説明

包装用トレイ

【課題】包装用トレイを簡単な構造で工数を増やすことなく、第1及び第2収納凹部の壁部を起立させた状態で安定させて収納物の出し入れを容易なものにする。
【解決手段】板状部材を折り畳んで上面部10aに第1及び第2開口部11,12が形成されたトレイ本体10を設ける。別の板状部材を折り曲げて第1及び第2開口部11,12に挿入される第1及び第2収納凹部2,3を形成する。第1及び第2開口部11,12は、その形状に合わせてトレイ本体10の上面部10aを折り曲げて形成した第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cに周縁を囲まれ、第1及び第2収納凹部2,3は、第1〜第7外側縦壁部に内側から接する第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dを有する。第1及び第2開口部11,12に第1及び第2収納凹部2,3を挿入した状態で第1〜第7外側縦壁部が第1〜第7内側縦壁部によって内側から押圧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールなどの板状部材を折り曲げて形成した収納凹部を有する包装用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の包装用トレイとしては、例えば、特許文献1に見られるように、箱本体部と、複数の内装部とを有し、箱本体部が、紙材製箱体の上面を形成する上面部と、この上面部から延設されて立設された壁部であって、収納凹部の側面を形成する複数の壁部とを有し、複数の内装部が、ともに収納凹部の少なくとも一部を形成する中央板部と、この中央板部の外周のうち隣接する収納凹部に面した外周部分を除く外周から延設された複数の壁部であって立設された壁部とを有する、少なくとも2つの凹部状の収納凹部を備えた紙材製箱体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−24933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1の壁部は、板状部材から折り曲げて立設されているので、弾力により、元の平らな形状に戻ろうとする。壁部が元の形状に戻ろうとすると、例えば、袋入りの製品をこの収納凹部に収納した場合、袋が壁部の端部に引っ掛かって取り出すのが難しくなるという問題がある。このため、壁部の先端を折り曲げた上面部に接着剤を塗布して開口部の周縁に接着している。
【0005】
一方、近年、板状部材の再利用や環境保護のために接着剤を使用せずに包装用トレイを組み立てられるようにするニーズが増えてきている。そこで、接着剤を設けずに壁部が元に戻ろうとするのを防ぐために、壁部を何度も折り曲げて元に戻りにくくしたり、壁部に突起部を設けて開口部周縁に差し込んだりすることが考えられる。
【0006】
しかし、全ての壁部を何度も折り曲げたり、先端を開口部周縁に差し込んだりするのは、工数が増えて望ましくない。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で工数を増やすことなく、収納凹部の壁部を起立させた状態で安定させると共に、収納物の出し入れを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、開口部側の縦壁部を収納凹部側の縦壁部で内側から押圧するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
複数の板状部材を折り畳んで組み立てられた、収納凹部を有する包装用トレイを前提とし、
上記包装用トレイは、
上面部に開口部が形成されたトレイ本体と、
上記トレイ本体とは別の板状部材を折り曲げて形成され、上記トレイ本体の開口部に挿入される収納凹部とを有し、
上記開口部は、該開口部の形状に合わせて上記トレイ本体の上面部を折り曲げて形成した外側縦壁部に周縁を囲まれ、
上記収納凹部は、上記外側縦壁部に内側から接する内側縦壁部を有し、
上記開口部に上記収納凹部を挿入した状態で上記外側縦壁部が上記内側縦壁部によって内側から押圧されている。
【0010】
上記の構成によると、開口部の外側縦壁部の元の平らな形状に戻ろうとする力と収納凹部の内側縦壁部の元の平らな形状に戻ろうとする力とが互いに押し合って打ち消されるので、収納凹部の内側縦壁部が安定する。このため、何度も折り曲げを繰り返して元に戻りにくくしたり、外側縦壁部の先端を差し込んで固定したりする必要がなく、また、ビニール袋で包んだ収納物を収納した場合でも、取り出し時に内側縦壁部に引っ掛かることはない。さらに、収納凹部の内側縦壁部が外側縦壁部と重なり合っているので強度が増し、折り曲げ構造、引っ掛け構造などをとらなくても充電池などの比重の高いものを収納することができる。このため、折り曲げ工数が減る。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記トレイ本体は、上記上面部と該外側縦壁部との境界に設けたスリットにより、上記外側縦壁部が折り曲げられた状態で、上記開口部の周縁よりも内側に突出する周縁突出部を備え、
上記収納凹部を上記開口部へ挿入した後、上記内側縦壁部の上端部が上記周縁突出部の下面に当接することで、上記収納凹部が上面側へ飛び出すのが規制されている。
【0012】
上記の構成によると、外側縦壁部を折り曲げるだけで簡単に周縁突出部が形成される上に、収納凹部の挿入時における位置決めが容易となるので、組立時間の短縮が可能となる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記収納凹部の下面は、上記開口部に挿入された後に上記トレイ本体の下面部に当接し、上記内側縦壁部が上記周縁突出部と該下面部とで挟み込まれている。
【0014】
上記の構成によると、内側縦壁部が外側縦壁部と周縁突出部と下面部とで挟み込まれるので、さらに安定度が増すと共に剛性が向上する。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記外側縦壁部は、その先端が折り曲げられることなく、上記トレイ本体の下面部に当接し、又は該下面部に対して若干隙間を空けて配置されている。
【0016】
上記の構成によると、外側縦壁部は内側縦壁部と互いに押し合っているので、その先端をさらに折り曲げて接着構造としたり、先端を下面部に差し込んだりする必要がないので、組み立て工数が減り、また、上面部に荷重が加わっても外側縦壁部の先端が下面部で支持されるので、トレイ本体が変形するのが防止される。
【0017】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記収納凹部及び上記開口部は、複数設けられ、
上記複数の収納凹部は、互いに連結首部で連結されている。
【0018】
上記の構成によると、収納凹部をトレイ本体に組み付けるときに、複数の収納凹部を一度に組み付けることができるので、部品数が減ると共に組立が容易である。
【0019】
第6の発明では、第5の発明において、
上記収納凹部及び上記開口部は、一対設けられ、
上記トレイ本体の底部は、該トレイ本体の対向する側壁部にそれぞれ連続する下面部が上記連結首部に対応する部分で折り曲げられ、この折り曲げられた突合せ部が互いに当接して組み立てられており、
上記連結首部に併せて切り欠かれた突合せ部の周縁により、該連結首部の周囲が補強されている。
【0020】
上記の構成によると、連結首部をトレイ本体の上面部側から挿入するために、連結首部に対応する上面部及びそれに連続する内側縦壁部を切り欠く必要があり、その切り欠いた部分の強度が低下するが、切り欠かれた一対の突合せ部の周縁がトレイ本体の組立状態で上面部及び内側縦壁部の切り欠かれた部分の周縁に配置されるので、強度が増すと共に、切り欠かれた部分からゴミ等がトレイ本体内に入り込みにくくなる。
【0021】
第7の発明では、第6の発明において、
上記各下面部と上記各突合せ部との境界の両端に設けたスリットを一対の突合せ部を突き合わせたときにそれぞれ重ね合わせ、上記トレイ本体の対向する側壁部とは別の対向する側壁部に連続する差込部に形成したスリットと重ね合わせることで、上記下面部が平らな状態で固定されるように構成されている。
【0022】
上記の構成によると、トレイ本体の組立状態で下面部と突合せ部との境界の両端のスリットと、差込部のスリットとが確実に係合するので、トレイ本体の下面部が平らな状態で堅固に保持される。
【0023】
第8の発明では、第6又は第7の発明において、
一方の上記下面部と突合せ部との境界の上記連結首部に対応する部分は、折曲げ時に水平に飛び出す突起部が形成され、
他方の上記下面部と突合せ部との境界の上記連結首部に対応する部分は、折曲げ時に水平に凹む差込凹部が形成され、
上記トレイ本体の組立状態で、上記連結首部の真下で上記突起部が上記差込凹部に差し込まれている。
【0024】
上記の構成によると、トレイ本体の組立状態において、連結首部の真下で突起部が差込凹部に差し込まれるので、一対の下面部が水平方向にずれることなく確実に突き合わされる。
【0025】
第9の発明では、第6乃至第8のいずれか1つの発明において、
他の包装用トレイと積み重ねられた状態で、外装箱に収納されるように構成されている。
【0026】
上記の構成によると、外側縦壁部及び内側縦壁部の2重構造であるため、差込構造を設ける必要がないので、出っ張りがなく他の包装用トレイを積み重ねやすく、また、剛性が確保されているので、積み重ねてもトレイ本体が変形しない。
【0027】
第10の発明では、第9の発明において、
一方の上記収納凹部には、携帯端末の充電池が収納され、
他方の上記収納凹部には、上記携帯端末の上記充電池を覆うカバーが収納され、
上記他の包装用トレイには、携帯端末本体が収納されるように構成されている。
【0028】
上記の構成によると、比重の大きい充電池を確実に収納できると共に、充電池とカバーとをコンパクトに収納できる。また、比重の大きい携帯端末本体が収納された他の包装用トレイを積み重ねても包装用トレイが変形することはない。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、トレイ本体の開口部に収納凹部を挿入した状態で開口部周縁の外側縦壁部を内側縦壁部によって内側から押圧するようにしたことにより、簡単な構造で工数を増やすことなく、収納凹部の壁部を起立させた状態で安定させて収納物の出し入れを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】包装用トレイの分解斜視図である。
【図2】包装用トレイの使用例を示す分解斜視図である。
【図3】トレイ本体を展開した状態を示す平面図である。
【図4】収納凹部を展開した状態を示す図である。
【図5】包装用トレイの組立状態を示す斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1及び図5は本発明の実施形態の包装用トレイ1を示し、この包装用トレイ1は、例えば、図2に携帯電話機の個装セット110を示すように、背面カバー100を収納する第1収納凹部2と充電池101を収納する第2収納凹部3とを有し、これら背面カバー100及び充電池101をビニール袋102で包んだ状態で収納し、その上に携帯電話機本体103を収納した上側トレイ104等に積み重ねられた状態で外装箱105に収納されるようになっている。
【0033】
図3に示すように、包装用トレイ1は、1枚の段ボール紙などの板状部材50を折り曲げ、折り畳んで組み立てられた平面視矩形状のトレイ本体10を有する。トレイ本体10は、上面部10aに第1開口部11及び第2開口部12を有する。上面部10aは、第1〜第4側壁部10b〜10eに連続し、これら第1〜第4側壁部10b〜10eは、下方へ折り曲げられてトレイ本体10の4つの側壁を構成する。第1開口部11は、第1〜第4外側縦壁部11a〜11dを下方へ折り曲げることで周縁が形成される。第2開口部12は、第5〜第7外側縦壁部12a〜12cを下方へ折り曲げ、さらに第4側壁部10eを下方へ折り曲げることで周縁が形成される。なお、本実施形態では、4つめの外側縦壁部を第4側壁部10eで代用しているが、第5〜第7外側縦壁部12a〜12cと同様に上面部2aに連続する壁部を折り曲げて構成してもよい。また、第1開口部11と第2開口部12との間は、連結開口部13で連結されているので、この連結開口部13によって第4外側縦壁部11d及び第6外側縦壁部12bが分断されている。トレイ本体10は、上面部10aと第1〜第3外側縦壁部11a〜11c及び第5及び第7外側縦壁部12a,12cとの境界に設けたスリット14により、第1〜第3外側縦壁部11a〜11c及び第5及び第7外側縦壁部12a,12cが折り曲げられた状態で、第1及び第2開口部11,12の周縁よりも内側(収納部側)に突出する周縁突出部15(図1及び図5に示す)を備えている。
【0034】
第2側壁部10c及び第4側壁部10eは、それぞれトレイ本体10の下面を構成する第1下面部10f及び第2下面部10gに連続している。これら第1下面部10f及び第2下面部10gの先端にはそれぞれ第1突合せ部10h及び第2突合せ部10iが設けられ、トレイ本体10の組立時に第1突合せ部10h及び第2突合せ部10iが当接した状態で第1下面部10f及び第2下面部10gによってほぼ連続した下面が形成されるようになっている。そして、これら第1下面部10fと第1突合せ部10hとの間の境界両端に一対の第1差込用スリット10jが形成され、第2下面部10gと第2突合せ部10iとの間の境界両端に一対の第2差込用スリット10kが形成されている。なお、第1突合せ部10h及び第2突合せ部10iは、連結開口部13を形成するために切り欠き10lが形成されている。
【0035】
第1下面部10fと第1突合せ部10hとの境界の連結首部4に対応する部分には、スリットにより、折曲げ時に水平に飛び出す突起部16が形成されている。また、第2下面部10gと第2突合せ部10iとの境界の連結首部4に対応する部分には、スリットにより、折曲げ時に水平に凹む差込凹部17が形成されている。
【0036】
第1側壁部10bには、第1差込部10mが連続し、第3側壁部10dには、第2差込部10nが連続しており、第1差込部10mの先端には第3差込用スリット10oが形成され、第2差込部10nの先端には第4差込用スリット10pが形成されている。
【0037】
そして、第1突合せ部10h及び第2突合せ部10iが折曲により付き合わされた状態で、第1側壁部10bを折り畳んでその第3差込用スリット10oを一方の第1差込用スリット10j及び第2差込用スリット10kに差し込み、第3側壁部10dを折り畳んでその第4差込用スリット10pを他方の第1差込用スリット10j及び第2差込用スリット10kに差し込むことで、トレイ本体10が組み立てられるようになっている。また、このトレイ本体10の組立状態で、連結首部4の真下で突起部16が差込凹部17に差し込まれることで、一対の第1及び第2下面部10f,10gが水平方向にずれることなく確実に突き合わされる。
【0038】
一方、図4に示すように、第1収納凹部2と第2収納凹部3とは、1枚の段ボール紙などの板状部材51から形成される。第1収納凹部2と第2収納凹部3とは、互いに連結首部4で連結されている。第1収納凹部2は、底面部2aと、この底面部2aに連続し、上側に折り曲げられる第1〜第4内側縦壁部2b〜2eを有する。第4内側縦壁部2eは、連結首部4によって分割されている。第2収納凹部3は、底面部3aと、この底面部3aに連続し、上側に折り曲げられる第5〜第7内側縦壁部3b〜3dを有する。第6内側縦壁部3cは、連結首部4によって分割されている。本実施形態では、4つめの内側縦壁部を第4側壁部10eで代用しているが、第5〜第7内側縦壁部3b〜3dと同様に底面部3aに連続する壁部を折り曲げて構成してもよい。
【0039】
図1に示すように、連結首部4によって連結された第1収納凹部2、第2収納凹部3及び連結首部4を第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dを起立させた状態でトレイ本体10の第1開口部11、第2開口部12及び連結開口部13に上方から挿入することで、包装用トレイ1が組み立てられるようになっている。
【0040】
図5に示すように、組立状態において、第1開口部11に第1収納凹部2を挿入した状態で、図6に例示するように、第1〜第4外側縦壁部11a〜11dが第1〜第4内側縦壁部2b〜2eによってそれぞれ内側(収納物側)から押圧されている。また、第2開口部12に第2収納凹部3を挿入した状態で第5〜第7外側縦壁部12a〜11cが第5〜第7内側縦壁部3b〜3eによってそれぞれ内側から押圧されている。このため、第1及び第2開口部11,12の第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cの元の平らな形状に戻ろうとする力と、第1及び第2収納凹部2,3の第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの元の平らな形状に戻ろうとする力とが互いに押し合って打ち消される。このため、第1及び第2収納凹部2,3の第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dが安定した状態で保持される。このことから、何度も第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの折り曲げを繰り返して元に戻りにくくする必要がなく、また、ビニール袋102で包んだ収納物101,103を収納した場合でも、取り出し時に第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dに引っ掛かることはない。さらに、第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dが第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cと重なり合っているので強度が増し、折り曲げ構造、引っ掛け構造などをとらなくても充電池101電池などの比重の高いものを収納することができる。このため、折り曲げ工数が減る。
【0041】
また第1及び第2収納凹部2,3を第1及び第2開口部11,12へ上方から挿入した後、図6に例示するように、第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの上端部が周縁突出部15の下面に当接することで、第1及び第2収納凹部2,3が上面部10aから飛び出すのが規制されている。このため、第1及び第2収納凹部2,3の挿入時における位置決めが極めて容易となり、組立時間の短縮が可能となる。しかも、第1及び第2収納凹部2,3の下面2a,3aは、第1及び第2開口部11,12に挿入された後にトレイ本体10の第1及び第2下面部10f,10gに当接している。このことで、第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dが周縁突出部15と、この第1及び第2下面部10f,10gとで挟み込まれているので、第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの剛性がさらに向上する。なお、第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの上端部と周縁突出部15の下面との間には、隙間が設けられていてもよい。
【0042】
また、第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cは第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dと互いに押し合っているので、その先端をさらに折り曲げて接着構造としたり、先端を第1及び第2下面部10f,10gに差し込んだりする必要がない。このことから、組み立て工数が減り、また、上面部10aに荷重が加わっても第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cの先端が第1及び第2下面部10f,10gで支持されるので、トレイ本体10が変形するのが防止される。
【0043】
また、第1及び第2収納凹部2,3は、互いに連結首部4で連結されているので、第1及び第2収納凹部2,3をトレイ本体10に組み付けるときに、第1及び第2収納凹部2,3を一度に組み付けることができるので、組立が極めて容易である。
【0044】
また、連結首部4に対応する連結開口部13では、連結首部4に併せて切り欠かれた突合せ部10h,10iの切欠10lの周縁により、連結首部4の周囲が補強されている。しかも、切欠10lの周縁が連結首部4の隙間を覆うので、その部分からゴミ等がトレイ本体10内に入り込みにくくなっている。
【0045】
そして、組立後には、図2に示すように、第1収納凹部2にビニール袋102に包まれた背面カバー100を収納し、第2収納凹部3にビニール袋102に包まれた充電池101を収納する。
【0046】
その後、携帯電話機本体103を収容した上側トレイ104等と積み重ねられた状態で、外装箱105に収納される。このとき、包装用トレイ1は、第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12c及び第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dの2重構造であるため、出っ張りがなく上側トレイ104を積み重ねやすく、また、剛性が確保されているので、質量の大きい携帯電話機本体103を収容した上側トレイ104積み重ねてもトレイ本体10が変形しない。
【0047】
したがって、本実施形態に係る包装用トレイ1によると、トレイ本体10の第1及び第2開口部11,12に第1及び第2収納凹部2,3を挿入した状態で第1及び第2開口部11,12の周縁の第1〜第7外側縦壁部11a〜11d及び12a〜12cを第1〜第7内側縦壁部2b〜2e及び3b〜3dによって内側から押圧するようにしたことにより、簡単な構造で工数を増やすことなく、第1及び第2収納凹部2,3の壁部を起立させた状態で安定させて収納物の出し入れを容易にすることができる。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0049】
すなわち、上記実施形態では、携帯電話機の部品を収納する包装用トレイ1の例を示したが、収納物の種類や大きさは特に限定されない。また、板状部材50,51は段ボールとしたが、材質は特に限定されず、弾性を有する合成樹脂製シートなどであってもよい。
【0050】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明は、包装用トレイ1について有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 包装用トレイ
2 第1収納凹部
2a 底面部
2b〜2e 第1〜第4内側縦壁部
3 第2収納凹部
3a 底面部
3b〜3d 第5〜第7内側縦壁部
4 連結首部
10 トレイ本体
10a 上面部
10h 突合せ部
10i 突合せ部
10j 第1差込用スリット
10k 第2差込用スリット
10m 第1差込部
10n 第2差込部
10o 第3差込用スリット
10p 第4差込用スリット
11 第1開口部
11a〜11d 第1〜第4外側縦壁部
12 第2開口部
12a〜12c 第5〜第7外側縦壁部
14 スリット
15 周縁突出部
16 突起部
17 差込凹部
50 板状部材
51 板状部材
100 背面カバー
101 充電池
102 ビニール袋
104 上側トレイ(他のトレイ)
105 外装箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状部材を折り畳んで組み立てられた、収納凹部を有する包装用トレイにおいて、
上記板状部材を折り畳んで上面部に開口部が形成されたトレイ本体と、
上記トレイ本体とは別の板状部材を折り曲げて形成され、上記トレイ本体の開口部に挿入される収納凹部とを有し、
上記開口部は、該開口部の形状に合わせて上記トレイ本体の上面部を折り曲げて形成した外側縦壁部に周縁を囲まれ、
上記収納凹部は、上記外側縦壁部に内側から接する内側縦壁部を有し、
上記開口部に上記収納凹部を挿入した状態で上記外側縦壁部が上記内側縦壁部によって内側から押圧されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用トレイにおいて、
上記トレイ本体は、上記上面部と該外側縦壁部との境界に設けたスリットにより、上記外側縦壁部が折り曲げられた状態で、上記開口部の周縁よりも内側に突出する周縁突出部を備え、
上記収納凹部を上記開口部へ挿入した後、上記内側縦壁部の上端部が上記周縁突出部の下面に当接することで、上記収納凹部が上面側へ飛び出すのが規制されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項3】
請求項2に記載の包装用トレイにおいて、
上記収納凹部の下面は、上記開口部に挿入された後に上記トレイ本体の下面部に当接し、上記内側縦壁部が上記周縁突出部と該下面部とで挟み込まれている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項4】
請求項3に記載の包装用トレイにおいて、
上記外側縦壁部は、その先端が折り曲げられることなく、上記トレイ本体の下面部に当接し、又は該下面部に対して若干隙間を空けて配置されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の包装用トレイにおいて、
上記収納凹部及び上記開口部は、複数設けられ、
上記複数の収納凹部は、互いに連結首部で連結されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項6】
請求項5に記載の包装用トレイにおいて、
上記収納凹部及び上記開口部は、一対設けられ、
上記トレイ本体の底部は、該トレイ本体の対向する側壁部にそれぞれ連続する下面部が上記連結首部に対応する部分で折り曲げられ、この折り曲げられた突合せ部が互いに当接して組み立てられており、
上記連結首部に併せて切り欠かれた突合せ部の周縁により、該連結首部の周囲が補強されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項7】
請求項6に記載の包装用トレイにおいて、
上記各下面部と上記各突合せ部との境界の両端に設けたスリットを一対の突合せ部を突き合わせたときにそれぞれ重ね合わせ、上記トレイ本体の対向する側壁部とは別の対向する側壁部に連続する差込部に形成したスリットと重ね合わせることで、上記下面部が平らな状態で固定されるように構成されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の包装用トレイにおいて、
一方の上記下面部と突合せ部との境界の上記連結首部に対応する部分は、折曲げ時に水平に飛び出す突起部が形成され、
他方の上記下面部と突合せ部との境界の上記連結首部に対応する部分は、折曲げ時に水平に凹む差込凹部が形成され、
上記トレイ本体の組立状態で、上記連結首部の真下で上記突起部が上記差込凹部に差し込まれている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1つに記載の包装用トレイにおいて、
他の包装用トレイと積み重ねられた状態で、外装箱に収納されるように構成されている
ことを特徴とする包装用トレイ。
【請求項10】
請求項9に記載の包装用トレイにおいて、
一方の上記収納凹部には、携帯端末の充電池が収納され、
他方の上記収納凹部には、上記携帯端末の上記充電池を覆うカバーが収納され、
上記他の包装用トレイには、携帯端末本体が収納されるように構成されている。
ことを特徴とする包装用トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−218749(P2012−218749A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83884(P2011−83884)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】