説明

包装袋及び包装体

【課題】プラスチックフィルムよりなる袋の上部を袋内に収容した被包装物の上側で萎めて結束し、この結束部より袋上部を扇状に広げる包装形態とする包装袋を提供すること。
【解決手段】包装袋Pは、未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムからできていて、前面部11と後面部12のいずれか一方の上端に、この上端に平行に付与されている易切離線15より切り離し可能でかつミシン目より切り離したときに少なくとも一端が袋側縁に繋がった状態になる帯状部16が形成されている。開封後は、袋の一部を易切離線15より切り離してかつ一端又は両端が切り離れない帯状部16としてこの帯状部16を袋の萎み部分にぐるぐる巻き付けるだけで結束できるので紛失することなくコストがかからず結束具の役目を果たすことができる利便性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルムよりなる袋内から被包装物の一部を取り出し再封が必要なとき袋内に収容した被包装物の上側で萎めて結束する包装形態とする包装袋及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食パンやチョコレート、キャンディー、クッキー、その他の各種食品において高級感を醸し出す包装形態として、包装袋に被包装物を収容し開口部を閉封した後、被包装物の上側近傍で包装袋を萎めて結束具で結束し、この結束部分より上側の袋上部を扇状に広げる包装形態が行われている(特許文献1、2参考)。この包装形態は、高級感を醸し出す包装形態としてのみでなく、全量を取り出すのではなく必要量を取出し、再封を必要とする被包装物の包装形態である。従って、結束具は、再封のために使用する。結束具には種々あるが、例えば、特許文献3,4に示すものがある。この他に、針金入りリボンを巻き付けるものがあり、さらに、紐を巻き付けて縛る結束手段がある。
【特許文献1】特開2004−10135号公報
【特許文献2】特開2005−225566号公報
【特許文献3】特開2004−18017号公報
【特許文献4】特開2002−154558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1〜4の結束具は、袋の萎み部分への再嵌着が簡単にはできず組み付けが面倒なので再封を行なうために使用されていることは非常に少ないのが実情である。
前記針金入りリボンもプラスチックチップの結束具と同様に紛失する虞があり、紐は片手でぐるぐる巻き付けることができず縛らないと結束できない。
そこで、袋包装体を開封した後は、取り外した結束具は使わないで、袋の萎み部分を容易に結束でき、縛らないで結束できて紛失する虞がない別の結束手段の提供が望まれている。再封機能を有する袋としては、ジッパーを付けた袋があるが、ジッパーを付けるとかなりのコストアップになり価格競争力を著しく低下し、また柔らかいフィルムにジッパーを取り付けることが難しく、取りつけても再封のための嵌着が円滑に行うことができない。
【0004】
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、袋内から被包装物の一部を取りだし再封が必要なとき袋内に収容した被包装物の上側で萎めて結束手段により結束するプラスチックフィルムよりなる包装袋であり、プラスチックプレートの結束具を結束に使用しないで、袋の萎み部分を縛らないで結束できてしかもコストがかからず紛失する虞がない結束手段を備えている包装袋及び包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため手段として、本発明の包装袋は、再封を必要とするプラスチックフィルムよりなる包装袋において、前記プラスチックフィルムは、未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムであり、前面部と後面部のいずれか一方の上端に、この上端に平行に付与されている易切離線より切り離し可能でかつこの易切離線より切り離したときに少なくとも一端が袋側縁に繋がった状態になる帯状部が形成されていることを特徴とする。
本発明の包装袋は、底ガセットを備えている自立性を有する包装袋であることが好ましいが、三方シール袋等の他の形態の袋であっても良い。易切離線とはミシン目カットあるいはハーフカット等である。
本発明の包装体は、上記構成の包装袋に被包装物を収容してなることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、袋上端より開封し袋内より被包装物を全量ではなくで所望量の取り出し袋内に被包装物を残し再封が必要になるときは、包装袋に設けた易切離線より切り離して帯状部を作る。包装袋が未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムからなるので、この帯状部も未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムであり引っ張ると延び弛めると復元する性質があり、しかし、この復元する性質はゴムの復元する性質よりもはるかに小さい。そこで、この帯状部を使って、袋上部を袋内に収容した被包装物の上側で萎めた部分を縛って結束するのではなく、この帯状部は、少なくとも一端が袋から分離していないから、この帯状部で袋の萎めた部分をぐるぐる巻にして手を離すと、この帯状部を先に巻き付けた内側巻き付け部分は袋の萎めた部分が広がろうとする力を受け、後から巻き付けた外側巻き付け部分は袋の萎めた部分が広がろうとする力を受けないか小さく受けるので、内側巻き付け部分の復元しようとする度合が大きく外側から締め付けている部分との間で締め付け密着状態に維持して結束することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開封後は結束具は使わないで、袋の一部をミシン目より切り離してかつ一端又は両端が切り離れない帯状部としてこの帯状部を袋の萎み部分にぐるぐる巻き付けるだけで容易に結束できる結束具の役目を果たすユニバーサルデザインを提供できて、袋と分離されないから誤飲の心配もなく、紛失することなくコストが殆どかからないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の包装袋の正面図を示す。この包装袋Pは、前面部11と後面部12と底ガセット13とからなる。この包装袋Pは、ポリエチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムなどの未延伸又は弱延伸でヒートシール性を有する単層フィルムからなる。この包装袋Pは、連続する1枚のフィルムをフォーマに掛けて連続する方向に対して直角方向の断面がM字になるように折ることにより前面部11と後面部12と底ガセット13を形成し、そして、溶断シールカッターによりサイドシール14を施しかつ溶断カットしてなる。
【0009】
この包装袋Pは、前面部11の上端よりも後面部12の上端の方が例えば40mm高く延びていて、後面部12の前面部11の上端よりも高く延びた部分12aに2つの孔12bがあいているウインケットタイプの袋形態である。
【0010】
この包装袋Pは、前面部11の上端に沿って両側のサードシールの近傍までの間に易切離線15が設けられている。この易切離線15はミシン目カットである。この易切離線15を辿って切り離すと、前面部11の上端に帯状部16が形成される構成である。この帯状部16は、袋の両側縁に繋がっているので、分離して紛失する惧れはない。この帯状部16は、一端にノッチ17を設けることにより、該一端側については袋側端より切り離れ長紐となるように長さを大きく取れることの方が望ましい。
【0011】
図2は、この包装袋Pで食パンBを包装した形態の包装体の斜視図を示す。この包装袋Pは、図1に示すように底ガセット13があるので角底になる。この包装袋Pは、前面部11の上部と後面部12の上部とを開かれて食パンBを収容されて、前面部11の上部と後面部12の上部とを閉じ合わされ、接着強度が弱いヒートシールによって封緘される。このヒートシールは、帯状部16を避けて行われることが好ましい。このヒートシールを行った後は、食パンBの上側で袋上部を萎めて結束具Kで結束し、この結束部より袋上部を扇状に広げる包装形態とする。この結束具Kは、例えば特許文献2〜5に示すような結束具を用いることができる。
【0012】
食パン包装の場合には、袋上部を萎めて結束具Kで結束する形態が広く定着しており、結束具Kを取り外して包装袋Pのトップシール(弱ヒートシール)を開封して所望枚数の食パンBを取出し、全枚数の食パンBを食べないときには、余った食パンBを包装袋P内に残し、結束具Kで再封する。しかし、一旦結束具Kを取り外した後、再び袋上部を萎めて結束具Kを再装着することは煩雑であり、実際に結束具Kはあまり再利用されていない。本発明の包装袋Pは、再封が面倒な結束具Kを使用しないで良い。
【0013】
図3は、再封した状態の包装体の斜視図を示す。この再封には、図2に示す結束具Kは使用しない。結束具Kに替えて、帯状部16を使用する。
すなわち、結束具Kを取り外して包装袋Pの上端のトップシールを引き剥がして開封する。袋内より食パンBを全量ではなくで所望量だけ取り出して再封するときは、図2に示す結束具Kは使わないで、包装袋Pに設けた易切離線15より切り離して帯状部16を作り、この帯状部16を使って、包装袋Pの萎めた部分をぐるぐる巻にして結束する。この帯状部16は、未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムよりなるから、引っ張ると延び弛めると復元する性質があり、しかし、この復元する性質はゴムの復元する性質よりもはるかに小さく、そして、一端が袋側縁に繋がっている。このため、この帯状部16を使って、袋側縁に繋がっている一端を巻き始め端として特に指で押さえることをしなくても、包装袋Pの萎めた部分に対してぐるぐる巻にしていくことができ、包装袋Pの萎めた部分に対して縛らないで手を離しても、内側巻き付け部分の復元しようとする度合が大きく外側から締め付けている部分との間で締め付け密着状態に維持して結束することができる。
【0014】
本発明は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない範囲の種々の設計変更を含むものである。
(1)上記実施形態の包装袋は底ガセットを有していて食パンに適用して好ましい角底になる包装形態となるが、食パン以外に、例えば、チョコレート、キャンディー、クッキー、砂糖菓子などにおいて高級感を醸し出す包装形態に適用できる。食品以外の、例えば玩具の包装にも適用される。
(2)上記実施形態の包装袋は底ガセットを有しているが、三方シール袋やピロー包装袋等、他の形態の袋も含む。ピロー包装袋に、易切離線15より切り離すことができる帯状部16を設けるには、一方の袋のボトムシールと、この一方の袋に隣接する他方の袋のトップシールとの間の非シール部分の幅寸法を通常よりも大きくして、非シール部分に対してボトムシールの際によってカットすることによりこの非シール部分をトップシール寄りに位置させる。トップシールは弱ヒートシールとする。非シール部分のトップシール寄りの際にミシン目を入れて非シール部分を切り離し可能でかつ袋側縁から切り離れる惧れがない帯状部とする。ミシン目を切り裂いていって袋側縁から切り離れないようにするには、小径の丸孔を抜いておけば良い。
(3)上記実施形態の包装袋は、ウインケットタイプの袋を示したが、前面部の上端と後面部の上端が一致している袋であっても良い。
(4)上記実施形態において、図2に示す包装体は、袋上部を袋内に収容した被包装物の上側で萎めて結束具Kにより結束し、この結束部より袋上部を扇状に広げる包装形態としているが、未開封の包装形態の段階では、袋上部を袋内に収容した被包装物の上側で萎めて結束具により結束することは全く行わないで、袋内より被包装物を全量ではなくで所望量だけ取り出して再封する段階で、包装袋Pに設けた易切離線15より切り離して帯状部16を作り、この帯状部16を使って、包装袋Pの萎めた部分をぐるぐる巻にして結束することを含む。この包装体では、結束具Kを使わずに同素材により再封を行うので環境にも優しい。
(5)帯状部は、易切離線15より切り離したときに、一端が袋側縁に繋がっている構成が好ましいが、両端共に袋側縁に繋がっている構成であっても良い。
(6)上記実施形態のように、前面部と後面部のいずれか一方を高く延ばして、高い方の上端内面を低い方の上端外面に重ねかつ重ね面を粘着剤で粘着して袋開口部を閉封する包装袋にも適用される。
(7)包装袋Pは、共押し出しによるポリエチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムなどの未延伸又は弱延伸でヒートシール性を有する複層フィルムからなるものも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の包装袋の正面図。
【図2】図1の包装袋で食パンを包装したときの斜視図。
【図3】図1の包装袋の帯状部を切り離して再封したときの斜視図。
【符号の説明】
【0016】
P 包装袋
11 前面部
12 後面部
15 易切離線
16 帯状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再封を必要とするプラスチックフィルムよりなる包装袋において、
前記プラスチックフィルムは、未延伸又は弱延伸のプラスチックフィルムであり、前面部と後面部のいずれか一方の上端に、この上端に平行に付与されている易切離線より切り離し可能でかつこの易切離線より切り離したときに少なくとも一端が袋側縁に繋がった状態になる帯状部が形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
底ガセットを備えていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
請求項1又は2記載の包装袋に被包装物を収容してなることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−191198(P2007−191198A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12105(P2006−12105)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(598064222)株式会社プラスト (7)
【Fターム(参考)】