説明

包装装置

【課題】フィルム搬送エラーと、フィルム終了エラーとを識別報知し得る包装装置を提供する。
【解決手段】フィルムロール配置部6にセットされたフィルムロール7からフィルムを引き出し、そのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段9,9’で挟持して包装部5に搬送し、包装部に張架して包装する包装装置において、フィルムロール配置部から包装部に至るフィルム搬送路の途中に、フィルムの搬送の有無を検知するフィルム検知手段と、フィルムロールの残量を検知するフィルム残量検知手段19と、その両検知手段の検知信号に基づき、フィルム搬送エラー或いはフィルム終了エラーかを判断する判断手段と、該判断手段の判断に基づき、判断されたエラー内容を報知する報知手段24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、フィルムフィード手段で包装部まで搬送して包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、そのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して包装部に搬送し、包装部に張架したフィルムに対し被包装物を下方から突き上げて被包装物の周面をフィルムで覆い、フィルムの端部を被包装物の底部に折り込んで包装を完了する包装装置が存在する。
そして、上記包装装置にはフィルムロールから引き出されるフィルムの搬送途中に、フィルムの有無を検知するセンサを設け、該センサの出力信号によって、フィルムが正常にフィードされたか否かを判断するものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、前記センサでフィルムが検知されない場合の状況としては、フィルムロールから引き出されるフィルムのフィルムフィード手段へ受け渡しが正しくされない等、正常にフィルムフィードがされない場合(フィルム搬送エラー)の他、フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールのフィルム残量が無くなったためにフィルムがフィードされない場合(フィルム終了エラー)もあるが、その区別がされることなく一律にエラーの表示がされるため、作業者は迅速にそれぞれのエラーに対して対応することができず、復旧に時間を要するという問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−282890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、フィルム搬送エラーと、フィルム終了エラーとを識別報知し得る包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成する為に本発明の包装装置は、フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、そのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して包装部に搬送し、包装部に張架して包装する包装装置において、前記フィルムロール配置部から前記包装部に至るフィルム搬送路の途中に、フィルムの搬送の有無を検知するフィルム検知手段と、前記フィルムロールの残量を検知するフィルム残量検知手段と、その両検知手段の検知信号に基づき、フィルム搬送エラー或いはフィルム終了エラーかを判断する判断手段と、該判断手段の判断に基づき、判断されたエラー内容を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする(請求項1)。
前記フィルム検知手段としては、例えば反射型フォトセンサを使用し、使用個数は1個、複数個(例えば2個)の何れでもよい。
前記フィルム検知手段を配置する位置としては、フィルムロールから引き出されたフィルムが包装部に搬送張架されるまでの間であればどこでもよい。
前記フィルム残量検知手段は、例えばフィルムロールを支持する軸の回転と、その回転によるフィルムの引き出し量から半径を算出して決定する方法、或いは画像によってフィルムロールの残量を判断する方法、フィルムロールがセットされる軸に重量検出部を備え、検出した重量によりフィルムの残量を判断する方法、光センサによる方法等、何れでもよい。
前記報知手段は、エラーの内容を表示部に表示する方法、或いはエラーの内容を音声で報知する方法、又は表示と音声の両方で報知する方法等、何れでもよい。
【0007】
上記手段によれば、フィルムロールから引き出されたフィルムの包装部に至る間のフィルムの搬送がフィルム検知手段によって検知され、且つ、フィルムロール配置部にセットされるフィルムロールのフィルム残量がフィルム残量検知手段によって検知される為、フィードされたはずのフィルムが検出されなかった時にフィルムロールの残量に基づきエラーの内容がフィルム搬送エラーか、或いはフィルム終了エラーか特定される。そして、そのエラーの内容が報知手段によって報知される為、作業者はエラーの内容に応じた処置を迅速に行うことができる。
【0008】
前記フィルム検知手段の設置位置は、フィルムロールから引き出されたフィルムが包装部に搬送張架されるまでの間であればどこでもよいが、例えば、前記フィルムロールから引き出したフィルムを前記フィルムフィード手段へ受け渡す受け渡し部近傍に配置する(請求項2)。
【0009】
一般的にフィルムの搬送エラーは、フィルムロールから引き出したフィルムを包装部まで搬送するフィード手段への受け渡し不良で発生する割合が多い。そこで、フィルム検知手段をフィルムロールから前記フィルムフィード手段への受け渡し部近傍に配置することで、該受け渡し部におけるフィルム受け渡しエラーを確実に検知することができる。しかも、フィルム検知手段を前記受け渡し部近傍に配置することで、フィルムとフィルム検知手段(センサ)の距離が安定し、安定した検知が可能となる。
【0010】
又、前記フィルム検知手段は、前記一対のフィルムフィード手段それぞれに設け、フィルムを検知すべきタイミングに一方のみのフィルムフィード手段に設けたフィルム検知手段で「フィルム有」が検知され、且つ、前記フィルム残量検知手段により検知されたフィルム残量が規定以上残っていると判断された場合、フィルム搬送エラーとしないよう制御する制御手段を備えてもよい(請求項3)。
前記フィルム検知手段の取り付け位置は、それぞれのフィルムフィード手段の機長内であればどこでもよいが、例えば始端側近傍に配置する。
【0011】
上記手段によれば、フィルムの幅方向の両側を挟持して搬送する一対のフィルムフィード手段それぞれにフィルム検知手段が設けられていることで、それぞれのフィード手段がフィルムの有無を検知することができる。しかし、フィルムは透明であるため、フィルムフィードが正常に行われているにも拘らず、フィルムが検知されずフィードされていないと誤検知される場合もある。そのような場合でも、一対のフィルムフィード手段のうち、何れか一方だけが「フィルム有」を検知し、且つ、フィルム残量検知手段によってフィルムロールの残量が規定以上残っていると判断された時は、フィルム搬送エラー扱いにしないでそのまま包装作業を可能にする。それにより、不要なエラーで装置が止まることがなくなるので、作業者は作業を中断することなく包装作業を続行することができる。
【0012】
また、前記フィルム検知手段は、1フィード中に一定時間間隔でフィルムの有無を検知し、該1フィード中に「フィルム有」を検知した回数又は割合が、予め設定した回数又は割合より少ないと判定された場合、当該検知手段の交換を報知するようにしてもよい(請求項4)。
【0013】
上記手段によれば、一対のフィルムフィード手段それぞれに設けたフィルム検知手段は、1フィード中、一定時間間隔(例えば、20ms)毎にフィルムの有無を検知しており、1回でも「フィルム有」を検知した場合はフィルムがあると判断している。しかし、透明なフィルムを検知する為、誤検知することもある。そこで、1フィード中の「フィルム有」の検知回数(割合)を記憶し、その回数(割合)が予め設定した回数(割合)より少ないと判定された場合は、当該検知手段(センサ)は交換の時期にきたとしてその旨が報知される。従って、交換の時期にきた検知手段を使い続け、エラー判断によって作業を中断する事態の発生を事前に解消でき、安定した包装作業を維持できる。
【0014】
又、前記一対のフィルムフィード手段に装備されるフィルム検知手段を識別し、その識別したそれぞれのフィルム検知手段が「フィルム無」を検知した回数を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した回数を表示する表示手段とを備えてもよい(請求項5)。
【0015】
上記手段によれば、それぞれのフィルムフィード手段に装備したフィルム検知手段が「フィルム無」(誤検知)を検知した回数が記憶され、その回数がフィルム検知手段毎表示される。それにより、例えば作業の無い時に、表示された回数を見て、交換時期の目安となる予め設定した所定回数を超えている場合には、当該検知手段は故障している蓋然性が高いと判断でき、該検知手段を交換することができる。従って、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装装置は請求項1記載の構成により、フィードされたはずのフィルムが検出されなかった時にフィルムロールのフィルム残量に基づき、搬送エラーかフィルム終了エラーかのエラー内容を特定して報知されるので、作業者はそれぞれのエラーに応じた処置を迅速に行うことができる。
また、請求項2記載の構成により、フィルムロールからフィルムフィード手段へのフィルム受け渡し部におけるフィルム受け渡しエラーを確実に検知することができる。
また、請求項3記載の構成により、フィルムフィードが正常に行われているにも拘らず、フィルムが検知されずフィードされていないと誤検知された場合でも、一対のフィルムフィード手段のうち、何れか一方だけが「フィルム有」を検知し、且つ、フィルム残量検知手段によってフィルムロールの残量が規定以上残っていると判断された時は、フィルム搬送エラー扱いにしないでそのまま包装作業を可能にする。それにより、不要なエラーで装置が止まることがなくなるので、作業者は作業を中断することなく包装作業を続行することができる。
【0017】
また、請求項4記載の構成により、交換の時期にきた検知手段を使い続け、エラー判断によって作業を中断する事態の発生を事前に解消でき、安定した包装作業を維持できる。
また、請求項5記載の構成により、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る包装装置の概略を示す縦断側面図。
【図2】同縦断正面図。
【図3】フィルム検知手段の配置の一例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図4】フィルム残量検知手段の一例を示し、(a)は正面図、(b)は同側面図。
【図5】同装置の制御手段の電気的構成を示すブロック図。
【図6】エラー検知の流れを示すフローチャート図。
【図7】表示手段の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る包装装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す包装装置は上包み方式の包装装置で、機枠1の前方に被包装物Wを載置する商品載置部2を設け、該商品載置部2に載せた被包装物(トレイ)Wを商品搬入コンベア3により機枠1内部に設けたエレベータ4まで搬送する。前記エレベータ4の上方には包装部5が設けられ、その包装部5の側方(上流側)にフィルムロール配置部6とそのフィルムロール配置部6にセットされたフィルムロール7から繰り出されるフィルム7’の先端部を保持するフィルム保持手段8が設けられ、そのフィルム保持手段8で保持されているフィルムを挟持して引き出し、前記包装部5まで搬送する一対のフィルムフィード手段9,9’が前記フィルム保持手段の先端に接近させて配置され、且つフィルム保持手段8とフィルムフィード手段9,9’との間には該フィルムフィード手段9,9’で挟持され引き出されたフィルム7’を所定長さに切断するカッター10が配置されている。
また、前記フィルムフィード手段9,9’の上方には左右折り込み板11,11’と後折り込み板12、及び後折り込み板の上方に位置して排出プッシャ13が配設されている。
【0020】
前記フィルム保持手段8は、フィルムロール配置部6にセットされたフィルムロール7から引き出されるフィルム7’の幅方向の両側を挟持して保持するもので、図2に示すように、フィルム7’の下側に配置されるフィルム受け部材8aと、そのフィルム受け部材8aの表面に支持されるフィルム7’をフィルム受け部材8a側に押し付ける押圧部材8bとで構成され、そのフィルム受け部材8aと押圧部材8bからなる保持手段がフィルム幅の間隔と対応する間隔をおいて左右に配置されている。
前記フィルム受け部材8aは、モータによって駆動回転される無端ベルト8cに固定されている。
それにより、無端ベルト8cの正回転によりフィルム受け部材8aと押圧部材8bによって保持されているフィルム7’の先端部を後述するフィルムフィード手段9,9’へ移動受け渡すようになっている。尚、フィルム保持手段8は、フィルムロール配置部6にセットするフィルムロール7に対応できるように、フィルム幅に応じて保持手段の一方または両方を幅方向に移動できるように構成してもよい。
【0021】
フィルムフィード手段9,9’は、フィルム7’の幅方向の側縁部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト9a,9a’と、下側の弾性ベルト9a’を上側の弾性ベルト9a側へ圧接するクランプ板9bと、下側の弾性ベルト9a’の始端側の上面に重ね合わせて配置した押えベルト9cとで構成され、それらが包装部5を挟んで前後に配置されている。前後のフィルムフィード手段9,9’相互の間隔は、前記したフィルム保持手段8を構成する前後一対の保持手段の間隔と同じ間隔である。
そして、その前後一対の構成部材はそれぞれ取り付け枠15,15’に支持され、その取り付け枠15,15’は該取り付け枠15,15’の下側に直角に交叉して配置された2本の案内杆16,16’に連結部材を介して支持されている。尚、包装装置にプリストレッチ機能を備える場合は、一方(被包装物Wの排出方向側)のフィード手段9を取り付けた取り付け枠15は固定し、他方(被包装物Wの排出方向と反対側)のフィード手段9’を取り付けた取り付け枠15’は前記案内杆16,16’に沿って移動自在に構成し、その可動側のフィード手段9’に移動手段(例えば、ステッピングモータ)を連結する。
【0022】
前記フィルムフィード手段9,9’を構成する上下一対の無端状の弾性ベルト9a,9a’はフィルム7’を挟持して搬送し得るよう同方向に駆動回転され、その駆動方式は減速機付モータ17で下側の弾性ベルト9a’が巻回されている駆動ローラ9d’を回転し、且つその駆動ローラ9d’の軸に固着したチェーンスプロケット(図示省略)と上側の弾性ベルト9aが巻回されている駆動ローラ9dの軸に固着したチェーンスプロケット(図示省略)とに亘ってチェーンを巻回して動力伝達が行われ、上側の弾性ベルト9aも回転するように構成されている。
また、上側の弾性ベルト9aに対して下側の弾性ベルト9a’を圧接するクランプ板9bは複数個(図示例は5個)に分割され、そのクランプ板9bは電磁ソレノイド等で下側の弾性ベルト9a’に接離自在に構成されている。
【0023】
そして、上記構成の包装装置のフィルム保持手段8とフィルム7’の幅方向の両側を挟持して搬送する一対のフィルムフィード手段9,9’との間のフィルム受け渡し部14にフィルム検知手段18が配置されている。
【0024】
また、前記フィルムロール配置部6にセットされるフィルムロール7のフィルム残量を検知するフィルム残量検知手段19が、フィルムロール7を支持して回転する支持軸6’に配置されている。
【0025】
前記フィルム検知手段18は、図3に示すように、フィルム保持手段8が保持するフィルム7’の先端側が一対のフィルムフィード手段9,9’に渡されたか否かを検知するもので、反射型フォトセンサが使用され、該センサはフィルムフィード手段9,9’の始端側近傍位置に配置されている。それにより、フィルムフィード手段9,9’それぞれについてフィルム7’の受け渡し(フィルムの有無)が検知される。
反射型フォトセンサによるフィルムの有無の検知は、包装に必要なフィルム7’のフィード中、一定時間間隔(例えば20ms)毎に検知し、その検知結果(フィルムの「有」、「無」)は記憶手段(RAM)に記憶される。尚、フィルム検知手段18の設置位置は、図示の受け渡し部14に限らず、フィルムフィード手段9,9’の機長内に配置しても良く、更にそれぞれのフィード手段9,9’のフィルム搬送方向に沿い間隔をおいて複数個のセンサを配置してもよい。
【0026】
前記フィルム残量検知手段19は、フィルムロール7を支持する支持軸6’の回転と、その回転によるフィルムの引き出し量から半径を算出して決定するもので、支持軸6’に固着したスリット円盤19aと、そのスリット円盤19aの外周を挟むように配置したパルス検出センサ19bとによって前記支持軸6’の回転数が検知される。図4に示すスリット円盤19aは、円盤の外周縁に沿って孔が一定間隔をおいて開設された例を示すが、孔に変えてスリット(溝)が一定間隔で形成されたものでもよい。
フィルムロール7のフィルム残量は、フィルムロールの半径に基づいて判断される。一つの被包装物が包装されるとき、事前に設定入力された被包装物の高さ、横、奥行き寸法、或いは被包装物が包装装置内へ搬入される時に自動計測された高さ、横、奥行き寸法にて、フィルムロールからどれだけの長さのフィルムを引き出せばよいか(フィルム繰り出し長さL)がCPU20にて判断され出力される。
そして、フィルムロールがフィードの為に回転すると、パルス検出センサ19bにより該フィード時におけるパルス数が出力される。スリット円盤19aに設けられている孔の数は予め決まっており、スリット円盤が一回転すると出力されるパルス数は予め決まっているので、前記フィード時に出力されるパルス数に基づき、該フィード時における支持軸の回転数Nが算出される。
これにより、数式(2)により、前記フィード時のフィルムロールの半径が算出され、基準のフィルムロールの半径以下になっているか、つまり、フィルム残量が無と判断するか否かが可能になる。つまり、事前に巻かれているフィルム長を入力したり、フィルムロールの直径を入力することなく、フィルムフィードの度にフィルムロール径を算出することができる。

2πr×N=L (1)
r=L/2πN (2)

r…フィルムロール半径
L…フィルムの繰り出し長さ(カット長さ)
N…支持軸の回転数
【0027】
図5は上述した包装装置の電気的構成を示すもので、包装機構制御部は包装装置の機構部の制御を行うもので、CPU20によって制御される。
CPU20にはバス20aを介して交信用インターフェース回路(INF)21、ROM22、RAM(記憶手段)23、操作表示部(表示手段)24、及び駆動機構部25が接続されている。
交信用インターフェース回路(INF)21は、計量ラベルプリンタを備えた場合、その計量ラベルプリンタの制御部と各種データ、指令の交信を行うための回路である。
ROM22は、CPU20が実行する制御プログラムが記憶されている。
RAM23は、CPU20がROM22の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ及びフラグのエリアの他に、フィルムロールのサイズデータ(外径、巻き芯外径等)に基づいて制御データを決定するための各種テーブル等が記憶されている。
操作表示部24は、装置の起動、停止等のための各種スイッチ及びデータの入力等を行うキーボードと、タッチ式の液晶表示器で構成され、前記CPU20の指令に基づいて入力データの表示、プリセットデータの表示、「フィルム搬送エラー」、「フィルム終了エラー」等のメッセージの表示を行う。
【0028】
機構駆動部25は、包装を実行する場合に包装装置の各機構部を駆動するための回路で、具体的にはエレベータ4を駆動するモータ26、被包装物Wを搬入するコンベア3の駆動モータ27、フィルムフィード手段9,9’を作動させる減速機付きモータ17、左右折り込み板11,11’を作動させる駆動モータ28、後折り込み板12を作動させる駆動モータ29、排出プッシャ13を作動させる駆動モータ30、フィルムロール7を支持する支持軸6’を駆動回転させる駆動モータ31、前記支持軸6’に固着したスリット円盤の回転を検出するパルス検出センサ19b、及びフィルムフィード手段9,9’にフィルムが受け渡されたか否か(フィルムの有無)を検知するフィルム検知手段(反射型フォトセンサ)18等がある。
前記フィルム検知手段18は、フィルム保持手段8に保持されているフィルム7’の先端がフィルムフィード手段9,9’に受け渡されて包装部5へ正常に搬送されたか否かを検出するもので、フィルム7’の幅方向の側縁を挟持して搬送するフィルムフィード手段9及び9’毎にフィルム7’の受け渡し(フィルムの有無)を検出し、その検出データがCPU20に供給される。尚、包装装置の構成は先に簡単に説明したが本発明と直接関係しない他のモータの制御については説明を省略する。
【0029】
図6はフィルムのフィード中に行われるフィルムの搬送エラー検出、フィルム終了エラー検出の制御を示すフローチャートで、前記CPU20によって実行される。
(スタート)…フィルムフィードの開始時、この処理がスタートする。具体的には、フィ
ルムフィード手段9,9’の押えベルト9cの閉動によりフィルム7’の
先端部を挟持した時。
(ST1)…フィルムフィード手段9及び9’に配置したフィルム検知手段(反射型フォ
トセンサ)18が「フィルム有」を検知したかを判断する。「フィルム有」
が検知されない場合(NO)はST2に進み、「フィルム有」が検知された場
合(YES)は包装処理が続行される。
(ST2)…「フィルム有」が検知されないのは両方のフィルム検知手段かが判断される
。両方のフィルム検知手段である場合(YES)はST3に進み、それ以外の
場合(NO)はST5に進む。
(ST3)…フィルムロールに巻かれているフィルム残量の有無が判断され、フィルム残
量がある場合(YES)は、ST4に進み、フィルム残量がない場合(NO)は
ST7に進む。
(ST4)…フィルムフィード手段9,9’への受け渡しにエラーがあるとして表示部に
「フィルム搬送エラー」のメッセージが表示される。
(ST5)…フィルムフィード手段9,9’の何れか一方のフィルム検知手段のみが「フ
ィルム有」を検知していないと判断し、ST6に進む。
(ST6)…フィルムロールに巻かれているフィルム残量の有無が判断され、フィルム残
量がある場合(YES)は、ST8に進み、フィルム残量がない場合(NO)は
ST7に進む。
(ST7)…フィルムロールのフィルム終了と判断し表示部に「フィルム終了エラー」を
表示する。フィルム残量の有無は、フィルム残量検知手段19によるフィル
ムロール7を支持する支持軸の回転数の検知によって算出されるフィルムロ
ールの半径が、予め記憶されているフィルムロールの巻き芯の半径と比較し
て判断される。
(ST8)…フィルム残量があるので、エラー扱いとせず包装処理を続行させる。
【0030】
前記ST2で「フィルム有」の検知を片方と判断した場合、「フィルム有」を検知しなかった方のフィルム検知手段については「フィルム有」を検知しなかった回数を1だけカウントアップする。そして、「フィルム有」を検知しなかった回数を検知手段毎にカウントして加算し、RAMに記憶する(図7参照)。これにより誤検知の回数を把握でき、その回数が予め設定した回数(交換目安回数)を超えた場合は、当該検知手段のセンサを交換することで、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
【0031】
また、前記フィルム検知手段18は、1フィード中、例えば20ms毎にフィルムの有無を検知しており、1回でも「フィルム有」を検知した場合はフィルムが有ると判断している。そして、直前の1フィード中あたりの「フィルム有」が検知された回数(又は割合)を操作表示部24に表示する。これにより、1フィード中の「フィルム有」の検知回数(又は検知割合)が予め設定した回数(又は割合)を下回ったら、当該フィルム検知手段を交換する。それにより、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
【0032】
本発明の包装装置は上記したように、フィルムロール7から引き出されるフィルム7’の幅方向の側縁を挟持して包装部5に搬送張架する一対のフィルムフィード手段9,9’に対応してフィルム検知手段18を配置し、更にフィルムロール配置部6には該部にセットされるフィルムロール7のフィルム残量を検知するフィルム残量検知手段19を配置し、フィルム検知手段18とフィルム残量検知手段19の検知情報に基づいて「フィルム搬送エラー」か、又は「フィルム終了エラー」を特定して報知することができる。従って、「フィルム搬送エラー」の場合には、例えば、フィルムロール7から引き出したフィルム7’の先端がフィルム保持手段8に正しくセットされているか否かを作業者は迅速に確認することができる。
また、「フィルム終了エラー」の場合には、例えば、倉庫にある交換用の新しいフィルムロールを迅速に用意することが可能になる。
【0033】
また、前記フィルム検知手段を、左右のフィルムフィード手段毎に配置したことで、フィルム検知手段が1個の場合は、その1個の検知手段が誤検知した場合には、直ぐに搬送エラーに繋がってしまうが、2個のうち1個が「フィルム有」を検知し、もう1個が「フィルム有」を検知しない場合でも、前記フィルム残量検知手段のフィルム残量有りの場合にはエラー扱いにしないため、余計なエラーで装置が停止することがなくなり、スムーズな包装作業が可能となる。
【0034】
また、前記フィルム検知手段は「フィルム有」を検知しなかった回数をカウント記憶することで、誤検知の回数を把握することができる。従って、カウント記憶した回数が予め設定した回数を超えた場合には、当該センサを交換することで、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
また、前記フィルム検知手段が1フィード中に「フィルム有」を検知した回数(又は割合)を表示することで、その表示される回数(又は割合)が予め設定した回数(又は割合)を下回ったら、当該センサを交換することができる。従って、検知センサの劣化を効率よく判断して交換することができ、故障している蓋然性が高い検知手段をそのまま使い続けることで起きるトラブル等を事前に解消することが可能となる。
【0035】
本発明の包装装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、フィルム検知手段をフィルム保持手段とフィルムフィード手段との間に受け渡し部に配置した例を示したがこれに限らず、例えば、フィルムフィード手段の始端から終端までの機長内に配置してもよい。
(2)実施の形態では、フィルム検知手段を左右のフィルムフィード手段に1個ずつ配置した例を示したがこれに限らず、左右のフィルムフィード手段に複数個を配置してもよい。
(3)実施の形態では、フィルム残量検知手段としてフィルムロールの回転数とフィルムの繰り出し長さに基づいて決定する機構を採用した例を示したがこれに限定されず、通常、フィルムロールのフィルム全長、例えば1000m巻き等決まっているので、フィルムフィード時のカット長を累積して、フィルム全長近傍の長さに達しているか否かを判断してもよいなど、他の方法による検知手段でもよい。
(4)実施の形態では、報知手段としてエラーの内容を操作表示部に文字で表示する例を示したがこれに限らず、音声による報知、文字表示と音声の両方による報知等、何れでもよい。
【符号の説明】
【0036】
5…包装部 6…フィルムロール配置部
7…フィルムロール 7’…フィルム
8…フィルム保持手段 9,9’…フィルムフィード手段
11,11’…左右折り込み板 12…後折り込み板
13…排出プッシャ 18…フィルム検知手段
19…フィルム残量検知手段 23…RAM(記憶手段)
24…操作表示部(報知手段、表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、そのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して包装部に搬送し、包装部に張架して包装する包装装置において、
前記フィルムロール配置部から前記包装部に至るフィルム搬送路の途中に、フィルムの搬送の有無を検知するフィルム検知手段と、
前記フィルムロールの残量を検知するフィルム残量検知手段と、
その両検知手段の検知信号に基づき、フィルム搬送エラー或いはフィルム終了エラーかを判断する判断手段と、
該判断手段の判断に基づき、判断されたエラー内容を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記フィルム検知手段が、前記フィルムロールから引き出したフィルムを前記フィルムフィード手段へ受け渡す受け渡し部近傍に配置されていることを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記フィルム検知手段を、前記一対のフィルムフィード手段それぞれに設け、フィルムを検知すべきタイミングに一方のみのフィルムフィード手段に設けたフィルム検知手段で「フィルム有」が検知され、且つ、前記フィルム残量検知手段により検知されたフィルム残量が規定以上残っていると判断された場合、フィルム搬送エラーとしないよう制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項4】
前記フィルム検知手段は、1フィード中に一定時間間隔でフィルムの有無を検知し、該1フィード中に「フィルム有」を検知した回数又は割合が、予め設定した回数又は割合より少ないと判定された場合、当該検知手段の交換を報知することを特徴とする請求項3記載の包装装置。
【請求項5】
前記一対のフィルム検知手段を識別し、その識別したそれぞれのフィルム検知手段が「フィルム無」を検知した回数を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した回数を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−148542(P2011−148542A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13264(P2010−13264)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】