包装箱
【課題】開封が容易であるとともに、収納物に接着剤が付着することなく広い範囲に接着剤を塗布することができる包装箱を提供する。
【解決手段】内側に折り曲げた際に互いの先端縁が突き合わせ得る寸法にて一対の内フラップ16,18を形成することにより、収容物に接着剤(ホットメルト接着剤)を付着させることなく広い範囲に接着剤を塗布することができ、十分な接着強度を得ることができる。加えて、外フラップ15に設けた易突き破り部21に対して封緘時に重畳する内フラップ16,18上の位置に切欠部23を設けるとともに、内フラップ16,18の前端縁から所定距離離間した位置で切欠部23を起点として前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線25を設けることにより、開封時における外フラップ15,17の剥離を内フラップ16,18によって阻害されることなく、容易に実現できる。
【解決手段】内側に折り曲げた際に互いの先端縁が突き合わせ得る寸法にて一対の内フラップ16,18を形成することにより、収容物に接着剤(ホットメルト接着剤)を付着させることなく広い範囲に接着剤を塗布することができ、十分な接着強度を得ることができる。加えて、外フラップ15に設けた易突き破り部21に対して封緘時に重畳する内フラップ16,18上の位置に切欠部23を設けるとともに、内フラップ16,18の前端縁から所定距離離間した位置で切欠部23を起点として前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線25を設けることにより、開封時における外フラップ15,17の剥離を内フラップ16,18によって阻害されることなく、容易に実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラップの貼り合せにより封緘する包装箱に関する。特に、包装される内容物が重量物等で蓋が不意に開かないよう強固な接着が望まれる用途に好ましい包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を梱包するため、対向する一対の側壁の端縁に連設した内フラップと、他の対向する一対の側壁の端縁に連設した外フラップとをホットメルト接着剤等で貼り合わせて封緘する段ボール製の包装箱が使用されている。この包装箱は、内フラップから外フラップを引き剥がすことによって開封される。
【0003】
しかしながら、この種の包装箱では、開封に際し、突き合わされた外フラップの先端間に指を挿入することが困難であるため、開封が困難であり、開封性の向上が求められている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、開封性を向上させた包装箱として、内フラップに開口を設けるとともに、封緘時に開口の直上に位置する外フラップの先端部に、開封時に指を挿入して外フラップを内フラップから引き剥がすための指挿入用開口を形成する切断線を設けた包装箱が開示されている。このような包装箱によれば、開封時に指挿入用開口から指を挿入することで、内フラップとの接合箇所の近傍に力を作用させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4339057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された包装箱では、指挿入用開口及び内フラップの開口に指を挿入して外フラップと内フラップとを一体的に引っ張る必要があるため、特に、開封時の初期において大きな力を必要とする。
【0007】
また、特許文献1に開示された包装箱は、内フラップ同士の先端縁間に隙間を有しており、さらに、内フラップの中央部に取っ手としても機能する大きさの開口を設けているため、内フラップと外フラップとを貼り合わせる際に使用する接着剤(ホットメルト接着剤等)の塗布範囲が限られるばかりか、接着剤を塗布する際に包装箱の収容物に接着剤が付着する虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開封が容易であるとともに、収納物に接着剤が付着することなく広い範囲に接着剤を塗布することができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態による包装箱は、角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁のうち少なくとも何れか一方に連設した外フラップと、前記箱本体を構成する対向する他の一対の壁部の端縁に連設した一対の内フラップとを備え、前記内フラップ及び前記外フラップを前記箱本体の内側に順次折り曲げ、前記内フラップの表側に前記外フラップを貼り合わせて封緘する包装箱において、前記外フラップは、先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有し、前記一対の内フラップは、前記箱本体の内側に折り曲げた際に互いの先端縁を突き合わせ得る寸法にて形成されるとともに、封緘時に前記易突き破り部に重畳する位置に設けられた切欠部と、前記内フラップの前端縁から所定距離離間した位置で前記切欠部を起点として前記前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線と、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱によれば、開封が容易であるとともに、収納物に接着剤が付着することなく広い範囲に接着剤を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】包装箱の展開図
【図2】封緘前の包装箱の斜視図
【図3】封緘された包装箱の斜視図
【図4】接着剤の塗布領域が設定位置からずれた状態で封緘された包装箱の斜視図
【図5】包装箱の開封手順を示す説明図
【図6】包装箱の開封手順を示す説明図
【図7】包装箱の変形例を示す展開図
【図8】包装箱の変形例を示す斜視図
【図9】易突き破り部の変形例を示す平面図
【図10】切り込み線の変形例を示す平面図
【図11】包装箱における各部の寸法の一例を示す展開図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は包装箱の展開図、図2は封緘前の包装箱の斜視図、図3は封緘された包装箱の斜視図、図4は接着剤の塗布領域が設定位置からずれた状態で封緘された包装箱の斜視図、図5及び図6は包装箱の開封手順を示す説明図、図7は包装箱の変形例を示す展開図、図8は包装箱の変形例を示す斜視図、図9は易突き破り部の変形例を示す平面図、図10は切り込み線の変形例を示す平面図である。
【0013】
図3に示す包装箱1は、例えば、使い捨てカイロ等の比較的重量のある製品等を複数個(例えば、30パック)纏めて収容するのに好適な包装箱である。この包装箱1は、例えば、プレス機等を用いた型抜き等によって段ボール紙、板紙、プラスチック薄板、その他の薄板素材から切り出した薄板材2(図1参照)を、箱状に組み立てることによって構成されている。
【0014】
具体的に説明すると、図1に示すように、薄板材2は、折目線9を介して一列に連設された矩形形状をなす4つの壁部5〜8と、これら壁部5〜8の配列方向の一側に折目線11を介して連設された接着片10と、を有する。そして、これら一連の壁部5〜8は、各折目線9に沿って折り曲げられることにより環状に配置され、一側に位置する接着片10と他側に位置する壁部8とがホットメルト接着剤12を介して接着されることにより、四角筒状の箱本体3を構成する(図2参照)。
【0015】
また、薄板材2は、箱本体3として筒状に組み立てられた際に互いに対向する一対の壁部5,7の各端縁(箱本体3の開口部を形成する各端縁)に、折目線19を介して連設された外フラップ15,17を有する。
【0016】
これらの外フラップ15,17は壁部5,7が対向した際に互いに対向するもの同士が対をなして設計されており、各対をなす外フラップ15,17は、例えば、折目線19に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いの先端縁を箱本体3の略中央で突き合わせ得る寸法にて形成されている(図3参照)。
【0017】
また、各対をなす外フラップ15,17のうち、一方の外フラップ15の先端縁中央付近には、例えば、ミシン目状の切り込み線によって半円状の易突き破り部21が形成されている。この易突き破り部21は、ユーザ等が指先等を強く押し付けることによって外フラップ15から離脱等することが可能となっており、易突き破り部21が外フラップ15から離脱等されると、当該部分には指挿入用開口部22(図5,6参照)が形成される。
【0018】
また、薄板材2は、箱本体3として筒状に組み立てられた際に互いに対向する他の一対の壁部6,8の各端縁(箱本体3の開口部を形成する各端縁)に、折目線20を介して連設された内フラップ16,18を有する。
【0019】
これらの内フラップ16,18は壁部6,8が対向した際に互いに対向するもの同士が対をなして設計されており、各対をなす内フラップ16,18は、例えば、折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いの先端縁を箱本体3の略中央で突き合わせ得る寸法にて形成されている(図3参照)。
【0020】
また、各内フラップ16,18の先端縁中央付近には、例えば、矩形形状をなす切欠部23が設けられている。これら切欠部23は、互いに対向する一対の内フラップ16,18が折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に単一の開口部24(図3参照)を形成するよう設定されている。ここで、各切欠部23によって形成される開口部24は、外フラップ15,17が折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に、易突き破り部21が重畳する位置に設定されている(図3参照)。また、開口部24の大きさとしては、例えば、指1本を挿入できる程度の大きさに設定されていることが好ましい。
【0021】
また、各内フラップ16,18には、先端縁から所定間隔隔てた位置で、切欠部23を起点として、内フラップ16,18の先端縁に沿って平行に所定長さ延在する一対の切り込み線25が形成されている。
【0022】
さらに、内フラップ16,18上において、各切り込み線25と基端側(壁部6,8側)で隣接する領域は、それぞれ接着剤塗布領域26として設定されている。
【0023】
これら内フラップ16,18及び外フラップ15,17は、折目線20,19に沿って箱本体3の内側に順次折り曲げられる。そして、接着剤塗布領域26に塗布されたホットメルト接着剤27を介して、外フラップ15,17が内フラップ16,18の表側に貼り合わされることにより、箱本体3の開口部を封緘する(図3参照)。
【0024】
この場合において、対をなす外フラップ15,17は箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いに突き合わせ得る寸法に形成されているため、封緘時には箱本体3の開口部の略全域を覆うことが可能となっている。従って、封緘時に接着剤(ホットメルト接着剤27)が外部に露出することを的確に防止することができる。
【0025】
同様に、対をなす内フラップ16,18は箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いに突き合わせ得る寸法に形成されているため、封緘時には箱本体3の開口部の略全域を覆うことが可能となっている。従って、封緘時に接着剤(ホットメルト接着剤27)が内部の収納物に付着することを的確に防止することができる。例えば、図4に示すように、内フラップ16,18上に予め設定された接着剤塗布領域26に対し、実際のホットメルト接着剤27の塗布領域がずれた場合にも、ホットメルト接着剤27が内部の収納物に付着することを的確に防止することができる。
【0026】
換言すれば、それぞれ対をなす外フラップ15,17及び内フラップ16,18の先端縁を互いに突き合わせ得る寸法に形成することにより、内フラップ16,18上に比較的広域な接着剤塗布領域26を設定することが可能となり、封緘時に十分な接着強度を得ることができる。なお、収納物に対する接着剤の付着防止等の観点からすれば、少なくとも対をなす内フラップ16,18の先端縁が突き合わせ得る寸法であればよい。
【0027】
なお、一側に位置する接着片10と他側に位置する壁部8との接着及び箱本体3の開口部を封緘するのに用いられる接着剤としては、ホットメルト接着剤が好ましいが、コールドグルー接着剤やアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を使用してもよい。
【0028】
次に、封緘された包装箱1を開封する際の手順の一例について、図5,6を参照して説明する。
【0029】
この包装箱1の開封時には、先ず、易突き破り部21に対して指先が押し当てられる。これにより、外フラップ15から易突き破り部21が脱落等され、外フラップ15の先端部に指挿入用開口部22が形成される。そして、この指挿入用開口部22及び内フラップ16,18の開口部24に対して指が挿入されことにより、内フラップ16,18の内面側に指先が臨まされる(図5参照)。
【0030】
この状態において、図6に示すように、開口部22,24に挿入した指を手前側に引くことにより、ホットメルト接着剤27を介して接着されていた外フラップ15が内フラップ16,18から引き剥がされる。その際、切り込み線25が設けられていることにより、内フラップ16,18の切り込み線25よりも先端側の部位は、基端側の部位とは独立して手前側に容易に変形することが可能となっている。これにより、内フラップ16,18が指を引く際の抵抗となることなく、ホットメルト接着剤27からの剥離に必要な力と略同等な力のみで、外フラップ15を内フラップ16,18から容易に引き剥がすことができる。なお、図示しないが、外フラップ17についても同様に内フラップ16,18から容易に引き剥がすことが可能であることは勿論である。
【0031】
このような実施形態によれば、内側に折り曲げた際に互いの先端縁が突き合わせ得る寸法にて一対の内フラップ16,18を形成することにより、収容物に接着剤(ホットメルト接着剤27)を付着させることなく広い範囲に接着剤を塗布することができ、十分な接着強度を得ることができる。加えて、外フラップ15に設けた易突き破り部21に対して封緘時に重畳する内フラップ16,18上の位置に切欠部23を設けるとともに、内フラップ16,18の前端縁から所定距離離間した位置で切欠部23を起点として前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線25を設けることにより、開封時における外フラップ15,17の剥離を内フラップ16,18によって阻害されることなく、容易に実現することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態で図示した例では、各対をなす外フラップ15,17及び内フラップ16,18をそれぞれ等長に突出させた一例について説明しているが、これらの突出長を不等に設定することも可能である。例えば、外フラップ15,17の突出長を不等に設定し、これらの寸法に合わせて、易突き破り部21、切欠部23、及び、切り込み線25等の位置及び形状等を適宜設定することも可能である。
【0033】
また、例えば、図7,8に示すように、外フラップを対向する一対の壁部の端縁のうち何れか一方のみに設けることも可能である。
【0034】
また、上述の実施形態で示した例では、箱本体3の両端部でそれぞれ一対をなす外フラップ15,17のうち、一方の外フラップ15のみに易突き破り部21を設けているが、他方の外フラップ17についても、同様の易突き破り部を設けることが可能である。この場合、易突き破り部の形状としては、種々の変形が可能であり、例えば、図9(a)に示すように、半円状の切り込み線と、半円を二分する直線状の切り込み線との組合せによって易突き破り部21aを構成することも可能である。さらに、例えば、図9(b),(c)に示すように、T字状に形成したミシン目状の不連続な切り込み線或いは連続する切り込み線によって易突き破り部21b或いは21cを構成することも可能である。
【0035】
さらに、上述の実施形態で示した例では、各切り込み線25を内フラップ16,18の先端縁に沿って平行に延在させた一例について説明しているが、各切り込み線25は、内フラップ16,18の先端縁に沿って所定角度を有して非平行に延在するものであってもよい。この場合、切り込み線25としては連続線からなる切り込み線に限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、ミシン目状の不連続線によって切り込み線25aを構成することも可能である。このような構成によれば、例えば、内フラップ16,18の先端側の部位が組み立て時等にめくれること等を防止することができ、組立性を向上することができる。
【0036】
[実施例]
以下、具体的な実施例により、この発明をより詳細に説明するが、この発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例として、表面にコートボール230g/m2とEフルート片段ボールとを貼り合わせたものを材料とし、組み立て後の仕上がり寸法が172mm×130mm×164mmとなるように図11に示す形状にプレス機を用いて型抜きをした。外フラップ15の先端縁中央には、半径10mmの半円形のミシン目開口部(易突き破り部21)を形成し、このミシン目開口部に重なる内フラップ16,18には10.5mm×20mmの長方形の切欠部23、及びこの切欠部23に隣接して、内フラップ16,18の先端縁から10.5mmの位置に長さ40mmのスリット(切り込み線25)を設けた。
【符号の説明】
【0038】
1 … 包装箱
2 … 薄板材
3 … 箱本体
5〜8 … 壁部(5,7 … 対向する一対の壁部、6,8 … 対向する他の一対の壁部)
9 … 折目線
10 … 接着片
11 … 折目線
12 … ホットメルト接着剤
15,17 … 外フラップ
16,18 … 内フラップ
19 … 折目線
20 … 折目線
21 … 易突き破り部
21a … 易突き破り部
21b … 易突き破り部
21c … 易突き破り部
22 … 指挿入用開口部
23 … 切欠部
24 … 開口部
25 … 切り込み線
25a … 切り込み線
26 … 接着剤塗布領域
27 … ホットメルト接着剤(接着剤)
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラップの貼り合せにより封緘する包装箱に関する。特に、包装される内容物が重量物等で蓋が不意に開かないよう強固な接着が望まれる用途に好ましい包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を梱包するため、対向する一対の側壁の端縁に連設した内フラップと、他の対向する一対の側壁の端縁に連設した外フラップとをホットメルト接着剤等で貼り合わせて封緘する段ボール製の包装箱が使用されている。この包装箱は、内フラップから外フラップを引き剥がすことによって開封される。
【0003】
しかしながら、この種の包装箱では、開封に際し、突き合わされた外フラップの先端間に指を挿入することが困難であるため、開封が困難であり、開封性の向上が求められている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、開封性を向上させた包装箱として、内フラップに開口を設けるとともに、封緘時に開口の直上に位置する外フラップの先端部に、開封時に指を挿入して外フラップを内フラップから引き剥がすための指挿入用開口を形成する切断線を設けた包装箱が開示されている。このような包装箱によれば、開封時に指挿入用開口から指を挿入することで、内フラップとの接合箇所の近傍に力を作用させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4339057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された包装箱では、指挿入用開口及び内フラップの開口に指を挿入して外フラップと内フラップとを一体的に引っ張る必要があるため、特に、開封時の初期において大きな力を必要とする。
【0007】
また、特許文献1に開示された包装箱は、内フラップ同士の先端縁間に隙間を有しており、さらに、内フラップの中央部に取っ手としても機能する大きさの開口を設けているため、内フラップと外フラップとを貼り合わせる際に使用する接着剤(ホットメルト接着剤等)の塗布範囲が限られるばかりか、接着剤を塗布する際に包装箱の収容物に接着剤が付着する虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、開封が容易であるとともに、収納物に接着剤が付着することなく広い範囲に接着剤を塗布することができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態による包装箱は、角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁のうち少なくとも何れか一方に連設した外フラップと、前記箱本体を構成する対向する他の一対の壁部の端縁に連設した一対の内フラップとを備え、前記内フラップ及び前記外フラップを前記箱本体の内側に順次折り曲げ、前記内フラップの表側に前記外フラップを貼り合わせて封緘する包装箱において、前記外フラップは、先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有し、前記一対の内フラップは、前記箱本体の内側に折り曲げた際に互いの先端縁を突き合わせ得る寸法にて形成されるとともに、封緘時に前記易突き破り部に重畳する位置に設けられた切欠部と、前記内フラップの前端縁から所定距離離間した位置で前記切欠部を起点として前記前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線と、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱によれば、開封が容易であるとともに、収納物に接着剤が付着することなく広い範囲に接着剤を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】包装箱の展開図
【図2】封緘前の包装箱の斜視図
【図3】封緘された包装箱の斜視図
【図4】接着剤の塗布領域が設定位置からずれた状態で封緘された包装箱の斜視図
【図5】包装箱の開封手順を示す説明図
【図6】包装箱の開封手順を示す説明図
【図7】包装箱の変形例を示す展開図
【図8】包装箱の変形例を示す斜視図
【図9】易突き破り部の変形例を示す平面図
【図10】切り込み線の変形例を示す平面図
【図11】包装箱における各部の寸法の一例を示す展開図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は包装箱の展開図、図2は封緘前の包装箱の斜視図、図3は封緘された包装箱の斜視図、図4は接着剤の塗布領域が設定位置からずれた状態で封緘された包装箱の斜視図、図5及び図6は包装箱の開封手順を示す説明図、図7は包装箱の変形例を示す展開図、図8は包装箱の変形例を示す斜視図、図9は易突き破り部の変形例を示す平面図、図10は切り込み線の変形例を示す平面図である。
【0013】
図3に示す包装箱1は、例えば、使い捨てカイロ等の比較的重量のある製品等を複数個(例えば、30パック)纏めて収容するのに好適な包装箱である。この包装箱1は、例えば、プレス機等を用いた型抜き等によって段ボール紙、板紙、プラスチック薄板、その他の薄板素材から切り出した薄板材2(図1参照)を、箱状に組み立てることによって構成されている。
【0014】
具体的に説明すると、図1に示すように、薄板材2は、折目線9を介して一列に連設された矩形形状をなす4つの壁部5〜8と、これら壁部5〜8の配列方向の一側に折目線11を介して連設された接着片10と、を有する。そして、これら一連の壁部5〜8は、各折目線9に沿って折り曲げられることにより環状に配置され、一側に位置する接着片10と他側に位置する壁部8とがホットメルト接着剤12を介して接着されることにより、四角筒状の箱本体3を構成する(図2参照)。
【0015】
また、薄板材2は、箱本体3として筒状に組み立てられた際に互いに対向する一対の壁部5,7の各端縁(箱本体3の開口部を形成する各端縁)に、折目線19を介して連設された外フラップ15,17を有する。
【0016】
これらの外フラップ15,17は壁部5,7が対向した際に互いに対向するもの同士が対をなして設計されており、各対をなす外フラップ15,17は、例えば、折目線19に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いの先端縁を箱本体3の略中央で突き合わせ得る寸法にて形成されている(図3参照)。
【0017】
また、各対をなす外フラップ15,17のうち、一方の外フラップ15の先端縁中央付近には、例えば、ミシン目状の切り込み線によって半円状の易突き破り部21が形成されている。この易突き破り部21は、ユーザ等が指先等を強く押し付けることによって外フラップ15から離脱等することが可能となっており、易突き破り部21が外フラップ15から離脱等されると、当該部分には指挿入用開口部22(図5,6参照)が形成される。
【0018】
また、薄板材2は、箱本体3として筒状に組み立てられた際に互いに対向する他の一対の壁部6,8の各端縁(箱本体3の開口部を形成する各端縁)に、折目線20を介して連設された内フラップ16,18を有する。
【0019】
これらの内フラップ16,18は壁部6,8が対向した際に互いに対向するもの同士が対をなして設計されており、各対をなす内フラップ16,18は、例えば、折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いの先端縁を箱本体3の略中央で突き合わせ得る寸法にて形成されている(図3参照)。
【0020】
また、各内フラップ16,18の先端縁中央付近には、例えば、矩形形状をなす切欠部23が設けられている。これら切欠部23は、互いに対向する一対の内フラップ16,18が折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に単一の開口部24(図3参照)を形成するよう設定されている。ここで、各切欠部23によって形成される開口部24は、外フラップ15,17が折目線20に沿って箱本体3の内側に折り曲げられた際に、易突き破り部21が重畳する位置に設定されている(図3参照)。また、開口部24の大きさとしては、例えば、指1本を挿入できる程度の大きさに設定されていることが好ましい。
【0021】
また、各内フラップ16,18には、先端縁から所定間隔隔てた位置で、切欠部23を起点として、内フラップ16,18の先端縁に沿って平行に所定長さ延在する一対の切り込み線25が形成されている。
【0022】
さらに、内フラップ16,18上において、各切り込み線25と基端側(壁部6,8側)で隣接する領域は、それぞれ接着剤塗布領域26として設定されている。
【0023】
これら内フラップ16,18及び外フラップ15,17は、折目線20,19に沿って箱本体3の内側に順次折り曲げられる。そして、接着剤塗布領域26に塗布されたホットメルト接着剤27を介して、外フラップ15,17が内フラップ16,18の表側に貼り合わされることにより、箱本体3の開口部を封緘する(図3参照)。
【0024】
この場合において、対をなす外フラップ15,17は箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いに突き合わせ得る寸法に形成されているため、封緘時には箱本体3の開口部の略全域を覆うことが可能となっている。従って、封緘時に接着剤(ホットメルト接着剤27)が外部に露出することを的確に防止することができる。
【0025】
同様に、対をなす内フラップ16,18は箱本体3の内側に折り曲げられた際に互いに突き合わせ得る寸法に形成されているため、封緘時には箱本体3の開口部の略全域を覆うことが可能となっている。従って、封緘時に接着剤(ホットメルト接着剤27)が内部の収納物に付着することを的確に防止することができる。例えば、図4に示すように、内フラップ16,18上に予め設定された接着剤塗布領域26に対し、実際のホットメルト接着剤27の塗布領域がずれた場合にも、ホットメルト接着剤27が内部の収納物に付着することを的確に防止することができる。
【0026】
換言すれば、それぞれ対をなす外フラップ15,17及び内フラップ16,18の先端縁を互いに突き合わせ得る寸法に形成することにより、内フラップ16,18上に比較的広域な接着剤塗布領域26を設定することが可能となり、封緘時に十分な接着強度を得ることができる。なお、収納物に対する接着剤の付着防止等の観点からすれば、少なくとも対をなす内フラップ16,18の先端縁が突き合わせ得る寸法であればよい。
【0027】
なお、一側に位置する接着片10と他側に位置する壁部8との接着及び箱本体3の開口部を封緘するのに用いられる接着剤としては、ホットメルト接着剤が好ましいが、コールドグルー接着剤やアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を使用してもよい。
【0028】
次に、封緘された包装箱1を開封する際の手順の一例について、図5,6を参照して説明する。
【0029】
この包装箱1の開封時には、先ず、易突き破り部21に対して指先が押し当てられる。これにより、外フラップ15から易突き破り部21が脱落等され、外フラップ15の先端部に指挿入用開口部22が形成される。そして、この指挿入用開口部22及び内フラップ16,18の開口部24に対して指が挿入されことにより、内フラップ16,18の内面側に指先が臨まされる(図5参照)。
【0030】
この状態において、図6に示すように、開口部22,24に挿入した指を手前側に引くことにより、ホットメルト接着剤27を介して接着されていた外フラップ15が内フラップ16,18から引き剥がされる。その際、切り込み線25が設けられていることにより、内フラップ16,18の切り込み線25よりも先端側の部位は、基端側の部位とは独立して手前側に容易に変形することが可能となっている。これにより、内フラップ16,18が指を引く際の抵抗となることなく、ホットメルト接着剤27からの剥離に必要な力と略同等な力のみで、外フラップ15を内フラップ16,18から容易に引き剥がすことができる。なお、図示しないが、外フラップ17についても同様に内フラップ16,18から容易に引き剥がすことが可能であることは勿論である。
【0031】
このような実施形態によれば、内側に折り曲げた際に互いの先端縁が突き合わせ得る寸法にて一対の内フラップ16,18を形成することにより、収容物に接着剤(ホットメルト接着剤27)を付着させることなく広い範囲に接着剤を塗布することができ、十分な接着強度を得ることができる。加えて、外フラップ15に設けた易突き破り部21に対して封緘時に重畳する内フラップ16,18上の位置に切欠部23を設けるとともに、内フラップ16,18の前端縁から所定距離離間した位置で切欠部23を起点として前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線25を設けることにより、開封時における外フラップ15,17の剥離を内フラップ16,18によって阻害されることなく、容易に実現することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態で図示した例では、各対をなす外フラップ15,17及び内フラップ16,18をそれぞれ等長に突出させた一例について説明しているが、これらの突出長を不等に設定することも可能である。例えば、外フラップ15,17の突出長を不等に設定し、これらの寸法に合わせて、易突き破り部21、切欠部23、及び、切り込み線25等の位置及び形状等を適宜設定することも可能である。
【0033】
また、例えば、図7,8に示すように、外フラップを対向する一対の壁部の端縁のうち何れか一方のみに設けることも可能である。
【0034】
また、上述の実施形態で示した例では、箱本体3の両端部でそれぞれ一対をなす外フラップ15,17のうち、一方の外フラップ15のみに易突き破り部21を設けているが、他方の外フラップ17についても、同様の易突き破り部を設けることが可能である。この場合、易突き破り部の形状としては、種々の変形が可能であり、例えば、図9(a)に示すように、半円状の切り込み線と、半円を二分する直線状の切り込み線との組合せによって易突き破り部21aを構成することも可能である。さらに、例えば、図9(b),(c)に示すように、T字状に形成したミシン目状の不連続な切り込み線或いは連続する切り込み線によって易突き破り部21b或いは21cを構成することも可能である。
【0035】
さらに、上述の実施形態で示した例では、各切り込み線25を内フラップ16,18の先端縁に沿って平行に延在させた一例について説明しているが、各切り込み線25は、内フラップ16,18の先端縁に沿って所定角度を有して非平行に延在するものであってもよい。この場合、切り込み線25としては連続線からなる切り込み線に限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、ミシン目状の不連続線によって切り込み線25aを構成することも可能である。このような構成によれば、例えば、内フラップ16,18の先端側の部位が組み立て時等にめくれること等を防止することができ、組立性を向上することができる。
【0036】
[実施例]
以下、具体的な実施例により、この発明をより詳細に説明するが、この発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例として、表面にコートボール230g/m2とEフルート片段ボールとを貼り合わせたものを材料とし、組み立て後の仕上がり寸法が172mm×130mm×164mmとなるように図11に示す形状にプレス機を用いて型抜きをした。外フラップ15の先端縁中央には、半径10mmの半円形のミシン目開口部(易突き破り部21)を形成し、このミシン目開口部に重なる内フラップ16,18には10.5mm×20mmの長方形の切欠部23、及びこの切欠部23に隣接して、内フラップ16,18の先端縁から10.5mmの位置に長さ40mmのスリット(切り込み線25)を設けた。
【符号の説明】
【0038】
1 … 包装箱
2 … 薄板材
3 … 箱本体
5〜8 … 壁部(5,7 … 対向する一対の壁部、6,8 … 対向する他の一対の壁部)
9 … 折目線
10 … 接着片
11 … 折目線
12 … ホットメルト接着剤
15,17 … 外フラップ
16,18 … 内フラップ
19 … 折目線
20 … 折目線
21 … 易突き破り部
21a … 易突き破り部
21b … 易突き破り部
21c … 易突き破り部
22 … 指挿入用開口部
23 … 切欠部
24 … 開口部
25 … 切り込み線
25a … 切り込み線
26 … 接着剤塗布領域
27 … ホットメルト接着剤(接着剤)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁のうち少なくとも何れか一方に連設した外フラップと、前記箱本体を構成する対向する他の一対の壁部の端縁に連設した一対の内フラップとを備え、前記内フラップ及び前記外フラップを前記箱本体の内側に順次折り曲げ、前記内フラップの表側に前記外フラップを貼り合わせて封緘する包装箱において、
前記外フラップは、先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有し、
前記一対の内フラップは、前記箱本体の内側に折り曲げた際に互いの先端縁を突き合わせ得る寸法にて形成されるとともに、封緘時に前記易突き破り部に重畳する位置に設けられた切欠部と、前記内フラップの前端縁から所定距離離間した位置で前記切欠部を起点として前記前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線と、を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記外フラップは、角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁に連設した一対の外フラップであり、少なくとも何れか一方の先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記内フラップは、前記外フラップと貼り合わせるための接着剤の塗布領域が、前記切り込み線と隣接する位置に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装箱。
【請求項4】
前記切り込み線は、ミシン目状の不連続線によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の包装箱。
【請求項1】
角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁のうち少なくとも何れか一方に連設した外フラップと、前記箱本体を構成する対向する他の一対の壁部の端縁に連設した一対の内フラップとを備え、前記内フラップ及び前記外フラップを前記箱本体の内側に順次折り曲げ、前記内フラップの表側に前記外フラップを貼り合わせて封緘する包装箱において、
前記外フラップは、先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有し、
前記一対の内フラップは、前記箱本体の内側に折り曲げた際に互いの先端縁を突き合わせ得る寸法にて形成されるとともに、封緘時に前記易突き破り部に重畳する位置に設けられた切欠部と、前記内フラップの前端縁から所定距離離間した位置で前記切欠部を起点として前記前端縁の延在方向に沿って所定長さ延在する切り込み線と、を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記外フラップは、角筒状の箱本体を構成する対向する一対の壁部の端縁に連設した一対の外フラップであり、少なくとも何れか一方の先端縁中央付近に指挿入用開口部を形成するための易突き破り部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記内フラップは、前記外フラップと貼り合わせるための接着剤の塗布領域が、前記切り込み線と隣接する位置に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装箱。
【請求項4】
前記切り込み線は、ミシン目状の不連続線によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の包装箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−71740(P2013−71740A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210417(P2011−210417)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000153719)株式会社白元 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000153719)株式会社白元 (14)
【Fターム(参考)】
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