説明

包装構造体および包装方法

【課題】 多品種少量の多様な形状の商品や部材に対応でき、1つ1つの商品や部材に対して十分な緩衝保護性を与えつつ複数個を1つのダンボール箱に混載できる包装構造体を提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルム筒体100は、その高さHが収納容器200の高さと略同一で、直径Dが商品300を収められる大きさを持つ筒状のプラスチックフィルム筒体である。収納容器200内に商品300を収めたプラスチックフィルム筒体100を多数個立てて入れ、収納容器200内の空間を埋めることにより、プラスチックフィルム筒体100を収納容器200の個々の商品300に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとなる。受容部12と接合部11との接合位置が無段階に可変または段階的に可変であれば、形成されるプラスチックフィルム筒体の直径Dが無段階に可変または段階的に可変となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの箱状の収納容器内に多様な複数個の商品を収納でき、個々の商品1つ1つに対して十分な緩衝保護性を与えつつ収納できる包装構造体に関する。例えば、大きさや種類が異なる多様な商品を混載する場合であっても使用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
商品や部材は運搬される際、ダンボール箱などの収納容器内に梱包して倉庫や工務店等へ輸送され、一時的に保管された後、取り出して使用される。いかに内部の商品や部材の緩衝保護性を確保しつつ運搬するか、いかに商品を効率良く配置して運搬効率を向上するかという課題に対して様々な方式の包装構造体が提供されている。
【0003】
大きな商品や部材であれば、それ一品を梱包するため中に中敷ダンボールや発泡スチロールなどで型抜きした緩衝材を用意し、ダンボール箱などの収納容器内にそれら緩衝材を入れて商品や部材が内部で動かないように固定するというのが一般的である。
【0004】
また、小さな商品や部材を複数個をダンボール箱などの収納容器内に梱包する場合も同様、商品や部材の複数個の空間が空いた中敷ダンボールや発泡スチロールなどで型抜きした緩衝材を用意し、ダンボール箱などの収納容器内にそれら緩衝材を入れて商品や部材が内部で動かないように固定するやり方がある。
【0005】
しかし、これら方法では、中敷ダンボールや発泡スチロールをあらかじめ作成しておく必要があり、少品種多量の商品や部材の運搬に適した方法であるものの、多品種少量の商品や部材の運搬には向かないやり方である。
【0006】
多品種少量の商品や部材の運搬を行う場合、以下のような手段がとられる。
簡易な方法としては、1つ1つの商品や部材を気泡緩衝材で包んだりして上でダンボール箱などの収納容器に適当に並べて入れる方法がある。
【0007】
また、例えば、特開2002−255157号公報には、ライナー紙等の紙材を用い、この紙材を波状に交互に折り曲げて緩衝材として形成し、梱包箱の内部に収納された物品の各面に接触させて衝撃を吸収させるものが開示されている。
【0008】
また、例えば、発泡樹脂ネットと呼ばれる発泡樹脂スチロール製のネットを緩衝材として使用する例がある。例えば、発泡樹脂ネットは、表側ストランド群と、裏側ストランド群が交叉して網状に構成された両ストランド群によりネット状になり伸縮性が確保されている(例えば、特開2002−284245号公報等)。
【0009】
また、例えば、成形された発泡スチロール緩衝材に代え、粒状の発泡スチロールの粒を用いる技術も知られている。例えば、特開平11−292149号公報の技術は、段ボール箱の中に商品や部材を入れるとともに、粒状弾性体(粒状発泡スチロール)を充填して段ボール内の空間を埋めて、緩衝保護性を持たせるものである。
【0010】
【特許文献1】特開2002−255157号公報
【特許文献2】特開2002−284245号公報
【特許文献3】特開平11−292149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、多品種少量の商品や部材を梱包する方法には以下のような問題がある。
上記の従来の1つ1つの商品や部材を気泡緩衝材で包んでダンボール箱などの収納容器に適当に並べて入れる方法は簡易な方法であるが、気泡緩衝材で包む手間は決して容易ではなく時間と手数がかかるものである。また、1つ1つを気泡緩衝材で包んだだけではダンボール箱の中でそれらが遊んでしまうので気泡緩衝材で包んだ包装物自体を固定するため、ダンボール箱内の空間を埋めるためにさらに紙や気泡緩衝材などを丸めて多数投入するという作業も必要となってしまう。さらに一度使用した気泡緩衝材は解包の際に傷ついてしまい、再利用ができないことがほとんどであり、廃棄物が多数生じてしまうという問題もあった。
【0012】
次に、特開2002−255157号公報記載の技術は、実際に使用には対象となる商品や部材が平面部分の多いものでないと使えないという問題があった。つまり、紙材を波状に交互に折り曲げて緩衝材としているので、折り曲げの山の頂点で商品や部材を支持するが、結局この山の頂点同士が直線状にある以上、商品や部材の接点が直線(平面)でないとうまく支えられない。また、多数の商品や部材を混載しようとすると商品や部材の間にこの波型の緩衝材を配置しなければならないが、直線的とは限らない商品や部材の間にこの波型の緩衝材をおさまり良く配置することは結構難しい。
【0013】
次に、特開2002−284245号公報の技術は、発泡樹脂スチロール製のネットで包むものは、気泡緩衝材と同様、簡易な方法であるが、やはり発泡樹脂スチロール製のネットで包む手間は決して容易ではなく時間と手数がかかるものである。また、1つ1つを発泡樹脂スチロール製のネットで包んだだけではダンボール箱の中でそれらが遊んでしまうので発泡樹脂スチロール製のネットで包んだ包装物自体を固定するため、ダンボール箱内の空間を埋めるためにさらに紙や発泡樹脂スチロール製のネットなどを丸めて多数投入するという作業も必要となってしまう。
【0014】
また、特開平11−292149号公報の技術は、粒状の発泡スチロールの粒をダンボール箱内に充填するのでどのような形状の商品や部材でも対応でき、個数なども何個あっても良く、便利な方法ではあるが、発泡スチロールの粒は扱うのが決して容易ではない。多数の発泡スチロールの粒をダンボール内に充填するためのバキューム式の専用ディスペンサーもあるが、専用ディスペンサー自体のコストが必要となり、また作業場のスペースも取ってしまう。また、解包先において解包作業で発泡スチロールの粒が飛び出てしまい、その処理に困るという問題がある。
【0015】
上記問題点に鑑み、本発明は、組み立てるのが簡単かつ多品種少量の多様な形状の商品や部材に対応でき、1つ1つの商品や部材に対して十分な緩衝保護性を与えつつ複数個を1つのダンボール箱に混載できる包装構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の包装構造体は、
商品を一つずつ包装する包装構造体であって、複数個の前記包装構造体を箱状の収納容器の中に納めて梱包する包装構造体において、
高さが前記収納容器の高さと略同一で、直径が前記商品を収められる大きさを持つ筒状のプラスチックフィルム筒体であり、
前記収納容器内に前記商品を収めた前記プラスチックフィルム筒体を多数個立てて入れ、前記収納容器内の空間を埋めることにより、前記プラスチックフィルム筒体を前記収納容器の個々の商品に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとなる包装構造体である。
【0017】
上記構成により、以下の効果を得ることができる。
まず、1つ1つの商品や部材が筒状の包装構造体の内部に収められて保護されているので、内部で商品や部材同士が直接ぶつかったり擦れたりするおそれがない。つまり、商品や部材間の間仕切りとして機能している。
さらに、筒状のプラスチックフィルム筒体が多数立てられてダンボール箱などの箱状の収納容器内の空間を埋めているので1つ1つの筒状のプラスチックフィルム筒体が収納容器内で遊ぶことなくその位置が安定している。
また、1つ1つの包装構造体は水平方向の圧に対してたわむことにより緩衝性を持ち十分な緩衝保護性を発揮することができ、さらにそれらプラスチックフィルム筒体同士が箱状の収納容器の中で隙間を埋め合うように互いに接し合っているので収納容器全体としても十分な緩衝保護性を発揮することができる。
また、プラスチックフィルム筒体は高さ方向では収納容器の高さと略同一の高さを持ち、多数のプラスチックフィルム筒体があるので、収納容器の内側に多数の柱が立っているのと同じ効果が得られ、収納容器の上下方向の構造的強度も向上するという効果も得られる。
【0018】
次に、本発明の包装構造体は、上記構成において、前記プラスチックフィルム筒体の外周面に相互に固定し合う固定体を設け、前記収納容器内の空間に多数個立てて入れた前記プラスチックフィルム筒体同士を前記固定体により相互に固定させ合って塊状体とし、前記塊状体を緩衝保護性を備えた間仕切りとしたものであることが好ましい。
上記構成により、接し合うプラスチックフィルム筒体が塊状となっているので水平方向に対して一つ一つのプラスチックフィルム筒体の緩衝保護性能のみならず塊全体としても緩衝保護性能を発揮しやすくなっている。
【0019】
次に、本発明の包装構造体は、上記構成において、前記収納容器の壁面および前記プラスチックフィルム筒体を透明素材とすることが好ましい。
上記構成により、収納される商品の概観を外部から視認できるようになり、運搬時や格納時に中身の商品が何であるか一見して把握できるので利便性が向上する。
上記構成により、外部から簡単に収納容器内にて梱包状態にある商品や部材の種類を目視したり識別したりすることができ、運搬時や格納時に中身の商品が何であるか一見して把握できるので、多品種少量の商品や部材を混載する際には容易に区別することができ極めて便利である。
【0020】
次に、本発明の包装構造体は、上記構成において、前記プラスチックフィルム筒体を構成するプラスチックフィルム素材の形状が平面形状であり、その高さが前記収納容器の高さと略同一であり、前記平面形状の一方の側辺付近に設けられた受容部と他方の側辺付近に設けられた接合部を備えたものであり、前記接合部を前記受容部に接合することにより前記平面形状のプラスチックフィルム素材を筒状に接合して前記プラスチックフィルム筒体を形成したものであることが好ましい。
【0021】
上記構成により、一枚の打ち抜き型のプラスチックフィルムシートを必要に応じて梱包時に動的に筒状に丸めることで簡単に本発明のプラスチックフィルム筒体を組み立てることができ、扱いやすいものとなる。
【0022】
ここで、前記接合部と前記受容部の第1の構造としては、前記接合部が鍵爪構造となっており、前記受容部が孔構造となっており、前記孔構造の前記受容部に前記鍵爪構造の前記接合部を挿入することにより引っ掛けて固定する構造とすることができる。
【0023】
なお、前記受容部の孔構造が複数箇所に設けられており、前記接合部を挿入する前記孔構造を選択することにより接合位置が段階的に可変であり、形成される前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を無段階に可変または段階的に可変であることが好ましい。
【0024】
上記構成とすれば、実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を調整して大きさの異なる商品の混載を可能とすることができる。
【0025】
また、さらなる工夫としては、前記プラスチックフィルム素材の前記一方の側辺付近が小輪状となった二重構造を備え、前記受容部の孔構造が前記二重構造の外側のみに設けられ、前記孔構造の前記受容部に前記鍵爪構造の前記接合部を挿入しても前記鍵爪構造の前記接合部が前記二重構造の内側は貫通せず、前記プラスチックフィルム筒体の中に梱包される前記商品と前記接合部と接することがないものであることが好ましい。
【0026】
上記構成により、接合部がプラスチック筒体の内側に出ることがなく、中に収納される商品や部材などに接合部の鍵爪構造が当たることがなく、商品や部材を傷つけるおそれがない。
【0027】
次に、前記接合部と前記受容部の第2の構造として、前記接合部および前記受容部が面ファスナー構造となっており、前記接合部を前記受容部に接合する位置を調整することにより接合位置が無段階に可変であり、形成される前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を無段階に可変なものとすることが好ましい。
【0028】
上記構成とすれば、実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を調整して大きさの異なる商品の混載を可能とすることができる。
【0029】
また、本発明の包装構造体において、上下方向の緩衝保護性を向上させるための工夫として、前記プラスチックフィルム素材の上辺または下辺に緩衝帯体を設け、前記プラスチックフィルム素材を輪状にして前記プラスチックフィルム筒体を形成した後に、前記緩衝帯体を前記プラスチックフィルム筒体の内側に折り曲げて入れることができることが好ましい。
【0030】
上記構成により前記プラスチックフィルム筒体の上端または下端に緩衝帯体による緩衝物を簡易に設けることができ、前記商品に対する上下方向の緩衝保護性を向上せしめることができる。
【0031】
次に、上記目的を達成するために、本発明の包装方法は、
複数個の商品をまとめて梱包する箱状の収納容器と、その高さが前記収納容器の高さと略同一で、その直径が前記商品を収められる大きさを持つ筒状のプラスチックフィルム筒体を用い、
前記収納容器内に前記プラスチックフィルム筒体を多数個立てて入れ、前記収納容器内の空間を埋めることにより、前記プラスチックフィルム筒体を前記収納容器の個々の商品に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとした包装方法である。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる包装構造体によれば、1つ1つの商品や部材が筒状のプラスチックフィルム筒体の内部に収められて保護されているので、内部で商品や部材同士が直接ぶつかったり擦れたりするおそれがなく、商品や部材間の間仕切りとして機能する。
さらに、本発明にかかる包装構造体によれば、筒状のプラスチックフィルム筒体が多数立てられてダンボール箱などの箱状の収納容器内の空間を埋めているので1つ1つの筒状のプラスチックフィルム筒体が収納容器内で遊ぶことなくその位置が安定している。
また、本発明にかかる包装構造体によれば、1つ1つのプラスチックフィルム筒体は水平方向の圧に対してたわむことにより緩衝性を持ち十分な緩衝保護性を発揮することができ、さらにそれらプラスチックフィルム筒体同士が箱状の収納容器の中で隙間を埋め合うように互いに接し合っているので収納容器全体としても十分な緩衝保護性を発揮することができる。
また、本発明にかかる包装構造体によれば、プラスチックフィルム筒体は高さ方向では収納容器の高さと略同一の高さを持ち、多数のプラスチックフィルム筒体があるので、収納容器の内側に多数の柱が立っているのと同じ効果が得られ、収納容器の上下方向の構造的強度も向上するという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の包装構造体を添付図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明の包装構造体の説明において、包装する商品として細長の部材を例として説明する。
【0035】
図1は、本願発明の実施例1に係る包装構造体100、商品300、収納容器200の例を模式的に示す図である。
図2は、本願発明の実施例1に係る包装構造体100の平面図、正面図、斜視図および収納容器200との高さの関係などを示す図である。
【0036】
包装構造体100は一つの商品300を包装するものであり、収納容器200は、商品300を包装した包装構造体100を複数個まとめて梱包する箱状の収納容器である。
この包装構造体100は、プラスチックフィルム素材でできた筒体となっており、その高さHが収納容器200の高さHと略同一となっており、また、その直径Dが商品300を収められる大きさを持つ筒状の形状となっており、プラスチックフィルムなどの素材で形成されている。この筒状の包装構造体100の内部に商品300を収納する構造となっている。
【0037】
包装構造体100は、プラスチックフィルムシート10で構成されており、プラスチックフィルムシート10の形状は平面形状であり、それが筒状に丸められることによりプラスチックフィルム筒体として形成される。なお、図1の例ではすべての包装構造体100の直径Dは同じものとなっているが、後述するように各々異なる直径に組み立てることも可能である。
【0038】
収納容器200は、例えば、ダンボール箱などの紙製の箱でも良く、トレイのようにプラスチック製の箱でも良い。
【0039】
なお、ここで、プラスチックフィルムシート10および収納容器200は透明または半透明素材であることが好ましい。
例えば、プラスチックフィルムシート10は全体が透明または半透明素材とし、収納容器200は柱構造の部分は非透明素材でも良いが、少なくとも壁面を透明または半透明素材としておけば外部から内部にある部材や商品を視認することがどぇきる。
図3は収納容器200およびプラスチックフィルム筒体10を透明または半透明素材で形成した場合の構成例を示す図である。収納容器200およびプラスチックフィルム筒体10が透明または半透明素材で形成されておれば外部から簡単に包装構造体100中の商品300の種類を目視したり識別したりすることができ、後述するように収納容器200内に多品種少量の商品300を混載する際には容易に区別することができ極めて便利であるので好ましい。
【0040】
図4は、包装構造体100を形成する前のプラスチックフィルムシート10の一例を示す図である。
図4に示すように、プラスチックフィルムシート10の高さHは収納容器200の高さHと略同一となっている。
【0041】
プラスチックフィルムシート10の一方の側辺付近には受容部12が設けられており、他方の側辺付近には接合部11が設けられている。この接合部11を受容部12に接合することにより平面形状のプラスチックフィルムシート10を筒状に形成する。
【0042】
接合部11と受容部12の形状や構造は限定されないが、図4の例では、接合部11と受容部12の構造として、接合部11が鍵爪構造となっており、受容部12が孔構造となっている。
【0043】
図5(a)は、孔構造の受容部12に鍵爪構造の接合部11を挿入することにより引っ掛けて固定する様子を模式的に示す拡大図となっている。
このように、一枚の平面形状のプラスチックフィルムシート10の打ち抜きを必要に応じて梱包時に筒状に丸めることで簡単にプラスチックフィルム筒体を組み立てることができるので、梱包現場において嵩張らず簡単でとても扱いやすいものとなる。
【0044】
図5(b)は鍵爪構造となっている接合部11の拡大図、図5(c)は孔構造の受容部12に鍵爪構造の接合部11を挿入して引っ掛ける様子を示す拡大図である。図5(b)に示すように鍵爪構造となっている接合部11は軸の付け根に切れ目が入っており、軸を立てることができる構造となっている。図5(c)に示すように、孔構造の受容部12に鍵爪構造の接合部11を挿入した後に接合部11の軸を立てることにより接合部の鍵爪構造が受容部12の孔構造内に引っ掛かって固定される。
【0045】
なお、本発明の包装構造体100は、包装する商品300の大きさに応じてその直径Dを変えられるものであることが好ましい。内部に収納される商品300と包装構造体100との間に隙間が空き過ぎていると内部で商品300の遊びが大きくなり、包装構造体100の中で動いて商品を傷つけるおそれがある。一方、内部に収納される商品300と包装構造体100との間に隙間がないとプラスチックフィルムシート10を挟んで商品300同士がぶつかり合いお互いに傷つくことも有り得る。そこで、ある程度は商品300とプラスチックフィルムシート10の間に遊びとなる隙間があった方が好ましい。
プラスチックフィルムシート10の直径Dが変えられるものであれば多様な商品に対応できることとなり都合が良い。
【0046】
図4および図5に示したプラスチックフィルムシート10では、受容部12の孔構造が複数箇所に設けられている構成となっている。接合部11を挿入する孔構造を選択することにより接合位置が段階的に可変であり、形成されるプラスチックフィルム筒体の直径Dを段階的に可変なものとなっている。
このように、実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて包装構造体100の直径Dを調整して大きさの異なる商品に対応させることができる。
【0047】
図6に示すように、プラスチックフィルムシート10は筒状に成形された場合、軸に垂直な方向(包装構造体100を立てたときの水平方向)の圧に対してたわむことにより緩やかに変形してその圧に抗する。つまり十分な緩衝保護性を発揮することができる。
【0048】
包装構造体100は商品300を内部に包装した状態で収納容器200内に多数個立てて収納される。収納容器200内の空間を埋めるように梱包する。
図1に示したように、包装構造体100を収納容器200内の空間を埋めるように梱包され、包装構造体100の高さHはいずれも収納容器200の高さと略同一であり、収納容器200内に設けられた間仕切りとして機能している。
【0049】
図7は収納容器200に包装構造体100を多数個搭載して空間を埋めた様子を上から見た平面図である。包装構造体100は収納容器200内部において個々の商品に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとして機能している様子が分かる。図7(a)の例では収納容器200内に包装構造体100のみを多数個立てている例である。あたかも多数の中空円柱体の間仕切りが設けられているようになっている。図7(b)は収納容器200内に壁上の間仕切り210が一つあり、間仕切り210で区切られた左右の両空間に対して包装構造体100を多数個立てている例である。この例でも間仕切り210および多数の中空円柱体の間仕切りが設けられているようになっている。
このように多数の間仕切りが設けられると同様の効果が得られるため、収納容器200の上下方向の構造的強度が向上するという効果が得られる。
【0050】
また、1つ1つのプラスチックフィルム筒体は軸に垂直な方向(プラスチックフィルム筒体を立てたときの水平方向)の圧に対してたわむことにより緩衝性を持ち十分な緩衝保護性を発揮することができ、さらにそれらプラスチックフィルム筒体同士が箱状の収納容器の中で隙間を埋め合うように互いに接し合っているので収納容器全体としても十分な緩衝保護性を発揮することができる。つまり、図8に示すように、収納容器200内に隣接し合う包装構造体100内の商品300に対して水平方向に加速度がかかっても包装構造体100同士は接し合ってお互いに緩衝性能を発揮するので収納容器200内において商品300が保護される。
【0051】
なお、1つ1つの包装構造体100はその直径Dの大きさを変えられるので大きさの異なる商品300に対する包装が可能であり、図9に示したように一つの収納容器200内に異なる大きさの商品300を混載することができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2にかかる包装構造体100aの構成例について説明する。
実施例2にかかる包装構造体100aを形成するプラスチックフィルム筒体10aには工夫が施されており、プラスチックフィルム筒体10aの外周面には相互に固定し合う固定体を設けられたものとなっている。
【0053】
図10は実施例2にかかるプラスチックフィルムシート10aの一構成例を模式的に示す図である。
図10の構成例では、プラスチックフィルム筒体10aの外周面に固定体となる面ファスナー11を設けたものとなっている。例えば、図10(a)に示した構成例では8箇所断続的に面ファスナー11を配している。少なくとも4方向に面ファスナー11を配していれば図10(b)のように周囲にあるプラスチックフィルム筒体10a同士を固定体により相互に固定させ合って塊状体とすることができる。8方向程度に設けておけば周囲にあるプラスチックフィルム筒体10a同士を相互に固定させやすく、また、リング状に帯体としておけば面ファスナー11の高さが揃っている限り容易にプラスチックフィルム筒体10a同士を相互に固定させやすい。
【0054】
図10(b)のようにプラスチックフィルム筒体10a同士を相互に固定させ、収納容器200内の空間に多数個立てて入れた塊状体とすれば、より優れた緩衝保護性を備えた間仕切りとなり使い勝手がより一層向上する。
図11は実施例2にかかるプラスチックフィルムシート10aの他の構成例を模式的に示す図である。
図11の構成例では、プラスチックフィルム筒体10aの外周面に帯状に面ファスナー11を設けたものとなっている。それぞれのプラスチックフィルム筒体10aの外周面に帯状の面ファスナーが設けられているのでどの方向であっても隣接し合ったプラスチックフィルム筒体10aは容易に相互に固定し合うことができる。
図10(b)または図11(b)のようにプラスチックフィルム筒体10aを相互に固定し合った状態とすれば収納箱200内に収納した場合に内部でそれぞれのプラスチックフィルム筒体10aが遊ぶことがなく安定する。
【実施例3】
【0055】
実施例3にかかる包装構造体100bの構成例について説明する。
実施例3にかかる包装構造体100bを形成するプラスチックフィルムシート10bには工夫が施されており、受容部12が設けられている一方の側辺付近が小輪状となった二重構造13を備えたものとなっている。
【0056】
図12は実施例3にかかるプラスチックフィルムシート10bの構造を模式的に示す図である。
図12(a)に示すように、受容部12の孔構造は小輪状の二重構造13の外側のみに設けられている。
図12(b)に示すように、孔構造の受容部12に鍵爪構造の接合部11を挿入しても鍵爪構造の接合部11が二重構造13の内側は貫通せず、プラスチックフィルム筒体10bの中に梱包される商品300と接合部11と接することがない。
【0057】
実施例3の構成では、接合部11が包装構造体100bの内側に出ることがなく、中に収納される商品300などに接合部11の鍵爪構造が当たることがなく、商品300を傷つけるおそれがない。
【0058】
以上、実施例3に示した包装構造体によれば、接合部がプラスチック筒体の内側に出ることがなく、中に収納される商品や部材などに接合部の鍵爪構造が当たることがなく、商品や部材を傷つけるおそれがない。
【実施例4】
【0059】
実施例4にかかる包装構造体100cの構成例について説明する。
実施例4は、接合部11cおよび受容部12cの構造として面ファスナー構造を採用し、接合部11cと受容部12cを接合する位置を無段階に可変とした構成例となっている。
【0060】
図13は実施例4にかかるプラスチックフィルムシート10cの構造を模式的に示す図である。
図13に示すように、実施例4にかかる包装構造体100cを形成するプラスチックフィルムシート10cは、接合部11cと受容部12cの構造として、面ファスナー構造が採用されている。面ファスナーであれば接合位置は自由に調整することができるため、接合位置が無段階に可変であり、形成される包装構造体100cの直径Dが無段階に可変なものとなっている。
【0061】
以上、実施例4の構成によれば、実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて包装構造体100cの直径Dを調整して大きさの異なる商品の混載を可能とすることが可能となる。
【実施例5】
【0062】
実施例5にかかる包装構造体100dの構成例について説明する。
実施例5は、包装構造体100dにおいて、上下方向の緩衝保護性を向上させるための工夫として、プラスチックフィルムシート10dの上辺または下辺に緩衝帯体14を設け、プラスチックフィルムシートを輪状にしてプラスチックフィルム筒体を形成した後に、緩衝帯体14をプラスチックフィルム筒体の内側に折り曲げて入れ、上端または下端に緩衝帯体14による緩衝物を簡易に設ける構成例である。
【0063】
図14は、実施例5にかかるプラスチックフィルムシート10dの構造を模式的に示す図である。
この構成例では、図14に示すように、プラスチックフィルムシート10dの上辺および下辺の双方に緩衝帯体14が設けられている。
この緩衝帯体14はプラスチックフィルムシート10d本体から折れ曲がるものとなっており、緩衝帯体14が筒状の包装構造体100dの内側に折れ曲がって入り込み、包装構造体100dの上端および下端における商品300の上下方向の揺れや圧に対する保護体となっている。
【0064】
図15は緩衝帯体14を筒状の包装構造体100dの内側に折り曲げて入れ込んだ様子を示す図である。このように緩衝帯体14が包装構造体10dの上端および下端における緩衝物となるため、包装構造体10dの内部の商品300に対する上下方向の揺れや圧力に対する保護性能が向上する。
【0065】
以上、実施例5にかかる包装構造体によれば、プラスチックフィルム筒体の上端または下端に緩衝帯体による緩衝物を簡易に設けることができ、商品に対する上下方向の緩衝保護性を向上せしめることができる。
【0066】
以上、本発明の包装構造体の構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の包装構造体は、多様な商品や部材の包装に適用することができる。
包装構造体の直径を可変とすることにより様々な大きさの商品や部材に対して適切な緩衝保護性能を発揮することができる。
また、一つのダンボール箱のような収納容器に対して複数個の包装構造体を埋めて入れることができ、多様な大きさの商品を一つの収納容器内に混載するという用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願発明の実施例1に係る包装構造体100を示す図
【図2】本願発明の実施例1に係る包装構造体100の平面図、正面図、斜視図および収納容器200との高さの関係などを示す図
【図3】収納容器200およびプラスチックフィルム筒体10を透明または半透明素材で形成した場合の構成例を示す図
【図4】プラスチックフィルム筒体を形成する前のプラスチックフィルムシート10を示す図
【図5】孔構造の受容部12に鍵爪構造の接合部11を挿入することにより引っ掛けて固定する様子を模式的に示す拡大図
【図6】受容部12の孔構造が複数箇所に設けられているプラスチックフィルムシート10の構成例を示す図
【図7】包装構造体100を収納容器200内の空間を埋めるように梱包した様子を模式的に示す図
【図8】プラスチックフィルム筒体同士が箱状の収納容器の中で隙間を埋め合うように互いに接し合って収納されている図
【図9】一つの収納容器200内に異なる大きさの商品300を混載した様子を示す図
【図10】実施例2にかかるプラスチックフィルムシート10aの構造を模式的に示す図
【図12】実施例3にかかるプラスチックフィルムシート10bの構造を模式的に示す図
【図13】実施例4にかかるプラスチックフィルムシート10cの構造を模式的に示す図
【図14】実施例5にかかるプラスチックフィルムシート10dの構造を模式的に示す図
【図15】緩衝帯体14を筒状の包装構造体100dの内側に折り曲げて入れ込んだ様子を示す図
【符号の説明】
【0069】
10,10a,10b,10c,10d プラスチックフィルムシート
11 接合部
12 受容部
13 二重構造
14 緩衝帯体
100,100a,100b,100c,100d 包装構造体
200 収納容器
300 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を一つずつ包装する包装構造体であって、複数個の前記包装構造体を箱状の収納容器の中に納めて梱包する包装構造体において、
高さが前記収納容器の高さと略同一で、直径が前記商品を収められる大きさを持つ筒状のプラスチックフィルム筒体であり、
前記収納容器内に前記商品を収めた前記プラスチックフィルム筒体を多数個立てて入れ、前記収納容器内の空間を埋めることにより、前記プラスチックフィルム筒体を前記収納容器の個々の商品に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとなる包装構造体。
【請求項2】
前記プラスチックフィルム筒体の外周面に相互に固定し合う固定体を設け、
前記収納容器内の空間に多数個立てて入れた前記プラスチックフィルム筒体同士を前記固定体により相互に固定させ合って塊状体とし、前記塊状体を緩衝保護性を備えた間仕切りとしたことを特徴とする請求項1に記載の包装構造体。
【請求項3】
前記収納容器の壁面および前記プラスチックフィルム筒体を透明素材とし、収納される前記商品の概観を外部から視認できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装構造体。
【請求項4】
前記プラスチックフィルム筒体を構成するプラスチックフィルム素材の形状が平面形状であり、その高さが前記収納容器の高さと略同一であり、前記平面形状の一方の側辺付近に設けられた受容部と他方の側辺付近に設けられた接合部を備えたものであり、
前記接合部を前記受容部に接合することにより前記平面形状のプラスチックフィルム素材を筒状に接合して前記プラスチックフィルム筒体を形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装構造体。
【請求項5】
前記受容部が複数の箇所に設けられており、前記接合部を挿入する前記箇所を選択することにより接合位置が段階的に可変であり、形成される前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を無段階に可変または段階的に可変とし、
実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を調整して大きさの異なる商品の混載を可能とした請求項4に記載の包装構造体。
【請求項6】
前記プラスチックフィルム素材の前記一方の側辺付近が小輪状となった二重構造を備え、前記受容部の孔構造が前記二重構造の外側のみに設けられ、前記孔構造の前記受容部に前記鍵爪構造の前記接合部を挿入しても前記鍵爪構造の前記接合部が前記二重構造の内側は貫通せず、前記プラスチックフィルム筒体の中に梱包される前記商品と前記接合部と接することがないことを特徴とする請求項4または5に記載の包装構造体。
【請求項7】
前記接合部および前記受容部が面ファスナー構造となっており、前記接合部を前記受容部に接合する位置を調整することにより接合位置が無段階に可変であり、形成される前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を無段階に可変とし、
実際に梱包する個々の商品の大きさに合わせて前記プラスチックフィルム筒体の前記直径を調整して大きさの異なる商品の混載を可能とした請求項4に記載の包装構造体。
【請求項8】
前記プラスチックフィルム素材の上辺または下辺に緩衝帯体を設け、
前記プラスチックフィルム素材を輪状にして前記プラスチックフィルム筒体を形成した後に、前記緩衝帯体を前記プラスチックフィルム筒体の内側に折り曲げて入れることにより前記プラスチックフィルム筒体の上端または下端における前記商品に対する上下方向の緩衝保護性を向上せしめたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の包装構造体。
【請求項9】
商品を一つずつ包装する包装構造体であって、複数個の前記包装構造体を箱状の収納容器の中に納めて梱包する包装構造体として、高さが前記収納容器の高さと略同一で、その直径が前記商品を収められる大きさを持つ筒状のプラスチックフィルム筒体を用い、
前記収納容器内に前記プラスチックフィルム筒体を多数個立てて入れ、前記収納容器内の空間を埋めることにより、前記プラスチックフィルム筒体を前記収納容器の個々の商品に対する緩衝保護性を備えた間仕切りとした包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−173304(P2009−173304A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13251(P2008−13251)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507261490)共栄産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】