説明

包装機の充填装置

【課題】被包装物を漏斗内で適時に圧縮し小嵩にした状態で包装袋に充填することにより、充填時の被包装物の舞い上がり現象を抑制し、充填作業の高速化を図る包装機の充填装置を提供すること。
【解決手段】回転テーブル15を回転体4と同期して回転するように設け、漏斗23を取り付けた下部スライド22と、被包装物を押圧する押し棒27を移動自在とする空圧シリンダ26を取り付けた上部スライド25を回転テーブル15に昇降可能に設け、被包装物の投入工程にて下部スライド22を昇降自在とする第1昇降手段と、充填工程より前の工程にて上部スライド25を昇降自在とする第2昇降手段と、充填工程に上部スライド25の第3昇降手段及び下部スライド22の第4昇降手段とを固定テーブル19に夫々設置し、被包装物の投入工程の後工程から充填工程までの間の移動・停止中に、漏斗23内の被包装物を押し棒27の押し込み動作により圧縮して嵩を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽くて舞い上がりやすい削り節等の被包装物を圧縮して小嵩にした状態で包装袋に自動的に充填する包装機の充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス充填式包装機における被包装物の圧縮充填方法の一例を図8に示す。この方法は、包装機のグリップ対(図示せず)により吊り下げ状に支持された包装袋aの袋口bに、充填工程にて漏斗cの下端部を臨ませた状態で所定量の被包装物fを漏斗に投入し、ついで、押し棒dにより被包装物fを押し込みながら包装袋aに充填を行っている。この圧縮充填方法による処理能力については、毎分15〜18袋である。
【0003】
ところが、被包装物が削り節のように軽くて嵩のある性状の場合には、押し棒dにより押しながら充填し包装袋の中で削り節に含まれる空気を追い出すので、削り節が舞い上がって外へ飛び出してしまうとか、袋口の内面に付着することがある。また、被包装物が包装袋内に嵩高に収まった状態では、包装工程の後工程で包装袋にノズルを挿入して不活性ガスを注入する際に被包装物が舞い上がってしまい、ガス充填作業に支障を生じる。
【0004】
本件出願人はかかる不具合の対処として、包装袋内に投入された削り節等の被包装物を押し棒により圧縮して小嵩にする押込み装置を開発している(実用新案登録第2520262号)。しかし、その押込み装置によっても押込み動作を速くした場合には、被包装物が舞い上がって落ち着きが悪くなるため押込み動作を余り速くすることはできなかった。
【特許文献1】実用新案登録第2520262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被包装物を漏斗内で適時に圧縮して小嵩にした状態で包装袋に充填することにより、充填時の被包装物の舞い上がり現象を抑制し、充填作業の高速化を図る包装機の充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、単数若しくは多数のグリップ対を備えた移動体を多数の工程に間欠停止して移動させ、各グリップ対により吊り下げ状に支持された包装袋に所定量の圧縮可能な被包装物を充填するように構成された包装機の充填装置において、
縦向きの間欠回転軸に取り付けた環状回転テーブルを駆動手段により前記包装機の移動体と同期して複数の工程を回転移動するように設け、その回転テーブルに各工程に対応させて配置した各々のガイドバーに、放出口を開閉自在に設けた漏斗を取り付けた下部スライドと、その漏斗内に投入される被包装物を押圧する押し棒を上下方向に移動自在とするアクチュエータが取り付けられた上部スライドを昇降可能に設け、前記間欠回転軸内に同心状に配置された中軸に取り付けた固定テーブルに、下部スライド用カムを下方に上部スライド用カムを上方に配置して縦向きの円筒カム形状に設け、前記下部スライドに設けたピンを下部スライド用カムのカム溝に、前記上部スライドに設けたピンを上部スライド用カムのカム溝に夫々係合可能に設け、被包装物の投入工程にて前記下部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第1昇降手段と、充填工程より前の工程にて前記上部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第2昇降手段と、充填工程にて前記上部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第3昇降手段及び前記下部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第4昇降手段とを前記固定テーブルに夫々設置してなり、
被包装物の投入工程にて第1昇降手段の作動により前記漏斗の上口を計量手段の排出口に近接するまで上昇させた状態で当該漏斗へ被包装物を投入し、被包装物の投入工程の後工程から充填工程までの間に、前記漏斗内の被包装物を前記アクチュエータの作動により圧縮して嵩を小さくした状態とし、充填工程にて間欠停止した包装袋の袋口に第3昇降手段と第4昇降手段の連係作用により前記漏斗の下端部を挿入すると同時に前記放出口を開放して小嵩にされた被包装物を前記押し棒により押し込んで充填するように設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この包装機の充填装置によれば、被包装物の漏斗への投入動作と包装袋への充填動作とを異なる工程にて2段階に分けて行うと共に被包装物を漏斗内で移動・停止中の適時に圧縮して小嵩にした状態で包装袋に充填するので、包装能力が従来の毎分15〜18袋から毎分30袋程度まで向上し、充填作業の高速化を図ることができる。さらに、被包装物の舞い上がり現象を可及的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る充填装置を適用した包装機の平面図、図2は同、側面図、図3は充填装置の要部の説明図、図4は間欠回転軸部分を拡大して示す断面図、図5は下部スライド用カムと上部スライド用カムの展開図、図6は漏斗と押し棒との相対的位置関係を全工程に亘って表した説明図、図7は本発明に係る包装機の充填装置による充填作業の説明図である。
【0009】
本発明に係る包装機の充填装置10を適用したロータリー方式のガス充填式包装機Pを図1に示す。この包装機Pは、給袋工程(1)、賞味期限等の印字工程(2)、包装袋の開口工程(3)、削り節等の被包装物の充填工程(4)、押込み工程(5)、ノズル挿入及び袋口仮付けシール工程(6)、ガス置換・モミホグシ工程(7)〜(12)、トップシール工程(14)、シール部の冷却工程(15)、製品取出し工程(16)等の16工程からなる。
なお、この実施例で取り扱う被包装物については、嵩が大きく軽くて舞い上がり易い性状の「削り節」である。
【0010】
図2に示すように、この包装機Pの機台1上には、縦向きの間欠回転軸2を回転自由に支持したスタンド3を設けている。その間欠回転軸2に取り付けられた円盤状の回転体4には、給袋工程(1)にて給袋装置6から一枚ずつ供給される包装袋aを掴着又は釈放するための(工程数と同数の)16個のグリップ対gが等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。
【0011】
なお、この実施の形態例では、本発明装置をロータリー方式の包装機Pに適用して説明するが、直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0012】
充填装置10は、計量手段(図示せず)から被包装物(削り節)を漏斗へ投入する被包装物の投入工程(21)、外部押し込み装置等を設置可能な工程(22)、計量手段の不具合の場合、計量手段の被包装物を排出させる場合における系外排出工程(23)、押込み工程(24)、充填工程(25)、アイドル工程(26)〜(28)の8工程からなる。
【0013】
機台1上に設置されたスタンド11には、軸受け12a〜12cを介して縦向きの中空の間欠回転軸13を回転自由に設けている(図4)。その間欠回転軸13のフランジ13aに取り付けられた環状回転テーブル15は、インデックス装置とギアとにより構成される公知の図示しない駆動手段により前記回転体4と同期して複数の工程、ここでは8個の工程を間欠回転移動するように設けられている。18は間欠回転軸13の内部に同心状に配置された中軸である。その中軸18の先端に取り付けられた固定テーブル19は、間欠回転軸13に軸受け16a,16bを介して相対的に回転可能に設けられた支持部材17の上端面に固定されている。
【0014】
図3に示すように、回転テーブル15の外周縁には、各工程に対応させて一対のガイドバー20を配置し、各々のガイドバー20に、漏斗23が取り付けられた下部スライド22と、押し棒27を上下方向に移動自在とするアクチュエータとしての空圧シリンダ26が取り付けられた上部スライド25とをセットにして昇降可能に設けている。各ガイドバー20の上端は、リングプレート21によってぐらつかないように連結されている。また、押し棒27は、上記漏斗23内に投入される削り節を押圧するために設けられており、その押し棒27の下端にピン29を先端に設けたほぼ円柱状のブロック28が取り付けられている(図6)。
【0015】
各漏斗23の放出口23bには、嘴状の一対の開閉片24を設けている。詳しくは、その開閉片24は、図示しないバネにより放出口23bを閉じるように常に付勢されており、充填工程(25)に配置されたアクチュエータ(図示せず)により一部を押圧されることにより開かれて放出口23bを開放させるように設けられている。
【0016】
図5に示すように、固定テーブル19には、下部スライド用カム31を下方に、上部スライド用カム35を上方に配置して縦向きの円筒カム形状に設けている。下部スライド用カム31については、上側カム板32a,33aと下側カム板32b,33bとを一定幅寸法のカム溝34が形成されるように配置している。同様に、上部スライド用カム35についても、上側カム板36a,37a,38aと下側カム板36b,37b,38bとを一定幅寸法のカム溝39が形成されるように配置している。そして、下部スライド22の背面側に設けたピン22a(又はカムフォロア)を下部スライド用カム31のカム溝34に、上部スライド25に設けたピン25a(又はカムフォロア)を上部スライド用カム35のカム溝39に夫々係合可能に設けている。
【0017】
なお、投入工程(21)と充填工程(25)には、下部スライド用カム31を設けない。また、系外排出工程(23)と充填工程(25)には、上部スライド用カム35を設けない。
【0018】
固定テーブル19上には、被包装物の投入工程(21)に下部スライド22を昇降自在とする第1昇降手段を、充填工程より前の工程である系外排出工程(23)に上部スライド25を昇降自在とする第2昇降手段を、充填工程(25)に上部スライド25を昇降自在とする第3昇降手段45及び下部スライド22を昇降自在とする第4昇降手段60を夫々設置している。
【0019】
図3に示すように、第3昇降手段45については、固定テーブル19の外周縁に立設した一対のガイドバー46にスライダ50を摺動可能に装着し、そのスライダ50の前面に突設された支持片51によって前記上部スライド25のピン25aを支承可能に設けている。ガイドバー46の上端は、リングプレート47に連結されている。
【0020】
固定テーブル19に設置されたフレーム52には、プーリー53,54を上下に配置して垂直方向に回転自由に設けると共に一方のプーリー53を駆動回転させるサーボモータ装置57を設ける。それらプーリー53,54間に掛け渡されたタイミングベルト55には、スライダ50の後部50bを取り付ける。しかして、サーボモータ装置57によりプーリー53を駆動回転させることによりスライダ50が昇降自在に設けられる。
【0021】
第4昇降手段60については、上記ガイドバー46にスライダ61を摺動可能に装着し、そのスライダ61の前面に突設された支持片62によって前記下部スライド22のピン22aを支承可能に設けている。上記フレーム52には、プーリー63,64を上下に配置して垂直方向に回転自由に設けると共に一方のプーリー63を駆動回転させるサーボモータ装置67を設ける。それらプーリー63,64間に掛け渡されたタイミングベルト65には、スライダ61の後部61bを取り付ける。しかして、サーボモータ装置67によりプーリー63を駆動回転させることによりスライダ61を移動させて前記漏斗23を昇降自在に設ける。
【0022】
なお、第1昇降手段については、上述した第4昇降手段60と同一構造とされているので、その構造の説明を省略する。図5に示す符号41は、図示しないスライダの支持片である。また、第2昇降手段についても第3昇降手段45と同一構造とされているので、その構造の説明を省略する。同様に、符号43は図示しないスライダの支持片を示す。
【0023】
下部スライド用カム31のカム溝34は、図5に示すように、ほぼ山形形状とされており、押込み工程(24)で最も高い位置に形成されている。そして、押込み工程(24)において、下部スライド用カム31と下部スライド22の連係作用により漏斗23を上昇させることにより、漏斗23内の被包装物を圧縮することができるように設けている。
以上により、本発明に係る包装機の充填装置10が構成される。
【0024】
つぎに、本発明に係る包装機の充填装置10の作用について説明する。
(1)被包装物の投入工程(21)において、第1昇降手段の作動により漏斗23の上口23aを計量手段の排出口(図示せず)に近接するまで上昇させた状態で当該漏斗23へ100〜150gの被包装物たる削り節kを投入する(図7)。
(2)外部押し込み装置等を設置可能な工程(22)から充填工程までの間における移動・停止中に、空圧シリンダ26の作動により押し棒27を複数回押し込むことにより、漏斗23内の削り節kを圧縮して嵩を1/3〜1/5程度とする。なお、包装機Pの制御部よりn番目のグリップ対gに包装袋が掴着されていない旨の信号が圧縮充填装置10の制御部に入力された場合等には、それに対応すべく投入工程(21)で投入された削り節kを系外へ排出させる。
(3)充填工程(25)において、包装機側の間欠停止した包装袋aの袋口bに、第3昇降手段45と第4昇降手段60の連係作用により漏斗23の下端部を挿入すると同時に開閉片24を開放し、小嵩にされた削り節kを押し棒27により押し込んで充填する。ついで、押し棒27が1回押し込まれることにより、包装袋a内の削り節kは圧縮されて嵩が小さくなる。
(4)削り節kが包装袋aに充填されると、押し棒27、漏斗23の順に元の待機位置まで上昇し、漏斗23の開閉片24,24が閉じられる。
以後、上記(1)〜(4)の一連の作用が繰り返されることにより、充填工程(25)に間欠的に送り込まれる包装袋aに削り節kが順次充填される。
【0025】
以上に述べた通り、この包装機の充填装置は、被包装物の漏斗への投入動作と包装袋への充填動作とを異なる工程にて2段階に分けて行うと共に被包装物を漏斗内で移動・停止中の適時に圧縮して小嵩にした状態で包装袋に充填するので、包装能力が従来の毎分15〜18袋から毎分30袋程度まで向上する等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る充填装置を適用した包装機の平面図
【図2】同、側面図
【図3】充填装置の要部の説明図
【図4】間欠回転軸部分を拡大して示す断面図
【図5】下部スライド用カムと上部スライド用カムの展開図
【図6】漏斗と押し棒との相対的位置関係を全工程に亘って表した説明図
【図7】本発明に係る充填装置による充填作業の説明図
【図8】従来の被包装物の充填手段による充填作業の説明図
【符号の説明】
【0027】
P・・・ガス充填式包装機
g・・・グリップ対
a・・・包装袋 b・・・袋口
k・・・削り節(被包装物)
10・・・本発明に係る包装機の充填装置
13・・・間欠回転軸
15・・・回転テーブル
19・・・固定テーブル
20・・・ガイドバー
22・・・下部スライド
23・・・漏斗
25・・・上部スライド
26・・・空圧シリンダ(アクチュエータ)
27・・・押し棒
31・・・下部スライド用カム
34・・・カム溝
35・・・上部スライド用カム
39・・・カム溝
45・・・第3昇降手段
57・・・サーボモータ装置
60・・・第4昇降手段
67・・・サーボモータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数若しくは多数のグリップ対を備えた移動体を多数の工程に間欠停止して移動させ、各グリップ対により吊り下げ状に支持された包装袋に所定量の圧縮可能な被包装物を充填するように構成された包装機の充填装置において、
縦向きの間欠回転軸に取り付けた環状回転テーブルを駆動手段により前記包装機の移動体と同期して複数の工程を回転移動するように設け、その回転テーブルに各工程に対応させて配置した各々のガイドバーに、放出口を開閉自在に設けた漏斗を取り付けた下部スライドと、その漏斗内に投入される被包装物を押圧する押し棒を上下方向に移動自在とするアクチュエータが取り付けられた上部スライドを昇降可能に設け、前記間欠回転軸内に同心状に配置された中軸に取り付けた固定テーブルに、下部スライド用カムを下方に上部スライド用カムを上方に配置して縦向きの円筒カム形状に設け、前記下部スライドに設けたピンを下部スライド用カムのカム溝に、前記上部スライドに設けたピンを上部スライド用カムのカム溝に夫々係合可能に設け、被包装物の投入工程にて前記下部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第1昇降手段と、充填工程より前の工程にて前記上部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第2昇降手段と、充填工程にて前記上部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第3昇降手段及び前記下部スライドをサーボモータ装置により昇降自在とする第4昇降手段とを前記固定テーブルに夫々設置してなり、
被包装物の投入工程にて第1昇降手段の作動により前記漏斗の上口を計量手段の排出口に近接するまで上昇させた状態で当該漏斗へ被包装物を投入し、
被包装物の投入工程の後工程から充填工程までの間に、前記漏斗内の被包装物を前記アクチュエータの作動により圧縮して嵩を小さくした状態とし、
充填工程にて間欠停止した包装袋の袋口に第3昇降手段と第4昇降手段の連係作用により前記漏斗の下端部を挿入すると同時に前記放出口を開放して小嵩にされた被包装物を前記押し棒により押し込んで充填するように設けたことを特徴とする包装機の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−107683(P2009−107683A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283062(P2007−283062)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000108281)ゼネラルパッカー株式会社 (65)
【Fターム(参考)】