説明

包装装置

【課題】包装された被包装機器が落下しても、包装装置を介して被包装機器が受ける衝撃を緩和することにより、被包装機器の変形や破損を防止することのできる包装装置を提供すること。
【解決手段】機能部品などを内蔵した被包装機器10の脚部11a〜11cが固定される架台2と、被包装機器10の外部を覆う胴部外装体3及び天キャップ外装体4からなる包装用外装箱と、これらを締結固定する締結バンド7とを有する包装装置1において、包装用外装箱の対向する側面と被包装機器10との間に斜材5a,5bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば貯湯式給湯機の如き被包装機器を包装する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば貯湯式給湯機の如く機能部品などが収容された本体ケースを有する電気機器の運搬、保管、荷役などを行うにあたっては、電気機器が損傷したり変形したりしないように、本体ケースの脚部を固定具により架台に固定し、外周に筒状のスリーブからなる胴部を嵌合して覆い、上部をキャップ状の天板で覆ってこれらを締結用バンドで締結し、固定していた。
【0003】
このような電気機器の包装構造に、被包装物の上面側及び下面側に、平面形状が被包装物の平面形状より大きい上面用緩衝材及び下面用緩衝材を配設するとともに、被包装物の互いに対向する一対の側面にこの側面を覆うように側面用緩衝材を配設し、これらをバンド状締結部材で一体に締結するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、立設状態で使用される縦長形状の被梱包機器の脚部を固定具によって固定して被梱包機器を載置固定する梱包用固定台と、被梱包機器を覆う直方体状の梱包用外装箱とを備える梱包装置を構成するにあたり、梱包用外装箱の一側面の両角部に一対の長板状の補強材を設けるようにした梱包装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−337924号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献2】特開2007−326608号公報(第3−4頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、貯湯式給湯機のように限られたスペースに設置される電気機器は、比較的背高形状でしかも大型のものが多い。そのため、運搬や荷役の際に横揺れが生じて、周囲の物品との衝突や転倒などによる破損、変形などが生じ易い。
【0007】
また、電気機器は、一般に製品背面を壁に沿って設置したり埋め込んで設置されたりするため、メンテナンスの利便上機能部品類を開閉し易い本体ケースの一部に集約しているため、これら機能部品類の集約側に重心が移る偏重心となっている。このため、運搬車への積込みや荷降しの際に被梱包製品が受ける衝撃が偏り、本体ケースなどに撓みを生じて変形するおそれがある。
【0008】
特許文献1の包装構造では、運搬車からの荷降しの際などに生じる落下衝撃を防ぐことができないため、架台を補強したり、被梱包製品を下から支えるクッション材を設けたりしなければならないので、面倒であるばかりでなく、コストアップになる。
【0009】
また、特許文献2の梱包装置によれば、被梱包機器を運搬車輌の荷台にずり上げたり、荷台からずり降したりする際に生じる応力に起因して被梱包機器が変形又は損傷することを防止できるが、偏重心に対する対応がまだ十分ではなかった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、運搬、保管、荷役などの際に梱包体が落下しても、包装装置を介して被包装機器が受ける衝撃を緩和することにより、被包装機器の変形や破損を防止することのできる包装装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る包装装置は、機能部品などを内蔵した被包装機器の脚部が固定される架台と、前記被包装機器の外部を覆う胴部外装体及び天キャップ外装体からなる包装用外装箱と、これらを締結固定する締結バンドとを有する包装装置において、前記包装用外装箱の対向する側面と前記被包装機器との間に斜材を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被包装機器の対向する側面と包装用外装箱との間に斜材を設けたので、梱包体が落下しても包装装置から被包装機器に伝わる衝撃を緩和することができるため、被包装機器の変形や破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る包装装置により被包装機器を包装した状態を示す模式的説明図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】包装装置への斜材の取付状態を示す説明図である。
【図4】図1の梱包体の重心の位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る包装装置により、被包装機器を包装した状態を示す模式的説明図、図2は図1の側面図である。なお、図には被包装機器である貯湯式給湯機を梱包した状態を示してある。
【0015】
両図において、1は被包装機器である貯湯式給湯機10を包装した包装装置で、架台2には貯湯式給湯機10の脚部11a,11b,11cが、固定金具(図示せず)により固定されている。そして、貯湯式給湯機10の胴部には、段ボールからなるスリーブ状の外装体3(以下、胴部外装体という)が嵌合されて取付けられており、頂部には胴部外装体3の上部外周に嵌合した天キャップ状の外装体4(以下、天キャップ外装体という)が取付けられている。なお、以下の説明では、胴部外装体3と天キャップ外装体4を合わせて包装用外装箱と記すことがある。
【0016】
5a,5b(以下、単に5と記すことがある)は硬質紙系材料や木材等からなり、包装用外装箱の対向する側面の内側と貯湯式給湯機10との間にそれぞれ配設されたすじかい状の一対の斜材で、下端部が架台2の一方の側(図1の右側)の角部2a,2bに取付けられ、上端部が天キャップ外装体4の他方の側(図1の左側)の角部4a,4bに位置して、斜めに配設されている。なお、実施例では、幅50〜100mm、厚み3〜5mmの斜材5を用いたがこれに限定するものではない。
【0017】
斜材5は、例えば図3に示すように、下端部にはほぼ逆V字状に切除された係合部51が設けられており、この係合部51が架台2に設けた架台桁6に嵌合して取付けられている。また、上端部は三角形状(矢印状)に切除されて当接部52が形成されており、一方の辺が胴部外装体3の上部内壁面に当接し、他方の辺が天キャップ外装体4の角部4a(4b)の内壁面に当接している。
【0018】
このようにして、対向する両側面に斜材5a,5bがすじかい状に配設されて、貯湯式給湯機10を包装した包装装置1の外周は、架台2から天キャップ外装体4にわたって、締結用バンド7により一体に固定される(以下、この状態を梱包体Pという)。
この梱包体Pは、貯湯式給湯機10の機能部品類が前述のように一方の側に集約されているため、図4に示すように、その重心Cは、梱包体Pの中心線A−Aに対して一方の側に片寄った偏重心となっており、斜材5a,5bの下端部は、この重心Cを通る垂直線B−Bの近傍において架台2に取付けられている。
【0019】
上記のように構成した本実施の形態において、運搬、保管、荷役等の際に若し梱包体Pが落下すると、落下によって外部から包装装置1を介して貯湯式給湯機10に伝達されようとする衝撃を斜材5a,5bが受け、その衝撃力により斜材5a,5bが、締結バンド7で締結固定された胴部外装体3及び天キャップ外装体4を突き上げるように働く。
【0020】
そして、この突き上げようとする力の水平分力は、胴部外装体3に外向きの水平方向の力を与え、この水平方向の力が貯湯式給湯機10の重心Cの偏り側への撓みを起こす力に対して、胴部外装体3が貯湯式給湯機10を内包する形で反力として作用し、それぞれの力が相殺されて、貯湯式給湯機10の歪による変形や破損を防止する。
【0021】
上記の説明では、被包装機器として貯湯式給湯機10を包装する場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば電気冷蔵庫など、他の機器の包装にも本発明を実施することができる。
【0022】
本発明によれば、被包装機器10の包装にあたって、対向する両側面にすじかい状の一対の斜材5a,5bを設けたので、梱包体Pが落下した際に、包装装置1を介して被包装機器10へ伝達される衝撃を緩和することができ、これにより、被包装機器10の変形や破損を防止することができる。
また、本発明に係る斜材5a,5bは、包装作業性を低下させることなく、従来の包装装置に容易に組み込むことができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 包装装置、2 架台、3 胴部外装体、4 天キャップ外装体、5a,5b 斜材、6 架台桁、10 貯湯式給湯機(被包装機器)、10a〜11c 脚部、C 重心、P 梱包体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部品などを内蔵した被包装機器の脚部が固定される架台と、前記被包装機器の外部を覆う胴部外装体及び天キャップ外装体からなる包装用外装箱と、これらを締結固定する締結バンドとを有する包装装置において、
前記包装用外装箱の対向する側面と前記被包装機器との間に斜材を設けたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記斜材を、硬質紙系材料又は木材で構成したことを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記斜材を、前記架台の一方の側の両角部と、前記包装用外箱の他方の側の天面の両角部との間に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の包装装置。
【請求項4】
前記斜材を、下端部を前記架台の架台桁に取付け、上端部を前記胴部外装体の上部内壁面と天キャップ外装体の内壁面とに当接させたことを特徴とする請求項1又は2記載の包装装置。
【請求項5】
前記斜材を、下端部を前記被包装機器の重心に近い側の架台に取付け、上端部を前記胴部外装体の上部内壁面と天キャップ外装体の内壁面とに当接させたことを特徴とする請求項1又は2記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−136739(P2011−136739A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298066(P2009−298066)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】