説明

包装箱

【課題】高い視認性と強度を両立させた包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、頂面2、底面3および側面4、5、6、7を備える。ここで、頂面2は、包装箱1を販売場所に陳列展示するときに、上になる面であり、底面3は下になる面である。また、側面4、5、6、7は、頂面2と底面3の間にあって、両者を連結する面である。また、包装箱1は、切り抜き窓8を備えている。切り抜き窓8は、側面5から始まり、側面5と側面6の境界の辺(側面5と側面6が共有する辺)を越えて、側面6に達し、側面5および側面6に開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、特に、長尺の蛍光灯照明器具を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
透明プラスチックと板紙を組み合わせてなるブリスター包装体に、照明器具を収納して、販売場所に陳列展示することが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたブリスター包装体は、透明プラスチックを照明器具の外形に合わせて成形した収納部を板紙に装着してなり、該収納部に照明器具を収納するので、収納された照明器具の外形を、包装体の外部から十分に視認できる。
【0004】
しかしながら、このブリスター包装体の収納部は、プラスチックで成形されるので、強度が低く、ブリスター包装体を積み上げて保管運搬すると、収納部に変形や破損が生ずるという問題があった。また、二酸化炭素排出量の削減を目指す昨今の社会情勢からも、包装体に使用されるプラスチック量は、出来る限り削減されるのが望ましい。
【0005】
また、板紙を折り曲げて組み立てられて、六面体を形成してなる包装箱は、十分な強度を確保でき、プラスチックの使用量を削減できるが、包装箱の外部から収納物を視認できない。
【0006】
そこで、特許文献2では、板紙を折り曲げて組み立てられた包装箱の側面の一部を切り明けて、開口窓を設けることを提案している。この包装箱は、プラスチック製のブリスター包装体に比べて高い強度が得られるし、包装箱の外部から収納物を視認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−349042号公報
【特許文献2】登録実用新案第3008915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2の包装箱の開口窓は、いずれか一面の側面に開口するので、ブリスター包装体に比べると、視認性はまだ十分でないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高い視認性と強度を両立させた包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る包装箱は、一枚の板紙から組み立てられて六面体状をなすとともに、切り抜き窓を有する包装箱において、前記切り抜き窓は、前記六面体のいずれか1の面に開口するとともに、前記1の面のいずれかの辺を越えて、前記辺を前記1の面と共有する第2の面まで連続して開口していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隣接する2枚以上の面に連続して開口される切り抜き窓を介して、収納物の外形を十分に視認できる。また、高い強度を有するので、包装箱を積み上げても、変形や破損が生じる虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装箱の外形図であり、(a)は組み立てた状態を示す斜視図、(b)は展開図、(c)は底面図をそれぞれ示す。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る包装箱の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る包装箱の展開図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る包装箱の外形図であり、(a)は斜視図、(b)、(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る透明シートの外形図であり、(a)は透明シート単体の斜視図、(b)は透明シートを包装箱に取り付けた状態を示す斜視図をそれぞれ示す。
【図6】本発明の他の実施形態に係る包装箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
包装箱1は、図1(a)に示すような六面体をなす箱体であって、図1(b)に示すような板紙を折り曲げて組み立てられる。また、包装箱1は、頂面2、底面3および側面4、5、6、7を備える。ここで、頂面2は、包装箱1を販売場所に陳列展示するときに、上になる面であり、底面3は下になる面である。また、側面4、5、6、7は、頂面2と底面3の間にあって、両者を連結する面である。また、包装箱1は、切り抜き窓8を備えている。
【0015】
頂面2は、図1(b)に示すように、側面5に接続されて、折辺5aを側面5と共有し、折辺5aにおいて、側面5に対して直角になるように、折り曲げられる。
【0016】
側面4、5、6、7の下方には、蓋片9、10、11、12が、それぞれ接続されて、折辺4b、5b、6b、7bを、それぞれ蓋片9、10、11、12と共有している。蓋片9、10、11、12は、それぞれ折辺4b、5b、6b、7bにおいて、それぞれ側面4、5、6、7に対して直角になるように折り曲げられるとともに、互いに係合して、底面3を形成する(図1(c)参照)。
【0017】
切り抜き窓8は、側面5から始まり、側面5と側面6の境界の辺(側面5と側面6が共有する辺)を越えて、側面6に達し、側面5および側面6に開口している。
【0018】
側面4の左方には、図1(b)に示すように、折辺4cを側面4と共有する糊代13が接続されている。また、糊代13は、折辺4cにおいて、側面4に対して直角になるように折り曲げられて、側面7に重ねられて接着される。
【0019】
側面7は、図1(a)に示すように、頂面2の上方に伸びるヘッダー部14を形成している。また、ヘッダー部14には、フック穴15、16が開口している。
【0020】
また、ヘッダー部14は、折辺14a(図1(b)参照)で折り返されて、2枚の板紙が重ねられて、強度が高められている。
【0021】
包装箱1は、図2に示すように、照明器具17を収納して、図示しない陳列棚に取り付けられたフック18、19を、フック穴15、16に通して、該陳列棚に吊り下げられる。先述したように、包装箱1には、側面5から側面6まで連続して、切り抜き窓8が大きく開口されているので、切り抜き窓8を通じて、照明器具17を十分に視認できる。なお、包装箱1に収納される照明器具17は、直管形の蛍光灯を装着する長尺の蛍光灯照明器具である。
【0022】
また、包装箱1は、板紙を素材とする箱体なので、変形や破損が生じない程度の剛性や強度を持たせることが容易である。また、ヘッダー部14は、板紙が折り返されて二重に重ねられているので、フック18、19をフック穴15、16に通しても、フック穴15、16が裂ける危険は小さい。
【0023】
また、底面3は、4つの蓋片9、10、11、12が互いに係合されて形成されるので、底面に垂直な方向の荷重に対して強い。そのため、照明器具17の重量で底面3が抜け落ちることはない。
【0024】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、側面5から側面6まで連続して開口された切り抜き窓8を備える例について示したが、さらに大きな切り抜き窓8を包装箱1に備えてもよい。例えば、図3に示すように、側面4から始まって、側面5を通って、さらに側面6に達するように切り抜かれた切り抜き窓8を包装箱1に備えてもよい。
【0025】
この包装箱1では、図4(a)〜(c)に示すように、大きな切り抜き窓8を通じて、包装箱1の内部に収納された照明器具17を、さらに十分に視認することができる。
【0026】
(第3の実施形態)
また、切り抜き窓8を透明フィルム20でカバーしてもよい。
【0027】
透明フィルム20は、プラスチックシートを、図5(a)に示すような形状に切り出して、L字状に折り曲げられて形成される。また、透明フィルム20の両端には、一対の張出部21、22が備えられる。なお、透明フィルム20は、切り抜き窓8の全体をカバーするように、切り抜き窓8よりも大きな寸法とする。
【0028】
透明フィルム20は、図5(b)に示すように、包装箱1の内側に装着されて、切り抜き窓8をカバーする。このとき、張出部21、22は、側面5に設けた切り込み部23、24に差し込まれて、透明フィルム20を包装箱1に固定する。
【0029】
本明細書に開示した実施形態は、本発明の具体的実施形態の例示にすぎない。つまり、本発明の技術的範囲は、本明細書に開示した実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲において、自在に変形、応用あるいは改良して実施できることは言うまでもない。
【0030】
例えば、本明細書では、包装箱1に直管形の蛍光ランプを装着する長尺の蛍光灯照明器具を収納する例について示したが、包装箱1に収納される物品は、蛍光灯照明器具に限定されないし、長尺の物品にも限定されない。種々の形状と寸法を有する種々の物品の収納に使用することができる。
【0031】
また、本明細書に開示した包装箱1の寸法や形状は例示であって、本発明の技術的範囲は、このような寸法や形状に限定されない。収納物の寸法や形状に応じて、適切な寸法や形状を選ぶことができる。
【0032】
また、先述の各実施形態では、側面4に糊代13を接続して、糊代13と側面7を接着して包装箱1を組み立てる例を示したが、本発明の技術的範囲は、接着工程を経て製造するものに限定されない。図6に展開図で示すように、側面7の端部から突出する差込片25と、側面4と糊代13の境界の辺に切り明けられた差込口26を備えて構成し、差込片25を差込口26に差し込めば、接着工程を省略することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 包装箱
2 頂面
3 底面
4、5、6、7 側面
8 切り抜き窓
9、10、11、12 蓋片
13 糊代
14 ヘッダー部
4b、4c、5a、5b、6b、7b、14a 折辺
15、16 フック穴
17 照明器具
18、19 フック
20 透明フィルム
21、22 張出部
23、24 切り込み部
25 差込片
26 差込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の板紙から組み立てられて六面体状をなすとともに、切り抜き窓を有する包装箱において、
前記切り抜き窓は、前記六面体のいずれか1の面に開口するとともに、前記1の面のいずれかの辺を越えて、前記辺を前記1の面と共有する第2の面まで連続して開口している、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記切り抜き窓は、さらに、前記第2の面のいずれかの辺を越えて、前記辺を前記第2の面と共有する第3の面まで連続して開口するとともに、
前記1の面と前記第2の面が共有する辺と、前記第2の面と前記第3の面が共有する辺は互いに平行である、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記六面体は、前記包装箱を陳列展示する場合に、上方に位置する頂面、下方に位置する底面、および前記頂面と前記底面を連結する4面の側面からなるとともに、
前記切り抜き窓は、前記側面に開口する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記4面の側面のそれぞれの下方には、前記側面と一辺を共有する蓋片があって、
前記蓋片は、互いに係合して前記底面を形成している、
ことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記側面は、順に並ぶ第1ないし第4の側面からなり、
前記第1の側面に連続する糊代を、前記第4の側面に重ねて、前記糊代を前記第4の側面に接着している、
ことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項6】
前記側面のいずれか1面は、前記頂面を越えて、前記頂面の上方に伸びるヘッダー部を形成するとともに、
前記ヘッダー部には、フック穴が開口している、
ことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項7】
前記ヘッダー部は、折り返されて、前記板紙が2枚重ねられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の包装箱。
【請求項8】
前記切り抜き窓は、透明フィルムでカバーされている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−105321(P2011−105321A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260221(P2009−260221)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】