエステルフィルムで形成するのが好ましい。
粘着層43は、貼付した際に簡単に剥がれない粘着力がある粘着剤又は接着剤などで形成するのが好ましい。
【0015】
粘着ラベル4は、容器本体2の開封部23に、第一アンテナ部32を蓋部22表面に配し、ICチップ31及び第二アンテナ部33を収納部21の正面に配し、図2の破線Aを折り曲げ線として折り曲げ、第一アンテナ部32とICチップ31とを結ぶ配線34が、容器本体2の開封部23を跨ぐように貼付してある。
【0016】
このような包装容器1は、例えば、第一アンテナ部32をUHF帯で通信可能とし、第二アンテナ部33を2.45GHzで通信可能とした場合、この容器1を通信端末のそばに置くと、どちらの周波数帯でも通信でき、管理情報等の読み書きを行うことができる。
包装容器1を開封する場合は、開封部23は粘着ラベル4で封緘されているため、例えば、粘着ラベル4をカッターなどで切断して開封したり、ミシン目に沿って切断したり、カット位置より切断することになる。この際、図4に示すように、配線34が切断されて第二アンテナ部33とICチップ31との接続が断たれ、2.45GHzでの通信は不能となる。これにより、包装容器1が開封されたことが確認でき、開封状況を知ることができる。
第一アンテナ部32は、ICチップ31と接続されており通信可能であるため、管理情報等の読み書きを行うことができ、商品管理等をすることができる。
【0017】
以下に、本発明の包装容器の具体的な一例を説明する。
まず、粘着ラベルを以下のように作製した。
基材となる8cm×16cmのPETフィルム(厚さ50μm)の表面に、アルミ箔(厚さ15μm)をドライラミにてラミネートし、その上に2.45GHz帯とUHF帯とのアンテナ部を印刷し、エッチングした。その後、両周波数帯に使用できるICチップをボンディングし、その上に白色のPETフィルムを貼り合わせた。また、基材のPETフィルムの裏面に、粘着剤を塗布し、その上にセパレート紙を積層して粘着ラベルを作製した。
次に、この粘着ラベルを、図1に示したような矩形箱型の容器本体の開封部に、2.45GHz帯のアンテナ部を蓋部の表面に配し、UHF帯のアンテナ部を本体の正面に配して貼付し、封緘することにより包装容器を作製した。
この包装容器の粘着ラベルをカッターで切断して開封した。その後、蓋部を閉じ、前記両周波数帯で通信可能な携帯端末(NEC製RFIDマルチリーダライタ)を容器のそばに持っていき、2.45GHzの周波数帯で通信したところ、通信不能であった。次に、UHF帯で通信したところ、通信可能であり管理情報等の読み書きが可能であった。
【0018】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【符号の説明】
【0019】
1包装容器 2容器本体 21収納部 22蓋部 23開封部 3RFIDタグ 31ICチップ 32第一アンテナ部 33第二アンテナ部 34配線 4粘着ラベル 41基材 42保護層 43粘着層 44セパレート紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別の周波数帯を通信可能な少なくとも2つのアンテナ部を有するRFIDタグを備え、前記アンテナ部のうちの1つを容器の開封とともに通信不能に切断する構成とした包装容器。
【請求項2】
別の周波数帯を通信可能な少なくとも2つのアンテナ部を有するRFIDタグを備えた粘着ラベルを、容器の開封部に貼付してあり、前記アンテナ部のうちの1つを容器の開封とともに通信不能に切断する構成とした包装容器。
【請求項3】
前記RFIDタグは、携帯端末と通信可能とした請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記周波数帯は、13.56MHz帯,UHF帯,2.45GHz帯のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。
【請求項5】
包装容器は、医薬品用又はトレーサビリティ用である請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−170714(P2011−170714A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35270(P2010−35270)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【特許番号】特許第4510133号(P4510133)
【特許公報発行日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(396023328)株式会社タケトモ (6)
【Fターム(参考)】