説明

包装用パッド

【課題】シール袋等の被包装物の箱内における移動を確実に防止すると共に、箱詰め時の収納効率を向上させる。
【解決手段】被包装物としてシール袋Sを載せる段ボール製の台板1の表面に、空気に触れた状態でも粘着性が維持される粘着剤を定着させた帯状の粘着部2を2列以上間隔をあけて平行に設け、この粘着部2にシール袋Sを当接させ、粘着剤2の粘着力により、シール袋Sの移動を阻止する。被包装物がシール袋Sのように不定形のものであっても、台板1に固定された状態に保持されるので、シール袋Sの破袋やピンホールの発生等を確実に防止することができる。また、パッド自体は平板であるので、段積みして段ボール箱Bに詰めた状態で、箱内に生じるデッドスペースを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋入製品等の輸送時における破袋やピンホールの発生を防止する包装用パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図5に示すように、人工透析用のパイプ等が滅菌包装された細長いシール袋Sを医療機関へ配送する際には、パルプモールド製のパッドMを使用し、このパッドMに形成された複数列の溝状の凹部51に、シール袋Sをそれぞれ一側部分が嵌り込むように収納して、段ボール箱に複数のパッドMを段積みした状態で収納する。
【0003】
なお、パルプモールド製のパッドとして、下記特許文献1には、梨や桃等の果実包装に使用するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−67208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなパルプモールド製のパッドMを、形状が一定しないシール袋Sの梱包に使用した場合、輸送時の振動や衝撃により、シール袋Sが凹部51から逸脱しやすく、箱内で移動したシール袋Sに破袋やピンホールが生じる恐れがあるほか、立体的形状のパッドMが箱内で嵩張り、収納効率が低くなるという問題もある。
【0006】
そこで、この発明は、シール袋等の被包装物の箱内における移動を確実に防止すると共に、箱詰め時の収納効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明に係る包装用パッドは、被包装物を載せる段ボール製の台板の表面に、空気に触れた状態でも粘着性が維持される粘着剤を定着させた帯状の粘着部を2列以上間隔をあけて平行に設け、この粘着部に被包装物を当接させ、粘着剤の粘着力により、被包装物の移動を阻止するようにしたのである。
【発明の効果】
【0008】
このような包装用パッドでは、被包装物がシール袋のように不定形のものであっても、台板に固定された状態に保持されるので、シール袋の破袋やピンホールの発生等を確実に防止することができ、袋内の製品の衛生状態を維持できる。
【0009】
また、パッド自体は平板であるので、段積みして箱詰めした状態で、箱内に生じるデッドスペースを削減することができ、被包装物を効率よく輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係る包装用パッドによるシール袋の梱包状態を示す斜視図
【図2】同上の包装用パッドを示す平面図
【図3】同上のシール袋を載せた状態を示す斜視図
【図4】同上の段積み状態を示す縦断正面図
【図5】従来のパルプモールド製パッドにシール袋を載せた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、この発明に係るパッドPは、図5に示す従来のパッドMに代えて、人工透析用のパイプ等が滅菌包装された細長いシール袋Sを医療機関へ配送する際、段ボール箱Bに段積み状態で詰められるものである。
【0013】
このパッドPの主体となる段ボール製の台板1は、図2に示すように、長方形状の段ボールから成り、その表面には、粘着剤が塗布された帯状の粘着部2が台板1の長手方向に延びるように2列間隔をあけて平行に設けられている。
【0014】
粘着部2に塗布される粘着剤としては、空気に触れた状態でも粘着性を失わない性質のもの、例えば、SBRポリマー(スチレンブタジエンゴム)、天然ロジン樹脂及び水溶性粘調剤を含有したものを使用する。ここでは、各成分の含有量の比率として、SBRポリマー35%、天然ロジン樹脂9%、水溶性粘調剤56%のものを使用している。
【0015】
また、台板1の幅方向の端縁中央部には、箱詰作業時に包装機械のアームが挿入される切欠部3が設けられている。
【0016】
このようなパッドPを緩衝材としてシール袋Sを梱包する際には、図3に示すように、複数個のシール袋Sを台板1に並べて載せる。このとき、シール袋Sが2列の粘着部2に跨るようにし、また、シール袋S同士が幅の半分程度ずつ順次重なるようにする。
【0017】
このように、シール袋Sを台板1に載せると、粘着部2にシール袋Sが当接し、粘着部2の粘着剤が有する粘着力により、台板1にシール袋Sが付着する。
【0018】
そして、この状態で、図1及び図4に示すように、複数枚のパッドPを段積みし、切欠部3に挿入した包装機械のアームでパッドPを保持しつつ、図1に示すように、シール袋SをパッドPと共に段ボール箱Bに挿入し、段ボール箱Bを封緘する。
【0019】
上記のような包装用パッドPを使用すると、被包装物がシール袋Sのように不定形のものであっても、2列に並行する帯状の粘着部2により、シール袋Sが回転を阻止されて、段ボール特有の緩衝性を有する台板1に固定された状態に保持される。
【0020】
このため、輸送時に振動や衝撃が作用しても、シール袋Sが段ボール箱Bの内部で移動することがなく、シール袋Sの相互衝突や段ボール箱Bの内面との摩擦等により、シール袋Sに破袋やピンホールが発生する現象が防止され、袋内の衛生状態を維持できる。
【0021】
また、パッドP自体は、従来のパルプモールド製のもののように凹凸を有することなく平板であるので、段積みして箱詰めした状態で、箱内に生じるデッドスペースを削減することができ、段ボール箱Bのサイズを小型化して、シール袋S等の被包装物を効率よく輸送することができる。
【0022】
さらに、被包装物の集積から、パッドPへの載置、パッドPの段積み、箱詰めへ至る一連の包装工程を、容易に機械化することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、粘着部2として、台板1の段ボールに直接粘着剤を塗布したものを例示したが、粘着部2は、粘着剤が塗布されたテープを台板1に貼り付けたものとしてもよい。
【0024】
また、粘着剤の消費量を抑制しつつ、被包装物の移動止め効果を有効に得るため、2列の粘着部2を台板1に設けたものを例示したが、3列以上の粘着部2を間隔をあけて並行するように台板1に設けてもよい。
【0025】
そして、粘着剤の成分含有量により調整される粘着力や塗布面積は、被包装物を引き剥がす際、被包装物にダメージを与えないように、被包装物の表面の強度や印刷等の特性に応じて適宜設定するとよい。
【符号の説明】
【0026】
P パッド
1 台板
2 粘着部
3 切欠部
S シール袋
B 段ボール箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を載せる段ボール製の台板(1)の表面に、空気に触れた状態でも粘着性が維持される粘着剤を定着させた帯状の粘着部(2)を2列以上間隔をあけて平行に設け、この粘着部(2)に被包装物を当接させ、粘着剤の粘着力により、被包装物の移動を阻止するようにした包装用パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41060(P2012−41060A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182776(P2010−182776)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】