説明

包装箱

【課題】大きさの異なる被収容物の収容に共用することができて、製造に要するコストを低減することができるとともに、それらの被収容物を安定に収容することができる包装箱を提供する。
【解決手段】前後側板23,24、上下側板25,26及び左右側板27,28により、包装箱21を構成する。各側板23〜28のうちの少なくとも一つの側板の端部には、側面において被収容物を押し付け保持可能な押さえ片33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエアクリーナ用のフィルタエレメント等を収容することに用いられる包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフィルタエレメント等の包装箱は、厚紙を用いて構成され、被収容物の大きさや形に合わせた形状に形成されたものが一般的である。従って、被収容物の大きさや形に適合する包装箱を被収容物の種類ごとに用意しているため、包装箱の種類が多くなって、包装箱の製造に要するコストが高くなることは回避できない。また、包装箱を共通化するために、容積の大きな包装箱を用いて小さな被収容物を収容した場合には、被収容物が収容空間内でガタツキを生じ、このため、被収容物を店舗において陳列するような場合は、商品価値が低下してしまうということもある。
【0003】
これらの問題に対応できる構成として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載された構成も存在する。特許文献1に記載された従来構成においては、箱内に仕切りを設けて、その仕切りとの接触により被収容物を斜めにして被収容物の量の増減に対応できるとしている。特許文献2に記載された従来構成においては、箱内のストッパ片がその端縁において被収容物の移動を規制することにより、サイズの異なる被収容物に対応できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−72852号公報
【特許文献2】特開2004−210314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来構成においては、平らな仕切りの側面において被収容物に接するようになっているため、仕切りの傾斜角度の大小によってのみ異なる大きさの被収容物に対応するようになっている。従って、この特許文献1の構成においては、被収容物の大きさや形の変化に柔軟に対応することはできない。つまり、この特許文献1は、被収容物に対する対応の幅が狭く、大きさや形の異なる多様な被収容物に対応することは困難である。
【0006】
また、特許文献2の従来構成では、ストッパ片の端縁において被収容物を規制するようになっているため、その規制は、ストッパ片の基部から端縁までの寸法に依存する。このため、1種類の被収容物にしか対応できず、前記特許文献1の従来構成よりもさらに被収容物の種類に対する対応の柔軟性が乏しい。
【0007】
以上のように、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、被収容物の大きさや形に対する対応機能が充分ではないため、多種類の包装箱を用意する必要があった。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、大きさや形の異なる被収容物の収容に共用することができて、包装箱に関する製造コストを低減することができる包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、前後、上下、左右の各側板よりなる包装箱において、前記各側板のうちの少なくとも一つの側板の端部には、側面において自身の弾力性を利用して被収容物を押し付け可能な押さえ片を設けたことを特徴としている。
【0009】
従って、この発明の包装箱においては、大きさの異なる被収容物を収容した場合でも、押さえ片の弾性により被収容物が包装箱内に押し付け保持される。よって、従来構成とは異なり、被収容物の大きさに適合する容積の多種類の包装箱を各別に用意する必要がなく、各種の被収容物の収容に共用することができて、包装箱の製造に要するコストを低減することができる。また、被収容物が押さえ片により収容状態に押し付け保持されているため、包装箱内に小さな被収容物を収容した場合でも、被収容物をガタツキが生じることなく保持することができる。
【0010】
前記の構成において、前記押さえ片を左右側板のうちの少なくとも一方の側板の端部に設けるとよい。このように構成した場合には、押さえ片を包装箱内に容易に折り込むことができるとともに、その押さえ片を被収容物の外面に当接させることにより、被収容物を包装箱内に押し付け保持することができる。
【0011】
前記の構成において、前記押さえ片の先端部には折り目線を形成するとよい。このように構成した場合には、押さえ片の先端部を折り目線により湾曲させて、被収容物の外面に圧接させることができる。
【0012】
前記の構成において、前記押さえ片の基端部には切り離し用のミシン目を形成するとよい。このように構成した場合には、押さえ片が不要のとき、その押さえ片をミシン目から容易に切り離して除去することができる。
【0013】
前記の構成において、前記押さえ片にはその押さえ片を幅方向へ分割するためのミシン目を形成するとよい。このように構成した場合には、押さえ片をミシン目から幅方向へ分割して、それらの分割片を被収容物の上面や背面等の別の外面に対して当接させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、大きさの異なる被収容物の収容に共用することができて、包装箱の製造に要するコストを低減することができるとともに、それらの被収容物を安定に収容することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の包装箱を示す斜視図。
【図2】図1の包装箱を展開して示す正面図。
【図3】同包装箱に被収容物を収容した状態を示す断面図。
【図4】図3の場合と大きさの異なった被収容物を収容した状態を示す断面図。
【図5】図3及び図4の場合と大きさの異なった被収容物の収容状態を示す断面図。
【図6】図3〜図5の場合と大きさの異なった被収容物の収容状態を示す断面図。
【図7】図3〜図6の場合と大きさの異なった被収容物の収容状態を示す断面図。
【図8】図3〜図7の場合と大きさの異なった被収容物の収容状態を示す断面図。
【図9】第2実施形態の包装箱を示す斜視図。
【図10】第3実施形態の包装箱を示す斜視図。
【図11】図10の包装箱に被収容物を収容した状態を示す断面図。
【図12】図11の12-12線における断面図。
【図13】図11の場合と大きさの異なった被収容物の収容状態を示す断面図。
【図14】図11及び図13の場合と大きさの異なった被収容物を収容する状態を示す斜視図。
【図15】図14の包装箱に被収容物を収容した状態を示す断面図。
【図16】第4実施形態の包装箱を示す斜視図。
【図17】図16の包装箱に被収容物を収容した状態を示す断面図。
【図18】図17の18-18線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した包装箱の第1実施形態を、図1〜図8に従って説明する。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の包装箱21は厚紙,合成樹脂板等の板材により四角箱形状に形成され、その内部には例えばエアクリーナ用のフィルタエレメント等の被収容物Tを収容するための収容空間22が形成されている。すなわち、図2の展開図に示すように、包装箱21は、1枚の板材上に、前後の側板23,24、上下の側板25,26及び左右の側板27,28が、それぞれ折り目線29を介して一体形成されている。後側板24の一方側端縁には、糊付け片30が折り目線29を介して一体形成されている。上下両側板25,26の先端縁には、折り込み片31が折り目線29を介して一体形成されている。左右両側板27,28の下端縁には、折り込み片32が折り目線29を介して一体形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、前記左右両側板27,28の上端縁には、帯状の押さえ片33が折り目線29を介して一体形成されている。これらの押さえ片33は、前後両側板23,24の左右寸法及び上下寸法よりも長くなるように形成されている。各押さえ片33の先端部には、複数本(この実施形態においては2本)の折り目線34が間隔をおいて形成されている。各押さえ片33の基端部には切り離し用のミシン目35が、前後両側板23,24との間の折り目線29から上下両側板25,26の幅寸法(図2の上下方向の寸法)とほぼ同一の間隔をおいて形成されている。
【0019】
そして、図3〜図7に示すように、包装箱21の収容空間22内に、その収容空間22の容積よりも小さい被収容物Tを収容する場合には、これらの押さえ片33が折り目線29を介して収容空間22内に折り込まれる。この場合、押さえ片33の先端部が折り目線34において湾曲方向の内側に折り曲げられることにより、押さえ片33を収容空間22内に入り込みやすくしている。そして、収容空間22内において押さえ片33の側面が被収容物Tの外面にその押さえ片33の弾力を利用して圧接される。この圧接により、被収容物Tが収容空間22内において保持される。また、図5、図6及び図8に示すように、被収容物Tの形状や大きさによって、押さえ片33を必要としない場合には、押さえ片33が基端部のミシン目35において切り離して除去される。
【0020】
包装箱21の外側の面には、装飾用の印刷が施されるとともに、被収容物の種類を印刷したシール(図示しない)が貼り付けられている。
次に、前記のように構成された包装箱の包装機能について説明する。
【0021】
さて、図3に示すように、包装箱21の収容空間22内に、その収容空間22の前後寸法(厚さ)とほぼ同一で、収容空間22の上下寸法(高さ)及び左右寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の一側下部に片寄せて配置する。この状態で、両押さえ片33の先端部を折り目線34において内側に折り曲げ、その状態で両押さえ片33を収容空間22内に入り込ませて、湾曲状態の各押さえ片33の側面を被収容物Tの上面及び側面に押さえ片33の弾力を利用して圧接させる。この圧接により、被収容物Tが収容空間22内に安定して保持される。
【0022】
また、図4に示すように、収容空間22の前後寸法(厚さ)及び上下寸法(高さ)とほぼ同一で、収容空間22の左右寸法よりも小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の左右中央部に配置する。この状態で、前記の場合とほぼ同様に、両押さえ片33の先端部を内側に折り曲げるとともに、それらの押さえ片33を収容空間22内に入り込ませて、湾曲状態の各押さえ片33の側面を被収容物Tの両側面に圧接させる。この圧接により、被収容物Tが収容空間22内に安定に保持される。
【0023】
さらに、図5に示すように、収容空間22の前後寸法(厚さ)及び上下寸法(高さ)とほぼ同一で、収容空間22の左右寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の左右一側部に片寄せて配置する。この状態で、被収容物Tと対応する側の押さえ片33をミシン目35から切り離して除去して、残りの部分33aを折り目線29から内側に折り込む。それとともに、反対側の押さえ片33を収容空間22内に入り込ませて、その押さえ片33の側面を被収容物Tの側面に圧接させる。このため、被収容物Tが収容空間22内に安定に保持される。
【0024】
続いて、図6に示すように、収容空間22の前後寸法及び左右寸法とほぼ同一で、収容空間22の上下寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の下部に配置する。この状態で、いずれか一方の押さえ片33をミシン目35から切り離して除去し、残りの部分33aを折り目線29から内側に入り込ませる。それとともに、他方の押さえ片33を収容空間22内に入り込ませて、その押さえ片33の側面を被収容物Tの上面に圧接させる。従って、被収容物Tが収容空間22内の下部安定に保持される。
【0025】
また、図7に示すように、収容空間22の前後寸法及び左右寸法とほぼ同一で、収容空間22の上下寸法よりも極めて小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の下部に配置する。この状態で、両押さえ片33を収容空間22内に入り込ませて、それらの押さえ片33を被収容物Tの上面に圧接させる。この圧接により、被収容物Tが収容空間22内の下部において安定に保持される。
【0026】
さらに、図8に示すように、収容空間22の前後寸法、上下寸法及び左右寸法とほぼ同一の被収容物Tを収容する場合には、両押さえ片33をミシン目35から切り離して除去する。そして、被収容物Tを収容空間22内に配置した状態で、両押さえ片33の残りの部分33aを折り目線29から内側に折り込むことにより、被収容物Tが収容空間22内に隙間なく安定して収容保持される。
【0027】
以上のように、この実施形態の包装箱においては、被収容物Tの大きさや形が異なる場合でも、押さえ片33により被収容物Tがその押さえ片33の弾性を利用して収容空間22内の収容状態に安定して保持される。従って、この実施形態においては、以下の効果がある。
【0028】
(1) この第1実施形態においては、従来構成とは異なり、被収容物の各種の大きさや形に適合する容積の多種類の包装箱を被収容物ごとに各別に用意する必要がなく、各種の被収容物Tの収容に共用することができる。このため、包装箱21の製造に要するコストを低減することができる。
【0029】
(2) 被収容物Tが常に押さえ片33の側面によって押さえ片33の弾力を利用して収容状態に押し付け保持される。このため、包装箱21の収容空間22内にその容積よりも小さな被収容物Tを収容した場合でも、被収容物Tを包装箱21内で安定に保持することができる。従って、包装箱21を店舗等において陳列する場合に、商品価値を高めることができる。
【0030】
(3) 押さえ片33の先端部に折り目線34が形成されているため、押さえ片33を収容空間22内に入り込ませる際に、その押さえ片33の先端部を折り目線34により内側に折り曲げれば、収容空間22に対する押さえ片33の入り込みを円滑に行うことができる。
【0031】
(4) 押さえ片33の基端部に切り離し用のミシン目35が形成されているため、押さえ片33が不要の場合に、その押さえ片33をミシン目35から容易に切り離して除去することができる。従って、押さえ片33が不要な場合には、その押さえ片33が邪魔になることを回避できる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した包装箱の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0033】
さて、この第2実施形態においては、図9に示すように、押さえ片33が左右両側板27,28のうちのいずれか一方の側板27の上端縁のみに突出形成されている。そして、他方の側板28の上端縁には、折り込み片41が折り目線29を介して一体に形成されている。そして、前記第1実施形態の場合と同様に、押さえ片33の先端部には複数の折り目線34が形成されるとともに、基端部には切り離し用のミシン目35が形成されている。
【0034】
よって、この第2実施形態の包装箱21では、前述した第1実施形態の包装箱21における被収容物Tの収容方法のうちで、図5及び図6に示す大きさの被収容物Tを収容する場合に、押さえ片33をミシン目35から切り離して除去することなく適用することができる。また、図8に示す大きさの被収容物Tを収容する場合にも、1つの押さえ片33をミシン目35から切り離して除去することにより適用することができる。
【0035】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態の場合とほぼ同様な効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した包装箱の第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0036】
さて、この第3実施形態においては、図10〜図15に示すように、左右両側板27,28の上端縁に前記第1実施形態と同様な外形状の押さえ片33が一体に形成され、各押さえ片33にはその押さえ片33を幅方向の中央部において分割するためのミシン目42が押さえ片33の長手方向に沿って形成されている。そして、被収容物Tの大きさ等に応じて、各押さえ片33をミシン目42から前後2つの分割片33A,33Bに分割して用いるようになっている。
【0037】
よって、この第3実施形態の包装箱21では、前述した第1実施形態の包装箱21における被収容物Tの収容方法のうちで、図3、図4及び図7に示す大きさの被収容物Tを収容する場合に、両各押さえ片33をミシン目42から分割することなく、そのままの状態で用いることにより適用するこができる。また、図5及び図6に示す大きさの被収容物Tを収容する場合には、一方の押さえ片33を切り離し用のミシン目35から切り離し除去するとともに、他方の押さえ片33を分割用のミシン目42から分割することなく、そのままの状態で用いることにより適用するこができる。さらに、図8に示す大きさの被収容物Tを収容する場合には、両押さえ片33を切り離し用のミシン目35から切り離し除去することにより適用するこができる。
【0038】
また、図11及び図12に示すように、収容空間22の前後寸法(厚さ)のほぼ半分の前後幅で、収容空間22の上下寸法及び左右寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の一側下部の前方または後方に片寄せて配置する。この状態で、被収容物Tと対応する側の押さえ片33を前後幅分割用のミシン目42から前後2つの分割片33A,33Bに分割する。そして、前方分割片33Aを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの上面に圧接させるとともに、後方分割片33Bを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの後面と後側板24または前側板23との間にスペーサとして介在させる。それとともに、反対側の押さえ片33を分割することなく、そのままの状態で収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの側面に圧接させる。このため、被収容物Tが薄く、かつ小さいものであっても、収容空間22内に安定保持される。
【0039】
次に、図13に示すように、収容空間22の前後寸法(厚さ)のほぼ半分の前後幅で、収容空間22の上下寸法とほぼ同一であるとともに、収容空間22の左右寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の一側部の前方または後方に片寄せて配置する。この状態で、図13及び図14に示すように、被収容物Tと対応する側の押さえ片33を分割用のミシン目42から前後2つの分割片33A,33Bに分割し、前方分割片33Aまたは後方分割片33Bを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの側面に圧接させるとともに、後方分割片33Bまたは前方分割片33Aを切り離し用のミシン目35から切り離し除去する。また、反対側の押さえ片33も分割用のミシン目42から前後に分割し、前方分割片33Aまたは後方分割片33Bを切り離し用のミシン目35から切り離し除去するとともに、後方分割片33Bまたは前方分割片33Aを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの後面と後側板24との間にスペーサとして介在させる。このため、被収容物Tが収容空間22内に安定して保持される。
【0040】
続いて、図15に示すように、収容空間22の前後寸法のほぼ半分の前後幅で、収容空間22の左右寸法とほぼ同一であるとともに、収容空間22の上下寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の下部の前方または後方に片寄せて配置する。この状態で、図14及び図15に示すように、いずれか一方の押さえ片33を分割用のミシン目42から前後に分割し、前方分割片33Aまたは後方分割片33Bを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの上面に圧接させるとともに、後方分割片33Bまたは前方分割片33Aを切り離し用のミシン目35から切り離し除去する。また、他方の押さえ片33も分割用のミシン目42から前後に分割し、前方分割片33Aまたは後方分割片33Bを切り離し用のミシン目35から切り離し除去するとともに、後方分割片33Bまたは前方分割片33Aを収容空間22内に入れ込んで被収容物Tの後面と後側板24との間にスペーサとして介在させる。従って、被収容物Tが収容空間22内に安定して保持される。
【0041】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、この第3実施形態においては、以下の効果を有する。
【0042】
(5) 押さえ片33にその押さえ片33を幅方向へ分割するためのミシン目42が形成されている。このため、押さえ片33を分割することなく用いた場合には、前記第1実施形態と同様に、収容空間22の前後寸法(厚さ)と同一で、上下寸法や左右寸法が異なった種々の大きさの被収容物Tを収容することができる。そして、押さえ片33をミシン目42から幅方向へ分割して、それらの分割片33A,33Bを被収容物Tの上面や背面または前面に当接させることにより、収容空間22の前後寸法(厚さ)より薄く、しかも、収容空間22と上下寸法や左右寸法が異なった種々の大きさの被収容物Tにも適用することができる。
【0043】
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した包装箱の第4実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
さて、この第4実施形態においては、図16〜図18に示すように、上側板25の先端縁に広幅状の押さえ片33が折り目線29を介して一体に形成されている。押さえ片33の先端部には2本の折り目線34が形成されている。押さえ片33の基端部には切り離し用のミシン目35が形成されるとともに、上下方向のほぼ中央部には分離用のミシン目43が形成されている。押さえ片33には、その押さえ片33を幅方向へ3つの分割片33A,33B,33Cに分割するための2本の分割用のミシン目42が形成されている。
【0045】
よって、この包装箱21を用いて、図17及び図18に示すように、収容空間22の前後寸法とほぼ同一で、収容空間22の上下寸法及び左右寸法より小さい被収容物Tを収容する場合には、被収容物Tを収容空間22内の一側下部、例えば左側下部に片寄せて配置する。この状態で、分割片33A,33B,33Cを例えば右側の分割用ミシン目42において、広幅状の分割片33A,33Bと細幅状の分割片33Cとに分割する。そして、広幅状の分割片33A,33Bを分離用のミシン目43にて分離短縮した状態で、収容空間22内に折り込んで被収容物Tの上面に圧接させるとともに、細幅状の分割片33Cを収容空間22内に折り込んで被収容物Tの側面と右側板28との間にスペーサとして介在させる。このため、被収容物Tが収容空間22内に安定して保持される。
【0046】
従って、この第4実施形態においても、前記第1実施形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0047】
・ 前記各実施形態において、押さえ片33を前後側板23,24、上下側板25,26及び左右側板27,28よりなる本体部とは別に、厚紙よりなる板材により形成して、貼着等により本体部の所要箇所(例えば左右側板27,28の上端部)に固定すること。
【0048】
・ 前記第3及び第4実施形態において、分割用のミシン目42の本数を変更すること。
【符号の説明】
【0049】
21…包装箱、22…収容空間、23…前側板、24…後側板、25…上側板、26…下側板、27…左側板、28…右側板、29…折り目線、33…押さえ片、34…折り目線、35…ミシン目、42…ミシン目、43…ミシン目、T…被収容物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後、上下、左右の各側板よりなる包装箱において、
前記各側板のうちの少なくとも一つの側板の端部には、側面において自身の弾力性を利用して被収容物を押し付け可能な押さえ片を設けたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記押さえ片を左右側板のうちの少なくとも一方の側板の端部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記押さえ片の先端部には折り目線を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記押さえ片の基端部には切り離し用のミシン目を形成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記押さえ片にはその押さえ片を幅方向へ分割するためのミシン目を形成したことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−202223(P2010−202223A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47216(P2009−47216)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】