説明

包装用容器及びブランクシート

【課題】開封片の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片を開封させない包装用容器を提供する。
【解決手段】本実施形態の包装用容器(1)は、曲線形状と直線形状とで構成する切り込み(31)が開封片(5)に施されており、その切り込み(31)が施された内側の領域が少なくとも本体前面板(11)の玉抜部(30)と接着剤を介して接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回された包装媒体、例えば、ラップフィルムに代表される樹脂製フィルムや紙、アルミホイル等を包装するための包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルム等の包装媒体を収容する包装用容器として、例えば、図8に示す構成の包装用容器がある。
【0003】
図8に示す包装用容器101は、包装媒体を収納する容器本体102と、当該容器本体102に一体的に設けられた容器蓋103と、を有して構成し、円筒状の紙管(心材)にロール状に巻回された包装媒体を容器本体102内に収納している。
【0004】
容器本体102内に収納した包装媒体を使用する場合は、容器本体102の本体前面板111に設けられた開封片105を切取線104に沿って切り離し、容器蓋103を容器本体102の一頂縁iを軸として回動可能にする。そして、容器本体102内に収納した包装媒体を容器本体102から指で引き出し、その引き出した包装媒体を切断刃118で切断して使用する。切断刃118は、容器本体102の本体底面板112に設けられており、その切断刃118は、図8、図9に示すように、本体前面板111から1〜2mm程度だけ前方に突出して設けられる。図9は、図8に示す包装用容器101の断面構成例を示す図である。また、開封片105は、本体前面板111から突出する切断刃118を隠蔽するように本体前面板111に設けられており、その開封片105は、図9に示すように、本体底面板112から2mm程度だけ前方に突出して設けられる。
【0005】
また、本体前面板111の表面には、ハーフカットが施された円形状や楕円形状の玉抜部200が等間隔または非等間隔で設けられており、その玉抜部200と開封片105とを接着剤等で接着し、本体前面板111の表面に開封片105が設けられている。
【0006】
このため、図8、図9に示すように、開封片105を切取線104に沿って切り離すと、ハーフカットが施された玉抜部200の部分が本体前面板111から層間剥離し、その層間剥離した玉抜部200が開封片105側に接着した状態で開封片105を本体前面板111から剥がすことになる。
【0007】
図8に示す包装用容器101の開封片105は、図9に示すように、本体前面板111から突出する切断刃118を隠蔽するように本体前面板111に設けられている。このため、本体前面板111と開封片105との間に空間が形成されてしまい、玉抜部200と開封片105とを接着することが困難な構造になっている。
【0008】
なお、玉抜部200と開封片105とを接着し易くするためには、図8に示すように、半円形の切り込み201を開封片105に設け、その切り込み201が玉抜部200に重なるように配置することが好ましい。これにより、切り込み201の内側の領域を本体前面板111側に近づけることができるため、切り込み201の内側の領域と玉抜部200とを接着し易くすることができる。
【0009】
しかし、開封片105は、図9に示すように、本体前面板111から突出する切断刃118を隠蔽するように本体底面板112から前方に突出して本体前面板111に設けられている。このため、本体底面板112から前方に突出した開封片105の先端に対し、意図しない力が加わってしまう状況が発生する。
【0010】
図8に示す包装用容器101は、開封片105に施された切り込み201の内側の領域と、本体前面板111に設けられた玉抜部200と、が少なくとも接着し、開封片105が本体前面板111に接着しているため、例えば、図9に示すα方向から力が加わった場合は、そのα方向からの力に対する抵抗力が小さく、玉抜部200が層間剥離し、開封片105の一部が開封してしまう状況が発生する。
【0011】
例えば、図8、図9に示す包装用容器101を製造する過程で、切断刃118が図9に示すα方向に開封片105を持ち上げようとする力が加わる場合があり、この場合は、開封片105を本体前面板111から剥がそうとする力が働き、玉抜部200が層間剥離してしまう場合がある。
【0012】
また、開封片105は、切断刃118を隠蔽するように本体底面板112から前方に突出して設けられているため、製函充填機(カートニングマシン)を使用した際に、カートンガイドなどの機械により開封片105の先端がこすられたり、開封片105の先端に図9に示すα方向の力が加わったりし、開封片105を本体前面板111から剥がそうとうする力が働き、玉抜部200が層間剥離してしまう場合もある。
【0013】
また、包装用容器101を段ボールに詰め込み、運搬、輸送する際に包装用容器101同士が接触、振動した場合や、段ボールを扱う作業者の不手際で段ボールを落下し、包装用容器101に大きな衝撃が加わった場合などは、開封片105を本体前面板111から剥がそうとする力が働き、玉抜部200が層間剥離してしまう場合もある。
【0014】
なお、上述した問題は、開封片105と本体前面板111とがハーフカットが施された玉抜部200で接着した図8に示す包装用容器101の構造だけでなく、開封片105と本体前面板111とがハーフカットが施されていない玉抜部200で接着した包装用容器の構造でも発生する。この場合も、開封片105に施された切り込み201の内側の領域と、本体前面板111に設けられた玉抜部200と、が少なくとも接着し、開封片105が本体前面板111に接着するため、図9に示すα方向から力が加わった場合は、玉抜部200の接着部分が剥がれ、開封片105の一部が開封してしまう状況が発生する。
【0015】
このようなことから、開封片105の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片105を開封させない包装用容器の開発が必要視されることになる。
【0016】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、例えば、特許文献1(実開昭63-70936号公報)には、ラップフィルム引出面を間において、一方にカッターを他方に開閉自在な蓋体を設け、切取板に半円状の切込を設けた構成のカートンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開昭63−70936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記特許文献1に開示されているカートンは、上述した図8、図9に示す包装用容器101と同様な構造で構成するため、上述した図8、図9に示す包装用容器101と同様な問題状況を抱えることになる。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、開封片の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片を開封させない包装用容器及びブランクシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
【0021】
<包装用容器>
本発明にかかる包装用容器は、
心材に巻回された包装媒体を収納する容器本体と、前記容器本体の開口部を被包する容器蓋と、前記容器本体の底面板に設けられ前記包装媒体を切断する切断刃と、を有し、前記容器蓋は、前記容器本体の一頂縁に連接し、前記一頂縁を軸として前記容器本体に対して回動可能な構造の包装用容器であって、
前記容器蓋は、前記包装用容器の開封部となる開封片と切取線を介して連接し、前記開封片により前記容器本体の前面板の玉抜部と接着しており、
前記開封片は、曲線形状と直線形状とで構成する切り込みが施されており、前記曲線形状は、一方の端部が前記切取線側に位置し、他方の端部が前記切断刃側に位置し、両端部の間に存在する湾曲した部分が前記開封片の開封を開始する側とは反対側に位置するように施されており、前記直線形状は、一方の端部が前記曲線形状の前記他方の端部と接続し、他方の端部が前記開封片の開封を開始する側に位置するように施されており、
前記切り込みが施された内側の領域が少なくとも前記玉抜部と接着剤を介して接着されていることを特徴とする。
【0022】
<ブランクシート>
本発明にかかるブランクシートは、
上記記載の包装用容器の構造を形成するためのブランクシートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、開封片の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片を開封させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の包装用容器1の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の包装用容器1の断面構成例を示す図である。
【図3】切り込み31の構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の包装用容器1の概略展開図を示す図である。
【図5】包装用容器1を構成する際の製造工程を説明するための図である。
【図6】第2の実施形態の包装用容器1の外観を示す斜視図である。
【図7】切り込み41,41aの構成例を示す図である。
【図8】本発明と関連する包装用容器101の外観を示す斜視図である。
【図9】図8に示す包装用容器101の断面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本実施形態の包装用容器1の概要>
まず、図1、図3(a)を参照しながら、本実施形態の包装用容器1の概要について説明する。図1は、本実施形態の包装用容器1の外観を示す図であり、図3(a)は、切り込み31の構成例を示す図である。
【0026】
本実施形態の包装用容器1は、心材に巻回された包装媒体Rを収納する容器本体2と、容器本体2の開口部を被包する容器蓋3と、容器本体2の本体底面板12に設けられ包装媒体Rを切断する切断刃8と、を有し、容器蓋3は、容器本体2の一頂縁iに連接し、一頂縁iを軸として容器本体2に対して回動可能な構造の包装用容器1である。
【0027】
本実施形態の容器蓋3は、包装用容器1の開封部となる開封片5と切取線4を介して連接し、開封片5により容器本体2の本体前面板11の玉抜部30と接着している。
【0028】
また、本実施形態の開封片5は、図3(a)に示すように、曲線形状310と直線形状311とで構成する切り込み31が施されており、その切り込み31を構成する曲線形状310は、一方の端部aが切取線4側(図示せず)に位置し、他方の端部bが切断刃8側(図示せず)に位置し、その両端部の間に存在する湾曲した部分が開封片5(図示せず)の開封を開始する側とは反対側に位置するように施されている。また、直線形状311は、一方の端部bが曲線形状310の他方の端部bと接続し、他方の端部cが開封片5(図示せず)の開封を開始する側に位置するように施されている。そして、その切り込み31が施された内側の領域が少なくとも玉抜部30と接着剤を介して接着されている。
【0029】
本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す曲線形状310と直線形状311とで構成する切り込み31が開封片5に施されており、その切り込み31が施された内側の領域が少なくとも玉抜部30と接着剤を介して接着されているため、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片5が玉抜部30と剥がれることがないため、開封片5を開封させないようにすることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における包装用容器1について詳細に説明する。
【0030】
<包装用容器1の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の包装用容器1の構成例について説明する。図1は、本実施形態の包装用容器1の外観斜視図であり、開封のために開封片5の一部が切り離された状態を示している。
【0031】
本実施形態の包装用容器1は、図1に示すように、ラップフィルム等の包装媒体を収容する容器本体2と、当該容器本体2と連接した容器蓋3と、を有して構成している。
【0032】
本実施形態の包装用容器1は、例えば、厚紙、ボール紙などの紙素材により形成することが可能である。また、包装用容器1は、複数枚、または、1枚の紙素材から形成することも可能である。また、本実施形態の包装用容器1を構成する容器本体2は、少なくとも、1度折り曲げても元に戻ろうとする復元性を有していることが好ましい。
【0033】
容器本体2は、矩形の本体底面板12と、この本体底面板12の各長縁部から垂直上方に延びる本体前面板11及び本体後面板13と、本体底面板12の各短縁部から垂直上方に延び且つ本体前面板11及び本体後面板13の対向端部間を連結する本体側面板15,15'と、を有している。容器本体2の上部は、容器本体2に収容された包装媒体(図示せず)を引き出すための開口部として開放されている。
【0034】
本体底面板12には、包装媒体(図示せず)を切断するための鋸刃状の切断刃8が設けられている。切断刃8は、図1、図2に示すように、本体前面板11から1〜2mm程度だけ前方に突出するように設けられる。図2は、図1に示す包装用容器1の断面構成例を示す。本体底面板12に設けられる切断刃8の形状は特に限定せず、あらゆる形状で構成することが可能である。また、切断刃8の刃の種類としては、材質が金属、プラスチック、紙、バルカナイズド硬化紙等で、その端縁を、鋸刃状に加工したもの、砥粒を塗布加工したもの、或いは、両者の加工を併用したものが適用可能である。また、切断刃8の配備方法としては、切断刃8を本体底面板12の適所に対しカシメ具や接着剤などで固定する方法などを採用することが可能である。
【0035】
本体前面板11の表面には、ハーフカットが施された円形状や楕円形状の玉抜部30が等間隔または非等間隔で設けられており、その玉抜部30と開封片5とを接着剤等で接着し、開封片5が本体前面板11の表面に接着される。このため、開封片5を切取線4に沿って切り離すと、ハーフカットが施された玉抜部30の部分が本体前面板11から層間剥離し、その層間剥離した玉抜部30が開封片5側に接着した状態で開封片5を本体前面板11から剥がすことになる。なお、本体前面板11の長手方向の両端の玉抜部30aは、楕円形状で構成し、開封片5と本体前面板11との接着領域を多くし、接着強度を高めている。但し、本体前面板11の長手方向の両端の玉抜部30aは、楕円形状ではなく、円形状で構成することも可能である。
【0036】
容器蓋3は、容器本体2の一方の本体後面板13の頂縁部から連続して延び且つ容器本体2の開口部を実質的に覆う矩形の蓋体蓋板21と、この蓋体蓋板21の前側の長縁部から垂直に延びた掩蓋片6と、を有している。
【0037】
掩蓋片6には、包装用容器1を使用する際に切除する開封片5が切取線4を介して連接している。開封片5は、本体前面板11から突出する切断刃8を隠蔽するように本体底面板12から2mm程度だけ前方に突出して本体前面板11に設けられる。このため、本体前面板11と開封片5との間に空間が形成されている。
【0038】
また、開封片5には、切り込み31が複数施されており、その複数の切り込み31が施された内側の領域が少なくとも本体前面板11に設けられた玉抜部30と接着している。なお、切り込み31は、玉抜部30の外形形状と同じ形状であっても、小さい形状であっても良いが、玉抜部30の外形形状よりも少し大きい形状で施されていることが好ましい。これにより、玉抜部30との接着領域を多く確保することができる。
【0039】
本実施形態の包装用容器1は、開封片5に切り込み31が施されていることで、その切り込み31が施された内側の領域を本体前面板11側に近づけることができる。このため、開封片5と本体前面板11との間に空間がある場合でも、開封片5と本体前面板11とを接着することができる。
【0040】
本実施形態の切り込み31は、図3(a)に示すように、曲線形状310と直線形状311とで構成する。曲線形状310は、一方の端部aが切取線4側(図示せず)に位置し、他方の端部bが切断刃8側(図示せず)に位置し、その両端部a,bの間に存在する湾曲した部分が開封片5(図示せず)の開封を開始する側とは反対側に位置するように施されている。また、直線形状311は、一方の端部bが曲線形状310の他方の端部bと接続し、他方の端部cが開封片5(図示せず)の開封を開始する側に位置するように施されている。
【0041】
本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す曲線形状310と直線形状311とで構成する切り込み31を開封片5に施し、その切り込み31の内側の領域と玉抜部30とを接着剤を介して接着している。これにより、意図しない力が開封片5の先端に加わった場合に、切り込み31の外側の領域のみがその力の影響を受け、切り込み31の内側の領域(玉抜部30と接着した領域)が力の影響を極力受けないようにすることができる。その結果、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも、その意図しない力の影響を切り込み31の外側の領域のみが受け、玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。
【0042】
例えば、図2に示すα方向から開封片5の先端に意図しない力が加わったとする。この場合、本実施形態の包装用容器1は、切り込み31の外側の領域のみがその力の影響を受け、切り込み31の外側の領域の開封片5がα方向に持ち上がり、切り込み31の内側の領域がその力の影響を極力受けないようにすることができる。その結果、開封片5の先端にα方向から意図しない力が加わった場合でも、その意図しない力の影響を切り込み31の外側の領域のみが受け、玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。
【0043】
また、図3(a)に示す切り込み31は、開封片5の開封を開始する側とは反対側のみに曲線形状を構成し、開封片5の開封を開始する側には曲線形状を構成していないため、切り込み31の一方の端部cと切取線4(図示せず)との間の距離が長く、開封片5に所定の強度を保たせることができる。その結果、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に、切り込み31と切取線4との間が破断するのを防止することができる。また、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に開封片5に加わる力が切り込み31の内側の領域にも加わるため、玉抜部30が層間剥離し易く、開封片5を本体前面板11から簡単に剥がすことができる。
【0044】
例えば、図3(b)に示す切り込み201を開封片5に施したと仮定する。図3(b)に示す切り込み201は、曲線形状(半円形状)のみで構成し、切断刃8側に直線形状がないため、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合は、切り込み201の外側の領域だけでなく、切り込み201の内側の領域も力の影響を受けることになり、玉抜部30が層間剥離し易くなっている。これに対し、本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す切り込み31を開封片5に施しているため、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合に、切り込み31の外側の領域のみがその力の影響を受け、切り込み31の内側の領域(玉抜部30と接着した領域)がその力の影響を受けないようにし、玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。
【0045】
また、図3(c)に示す切り込み31'を開封片5に施したと仮定する。図3(c)に示す切り込み31'は、開封片5の開封を開始する側にも曲線形状312'を構成しているため、切り込み31'の一方の端部dと切取線4(図示せず)との間の距離が短く、開封片5に所定の強度を保たせることができない場合がある。また、図3(c)に示す切り込み31'は、開封片5の開封を開始する側に切取線4(図示せず)に対して垂直に施されている曲線形状312'が存在するため、切り込み31'に加わった力が曲線形状312'を介して切取線4側に伝わり易くなっている。その結果、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に、切り込み31'と切取線4との間が破断してしまうおそれがある。また、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に開封片5に加わる力が切り込み31'の内側の領域に加わり難いため、玉抜部30が層間剥離し難く、開封片5を本体前面板11から剥がし難い。これに対し、本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す切り込み31を開封片5に施しているため、切り込み31の一方の端部cと切取線4(図示せず)との間の距離が長く、開封片5に所定の強度を保たせることができる。また、図3(a)に示す切り込みは、開封片5の開封を開始する側に切取線4(図示せず)に対して垂直に施されている部分がないため、切り込み31に加わった力が切取線4側に伝わり難くなっている。その結果、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に、切り込み31と切取線4との間が破断するのを防止することができる。また、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に開封片5に加わる力が切り込み31の内側の領域にも加わるため、玉抜部30が層間剥離し易く、開封片5を本体前面板11から簡単に剥がすことができる。
【0046】
<包装用容器1の展開図>
次に、図4を参照しながら、本実施形態の包装用容器1の概略展開図について説明する。なお、図4は、図1に示す包装用容器1を展開したものであり、包装用容器1の表面側の構成例を示す。
【0047】
本実施形態における包装用容器1は、包装媒体を収納する容器本体2の部分と、容器本体2の開口部を被包する容器蓋3の部分と、で構成している。
【0048】
<容器本体:2>
容器本体2の部分は、本体前面板11と、本体底面板12と、本体後面板13と、が順次、折線a、bを介して連接している。本実施形態の包装用容器1は、本体底面板12の表面に切断刃8が設けられており、その切断刃8は、本体前面板11から1〜2mm程度だけ前方に突出して設けられるため、図4に示す折線aは、切断刃8により覆われている。また、本体前面板11の表面に玉抜部30,30aが設けられている。本体前面板11の両端の玉抜部30aは、楕円形状で構成し、その他の玉抜部30は、円形状で構成する。
【0049】
また、本体前面板11の両側辺には、第1の折込片14、14'がそれぞれ折線c、c'を介して連接している。
【0050】
また、本体底面板12の両側辺には、本体側面板15、15'がそれぞれ折線d、d'を介して連接している。また、本体側面板15、15'の両側辺には、本体側面板15、15'の裏面側に折り返し可能な第3の折込片17、17'が折線m、m'を介して連接している。折線m、m'の両端部には切込10、10'が施されており、第3の折込片17、17'が折線m、m'を介して本体側面板15、15'の裏面側に容易に折り返し可能な構造にしている。
【0051】
また、本体後面板13の両側辺には、第2の折込片16、16'がそれぞれ折線e、e'を介して連接している。
【0052】
<容器蓋:3>
容器蓋3の部分は、蓋体蓋板21が本体後面板13に折線iを介して連接している。
【0053】
また、蓋体蓋板21には、掩蓋片6が折線jを介して連接している。
【0054】
また、掩蓋片6には、開封片5が切取線4で区画されている。
【0055】
本実施形態の開封片5は、切り込み31が複数施されており、その切り込み31が施された内側の領域で少なくとも玉抜部30と接着剤等により接着するようにしている。
【0056】
<包装用容器1の製造工程>
次に、図4、図5を参照しながら、図4に示す板紙製のブランクシートを組み立てて、図1に示すような包装用容器1を構成するまでの製造工程について説明する。図5は、包装用容器1を構成する際の製造工程を説明するための図である。なお、以下に説明する製造工程は一例であり、本実施形態の包装用容器1を構成することが可能であれば、当業者が適宜修正、変更を加え、様々な製造工程を適用することが可能であることは言うまでもない。
【0057】
本実施形態の包装用容器1を構成する製造工程の概略としては、打抜機を用いてボール紙(例えば、坪量400〜550g/m)を所定の形状に打ち抜き、メタルエッジャー機を用いて所定の箇所に切断刃8を取り付け、図4に示す板紙製のブランクシートを形成する。そして、サックマシンを用いて図4に示す板紙製のブランクシートの必要な箇所(玉抜部30と接着する切り込み31の内側部分の領域など)に接着剤を塗布し、図4に示す折線b,jに沿って折り曲げ、玉抜部30と切り込み31の内側の領域とを貼り付け、本体前面板11と開封片5とを貼り付け、図5(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器1を作製し、その後、図5(b)に示す状態時の包装用容器1の中に、ロール状に巻回された包装媒体Rを収納し、図5(c)に示す状態の包装用容器1を構成する。
【0058】
まず、図4に示す本体底面板12を折線bに沿って折り曲げ、更に、掩蓋片6を折線jに沿って折り曲げ、掩蓋片6を本体前面板11の上に重ね、掩蓋片6の開封片5と、本体前面板11と、を貼り合せる。
【0059】
本実施形態では、開封片5に設けられた切り込み31の内側部分を少なくとも本体前面板11の玉抜部30に接着剤で貼り付け、玉抜部30以外の部分は非接着状態とし、封止能力の調整を図っている。なお、玉抜部30と切り込み31の内側部分とを重ね合わせて貼り付ける際の方法としては、例えば、玉抜部30以外の本体前面板11の表面に接着防止用の剥離OPニスを塗布し、開封片5の裏面に対し、切り込み31の内側部分の領域に接着剤を塗布する方法がある。また、玉抜部30以外の本体前面板11の表面に接着防止用の剥離OPニスを塗布し、本体前面板11の表面の剥離OPニスを塗布していない玉抜部30のみに対して接着剤を塗布する方法がある。これにより、本体前面板11の表面に剥離OPニスが塗布されていない玉抜部30の領域と、開封片5の裏面に接着剤が塗布された切り込み31の内側の領域と、が接着し、切り込み31が施された内側の領域のみを本体前面板11の玉抜部30に接着剤で貼り付けることができる。その結果、図4に示す板紙製のブランクシートを折り畳んだ図5(a)に示す状態の包装用容器1を構成することができる。
【0060】
本実施形態の包装用容器1は、図5(a)に示す状態で、保管、搬送等を行う。本実施形態の包装用容器1は、図5(a)に示すように、開封片5に施した切り込み31の内側の領域のみを本体前面板11の玉抜部30に貼り付け、切り込み31の内側以外の領域は非接着状態とし、封止能力の調整を図っている。また、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合は、切り込み31の外側の領域のみが力の影響を受け、切り込み31の内側の領域は力の影響を極力受けないようにし、玉抜部30が層間剥離しないようにしている。このため、流通過程、例えば、搬送中に開封片5の一部が開封し、容器蓋3が開かないようにすることができる。
【0061】
次に、図5(a)に示す状態に折り畳んだ包装用容器1に対し、包装媒体Rを収納する。
【0062】
この場合、まず、図5(a)に示す状態に折り畳まれた包装用容器1を起こし、図5(b)に示すように、包装用容器1を四角柱形状に構成し、図5(c)に示すように、一方の側面の開口部から包装媒体Rを挿入する。
【0063】
なお、図5(c)に示すように、包装媒体Rを包装用容器1内に挿入した後は、包装用容器1の両側面を構成する各部(14,14',15,15',16,16'17,17')を折り曲げ、図1に示す包装用容器1を構成することになる。これにより、包装媒体Rを収容した包装用容器1を構成することができる。
【0064】
なお、上記方法では、容器本体2に包装媒体Rを挿入した後に、包装用容器1の両側面を形成することにした。しかし、例えば、一方の側面を形成した後に、容器本体2に包装媒体Rを挿入し、もう一方の側面を形成するように構築することも可能である。
【0065】
なお、上述した製造工程で形成された包装用容器1を使用する際は、図1に示すように、掩蓋片6の開封片5を切取線4に沿って切除する。そして、容器蓋3を開き、容器本体2に収容された包装媒体(図示せず)の先端部を摘んで所望の長さだけ引き出し、その引き出した包装媒体(図示せず)を切断刃8で切断する。
【0066】
<本実施形態の包装用容器1の作用・効果>
このように、本実施形態の包装用容器1は、図3(a)に示す曲線形状310と直線形状311とで構成する切り込み31が開封片5に施されており、その切り込み31が施された内側の領域が少なくとも玉抜部30と接着剤を介して接着されているため、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。その結果、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片5が玉抜部30と剥がれることがないため、開封片5を開封させないようにすることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0068】
第1の実施形態の包装用容器1は、図1に示す形状の切り込み31を開封片5に設けることにした。しかし、切り込み31の形状は、図1に示す形状に限定するものではなく、例えば、図6に示す形状の切り込み41,41aを開封片5に設けることも可能である。この図6に示す形状の切り込み41,41aを開封片5に設けた場合も、第1の実施形態と同様に、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。以下、図6、図7を参照しながら、本実施形態の包装用容器1について詳細に説明する。
【0069】
第2の実施形態の包装用容器1は、図6に示す形状の切り込み41,41aを開封片5に設けている。図6に示す切り込み41は、図7(a)に示すように、曲線形状410と直線形状411とで構成し、直線形状411の端部cが第1の水平線300aと第2の水平線300bとの間に位置するようにしている。第1の水平線300aは、曲線形状410の一方の端部aから開封片5(図示せず)に沿って水平に伸ばした線であり、第2の水平線300bは、曲線形状410の他方の端部bから開封片5(図示せず)に沿って水平に伸ばした線である。また、図6に示す切り込み41aは、開封片5の両端に設けられており、図7(b)に示すように、曲線形状410と第1の直線形状412と第2の直線形状411とで構成し、第1の直線形状412が第2の水平線300b上に位置し、第2の直線形状411の端部dが第1の水平線300aと第2の水平線300bとの間に位置するようにしている。図6(a)に示す切り込み41は、その切り込み41と重なる玉抜部30の形状が円形状であるため、曲線形状410と1つの直線形状411とで構成している。また、図6(b)に示す切り込み41aは、その切り込み41aと重なる玉抜部30aの形状が楕円形状であるため、曲線形状410と2つの直線形状411,412とで構成している。第1の直線形状412の長さは、玉抜部30aの楕円形状に応じた長さにすることが好ましい。
【0070】
本実施形態の包装用容器1は、図7(a)、(b)に示す切り込み41,41aを開封片5に設けることで、第1の実施形態と同様に、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも玉抜部30が層間剥離しないようにすることができる。なお、切り込み41,41aの端部c,dと切取線4との間の距離を長くするために、切り込み41,41aの端部c,dは、第1の水平線300aと第2の水平線300bとの中間の位置より第2の水平線300b側に位置するようにすることが好ましい。これにより、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に、切り込み41,41aと切取線4との間が破断するのを防止することができる。また、開封片5を本体前面板11から引き剥がす際に開封片5に加わる力が切り込み41,41aの内側の領域にも加わるため、玉抜部30が層間剥離し易く、開封片5を本体前面板11から簡単に剥がすことができる。
【0071】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が上記実施形態の修正や代用を行い、種々の変更を施した形態を構築することが可能である。
【0072】
例えば、上述した包装用容器1は、開封片5と本体前面板11とがハーフカットが施された玉抜部30で接着した構造を例に説明した。しかし、本実施形態の技術思想は、開封片5と本体前面板11とがハーフカットが施されていない玉抜部30で接着した構造の包装用容器にも適用可能である。この場合も、例えば、図3(a)に示す曲線形状310と直線形状311とで構成する切り込み31を開封片5に施すことで、その切り込み31が施された内側の領域が少なくとも玉抜部30と接着剤を介して接着することになるため、開封片5の先端に意図しない力が加わった場合でも開封片5が玉抜部30と剥がれることがなく、開封片5を開封させないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ロール状に巻回された包装媒体、例えば、ラップフィルムに代表される樹脂製フィルムや紙、アルミホイル等を包装するための容器に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 包装用容器
2 容器本体
3 容器蓋
4 切取線
5 開封片
6 掩蓋片
8 切断刃
11 本体前面板
12 本体底面板
13 本体後面板
14、14' 第1の折込片
15、15' 本体側面板
16、16' 第2の折込片
17、17' 第3の折込片
21 蓋体蓋板
30、30a 玉抜部
31、41 切り込み
310、410 曲線形状
311、411、412 直線形状
R 包装媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心材に巻回された包装媒体を収納する容器本体と、前記容器本体の開口部を被包する容器蓋と、前記容器本体の底面板に設けられ前記包装媒体を切断する切断刃と、を有し、前記容器蓋は、前記容器本体の一頂縁に連接し、前記一頂縁を軸として前記容器本体に対して回動可能な構造の包装用容器であって、
前記容器蓋は、前記包装用容器の開封部となる開封片と切取線を介して連接し、前記開封片により前記容器本体の前面板の玉抜部と接着しており、
前記開封片は、曲線形状と直線形状とで構成する切り込みが施されており、前記曲線形状は、一方の端部が前記切取線側に位置し、他方の端部が前記切断刃側に位置し、両端部の間に存在する湾曲した部分が前記開封片の開封を開始する側とは反対側に位置するように施されており、前記直線形状は、一方の端部が前記曲線形状の前記他方の端部と接続し、他方の端部が前記開封片の開封を開始する側に位置するように施されており、
前記切り込みが施された内側の領域が少なくとも前記玉抜部と接着剤を介して接着されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記直線形状の他方の端部は、前記曲線形状の一方の端部から前記開封片に沿って水平に伸ばした第1の水平線と、前記曲線形状の他方の端部から前記開封片に沿って水平に伸ばした第2の水平線と、の間に位置することを特徴とする、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記開封片の両端に施される前記切り込みを構成する前記直線形状は、第1の直線形状と第2の直線形状とを有し、
前記第1の直線形状は、一方の端部が前記曲線形状の前記他方の端部と接続し、他方の端部が前記第2の水平線上に位置し、前記第2の直線形状は、一方の端部が前記第1の直線形状の前記他方の端部と接続し、他方の端部が前記第1の水平線と前記第2の水平線との間に位置することを特徴とする、請求項2記載の包装用容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかの請求項に記載の包装用容器の構造を形成するためのブランクシート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−214250(P2012−214250A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82236(P2011−82236)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】