包装材料
【課題】商品包装体内の湿度上昇を容易に把握することができ、湿度インジケータの収納作業が不要な透明包材を提供する
【解決手段】多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなる湿度インジケータ塗布面を形成し、且つ、該湿度インジケータ塗布面に対して外側の層の透湿度が内側の層の透湿度よりも低くなるように構成する。
【解決手段】多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなる湿度インジケータ塗布面を形成し、且つ、該湿度インジケータ塗布面に対して外側の層の透湿度が内側の層の透湿度よりも低くなるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品や電子部品など乾燥状態を保持する必要性のある包装体に用いる包装材料であって、包装体の内部の湿度上昇が容易に検知できる湿度インジケータを備えた包装材料に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、内部の湿度が一定以上にならないように管理される商品包装体においては、該包装体内に乾燥剤を入れて低湿度を保持しており、該乾燥剤としてはシリカゲル入りの小袋が用いられている。この小袋内には、湿度インジケータとして、通常のシリカゲルに青ゲルと呼ばれる塩化コバルト含浸シリカゲルが混入されていた。即ち、商品包装体内の湿度が一定以上になった場合には、該青ゲルが吸湿して赤色に変色することから、商品包装体内の湿度上昇を検知することができた。しかしながら、コバルトは重金属であるため、環境上、コバルトを含有しない形態が望まれている。
【０００３】
特許文献１には、粉状潮解性物質と潮解性物質の潮解液と接触することにより顕色化する粉状顕色剤との混合物の乾式成形体よりなる湿度インジケータが開示されている。このような湿度インジケータは、商品包装体内に収納することで係る包装体内の湿度が一定に保たれているか否かを確認することができる。
【０００４】
しかしながら、特許文献１の湿度インジケータは、乾燥剤を収納した乾燥剤内包袋或いは商品包装体内に別途収納しなければならず、収納作業が繁雑な上、湿度インジケータの入れ忘れが発生する恐れがあった。また、特許文献１の顕色剤として合成着色料のような水溶性色素やｐＨ指示薬を用いるため、湿度上昇時の色相変化の視認性が十分ではないという問題があった。
【０００５】
【特許文献１】特開平７−１７４７０４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来の課題を解決し、商品包装体内の湿度上昇を容易に把握することができ、湿度インジケータの収納作業が不要な包装材料を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の第１は、多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に形成された湿度インジケータ塗布面に対して外側に存在する層の透湿度が、内側に存在する層の透湿度よりも低いことを特徴とする。
【０００８】
また本発明の第２は、多層フィルムからなる包装材料において、最内層表面の少なくとも一部分に湿度インジケータ塗布面が形成されたことを特徴とする。
【０００９】
さらに上記第１及び第２の包装材料においては、
有色インク塗布面が、前記湿度インジケータ塗布面の内側に形成されていること、
上記湿度インジケータ層が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなること、
上記樹脂バインダーが、水系樹脂エマルジョン由来であること、
を好ましい態様として含む。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の包装材料は湿度インジケータ塗布面を有しているため、別途湿度インジケータを乾燥剤内包袋或いは商品包装体に収納する手間が省け、収納作業に係る費用を削減することができる。また、湿度インジケータの入れ忘れを生じる恐れがなく、不良品の発生を抑制することができる。
【００１１】
特に、湿度インジケータ塗布面が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物で形成されている場合には、湿度上昇による色の変化が明瞭で包装体内の湿度が上昇した場合に速やかにこれを検知することができ、また、変色にメモリー性があるため、一旦包装体内の湿度が上昇した後に乾燥剤によって湿度が低下した場合であっても、上昇した湿度によって変化した色を保持するため、誤認が防止される。また、係る呈色組成物は重金属を含まないことから、不要になった包装材料は一般家庭廃棄物として廃棄、或いは焼却することができる。
【００１２】
さらに、上記呈色組成物は、上記電子供与性呈色化合物と、酸性化合物と、潮解物質とを水系樹脂エマルジョンまたは水溶性高分子化合物水溶液に混合してなる水性塗料を塗布することにより容易に形成することができるため、本発明の包装材料の製造において安全性が高く、また、文字や模様など意匠を自由に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明の包装材料は、湿度インジケータ塗布面を有する多層フィルムで構成されていることを特徴とする。尚、本発明において多層フィルムの「内側」、「外側」とは、商品を包装した包装体において包装体内側になる側を「内側」、包装体外側になる側を「外側」と言う。
【００１４】
本発明に係る湿度インジケータ塗布面は、包装体内の湿度上昇を検知するための層であるため、外側の湿度の影響を受けず、内側の湿度に鋭敏である必要がある。そのため、該湿度インジケータ塗布面は外側に表面層が形成され、内側には該表面層よりも透湿度の高い内面層を形成するか（第１の発明）、或いは、湿度インジケータ塗布面を最内層表面に設ける（第２の発明）。
【００１５】
上記表面層としては、透湿度が１ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下が好ましく、内面層としては１０ｇ／ｍ2・ｄａｙ以上であるように構成することが好ましい。表面層の透湿度が１ｇ／ｍ2・ｄａｙを超える場合には、外部の湿度の影響を受け易く、包装体内の湿度が上昇していない場合であっても外部の湿度が上昇した場合に変色してしまう場合がある。また、内面層の透湿度が１０ｇ／ｍ2・ｄａｙ未満である場合には、包装体内の湿度上昇を十分に反映できない場合がある。
【００１６】
本発明において、上記表面層、内面層としては、ナイロン（Ｎｙ）やポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）などを単層で、或いは２層以上の多層構成で用いることができる。
【００１７】
また、表面層においては、外側から湿度インジケータ塗布面の湿度上昇による変色を認識できる程度に透明である必要がある。また、該表面層においては、包装体内の乾燥状態を維持するために、ＣＶＤ，ＰＶＤ等の公知の技術によるアルミナ蒸着層やシリカ蒸着層を設けることが好ましく、このような蒸着層を設けることで透湿度を１ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下とすることができる。
【００１８】
また、インジケータ塗布面の密着性を向上させるためにインジケータ塗布面の片面もしくは両面にアンカーコート層を形成しても良い。アンカーコート層としては公知のものが用いられ、好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【００１９】
さらに、湿度インジケータ塗布面が湿度上昇に対して非常に鋭敏である場合には、包装作業において周囲の湿度に鋭敏に反応して変色する恐れがある。特に、湿度インジケータ塗布面を内面側に露出させた場合にこのような問題が発生する恐れがある。よって、このような湿度上昇に鋭敏な湿度インジケータ塗布面を用いる場合には、湿度インジケータ塗布面の変色速度を調節するために、湿度インジケータ塗布面の内側に位置する内面層の透湿度を最大でも５００ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下とすることが好ましい。
【００２０】
また、本発明に係る湿度インジケータ塗布面は、多層フィルム全面に形成してしまうと該多層フィルムの透明性を損ねてしまうため、多層フィルムの面内において部分的に形成する。好ましくは、文字や模様などの判別が容易な意匠を選択する。
【００２１】
また、本発明においては、多層フィルムの最内層にヒートシール性を備えたヒートシール層を有することが好ましい。用いられるヒートシール層としては、商品を包装して密封することが可能なように、内側にヒートシール層を向けて２枚の多層フィルムを重ねて、或いは１枚の多層フィルムを折り畳んで開口部のヒートシール層同士をヒートシールすることが可能な素材が用いられる。
【００２２】
さらに本発明においては、湿度インジケータ塗布面の内側に有色インク塗布面を形成しておくことにより、よりよく湿度上昇を検知することができる。具体的には、湿度インジケータ塗布面が、湿度上昇前は該有色インク塗布面とは異なる色で、湿度上昇によって消色するものとする。また、この場合、湿度上昇前の湿度インジケータ塗布面を青色、有色インク層を赤色とすることにより、従来の塩化コバルト系の湿度インジケータの湿度上昇による色相変化と一致し、従来品との混乱を避けることができる。
【００２３】
本発明における湿度インジケータ塗布面としては、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物で形成することが好ましい。このような呈色組成物は、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダー成分含有溶液とからなる水性塗料を前記表面層或いは内面層に塗布し、加熱乾燥することによって形成することができる。また、上記樹脂バインダー成分含有溶液としては、水系樹脂エマルジョン或いは水溶性高分子化合物水溶液が好ましく用いられる。
【００２４】
電子供与性呈色化合物としては、酸により発色する化合物であれば特に限定されないが、具体的にはロイコ染料が好ましく用いられ、例えば、酸性で発色或いは色変化を起こすようなｐＨ指示薬、トリアリールメタン誘導体、フルオラン誘導体等が使用される。具体的には、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、３−インドリノ−３−ｐ−ジメチルアミノフェニル−６−ジメチルアミノフタリド、３−ジエチルアミノ−７−クロロフルオラン、２−（２−フルオロフェニルアミノ）−６−ジエチルアミノフルオラン、２−（２−フルオロフェニルアミノ）−６−ジ−ｎ−ブチルアミノフルオラン、３−ジエチルアミノ−７−シクロヘキシルアミノフルオラン、３−ジエチルアミノ−５−メチル−７−ｔ−ブチルフルオラン、３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−ｐ−ブチルアニリノフルオラン、３−シクロヘキシルアミノ−６−クロロフルオラン、２−アニリノ−３−メチル−６−（Ｎ−エチル−ｐ−トルイジノ）−フルオラン、３−ピロリジノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−ピロリジノ−７−シクロヘキシルアミノフルオラン、３−Ｎ−メチルシクロヘキシルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−Ｎ−エチルペンチルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【００２５】
酸性化合物としては、常温において固体であれば特に限定されないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸、ほう酸、ｐ−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらのうちでも、水に対する溶解度が高いという点で、シュウ酸、マロン酸、ｐ−トルエンスルホン酸が好ましい。
【００２６】
潮解物質としては、潮解性を示す物質であれば特に限定されないが、好ましくは塩、より好ましくは金属塩である。潮解物質としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、臭化マグネシウム等が挙げられる。これらのうちでも、潮解性の温度依存性が少ない物質を使用すると、温度の変動によらず安定した湿度表示性能を発揮することができ、好ましい。潮解性の温度依存性が少ない物質としては、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【００２７】
水性塗料中における潮解物質と酸性化合物との混合割合は、重量比で、好ましくは潮解物質（水和物として）：酸性化合物＝２００：１〜１：５であり、より好ましくは１００：１〜１：２である。また、塗料中の電子供与性呈色化合物の含有量は好ましくは０．０５〜２０．０重量％、より好ましくは０．１〜１０．０重量％である。
【００２８】
上記した電子供与性呈色化合物、酸性化合物、潮解物質を水系樹脂エマルジョン或いは水溶性高分子化合物水溶液に投入して十分に撹拌し、微分散及び／または溶解させて湿度インジケータ塗布面形成用の水性塗料とする。
【００２９】
樹脂エマルジョンとしては、基材に影響を及ぼさない程度の加熱乾燥によって固化し、上記成分を担持する樹脂バインダーとなり、潮解物質や酸性化合物と反応せず、また、これら成分の存在によって凝集しない水系エマルジョンであれば、特に限定されないが、好ましくはノニオンエマルジョン、具体的にはアクリル系エマルジョンが好ましく用いられる。また、その他にも弱アニオンエマルジョンなどを好ましく用いることができる。また、該樹脂エマルジョンは、適宜水で希釈して用いることができ、エマルジョン濃度を適宜選択することにより、湿度インジケータ塗布面の発色の程度を調整することができる。
【００３０】
また、本発明において用いられる水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールや、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシエチルセルロースなどが好ましく用いられ、１〜２０重量％の水溶液として好ましく用いられる。尚、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を用いた場合、湿度インジケータ塗布面が吸湿した際にかかる水溶性高分子化合物が溶出し、湿度インジケータ塗布面が若干べたつく場合がある。よって、本発明においては水系樹脂エマルジョンの方が好ましく用いられる。
【００３１】
特に、水系樹脂エマルジョンを用いた場合には、潮解物質が樹脂エマルジョンの水系溶媒に溶解して供給されるため、該潮解物質が樹脂バインダー中に分子レベルで分散し、呈色組成物からなる塗膜表面にも微細に且つ均一に存在している。さらに、樹脂エマルジョンを用いたことにより、塗膜自体が湿度を吸収しやすい。よって、係る呈色組成物は非常に鋭敏に空気中の湿気を検知することができ、内面層の透湿度を調整することで変色の速度を自在に調整することができる。
【００３２】
また、水への溶解度の高い酸性化合物を選択したり、電子供与性呈色化合物の塗料への分散性を高めることで、これらの成分を樹脂バインダー内に微分散させることにより、樹脂バインダーの濡れに対する強度や物理的な強度が高く、塗膜の剥がれが生じにくい湿度インジケータ塗布面とすることができる。
【００３３】
上記水性塗料には、水に対する溶解度が５ｍｌ／１００ｍｌ以上で加熱によって揮発する極性溶媒を含む構成を好ましい態様として含む。該極性溶媒としては、メタノール、エタノール、１−プロパノール、２−プロパノール、１−ブタノール、２−ブタノール、２−メチル−１−プロパノール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、アセトニトリルのうち１種、或いは少なくとも１種を含む混合溶媒が好ましく用いられる。
【００３４】
かかる極性溶媒は、上記電子供与性呈色剤、潮解物質、酸性化合物、樹脂エマルジョンまたは水溶性高分子化合物水溶液の合計１００容量部に対して１００００容量部以下の範囲で混合しても良く、好ましくは１０〜１０００容量部である。
【００３５】
上記水性塗料を上記内面層或いは表面層に塗布し、加熱して乾燥させることにより、該塗料に含まれる電子供与性呈色化合物、潮解物質、酸性化合物、樹脂バインダーからなる呈色組成物が内面層或いは表面層に担持され、湿度インジケータ塗布面が形成される。上記塗料を塗布する方法としては、所望量の塗料を塗布することができれば特に限定されず、例えばグラビアやシルクなどの各種印刷方法などが好ましく用いられる。
【００３６】
加熱方法としてはオーブンや赤外線乾燥装置などを適宜用い、基材の素材や塗料の組成に応じた加熱温度及び加熱時間により実施すればよい。
【００３７】
上記のようにして得られた湿度インジケータ塗布面は、呈色組成物に含まれる潮解物質が湿気によって潮解し、これが電子供与性呈色化合物と反応し、変色することにより湿度上昇が検知される。
【００３８】
本発明の包装材料の製造方法としては、特に限定されず、所望の素材からなるフィルム或いはシートに上記湿度インジケータ塗布面を形成し、ラミネートすることで得られる。ラミネートの順番は特に限定されない。
【００３９】
本発明において透湿度とは、下記の測定法による透湿度（ｇ／ｍ2・ｄａｙ）で示す。
【００４０】
厚さ１２μｍのＰＥＴフィルムの上に測定用の樹脂層を形成し、水蒸気透過率測定装置（ＭＯＣＯＮ社製「ＰＥＲＭＡＴＲＡＮ−Ｗ ３／３３シリーズ」）により測定する。
【実施例】
【００４１】
（実施例１）
ロイコ染料「ＢＬＵＥ−６３」（山本化成（株）製）１重量部、シュウ酸２水和物（和光純薬工業（株）製）１重量部、臭化マグネシウム６水和物（和光純薬工業（株）製）１０重量部を、アクリルエマルジョン「ＤＩＣＮＡＬ Ｅ−８２０３ＷＨ」（大日本インキ化学工業（株）製；固形成分４５重量％）８０重量部と２−プロパノール２０重量部の混合液に加え、均一になるように攪拌し、湿度インジケータ塗布面形成用の水性塗料を調整した。
【００４２】
透明蒸着ＰＥＴフィルム「ＧＬ−ＡＵフィルム」（凸版印刷（株）製、厚さ１２μｍ）に上記水性塗料を部分的に塗布し、乾燥後の呈色組成物量が８ｇ／ｍ2となるように塗工し、８０℃で１分間乾燥させ、青色の呈色組成物からなる湿度インジケータ塗布面を形成した。
【００４３】
次いで、上記ＰＥＴフィルムの湿度インジケータ塗布面を形成した側にナイロンフィルム（厚さ２５μｍ）、続いて線状低密度ポリエチレンフィルム（厚さ４０μｍ）をドライラミネートして本発明の包装材料を形成した。
【００４４】
上記ＰＥＴフィルムの透湿度は０．１５ｇ／ｍ2・ｄａｙ、ナイロンフィルムは１６０ｇ／ｍ2・ｄａｙ、線状低密度ポリエチレンフィルムは１５．４ｇ／ｍ2・ｄａｙであった。
【００４５】
（実施例２）
実施例１で用いたＰＥＴフィルムにナイロンフィルムをドライラミネートしてから、該ナイロンフィルムに水性塗料を塗布して湿度インジケータ塗布面を形成し、次いで線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートする以外は実施例１と同様にして本発明の透明包材を形成した。
【００４６】
（実施例３）
実施例１で用いたＰＥＴフィルムにナイロンフィルムをドライラミネートし、さらに該ナイロンフィルムに線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートしてから、該線状低密度ポリエチレンフィルムに水性塗料を塗布して湿度インジケータ塗布面を形成する以外は実施例１と同様にして本発明の包装材料を形成した。
【００４７】
（評価）
実施例１〜実施例３の各包装材料を７．５ｃｍ×１０．０ｃｍの大きさに切断し、線状低密度ポリエチレンフィルムが内側になるように２枚を合わせて端部をヒートシールし、密封して包装体とした。比較として、同じ包装体の包装材料に微細なピンホールを形成したものを用意し、それぞれ、常温、常圧、１０％ＲＨ環境下、常温、常圧、６０％ＲＨ環境下、常温、常圧、９０％ＲＨ環境下に静置した。６時間経過後、ピンホールを形成していない包装体の湿度インジケータ塗布面はいずれの環境下に置いたものも青色のままであった。一方、包装材料にピンホールを形成した包装体の湿度インジケータ塗布面は、１０％ＲＨ環境下に置いたものは青色のままであったが、６０％ＲＨ環境下及び９０％ＲＨ環境下に置いたものは赤色に変化していた。従って、本発明の包装材料を用いて密封包装することにより、包装体の内部の湿度上昇が良好に検知されることがわかった。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品や電子部品など乾燥状態を保持する必要性のある包装体に用いる包装材料であって、包装体の内部の湿度上昇が容易に検知できる湿度インジケータを備えた包装材料に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、内部の湿度が一定以上にならないように管理される商品包装体においては、該包装体内に乾燥剤を入れて低湿度を保持しており、該乾燥剤としてはシリカゲル入りの小袋が用いられている。この小袋内には、湿度インジケータとして、通常のシリカゲルに青ゲルと呼ばれる塩化コバルト含浸シリカゲルが混入されていた。即ち、商品包装体内の湿度が一定以上になった場合には、該青ゲルが吸湿して赤色に変色することから、商品包装体内の湿度上昇を検知することができた。しかしながら、コバルトは重金属であるため、環境上、コバルトを含有しない形態が望まれている。
【０００３】
特許文献１には、粉状潮解性物質と潮解性物質の潮解液と接触することにより顕色化する粉状顕色剤との混合物の乾式成形体よりなる湿度インジケータが開示されている。このような湿度インジケータは、商品包装体内に収納することで係る包装体内の湿度が一定に保たれているか否かを確認することができる。
【０００４】
しかしながら、特許文献１の湿度インジケータは、乾燥剤を収納した乾燥剤内包袋或いは商品包装体内に別途収納しなければならず、収納作業が繁雑な上、湿度インジケータの入れ忘れが発生する恐れがあった。また、特許文献１の顕色剤として合成着色料のような水溶性色素やｐＨ指示薬を用いるため、湿度上昇時の色相変化の視認性が十分ではないという問題があった。
【０００５】
【特許文献１】特開平７−１７４７０４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記従来の課題を解決し、商品包装体内の湿度上昇を容易に把握することができ、湿度インジケータの収納作業が不要な包装材料を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の第１は、多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に形成された湿度インジケータ塗布面に対して外側に存在する層の透湿度が、内側に存在する層の透湿度よりも低いことを特徴とする。
【０００８】
また本発明の第２は、多層フィルムからなる包装材料において、最内層表面の少なくとも一部分に湿度インジケータ塗布面が形成されたことを特徴とする。
【０００９】
さらに上記第１及び第２の包装材料においては、
有色インク塗布面が、前記湿度インジケータ塗布面の内側に形成されていること、
上記湿度インジケータ層が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなること、
上記樹脂バインダーが、水系樹脂エマルジョン由来であること、
を好ましい態様として含む。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の包装材料は湿度インジケータ塗布面を有しているため、別途湿度インジケータを乾燥剤内包袋或いは商品包装体に収納する手間が省け、収納作業に係る費用を削減することができる。また、湿度インジケータの入れ忘れを生じる恐れがなく、不良品の発生を抑制することができる。
【００１１】
特に、湿度インジケータ塗布面が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物で形成されている場合には、湿度上昇による色の変化が明瞭で包装体内の湿度が上昇した場合に速やかにこれを検知することができ、また、変色にメモリー性があるため、一旦包装体内の湿度が上昇した後に乾燥剤によって湿度が低下した場合であっても、上昇した湿度によって変化した色を保持するため、誤認が防止される。また、係る呈色組成物は重金属を含まないことから、不要になった包装材料は一般家庭廃棄物として廃棄、或いは焼却することができる。
【００１２】
さらに、上記呈色組成物は、上記電子供与性呈色化合物と、酸性化合物と、潮解物質とを水系樹脂エマルジョンまたは水溶性高分子化合物水溶液に混合してなる水性塗料を塗布することにより容易に形成することができるため、本発明の包装材料の製造において安全性が高く、また、文字や模様など意匠を自由に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明の包装材料は、湿度インジケータ塗布面を有する多層フィルムで構成されていることを特徴とする。尚、本発明において多層フィルムの「内側」、「外側」とは、商品を包装した包装体において包装体内側になる側を「内側」、包装体外側になる側を「外側」と言う。
【００１４】
本発明に係る湿度インジケータ塗布面は、包装体内の湿度上昇を検知するための層であるため、外側の湿度の影響を受けず、内側の湿度に鋭敏である必要がある。そのため、該湿度インジケータ塗布面は外側に表面層が形成され、内側には該表面層よりも透湿度の高い内面層を形成するか（第１の発明）、或いは、湿度インジケータ塗布面を最内層表面に設ける（第２の発明）。
【００１５】
上記表面層としては、透湿度が１ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下が好ましく、内面層としては１０ｇ／ｍ2・ｄａｙ以上であるように構成することが好ましい。表面層の透湿度が１ｇ／ｍ2・ｄａｙを超える場合には、外部の湿度の影響を受け易く、包装体内の湿度が上昇していない場合であっても外部の湿度が上昇した場合に変色してしまう場合がある。また、内面層の透湿度が１０ｇ／ｍ2・ｄａｙ未満である場合には、包装体内の湿度上昇を十分に反映できない場合がある。
【００１６】
本発明において、上記表面層、内面層としては、ナイロン（Ｎｙ）やポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）などを単層で、或いは２層以上の多層構成で用いることができる。
【００１７】
また、表面層においては、外側から湿度インジケータ塗布面の湿度上昇による変色を認識できる程度に透明である必要がある。また、該表面層においては、包装体内の乾燥状態を維持するために、ＣＶＤ，ＰＶＤ等の公知の技術によるアルミナ蒸着層やシリカ蒸着層を設けることが好ましく、このような蒸着層を設けることで透湿度を１ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下とすることができる。
【００１８】
また、インジケータ塗布面の密着性を向上させるためにインジケータ塗布面の片面もしくは両面にアンカーコート層を形成しても良い。アンカーコート層としては公知のものが用いられ、好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【００１９】
さらに、湿度インジケータ塗布面が湿度上昇に対して非常に鋭敏である場合には、包装作業において周囲の湿度に鋭敏に反応して変色する恐れがある。特に、湿度インジケータ塗布面を内面側に露出させた場合にこのような問題が発生する恐れがある。よって、このような湿度上昇に鋭敏な湿度インジケータ塗布面を用いる場合には、湿度インジケータ塗布面の変色速度を調節するために、湿度インジケータ塗布面の内側に位置する内面層の透湿度を最大でも５００ｇ／ｍ2・ｄａｙ以下とすることが好ましい。
【００２０】
また、本発明に係る湿度インジケータ塗布面は、多層フィルム全面に形成してしまうと該多層フィルムの透明性を損ねてしまうため、多層フィルムの面内において部分的に形成する。好ましくは、文字や模様などの判別が容易な意匠を選択する。
【００２１】
また、本発明においては、多層フィルムの最内層にヒートシール性を備えたヒートシール層を有することが好ましい。用いられるヒートシール層としては、商品を包装して密封することが可能なように、内側にヒートシール層を向けて２枚の多層フィルムを重ねて、或いは１枚の多層フィルムを折り畳んで開口部のヒートシール層同士をヒートシールすることが可能な素材が用いられる。
【００２２】
さらに本発明においては、湿度インジケータ塗布面の内側に有色インク塗布面を形成しておくことにより、よりよく湿度上昇を検知することができる。具体的には、湿度インジケータ塗布面が、湿度上昇前は該有色インク塗布面とは異なる色で、湿度上昇によって消色するものとする。また、この場合、湿度上昇前の湿度インジケータ塗布面を青色、有色インク層を赤色とすることにより、従来の塩化コバルト系の湿度インジケータの湿度上昇による色相変化と一致し、従来品との混乱を避けることができる。
【００２３】
本発明における湿度インジケータ塗布面としては、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物で形成することが好ましい。このような呈色組成物は、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダー成分含有溶液とからなる水性塗料を前記表面層或いは内面層に塗布し、加熱乾燥することによって形成することができる。また、上記樹脂バインダー成分含有溶液としては、水系樹脂エマルジョン或いは水溶性高分子化合物水溶液が好ましく用いられる。
【００２４】
電子供与性呈色化合物としては、酸により発色する化合物であれば特に限定されないが、具体的にはロイコ染料が好ましく用いられ、例えば、酸性で発色或いは色変化を起こすようなｐＨ指示薬、トリアリールメタン誘導体、フルオラン誘導体等が使用される。具体的には、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、３−インドリノ−３−ｐ−ジメチルアミノフェニル−６−ジメチルアミノフタリド、３−ジエチルアミノ−７−クロロフルオラン、２−（２−フルオロフェニルアミノ）−６−ジエチルアミノフルオラン、２−（２−フルオロフェニルアミノ）−６−ジ−ｎ−ブチルアミノフルオラン、３−ジエチルアミノ−７−シクロヘキシルアミノフルオラン、３−ジエチルアミノ−５−メチル−７−ｔ−ブチルフルオラン、３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−ジエチルアミノ−６−メチル−７−ｐ−ブチルアニリノフルオラン、３−シクロヘキシルアミノ−６−クロロフルオラン、２−アニリノ−３−メチル−６−（Ｎ−エチル−ｐ−トルイジノ）−フルオラン、３−ピロリジノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−ピロリジノ−７−シクロヘキシルアミノフルオラン、３−Ｎ−メチルシクロヘキシルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン、３−Ｎ−エチルペンチルアミノ−６−メチル−７−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【００２５】
酸性化合物としては、常温において固体であれば特に限定されないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸、ほう酸、ｐ−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらのうちでも、水に対する溶解度が高いという点で、シュウ酸、マロン酸、ｐ−トルエンスルホン酸が好ましい。
【００２６】
潮解物質としては、潮解性を示す物質であれば特に限定されないが、好ましくは塩、より好ましくは金属塩である。潮解物質としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、臭化マグネシウム等が挙げられる。これらのうちでも、潮解性の温度依存性が少ない物質を使用すると、温度の変動によらず安定した湿度表示性能を発揮することができ、好ましい。潮解性の温度依存性が少ない物質としては、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【００２７】
水性塗料中における潮解物質と酸性化合物との混合割合は、重量比で、好ましくは潮解物質（水和物として）：酸性化合物＝２００：１〜１：５であり、より好ましくは１００：１〜１：２である。また、塗料中の電子供与性呈色化合物の含有量は好ましくは０．０５〜２０．０重量％、より好ましくは０．１〜１０．０重量％である。
【００２８】
上記した電子供与性呈色化合物、酸性化合物、潮解物質を水系樹脂エマルジョン或いは水溶性高分子化合物水溶液に投入して十分に撹拌し、微分散及び／または溶解させて湿度インジケータ塗布面形成用の水性塗料とする。
【００２９】
樹脂エマルジョンとしては、基材に影響を及ぼさない程度の加熱乾燥によって固化し、上記成分を担持する樹脂バインダーとなり、潮解物質や酸性化合物と反応せず、また、これら成分の存在によって凝集しない水系エマルジョンであれば、特に限定されないが、好ましくはノニオンエマルジョン、具体的にはアクリル系エマルジョンが好ましく用いられる。また、その他にも弱アニオンエマルジョンなどを好ましく用いることができる。また、該樹脂エマルジョンは、適宜水で希釈して用いることができ、エマルジョン濃度を適宜選択することにより、湿度インジケータ塗布面の発色の程度を調整することができる。
【００３０】
また、本発明において用いられる水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコールや、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシエチルセルロースなどが好ましく用いられ、１〜２０重量％の水溶液として好ましく用いられる。尚、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を用いた場合、湿度インジケータ塗布面が吸湿した際にかかる水溶性高分子化合物が溶出し、湿度インジケータ塗布面が若干べたつく場合がある。よって、本発明においては水系樹脂エマルジョンの方が好ましく用いられる。
【００３１】
特に、水系樹脂エマルジョンを用いた場合には、潮解物質が樹脂エマルジョンの水系溶媒に溶解して供給されるため、該潮解物質が樹脂バインダー中に分子レベルで分散し、呈色組成物からなる塗膜表面にも微細に且つ均一に存在している。さらに、樹脂エマルジョンを用いたことにより、塗膜自体が湿度を吸収しやすい。よって、係る呈色組成物は非常に鋭敏に空気中の湿気を検知することができ、内面層の透湿度を調整することで変色の速度を自在に調整することができる。
【００３２】
また、水への溶解度の高い酸性化合物を選択したり、電子供与性呈色化合物の塗料への分散性を高めることで、これらの成分を樹脂バインダー内に微分散させることにより、樹脂バインダーの濡れに対する強度や物理的な強度が高く、塗膜の剥がれが生じにくい湿度インジケータ塗布面とすることができる。
【００３３】
上記水性塗料には、水に対する溶解度が５ｍｌ／１００ｍｌ以上で加熱によって揮発する極性溶媒を含む構成を好ましい態様として含む。該極性溶媒としては、メタノール、エタノール、１−プロパノール、２−プロパノール、１−ブタノール、２−ブタノール、２−メチル−１−プロパノール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトン、アセトニトリルのうち１種、或いは少なくとも１種を含む混合溶媒が好ましく用いられる。
【００３４】
かかる極性溶媒は、上記電子供与性呈色剤、潮解物質、酸性化合物、樹脂エマルジョンまたは水溶性高分子化合物水溶液の合計１００容量部に対して１００００容量部以下の範囲で混合しても良く、好ましくは１０〜１０００容量部である。
【００３５】
上記水性塗料を上記内面層或いは表面層に塗布し、加熱して乾燥させることにより、該塗料に含まれる電子供与性呈色化合物、潮解物質、酸性化合物、樹脂バインダーからなる呈色組成物が内面層或いは表面層に担持され、湿度インジケータ塗布面が形成される。上記塗料を塗布する方法としては、所望量の塗料を塗布することができれば特に限定されず、例えばグラビアやシルクなどの各種印刷方法などが好ましく用いられる。
【００３６】
加熱方法としてはオーブンや赤外線乾燥装置などを適宜用い、基材の素材や塗料の組成に応じた加熱温度及び加熱時間により実施すればよい。
【００３７】
上記のようにして得られた湿度インジケータ塗布面は、呈色組成物に含まれる潮解物質が湿気によって潮解し、これが電子供与性呈色化合物と反応し、変色することにより湿度上昇が検知される。
【００３８】
本発明の包装材料の製造方法としては、特に限定されず、所望の素材からなるフィルム或いはシートに上記湿度インジケータ塗布面を形成し、ラミネートすることで得られる。ラミネートの順番は特に限定されない。
【００３９】
本発明において透湿度とは、下記の測定法による透湿度（ｇ／ｍ2・ｄａｙ）で示す。
【００４０】
厚さ１２μｍのＰＥＴフィルムの上に測定用の樹脂層を形成し、水蒸気透過率測定装置（ＭＯＣＯＮ社製「ＰＥＲＭＡＴＲＡＮ−Ｗ ３／３３シリーズ」）により測定する。
【実施例】
【００４１】
（実施例１）
ロイコ染料「ＢＬＵＥ−６３」（山本化成（株）製）１重量部、シュウ酸２水和物（和光純薬工業（株）製）１重量部、臭化マグネシウム６水和物（和光純薬工業（株）製）１０重量部を、アクリルエマルジョン「ＤＩＣＮＡＬ Ｅ−８２０３ＷＨ」（大日本インキ化学工業（株）製；固形成分４５重量％）８０重量部と２−プロパノール２０重量部の混合液に加え、均一になるように攪拌し、湿度インジケータ塗布面形成用の水性塗料を調整した。
【００４２】
透明蒸着ＰＥＴフィルム「ＧＬ−ＡＵフィルム」（凸版印刷（株）製、厚さ１２μｍ）に上記水性塗料を部分的に塗布し、乾燥後の呈色組成物量が８ｇ／ｍ2となるように塗工し、８０℃で１分間乾燥させ、青色の呈色組成物からなる湿度インジケータ塗布面を形成した。
【００４３】
次いで、上記ＰＥＴフィルムの湿度インジケータ塗布面を形成した側にナイロンフィルム（厚さ２５μｍ）、続いて線状低密度ポリエチレンフィルム（厚さ４０μｍ）をドライラミネートして本発明の包装材料を形成した。
【００４４】
上記ＰＥＴフィルムの透湿度は０．１５ｇ／ｍ2・ｄａｙ、ナイロンフィルムは１６０ｇ／ｍ2・ｄａｙ、線状低密度ポリエチレンフィルムは１５．４ｇ／ｍ2・ｄａｙであった。
【００４５】
（実施例２）
実施例１で用いたＰＥＴフィルムにナイロンフィルムをドライラミネートしてから、該ナイロンフィルムに水性塗料を塗布して湿度インジケータ塗布面を形成し、次いで線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートする以外は実施例１と同様にして本発明の透明包材を形成した。
【００４６】
（実施例３）
実施例１で用いたＰＥＴフィルムにナイロンフィルムをドライラミネートし、さらに該ナイロンフィルムに線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートしてから、該線状低密度ポリエチレンフィルムに水性塗料を塗布して湿度インジケータ塗布面を形成する以外は実施例１と同様にして本発明の包装材料を形成した。
【００４７】
（評価）
実施例１〜実施例３の各包装材料を７．５ｃｍ×１０．０ｃｍの大きさに切断し、線状低密度ポリエチレンフィルムが内側になるように２枚を合わせて端部をヒートシールし、密封して包装体とした。比較として、同じ包装体の包装材料に微細なピンホールを形成したものを用意し、それぞれ、常温、常圧、１０％ＲＨ環境下、常温、常圧、６０％ＲＨ環境下、常温、常圧、９０％ＲＨ環境下に静置した。６時間経過後、ピンホールを形成していない包装体の湿度インジケータ塗布面はいずれの環境下に置いたものも青色のままであった。一方、包装材料にピンホールを形成した包装体の湿度インジケータ塗布面は、１０％ＲＨ環境下に置いたものは青色のままであったが、６０％ＲＨ環境下及び９０％ＲＨ環境下に置いたものは赤色に変化していた。従って、本発明の包装材料を用いて密封包装することにより、包装体の内部の湿度上昇が良好に検知されることがわかった。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に形成された湿度インジケータ塗布面に対して外側に存在する層の透湿度が、内側に存在する層の透湿度よりも低いことを特徴とする包装材料。
【請求項２】
多層フィルムからなる包装材料において、最内層表面の少なくとも一部分に湿度インジケータ塗布面が形成されたことを特徴とする包装材料。
【請求項３】
有色インク塗布面が、前記湿度インジケータ塗布面の内側に形成されている請求項１または２に記載の包装材料。
【請求項４】
上記湿度インジケータ塗布面が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなる請求項１〜３のいずれかに記載の包装材料。
【請求項５】
上記樹脂バインダーが、水系樹脂エマルジョン由来である請求項４に記載の包装材料。
【請求項１】
多層フィルムからなる包装材料において、少なくとも一部分に形成された湿度インジケータ塗布面に対して外側に存在する層の透湿度が、内側に存在する層の透湿度よりも低いことを特徴とする包装材料。
【請求項２】
多層フィルムからなる包装材料において、最内層表面の少なくとも一部分に湿度インジケータ塗布面が形成されたことを特徴とする包装材料。
【請求項３】
有色インク塗布面が、前記湿度インジケータ塗布面の内側に形成されている請求項１または２に記載の包装材料。
【請求項４】
上記湿度インジケータ塗布面が、少なくとも電子供与性呈色化合物と、常温において固体である酸性化合物と、潮解物質と、樹脂バインダーからなる呈色組成物からなる請求項１〜３のいずれかに記載の包装材料。
【請求項５】
上記樹脂バインダーが、水系樹脂エマルジョン由来である請求項４に記載の包装材料。
【公開番号】特開２００８−２０７５０２（Ｐ２００８−２０７５０２Ａ）
【公開日】平成２０年９月１１日（２００８．９．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−４８２７８（Ｐ２００７−４８２７８）
【出願日】平成１９年２月２８日（２００７．２．２８）
【出願人】（０００１６２１１３）共同印刷株式会社 (488)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年９月１１日（２００８．９．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年２月２８日（２００７．２．２８）
【出願人】（０００１６２１１３）共同印刷株式会社 (488)
【Ｆターム（参考）】
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