説明

包装用ネット袋

【課題】商品の収納量が多く、商品を収納した状態で自立性を有し、商品取出口を反復して開閉することができ、商品情報を提供するスペースとしてのヘッダー部を効果的に設けることができる包装用ネット袋を提供する。
【解決手段】ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなり、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有する包装用ネット袋、又は、収納部の上方が表裏2枚のネットシートからなり、収納部の下方と底部が1枚のプラスチックフィルムからなり、該プラスチックフィルムが、袋体の下縁に平行なガゼット折りを有する包装用ネット袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用ネット袋に関する。さらに詳しくは、本発明は、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有し、商品の収納量が多く、商品を収納した状態で自立性を有し、商品取出口を反復して開閉することができ、商品情報を提供するスペースとしてのヘッダー部を効果的に設けることができる包装用ネット袋に関する。
【背景技術】
【0002】
鮮度を維持するために通気性を有する状態で包装し、店頭で販売される野菜や果物がある。比較的大型で大量に購入される玉葱、蜜柑などは網目の大きい大型のネット袋に入れて販売され、比較的小型で1回の購入量が少ないオクラ、枝豆などは網目の小さい小型のネット袋に入れて販売されている。小型のネット袋は、延伸強化されたポリオレフィン繊維を網目状に交差させ、熱融着させたネットから作製された長方形の平袋が多い。ボトムシール、サイドシール又は三方シールの平袋は、幅と長さの割には容量が小さく、野菜などの商品を無理に詰めると傷みを生じ、幅と長さを大きくすると材料費が嵩むばかりでなく、不恰好にもなる。このために、幅と長さが同じで収納し得る容量の大きい包装用ネット袋が開発されている。
本発明者らは、園芸用の球根など、特に通気性を要する商品を収納した状態で店頭販売できるようにした通気性袋として、ベースフィルムを挟んでネットシートとカバーフィルムを配置するとともに、両側縁をサンドイッチ状に溶着することによりサイドシール部を形成し、さらにベースフィルムとネットシートの下縁を溶着することにより底部シール部を形成し、ベースフィルムとネットシートの間に底部シール部により底部を形成された上部開口状の商品収納室を備えるとともに、ベースフィルムとカバーフィルムの間に挿入室を備えてなり、挿入室に商品表示を印刷した表示シートを挿入保持せしめてなる通気性袋を提案した(特許文献1)。しかし、この通気性袋は、片面にのみネットシートを備えるので、表裏両面がネットシートからなるネット袋に比べると通気性が不足し、球根などに比べて生物活動が激しい生鮮野菜などの包装には必ずしも適しているとは言いがたい。また、この通気性袋は、ベースフィルムとネットシートの下縁が溶着されてベースフィルムによりガゼット折りが形成されているが、比較的安価な生鮮野菜などの包装に用いるには、構造が複雑であって製造コストが高い。
丈夫で、外から中のものが見えるとともに、通気性にも優れ、軽量で小さなものだけではなく、通常の重量や大きさの物品を十分収納できる網袋として、全部又は一部を網状とする熱可塑性樹脂製帯状体の略中央部にガゼット折りを施し、そのガゼット折りを介して該帯状体全体を2つ折りにして重ね、かつ重ねられた帯状体の両側端辺部をガゼット折りの対応部分を挟んで熱溶着によりそれぞれ一体接合し、開口部にリボン状の手提げを熱溶着してなる網袋が提案されている(特許文献2)。この網袋は、蜜柑などを販売するための袋を目的とするものであり、開口部を閉鎖する手段を備えず、商品情報を提供するスペースも十分ではない。
実用上必要な強度と弾性をもち、かつ十分なシール強度を有する生分解性押し出しネットによるファッション性に優れた新規なガセット袋式包装材料として、生分解性合成樹脂ネットからなる包装用袋で、袋本体の開口部、本体部、底部、底部のシール部及び底部のシールの補強部を有する意匠性と包装性に優れたガセット袋式包装材料が提案されている(特許文献3)。この袋は、たかだかワインボトル、メロン、サクランボなどを包装できる大きさとされていて、開口部を閉鎖する手段を備えていない。
現在すべて手作業で行われ、非常に手間で面倒で、出来具合のバラツキがあり、大量生産ができないのでコスト高の原因ともなっている網目状ガゼット袋の製造方法として、ガゼット形状を形成するための中子に網目円筒状の樹脂の原反を被せたものを、その中子と協働してガゼット形状を形成するための対の成形体の間に配置すると、両者に挟まれた円筒の両側面が内側に折り込まれてガゼット形状が形成されるようになっている形状関係の前記中子と対の成形体によって、前記原反を被せた状態の中子を前記対の成形体の間に配置して、その原反を軸方向に移動させて、その対の成形体とその間に配置された中子を通過させることによりガゼット形状を付するようにした網目状ガゼット袋の製造方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この網目状ガゼット袋はサイドガゼットであり、十分に安定した自立性を有しない。
【特許文献1】特開2000−25781号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開2003−252345号公報(第2−3頁、図5)
【特許文献3】特開2003−252346号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献4】特開2002−361763号公報(第2頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有し、商品の収納量が多く、商品を収納した状態で自立性を有し、商品取出口を反復して開閉することができ、商品情報を提供するスペースとしてのヘッダー部を効果的に設けることができる包装用ネット袋を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部を収納部の裏面のネットシートに延設された舌片フィルムと表面のネットシートの上部に付設された受けフィルムで構成し、舌片フィルムを折り返して粘着剤層により受けフィルムに固着することにより、収納部を閉鎖し、かつ反復して開閉することが可能となり、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを設けることにより、ガゼット折りを開いて袋の収納容量を増やし、かつ自立性を与えることが可能となることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなり、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有することを特徴とする包装用ネット袋、
(2)ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部の上方が表裏2枚のネットシートからなり、収納部の下方と底部が、収納部上方の表裏2枚のネットシートに袋体の下縁に平行な融着線で融着された1枚のプラスチックフィルムからなり、該プラスチックフィルムが、袋体の下縁に平行なガゼット折りを有することを特徴とする包装用ネット袋、及び、
(3)収納部の表裏2枚のネットシートの下縁が、底部のガゼット折りの谷折り線よりも下方に延設されてなる(2)記載の包装用ネット袋、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の包装用ネット袋は、商品の収納量が多く、商品を収納した状態で自立性を有し、商品情報を提供するスペースとしてのヘッダー部を活用することができるので、店頭において優れた展示効果を発揮する。本発明の包装用ネット袋は、舌片フィルムと受けフィルムを粘着剤層で固着することにより開口部を閉鎖するので、生産者は商品を袋内に収納したのち容易に袋を閉じることができ、消費者は袋を破ることなく商品を取り出すことができ、さらに商品を少量ずつ消費する場合は、商品取出口を反復して開閉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の包装用ネット袋の第一の態様は、ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなり、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有する包装用ネット袋である。
図1は、本発明の包装用ネット袋の一態様の平面図、A−A線切断部端面図及び底部のガゼット折りを開いた状態を示す切断部端面図である。本態様の包装用ネット袋は、ヘッダー部1、収納部2及び底部3からなり、収納部と底部が連続する1枚のネットシートで構成されている。袋体の底部には、袋体の下縁に平行なガゼット折り4が設けられていて、ガゼット折りを開くことにより、平面的な広い底部を有し、収納容積の大きい、自立性のある包装袋となる。現在、オクラは、ネットシート製の平袋に入れて販売されている場合が多いが、M寸10本又はL寸8本程度で袋が一杯になり、オクラをそれ以上に必要とする場合は2袋以上を購入せざるを得ず、包装材料が無駄にされるのみならず、消費者にとって割高となつている。本発明の包装用ネット袋は、ガゼット折りを開いて、オクラの頭を下に尾を上に向けて収納することにより、幅と長さが同じ平袋の2倍以上のオクラを収納することができ、包装材料の無駄がなく、経済的に販売することができる。
図1に示す態様の包装用ネット袋は、収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなり、収納部が表面のネットシート5と裏面のネットシート6により構成され、底部3もネットシートからなるので、通気性がきわめて良好であり、貯蔵に通気性が要求される生鮮食品の鮮度を保持して販売することができる。
【0007】
本発明の包装用ネット袋のヘッダー部は、収納部の表面のネットシート5の上部に融着により付設された受けフィルム7と、収納部の裏面のネットシート6の上部に融着により延設された舌片フィルム8とからなる。受けフィルムは、2本の融着線9により収納部の表面のネットシートに融着されており、舌片フィルムも、同様に2本の融着線により収納部の裏面のネットシートに融着されている。
図1に示す態様においては、舌片フィルムに袋体の幅方向に離型フィルム10に覆われた粘着剤層11が設けられている。底部のガゼット折りを開き、開口部12から収納部2に商品を収納したのち、離型フィルムを剥がして粘着剤層を露出させ、舌片フィルムを折り返して粘着剤層を受けフィルムに粘着させ、舌片フィルムと受けフィルムを固着させて包装用ネット袋の開口部を閉じる。図1に示す態様とは逆に、受けフィルムに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層を設け、収納部に商品を収納したのち、離型フィルムを剥がして粘着剤層を露出させ、舌片フィルムを折り返して粘着剤層に粘着させ、舌片フィルムと受けフィルムを固着させて包装用ネット袋の開口部を閉じることもできる。包装用ネット袋へのオクラなどの商品の収納は、手作業で行われる場合が多いので、離型フィルムを剥がして粘着剤層により舌片フィルムと受けフィルムを固着する動作は、一連の作業の流れの中で円滑に行うことができ、ヒートシーラーなどを用いて開口部をシールする場合に比べて合理的に作業を進めることができる。また、商品を購入した消費者は、袋を破ることなく開口部から商品を取り出すことができ、さらに、商品を少しずつ取り出すときは、開口部の開封と閉鎖を繰り返して行うことができる。
【0008】
本発明の包装用ネット袋は、両側縁がヒートシールされてサイドシール13を有することが好ましい。サイドシールの幅は、2mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましい。サイドシールの幅が2mm未満であると、シール部分で破袋を生ずるおそれがある。ヒートシールは、ネットシートの短繊維が押しつぶされて扁平になるまで強く行うことが好ましい。袋体の上部では、表裏2枚のネットシートが受けフィルムと舌片フィルムに挟まれ、ネットシートの網目を通して受けフィルムと舌片フィルムも融着されるので、ヒートシールは丈夫であり、開口部は繰り返される開閉に耐える強度を有する。収納部では、表面のネットシートと裏面のネットシートの2枚がヒートシールされる。底部のガゼット折りの部分では、ガゼット折りを形成する4枚のネットシートがヒートシールされる。
本発明の包装用ネット袋を構成するネットシートの材質に特に制限はなく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルなどを挙げることができる。本発明の包装用ネット袋を構成するフィルムの材質に特に制限はなく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルなどを挙げることができる。本発明において、包装用ネット袋を構成するネットシートとフィルムは同種の材質であることが好ましい。ネットシートとフィルムに同種の材質を用いることにより、融着により高い強度を得ることができる。例えば、ポリエチレンのネットシートを用い、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムを用いるときは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどとポリエチレンとのラミネートフィルムを用いて、ラミネートフィルムのポリエチレン面でポリエチレンのネットシートと融着することが好ましい。
本発明の包装用ネット袋は、底部のガゼット折りを開くことにより、底部に平面が形成され、商品を収納した包装用ネット袋は自立性を有する。したがって、店頭において商品を収納した包装用ネット袋を整然と陳列することができ、販売促進効果を高めることができる。サイドガゼットの包装用ネット袋は自立性を有しないので、陳列棚に横積みせざるを得ないが、本発明の包装用ネット袋は、袋の自立とともに、ヘッダー部も垂れ下がることなく直立して正面を向くので、ヘッダー部に商品名、産地、生産者名、調理方法、栄養価、賞味期限などの情報を表記して消費者に訴求することができる。
【0009】
本発明の包装用ネット袋の第二の態様は、ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部の上方が表裏2枚のネットシートからなり、収納部の下方と底部が、収納部上方の表裏2枚のネットシートに袋体の下縁に平行な融着線で融着された1枚のプラスチックフィルムからなり、該プラスチックフィルムが、袋体の下縁に平行なガゼット折りを有する包装用ネット袋である。
図2は、本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図、B−B線切断部端面図及び底部のガゼット折りを開いた状態を示す切断部端面図である。本態様の包装用ネット袋は、ヘッダー部1、収納部2及び底部3からなる。収納部の上方は表裏2枚のネットシート14及び15で構成され、収納部の下方と底部が1枚のプラスチックフィルム16で構成されている。収納部の下方と底部を構成するプラスチックフィルムは、収納部上方を構成する表面のネットシート14と2本の融着線17により融着され、裏面のネットシート15とも同様に2本の融着線により融着されている。収納部の下方と底部を構成するプラスチックフィルムには、袋体の下縁に平行なガゼット折り18が設けられていて、ガゼット折りを開くことにより、平面的な広い底部を有し、収納容積の大きい、自立性のある包装袋となる。
【0010】
図2に示す態様の包装用ネット袋は、収納部の下方と底部がプラスチックフィルムで構成されているので、無色透明なプラスチックフィルムを用いることにより、袋の内部を見ることができる。例えば、消費者は、袋に収納されたオクラの頭の切り口を観察して、その新鮮度を確認することができる。また、従来のネット袋では、収納された商品から脱落した細片の飛散を防ぐためにネット袋をさらにプラスチックフィルムに入れる場合もあったが、本態様の包装用ネット袋は収納部の下方と底部がプラスチックフィルムで構成され、かつ自立性を有するので、商品から細片が脱落しても袋外に飛散するおそれがない。
図2に示す態様の包装用ネット袋のヘッダー部及びサイドシールの構成及び効果は、図1に示す態様の包装用ネット袋のヘッダー部及びサイドシールの構成及び効果と全く同じである。
図3は、本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図、C−C線切断部端面図及び商品を収納した状態を示す斜視図である。本態様の包装用ネット袋は、図2に示す態様の包装用ネット袋のガゼット折りの部分のプラスチックフィルムを2枚ずつ融着した包装用ネット袋である。図中に鎖線で示すガゼット折り18の谷折り線19と両側縁のサイドシール13との交点から、袋体の下縁に向かって略45度の角度の斜めの融着線20でガゼット折りの部分のプラスチックフィルム2枚ずつが融着されている。本態様の包装用ネット袋のガゼット折りを開くと、側面に斜めの融着線20を二辺とする二等辺直角三角形が形成され、収納部の下方と底部により直方体に近い形状の空間が形成される。その結果、袋の形状安定性と自立性がいっそう良好となる。図1に示す態様の収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなる包装用ネット袋では、ガゼット折りされたネットシート2枚ずつにこのような斜めの融着線を形成することにはやや困難が伴うが、図2に示す態様のプラスチックフィルムからなるガゼット折りの部分には、容易に正確な斜めの融着線を形成することができる。
【0011】
本発明の包装用ネット袋は、収納部の下方と底部をガゼット折りを有する1枚のプラスチックフィルムで構成し、収納部の表裏2枚のネットシートの下縁を、ガゼット折りの谷折り線よりも下方に延設することができる。図4は、本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図、D−D線切断部端面図及び底部のガゼット折りを開いた状態を示す切断部端面図である。本態様の包装用ネット袋は、ヘッダー部1、収納部2及び底部3からなる。収納部の下方と底部が、袋体の下縁に平行なガゼット折り18を有する1枚のプラスチックフィルム16で構成されている。収納部の表裏2枚のネットシート21及び22は、収納部の上方からガゼット折りの谷折り線を越えて袋体の下縁まで延設されている。収納部の下方と底部を構成するプラスチックフィルムは、収納部を構成する表面のネットシート21と2本の融着線17により融着され、裏面のネットシートとも同様に2本の融着線により融着されている。収納部の下方と底部を構成するプラスチックフィルムのガゼット折り18を開くことにより、平面的な広い底部を有し、収納容積の大きい、自立性のある包装袋となる。
【0012】
図2に示す態様の包装用ネット袋は、収納部の下方と底部がプラスチックフィルムで構成されているので、無色透明なプラスチックフィルムを用いることにより、袋の内部を観察することができるという利点を有するが、収納部の上方と下方で商品の外観が変わらないことが好まれる場合もある。図4に示す態様の包装用ネット袋は、収納部の上方から袋体の下縁までネットシートを備えるので、収納された商品はすべてネットシートを通して眺められ、収納部の上方と下方で商品の外観が著しく異なるという現象は生じない。また、ガゼット折りの谷折り線と両側縁のサイドシールの交点から、袋体の下縁に向かって略45度の角度の斜めの融着線を形成するとき、ネットシートの網目を通して2枚のプラスチックフィルムが融着されるので、強固に融着した斜めの融着線を容易に形成し、ガゼット折りを開いたとき、収納部の下方と底部により直方体に近い形状の空間を形成して、袋の形状安定性と自立性を向上することができる。さらに、本態様の包装用ネット袋は、収納部の下方と底部にプラスチックフィルムを有し、かつ自立性を有するので、商品から細片が脱落しても袋外に飛散するおそれがない。
図4に示す態様の包装用ネット袋のヘッダー部及びサイドシールの構成及び効果は、図1に示す態様の包装用ネット袋のヘッダー部及びサイドシールの構成及び効果と全く同じである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の包装用ネット袋は、商品の収納量が多く、商品を収納した状態で自立性を有し、店頭において直立した状態で陳列することができ、商品情報を提供するスペースとしてのヘッダー部を正面に向けることができるので、店頭において優れた販売促進効果を発揮する。本発明の包装用ネット袋は、舌片フィルムと受けフィルムを粘着剤層で固着することにより開口部を閉鎖するので、生産者は商品を袋内に収納したのち容易に袋を閉じることができ、消費者は袋を破ることなく商品を取り出すことができ、さらに商品を少量ずつ消費する場合は、商品取出口を反復して開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の包装用ネット袋の一態様の平面図及び切断部端面図である。
【図2】本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図及び線切断部端面図である。
【図3】本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図、切断部端面図及び斜視図である。
【図4】本発明の包装用ネット袋の他の態様の平面図及び切断部端面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ヘッダー部
2 収納部
3 底部
4 ガゼット折り
5 表面のネットシート
6 裏面のネットシート
7 受けフィルム
8 舌片フィルム
9 融着線
10 離型フィルム
11 粘着剤層
12 開口部
13 サイドシール
14 表面のネットシート
15 裏面のネットシート
16 プラスチックフィルム
17 融着線
18 ガゼット折り
19 谷折り線
20 融着線
21 表面のネットシート
22 裏面のネットシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部と底部が連続する1枚のネットシートからなり、底部に袋体の下縁に平行なガゼット折りを有することを特徴とする包装用ネット袋。
【請求項2】
ヘッダー部、収納部及び底部からなる包装用ネット袋において、ヘッダー部が、収納部の裏面のネットシートの上部に融着により延設された舌片フィルムと、収納部の表面のネットシートの上部に融着により付設された受けフィルムとからなり、舌片フィルム又は受けフィルムのいずれかに袋体の幅方向に離型フィルムに覆われた粘着剤層が設けられ、離型フィルムを剥がして舌片フィルムを折り返すことにより、舌片フィルムと受けフィルムが粘着剤層により固着され、収納部の上方が表裏2枚のネットシートからなり、収納部の下方と底部が、収納部上方の表裏2枚のネットシートに袋体の下縁に平行な融着線で融着された1枚のプラスチックフィルムからなり、該プラスチックフィルムが、袋体の下縁に平行なガゼット折りを有することを特徴とする包装用ネット袋。
【請求項3】
収納部の表裏2枚のネットシートの下縁が、底部のガゼット折りの谷折り線よりも下方に延設されてなる請求項2記載の包装用ネット袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−1589(P2006−1589A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179653(P2004−179653)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(390036629)株式会社ヤマガタグラビヤ (30)
【出願人】(391004344)ユーシー販売株式会社 (2)
【Fターム(参考)】