説明

包装用具

【課題】少量の商品の包装に要する時間と労力とを軽減する包装用具を提供すること。
【解決手段】包装用具(10)は、一対の案内部材(16,18)と、両案内部材間に箱(12)を支持する支持部材(20)と、両案内部材間に配置された互いに相対する2つの爪部材(22,24)と、両案内部材間に加熱面を規定する加熱装置(26)とを含む。支持部材には、箱に被せられたプラスチックフィルム片(14)の垂れ下がる端部のための第1の通路(40)と、両第1の通路にそれぞれ連なる2つの第2の通路(42)であって互いに交差するように斜めに伸びる2つの第2の通路と、両第2の通路に連なる第3の通路(44)とが設けられている。各爪部材は、箱に巻き付けられたプラスチックフィルム片の互いに相対する端部が押し付けられるとき、端部に対して折り曲げ作用を及ぼす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、薬品、食品等が収容された箱(包装箱)のプラスチックフィルムによる包装、より詳細には直角六面体の包装箱を矩形状のプラスチックフィルム片で包装するための用具に関する。
【背景技術】
【0002】
多品種少量生産による商品の包装、輸送や管理中に包装に毀損が生じた少量の商品の再包装等は、短時間で大量の包装を行う包装機械によるそれに馴染まない。このため、従来にあっては、包装の工程である、プラスチックフィルム片で包装箱を巻いてこれを貼り合わせ(胴張り)、胴張り後の包装箱の各端部から突出するプラスチックフィルム片を折り曲げ、貼り合わせることの全てを手作業で行っていた。しかし、これには時間と労力を要するという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少量の商品の包装に要する時間と労力とを軽減する包装用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、直角六面体の箱を矩形状のプラスチックフィルム片で包装するための用具に係り、互いに間隔をおいて配置されかつ連結された、前記箱を直線的に案内するための一対の案内部材と、両案内部材間に前記箱をその一面で支持する支持面を規定する支持部材と、両案内部材間に配置され該案内部材による案内方向に関して一方及び他方にそれぞれ向けられ互いに相対する2つの爪部材であって一の爪部材が前記箱をその一面で支持するための支持面を有しまた前記案内方向へ移動可能であり、他の爪部材が斜め下方に伸びる、2つの爪部材と、両案内部材間に加熱面を規定する加熱装置とを含み、前記一の爪部材が規定する案内面、前記支持部材が規定する案内面及び前記加熱装置が規定する加熱面はこれらの面上を前記箱が前記案内方向へ滑動可能であるように前記案内方向の一方に向けて順次に配置され、前記支持部材が規定する支持面は、前記箱に被せられ該箱の一面下へ垂れ下がる前記プラスチックフィルム片の互いに相対する一対の端部のための前記案内方向へ伸びる2つの第1の通路と、両第1の通路にそれぞれ連なる2つの第2の通路であって前記案内方向に関して間隔をおいて配置され前記案内方向の一方に向けて互いに交差するように斜めに伸びる2つの第2の通路と、両第2の通路に連なり前記案内方向へ伸びる第3の通路とを有し、また、各爪部材は、前記箱に巻き付けられ該箱の一面下へ垂れ下がる前記プラスチックフィルム片の互いに相対する端部が押し付けられるとき、該端部に対して折り曲げ作用を及ぼす。
【0005】
前記案内部材は、これらが規定する間隔を可変とすべく、一方の案内部材に対して他方の案内部材が可動であるものとすることができる。
【0006】
前記支持部材は両案内部材にそれぞれ取り付けられ前記案内方向へ伸びる2つの第1の板体と2つの第2の板体とからなり、各第1の板体と各案内部材とがこれらの間にそれぞれ前記第1の通路を規定し、各第1の板体と各第2の板体とがそれぞれ前記第2の通路を規定し、また両第2の板体が前記第3の通路を規定するものとすることができる。
【0007】
前記支持部材は、さらに、前記加熱面に隣接する板体を含むものとすることができる。また、前記他の爪部材は前記支持部材と一体をなすものとすることができる。前記プラスチックフィルム片はこれに接着されたティアテープを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、矩形のプラスチックフィルム片による箱の包装のため、前記プラスチックフィルム片が被せられた箱をその一面を下にして支持部材が規定する支持面上に載せ、該支持面上を加熱面に向けて、すなわち両案内部材による案内方向の一方に向けて滑動させる。滑動の間、前記箱の一面下に垂れ下がる前記プラスチックフィルム片の両端部が両第1の通路及び両第2の通路を順次経て第3の通路に至る。前記第2の通路は前記案内方向に関して互いに間隔をおかれ前記案内方向の一方に向けて互いに交差するように斜めに伸びていることから、前記プラスチックフィルム片の両端部は両第2の通路を通るときに順次互いに他の一方に向けて折り曲げられる。次いで前記第3の通路に至ると、折り曲げられた両端部がそれぞれ前記支持面上に載り、前記箱の一面下にこれと相対するまでに折り曲げられ、部分的に互いに重なり合う。互いに重なり合うように折り曲げられた前記プラスチックフィルム片の両端部は引き続く滑動操作により前記加熱面に至り、該加熱面においてこれらの重合部が熱溶融され、互いに接合される。これにより、いわゆる胴張りが完了し、前記プラスチックフィルム片は前記箱に巻き付けられ、角筒状を呈するに至る。
【0009】
次に、角筒状を呈し前記箱から突出する両端部を有する前記プラスチックフィルム片の一方の端部を下にしてこれを両案内部材間におき、これを一の爪部材に向けて移動させ該爪部材に押し付ける。その結果、前記プラスチックフィルム片の端部における互いに相対する2対の側面のうちの一対の側面の一方が前記箱の一面に向けて折り曲げられ、前記一の爪部材が規定する支持面上に載る。これにより、前記一方の側面の一方が前記箱の一面(下面)に相対するように折り曲げられる。
【0010】
次いで、前記一の爪部材を他の爪部材に向けて移動させる。このとき、前記他の爪部材は斜め下方に向けられているため、前記一の爪部材の一部が前記他の爪部材上に乗り上がる。その結果、前記プラスチックフィルム片の一対の側面の他方が前記他の爪部材に当たり、前記箱の一面(下面)に相対するように折り曲げられる。
【0011】
次いで、前記箱を前記一の爪部材の支持面から前記支持部材の支持面上へ移動させ該支持面上を前記加熱面に向けて滑動させる。その結果、前記プラスチックフィルム片の残りの一対の側面が前記第1の通路、前記第2の通路及び第3の通路を通過し、この間に、両側面が互いに他の一方に向けて順次折り曲げられ、先に折り曲げられた一対の側面上に部分的に重なる。部分的に重なり合う一対の側面は、前記箱の前記加熱面上への引き続く滑動操作により、熱溶着される。これらの操作を、前記プラスチックフィルム片の他方の端部についても同様に行う。これにより、いわゆる耳折りが完了し、同時に前記箱の包装が完了する。
【0012】
本発明によれば、前記プラスチックフィルム片による前記箱の包装における前記胴張り及び前記耳折りについて、両案内部材間における前記プラスチックフィルム片を伴う前記箱の移動または滑動操作により短時間でかつ容易に行うことができる。
【0013】
両ガイド部材の一方を他方に対して可動とし、両ガイド部材の相互間隔を可変とすることにより、種々の大きさの箱についての包装を可能とすることができる。
【0014】
また、前記支持部材を、両ガイド部材にそれぞれ取り付けられた板体とすることにより、両ガイド部材の幅寸法を変えるべく一方のガイド部材を移動させるとき、前記支持部材が規定する支持面の大きさについて適用される箱の大きさに合わせて変更することができる。
【0015】
前記支持部材が前記加熱面に隣接する板体を含むものとするときは、前記板体上において、前記第3の通路を経た前記プラスチックフィルム片の前記折り重ね部分に押圧力を及ぼし、前記加熱面への移動に先立ち、その折り重ね面をより平坦なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る包装用具が全体に符号10で示されている。
【0017】
包装用具10は、直角六面体(直方体又は立方体)の箱12を矩形状のプラスチックフィルム片14で包装するために用いられる(図3参照)。箱12の一例として、化粧品、薬品、食品等が入れられた化粧箱がある。プラスチックフィルム片14は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールのような熱可塑性樹脂からなる。
【0018】
包装用具10による箱12の包装は、従来の手作業による包装と同様、いわゆる胴張り及び耳折りを経て行われる。前記胴張りは、箱12にプラスチックフィルム片14をその両端部が部分的に互いに重なり合うように箱12に巻き付け、前記両端部を熱溶着することにより行われる。プラスチックフィルム片14の巻き付けは、通常、箱12の上蓋及び底蓋間の4つの側面の周囲を取り巻くように行われる。このとき、前記胴張り後におけるプラスチックフィルム片14は角筒状を呈するところ、前記角筒の軸線方向における両端部が箱12の両蓋からそれぞれ突出する。次に、前記耳折りが行われる。前記耳折りは、前記角筒の軸線方向に突出する各端部を箱12の各蓋に向けて折り曲げ、互いに部分的に重なり合うこととなった前記両端部の一方の一部分を熱溶着することにより行われる。プラスチックフィルム片14は、前記胴張り及び前記耳折りを可能とする大きさを有するものが予め選択され、準備される。図示の例では、プラスチックフィルム片14は後にこれを引き裂いて箱12の包装を解くためのいわゆるティアテープ15を有する。
【0019】
包装用具10は、箱12のための一対の案内部材16,18と、箱12を支持するための支持部材20と、前記耳折りをなすための2つの爪部材22,24と、前記熱溶着を生じさせるための加熱装置26とを備える。
【0020】
両案内部材16,18は互いに間隔をおいて配置され、互いに連結されており、これらの間に箱12を受け入れ、該箱に対してこれを直線的に案内する作用をなす。
【0021】
図示の両案内部材16,18は比較的細長い板部材からなり、これらの両端部において両案内部材16,18の横断方向へ伸びる一対のスペーサ28上に載置され、一方の案内部材16が両スペーサ28に固定されている。これに対し、他方の案内部材18は、一方の案内部材16との間の相互間隔が調整可能であるように、一方の案内部材16に対して相対移動可能とされている。これにより、両案内部材16,18間の間隔を変更することにより、種々の大きさの箱12を包装対象とすることができる。
【0022】
図示の例では、案内部材18を可動とするため、また両案内部材16,18の相互連結のため、各スペーサ28上に両案内部材16,18を横切る方向へ伸びるレール30が取り付けられ、また他方の案内部材18の下面にレール30上をこれに沿って滑動可能であるスライダ32が取り付けられている。また、案内部材18をレール30に押し付け、これによりスペーサ28に解除可能に固定するためのねじ部材(図示せず)が案内部材18に螺合されている。前記ねじ部材の回転操作のためにその頂部にノブ34が取り付けられている。
【0023】
なお、図示の例に代えて、他方の案内部材18が、一方の案内部材16と同様に両スペーサ28に固定されたものとし、両案内部材16,18が両スペーサ18を介して相互に連結されたものとすることができる。これによれば、両案内部材16,18間の相互間隔は、1の大きさの箱に対応可能である1の大きさのみに設定される。
【0024】
両案内部材16,18に取り付けられたスペーサ28は、包装用具10を作業台上においたとき、該作業台から両案内部材16,18までの間に包装作業に必要な所要の高さ又は空間を確保するために設けられている。
【0025】
支持部材20は、両案内部材16,18間に箱12をその一面(下面)で支持するための支持面を規定する。箱12はこれを指Fで挟み持って前記支持面上を滑動させることにより、両案内部材16,18の案内作用の下、該案内部材に沿ってすなわち案内方向へ移動させることができる。このとき、箱12はその互いに相対する両側面において両案内部材16,18に接し、これにより案内部材16,18による前記案内作用を受ける。
【0026】
図示の例では、支持部材20が、ともに前記案内方向に関して細長い2つの第1の板体34と、2つの第2の板体36からなり、これらの板体は両案内部材16,18間に箱12のための支持面を規定する。
【0027】
両第1の板体34及び両第2の板体36は、案内部材16,18の長手方向におけるほぼ中央部に位置し、またこれらの板体34,36の上面と両案内部材16,18の下面とがほぼ同一の平面上に位置する。
【0028】
両第1の板体34及び両第2の板体36は、ともに、両案内部材16,18にそれぞれ取り付けられている。より詳細には、両第1の板体34はそれぞれブラケット38を介して両案内部材16,18の下面に取り付けられ、両第1の板体34と両案内部材16,18との間に前記案内方向へ伸びる隙間40が存する。また、両第2の板体36はそれぞれ両案内部材16,18の下面に直接固定され、両案内部材16,18間に張り出している。したがって、両案内部材16,18間の相互間隔が広げられ、または狭められるとき、可動の案内部材18と共に両第1の板体34の一方及び両第2の板体36の一方が案内部材18と共に移動し、これにより両案内部材16,18間に配置される箱12の大きさすなわち厚さ寸法に応じた前記支持面が規定される。
【0029】
第1の板体34と第2の板体36との間にこれらに規定された隙間42が存する。両隙間42は前記案内方向に関して間隔をおいて配置されている。また、両隙間42は、前記案内方向の一方(図2において左方)に向けて互いに交差するように、より詳細にはこれらの隙間42の延長において互いに交差するように、斜めに伸びている。さらに、両第1の板体34相互間及び両第2の板体36相互間にもこれらに規定された隙間44が存する。
【0030】
板体24と各案内部材16,18との間の隙間40と、隙間42と、両第2の板体36が規定する隙間44とは、それぞれ、包装用具10による包装作業時におけるプラスチックフィルム片14の一部の通過を許す第1の通路と、第2の通路と、第3の通路とをなす。第1の通路40は第2の通路42に連なり、第2の通路42は第3の通路44に連なる。
【0031】
第1の通路40は、後述するように、前記胴張りのために前記案内方向の一方に向けて前記支持面上を滑動される箱12に被せられたプラスチックフィルム片14の両端部を通し(図3)、また前記耳折りのために前記胴張りによって先に箱12に巻き付けられたプラスチックフィルム片14の2対の端部の一方66を通す(図10)役割を有する。第2の通路42は、前記胴張り及び前記耳折りのそれぞれのために折り曲げられるプラスチックフィルム片14の端部62,66を通す(図4及び図11)役割を有する。また、第3の通路44は、折り曲げ直後のプラスチックフィルム片14の端部62,66を通す(図5)役割を有する。
【0032】
好ましくは、図示の例におけるように、前記案内方向の前記一方の側に加熱装置26に隣接して、また両第2の板体36からわずかな間隔をおいて、一対の第3の板体46が配置され、両案内部材16,18の下面に固定されている。両第3の板体46相互間にも隙間が存する。両第3の板体46はそれぞれ両案内部材16,18間に張り出しており、箱12のための前記支持面の一部を規定する。各板体46は、前記案内方向の他方(図2において右方)へ向けてかつ第2の板体36の下方へ傾斜して伸びる突起47を有する。この例に代えて、各第3の板体46と各第2の板体36とを一体にしてなるものとすることができる。
【0033】
一方の案内部材18を固定し、両案内部材16,18間の間隔を不変とする例の場合には、両第1の板体34を単一の板体に置き換えることができる。また、両第2の板体36についてもこれらを単一の板体に置き換えることができる。ただし、両第2の板体36に代わる単一の板体に、第2の通路42に連なる第3の通路44を規定する切欠きが設けられる。両第3の板体46についてもこれらを単一の板体に置き換えることができる。
【0034】
なお、各板体34,36,46は、これらを各案内部材16,18に取り付ける図示の例に代えて、例えば、両スペーサ28の下方に配置されかつ両スペーサ28に固定された基板(図示せず)に、適当な支柱(図示せず)を介して、両案内部材16,18間に支持することができる。
【0035】
両爪部材22,24はそれぞれ支持部材20の第1の板体34の前記案内方向に関する他方の側に隣接して両案内部材16,18間に配置され、かつ前記案内方向に関する一方及びその他方にそれぞれ向けられ、前記案内方向に互いに相対している。
【0036】
両爪部材22,24は、それぞれ、両案内部材16,18間に互いに間隔をおいて配置された一対の先細の板体48,50からなる。
【0037】
一の爪部材22はこれらの板体48にそれぞれ固定された一対のブラケット52を介して両案内部材16,18に吊持されている。両板体48は、また、支持部材20が規定する前記支持面とほぼ同一の平面上にある、箱12をその一面(下面)で支持するための支持面を規定する。
【0038】
両ブラケット52は、それぞれ、両案内部材16,18の頂面に設けられ両案内部材16,18の長手方向へ伸びる一対のレール54に該レールに沿ってすなわち前記案内方向へ移動可能に連結されたブロック状のスライダ56に固定されている。
【0039】
両ブラケット52は、また、これらに取り付けられ両案内部材16,18の横断方向へ伸びるバー部材58により相互に連結されている。これにより、両板体48を前記案内方向へ同時に移動させることができる。
【0040】
他方、他の爪部材24の両板体50は、支持部材の一対の板体34と一体に形成され、下方に向けて傾斜している。このため、一の爪部材22を前記案内方向の一方へ移動させるとき、一の爪部材22の先端部が他の爪部材24の先端部への乗り上がりが可能である。
【0041】
なお、両案内部材16,18間の間隔を不変とする前記例の場合には、両案内部材16,18をそれぞれ単一の板体からなるものとすることができる。また、他の爪部材24の両板体50について、支持部材の両板体34から分離された独立のものとして構成することができる。この場合における両板体50は、それぞれ、第2の板体36のように両案内部材16,18の底面に固定することができる。
【0042】
爪部材24と反対の側、すなわち支持部材20の前記案内方向における一方の側に支持部材20に隣接して配置された加熱装置26は、図示の例では、電熱板からなり、両案内部材16,18間に平坦な加熱面を規定する。前記加熱面は前記支持面とほぼ同一の面上にある。
【0043】
包装用具10を使用してのプラスチックフィルム片14による箱12の包装は次のように行うことができる。
【0044】
先ず、プラスチックフィルム片14が被せられた箱12を手Fに持ち、これを両案内部材16,18間の支持部材の両板体34上に載置する(図3)。一般的には、箱12の上蓋及び底蓋の間の4つの側面の内の3つの側面の周囲を覆うように、プラスチックフィルム片14が箱12に被せられる。
【0045】
このとき、プラスチックフィルム片14の一部62が箱12の残りの一つの側面(下面)から縦方向(下方)へ垂れ下がり、また前記上蓋及び前記底蓋からそれぞれ横方向へ突出し、下方へ垂れ下がる両端部62は、第1の通路40を経て下方に伸びる。両スペーサ28は、包装用具10がおかれる作業台との間に、プラスチックフィルム片14の両端部62が垂れ下がりを保証する間隔を確保する。また、このとき、箱12はその互いに相対する両側面においてプラスチックフィルム片14を介して両案内部材16,18に接する。
【0046】
次いで、箱12を前記案内方向における一方に向けて移動させ、支持部材の両板体34及び両板体36上を順次に滑動させる。これにより、プラスチックフィルム片14の両端部62は第1の通路40から第2の通路42へ案内、移動される(図4、図5)。プラスチックフィルム片の両端部62は、それぞれ、第2の通路42を移動する間に箱12の底面に向けて折り曲げられ、次いで両端部62が第2の板体36上に乗り上がり、第3の通路44において部分的に重なり合う。その結果、両端部62がそれぞれ箱12の底面に相対することとなるまで、すなわちほぼ90度まで折り曲げられる。
【0047】
両第2の通路42が前記案内方向に互いに間隔をおいて配置されているため、プラスチックフィルム片の両端部62の折り曲げは時間的に前後して生じる。このため、両端部62の一方が折り曲げられた後、該一方の端部上に他方の端部62が重なり合うように折り曲げられる。
【0048】
箱12をさらに移動すると、折り曲げられかつ箱12の前記下面で互いに重なり合うプラスチックフィルム片の両端部62が支持部材の両板体36,46上を滑動し(図6)、次いで加熱装置26が規定する前記加熱面に到達し、該加熱面上を滑動して通過する(図7)。このとき、両端部62の重合部分が熱溶融され、互いに接着(熱溶着)される。同時に、ティアテープ15の両端部の互いに重なり合う部分も熱溶着される。その結果、前記胴張りが完了する(図8)。
【0049】
次に、前記胴張りによりプラスチックフィルム片14が巻き付けられた箱12を図8に示す状態から90度回転させ、この箱12を一の爪部材22の両板体48上に載置する。箱12の載置は、爪部材22を予め前記案内方向における他方の側へ移動させて、両案内部材16,18間に箱12のための挿入空間を確保しておき、両案内部材16,18間に箱を挿入し、次いで爪部材22に向けて移動させることにより行う。このとき、箱12の上蓋又は底蓋から突出する角筒状の他の端部の互いに相対する2対の一部分64,66における一対の一部分64の一方が爪部材22の先端に当たって折り曲げられ、箱12の一面(前記上蓋又は底蓋が規定する下面)に押し当てられる(図9)。
【0050】
その後、爪部材22上に箱12を載せたまま、爪部材22をこれが他の爪部材24上に乗り上がるまで前記案内方向における一方に向けて移動させる。このとき、プラスチックフィルム片の残りの一部分64が他の爪部材22に当たって折り曲げられ、箱12の前記一面に押し当てられる。
【0051】
引き続き、箱12を前記案内方向における一方に向けて移動させる。このとき、一の爪部材22の一部が他の爪部材24上に乗り上げているため、一の爪部材22から支持部材の両第1の板体34への移動が円滑に行われる。
【0052】
箱12が支持部材の第1の板体34上を滑動するとき、プラスチックフィルム片14の折り曲げられないで残った他の一対の端部の一部分66がそれぞれ両第1の通路40を通過する(図10)。さらに、第2の板体36上を通過するとき、両一部分66がそれぞれ両第2の通路42を通過し、前記胴張りにおけると同様に折り曲げられ、互いに部分的に重ね合わされる(図11)。
【0053】
箱12の移動を続けると、箱12の前記下面に折り曲げられた両一部分66が第3の板体46上を滑動し、さらに前記加熱面上を滑動し、この間に両一部分66の重なり部分が熱溶融され、互いに接着される(図12)。その結果、角筒状のプラスチックフィルム片14の一方の端部における耳折りが完了する。
【0054】
その後、同様にして、前記角筒状のプラスチックフィルム片14の他方の角筒状の端部についても耳折りを施す。これにより、プラスチックフィルム片14による箱12の包装が完了する。
【0055】
なお、図13に示すように、前記胴張り作業における箱12に対するプラスチックフィルム片14の被覆状態を良好に保つため、箱12の3つの側面にプラスチックフィルム片14を押さえ付けるためのコ字形の断面形状を有するアタッチメント68を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】包装用具の下から見た斜視図である。
【図2】包装用具の平面図である。
【図3】箱に被せられたプラスチックフィルム片の端部が第1の通路を通過する状態における包装用具の斜視図である。
【図4】プラスチックフィルム片の端部が第2の通路を通過する状態における包装用具の斜視図である。
【図5】プラスチックフィルム片の端部が第3の通路を通過する状態における包装用具の斜視図である。
【図6】プラスチックフィルム片の端部が互いに部分的に重ね合わされ、支持部材の第3の板体上を滑動する状態における包装用具の斜視図である。
【図7】プラスチックフィルム片の互いに部分的に重ね合わされた両端部が加熱面上を滑動する状態における包装用具の斜視図である。
【図8】プラスチックフィルム片の胴張りが完了した状態における包装用具の斜視図である。
【図9】胴張り後のプラスチックフィルム片の耳折りのため、角筒状を呈するプラスチックフィルムの端部の一部分を折り曲げる工程における包装用具の斜視図である。
【図10】プラスチックフィルム片の非折り曲げ部分が第1の通路を通過している状態における包装用具の斜視図である。
【図11】プラスチックフィルム片の非折り曲げ部分を折り曲げる工程における包装用具の斜視図である。
【図12】プラスチックフィルム片の角筒状の端部の耳折りが完了した状態における包装用具の斜視図である。
【図13】胴張り作業に用いられるアタッチメントの斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10 包装用具
12 箱
14 プラスチックフィルム片
16,18 案内部材
20 支持部材
22,24 爪部材
26 加熱装置
34,36 第1及び第2の板体
40,42,44 第1、第2及び第3の通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角六面体の箱を矩形状のプラスチックフィルム片で包装するための用具であって、
互いに間隔をおいて配置されかつ連結された、前記箱を直線的に案内するための一対の案内部材と、
両案内部材間に前記箱をその一面で支持する支持面を規定する支持部材と、
両案内部材間に配置され該案内部材による案内方向に関して一方及び他方にそれぞれ向けられ互いに相対する2つの爪部材であって一の爪部材が前記箱をその一面で支持するための支持面を有しまた前記案内方向へ移動可能であり、他の爪部材が斜め下方に伸びる、2つの爪部材と、
両案内部材間に加熱面を規定する加熱装置とを含み、
前記一の爪部材が規定する案内面、前記支持部材が規定する案内面及び前記加熱装置が規定する加熱面はこれらの面上を前記箱が前記案内方向へ滑動可能であるように前記案内方向の一方に向けて順次に配置され、
前記支持部材が規定する支持面は、前記箱に被せられ該箱の一面下へ垂れ下がる前記プラスチックフィルム片の互いに相対する一対の端部のための前記案内方向へ伸びる2つの第1の通路と、両第1の通路にそれぞれ連なる2つの第2の通路であって前記案内方向に関して間隔をおいて配置され前記案内方向の一方に向けて互いに交差するように斜めに伸びる2つの第2の通路と、両第2の通路に連なり前記案内方向へ伸びる第3の通路とを有し、
また、各爪部材は、前記箱に巻き付けられ該箱の一面下へ垂れ下がる前記プラスチックフィルム片の互いに相対する端部が押し付けられるとき、該端部に対して折り曲げ作用を及ぼす、包装用具。
【請求項2】
前記案内部材は、これらが規定する間隔を可変とすべく、一方の案内部材に対して他方の案内部材が可動である、請求項1に記載の包装用具。
【請求項3】
前記支持部材は両案内部材にそれぞれ取り付けられ前記案内方向へ伸びる2つの第1の板体と2つの第2の板体とからなり、各第1の板体と各案内部材とがこれらの間にそれぞれ前記第1の通路を規定し、各第1の板体と各第2の板体とが前記第2の通路を規定し、また両第2の板体が前記第3の通路を規定する、請求項2に記載の包装用具。
【請求項4】
前記支持部材は、さらに、前記加熱面に隣接する板体を含む、請求項3に記載の包装用具。
【請求項5】
前記他の爪部材は前記支持部材と一体をなす、請求項1に記載の包装用具。
【請求項6】
前記プラスチックフィルム片はこれに接着されたティアテープを含む、請求項1に記載の包装用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−106461(P2007−106461A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299787(P2005−299787)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(505180634)株式会社エヌケーテクノ (2)
【Fターム(参考)】