説明

化合物、組成物、光学要素、および位相差板

【課題】高屈折率異方性(Δn)と低波長分散性を両立するディスコティック液晶性化合物、該化合物から形成される層を有する光学要素、更に該層を有する位相差板の提供。
【解決手段】下記一般式(DI)で表される化合物。
一般式(DI)


(一般式(DI)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル基、1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基を表す。H1、H2、H3は、ベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環を表し、R1、R2、R3はエーテル基,エステル基含有エーテル基等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位相差板などの作製に有用な化合物および該化合物を用いた光学要素等に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスコティック液晶性化合物は、光学補償シートの用の素材として非常に重要な化合物であることが知られている。このようなディスコティック液晶性を発現する液晶性化合物としては、特許文献2に2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−(4−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ}トリフェニレンが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
光学補償シートのレターデーション(△nd)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて決定する。レターデーション(△nd)は、光学的異方性層の屈折率異方性(△n)と光学的異方性層の厚さ(d)との積である。光学的異方性層の屈折率異方性(△n)が大きければ、層の厚さ(d)が薄くても液晶セルを補償できる。逆に屈折率異方性(Δn)が小さくなると、層の厚さ(d)を厚くする必要が生じ、その結果、液晶性化合物の配向に欠陥が生じやすくなる問題が生じてくる。高いΔnを有する化合物が求められていた。
【0004】
本発明の液晶性化合物に近い分子構造を有する化合物が非特許文献1で報告されている。しかし、この骨格では、実施例で後述するように、2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−アルキルオキシベンゾイルオキシ}トリフェニレンよりも低い波長分散性達成は容易でないことが分かった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−50206号公報
【非特許文献1】Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2001年, 370巻, 391頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような状況に鑑み、本発明の目的は、従来のディスコティック液晶性化合物では実現できなかった、高いΔnと低い波長分散性を両立するディスコティック液晶性化合物を提供することにある。また、該ディスコティック液晶性化合物を用いた薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段によって解決された。
(1)下記一般式(DI)で表される化合物。
一般式(DI)
【化1】

(一般式(DI)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル基、1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基を表す。H1は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるn+1価の基を表し、H2は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるm+1価の基を表し、H3は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるk+1価の基を表し、H1、H2、H3を構成するベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環が有していてもよい置換基は、それぞれ、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子またはアリル基である。R1、R2、R3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表し、複数のR1、R2、R3が存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよい。k、m、nは、それぞれ独立に、2〜5の整数を表す。)
一般式(DI−R)
−L22−L23−Q
(一般式(DI−R)中、L22は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−N(R6)−、−CH2−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。R6は、水素原子またはメチル基を表す。)
(2)前記一般式(DI)中のL1、L2、L3が、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基または1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基である、(1)に記載の化合物。
(3)前記一般式(DI)中のL1、L2、L3が、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基である、(1)に記載の化合物。
(4)前記一般式(DI)が下記一般式(DI−A)、一般式(DI−B)または一般式(DI−C)で表される、(1)に記載の化合物。
【化2】

(一般式(DI−A)、(DI−B)および(DI−C)中、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表す。)
一般式(DI−R)
−L22−L23−Q
(一般式(DI−R)中、L22は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−N(R6)−、−CH2−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。R6は、水素原子またはメチル基を表す。)
(5)液晶性を示すことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物を含有する組成物。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物から形成される層を有する光学要素。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物から形成される層を有する位相差板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のディスコティック液晶性化合物では実現できなかった、高いΔnと低い波長分散性を両立する化合物を提供することが可能になった。また、該化合物を用いることにより、高いΔnと低い波長分散性を有する光学要素(位相差板等の光学フィルム等)を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、液晶性を示す化合物を液晶性化合物という。
【0010】
本発明の化合物は、下記一般式(DI)で表される。
一般式(DI)
【化3】

【0011】
一般式(DI)中、L1、L2、L3はそれぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル基、1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基である。
1、L2、L3は、好ましくは、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基または1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基であり、さらに好ましくは、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基である。
1、L2、L3の2本の結合子と、ベンゼン環またはH1(若しくはH2、H3)との結合位置は特に定めるものではないが、3位と5位に結合子を有する場合5位と、2位と4位に結合子を有する場合2位と、2位と5位に結合子を有する場合5位と、ベンゼン環が結合しているのが好ましい。
【0012】
一般式(DI)中、H1は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるn+1価の基を表し、H2は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるm+1価の基を表し、H3は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるk+1価の基を表し、H1、H2、H3を構成するベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環が有していてもよい置換基は、それぞれ、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子またはアリル基である。
1、H2、H3を構成するベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環が有していてもよい置換基は、より好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子またはアリル基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子である。 ハロゲン原子としてより好ましくはF原子、Cl原子、Br原子であり、さらに好ましくはF原子、Cl原子である。
1、H2、H3は、それぞれ、無置換であることが好ましく、無置換のベンゼン環からなる基であることがより好ましい。
【0013】
一般式(DI)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表し、複数のR1、R2、R3が存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(DI−R)
−L22−L23−Q
(一般式(DI−R)中、L22は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−N(R6)−、−CH2−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。R6は、水素原子またはメチル基を表す。)
22は、好ましくは−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH2−または−CH=CH−であり、より好ましくは−O−、−O−CO−、−O−CO−O−または−CH2−である。
23は、好ましくは−O−、−S−、−C(=O)−および−CH2−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であり、より好ましくは−O−、−C(=O)−および−CH2−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基である。
23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがより好ましい。
【0014】
Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子である。本発明の化合物を光学補償フィルムのように位相差が大きく、熱により変化しないものが好ましい光学フィルム等に用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
以下に重合性基の例を示す。
【0015】
【化4】

【0016】
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
【0017】
【化5】

【0018】
式(M−3)、(M−4)中、R5は水素原子またはアルキル基を表す。R5としては、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)がさらに好ましい。
【0019】
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基がさらに好ましい。
【0020】
n、m、kは、それぞれ独立に、2〜5までの整数を表す。より好ましくはn、m、kは、それぞれ独立に、2または3を表す。
【0021】
本発明では、L1=L2=L3であることが好ましく、L1=L2=L3およびH1=H2=H3であることがより好ましく、L1=L2=L3、H1=H2=H3およびR1=R2=R3であることがさらに好ましい。
【0022】
一般式(DI)は、好ましくは、下記一般式(DI−A)、一般式(DI−B)または一般式(DI−C)で表される化合物である。
【化6】

【0023】
(一般式(DI−A)、(DI−B)および(DI−C)中、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表す。)
一般式(DI−R)は、一般式(DI)中の一般式(DI−R)と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(DI−A)、(DI−B)および(DI−C)中、好ましくは、一般式(DI−A)で表されるものである。
以下に、一般式(DI)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

【0027】
本発明の化合物が重合性基を有する場合、本発明の化合物を重合させると、それ自身を繰返し単位として含む重合体が得られる。該化合物から形成された層(重合体を含む)は、光学要素として利用できる。層の形状や厚みは特に限定されず、所望の形状、厚みのものが利用できる。具体的に光学要素とは、位相差板などの光学用フィルムや機能性フィルム等である。
【0028】
本発明の光学要素は、本発明の化合物を、例えば、1)支持体等に本発明の重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、2)液晶域において(均一に)配向させ、3)架橋することにより製造できる。
【0029】
本発明の均一に配向した状態とは、均一で欠陥のないモノドメインな配向状態指す。このような配向状態を実現するためには、良好なモノドメイン性を示す液晶相が望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、例えば位相差板に用いた場合に該位相差板が高い光透過率を有しやすくなる。
【0030】
本発明の液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。
【0031】
本発明の液晶性化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現させるものが好ましい。より好ましくは40℃〜280℃であり、さらに好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
【0032】
本発明の均一に配向した薄膜を得るためには、例えば、液晶性化合物に必要に応じて他の添加剤を加え液晶性組成物とした後に、該液晶性組成物を塗布し、液晶状態で均一に配向させることで得られる。液晶性化合物に加えることのできる添加剤の例としては、後述する空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
本発明の化合物を配向させる配向形態としては、ホメオトロピック配向、ホモジニアス配向、ハイブリッド配向が好ましい。
本発明の液晶性組成物が均一に配向した薄膜の厚さは、0.1μm〜5.0μmであることが好ましく、0.5μm〜2.5μmであることがさらに好ましい。
【0033】
均一に配向した状態を実現するためには、配向膜を設けることが好ましい。但し、ディスコティック液晶性化合物の光軸方向が薄膜面の法線方向と一致する場合(ホメオトロピック配向)においては必ずしも配向膜は必要ではない。
配向膜は、有機化合物(好ましくは、ポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、または、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
本発明の液晶性組成物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理または光照射により形成される配向膜が好ましい。ポリマーのラビング処理により形成される配向膜がさらに好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがより好ましい。
【0034】
本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、かつ、好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、例えば、通常0℃から50℃、より過酷な条件下では−30℃から70℃の温度範囲において、該固定化された液晶性組成物に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を含む趣旨である。なお、配向状態が最終的に固定化され光学異方性層が形成された際に、本発明の液晶性組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性化合物として重合性基を有する化合物を用いているので、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
光学異方性層の形成にあたり本発明の液晶性組成物に加えることのできる添加剤の例としては、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
【0035】
[空気界面配向制御剤]
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や添加剤の種類等で、その程度が異なるため、目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
【0036】
前記チルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換脂肪族基または、炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物がさらに好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
【0037】
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明の液晶性組成物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%が更に好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
【0038】
[ハジキ防止剤]
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0039】
[重合開始剤]
本発明における配向状態を固定化する方法としては、液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより、その液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することで形成できる。また、本発明の液晶性組成物に重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化することで形成できる。本発明における配向状態の固定化は、後者の重合反応により行うことが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応または電子線照射による重合反応が好ましい。
【0040】
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、光学異方性層の塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0041】
重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがより好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。
【0042】
[重合性モノマー]
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の化合物と相溶性を有し、液晶性組成物の配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.5〜50質量%の範囲にあることが好ましく、1〜30質量%の範囲にあることがより好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
【0043】
[塗布溶剤]
本発明の液晶性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。これらは、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0044】
[塗布方式]
本発明の薄膜は、上記溶媒を用いて本発明の液晶性組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、本発明の液晶性組成物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、スピンコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
[D−3の合成]
【化10】

【0047】
4−シアノフェノール17.0gをジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、炭酸カリウム20.9g、1−ブロモヘキサン37.0mlを添加後、窒素雰囲気下、110℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、(D−3A)を37.3g得た。
(D−3A)37.3gをエタノール200mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液26.0mlを添加後、90℃で3時間撹拌した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥し、(D−3B)の結晶を41.3g得た。
(D−3B)41.3gを1,4−ジオキサン300mlに溶解させ、トリメシン酸クロライド10.2g、ピリジン10.9mlを添加後、90℃で7時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、例示化合物(D−3)を34.3g得た。以下に化合物の1H NMRを示した。
【0048】
1H NMR(300MHz、CDCl3) 0.85(18H、t)、1.25−1.35(24H、m)、1.35−1.45(12H、m)、1.70−1.80(12H、m)、3.95(12H、t)、7.45(3H、d)、8.15(3H、d)、8.20(3H、d)、9.15(3H、s)。
【0049】
実施例2
[D−2の合成]
【化11】

【0050】
3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル200gをイソプロピルアルコール(IPA)1500mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液300gを添加後、90℃で3時間撹拌した。反応系を冷却すると結晶が析出し、ろ過した。結晶にイソプロピルアルコールをかけて洗った後、乾燥し(D−2A)の結晶を167.0g得た。
【0051】
(D−2A)50.5gをN,N−ジメチルアセトアミド1000ml、ピリジン25mlの溶液に溶解させ、トリメシン酸クロライド20.0gを添加後、90℃で7時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を濃縮した。得られた固体をアセトニトリル中にて分散し、ろ過を行う作業を2回繰り返し、乾燥させた。(D−2B)を43.0g得た。
(D−2B)6.0gのテトラヒドロフラン100ml溶液に、アクリル酸クロリド8.1mlを滴下し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン17.1mlを滴下し3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。これを、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、例示化合物(D−2)の結晶6.9gを得た。以下に得られた化合物の1H NMRを示した。
【0052】
1H NMR(300MHz、CDCl3):6.05(6H、dd)、6.30(6H、dd)、6.65(6H、dd)、7.50(3H、d)、8.18(3H、d)、8.20(3H、d)、9.25(3H、s)。
【0053】
得られた(D−2)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったが、昇温時、降温時ともに液晶相は見られなかった。
【0054】
実施例3
[D−7の合成]
【化12】

【0055】
氷冷下、4−(4’−アクリロイルブトキシ)−安息香酸4.2gのテトラヒドロフラン100ml溶液に、メタンスルホニルクロライド1.2ml、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.8mlを滴下し、1時間撹拌した。(D−2B)1.2gのテトラヒドロフラン溶液20mlを滴下し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.8ml、N,N―ジメチルアミノピリジン0.1gのテトラヒドロフラン溶液5mlを順に滴下した。ゆっくりと反応系の温度を室温まで昇温し、3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。これを、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、例示化合物(D−7)の結晶1.5gを得た。以下に得られた化合物の1H NMRを示した。
【0056】
1H NMR(300MHz、CDCl3):1.8−2.0(24H、m)、4.0−4.1(12H、m)、4.2−4.3(12H、m)、5.82(6H、d)、6.12(6H、dd)、6.40(6H、d)、6.8−6.9(12H、m)、7.55(3H、d)、8.0−8.1(12H、m)、8.2−8.3(6H、m)、9.25(3H、s)。
【0057】
得られた(D−7)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき80℃付近で結晶相からディスコティックネマチック液晶相に変わり、100℃を超えると等方性液体相に変わった。すなわち、(D−7)は80℃から100℃の間でディスコティックネマチック液晶相を呈することが分かった。
【0058】
実施例4
[D−14の合成]
【化13】

【0059】
3,5−ジメトキシベンゾニトリル163gをイソプロピルアルコール1500mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液300gを添加後、90℃で3時間撹拌した。冷却後、水を加え、析出した結晶を濾取した。結晶をイソプロピルアルコールをかけて洗った後、乾燥し(D−14A)の結晶を167.0g得た。
(D−14A)98.1gをN,N−ジメチルアセトアミド1000ml、ピリジン40mlの溶液に溶解させ、トリメシン酸クロライド37.0gを添加後、90℃で7時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取した。得られた固体を酢酸エチル中にて分散したものを加熱した後、放冷しろ過を行う作業を2回繰り返し、乾燥させた。(D−14B)を57.6g得た。
(D−14B)13.8gをCH2Cl2150mlに溶解させ、三臭化ホウ素(1.0M CH2Cl2溶液)200mlを添加した。40℃で8時間撹拌後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。この結晶を乾燥して、(D−14C)を10.5g得た。
2−ブロモブタノール0.37gをジメチルアセトアミド5mlに溶解後、アクリル酸クロライド0.29mlを滴下し、室温で1時間攪拌後、水20ml、ヘキサン20mlを加え、有機層を洗浄した。分液後、ヘキサン層を留去し、(D−14C)0.33g、炭酸カリウム0.48gおよびジメチルホルムアミドを加え、110℃で5時間攪拌した。反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、(D−14)の結晶0.40gを得た。以下に化合物の1H NMRを示した。
【0060】
1H NMR(300MHz、CDCl3):1.8−2.08(12H、m)、4.33(6H、t)、4.60(6H、t)、5.89(3H、dd)、6.20(3H、dd)、6.50(3H、dd)、6.80(3H、s)、7.25(2H、s)、9.25(3H、s)。
【0061】
実施例5
[D−5を均一に配向させた薄膜の作製]
ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−203)の水溶液を塗布し、100℃で3分乾燥させた。ポリビニルアルコールの厚みは、0.5μmであった。このポリビニルアルコールの薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、90℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、3.3μmであった。
【0062】
(塗布液)
・前記液晶性化合物 D−5 100質量部
・下記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 3.0質量部
・ジエチルチオキサントン 1.0質量部
・メチルエチルケトン 250質量部
【0063】
【化14】

【0064】
実施例6
[D−7を均一に配向させた薄膜の作製]
上記実施例5と同様のポリビニルアルコール薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、100℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、3.2μmであった。
【0065】
(塗布液)
・前記液晶性化合物 D−7 100質量部
・上記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 3.0質量部
・ジエチルチオキサントン 1.0質量部
・メチルエチルケトン 250質量部
【0066】
比較例1
[従来のディスコティック液晶性化合物を均一に配向させた薄膜の作製]
上記実施例5と同様のポリビニルアルコール薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、190℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、3.0μmであった。
【0067】
(塗布液)
・下記液晶性化合物 JD−1 100質量部
・上記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 3.0質量部
・ジエチルチオキサントン 1.0質量部
・メチルエチルケトン 250質量部
【化15】

【0068】
[Δnと波長分散性の比較]
実施例5、6、および比較例1で得られた薄膜の波長分散値(Re(478nm)/Re(748nm)は、KOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて、斜め40°から478nmおよび748nmのレタデーションを測定することで求めた。
また、ΔnはKOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて、589nmの波長を使用して観察角度を変えてレタデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想して、Designing Concepts of the Discotic Negative Compensation Films SID98 DIGESTに記載されている手法でΔn・dを算出し、別途求めた膜厚(d)で割ることで求めた。
結果を第1表に示した。
【0069】
【表1】

【0070】
上記表1から、本発明の化合物は、従来の化合物と比較して、高いΔnと低い波長分散性有することが認められた。
【0071】
比較例2
文献記載の方法(Kim, Bong Giらの報告、Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2001年, 370巻, 391頁)に従い合成した下記化合物JD−2を10μmのセルギャップの水平配向セル((株)EHC製;KSRP-10/A107M1NSS(ZZ))に150℃で注入し、130℃でホメオトロピック配向させた。その後、上記の方法で波長分散性を求めたところ、1.19であった。
【化16】

【0072】
比較例3
下記化合物JD−3を10μmのセルギャップの水平配向セル((株)EHC製、KSRP-10/A107M1NSS(ZZ))に200℃で注入し、190℃でホメオトロピック配向させた。その後、上記の方法で波長分散性を求めたところ1.18であった。
【化17】

【0073】
比較例2と比較例3の比較から、本発明に近い骨格を有するJD−2は従来の液晶化合物の非重合性タイプであるJD−3よりも高い波長分散性を有することが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(DI)で表される化合物。
一般式(DI)
【化1】

(一般式(DI)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル基、1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基を表す。H1は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるn+1価の基を表し、H2は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるm+1価の基を表し、H3は、置換若しくは無置換のベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環からなるk+1価の基を表し、H1、H2、H3を構成するベンゼン環、ビフェニル環またはナフタレン環が有していてもよい置換基は、それぞれ、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子またはアリル基である。R1、R2、R3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表し、複数のR1、R2、R3が存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよい。k、m、nは、それぞれ独立に、2〜5の整数を表す。)
一般式(DI−R)
−L22−L23−Q
(一般式(DI−R)中、L22は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−N(R6)−、−CH2−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。R6は、水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(DI)中のL1、L2、L3が、それぞれ独立に、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基または1,2,4−チアジアゾール−3,5−ジイル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(DI)中のL1、L2、L3が、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(DI)が下記一般式(DI−A)、一般式(DI−B)または一般式(DI−C)で表される、請求項1に記載の化合物。
【化2】

(一般式(DI−A)、(DI−B)および(DI−C)中、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(DI−R)を表す。)
一般式(DI−R)
−L22−L23−Q
(一般式(DI−R)中、L22は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−N(R6)−、−CH2−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−の組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表す。Qはそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。R6は、水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項5】
液晶性を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含有する組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物から形成される層を有する光学要素。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物から形成される層を有する位相差板。

【公開番号】特開2006−248967(P2006−248967A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66746(P2005−66746)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】