説明

包装袋

【課題】開封後再度内容物を取り出すにあたって面倒な動作を必要としないで軽く保持して力を加えることによって保持している間だけ開口部が大きく開く、内容物を取り出す際不便を感じない包装袋を提供すること。
【解決手段】包装袋の開封口4とその対向する辺の中央部との間に折り線が平行になる方向で、フィルムに第1の谷折り、第1の山折り、第2の山折り、第2の谷折りを順次設けた折込み部2を有することを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体、固形食品の包装袋に関して、使用時の利便性を向上させた包装袋に関するものであり、たとえば、開口部に再封可能なチャックを設けた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、三方シール、四方シール、ピロー、ガゼットピロー、ステンディングパウチ、口栓付きパウチ等の軟包装袋容器を用いた液体、粉体、固体や液体の混合体、粒状体等を収納する様々な軟包装袋容器が広く用いられている。これらの軟包装袋容器は、圧縮性やフレキシブル性に優れている反面、充填された内容物等が減少した際の容器としての保形性に乏しく、このために様々な弊害を有している。
このため、たとえば開封部近傍に、雄型咬合具と雌型咬合部よりなるジッパーあるいは咬合具などとも呼ばれるチャックを取り付けたプラスチックフィルム製のパウチをはじめとする軟包装袋が、その保存性や開封容易性のため、各種食品やハップ剤、医薬品、洗剤、あるいは工業用薬品などの多くの分野で使用されている(特許文献1)。
【0003】
ところが、包装袋の開口部は一度開封すると通常は開いた状態で放置され内容物が露出したり外にこぼれたりする場合があった。一旦開封した後に再封が可能なように開口部にチャックを設けた袋ではチャック部分の弾性により開封後放置しても開口部が大きく開いた状態になることはないが、再度内容物を取り出す際は開口部を大きく開けることが面倒なため不便を感じることが多かった。
【0004】
開封後再度内容物を取り出すにあたって面倒な動作を必要としないで軽く保持して力を加えることによって保持している間だけ開口部が大きく開くようにするためには、包装袋の材料を剛性の高いフィルムで構成する方法もあるが不必要に材料を浪費する結果となり多くの場合は現実的ではない。
通常の材料と簡単な方法で上記のような、保持している間だけ開口部が大きく開くような包装袋があれば内容物を取り出す際不便を感じないで済むという期待は特にチャックを設けた袋は開口が閉じやすいために大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−10645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、開封後再度内容物を取り出すにあたって面倒な動作を必要としないで軽く保持して力を加えることによって保持している間だけ開口部が大きく開く、内容物を取り出す際不便を感じない包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に係る発明は、2枚のフィルムを重ね合わせ周縁部をシールしてなる包装袋であって、開封口とその対向する辺の中央部との間に折り線が平行になる方向で、フィルムに第1の谷折り、第1の山折り、第2の山折り、第2の谷折りを順次設けた折込み部を有することを特徴とする包装袋である。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、第1の谷折り線と第1の山折り線との距離をW1、第1の山折り線と第2の山折り線との距離をW2、第2の山折り線と第2の谷折り線との距離をW3としたとき、
1<W2/(W1+W3)≦2
であることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、開封口と折込み部との間にチャックを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明の包装袋によれば、2枚のフィルムを重ね合わせ周縁部をシールしてなる包装袋であって、開封口とその対向する辺の中央部との間に折り線が平行になる方向で、フィルムに第1の谷折り、第1の山折り、第2の山折り、第2の谷折りを順次設けた折込み部を有することによって、開封後再度内容物を取り出す際に折込み部両端のサイドシール部分を手で軽く保持することで開口部を大きく保持することが出来るようになった。
【0011】
フィルムに折込み部を設けて部分的にフィルムの重なった状態とすることによって、周囲のフィルムよりも剛性の大きいストライプ状の領域を開口部に近い包装袋の周縁に作り出し、このストライプ状の領域の両端から軽く力を加えることによって折込み部が折れてそれに伴って開口部周辺のフィルムが開口するようになる。
【0012】
折込の形状をフィルムに山折り(包装袋表面側が凸)と谷折り(包装袋内面側が凸)を第1の谷折り、第1の山折り、第2の山折り、第2の谷折りを順次設けたことによって、折込み部が外側に形成されて折込み部両端から力を加えたときに折込み部が包装袋外側に凸になる向きに折れて開口部が大きく開口する状態とすることが出来る。
【0013】
請求項2に係る発明の包装袋によれば、第1の谷折り線と第1の山折り線との距離をW1、第1の山折り線と第2の山折り線との距離をW2、第2の山折り線と第2の谷折り線との距離をW3としたとき、
1<W2/(W1+W3)≦2
であることによって折込み部を手で軽く保持することで開口部を大きく保持することが確実に出来るようになる。
【0014】
折込み部の断面を略台形で表現した場合に、W1とW3は両脚の長さを表わしW2は下部の長さを表わす。W2/(W1+W3)が1より小さいと両脚部分が折り畳まれた状態では重なってしまい、その部分の膜厚が不必要に厚くなり過ぎて取り扱いに不便なだけでなく、サイドシール部分でのシール不良が起こり易くなる。
逆にW2/(W1+W3)が2を超えると、下部の長さが大きくなることによって剛性の大きいストライプ状の領域の効果が薄れてしまう。
【0015】
請求項3に係る発明の包装袋によれば、開封口と折込み部との間にチャックを設けたことより、特にチャックを設けた袋は開口が閉じやすいために大きかったので、手で軽く保持するだけで容易に再度開口出来るという本発明の包装袋の効果が顕著に実感できるようになる。
【0016】
このように、本発明の包装袋によれば、開封後再度内容物を取り出す際に折込み部両端のサードシール部分を手で軽く保持することで開口部を大きく保持することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装袋の一例の概念図 (A)正面模式図 (B)Z−Z’線での断面模式図
【図2】本発明の包装袋の一例の部分拡大図
【図3】本発明の包装袋の一例の開封後使用時の概念図
【図4】本発明の包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す断面模式図
【図5】本発明の包装袋を構成する中間層フィルムの一例を示す断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の包装袋の実施の一形態について必要に応じて図面を参照して説明する。
図1は本発明の包装袋の一例の概念図であり、(A)は正面模式図、(B)は(A)のZ−Z’線での断面模式図である。図2は本発明の包装袋の一例の部分拡大図である。図3は本発明の包装袋の一例の開封後使用時の概念図である。図4は本発明の包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す断面模式図である。図5は本発明の包装袋を構成する中間層フィルムの一例を示す断面模式図である。
【0019】
図1は、2枚のフィルムを重ね合わせ周縁部をシールしてなる本発明の包装袋の一例の概念図である。包装袋(1)は表裏2枚のフィルムが重ねあわされてサイドシール(5)及びボトムシール(6)でヒートシールされており、上部の開封口(4)の近くのサイドシール部に開封のためのきっかけとなるノッチ(7)とノッチ間にレーザーによるハーフカット等で設けられたカット線(8)とその下部の包装袋内面側に開封後の再封に使用するためのチャック(3)が設けられている。
本発明の特徴である折込み部(2)はこのチャック(3)の近傍のボトムシール(6)側のフィルムに開封口(4)の上端縁と平行に設けられている。
【0020】
図2は、図1(B)の部分拡大図であり、包装袋上部のチャック(3)より下側の適切な位置に設けられた折込み部(2)近辺をより詳細に示している。
図2において、折込み部(2)は包装袋を形成するフィルムの片面に開封口(4)に近い側から外側に向けた第1の谷折り(A)、第1の山折り(B)、第2の山折り(C)、第2の谷折り(D)の順序で形成されており、第1の谷折り(A)と第1の山折り(B)の間の距離がW1で、第1の山折り(B)と第2の山折り(C)の間の距離がW2で、第2の山折り(C)と第2の谷折り(D)の間の距離がW3で示されている。
本発明の包装袋においては、1<W2/(W1+W3)≦2であることによって折込み部を手で軽く保持することで開口部を大きく保持することが確実に出来るようになる。
【0021】
図3に本発明の包装袋の一例の開封後使用時の概念図を示した。包装袋の開封後に内容物を取り出す際にチャック(3)の剛性により開封口がほぼ閉じている状態から、包装袋の折込み部(2)の両端のサイドシール部を点線で示したように手で軽く押すと開封口(4)が再度大きく開き、粉粒体、固形食品等の内容物をすぐに簡単に取り出すことが出来る。
【0022】
包装袋上部の開封予定部近辺には包装体の最内層部に使用されるポリオレフィン系のフィルムと熱溶着可能なテープを備えたチャックが装着されている。
【0023】
内容物を包装体から取り出す際には、ノッチ(7)からカット線(8)に沿って開封した後、係合突起と係合凹部とからなるチャック(3)を開封して、内容物を取り出す。必要量を取り出した後は、再びチャック(3)の係合突起と係合凹部を嵌合させ、再封止することが出来る。
【0024】
本発明の包装袋に用いるフィルムの材質については特別の制限はないが、使用条件にあった材質構成を適宜選択することが重要である。例えば、本体フィルムとして一軸ないし二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機酸化物を物理蒸着、もしくは化学蒸着法により20〜100nm程度の厚みに積層した無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、さらに引裂き性に優れたナイロンフィルム、及びヒートシール性を有する未延伸ポリプロピレンフィルムあるいはポリエチレンフィルムを積層した積層フィルムが好適に使用できる。また、チャックの材質構成としてはポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂により成型されたチャックが好適である。
【0025】
積層フィルムとして、アルミニウム箔に匹敵するバリア性を備えて電子レンジ加熱にも適しており、さらに金属探知機による異物検査も簡単に行える積層フィルムを用いることも出来る。
【0026】
このような積層フィルムとして、たとえば、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、一般式R’Si(OR)3(R’:アルキル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表わせる3官能オルガノシランあるいは前記オルガノシランの加水分解物と、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との複合物からなるプライマー層と厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を順次積層したガスバリア積層フィルム層と、シーラント層とを含む積層フィルムが挙げられる。
【0027】
本発明の包装袋の材料構成の例を図4と図5を参照して説明する。
図4に本発明の包装袋に用いるフィルムの一例を積層フィルム(100)として断面模式図を示した。このうちで印刷層(113)、中間層(122)および場合によっては接着層(114)、(115)は本発明の包装袋に使用する積層フィルムの構成要素として必ずしも必要ではないが説明の簡略化のために図に示した。また中間層(122)が不要な構成においては、図4の外側基材(112)自体が図5のガスバリア積層フィルムを使用する構成となることもあり得る。
【0028】
本発明の包装袋の積層フィルム(100)に用いる外側基材(112)のフィルムの材質は、これらに限定されるものでなく、最外層の基材層の材質としては、包装材料として使用されているものならば、使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ブニルアルコール共重合体(EVOH)などの延伸または無延伸フィルム、ナイロン−6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどのいずれか、またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
【0029】
各フィルムを積層する方法としては、例えば、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及び該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法を使用することが出来る。
【0030】
この外側基材(112)には、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができ、必要に応じて適宜添加される。
さらに、外側基材の表面をコロナ放電処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、シーラント層等との接着性を向上させることができる。また、必要に応じて基材フィルム層の表面または裏面に印刷層を形成することができる。
外側基材(112)の厚さは特に制限はないが加工性及び物性面から10μmから300μmの範囲であることが好ましい。
【0031】
本発明の包装袋の積層フィルム(100)に用いる印刷層(113)としては、ウレタン系や塩酢ビ系等の公知のインキが使用でき、印刷方法もグラビア印刷等の公知の方法が用いられる。
さらに包装内容物の光線による変質を防止する目的で遮光印刷を行うことも出来る。遮光印刷はたとえば、通常の墨インキと白インキあるいは少量の着色を加えた白インキ等の通常のインキの単層あるいは複数層を重ねて行うという方法で実施できる。
【0032】
本発明の包装袋の積層フィルム(100)に用いる接着層(114)、(115)としては、ドライラミネート法等の公知の方法に使用される2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いることが出来る。
【0033】
本発明の包装袋においては、たとえば、包装袋の落下強度、突き刺し強度や、ガスバリア性を向上させる必要がある場合には、外側基材とシーラント層との間にポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、直線カット性を有するバリアナイロンなどの中間層を介在させることができる。形成方法としては2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等の公知の方法により積層できる。
【0034】
本発明の包装袋の積層フィルム(100)に用いる中間層(122)として、積層フィルムのガスバリア性をアルミニウム箔なみに向上させるためには、酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により、20〜100nm程度の膜厚に設けた無機化合物蒸着プラスチックフィルムを用いることもできる。
【0035】
もちろん、中間層(122)としてアルミニウム箔を用いても構わないが厚みによっては包装袋の開閉に支障が出る場合もあり得るので必要最低限の厚みにすることに注意することが肝心である。
【0036】
中間層(122)として使用するガスバリア積層フィルム(121)は、一例として、図5に示すように、包装袋外面となる面には、プラスチック材料からなるガスバリア積層体基材(117)の少なくとも片面に、透明プライマー層(118)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)、ガスバリア性被膜層(120)を順次積層した積層フィルムにより構成されている。
【0037】
上述したガスバリア積層体基材(117)はプラスチック材料であり、蒸着薄膜層の透明性を生かす用途の場合には透明なフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。これらをフィルム状に加工して用いられる。特に二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0038】
またこのガスバリア積層体基材(117)の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良く、薄膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0039】
ガスバリア積層体基材(117)の厚さはとくに制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、プライマー層(118)及び無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)、ガスバリア性被膜層(120)を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によって6〜30μmとすることが好ましい。
【0040】
プライマー層(118)は、プラスチック材料からなるガスバリア積層体基材(117)上に設けられ、ガスバリア積層体基材(117)と無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)との間の密着性を高め、デラミネーション(剥離)の発生等を防止することを目的とする。
【0041】
プライマー層(118)の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく、密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲内にあることである。
【0042】
プライマー層(118)の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件で構わない。
【0043】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。これらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。
【0044】
蒸着薄膜層(119)の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。蒸着薄膜層(119)の厚さは、好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0045】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)をプライマー層(118)上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。
【0046】
但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0047】
ガスバリア性被膜層(120)は、要求品質によりアルミ箔並の高いガスバリア性を付与するために無機酸化物からなる蒸着薄膜層(119)上に設けられるものである。
【0048】
上記ガスバリア性被膜層(120)は、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層(119)にコーティング、加熱乾燥し形成される。
【0049】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。
【0050】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0051】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μmを越えると膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0052】
本発明の包装袋で積層フィルム(100)に用いるシーラント層(123)は包装袋を形成する際に接着層として設けられるものである。熱融着性のある樹脂であれば使用できるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。食品包装におけるレトルト殺菌適性等を考慮した場合にはポリプロピレン樹脂が、加工適性の面からは直鎖低密度ポリエチレン樹脂がより好ましく使用できる。
【0053】
厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるがいずれも公知の方法により積層することができる。
【実施例】
【0054】
以下に本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
【0055】
最外層から順に、厚さ12μmの酸化アルミニウム(アルミナ)蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(アルミナ蒸着OPET)、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ONy)、及び厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーションにより貼り合わせて巻取りロール状の積層フィルムを作成した。
【0056】
この積層フィルムのロールを製袋機に取り付け、CPP層を内側にして積層フィルム同士を重ね合わせて、開封予定部側にはチャックを装着し、チャックの位置から10mm非開封予定部側に折込み部を有する、外形寸法が幅100mm×高さ150mmの包装袋(三方パウチ)を作成した。折込み部の位置と寸法は図2における符号で表わすと、Aの位置はチャックの位置から10mm、W1とW3はそれぞれ4mm、W2は10mmとした。 該包装袋に90gの粒状菓子を充填してシールして包装体を作成した。
【0057】
この包装体を開封予定部のノッチからカット線に沿って開封してチャックを開き一部の内容物を取り出した後、机上に放置してから手で包装袋の横を軽く持って持ち上げたところ内容物を取り出す開口部が簡単に開き容易に粒状菓子を取り出すことが出来た。この包装袋を机上に倒して置いたところ開口部は自然にほぼ閉じた状態に復元して粒状菓子が外にこぼれるようなことはなかった。
【0058】
これによって、本発明の包装袋は、開封後再度内容物を取り出す際に折込み部両端のサードシール部分を手で軽く保持することで開口部を大きく保持することが出来るようになり使用時の利便性を向上させることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の包装袋は、粉粒体、固形食品を包装する袋に関して、折込み部を軽く手で持つことで開口部を大きく保持することができ、スムースに内容物を取り出すことが出来て手から離したときも大きくこぼれない取り扱い易い包装袋として利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1…包装袋
2…折込み部
3…チャック
4…開封口
5…サイドシール
6…ボトムシール
7…ノッチ
8…カット線
A…第1の谷折り線
B…第1の山折り線
C…第2の山折り線
D…第2の谷折り線
W1…第1の谷折り線と第1の山折り線との距離
W2…第1の山折り線と第2の山折り線との距離
W3…第2の山折り線と第2の谷折り線との距離
100…積層フィルム
112…外側基材
113…印刷層
114…接着剤層
115…接着剤層
117…ガスバリア積層体基材
118…プライマー層
119…無機酸化物蒸着薄膜層
120…ガスバリア性被膜層
121…ガスバリア積層フィルム
122…中間層
123…シーラント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のフィルムを重ね合わせ周縁部をシールしてなる包装袋であって、開封口とその対向する辺の中央部との間に折り線が平行になる方向で、フィルムを第1の谷折り、第1の山折り、第2の山折り、第2の谷折りを順次設けた折込み部を有することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
第1の谷折り線と第1の山折り線との距離をW1、第1の山折り線と第2の山折り線との距離をW2、第2の山折り線と第2の谷折り線との距離をW3としたとき、
1<W2/(W1+W3)≦2
であることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
開封口と折込み部との間にチャックを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−202266(P2010−202266A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51976(P2009−51976)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】