包装研磨物品およびその製造方法
物品には、0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する自立壁を含む包装材料が含まれる。この包装材料は、閉鎖体積を画定する。物品はさらに、閉鎖体積の内部に配置されたボンド研磨物品を含む。ボンド研磨物品は、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含む。ポリマーマトリックスは、吸湿性材料を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に包装研磨物品およびこのような包装研磨物品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨物品は、さまざまな業界において、切断、ラップ仕上げ、研削または艶出しによって工作物を機械加工する目的で使用されている。機械加工のための研磨物品の使用は、建設から造船、鋳造から鉄道、さらには日曜大工の利用分野に至るまで幅広い産業領域にまたがっている。詳細には、鋼、ステンレス鋼およびアルミニウムなどの金属;ポリ塩化ビニルその他のプラスチック;複合材;木材;およびセラミックを切断するために、薄型研削ホイールを使用することができる。例えば、薄型研磨ホイールを使用してI形梁、パイプまたはタイルを切断することができる。
【0003】
しかしながら、数多くのボンド研磨システムには、経時的な性能の劣化という欠点がある。薄型ホイール切断システムの場合、劣化には、薄型ホイールの形をした研磨剤が摩耗し切る前に達成可能な切断量の低減が含まれる。さらに、劣化には、研磨物品の摩耗速度の上昇または工作物上の研削速度の低下が含まれる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良型の包装研磨物品システムが望ましいと考えられる。
【0005】
本開示は、添付図面を参照することによってより良く理解され、その数多くの特徴および利点が当業者にとって明らかなものとなるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】例示的な包装研磨物品の図である。
【図2】例示的なシート材料の図である。
【図3】例示的な包装物品の図である。
【図4】例示的な壁材料の図である。
【図5】研磨物品を包装するための例示的方法の流れ図である。
【図6】研磨物品を包装するための例示的方法の流れ図である。
【図7】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図8】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図9】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図10】異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図11】異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図12】乾燥剤の存在下での異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図13】乾燥剤の存在下での異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【0007】
異なる図面中の同じ参照番号の使用は、類似のまたは同一の品目を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的実施形態において、包装研磨物品には、閉鎖空間を画定する包装と閉鎖空間内に配置された1つ以上の研磨物品とが含まれる。研磨物品は、ポリマーマトリックス中に埋込まれた砥粒を含む。ポリマーマトリックスは吸湿性であり得る。包装は、2g/m2・日以下、例えば0.015g/m2・日以下の水蒸気移動速度(WVTR)を有する。一実施例において、包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)は、0.001g/m2・日〜0.015g/m2・日の範囲内にあり得る。別の実施例において、包装材料は、0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度(WVTR)を有する。さらなる実施例において、包装材料はシート材料を含み得る。あるいは、包装材料は、自立型材料、例えば支持材料およびバリア材料で形成された材料を含む。
【0009】
さらなる実施例において、包装された研磨剤システムの調製方法には、包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)を決定するステップと、評定システムに付随する条件を確立するステップと、評定システムに付随する評定基準に達するために包装内に使用すべき乾燥剤の量を決定するステップとが含まれる。例えば、評定基準に達するために包装内部に含み入れるべき乾燥剤の量を決定するシミュレーション装置に、水蒸気移動速度および評定システムに付随する条件を適用することができる。
【0010】
図1に示されている実施形態において、包装研磨物品100は、シート材料102を含み、研磨物品104が内部に配置される閉鎖空間110を画定している。図示されている通り、研磨物品104は、真空封止可能な小袋中に封入されている。あるいは、ボール紙インサートまたは剛性ポリマーインサートなどのインサートを小袋内に具備するかまたは小袋の一方の側に形成することが可能である。特定の一実施例において、包装研磨物品100は、例えば締結用構造を用いて開放後に再度封止するように構成することができる。研磨物品104は手持式工具、詳細には研磨物品104を中心軸を中心として回転させる工具上で有用であり得る。図1において、研磨物品104は、薄型切断ホイールとして示されている。
【0011】
一実施例において、研磨物品104は、無機樹脂系などの結合剤系により結合された砥粒で形成される。例示的砥粒としては、シリカ、アルミナ(溶融アルミナまたは焼結アルミナ)、ジルコニア、ジルコニア/アルミナ酸化物、炭化ケイ素、ガーネット、ダイヤモンド、立方晶窒素ホウ素、窒化ケイ素、セリア、二酸化チタン、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、酸化錫、酸化タングステン、炭化チタン、酸化鉄、クロミア、フリント、金剛砂またはその任意の組合せを含めた砥粒の任意のものまたは任意の組合せが含まれる。一実施例において、砥粒は、シード添加したまたはシード無しのゾルゲルアルミナまたはAl2O3−ZrO2からなる研磨剤部類群から選択された少なくとも1つのタイプの一次砥粒を含む。使用可能なシード添加されたまたはシード無しのゾルゲルアルミナ部類由来の砥粒の網羅的でないリストとしては、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives Inc.から市販されている、SG粒子またはNQ粒子、St.Paul、MNの3M Corporationから市販されている3M321 Cubitron粒または3M324 Cubitron粒、またはその組合せが含まれる。使用可能なAl2O3−ZrO2部類由来の砥粒の非網羅的リストとしては、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives、Inc.から市販されているNZ Plus粒子、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives、Inc.から市販されているZF粒子またはZS粒子、Toronto、Ontario CAのTreibacher Industry、Inc.から市販されているZK40粒子またはZZK40粒子、あるいはMontreal、Quebec CAのAlcan、Inc.から市販されているZR25B粒子またはZR25R粒子が含まれる。一実施例において、一次砥粒の量は、砥粒の総量の約0体積パーセント〜約100体積パーセントを構成する。
【0012】
一実施形態において、少なくとも1つのタイプの二次砥粒を一次砥粒と配合して、コストまたは性能要件のいずれかを達成することができる。二次砥粒は、セラミック酸化物(例えばコーティングされたまたはコーティング無しの溶融Al2O3、単結晶Al2O3)、鉱物(例えばガーネットおよび金剛砂)、窒化物(例えばSi3N4、AlN)および炭化物(例えばSiC)からなる群から選択され得る。一実施例において、二次砥粒の量は、砥粒の総量の約100〜約0体積パーセントの範囲内または残分であり得る。
【0013】
例示的結合剤系としては、1つ以上の有機樹脂、例えばフェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せが含まれる。
【0014】
使用可能な樹脂の非限定的な具体例としては以下のものが含まれる:Prefereという商標名でDynea Oy、Finlandにより販売され、8522G、8528G、8680Gおよび8723Gのカタログ/製品番号で入手可能な樹脂;Rutaphen(登録商標)という商標名でHexion Specialty Chemicals、OHにより販売され、9507P、8686SPおよびSP223のカタログ/製品番号で入手可能な樹脂;29344、29346および29722のカタログ/製品番号で、旧Durez Corporation、TX、現住友により販売されている樹脂。一実施例において、ボンド材料は乾燥樹脂材料を含む。
【0015】
例示的フェノール樹脂としては、レゾールおよびノボラックが含まれる。レゾールフェノール樹脂は、アルカリ系触媒作用を受け、1:1〜3:1などの1以上のホルルアルデヒド対フェノール比を有することができる。ノボラックフェノール樹脂は、酸触媒作用を受け、0.5:1〜0.8:1などの1未満のホルムアルデヒド対フェノール比を有することができる。
【0016】
エポキシ樹脂は、芳香族エポキシまたは脂肪族エポキシを含み得る。芳香族エポキシ構成成分には、1つ以上のエポキシ基と1つ以上の芳香族環が含まれる。芳香族エポキシの一例としては、ポリフェノールから、例えばビスフェノール、例えばビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF(ビス[4−ヒドロキシフェニル]メタン)、ビスフェノールS(4,4’−スルホニルジフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビスジフェノール、4,4’−ビフェノール、または4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノールから誘導されたエポキシが含まれる。ビスフェノールはアルコキシル化(例えばエトキシル化またはプロポキシル化)またはハロゲン化(例えば臭素化)され得る。ビスフェノールエポキシの例としてはビスフェノールジグリシジルエーテル類、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルが含まれる。芳香族エポキシのさらなる例としては、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル、またはモノフェノールから、例えばレゾルシノール(例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル)またはヒドロキノン(例えば、ヒドロキノンジグリシジルエーテル)から誘導された芳香族エポキシが含まれる。別の例は、ノニルフェニルグリシジルエーテルである。さらに、芳香族エポキシの一例として、エポキシノボラック、例えば、フェノールエポキシノボラックおよびクレゾールエポキシノボラックが含まれる。脂肪族エポキシ構成成分は、1つ以上のエポキシ基を有し、芳香族環を含まない。外部相は、1つ以上の脂肪族エポキシを含むことかできる。脂肪族エポキシの一例としては、C2−C30アルキルのグリシジルエーテル;C3−C30アルキルの1,2エポキシ;脂肪族アルコールまたポリオールのモノまたはマルチグリシジルエーテル、例えば1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリセロールおよびアルキル化脂肪族アルコール類;またはポリオール類が含まれる。一実施形態において、脂肪族エポキシは、1つ以上の脂環式環構造を含む。例えば脂環式エポキシは、1つ以上のシクロヘキセンオキシド構造、例えば2つのシクロヘキセンオキシド構造を有し得る。環構造を含む脂肪族エポキシの例としては、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサンが含まれる。
【0017】
例示的多機能性アクリル樹脂としては、トリメチロールプロパン トリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、メタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビタールヘキサアクリレート、またはその任意の組合せが含まれる可能性がある。別の例において、アクリルポリマーは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、グリシジル基または1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を有するモノマーで形成され得る。代表的アクリルポリマーには、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリグリシジルアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレートおよびその混合物が含まれる。
【0018】
触媒作用物質およびポリマーのタイプに応じて、結合剤系は熱硬化可能であり得、または結合剤系を形成するための紫外線などの化学線を通して硬化可能であり得る。
【0019】
結合剤系は同様に触媒および開始剤も含み得る。例えば、カチオン開始剤は、カチオン重合性成分間の反応の触媒として作用し得る。ラジカル開始剤は、ラジカル重合性成分の遊離ラジカル重合を活性化させることができる。開始剤は、熱エネルギーまたは化学線により活性化され得る。例えば、開始剤は、化学線に曝露された場合にカチオン重合反応の触媒として作用するカチオン光開始剤を含み得る。別の例において、開始剤は、化学線に曝露された場合に遊離ラジカル重合を開始させるラジカル光開始剤を含み得る。化学線は、微粒子放射線と非微粒子放射線を含み、電子ビーム放射線および電磁放射線を含むよう意図されている。特定の一実施形態において、電磁放射線は、約100nm〜約700nmの範囲内の少なくとも1つの波長、詳細には電磁スペクトルの紫外線範囲内の波長を有する放射線を含む。
【0020】
結合剤系は同様に、他の構成成分、例えば溶媒、可塑化剤、架橋剤、連鎖移動剤、安定剤、分散剤、硬化剤、反応メディエータおよび分散の流動性に影響を及ぼすための作用物質も含み得る。例えば、結合剤系は、同様に、ポリオール、ポリアミン、線状または分岐ポリグリコールエーテル、ポリエステルおよびポリラクトンからなる群から選択された1つ以上の連鎖移動剤をも含み得る。
【0021】
さらに、結合剤系は充填剤を含み得る。充填剤は、活性および/または不活性充填剤を含み得る。活性充填剤の非網羅的リストには、クライオライト、PAF、KBF4、K2SO4、硫酸バリウム、硫化物(FeS2、ZnS)、NaCl/KCl、低溶融金属酸化物、またはその組合せが含まれ得る。不活性充填剤の非網羅的リストには、CaO、CaCO3、Ca(OH)2、CaSiO3、カイヤナイト(Al2O3−SiO2の混合物)、サラン(ポリ塩化ビニリデン)、霞石閃長岩(Na、K)AlSiO4、木粉、ヤシ殻粉末、石粉、長石、カオリン、石英、シリカの他の形態、ガラス短繊維、石綿繊維、微小ガラス球、表面処理された微粒子(シリコンカーバイド、コランダムなど)、軽石、コルク粉およびその組合せが含まれ得る。好ましい実施形態においては、活性充填剤材料、例えばK3AlF6とKAlF4の混合物であるPAFを有機ボンド材料に添加して金属を腐食させ、ホイールと工作物の間の摩擦を削減することができる。
【0022】
特定の実施形態において、研磨物品104を形成するために用いられる研磨剤ミックスの調合は、以下のとおりであり得る。一実施形態において、ミックス中に存在する砥粒は、全ミックス(すなわち多孔を除く)の約30〜約70体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中に存在する砥粒は、全ミックス(すなわち多孔を除く)の約40〜約55体積パーセントの範囲内であり得る。一実施形態において、ミックス中の有機ボンド材料(例えば樹脂)は、全ミックスの約20〜約45体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中の有機ボンド材料(例えば樹脂)は、全ミックスの約25〜約40体積パーセントの範囲内であり得る。一実施形態において、ミックス中の活性充填剤材料の量(全ミックス中の量)は約0〜約25体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中の活性充填剤材料の量(全ミックス中の量)は約5〜約20体積パーセントの範囲内であり得る。残分は不活性充填剤である。
【0023】
詳細には無機樹脂系は、吸湿性であるかまたは吸湿性材料を含むことができる。このような吸湿性材料は、水が包装材料102を横断するにつれて、経時的にそれを吸収することができる。製品中の水分が一定レベルを超えた後、結合剤マトリックスのガラス転移温度は低下し、その結果、特に乾式研削/切断の利用分野について研削性能が劣化する。
【0024】
さらに、研磨物品104は、1つ以上の補強層を含み得る。補強層は、任意の数のさまざまな材料で製造可能である。例示的補強層としては、ポリマーフィルム(下塗りされたフィルムを含む)、例えばポリオレフィンフィルム(例えば二軸配向ポリプロピレンを含むポリプロピレン)、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート)またはポリアミドフィルム;セルロースエステルフィルム;金属ホイル;メッシュ;発泡材(例えば天然スポンジ材料またはポリウレタンフォーム);布(例えばグラスファイバー、ポリエステル、ナイロン、絹、木綿、ポリコットンまたはレーヨンを含む繊維またはヤーンで作られた布);紙;加硫紙;加硫ゴム;加硫繊維;不織材料;またはその任意の組合せまたはそれらの処理されたバージョンが含まれる。布の裏打ちは、製織されるかまたはステッチボンディングされ得る。特定の実施例において、補強層は、紙、ポリマーフィルム、布、木綿、ポリコットン、レーヨン、ポリエステル、ポリナイロン、加硫ゴム、加硫繊維、グラスファイバーファブリック、金属ホイルまたはその任意の組合せからなる群から選択される。他の実施例において、補強層は、ガラス繊維織物を含む。特定の実施例において、研磨物品104は、ポリマーマトリックス中で間に砥粒が結合されているさらに1つのグラスファイバー層を含む。例えば、研磨物品104は、Va、VaV、VaVa、またはVaVaVという構成を有することができ、ここで「V」は補強層であり、「a」は研磨剤/結合剤の混合物である。
【0025】
図示された例において、研磨物品104は、切断用途向けの薄型ホイール研磨物品などの薄型ホイール研磨物品の形をしている。例えば、研磨物品は、研磨物品104の軸に対して平行で半径方向の寸法に対して直交して定義された、0.8mm〜20mmの範囲内、例えば0.8mm〜15mmの範囲内、さらには0.8mm〜10mmの範囲内の厚みを有することができる。さらに、薄型ホイール研磨物品は50mm〜400mmの範囲内の直径、例えば75mm〜230mmの範囲内の直径、さらには75mm〜150mmの範囲内の直径を有することができる。さらに薄型ホイール研磨物品は、直径対厚みの比として定義される、5〜160の範囲内、例えば15〜160の範囲内、15〜150の範囲内、さらには20〜125の範囲内の所望の縦横比を有することができる。
【0026】
図1に戻ると、シート材料102は、単層構造として形成され得、または多重層を含むこともできる。例えば、図2に示されるように、シート材料の200に、バリア材料202そして任意には支持材料204を含むことができる。一実施例において、バリア層202は、金属層またはポリマー材料で形成され得る。例えば、金属は、アルミニウム、銅、ニッケルまたはその合金を含むことができる。例示的ポリマーには、ポリエステルが含まれる可能性がある。一実施例において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマーまたはその任意の組合せを含む。例示的液晶ポリマーとしては、芳香族ポリエステルポリマー、例えばXYDAR(登録商標)(Amoco)、VECTRA(登録商標)(Hoechst Celanese)、SUMIKOSUPER(商標)またはEKONOL(商標)(住友化学株式会社)、DuPont HX(商標)またはDuPont ZENITE(商標)(E.I.DuPont de Nemours)、RODRUN(商標)(ユニチカ株式会社)、GRANLAR(商標)(Grandmont)の商標名で入手可能なものあるいはその任意の組合せが含まれる。
【0027】
一実施例において、バリア層202は少なくとも1ミクロンの厚みを有することができる。例えば、厚みは少なくとも10ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、少なくとも125ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンであり得る。バリア材料がアルミニウムを含む特定の場合において、厚みは、少なくとも1ミクロンである。これとは対照的に、典型的な金属化ポリマーフィルムは、およそ200ナノメートル未満の金属層厚みを含む。単一のバリア層202が示されているが、シート材料200には、2つ以上のバリア層が含まれる可能性がある。
【0028】
任意には、シート材料200に支持層204が含まれる。支持層204は、バリア層202に構造的無欠性を提供でき、シート材料200の機械的特性を増強でき、あるいは、自らにボンディングするように作用してシールを形成することができる。一実施例において、支持層204は、熱可塑性材料例えばアクリル樹脂、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、またはその任意のコポリマー、配合物または組合せを含むことができる。例示的ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレンオクテンコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、ポリビニルブチラールまたはその任意の組合せが含まれる。例示的ポリエチレンには、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはその任意の組合せが含まれる。詳細には、熱可塑性材料は、閉鎖体積のまわりにシールを形成するよう所定の場所で溶融して相対するシート材料に対しボンディング可能な溶融接着剤であり得る。あるいは、溶融接着剤を、シールが形成すべき場所の近くに、例えばシート材料102の縁部に沿って設置することができる。
【0029】
図1に戻ると、シート材料102は、2.0g/m2・日以下の所望の水蒸気移動速度を有する。例えば水蒸気移動速度は、0.6g/m2・日以下、例えば0.2g/m2・日以下、0.015g/m2・日以下、さらには0.01g/m2・日以下であり得る。特定の実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内である。このような実施例において、包装は乾燥剤106を含むことができる。1つの代替的実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日以下、例えば0.0005g/m2・日以下であり、乾燥剤を含んでいてもいなくてもよい。
【0030】
閉鎖体積110は同様に乾燥剤106を含むこともできる。例示的乾燥剤106としては、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せが含まれる。一実施例において、金属にはアルカリ金属、例えばリチウム;アルカリ土類金属、例えばベリリウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウム;遷移金属、例えば鉄、マンガン、パラジウム、ジルコニウム、コバルト、銅、亜鉛、チタンまたはクロム;その他の金属、例えばアルミニウム;それらの合金、またはその任意の組合せが含まれる。例示的金属酸化物スカベンジャーとしては、上述の金属の脱水素化または部分脱水素化酸化物、例えば酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛またはその任意の組合せが含まれる。例示的金属ハロゲン化物は、上述の金属のハロゲン化物または過塩素酸塩を含むことができ、あるいは、例示的金属硫酸塩は上述の金属の硫酸塩例えば硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸銅またはその任意の組合せを含むことができる。別の無機スカベンジャーは、モンモリロナイト粘土、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、ボーキサイトまたはその任意の組合せを含むことができる。特定の一実施例において、乾燥剤106は、乾燥剤1gあたり少なくともH2O0.4gという容量、例えば乾燥剤1gあたりH2O0.4gの〜H2O2.0gの容量を有することができる。
【0031】
さらに、包装研磨物品100は、開封後再度封止可能であり得る。包装研磨物品100は、例えば開口部の近くに、包装研磨物品100を開閉するためにユーザーが操作できる締結具108を含むことができる。一実施例において、この締結具108は、ストリップファスナーなどの機械的締結具を含む。
【0032】
図3に示された別の実施形態において、包装研磨物品300には、研磨物品304が内部に配置される閉鎖空間312の縁部を画定する少なくとも1つの自立壁302が含まれる。包装研磨物品300は同様に底314も含むことができ、かつ蓋306を含むことができる。一実施例において、この底314は、壁302と同じ材料で形成され得る。あるいは、底314を壁302と異なる材料で形成することも可能である。底314は壁302と摩擦嵌めされ得る。別の実施例において、壁302は、ねじ構成を有することができる。さらなる実施例において、底314は、壁302と一体として形成され得、あるいは接着剤などによって壁302に接着され得る。
【0033】
蓋306は、摩擦嵌めにより壁302にしっかりと固定可能である。別の実施例において、ねじ蓋構成を用いて壁302に蓋306を、しっかり固定することができる。一実施例においては、蓋306を壁302と同様の材料で形成することができる。代替的実施例において、蓋306を壁302と異なる材料で形成することができる。
【0034】
壁302、蓋306および底314は、内部に研磨物品304が配置される閉鎖空間312を形成する。一実施例において、研磨物品304は、上述のような研磨物品、例えば薄型ホイール研磨物品である。さらに、閉鎖空間312内に乾燥剤310を配置することができる。例示的乾燥剤は、上述の乾燥剤の中から選択可能である。
【0035】
断面図で示される通り、壁302は、自立型材料308で形成される。自立型材料308とは、追加の支持体無しで単独で立つことのできる材料である。例えば自立型材料308は、断面図で見た場合に自立型材料308の頂部から底部まで延びる長手方向寸法からいずれの方向にも10%を超えて逸脱することなく単独で(すなわち外力無くその自重下で)立つことができる。
【0036】
特定の実施例において、材料308は図4に示されている通りの多層構造を有する。例えば、自立型材料400は支持材料402とバリア材料404を含むことができる。一実施例において、バリア材料404は金属層、ポリマー材料またはその任意の組合せを含む。例えば、金属は、アルミニウム、銅、ニッケルまたはその合金を含むことができる。例示的ポリマーには、ポリエステルが含まれる可能性がある。一実施例において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマーまたはその任意の組合せを含む。例示的液晶ポリマーとしては、芳香族ポリエステルポリマー、例えばXYDAR(登録商標)(Amoco)、VECTRA(登録商標)(Hoechst Celanese)、SUMIKOSUPER(商標)またはEKONOL(商標)(住友化学株式会社)、DuPont HX(商標)またはDuPont ZENITE(商標)(E.I.DuPont de Nemours)、RODRUN(商標)(ユニチカ株式会社)、GRANLAR(商標)(Grandmont)の商標名で入手可能なものあるいはその任意の組合せが含まれる。バリア材料404は単層として示されているが、2つ以上のバリア層が含まれる可能性がある。バリア材料404は、バリア層202に関連して上述した厚みを有することができる。
【0037】
バリア材料404は、ラミネート加工を介してまたは接着剤(図示せず)を用いて支持材料402にしっかり固定できる。例示的支持材料402としては、熱可塑性材料、硬化済みエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せが含まれる。例示的繊維質材料には、含浸ガラス繊維材料が含まれ得る。別の実施例において、繊維質材料にはパルプ材料例えば紙製品、ボール紙またはその任意の組合せが含まれる。別の実施例において、支持材料には、支持材料402の所望される自立特性を提供するような厚みの熱可塑性材料が含まれる。一実施例において、熱可塑性材料には、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリルポリマー、酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、そのコポリマーまたはその任意の組合せが含まれる。例えば、熱可塑性材料は、ポリオレフィン材料例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレンオクテンコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、またはその任意の組合せであり得る。例示的ポリエチレンには、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはその任意の組合せが含まれる。さらなる実施例において、支持材料402には硬化エラストマーが含まれる。例示的硬化エラストマーには、ジエンエラストマ例えばエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーが含まれる。
【0038】
図3に戻ると、壁302は所望の水蒸気移動速度例えば2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する。例えば、水蒸気移動速度は、0.6g/m2・日以下、例えば0.2g/m2・日以下、0.015g/m2・日以下、さらには0.01g/m2・日以下であり得る。特定の実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にある。このような実施例において、包装には乾燥剤310が含まれ得る。代替的実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日以下、例えば0.0005g/m2・日以下であり、乾燥剤を含んでいてもいなくてもよい。
【0039】
詳細には、出願人は、消費者が所望する製品品質を特に極限の環境条件下で満たすためには、市販の包装では不充分であるということを発見した。出願人は、市販の製品において報告された水蒸気移動速度でさえ、厳しい環境内で20%超の相対湿度を包装内部に導く可能性があるということを発見した。さらに、出願人らは、ボンド研磨物品のための湿度が低減された環境を提供することにより結果として、長期間にわたり不変の研削性能が得られる、ということを発見した。
【0040】
一実施例において、包装研磨物品の包装材料は、12週間にわたり40℃、相対湿度80%の外部条件について、以下で定義する通りの少なくとも0.7、例えば少なくとも0.8、少なくとも0.85、少なくとも0.9、さらには少なくとも0.95、例えばおよそ1.0の相対G比を提供することができる。
【0041】
図5に示されているように、包装研磨物品の調製方法500には、502に示されている包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップが含まれる。一実施例において、水蒸気移動速度(WVTR)は、ASTM F1249−01(Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor)を用いて決定可能である。あるいは、水蒸気移動速度(WVTR)を、包装材料の材料特性を用いて近似することができる。
【0042】
さらに、方法500は、504に示されている通り、評定条件を確立するステップを含む。一実施例において、評定システムは、テストすべき物品が付される評定条件を含み、かつ、曝露された物品の性能を比較するための評定基準を含む。特定の評定システムには、特定の温度および特定の外部相対湿度の条件下で規定期間中(例えば合計で、所望される保管寿命に等しい期間)、包装研磨物品をテストするステップが含まれる。例えば、評定条件は、25週間25℃の温度そして70%の相対湿度を含むことができる。別の実施例においては、25週間で温度は40℃、相対湿度は80%であり得る。代替的実施例において、複数の連続する期間内に適用すべき条件セットを規定することができる。例えば各々1時間〜8時間の長さの連続する時間的期間、例えば2〜8個の連続する期間について、20℃〜40℃の範囲内の温度および40%〜90%の範囲内の相対湿度を選択する条件セットを規定することができる。評定基準は、10〜30週間、10〜25週間の範囲さらには10〜20週間の範囲から選択された期間などの評定条件の時間的期間(例えば所望の保管寿命)にわたる包装の内部における上限の内部相対湿度または研磨物品内の上限の水分増加量などの上限量に関して表現され得る。例示的評定基準には、12週間にわたり20℃で50%以下の相対湿度(RH)、25週間にわたり20℃で50%以下の相対湿度、または25週間にわたり0.6wt%以下の水分増加が含まれる。
【0043】
評定条件および付随する条件がひとたび決定されたならば、506に示されている通りのパラメータセットを適用することができる。例えば包装の表面積、乾燥剤の容量、乾燥剤についての吸収速度定数、研磨物品の量、研磨物品についての容量と吸収速度、閉鎖空間の体積またはその任意の組合せを近似することができる。詳細には、乾燥剤または研磨物品の容量および吸収速度定数などのパラメータを実験により決定することができる。
【0044】
これらの因子の各々をシミュレーション装置に適用し、シミュレーション装置は、508に示されているように包装研磨物品内部に含み入れるべき乾燥剤の量を決定することができる。一実施例において、シミュレーション装置には、一組の方程式を解決するように構成された計算装置が含まれ、これらの方程式の1つは微分方程式を含み得る。詳細にはシミュレーション装置は、例えば数値手法を用いて微分方程式を積分するように構成されている。特定の一実施例において、シミュレーション装置は、乾燥剤の量を決定するために反復プロセスを実行することができる。例えば、シミュレーション装置は乾燥剤を増分的に加算し、積分して評定基準に達しているか否かを判定し、評定基準に達していない場合には乾燥剤の量を増分し、再び積分を行うことができる。
【0045】
例えば、図6の方法600で示されているように、方法600は、602で示されている包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)を決定するステップを含むことができる。例えば、特定のシート材料または自立型材料の水蒸気移動速度(WVTR)を、ASTM規格に準じて測定することができる。604で示されているように、一組の評定条件を選択することができる。例えば、評定条件には、温度、相対湿度および時間的期間が含まれ得る。評定基準は、包装内部の相対湿度の上限を含み得る。
【0046】
606で示されているように、包装材料に付随するパラメータが規定通りの評定を提供するのに適したものであるか否かを判定するためにシミュレーション装置を使用することができる。例えば、シミュレーション装置はパラメータにアクセスでき、提供された条件および水蒸気移動速度(WVTR)に基づき一組の関係を積分して、1組の評定基準と比較できる出力を提供することができる。特定の一実施例において、内部相対湿度の変化速度は、包装内への水蒸気移動速度の一関数である。水蒸気移動速度は、内部および外部の相対湿度の差に正比例する。さらに、内部相対湿度は、乾燥剤または研磨物品による水分吸収の一関数であり得る。乾燥剤または研磨物品による水分吸収速度は、内部相対湿度と正比例し、温度の一関数である。
【0047】
608に示されている通りに、評定が満たされているか否かが判定される。例えば、シミュレーション装置は、包装材料が、研磨物品内の相対湿度または水重量増加を一定の時間的期間にわたり規定量未満に限定するのに適したものであるか否かを判定できる。評定基準が満たされていない場合、610に示されているように、増分量の乾燥剤を包装材料に加えることができる。606および608に示されているように、シミュレーション装置は、研磨剤製品中の相対湿度(RH)または水分増加を評定条件に基づき再度決定し、相対湿度(RH)または水分増加を評定基準と比較することができる。このプロセスを、評定基準に達するまで反復することができる。評定基準に達した時点で、612に示される通り、反復プロセスを通して決定された乾燥剤の量を用いて、包装研磨剤製品を調製できる。
【0048】
特定の実施例において、研磨剤製品の相対湿度または水分増加などの包装内部の評定条件を、例えばシミュレーション装置内での数値手法を通して、積分される微分方程式として表現することができる。例えば、包装内の相対湿度の変化は、包装材料の透水性の結果としての水の流入量、研磨物品により吸収される水の量および存在する場合の乾燥剤が吸収する水の量の観点から表現可能である。一実施例において、研磨物品により吸収される水の量または乾燥剤により吸収される水の量は、時間の関数である包装内部の相対湿度に正比例する。外部条件および包装材料の所与のセットについて、シミュレーション装置は積分を行って評定条件が満たされているか否かを判定することができ、規定の評定条件が満たされていない場合には、乾燥剤の量を増加し、反復プロセスで再び積分を行って、規定の評定条件を満たすために有用な乾燥剤の量を決定することができる。
【実施例】
【0049】
実施例1
有機樹脂マトリックスおよび砥粒から異なる幾何形状で研磨物品を調製する。研磨剤製品は、金型内にボンドと研磨剤の混合物を展延させる常温(cold)または温間(warm)成形プロセスを用いて製造され、それに続いてプレス加工で成形し140℃〜220℃の典型的温度範囲でオーブン内で硬化させて有機樹脂マトリックスの架橋プロセスを完了させる。有機樹脂マトリックスには、フェノールノボラック樹脂およびアルミナ砥粒が含まれる。
【0050】
研磨物品を、空調環境(約25℃、60%RH)内における3ヵ月間の曝露後の性能劣化についてテストする。性能の劣化をG比に基づいて決定する。
【0051】
G比は、約80m/sの動作速度を有し得る乾式切断/研削用途向けのポータブル式機械上に研磨物品を取付けることにより決定される。典型的な寸法(25.4mm(直径)×100(長さ)m)を有する工作物材料を万力により挟持する。試験は経験豊かなオペレータが実施し、工作物材料についての切断作業を実施するために研削機を使用して試験を手作業で行なう。研削機に接続されたデータ収集システムが、試験中の研削機の出力と電流および切断時間を監視する。工作物材料から切断された試験片の数を計数し、研磨物品の直径と共に切断回数をコンピュータシステム内に記録する。試験は、研磨物品が完全に消費されるまで持続する。試験対象物品の直径を測定し記録する。残った工作物材料の重量を計量し記録することができ、あるいは切断回数を記録することもできる。市販のソフトウエアアプリケーションを用いるコンピュータシステムが、材料除去速度(MRR)とホイール摩耗速度(WWR)を決定する。このアプリケーションは、MRRをWWRで除することで絶対G比を計算する。絶対G比が高くなればなるほど、より優れた性能を表わす。
【0052】
相対G比は、研磨物品の性能劣化を特徴づけするために用いられる。それは、規定の保管条件で規定量の時間保管された後の研磨物品Aの絶対G比を、研磨物品Aと同じバッチ生産由来の研磨物品B(基準)の製造直後に測定された絶対G比で除した比である。したがって製造されたばかりの研磨物品Bの相対G比。絶対G比の値の低下は、性能の損失を表わす。性能損失は、1から百分率として表わした相対比を減算したものである。
【0053】
製品性能損失は、2〜3ヵ月の間空気条件制御を伴うまたは伴わない屋内環境内での保管の後の製品の性質および厚みに応じて30〜60%の範囲内であり得ることが発見された。表1は、特定された幾何形状を有する試料研磨物品の性能損失を示す。製品の性能劣化は、拡散または吸収プロセスを通して製品に浸透する水分または水蒸気によりひき起こされると考えられている。研磨物品の性能劣化速度は、保管条件(湿度、温度、そして所望の製品保管寿命など)、幾何形状および調合の関数である。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例2
試料ホイールは、40℃/湿度80%RHで人工気象室内に保管し、水分増加は研磨物品の重量%で表わされている。試料について、相対G比が決定されている。表2に示されているように、試料は21日間にわたり重量が増大して、相対G比の減少によって表わされるように、性能の損失を示している。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例3
パッケージ内に試料研磨物品を包装する(1パックあたり物品6個、各々の寸法150×200×8mm)。パッケージは、0.0005g/m2・日未満の水蒸気移動速度(WVTR)を有する単層の純粋Alで製造される。物品群を5gの乾燥剤(シリカゲル)と共に包装し、別の群を乾燥剤無しで包装する。乾燥剤は、6〜12メッシュのサイズのFisher Scientific製のシリカゲルである。水の吸収は、乾燥剤1グラムあたり水0.4グラムである。
【0058】
両方の包装研磨物品群を、80%のRHで40℃の人工気象室内に保管する。研磨物品の重量増加を監視し、研磨物品について相対G比を決定する。表3および4は、それぞれ乾燥剤無しの試料および乾燥剤を伴う試料についての水分増加と相対G比を示している。16週間後の水分吸収は、両方の試料セットについてゼロに近いものであり、性能損失はほとんど観察されない。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
実施例4
パッケージ内に試料研磨物品を包装する(150×200×8mmの寸法で1パックあたり6個)。パッケージは、WVTRが3.023g/m2・日の単層ポリエチレン材料で製造される。研磨物品と共にパッケージの内部に5gの乾燥剤を入れて物品群を包装し、別の群を乾燥剤無しで包装する。乾燥剤は、6〜12メッシュのサイズのFisher Scientific製のシリカゲルである。水の吸収は、乾燥剤1グラムあたり水0.4グラムである。5グラムの量の乾燥剤は、5g×0.4=2.0gの水吸収を提供する。
【0062】
両方の研磨物品の群を、40℃で80%RHの人工気象室内に保管する。研磨物品の重量増加を監視し、相対G比を決定する。表5は、2週間にわたる水分増加を示している。
【0063】
40℃/80%RHの湿度室で7日間保管した後、ポリエチレンパッケージを伴ってまたは伴わずに保管された研磨物品における水分増加の差はほとんど観察されない。水分増加は、5グラムの乾燥剤と共にポリエチレンパッケージ内で保管された研磨物品については著しく少ないものである。したがって、乾燥剤を含まないポリエチレン内に包装された試料については保管寿命が著しく短縮される。
【0064】
【表5】
【0065】
実施例5
試料ホイールは、40℃で80%RHの人工気象室内に保管する。試料を計量して、14日間にわたる水分増加を決定する。測定した水分増加を水分増加のシミュレーションと比較する。
【0066】
水分増加のシミュレーションでは、水分増加の変化が試料ホイールの周囲の空気中の水の分圧に正比例することが仮定されている。比例定数を4.545×10−13kg/s・Paに設定し、試料1gあたりH2O0.009gの容量を仮定する。
【0067】
図7、図8および図9は、217グラム、212グラムおよび271グラムの重量をそれぞれ有する3つの試料についてのシミュレートされた水分増加と測定された水分増加の間の比較を示す。示されている通り、シミュレートされた水分増加は、特に図7と図9に例示されている測定された水分増加を密に近似している。
【0068】
実施例6
異なる材料の包装の比較をシミュレートして、包装内部の相対湿度(RH)の時間依存型プロファイルを決定する。相対湿度の変化は、包装材料を通した水蒸気移動の関数である。12週間にわたる40℃および80%RHの外部条件を仮定してシミュレーションを行う。
【0069】
第1の試料は、1.1g/m2・日の水蒸気移動速度(WVTR)を有する金属化フィルム試料である。第2の試料は、0.015g/m2・日のWVTRを有するアルミニウムフィルムである。図10に示されているように、金属化フィルムを伴う試料の内部の相対湿度は、一週間未満のうちに外部湿度に近づく。図11は、アルミニウムフィルム試料の内部相対湿度がより緩慢に上昇し、それでもなお7週間の終りまでには外部相対湿度に近づくということを示している。
【0070】
実施例7
実施例6の試料を、乾燥剤の存在下で切断ホイールによる吸収が全く無いことを仮定して、分析する。外部条件は、40℃と80%RHである。乾燥剤は、1.2928×10−10kg/s・Paの吸収速度定数および乾燥剤1gあたりH2O0.4gの容量を有する。5グラムの乾燥剤を使用する。
【0071】
図12に示す通り、乾燥剤は、金属化フィルム試料についての相対湿度の上昇速度を低下させる。しかしながら、内部相対湿度は、第12週前後で80%に達し、20%RH未満という所望の内部相対湿度を大きく上回る。これとは対照的に、図13に示される通り、アルミニウムフィルム試料については12週間の分析全体を通して内部相対湿度は低いままにとどまっている。
【0072】
実施例8
乾燥剤を伴うおよび伴わないという両方の場合の1つの条件セットの下で許容可能なWVTRの上限を決定するためにシミュレーション装置を使用して分析を行なう。第1の条件セットの下では、26週間にわたり温度および相対湿度が一定であること(25℃、70%RH)を仮定する。第2の条件セット下では、環境には、高温多湿(40℃、80%RH)への曝露4週間とそれに続く中程度の条件(25℃、70%RH)での22週間が含まれるものと仮定する。乾燥剤を伴う試料については、上述の吸収速度定数と容量を有する乾燥剤を10グラム使用する。
【0073】
【表6】
【0074】
表6に示されている通り、乾燥剤無しの試料の上限は、乾燥剤を含む試料よりも数ケタ低いものである。例えば、10グラムの乾燥剤を含む包装設計は、0.60g/m2・日という高いWVTRを有し、一方、乾燥剤無しの包装は0.0008g/m2・日の上限を有する。
【0075】
実施例9
下表7および8に規定されたWVTRを有する多層フィルムについて分析を行なう。第1の多層フィルムは、0.0062g/m2・日のWVTRを有し、第2の多層フィルムは0.0031g/m2・日のWVTRを有する。32℃および90%RHで分析を行なう。表中に示されている通り、内部相対湿度(RH)は急速に20%RHを上回り、120日間かけて90%に近づく。
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
第1の態様において、物品は、0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する自立壁を含む包装材料を含む。包装材料は、閉鎖体積を画定している。物品はさらに、閉鎖体積の内部に配置されたボンド研磨物品を含む。ボンド研磨物品は、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含む。ポリマーマトリックスは、吸湿性材料を含む。第1の態様の一実施例において、水蒸気移動速度は、0.0005g/m2・日以下である。
【0079】
第1の態様の別の実施例においては、ポリマーマトリックスは、フェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せからなる群から選択される。例えば、ポリマーマトリックスはフェノール樹脂である。
【0080】
第1の態様のさらなる実施例において、自立壁は、支持材料およびバリア材料を含む。バリア材料はポリエステルを含み得る。別の実施例において、バリア材料はアルミホイルを含み得る。例えば、アルミホイルは少なくとも1ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンの厚みを有する。支持材料は、熱可塑性材料、硬化したエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せからなる群から選択され得る。例えば、繊維材料はパルプ材料、例えばボール紙を含み得る。別の実施例において、熱可塑性材料はポリオレフィン材料、例えばポリエチレン、または例えばポリプロピレンを含み得る。硬化エラストマーはジエンエラストマを含み得る。
【0081】
追加の実施例において、閉鎖体積内に乾燥剤が配置されている。乾燥剤は、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0082】
別の実施例において、ボンド研磨物品は、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す。さらなる実施例において、物品は、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する
【0083】
第2の態様において、物品は、閉鎖体積を画定し2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する材料で形成された包装材料と;閉鎖体積の内部に配置された乾燥剤と;閉鎖体積の内部に配置されたボンド研磨物品とを含む。ボンド研磨物品は、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含む。ポリマーマトリックスは吸湿性材料を含む。
【0084】
第2の態様の一実施例において、水蒸気移動速度は0.2g/m2・日以下、例えば0.015g/m2・日以下である。水蒸気移動速度は少なくとも0.001g/m2・日であり得る。例えば水蒸気移動速度は0.001/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にあり得る。
【0085】
別の実施例において、材料は剛性材料である。さらなる実施例において、材料はシート材料である。
【0086】
追加の実施例において、乾燥剤は、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される。例えば乾燥剤は、乾燥剤1gあたり少なくとも0.4gのH2Oの容量、例えば乾燥剤1gあたりH2O0.4g〜2.0gの範囲内の容量を有する。
【0087】
さらなる実施例において、材料はバリア層を含み得る。バリア層はポリエステルを含み得る。別の実施例において、バリア層はアルミホイルを含む。例えば、アルミホイルは少なくとも1ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンの厚みを有し得る。
【0088】
別の実施例において、ボンド研磨物品は、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す。追加の実施例において、物品は、40゜Cおよび相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する。
【0089】
第3の態様において、ボンド研磨物品を包装する方法は、包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;評定条件を確立するステップと;シミュレーション装置を用いて、包装が評定基準を満たすか否かを決定するステップと;包装が評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと;乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たすか否かを判定するステップと、を含む。
【0090】
第3の態様の一実施例において、方法には、乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たすか否かを判定するステップを反復するステップがさらに含まれる。
【0091】
さらなる一実施例において、評定条件には温度、外部相対湿度、および所望の製品保管寿命が含まれる。評定基準には内部相対湿度が含まれ得る。追加の実施例において、評定基準には水分増加が含まれる。
【0092】
別の実施例において、この方法は、シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に乾燥剤を挿入するステップと、ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む。
【0093】
第4の態様において、ボンド研磨製品を包装する方法は、包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;評定システムの評定条件を確立するステップと;シミュレーション装置を用いて、評定システムに付随する評定基準を満たすパッケージを提供するための乾燥剤の量を決定するステップと、を含む。第4の態様の一実施例において、方法は、シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に乾燥剤を挿入するステップと、ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む。
【0094】
第4の態様の別の実施例において、乾燥剤の量を決定するステップには、乾燥剤を伴うパッケージが評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと乾燥剤を伴うパッケージが評定基準を満たすか否かを判定するステップとが含まれる。
【0095】
さらなる実施例において、評定条件には温度、外部相対湿度、および時間的期間が含まれる。一実施例において、評定基準には内部相対湿度が含まれる。別の実施例において、評定基準には、水分増加が含まれる。
【0096】
一般的説明または実施例の中で上述した活動の全てが必要とされるわけではないこと、具体的活動の一部分は必要とされないかもしれないこと、そして記述された活動に加えて1つ以上のさらなる活動が実施されるかもしれないことに留意されたい。さらにまた、これらの活動の列挙順序は、必ずしもその実施順序ではない。
【0097】
以上の明細書部分では、具体的実施形態を参照しながら概念を説明してきた。しかしながら、当業者であれば、以下のクレーム中で記されている本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな修正および変更を加えることが可能であるということを認識する。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなくむしろ例示的な意味で考慮されるべきものであり、このような修正は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0098】
本明細書中で使用される「含む(comprises、comprising、includes、including)」「有する(has、having)」という用語あるいはそれらの他のあらゆる変形形態は、非排他的包含を網羅するように意図されている。例えば、一連の特徴を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはこのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他の特徴を含んでいてよい。さらに、明示的な別段の記載がないかぎり、「または(or)」は排他的orではなく包含的orを意味する。例えば、条件AまたはBは、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない);Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する);およびAとBの両方が真である(または存在する)という状態のいずれか1つによって、満たされる。
【0099】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書中で記述される要素および成分を記述するために用いられている。これは単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的意味合いを提供するために行なわれることである。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものとして解釈されるべきであり、別段の意図があることが自明であるのでないかぎり、単数は複数も同様に含んでいる。
【0100】
以上では具体的実施形態に関して、利益、他の利点、および課題に対する解決法を記述してきた。しかしながら、利益、利点および課題に対する解決法、および任意の利益、利点または解決法を発生させるまたはより顕著にさせるかもしれない任意の1つまたは複数の特徴は、いずれかのまたは全てのクレームの重要な、所要のまたは不可欠な特徴とみなされるべきではない。
【0101】
明細書を読んだ上で、当業者であれば、一部の特徴が明確さを期して本明細書中で別個の実施形態に関連して記述されているものの、単一の実施形態に組合せた形で提供されてもよい、ということを認識するものである。逆に、簡潔さを期して単一の実施形態に関連して記述されているさまざまな特徴は、別個にまたは任意の下位組合せの形で提供されてもよいものである。さらに、範囲の形で記載された値に対する言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に包装研磨物品およびこのような包装研磨物品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨物品は、さまざまな業界において、切断、ラップ仕上げ、研削または艶出しによって工作物を機械加工する目的で使用されている。機械加工のための研磨物品の使用は、建設から造船、鋳造から鉄道、さらには日曜大工の利用分野に至るまで幅広い産業領域にまたがっている。詳細には、鋼、ステンレス鋼およびアルミニウムなどの金属;ポリ塩化ビニルその他のプラスチック;複合材;木材;およびセラミックを切断するために、薄型研削ホイールを使用することができる。例えば、薄型研磨ホイールを使用してI形梁、パイプまたはタイルを切断することができる。
【0003】
しかしながら、数多くのボンド研磨システムには、経時的な性能の劣化という欠点がある。薄型ホイール切断システムの場合、劣化には、薄型ホイールの形をした研磨剤が摩耗し切る前に達成可能な切断量の低減が含まれる。さらに、劣化には、研磨物品の摩耗速度の上昇または工作物上の研削速度の低下が含まれる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良型の包装研磨物品システムが望ましいと考えられる。
【0005】
本開示は、添付図面を参照することによってより良く理解され、その数多くの特徴および利点が当業者にとって明らかなものとなるかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】例示的な包装研磨物品の図である。
【図2】例示的なシート材料の図である。
【図3】例示的な包装物品の図である。
【図4】例示的な壁材料の図である。
【図5】研磨物品を包装するための例示的方法の流れ図である。
【図6】研磨物品を包装するための例示的方法の流れ図である。
【図7】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図8】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図9】研磨物品についての水分増加のグラフである。
【図10】異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図11】異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図12】乾燥剤の存在下での異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【図13】乾燥剤の存在下での異なる包装材料についての内部相対湿度(RH)のグラフである。
【0007】
異なる図面中の同じ参照番号の使用は、類似のまたは同一の品目を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的実施形態において、包装研磨物品には、閉鎖空間を画定する包装と閉鎖空間内に配置された1つ以上の研磨物品とが含まれる。研磨物品は、ポリマーマトリックス中に埋込まれた砥粒を含む。ポリマーマトリックスは吸湿性であり得る。包装は、2g/m2・日以下、例えば0.015g/m2・日以下の水蒸気移動速度(WVTR)を有する。一実施例において、包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)は、0.001g/m2・日〜0.015g/m2・日の範囲内にあり得る。別の実施例において、包装材料は、0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度(WVTR)を有する。さらなる実施例において、包装材料はシート材料を含み得る。あるいは、包装材料は、自立型材料、例えば支持材料およびバリア材料で形成された材料を含む。
【0009】
さらなる実施例において、包装された研磨剤システムの調製方法には、包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)を決定するステップと、評定システムに付随する条件を確立するステップと、評定システムに付随する評定基準に達するために包装内に使用すべき乾燥剤の量を決定するステップとが含まれる。例えば、評定基準に達するために包装内部に含み入れるべき乾燥剤の量を決定するシミュレーション装置に、水蒸気移動速度および評定システムに付随する条件を適用することができる。
【0010】
図1に示されている実施形態において、包装研磨物品100は、シート材料102を含み、研磨物品104が内部に配置される閉鎖空間110を画定している。図示されている通り、研磨物品104は、真空封止可能な小袋中に封入されている。あるいは、ボール紙インサートまたは剛性ポリマーインサートなどのインサートを小袋内に具備するかまたは小袋の一方の側に形成することが可能である。特定の一実施例において、包装研磨物品100は、例えば締結用構造を用いて開放後に再度封止するように構成することができる。研磨物品104は手持式工具、詳細には研磨物品104を中心軸を中心として回転させる工具上で有用であり得る。図1において、研磨物品104は、薄型切断ホイールとして示されている。
【0011】
一実施例において、研磨物品104は、無機樹脂系などの結合剤系により結合された砥粒で形成される。例示的砥粒としては、シリカ、アルミナ(溶融アルミナまたは焼結アルミナ)、ジルコニア、ジルコニア/アルミナ酸化物、炭化ケイ素、ガーネット、ダイヤモンド、立方晶窒素ホウ素、窒化ケイ素、セリア、二酸化チタン、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、酸化錫、酸化タングステン、炭化チタン、酸化鉄、クロミア、フリント、金剛砂またはその任意の組合せを含めた砥粒の任意のものまたは任意の組合せが含まれる。一実施例において、砥粒は、シード添加したまたはシード無しのゾルゲルアルミナまたはAl2O3−ZrO2からなる研磨剤部類群から選択された少なくとも1つのタイプの一次砥粒を含む。使用可能なシード添加されたまたはシード無しのゾルゲルアルミナ部類由来の砥粒の網羅的でないリストとしては、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives Inc.から市販されている、SG粒子またはNQ粒子、St.Paul、MNの3M Corporationから市販されている3M321 Cubitron粒または3M324 Cubitron粒、またはその組合せが含まれる。使用可能なAl2O3−ZrO2部類由来の砥粒の非網羅的リストとしては、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives、Inc.から市販されているNZ Plus粒子、Worcester、MAのSaint−Gobain Abrasives、Inc.から市販されているZF粒子またはZS粒子、Toronto、Ontario CAのTreibacher Industry、Inc.から市販されているZK40粒子またはZZK40粒子、あるいはMontreal、Quebec CAのAlcan、Inc.から市販されているZR25B粒子またはZR25R粒子が含まれる。一実施例において、一次砥粒の量は、砥粒の総量の約0体積パーセント〜約100体積パーセントを構成する。
【0012】
一実施形態において、少なくとも1つのタイプの二次砥粒を一次砥粒と配合して、コストまたは性能要件のいずれかを達成することができる。二次砥粒は、セラミック酸化物(例えばコーティングされたまたはコーティング無しの溶融Al2O3、単結晶Al2O3)、鉱物(例えばガーネットおよび金剛砂)、窒化物(例えばSi3N4、AlN)および炭化物(例えばSiC)からなる群から選択され得る。一実施例において、二次砥粒の量は、砥粒の総量の約100〜約0体積パーセントの範囲内または残分であり得る。
【0013】
例示的結合剤系としては、1つ以上の有機樹脂、例えばフェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せが含まれる。
【0014】
使用可能な樹脂の非限定的な具体例としては以下のものが含まれる:Prefereという商標名でDynea Oy、Finlandにより販売され、8522G、8528G、8680Gおよび8723Gのカタログ/製品番号で入手可能な樹脂;Rutaphen(登録商標)という商標名でHexion Specialty Chemicals、OHにより販売され、9507P、8686SPおよびSP223のカタログ/製品番号で入手可能な樹脂;29344、29346および29722のカタログ/製品番号で、旧Durez Corporation、TX、現住友により販売されている樹脂。一実施例において、ボンド材料は乾燥樹脂材料を含む。
【0015】
例示的フェノール樹脂としては、レゾールおよびノボラックが含まれる。レゾールフェノール樹脂は、アルカリ系触媒作用を受け、1:1〜3:1などの1以上のホルルアルデヒド対フェノール比を有することができる。ノボラックフェノール樹脂は、酸触媒作用を受け、0.5:1〜0.8:1などの1未満のホルムアルデヒド対フェノール比を有することができる。
【0016】
エポキシ樹脂は、芳香族エポキシまたは脂肪族エポキシを含み得る。芳香族エポキシ構成成分には、1つ以上のエポキシ基と1つ以上の芳香族環が含まれる。芳香族エポキシの一例としては、ポリフェノールから、例えばビスフェノール、例えばビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF(ビス[4−ヒドロキシフェニル]メタン)、ビスフェノールS(4,4’−スルホニルジフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンビスジフェノール、4,4’−ビフェノール、または4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノールから誘導されたエポキシが含まれる。ビスフェノールはアルコキシル化(例えばエトキシル化またはプロポキシル化)またはハロゲン化(例えば臭素化)され得る。ビスフェノールエポキシの例としてはビスフェノールジグリシジルエーテル類、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFのジグリシジルエーテルが含まれる。芳香族エポキシのさらなる例としては、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル、またはモノフェノールから、例えばレゾルシノール(例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル)またはヒドロキノン(例えば、ヒドロキノンジグリシジルエーテル)から誘導された芳香族エポキシが含まれる。別の例は、ノニルフェニルグリシジルエーテルである。さらに、芳香族エポキシの一例として、エポキシノボラック、例えば、フェノールエポキシノボラックおよびクレゾールエポキシノボラックが含まれる。脂肪族エポキシ構成成分は、1つ以上のエポキシ基を有し、芳香族環を含まない。外部相は、1つ以上の脂肪族エポキシを含むことかできる。脂肪族エポキシの一例としては、C2−C30アルキルのグリシジルエーテル;C3−C30アルキルの1,2エポキシ;脂肪族アルコールまたポリオールのモノまたはマルチグリシジルエーテル、例えば1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリセロールおよびアルキル化脂肪族アルコール類;またはポリオール類が含まれる。一実施形態において、脂肪族エポキシは、1つ以上の脂環式環構造を含む。例えば脂環式エポキシは、1つ以上のシクロヘキセンオキシド構造、例えば2つのシクロヘキセンオキシド構造を有し得る。環構造を含む脂肪族エポキシの例としては、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサンが含まれる。
【0017】
例示的多機能性アクリル樹脂としては、トリメチロールプロパン トリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、メタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビタールヘキサアクリレート、またはその任意の組合せが含まれる可能性がある。別の例において、アクリルポリマーは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、グリシジル基または1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を有するモノマーで形成され得る。代表的アクリルポリマーには、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリグリシジルアクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレートおよびその混合物が含まれる。
【0018】
触媒作用物質およびポリマーのタイプに応じて、結合剤系は熱硬化可能であり得、または結合剤系を形成するための紫外線などの化学線を通して硬化可能であり得る。
【0019】
結合剤系は同様に触媒および開始剤も含み得る。例えば、カチオン開始剤は、カチオン重合性成分間の反応の触媒として作用し得る。ラジカル開始剤は、ラジカル重合性成分の遊離ラジカル重合を活性化させることができる。開始剤は、熱エネルギーまたは化学線により活性化され得る。例えば、開始剤は、化学線に曝露された場合にカチオン重合反応の触媒として作用するカチオン光開始剤を含み得る。別の例において、開始剤は、化学線に曝露された場合に遊離ラジカル重合を開始させるラジカル光開始剤を含み得る。化学線は、微粒子放射線と非微粒子放射線を含み、電子ビーム放射線および電磁放射線を含むよう意図されている。特定の一実施形態において、電磁放射線は、約100nm〜約700nmの範囲内の少なくとも1つの波長、詳細には電磁スペクトルの紫外線範囲内の波長を有する放射線を含む。
【0020】
結合剤系は同様に、他の構成成分、例えば溶媒、可塑化剤、架橋剤、連鎖移動剤、安定剤、分散剤、硬化剤、反応メディエータおよび分散の流動性に影響を及ぼすための作用物質も含み得る。例えば、結合剤系は、同様に、ポリオール、ポリアミン、線状または分岐ポリグリコールエーテル、ポリエステルおよびポリラクトンからなる群から選択された1つ以上の連鎖移動剤をも含み得る。
【0021】
さらに、結合剤系は充填剤を含み得る。充填剤は、活性および/または不活性充填剤を含み得る。活性充填剤の非網羅的リストには、クライオライト、PAF、KBF4、K2SO4、硫酸バリウム、硫化物(FeS2、ZnS)、NaCl/KCl、低溶融金属酸化物、またはその組合せが含まれ得る。不活性充填剤の非網羅的リストには、CaO、CaCO3、Ca(OH)2、CaSiO3、カイヤナイト(Al2O3−SiO2の混合物)、サラン(ポリ塩化ビニリデン)、霞石閃長岩(Na、K)AlSiO4、木粉、ヤシ殻粉末、石粉、長石、カオリン、石英、シリカの他の形態、ガラス短繊維、石綿繊維、微小ガラス球、表面処理された微粒子(シリコンカーバイド、コランダムなど)、軽石、コルク粉およびその組合せが含まれ得る。好ましい実施形態においては、活性充填剤材料、例えばK3AlF6とKAlF4の混合物であるPAFを有機ボンド材料に添加して金属を腐食させ、ホイールと工作物の間の摩擦を削減することができる。
【0022】
特定の実施形態において、研磨物品104を形成するために用いられる研磨剤ミックスの調合は、以下のとおりであり得る。一実施形態において、ミックス中に存在する砥粒は、全ミックス(すなわち多孔を除く)の約30〜約70体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中に存在する砥粒は、全ミックス(すなわち多孔を除く)の約40〜約55体積パーセントの範囲内であり得る。一実施形態において、ミックス中の有機ボンド材料(例えば樹脂)は、全ミックスの約20〜約45体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中の有機ボンド材料(例えば樹脂)は、全ミックスの約25〜約40体積パーセントの範囲内であり得る。一実施形態において、ミックス中の活性充填剤材料の量(全ミックス中の量)は約0〜約25体積パーセントの範囲内であり得る。別の実施形態において、ミックス中の活性充填剤材料の量(全ミックス中の量)は約5〜約20体積パーセントの範囲内であり得る。残分は不活性充填剤である。
【0023】
詳細には無機樹脂系は、吸湿性であるかまたは吸湿性材料を含むことができる。このような吸湿性材料は、水が包装材料102を横断するにつれて、経時的にそれを吸収することができる。製品中の水分が一定レベルを超えた後、結合剤マトリックスのガラス転移温度は低下し、その結果、特に乾式研削/切断の利用分野について研削性能が劣化する。
【0024】
さらに、研磨物品104は、1つ以上の補強層を含み得る。補強層は、任意の数のさまざまな材料で製造可能である。例示的補強層としては、ポリマーフィルム(下塗りされたフィルムを含む)、例えばポリオレフィンフィルム(例えば二軸配向ポリプロピレンを含むポリプロピレン)、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレフタレート)またはポリアミドフィルム;セルロースエステルフィルム;金属ホイル;メッシュ;発泡材(例えば天然スポンジ材料またはポリウレタンフォーム);布(例えばグラスファイバー、ポリエステル、ナイロン、絹、木綿、ポリコットンまたはレーヨンを含む繊維またはヤーンで作られた布);紙;加硫紙;加硫ゴム;加硫繊維;不織材料;またはその任意の組合せまたはそれらの処理されたバージョンが含まれる。布の裏打ちは、製織されるかまたはステッチボンディングされ得る。特定の実施例において、補強層は、紙、ポリマーフィルム、布、木綿、ポリコットン、レーヨン、ポリエステル、ポリナイロン、加硫ゴム、加硫繊維、グラスファイバーファブリック、金属ホイルまたはその任意の組合せからなる群から選択される。他の実施例において、補強層は、ガラス繊維織物を含む。特定の実施例において、研磨物品104は、ポリマーマトリックス中で間に砥粒が結合されているさらに1つのグラスファイバー層を含む。例えば、研磨物品104は、Va、VaV、VaVa、またはVaVaVという構成を有することができ、ここで「V」は補強層であり、「a」は研磨剤/結合剤の混合物である。
【0025】
図示された例において、研磨物品104は、切断用途向けの薄型ホイール研磨物品などの薄型ホイール研磨物品の形をしている。例えば、研磨物品は、研磨物品104の軸に対して平行で半径方向の寸法に対して直交して定義された、0.8mm〜20mmの範囲内、例えば0.8mm〜15mmの範囲内、さらには0.8mm〜10mmの範囲内の厚みを有することができる。さらに、薄型ホイール研磨物品は50mm〜400mmの範囲内の直径、例えば75mm〜230mmの範囲内の直径、さらには75mm〜150mmの範囲内の直径を有することができる。さらに薄型ホイール研磨物品は、直径対厚みの比として定義される、5〜160の範囲内、例えば15〜160の範囲内、15〜150の範囲内、さらには20〜125の範囲内の所望の縦横比を有することができる。
【0026】
図1に戻ると、シート材料102は、単層構造として形成され得、または多重層を含むこともできる。例えば、図2に示されるように、シート材料の200に、バリア材料202そして任意には支持材料204を含むことができる。一実施例において、バリア層202は、金属層またはポリマー材料で形成され得る。例えば、金属は、アルミニウム、銅、ニッケルまたはその合金を含むことができる。例示的ポリマーには、ポリエステルが含まれる可能性がある。一実施例において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマーまたはその任意の組合せを含む。例示的液晶ポリマーとしては、芳香族ポリエステルポリマー、例えばXYDAR(登録商標)(Amoco)、VECTRA(登録商標)(Hoechst Celanese)、SUMIKOSUPER(商標)またはEKONOL(商標)(住友化学株式会社)、DuPont HX(商標)またはDuPont ZENITE(商標)(E.I.DuPont de Nemours)、RODRUN(商標)(ユニチカ株式会社)、GRANLAR(商標)(Grandmont)の商標名で入手可能なものあるいはその任意の組合せが含まれる。
【0027】
一実施例において、バリア層202は少なくとも1ミクロンの厚みを有することができる。例えば、厚みは少なくとも10ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、少なくとも125ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンであり得る。バリア材料がアルミニウムを含む特定の場合において、厚みは、少なくとも1ミクロンである。これとは対照的に、典型的な金属化ポリマーフィルムは、およそ200ナノメートル未満の金属層厚みを含む。単一のバリア層202が示されているが、シート材料200には、2つ以上のバリア層が含まれる可能性がある。
【0028】
任意には、シート材料200に支持層204が含まれる。支持層204は、バリア層202に構造的無欠性を提供でき、シート材料200の機械的特性を増強でき、あるいは、自らにボンディングするように作用してシールを形成することができる。一実施例において、支持層204は、熱可塑性材料例えばアクリル樹脂、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、またはその任意のコポリマー、配合物または組合せを含むことができる。例示的ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレンオクテンコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、ポリビニルブチラールまたはその任意の組合せが含まれる。例示的ポリエチレンには、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)またはその任意の組合せが含まれる。詳細には、熱可塑性材料は、閉鎖体積のまわりにシールを形成するよう所定の場所で溶融して相対するシート材料に対しボンディング可能な溶融接着剤であり得る。あるいは、溶融接着剤を、シールが形成すべき場所の近くに、例えばシート材料102の縁部に沿って設置することができる。
【0029】
図1に戻ると、シート材料102は、2.0g/m2・日以下の所望の水蒸気移動速度を有する。例えば水蒸気移動速度は、0.6g/m2・日以下、例えば0.2g/m2・日以下、0.015g/m2・日以下、さらには0.01g/m2・日以下であり得る。特定の実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内である。このような実施例において、包装は乾燥剤106を含むことができる。1つの代替的実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日以下、例えば0.0005g/m2・日以下であり、乾燥剤を含んでいてもいなくてもよい。
【0030】
閉鎖体積110は同様に乾燥剤106を含むこともできる。例示的乾燥剤106としては、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せが含まれる。一実施例において、金属にはアルカリ金属、例えばリチウム;アルカリ土類金属、例えばベリリウム、カルシウム、マグネシウムまたはバリウム;遷移金属、例えば鉄、マンガン、パラジウム、ジルコニウム、コバルト、銅、亜鉛、チタンまたはクロム;その他の金属、例えばアルミニウム;それらの合金、またはその任意の組合せが含まれる。例示的金属酸化物スカベンジャーとしては、上述の金属の脱水素化または部分脱水素化酸化物、例えば酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛またはその任意の組合せが含まれる。例示的金属ハロゲン化物は、上述の金属のハロゲン化物または過塩素酸塩を含むことができ、あるいは、例示的金属硫酸塩は上述の金属の硫酸塩例えば硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸銅またはその任意の組合せを含むことができる。別の無機スカベンジャーは、モンモリロナイト粘土、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、ボーキサイトまたはその任意の組合せを含むことができる。特定の一実施例において、乾燥剤106は、乾燥剤1gあたり少なくともH2O0.4gという容量、例えば乾燥剤1gあたりH2O0.4gの〜H2O2.0gの容量を有することができる。
【0031】
さらに、包装研磨物品100は、開封後再度封止可能であり得る。包装研磨物品100は、例えば開口部の近くに、包装研磨物品100を開閉するためにユーザーが操作できる締結具108を含むことができる。一実施例において、この締結具108は、ストリップファスナーなどの機械的締結具を含む。
【0032】
図3に示された別の実施形態において、包装研磨物品300には、研磨物品304が内部に配置される閉鎖空間312の縁部を画定する少なくとも1つの自立壁302が含まれる。包装研磨物品300は同様に底314も含むことができ、かつ蓋306を含むことができる。一実施例において、この底314は、壁302と同じ材料で形成され得る。あるいは、底314を壁302と異なる材料で形成することも可能である。底314は壁302と摩擦嵌めされ得る。別の実施例において、壁302は、ねじ構成を有することができる。さらなる実施例において、底314は、壁302と一体として形成され得、あるいは接着剤などによって壁302に接着され得る。
【0033】
蓋306は、摩擦嵌めにより壁302にしっかりと固定可能である。別の実施例において、ねじ蓋構成を用いて壁302に蓋306を、しっかり固定することができる。一実施例においては、蓋306を壁302と同様の材料で形成することができる。代替的実施例において、蓋306を壁302と異なる材料で形成することができる。
【0034】
壁302、蓋306および底314は、内部に研磨物品304が配置される閉鎖空間312を形成する。一実施例において、研磨物品304は、上述のような研磨物品、例えば薄型ホイール研磨物品である。さらに、閉鎖空間312内に乾燥剤310を配置することができる。例示的乾燥剤は、上述の乾燥剤の中から選択可能である。
【0035】
断面図で示される通り、壁302は、自立型材料308で形成される。自立型材料308とは、追加の支持体無しで単独で立つことのできる材料である。例えば自立型材料308は、断面図で見た場合に自立型材料308の頂部から底部まで延びる長手方向寸法からいずれの方向にも10%を超えて逸脱することなく単独で(すなわち外力無くその自重下で)立つことができる。
【0036】
特定の実施例において、材料308は図4に示されている通りの多層構造を有する。例えば、自立型材料400は支持材料402とバリア材料404を含むことができる。一実施例において、バリア材料404は金属層、ポリマー材料またはその任意の組合せを含む。例えば、金属は、アルミニウム、銅、ニッケルまたはその合金を含むことができる。例示的ポリマーには、ポリエステルが含まれる可能性がある。一実施例において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマーまたはその任意の組合せを含む。例示的液晶ポリマーとしては、芳香族ポリエステルポリマー、例えばXYDAR(登録商標)(Amoco)、VECTRA(登録商標)(Hoechst Celanese)、SUMIKOSUPER(商標)またはEKONOL(商標)(住友化学株式会社)、DuPont HX(商標)またはDuPont ZENITE(商標)(E.I.DuPont de Nemours)、RODRUN(商標)(ユニチカ株式会社)、GRANLAR(商標)(Grandmont)の商標名で入手可能なものあるいはその任意の組合せが含まれる。バリア材料404は単層として示されているが、2つ以上のバリア層が含まれる可能性がある。バリア材料404は、バリア層202に関連して上述した厚みを有することができる。
【0037】
バリア材料404は、ラミネート加工を介してまたは接着剤(図示せず)を用いて支持材料402にしっかり固定できる。例示的支持材料402としては、熱可塑性材料、硬化済みエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せが含まれる。例示的繊維質材料には、含浸ガラス繊維材料が含まれ得る。別の実施例において、繊維質材料にはパルプ材料例えば紙製品、ボール紙またはその任意の組合せが含まれる。別の実施例において、支持材料には、支持材料402の所望される自立特性を提供するような厚みの熱可塑性材料が含まれる。一実施例において、熱可塑性材料には、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリルポリマー、酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、そのコポリマーまたはその任意の組合せが含まれる。例えば、熱可塑性材料は、ポリオレフィン材料例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレンオクテンコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、ポリビニルブチラール、またはその任意の組合せであり得る。例示的ポリエチレンには、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはその任意の組合せが含まれる。さらなる実施例において、支持材料402には硬化エラストマーが含まれる。例示的硬化エラストマーには、ジエンエラストマ例えばエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーが含まれる。
【0038】
図3に戻ると、壁302は所望の水蒸気移動速度例えば2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する。例えば、水蒸気移動速度は、0.6g/m2・日以下、例えば0.2g/m2・日以下、0.015g/m2・日以下、さらには0.01g/m2・日以下であり得る。特定の実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にある。このような実施例において、包装には乾燥剤310が含まれ得る。代替的実施例において、水蒸気移動速度は0.001g/m2・日以下、例えば0.0005g/m2・日以下であり、乾燥剤を含んでいてもいなくてもよい。
【0039】
詳細には、出願人は、消費者が所望する製品品質を特に極限の環境条件下で満たすためには、市販の包装では不充分であるということを発見した。出願人は、市販の製品において報告された水蒸気移動速度でさえ、厳しい環境内で20%超の相対湿度を包装内部に導く可能性があるということを発見した。さらに、出願人らは、ボンド研磨物品のための湿度が低減された環境を提供することにより結果として、長期間にわたり不変の研削性能が得られる、ということを発見した。
【0040】
一実施例において、包装研磨物品の包装材料は、12週間にわたり40℃、相対湿度80%の外部条件について、以下で定義する通りの少なくとも0.7、例えば少なくとも0.8、少なくとも0.85、少なくとも0.9、さらには少なくとも0.95、例えばおよそ1.0の相対G比を提供することができる。
【0041】
図5に示されているように、包装研磨物品の調製方法500には、502に示されている包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップが含まれる。一実施例において、水蒸気移動速度(WVTR)は、ASTM F1249−01(Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor)を用いて決定可能である。あるいは、水蒸気移動速度(WVTR)を、包装材料の材料特性を用いて近似することができる。
【0042】
さらに、方法500は、504に示されている通り、評定条件を確立するステップを含む。一実施例において、評定システムは、テストすべき物品が付される評定条件を含み、かつ、曝露された物品の性能を比較するための評定基準を含む。特定の評定システムには、特定の温度および特定の外部相対湿度の条件下で規定期間中(例えば合計で、所望される保管寿命に等しい期間)、包装研磨物品をテストするステップが含まれる。例えば、評定条件は、25週間25℃の温度そして70%の相対湿度を含むことができる。別の実施例においては、25週間で温度は40℃、相対湿度は80%であり得る。代替的実施例において、複数の連続する期間内に適用すべき条件セットを規定することができる。例えば各々1時間〜8時間の長さの連続する時間的期間、例えば2〜8個の連続する期間について、20℃〜40℃の範囲内の温度および40%〜90%の範囲内の相対湿度を選択する条件セットを規定することができる。評定基準は、10〜30週間、10〜25週間の範囲さらには10〜20週間の範囲から選択された期間などの評定条件の時間的期間(例えば所望の保管寿命)にわたる包装の内部における上限の内部相対湿度または研磨物品内の上限の水分増加量などの上限量に関して表現され得る。例示的評定基準には、12週間にわたり20℃で50%以下の相対湿度(RH)、25週間にわたり20℃で50%以下の相対湿度、または25週間にわたり0.6wt%以下の水分増加が含まれる。
【0043】
評定条件および付随する条件がひとたび決定されたならば、506に示されている通りのパラメータセットを適用することができる。例えば包装の表面積、乾燥剤の容量、乾燥剤についての吸収速度定数、研磨物品の量、研磨物品についての容量と吸収速度、閉鎖空間の体積またはその任意の組合せを近似することができる。詳細には、乾燥剤または研磨物品の容量および吸収速度定数などのパラメータを実験により決定することができる。
【0044】
これらの因子の各々をシミュレーション装置に適用し、シミュレーション装置は、508に示されているように包装研磨物品内部に含み入れるべき乾燥剤の量を決定することができる。一実施例において、シミュレーション装置には、一組の方程式を解決するように構成された計算装置が含まれ、これらの方程式の1つは微分方程式を含み得る。詳細にはシミュレーション装置は、例えば数値手法を用いて微分方程式を積分するように構成されている。特定の一実施例において、シミュレーション装置は、乾燥剤の量を決定するために反復プロセスを実行することができる。例えば、シミュレーション装置は乾燥剤を増分的に加算し、積分して評定基準に達しているか否かを判定し、評定基準に達していない場合には乾燥剤の量を増分し、再び積分を行うことができる。
【0045】
例えば、図6の方法600で示されているように、方法600は、602で示されている包装材料の水蒸気移動速度(WVTR)を決定するステップを含むことができる。例えば、特定のシート材料または自立型材料の水蒸気移動速度(WVTR)を、ASTM規格に準じて測定することができる。604で示されているように、一組の評定条件を選択することができる。例えば、評定条件には、温度、相対湿度および時間的期間が含まれ得る。評定基準は、包装内部の相対湿度の上限を含み得る。
【0046】
606で示されているように、包装材料に付随するパラメータが規定通りの評定を提供するのに適したものであるか否かを判定するためにシミュレーション装置を使用することができる。例えば、シミュレーション装置はパラメータにアクセスでき、提供された条件および水蒸気移動速度(WVTR)に基づき一組の関係を積分して、1組の評定基準と比較できる出力を提供することができる。特定の一実施例において、内部相対湿度の変化速度は、包装内への水蒸気移動速度の一関数である。水蒸気移動速度は、内部および外部の相対湿度の差に正比例する。さらに、内部相対湿度は、乾燥剤または研磨物品による水分吸収の一関数であり得る。乾燥剤または研磨物品による水分吸収速度は、内部相対湿度と正比例し、温度の一関数である。
【0047】
608に示されている通りに、評定が満たされているか否かが判定される。例えば、シミュレーション装置は、包装材料が、研磨物品内の相対湿度または水重量増加を一定の時間的期間にわたり規定量未満に限定するのに適したものであるか否かを判定できる。評定基準が満たされていない場合、610に示されているように、増分量の乾燥剤を包装材料に加えることができる。606および608に示されているように、シミュレーション装置は、研磨剤製品中の相対湿度(RH)または水分増加を評定条件に基づき再度決定し、相対湿度(RH)または水分増加を評定基準と比較することができる。このプロセスを、評定基準に達するまで反復することができる。評定基準に達した時点で、612に示される通り、反復プロセスを通して決定された乾燥剤の量を用いて、包装研磨剤製品を調製できる。
【0048】
特定の実施例において、研磨剤製品の相対湿度または水分増加などの包装内部の評定条件を、例えばシミュレーション装置内での数値手法を通して、積分される微分方程式として表現することができる。例えば、包装内の相対湿度の変化は、包装材料の透水性の結果としての水の流入量、研磨物品により吸収される水の量および存在する場合の乾燥剤が吸収する水の量の観点から表現可能である。一実施例において、研磨物品により吸収される水の量または乾燥剤により吸収される水の量は、時間の関数である包装内部の相対湿度に正比例する。外部条件および包装材料の所与のセットについて、シミュレーション装置は積分を行って評定条件が満たされているか否かを判定することができ、規定の評定条件が満たされていない場合には、乾燥剤の量を増加し、反復プロセスで再び積分を行って、規定の評定条件を満たすために有用な乾燥剤の量を決定することができる。
【実施例】
【0049】
実施例1
有機樹脂マトリックスおよび砥粒から異なる幾何形状で研磨物品を調製する。研磨剤製品は、金型内にボンドと研磨剤の混合物を展延させる常温(cold)または温間(warm)成形プロセスを用いて製造され、それに続いてプレス加工で成形し140℃〜220℃の典型的温度範囲でオーブン内で硬化させて有機樹脂マトリックスの架橋プロセスを完了させる。有機樹脂マトリックスには、フェノールノボラック樹脂およびアルミナ砥粒が含まれる。
【0050】
研磨物品を、空調環境(約25℃、60%RH)内における3ヵ月間の曝露後の性能劣化についてテストする。性能の劣化をG比に基づいて決定する。
【0051】
G比は、約80m/sの動作速度を有し得る乾式切断/研削用途向けのポータブル式機械上に研磨物品を取付けることにより決定される。典型的な寸法(25.4mm(直径)×100(長さ)m)を有する工作物材料を万力により挟持する。試験は経験豊かなオペレータが実施し、工作物材料についての切断作業を実施するために研削機を使用して試験を手作業で行なう。研削機に接続されたデータ収集システムが、試験中の研削機の出力と電流および切断時間を監視する。工作物材料から切断された試験片の数を計数し、研磨物品の直径と共に切断回数をコンピュータシステム内に記録する。試験は、研磨物品が完全に消費されるまで持続する。試験対象物品の直径を測定し記録する。残った工作物材料の重量を計量し記録することができ、あるいは切断回数を記録することもできる。市販のソフトウエアアプリケーションを用いるコンピュータシステムが、材料除去速度(MRR)とホイール摩耗速度(WWR)を決定する。このアプリケーションは、MRRをWWRで除することで絶対G比を計算する。絶対G比が高くなればなるほど、より優れた性能を表わす。
【0052】
相対G比は、研磨物品の性能劣化を特徴づけするために用いられる。それは、規定の保管条件で規定量の時間保管された後の研磨物品Aの絶対G比を、研磨物品Aと同じバッチ生産由来の研磨物品B(基準)の製造直後に測定された絶対G比で除した比である。したがって製造されたばかりの研磨物品Bの相対G比。絶対G比の値の低下は、性能の損失を表わす。性能損失は、1から百分率として表わした相対比を減算したものである。
【0053】
製品性能損失は、2〜3ヵ月の間空気条件制御を伴うまたは伴わない屋内環境内での保管の後の製品の性質および厚みに応じて30〜60%の範囲内であり得ることが発見された。表1は、特定された幾何形状を有する試料研磨物品の性能損失を示す。製品の性能劣化は、拡散または吸収プロセスを通して製品に浸透する水分または水蒸気によりひき起こされると考えられている。研磨物品の性能劣化速度は、保管条件(湿度、温度、そして所望の製品保管寿命など)、幾何形状および調合の関数である。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例2
試料ホイールは、40℃/湿度80%RHで人工気象室内に保管し、水分増加は研磨物品の重量%で表わされている。試料について、相対G比が決定されている。表2に示されているように、試料は21日間にわたり重量が増大して、相対G比の減少によって表わされるように、性能の損失を示している。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例3
パッケージ内に試料研磨物品を包装する(1パックあたり物品6個、各々の寸法150×200×8mm)。パッケージは、0.0005g/m2・日未満の水蒸気移動速度(WVTR)を有する単層の純粋Alで製造される。物品群を5gの乾燥剤(シリカゲル)と共に包装し、別の群を乾燥剤無しで包装する。乾燥剤は、6〜12メッシュのサイズのFisher Scientific製のシリカゲルである。水の吸収は、乾燥剤1グラムあたり水0.4グラムである。
【0058】
両方の包装研磨物品群を、80%のRHで40℃の人工気象室内に保管する。研磨物品の重量増加を監視し、研磨物品について相対G比を決定する。表3および4は、それぞれ乾燥剤無しの試料および乾燥剤を伴う試料についての水分増加と相対G比を示している。16週間後の水分吸収は、両方の試料セットについてゼロに近いものであり、性能損失はほとんど観察されない。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
実施例4
パッケージ内に試料研磨物品を包装する(150×200×8mmの寸法で1パックあたり6個)。パッケージは、WVTRが3.023g/m2・日の単層ポリエチレン材料で製造される。研磨物品と共にパッケージの内部に5gの乾燥剤を入れて物品群を包装し、別の群を乾燥剤無しで包装する。乾燥剤は、6〜12メッシュのサイズのFisher Scientific製のシリカゲルである。水の吸収は、乾燥剤1グラムあたり水0.4グラムである。5グラムの量の乾燥剤は、5g×0.4=2.0gの水吸収を提供する。
【0062】
両方の研磨物品の群を、40℃で80%RHの人工気象室内に保管する。研磨物品の重量増加を監視し、相対G比を決定する。表5は、2週間にわたる水分増加を示している。
【0063】
40℃/80%RHの湿度室で7日間保管した後、ポリエチレンパッケージを伴ってまたは伴わずに保管された研磨物品における水分増加の差はほとんど観察されない。水分増加は、5グラムの乾燥剤と共にポリエチレンパッケージ内で保管された研磨物品については著しく少ないものである。したがって、乾燥剤を含まないポリエチレン内に包装された試料については保管寿命が著しく短縮される。
【0064】
【表5】
【0065】
実施例5
試料ホイールは、40℃で80%RHの人工気象室内に保管する。試料を計量して、14日間にわたる水分増加を決定する。測定した水分増加を水分増加のシミュレーションと比較する。
【0066】
水分増加のシミュレーションでは、水分増加の変化が試料ホイールの周囲の空気中の水の分圧に正比例することが仮定されている。比例定数を4.545×10−13kg/s・Paに設定し、試料1gあたりH2O0.009gの容量を仮定する。
【0067】
図7、図8および図9は、217グラム、212グラムおよび271グラムの重量をそれぞれ有する3つの試料についてのシミュレートされた水分増加と測定された水分増加の間の比較を示す。示されている通り、シミュレートされた水分増加は、特に図7と図9に例示されている測定された水分増加を密に近似している。
【0068】
実施例6
異なる材料の包装の比較をシミュレートして、包装内部の相対湿度(RH)の時間依存型プロファイルを決定する。相対湿度の変化は、包装材料を通した水蒸気移動の関数である。12週間にわたる40℃および80%RHの外部条件を仮定してシミュレーションを行う。
【0069】
第1の試料は、1.1g/m2・日の水蒸気移動速度(WVTR)を有する金属化フィルム試料である。第2の試料は、0.015g/m2・日のWVTRを有するアルミニウムフィルムである。図10に示されているように、金属化フィルムを伴う試料の内部の相対湿度は、一週間未満のうちに外部湿度に近づく。図11は、アルミニウムフィルム試料の内部相対湿度がより緩慢に上昇し、それでもなお7週間の終りまでには外部相対湿度に近づくということを示している。
【0070】
実施例7
実施例6の試料を、乾燥剤の存在下で切断ホイールによる吸収が全く無いことを仮定して、分析する。外部条件は、40℃と80%RHである。乾燥剤は、1.2928×10−10kg/s・Paの吸収速度定数および乾燥剤1gあたりH2O0.4gの容量を有する。5グラムの乾燥剤を使用する。
【0071】
図12に示す通り、乾燥剤は、金属化フィルム試料についての相対湿度の上昇速度を低下させる。しかしながら、内部相対湿度は、第12週前後で80%に達し、20%RH未満という所望の内部相対湿度を大きく上回る。これとは対照的に、図13に示される通り、アルミニウムフィルム試料については12週間の分析全体を通して内部相対湿度は低いままにとどまっている。
【0072】
実施例8
乾燥剤を伴うおよび伴わないという両方の場合の1つの条件セットの下で許容可能なWVTRの上限を決定するためにシミュレーション装置を使用して分析を行なう。第1の条件セットの下では、26週間にわたり温度および相対湿度が一定であること(25℃、70%RH)を仮定する。第2の条件セット下では、環境には、高温多湿(40℃、80%RH)への曝露4週間とそれに続く中程度の条件(25℃、70%RH)での22週間が含まれるものと仮定する。乾燥剤を伴う試料については、上述の吸収速度定数と容量を有する乾燥剤を10グラム使用する。
【0073】
【表6】
【0074】
表6に示されている通り、乾燥剤無しの試料の上限は、乾燥剤を含む試料よりも数ケタ低いものである。例えば、10グラムの乾燥剤を含む包装設計は、0.60g/m2・日という高いWVTRを有し、一方、乾燥剤無しの包装は0.0008g/m2・日の上限を有する。
【0075】
実施例9
下表7および8に規定されたWVTRを有する多層フィルムについて分析を行なう。第1の多層フィルムは、0.0062g/m2・日のWVTRを有し、第2の多層フィルムは0.0031g/m2・日のWVTRを有する。32℃および90%RHで分析を行なう。表中に示されている通り、内部相対湿度(RH)は急速に20%RHを上回り、120日間かけて90%に近づく。
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
第1の態様において、物品は、0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する自立壁を含む包装材料を含む。包装材料は、閉鎖体積を画定している。物品はさらに、閉鎖体積の内部に配置されたボンド研磨物品を含む。ボンド研磨物品は、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含む。ポリマーマトリックスは、吸湿性材料を含む。第1の態様の一実施例において、水蒸気移動速度は、0.0005g/m2・日以下である。
【0079】
第1の態様の別の実施例においては、ポリマーマトリックスは、フェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せからなる群から選択される。例えば、ポリマーマトリックスはフェノール樹脂である。
【0080】
第1の態様のさらなる実施例において、自立壁は、支持材料およびバリア材料を含む。バリア材料はポリエステルを含み得る。別の実施例において、バリア材料はアルミホイルを含み得る。例えば、アルミホイルは少なくとも1ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンの厚みを有する。支持材料は、熱可塑性材料、硬化したエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せからなる群から選択され得る。例えば、繊維材料はパルプ材料、例えばボール紙を含み得る。別の実施例において、熱可塑性材料はポリオレフィン材料、例えばポリエチレン、または例えばポリプロピレンを含み得る。硬化エラストマーはジエンエラストマを含み得る。
【0081】
追加の実施例において、閉鎖体積内に乾燥剤が配置されている。乾燥剤は、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0082】
別の実施例において、ボンド研磨物品は、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す。さらなる実施例において、物品は、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する
【0083】
第2の態様において、物品は、閉鎖体積を画定し2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する材料で形成された包装材料と;閉鎖体積の内部に配置された乾燥剤と;閉鎖体積の内部に配置されたボンド研磨物品とを含む。ボンド研磨物品は、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含む。ポリマーマトリックスは吸湿性材料を含む。
【0084】
第2の態様の一実施例において、水蒸気移動速度は0.2g/m2・日以下、例えば0.015g/m2・日以下である。水蒸気移動速度は少なくとも0.001g/m2・日であり得る。例えば水蒸気移動速度は0.001/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にあり得る。
【0085】
別の実施例において、材料は剛性材料である。さらなる実施例において、材料はシート材料である。
【0086】
追加の実施例において、乾燥剤は、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される。例えば乾燥剤は、乾燥剤1gあたり少なくとも0.4gのH2Oの容量、例えば乾燥剤1gあたりH2O0.4g〜2.0gの範囲内の容量を有する。
【0087】
さらなる実施例において、材料はバリア層を含み得る。バリア層はポリエステルを含み得る。別の実施例において、バリア層はアルミホイルを含む。例えば、アルミホイルは少なくとも1ミクロン、例えば少なくとも100ミクロン、さらには少なくとも500ミクロンの厚みを有し得る。
【0088】
別の実施例において、ボンド研磨物品は、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す。追加の実施例において、物品は、40゜Cおよび相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する。
【0089】
第3の態様において、ボンド研磨物品を包装する方法は、包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;評定条件を確立するステップと;シミュレーション装置を用いて、包装が評定基準を満たすか否かを決定するステップと;包装が評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと;乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たすか否かを判定するステップと、を含む。
【0090】
第3の態様の一実施例において、方法には、乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと乾燥剤を伴う包装が評定基準を満たすか否かを判定するステップを反復するステップがさらに含まれる。
【0091】
さらなる一実施例において、評定条件には温度、外部相対湿度、および所望の製品保管寿命が含まれる。評定基準には内部相対湿度が含まれ得る。追加の実施例において、評定基準には水分増加が含まれる。
【0092】
別の実施例において、この方法は、シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に乾燥剤を挿入するステップと、ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む。
【0093】
第4の態様において、ボンド研磨製品を包装する方法は、包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;評定システムの評定条件を確立するステップと;シミュレーション装置を用いて、評定システムに付随する評定基準を満たすパッケージを提供するための乾燥剤の量を決定するステップと、を含む。第4の態様の一実施例において、方法は、シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に乾燥剤を挿入するステップと、ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む。
【0094】
第4の態様の別の実施例において、乾燥剤の量を決定するステップには、乾燥剤を伴うパッケージが評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと乾燥剤を伴うパッケージが評定基準を満たすか否かを判定するステップとが含まれる。
【0095】
さらなる実施例において、評定条件には温度、外部相対湿度、および時間的期間が含まれる。一実施例において、評定基準には内部相対湿度が含まれる。別の実施例において、評定基準には、水分増加が含まれる。
【0096】
一般的説明または実施例の中で上述した活動の全てが必要とされるわけではないこと、具体的活動の一部分は必要とされないかもしれないこと、そして記述された活動に加えて1つ以上のさらなる活動が実施されるかもしれないことに留意されたい。さらにまた、これらの活動の列挙順序は、必ずしもその実施順序ではない。
【0097】
以上の明細書部分では、具体的実施形態を参照しながら概念を説明してきた。しかしながら、当業者であれば、以下のクレーム中で記されている本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな修正および変更を加えることが可能であるということを認識する。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなくむしろ例示的な意味で考慮されるべきものであり、このような修正は全て、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0098】
本明細書中で使用される「含む(comprises、comprising、includes、including)」「有する(has、having)」という用語あるいはそれらの他のあらゆる変形形態は、非排他的包含を網羅するように意図されている。例えば、一連の特徴を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはこのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他の特徴を含んでいてよい。さらに、明示的な別段の記載がないかぎり、「または(or)」は排他的orではなく包含的orを意味する。例えば、条件AまたはBは、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない);Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する);およびAとBの両方が真である(または存在する)という状態のいずれか1つによって、満たされる。
【0099】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書中で記述される要素および成分を記述するために用いられている。これは単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的意味合いを提供するために行なわれることである。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものとして解釈されるべきであり、別段の意図があることが自明であるのでないかぎり、単数は複数も同様に含んでいる。
【0100】
以上では具体的実施形態に関して、利益、他の利点、および課題に対する解決法を記述してきた。しかしながら、利益、利点および課題に対する解決法、および任意の利益、利点または解決法を発生させるまたはより顕著にさせるかもしれない任意の1つまたは複数の特徴は、いずれかのまたは全てのクレームの重要な、所要のまたは不可欠な特徴とみなされるべきではない。
【0101】
明細書を読んだ上で、当業者であれば、一部の特徴が明確さを期して本明細書中で別個の実施形態に関連して記述されているものの、単一の実施形態に組合せた形で提供されてもよい、ということを認識するものである。逆に、簡潔さを期して単一の実施形態に関連して記述されているさまざまな特徴は、別個にまたは任意の下位組合せの形で提供されてもよいものである。さらに、範囲の形で記載された値に対する言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する自立壁を含み、閉鎖体積を画定する包装材料と;
前記閉鎖体積の内部に配置され、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含むボンド研磨物品であって、前記ポリマーマトリックスが吸湿性材料を含むボンド研磨物品と;
を含む物品。
【請求項2】
前記水蒸気移動速度が0.0005g/m2・日以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックスが、フェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せからなる群から選択される請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックスがフェノール樹脂である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記自立壁が支持材料およびバリア材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記バリア材料がポリエステルを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記バリア材料がアルミホイルを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記アルミホイルが少なくとも1ミクロンの厚みを有する、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記厚みが少なくとも100ミクロンである、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記厚みが少なくとも500ミクロンである、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記支持材料が、熱可塑性材料、硬化したエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の物品。
【請求項12】
前記繊維材料がパルプ材料を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記パルプ材料がボール紙を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記熱可塑性材料がポリオレフィン材料を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項15】
前記ポリオレフィン材料がポリエチレンを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記ポリオレフィン材料がポリプロピレンを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記硬化エラストマーがジエンエラストマを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項18】
前記閉鎖体積内に配置された乾燥剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記乾燥剤が、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記ボンド研磨物品が、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
閉鎖体積を画定し2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する材料で形成された包装材料と;
前記閉鎖体積の内部に配置された乾燥剤と;
前記閉鎖体積の内部に配置され、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含むボンド研磨物品であって、前記ポリマーマトリックスが吸湿性材料を含むボンド研磨物品と;
を含む物品。
【請求項23】
前記水蒸気移動速度が0.2g/m2・日以下である、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記水蒸気移動速度が0.015g/m2・日以下である、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記水蒸気移動速度が少なくとも0.001g/m2・日である、請求項22に記載の物品。
【請求項26】
前記水蒸気移動速度が0.001/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にある、請求項22に記載の物品。
【請求項27】
前記材料が剛性材料である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項28】
前記材料がシート材料である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
前記乾燥剤が、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項30】
前記乾燥剤が、乾燥剤1gあたり少なくともH2O0.4gの容量を有する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
前記容量が、乾燥剤1gあたりH2O0.4g〜0.2gの範囲内である、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記材料がバリア層を含む、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項33】
前記バリア層がポリエステルを含む、請求項32に記載の物品。
【請求項34】
前記バリア層がアルミホイルを含む、請求項32に記載の物品。
【請求項35】
前記アルミホイルが少なくとも1ミクロンの厚みを有する、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記厚みが少なくとも100ミクロンである、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記厚みが少なくとも500ミクロンである、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
前記ボンド研磨物品が、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項39】
前記物品が、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項40】
ボンド研磨物品を包装する方法において、
包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;
評定条件を確立するステップと;
シミュレーション装置を用いて、包装が評定基準を満たすか否かを決定するステップと;
前記包装が前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと;
乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たすか否かを判定するステップと;
を含む方法。
【請求項41】
乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の前記量を増分させるステップと前記乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たすか否かを判定するステップを反復するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記評定条件には温度、外部相対湿度、および所望の製品保管寿命が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記評定基準には内部相対湿度が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記評定基準には水分増加が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に前記乾燥剤を挿入するステップと、前記ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
ボンド研磨製品を包装する方法において、
包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;
評定システムの評定条件を確立するステップと;
シミュレーション装置を用いて、前記評定システムに付随する評定基準を満たすパッケージを提供するための乾燥剤の量を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項47】
前記シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に前記乾燥剤を挿入するステップと、前記ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
乾燥剤の前記量を決定するステップには、乾燥剤を伴う前記パッケージが前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の前記量を増分させるステップと前記乾燥剤を伴う前記パッケージが前記評定基準を満たすか否かを判定するステップとが含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記評定条件には温度、外部相対湿度、および時間が含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記評定基準には内部相対湿度が含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記評定基準には水分増加が含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項1】
0.001g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する自立壁を含み、閉鎖体積を画定する包装材料と;
前記閉鎖体積の内部に配置され、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含むボンド研磨物品であって、前記ポリマーマトリックスが吸湿性材料を含むボンド研磨物品と;
を含む物品。
【請求項2】
前記水蒸気移動速度が0.0005g/m2・日以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックスが、フェノール樹脂、ホウ素改質樹脂、ナノ粒子改質樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾキサジン、ポリエステル樹脂、イソシアヌレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂、他の適切な熱硬化性または熱可塑性樹脂またはその任意の組合せからなる群から選択される請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックスがフェノール樹脂である、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記自立壁が支持材料およびバリア材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記バリア材料がポリエステルを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記バリア材料がアルミホイルを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記アルミホイルが少なくとも1ミクロンの厚みを有する、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記厚みが少なくとも100ミクロンである、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記厚みが少なくとも500ミクロンである、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記支持材料が、熱可塑性材料、硬化したエラストマー、繊維質材料またはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の物品。
【請求項12】
前記繊維材料がパルプ材料を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記パルプ材料がボール紙を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記熱可塑性材料がポリオレフィン材料を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項15】
前記ポリオレフィン材料がポリエチレンを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記ポリオレフィン材料がポリプロピレンを含む、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記硬化エラストマーがジエンエラストマを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項18】
前記閉鎖体積内に配置された乾燥剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記乾燥剤が、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記ボンド研磨物品が、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
閉鎖体積を画定し2.0g/m2・日以下の水蒸気移動速度を有する材料で形成された包装材料と;
前記閉鎖体積の内部に配置された乾燥剤と;
前記閉鎖体積の内部に配置され、ポリマーマトリックス中に分散した砥粒を含むボンド研磨物品であって、前記ポリマーマトリックスが吸湿性材料を含むボンド研磨物品と;
を含む物品。
【請求項23】
前記水蒸気移動速度が0.2g/m2・日以下である、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記水蒸気移動速度が0.015g/m2・日以下である、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記水蒸気移動速度が少なくとも0.001g/m2・日である、請求項22に記載の物品。
【請求項26】
前記水蒸気移動速度が0.001/m2・日〜0.01g/m2・日の範囲内にある、請求項22に記載の物品。
【請求項27】
前記材料が剛性材料である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項28】
前記材料がシート材料である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
前記乾燥剤が、金属酸化物または水酸化物スカベンジャー、金属硫酸塩スカベンジャー、金属ハロゲン化物スカベンジャー、金属ケイ酸塩、他の無機スカベンジャー、有機金属スカベンジャー、金属リガンド、有機スカベンジャーまたはその任意の組合せからなる群から選択される、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項30】
前記乾燥剤が、乾燥剤1gあたり少なくともH2O0.4gの容量を有する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
前記容量が、乾燥剤1gあたりH2O0.4g〜0.2gの範囲内である、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記材料がバリア層を含む、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項33】
前記バリア層がポリエステルを含む、請求項32に記載の物品。
【請求項34】
前記バリア層がアルミホイルを含む、請求項32に記載の物品。
【請求項35】
前記アルミホイルが少なくとも1ミクロンの厚みを有する、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記厚みが少なくとも100ミクロンである、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記厚みが少なくとも500ミクロンである、請求項36に記載の物品。
【請求項38】
前記ボンド研磨物品が、40℃および相対湿度80%という外部条件で12週間後に、少なくとも0.8の相対G比を示す、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項39】
前記物品が、40℃および相対湿度80%で25週間後に、20℃で50%以下の内部相対湿度を有する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項40】
ボンド研磨物品を包装する方法において、
包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;
評定条件を確立するステップと;
シミュレーション装置を用いて、包装が評定基準を満たすか否かを決定するステップと;
前記包装が前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の量を増分させるステップと;
乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たすか否かを判定するステップと;
を含む方法。
【請求項41】
乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の前記量を増分させるステップと前記乾燥剤を伴う前記包装が前記評定基準を満たすか否かを判定するステップを反復するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記評定条件には温度、外部相対湿度、および所望の製品保管寿命が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記評定基準には内部相対湿度が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記評定基準には水分増加が含まれる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に前記乾燥剤を挿入するステップと、前記ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
ボンド研磨製品を包装する方法において、
包装材料の水蒸気移動速度を決定するステップと;
評定システムの評定条件を確立するステップと;
シミュレーション装置を用いて、前記評定システムに付随する評定基準を満たすパッケージを提供するための乾燥剤の量を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項47】
前記シミュレーション装置からの出力にしたがってパッケージ内に前記乾燥剤を挿入するステップと、前記ボンド研磨物品を挿入するステップとをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
乾燥剤の前記量を決定するステップには、乾燥剤を伴う前記パッケージが前記評定基準を満たさない場合、乾燥剤の前記量を増分させるステップと前記乾燥剤を伴う前記パッケージが前記評定基準を満たすか否かを判定するステップとが含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記評定条件には温度、外部相対湿度、および時間が含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記評定基準には内部相対湿度が含まれる、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記評定基準には水分増加が含まれる、請求項46に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−514903(P2013−514903A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546261(P2012−546261)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062421
【国際公開番号】WO2011/082261
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【出願人】(507169495)サン−ゴバン アブラジフ (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062421
【国際公開番号】WO2011/082261
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【出願人】(507169495)サン−ゴバン アブラジフ (41)
【Fターム(参考)】
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