説明

包装材及びこれを用いた包装袋

【課題】溶剤系インクが収容された大容量の包装袋において、落下時の破袋防止性に優れ、かつガスバリア性に優れた包装袋を提供する。
【解決手段】溶剤系インクを収容する包装材であって、共押出法により積層された共押出層と、バリア層と、表面保護層との順に積層されてなり、共押出層には芯材となる樹脂層の両面に接着性樹脂層を介してシーラント樹脂層が積層されていることを特徴とする包装材。共押出層の全厚が90μm以上であり、最内面のシーラント樹脂層の厚さが50μm以上であり、かつ、バリア層が金属箔からなり、厚さが7μm〜20μmであることを特徴とする包装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば産業用インクジェットプリンター用の溶剤系インク、または、紫外線硬化型インクを内容液として充填される包装材およびこれを用いた大容量の包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、産業用のインクジェットプリンターの供給システムに使用されるインク容器としては、インクが充填されかつ吐出口にゴム栓が嵌め込まれたインク収容袋と、ゴム栓に差し込まれる中空針を一端に有しかつ他端がリザーブタンク内に位置するインク供給管とを備えたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。インク収容袋のゴム栓にインク供給管の中空針を刺すと、袋内のインクが中空針からインク供給管内を通ってリザーブタンクに供給されるようになっている。
インク収容袋は多層に積層されたフィルムが適用されている。インクとしては水性インクの外に、大版印刷、高速印刷に適した乾燥性が優れた溶剤系インクや紫外線硬化型インクが適用されている。これまでインク収容袋の容量は220〜440ccが主であった。しかしながら、産業用インクジェット機のさらなる高速化、大版印刷化のため、収容袋の交換頻度が増加している。このため、作業者の負担を軽減するため、交換頻度を低くするために1000cc以上の収容袋の大容量化が進みつつある。
しかしながら、溶剤系インクや紫外線硬化型インクを収容袋に充填すると、多層積層フィルムの接着剤層でデラミネーションが経時的に発生することがある。このため、特に容量が1000cc〜3000ccの大容量の収容袋は、落下による衝撃に耐えられず、落下した際、破袋を生ずることが考えられるためこれまで採用されないでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−29041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされてものであり、溶剤系インク、または、紫外線硬化型インクが収容された大容量の包装袋において、落下時の破袋防止性に優れ、かつガスバリア性に優れた包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、第1の課題解決手段による包装材は、溶剤系インクを収容する包装材であって、共押出法により積層された共押出層と、バリア層と、表面保護層との順に積層されてなり、共押出層には芯材となる樹脂層の両面に接着性樹脂層を介してシーラント樹脂層が積層されていることを特徴とする。
【0006】
第2の課題解決手段による包装材は、紫外線硬化型インクを収容する包装材であって、共押出法により積層された共押出層と、バリア層と、表面保護層との順に積層されてなり、共押出層には芯材となる樹脂層の両面に接着性樹脂層を介してシーラント樹脂層が積層されていることを特徴とする。
【0007】
第3の課題解決手段による包装材は、第1から第2の課題解決手段において、共押出層の全厚が90μm以上であり、最内面のシーラント樹脂層の厚さが50μm以上であり、かつ、バリア層が金属箔からなり、厚さが7μm〜20μmであることを特徴とする。
【0008】
第4の課題解決手段による包装材は、第1から第3の課題解決手段において、共押出層とバリア層と間に強化樹脂層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
第5の課題解決手段による包装材は、第2から第4の課題解決手段において、紫外線遮蔽層が少なくとも1層形成されていることを特徴とする。
【0010】
第6の課題解決手段による包装袋は、第1から第5の課題解決手段における包装材を用いた内容量が1000cc〜3000ccである包装袋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の課題解決手段の包装材によれば、共押出層を内面側に構成させることにより、揮発性溶剤を充填させた場合であっても、デラミネーションを防止することが可能である包装材を提供できる。
【0012】
第2の課題解決手段の包装材によれば、共押出層を内面側に構成させることにより、紫外線硬化型インクを充填させた場合であっても、デラミネーションを防止することが可能である包装材を提供できる。
【0013】
第3の課題解決手段の包装材によれば、最内面のシーラント樹脂層とポリアミド系樹脂層によって強度を向上させて、落下時の破袋を防止することが可能な包装材を提供できる。
【0014】
第4の課題解決手段の包装材によれば、強化樹脂層を形成させることによって引き裂き強度、突き刺し強度が向上し、落下時の破袋を防止することができる。
また、包装材をヒートシールすることにより製袋する際に、バリア層がシーラント樹脂層と接面しない構成であるため、バリア層である金属箔が破断することを防止することが可能な包装材を提供できる。
【0015】
第5の課題解決手段の包装材によれば、紫外線遮蔽層を少なくとも1層形成させることにより、内容液である紫外線硬化型インクの硬化を防止することができる。
【0016】
第6の課題解決手段の包装袋によれば、第1から第5の課題解決手段による包装材を用いることにより、内容量が1000cc〜3000ccという大容量の包装袋を誤って、落下させた場合でも破袋を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装袋の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の包装材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明の第1の実施形態の包装袋1は、図1に示すように多層に積層されたフィルム状の数枚の包装材2の端部をヒートシールすることにより作製される。袋の形状は特に限定されるものではないが、限られた収容スペース内に収容できるようにサイドガセットタイプであることが好ましい。内容量は大容量である1000cc〜3000ccに特に適している。袋には注出口3がヒートシールされている。
袋内には内容液として、揮発性である溶剤系インクが充填される。例えば、溶媒としてはエタノール、イソプロパノールなどの低沸点有機溶媒、シクロヘキサノン、ジエチレングリコール誘導体、N−メチルピロリドンなどの中沸点有機溶媒が適用される。
【0019】
本発明の包装材2は、袋の内面側から共押出法により積層された共押出層20と、バリア層22と、表面保護層24との順に積層されてなる。さらに、共押出層20には芯材となる樹脂層13の両面に接着性樹脂層12、14を介してシーラント樹脂層11、15が積層されている。
【0020】
本発明に使用する共押出層20は、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルを芯材13とすることができる。
シーラント樹脂層11、15は、ヒートシール性を有していればよく、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂等から選択される。
熱接着樹脂層12、14は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン樹脂をカルボニル基によって、変性させた樹脂が使用される。この樹脂は、他のポリオレフィン樹脂、ポリアミド系樹脂との相溶性が非常によく、強固な熱接着性を有する。
共押出層20は、落下時の耐破袋性の観点から、全体の厚みが90μm以上であることが望ましい。より望ましくは全体の厚みが150μm以上である。
最内面のシーラント樹脂層11の厚みは、落下時の耐破袋性の観点から、50μm以上であることが望ましい。より望ましくは最内面のシーラント樹脂層11の厚みは60μm以上である。
【0021】
本発明に使用するバリア層22は、金属箔または金属もしくは無機酸化物の蒸着薄膜層が望ましい。金属箔は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等が使用でき、中でも、汎用性、フレキシブル性からアルミニウムが特に望ましい。また、金属箔は、薄いほどピンホールが発生しやすいため、本発明のガスバリア性能を確保するためには厚みが7μm〜20μmであることが望ましい。
【0022】
本発明に使用する表面保護層24は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンを1軸もしくは2軸延伸することによって得られる。厚みについては、12μm〜50μmが望ましい。表面保護層24は上記から1種のみを使用した1層状でも、2種以上を使用した多層状でもよい。
また、表面保護層24とバリア層22と共押出層20とがラミネートされるが、このラミネート方法については特に制限を受けるものではなく、ラミネート可能であればどのような方法でもよい。通常は、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、ポリエチレン押し出しラミネート法等が挙げられる。
【0023】
さらに、共押出層20とバリア層22との間に強化樹脂層を形成することができる。本発明に使用する強化樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等が使用される。厚みについては、12μm〜50μmが望ましい。強化樹脂層は、落下時の衝撃による破袋を防止する効果を有し、引き裂き強度、突き刺し強度が向上するように形成される。
また、包装材2をヒートシールすることにより製袋する際に、バリア層22が溶融するシーラント樹脂層15と接面しない構成であるため、バリア層22である金属箔が破断することを防止することができる。
強化樹脂層と他層とのラミネート方法は特に制限を受けるものではなく、通常用いられる方法を用いることができる。
【0024】
次に本発明の第2の実施形態の包装袋1ついて説明する。第1の実施形態による包装袋1と同一のフィルム構成であり、袋内に内容液として、紫外線硬化型インクが充填される。紫外線硬化型インクは、例えば、ラジカル重合型のアクリレート系モノマー、カチオン重合型のオキシラン系モノマー及び、紫外線吸収剤、ラジカル開始剤、酸発生剤、顔料などで構成されている。
さらに、速硬化性紫外線硬化型インクを収容する場合には、紫外線遮蔽層が少なくとも1層形成されていることが望ましい。
【0025】
本発明に使用する紫外線遮蔽層にその機能を発揮させる方法は特に限定されるものではなく、樹脂層に着色剤や紫外線吸収物質を含有させることにより形成させることができる。着色剤は黒色、灰色、黄色等が特に望ましい。紫外線吸収物質は特に限定されるものではなく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体などの有機化合物が使用できる。
紫外線遮蔽層はいずれかの層に形成させることができる。しかしながら、共押出層20のシーラント層11、15のうちのいずれかに紫外線遮蔽機能を持たせることが望ましい。さらに、シーラント層の最内層11が紫外線遮蔽層であることがより望ましい。
本発明の包装袋1は大容量であるため、落下時の耐破袋性の観点から、共押出層20の全厚が90μm以上、最内層のシーラント層11は50μm以上である。このため、包装袋1のより外側の層に紫外線遮断層を形成させた場合、速硬化性紫外線硬化型インクなどは包装袋1のシール端面部分から紫外線が吸収されるおそれが生じる。しかしながら、最内層11を紫外線遮蔽層とすれば、包装袋1のシール端面部分からの紫外線の吸収を防止することができるため、インクの硬化を防止することができる。
【実施例】
【0026】
本発明の実施形態の包装材について、実施例によりさらに具体的に説明する。
(1)略号
PET:ポリエチレンテレフタレート
Ny:ポリアミド
AL:アルミニウム箔
カルボニル基変性PE:カルボニル基変性ポリエチレン
LLDE:直鎖状低密度ポリエチレン
[実施例1]
PET//AL//LLDPE/カルボニル基変性PE/Ny/カルボニル基変性PE/LLDPE
ポリアミドフィルム(厚さ20μm)の両側に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ65mm)を、カルボニル基によって変性させたポリエチレン樹脂を介して共押出層を作製した。その後、表面保護層のポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)を基材として、バリア層としてアルミニウム箔(厚さ7μm)、共押出層とをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、実施例1を作製した。
[実施例2]
PET//AL//Ny//LLDPE/カルボニル基変性PE/Ny/カルボニル基変性PE/LLDPE
ポリアミドフィルム(厚さ20μm)の両側に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ65mm)を、カルボニル基によって変性させたポリエチレン樹脂を介して共押出層を作製した。その後、表面保護層のポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)を基材として、バリア層としてアルミニウム箔(厚さ7μm)、強化樹脂層としてポリアミドフィルム(厚さ15μm)、共押出層とをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、実施例2を作製した。
[実施例3]
PET//AL//LLDPE/カルボニル基変性PE/Ny/カルボニル基変性PE/LLDPE
ポリアミドフィルム(厚さ20μm)の両側に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ65mm)を、カルボニル基によって変性させたポリエチレン樹脂を介して共押出層を作製した。その際、外側の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムにカーボンを含有させて、着色することにより紫外線遮蔽層とした。その後、表面保護層のポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)を基材として、バリア層としてアルミニウム箔(厚さ7μm)、共押出層とをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、実施例3を作製した。
[実施例4]
PET//AL//LLDPE/カルボニル基変性PE/Ny/カルボニル基変性PE/LLDPE
ポリアミドフィルム(厚さ20μm)の両側に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ65mm)を、カルボニル基によって変性させたポリエチレン樹脂を介して共押出層を作製した。その際、内側の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムにカーボンを含有させて、着色することにより紫外線遮蔽層とした。その後、表面保護層のポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)を基材として、バリア層としてアルミニウム箔(厚さ7μm)、共押出層とをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、実施例4を作製した。
[比較例1]
PET//AL//Ny//LLDPE
ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)、アルミニウム箔(厚さ9μm)、ポリアミドフィルム(厚さ15μm)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ20μm)それぞれをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、比較例1を作製した。
[比較例2]
Ny//AL//LLDPE
ポリアミドフィルム(厚さ15mm)、アルミニウム箔(厚さ9mm)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ85μm)それぞれをウレタン化ポリエステル接着剤を使用してドライラミネートし、比較例2を作製した。
【0027】
<ラミネート強度測定>
実施例1及び比較例1、2の包装材をそれぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムが内側にくるようにヒートシールによってパウチ化し、シアン系(インクa)、マゼンダ系(インクb)の溶剤系インク、及び一般紫外線硬化型インク(インクc)、速硬化性紫外線硬化型インク(インクd)を30cc充填し、60℃の恒温槽に4日間放置し、包装材の劣化状態を観察した。
その後、包装袋から幅15mmの短冊状に試験片を切断して採取し、最内層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とその外層との間のラミネート強度をオートグラフを用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように、本願発明による実施例1は溶剤系インク、紫外線硬化型インクを収容してもアルミの腐食、ラミネート強度の劣化は認められなかった。他方比較例1、2は共にアルミの腐食、ラミネート強度の劣化が認められた。
【0030】
<落下強度試験>
落下強度試験はJISZ0238に準じて行った。まず、実施例1、2及び比較例1、2の包装材をそれぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムが内側にくるように、表裏2枚のフィルムと左右2枚のフィルムをヒートシールして注出口付きサイドガゼットパウチを作製し、マゼンダ系の溶剤系インク(インクb)を1000cc、2000cc、3000cc充填し、60℃の恒温槽に4日間放置した。
その後2mの高さから落下させて、袋の状態を観察した。袋の底面を面落下させ、試験サンプル数は各n=3とした。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
表2に示すように、本願発明による実施例1、2は落下による破袋は見られなかった。他方比較例1、2は共に破袋が生じた。
【0033】
<重量測定>
実施例1及び比較例1、2の包装材をそれぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムが内側にくるように、表裏2枚のフィルムと左右2枚のフィルムをヒートシールして注出口付きサイドガゼットパウチを作製し、シアン系の溶剤系インク(インクa)を2000cc充填し、60℃の恒温槽に所定期間放置した。
その後重量測定を行うことによって、バリア性を求めた。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
表3に示すように、本願発明による実施例1は重量変化がなく、バリア性の低下がみられなかった。
【0036】
次に最内層シーラント樹脂層の必要な厚さを求めるため、最内層のシーラント樹脂層の厚さのみを変えた包装材によって包装袋を作製し、JISZ0238に準じて落下強度試験を行った。試験サンプルはサイドガゼットパウチであり、水を2000cc充填し、所定の高さより落下させ、袋の状態を観察した。袋の胴部正面を面落下させ、試験サンプル数は各n=3とした。その結果を表4に示した。
包装材は、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)、アルミニウム箔(厚さ9μm)、ポリアミドフィルム(厚さ15μm)と所定厚さの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムそれぞれをウレタン化ポリエステル接着剤を使用しドライラミネートし、試験サンプルA〜Dを作製した。
【0037】
【表4】

【0038】
シーラント樹脂層の厚さが40μmでは、1.0m以上の高さからの落下で破袋した。シーラント樹脂層の厚さが50μmでは、1.0mの高さからの落下では破袋しなかった。しかしながら、1.5mの高さからの落下で破袋するサンプルも発生し、2.0mでは全数破袋した。シーラント樹脂層の厚さが60μm以上では、2.0mの高さからの落下でも破袋しなかった。
【0039】
<紫外線硬化試験>
実施例1、3、4及び比較例2の包装材をそれぞれ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムが内側にくるように、表裏2枚のフィルムと左右2枚のフィルムをヒートシールして注出口付きサイドガゼットパウチを作製し、一般紫外線硬化型インク(インクc)、速硬化性紫外線硬化型インク(インクd)、を2000cc充填した後、太陽光下で30日間暴露し、紫外線硬化型インクの硬化状態を観察した。
【0040】
【表5】

【0041】
表5に示すように、一般紫外線硬化型インクcでは実施例1、3、4において、インクの硬化物は見られなかった。速硬化性紫外線硬化型インクdでは、実施例4は硬化物が見られず、実施例1、3は僅かに硬化物が確認された。比較例2はインクc、インクdともに包装袋のシール部近辺でインクの硬化物が顕著に見られた。
【符号の説明】
【0042】
1 包装袋
2 包装材
3 注出口
11、15 シーラント樹脂層
12、14 熱接着樹脂層
13 芯材
20 共押出層
22 バリア層
24 表面保護層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤系インクを収容する包装材であって、共押出法により積層された共押出層と、バリア層と、表面保護層との順に積層されてなり、
共押出層には芯材となる樹脂層の両面に接着性樹脂層を介してシーラント樹脂層が積層されていることを特徴とする包装材。
【請求項2】
紫外線硬化型インクを収容する包装材であって、共押出法により積層された共押出層と、バリア層と、表面保護層との順に積層されてなり、
共押出層には芯材となる樹脂層の両面に接着性樹脂層を介してシーラント樹脂層が積層されていることを特徴とする包装材。
【請求項3】
共押出層の全厚が90μm以上であり、最内面のシーラント樹脂層の厚さが50μm以上であり、かつ、バリア層が金属箔からなり、厚さが7μm〜20μmであることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の包装材。
【請求項4】
共押出層とバリア層と間に強化樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装材。
【請求項5】
紫外線遮蔽層が少なくとも1層形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の包装材。
【請求項6】
内容量が1000cc〜3000ccであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の包装材を用いた包装袋。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−285221(P2010−285221A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99364(P2010−99364)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(710006932)株式会社パックプラス (7)
【Fターム(参考)】