説明

化合物

【課題】青色の発光を呈する新規複素環化合物の提供。また、発光効率の高い発光素子、および、その発光素子を用いることにより、消費電力の低減された発光装置、電子機器、及び照明装置を提供する。
【解決手段】具体的には、下記一般式(G4)で表される構造を有する複素環化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環化合物に関する。また、当該複素環化合物を用いた発光素子、発光装置
、電子機器及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)
を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は
、一対の電極間に発光性の物質を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加する
ことにより、発光性の物質からの発光を得ることができる。
【0003】
このような発光素子は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く
、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好
適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも
大きな利点である。さらに応答速度が非常に速いことも特徴の一つである。
【0004】
そして、これらの発光素子は膜状に形成することが可能であるため、面状の発光を容易に
得ることができる。よって、面状の発光を利用した大面積の素子を形成することができる
。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光
源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
ELを利用した発光素子は、一対の電極間に挟まれた発光性の物質を含む層に対して陰極
から電子を注入し、これと同時に陽極から正孔を注入することで駆動される。陰極から注
入された電子、及び陽極から注入された正孔が発光性の物質を含む層において再結合して
分子励起子が形成され、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出する。こ
のエネルギーが可視光に対応する波長の光として放出された場合、発光として認識するこ
とができる。有機化合物の励起状態には一重項励起と三重項励起が存在し、発光はどちら
の励起状態からでも可能である。
【0006】
発光素子の発光波長は、基底状態と励起状態とのエネルギー差、すなわちエネルギーギャ
ップによって決定される。従って、発光を担う分子の構造を適宜選択、修飾することで、
任意の発光色を得ることが可能である。そして光の三原色である赤、青、緑の発光が可能
な発光素子を用いて発光装置を作製することで、フルカラー表示可能な発光装置を作製す
ることができる。
【0007】
優れたフルカラーの発光装置を作製する為には、寿命や発光効率など優れた特性を有する
赤、青、緑の発光素子が必要である。近年の材料開発の結果、赤色、及び緑色の発光素子
に関しては、良好な特性が達成されている。しかし、青色の発光素子に関しては、十分な
特性を有する発光素子の実現はされていない。例えば、特許文献1及び特許文献2では、
比較的高い発光効率を示す発光素子が報告されている。しかしながら、優れたフルカラー
ディスプレイの実現には、より一層高い発光効率を実現する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2008/143229号公報
【特許文献2】WO2005/113531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、青色の発光を呈する新規複素環化合物を提供することを目的とする。
また、本発明の一態様は、発光効率の高い発光素子を提供することを目的とする。また、
本発明の一態様は、この発光素子を用いることにより、消費電力の低減された発光装置、
電子機器、及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を有する複素環化合物である。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式(G1)中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置
換のアリール基を表し、R〜R11は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキ
ル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表し、Aは、
一般式(S1)又は一般式(S2)で表される置換基を表す。一般式(S1)及び一般式
(S2)において、Xは、酸素又は硫黄を表し、R12〜R18は、それぞれ独立に、水
素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基
を表す。
【0013】
本発明の一態様は、下記一般式(G2−1)で表される構造を有する複素環化合物である

【0014】
【化2】

【0015】
一般式(G2−1)中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は
無置換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表し、R〜R18は、それぞれ独立
に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリ
ール基のいずれかを表す。
【0016】
本発明の一態様は、下記一般式(G3)で表される構造を有する複素環化合物である。
【0017】
【化3】

【0018】
一般式(G3)中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置
換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表し、R〜R及びR12〜R18は、
それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは
無置換のアリール基のいずれかを表す。
【0019】
本発明の一態様は、下記一般式(G4)で表される構造を有する複素環化合物である。
【0020】
【化4】

【0021】
一般式(G4)中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置
換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表す。
【0022】
本発明の一態様の複素環化合物は、上記一般式(G1)で表される構造を有するジベンゾ
フラン誘導体、及びジベンゾチオフェン誘導体である。よって、本発明の一態様は、下記
構造式(100)で表されるジベンゾフラン誘導体である。
【0023】
【化5】

【0024】
また、本発明の一態様は、下記構造式(300)で表されるジベンゾチオフェン誘導体で
ある。
【0025】
【化6】

【0026】
以上で述べた一般式(G1)、(G2−1)、(G3)、(G4)、構造式(100)、
(300)で表される本発明の一態様である複素環化合物は、発光素子や有機トランジス
タなどの有機デバイスの材料として好適に用いることができる。したがって、上述の複素
環化合物を含む発光素子は、本発明の一態様である。
【0027】
また、本発明の一態様は、上述の複素環化合物を含む発光層を有する発光素子である。本
発明の一態様である複素環化合物は、青色の発光を呈し、高い発光効率を示すため、発光
素子における発光層の材料として好適に用いることができる。
【0028】
また、本発明の一態様は、上述の複素環化合物と、発光物質とを含む発光層を有する発光
素子である。本発明の一態様である複素環化合物は、広いエネルギーギャップを有するた
め、発光素子において、発光層の発光物質を分散させるホスト材料として用いることで、
高い発光効率を得ることができる。特に、青色発光の発光物質に対するホスト材料として
用いることで、高い発光効率の青色発光素子が得られる。
【0029】
また、本発明の一態様は、一対の電極間に発光層と正孔輸送層を少なくとも有し、正孔輸
送層に上述の複素環化合物を含む発光素子である。本発明の一態様の複素環化合物は、高
い正孔輸送性を示すため、発光素子における正孔輸送層の材料として好適に用いることが
できる。
【0030】
また、このようにして得られた本発明の一態様の発光素子は発光効率が高いため、この発
光素子を用いた発光装置(画像表示デバイス)は低消費電力を実現できる。したがって、
上述の発光素子を用いた発光装置は、本発明の一態様である。また、その発光装置を用い
た電子機器及び照明装置も本発明の一態様に含むものとする。
【0031】
なお、本明細書中における発光装置とは、発光素子を用いた画像表示デバイスを含む。ま
た、発光素子にコネクター、例えば異方導電性フィルムもしくはTAB(Tape Au
tomated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier
Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配
線板が設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方
式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする
。さらに、照明器具等に用いられる発光装置も含むものとする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様は、青色の発光を呈する新規複素環化合物を提供できる。また、本発明の
一態様である複素環化合物は、発光効率が高い。したがって、本発明の一態様の複素環化
合物を発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また
、本発明の一態様の複素環化合物を用いることにより、消費電力の低減された発光装置、
電子機器及び照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一態様の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の一態様の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の一態様の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の一態様の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の一態様の電子機器を説明する図。
【図6】本発明の一態様の照明装置を説明する図。
【図7】本発明の一態様の照明装置を説明する図。
【図8】本発明の一態様の照明装置を説明する図。
【図9】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのH NMRチャートを示す図。
【図10】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図11】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図12】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのCV測定結果を示す図。
【図13】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェンのH NMRチャートを示す図。
【図14】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェンのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図15】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェンの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図16】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェンのCV測定結果を示す図。
【図17】発光素子1及び比較発光素子1の輝度−電流効率特性を示す図。
【図18】発光素子1及び比較発光素子1の電圧−輝度特性を示す図。
【図19】発光素子1及び比較発光素子1の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図20】発光素子1及び比較発光素子1の発光スペクトルを示す図。
【図21】発光素子1及び比較発光素子1の信頼性試験の結果を示す図。
【図22】発光素子2及び比較発光素子2の輝度−電流効率特性を示す図。
【図23】発光素子2及び比較発光素子2の電圧−輝度特性を示す図。
【図24】発光素子2及び比較発光素子2の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図25】発光素子2及び比較発光素子2の発光スペクトルを示す図。
【図26】発光素子2及び比較発光素子2の信頼性試験の結果を示す図。
【図27】発光素子3の輝度−電流効率特性を示す図。
【図28】発光素子3の電圧−輝度特性を示す図。
【図29】発光素子3の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図30】発光素子3の発光スペクトルを示す図。
【図31】発光素子3の信頼性試験の結果を示す図。
【図32】発光素子4の輝度−電流効率特性を示す図。
【図33】発光素子4の電圧−輝度特性を示す図。
【図34】発光素子4の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図35】発光素子4の発光スペクトルを示す図。
【図36】発光素子4の信頼性試験の結果を示す図。
【図37】実施例の発光素子を説明する図。
【図38】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフランのH NMRチャートを示す図。
【図39】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフランのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図40】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフランの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図41】4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフランのCV測定結果を示す図。
【図42】発光素子5の輝度−電流効率特性を示す図。
【図43】発光素子5の電圧−輝度特性を示す図。
【図44】発光素子5の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図45】発光素子5の発光スペクトルを示す図。
【図46】発光素子5の信頼性試験の結果を示す図。
【図47】2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのH NMRチャートを示す図。
【図48】2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図49】2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図50】2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフランのCV測定結果を示す図。
【図51】発光素子6の輝度−電流効率特性を示す図。
【図52】発光素子6の電圧−輝度特性を示す図。
【図53】発光素子6の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図54】発光素子6の発光スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の
説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を
様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す
実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の複素環化合物について説明する。
【0036】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される複素環化合物である。
【0037】
【化7】

【0038】
一般式(G1)中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置
換のアリール基を表し、R〜R11は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキ
ル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表し、Aは、
一般式(S1)又は一般式(S2)で表される置換基を表す。また、一般式(S1)及び
一般式(S2)において、Xは、酸素又は硫黄を表し、R12〜R18は、それぞれ独立
に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリ
ール基を表す。なお、本明細書中で示すアリール基の炭素数は、主骨格の環を形成する炭
素数を示しており、それに結合する置換基の炭素数を含むものではない。
【0039】
また、本発明の一態様は、一般式(G1)において、Aに一般式(S1)が置換された複
素環化合物(G2−1)である。
【0040】
【化8】

【0041】
また、一般式(G2−1)において、R〜R11に水素が置換された本発明の一態様の
複素環化合物(G3)は合成が容易であるため好ましい。
【0042】
【化9】

【0043】
さらに、一般式(G2−1)において、R〜R18に水素が置換された本発明の一態様
の複素環化合物(G4)は合成が容易であるため好ましい。
【0044】
【化10】

【0045】
また、本発明の一態様は、一般式(G1)において、Aに一般式(S2)が置換された複
素環化合物(G2−2)である。
【0046】
【化11】

【0047】
一般式(G1)中におけるAr、Arの具体的な構造としては、構造式(1−1)〜
構造式(1−16)に示す置換基が挙げられる。
【0048】
【化12】

【0049】
また、一般式(G1)中におけるR〜R11の具体的な構造としては、先に示した構造
式(1−1)〜構造式(1−16)に加え、構造式(2−1)〜構造式(2−9)に示す
置換基が挙げられる。
【0050】
【化13】

【0051】
また、一般式(S1)、(S2)におけるR12〜R18の具体的な構造としては、先に
示した構造式(1−1)〜構造式(1−16)及び構造式(2−1)〜構造式(2−9)
に示す置換基が挙げられる。
【0052】
一般式(G1)に示される複素環化合物の具体例としては、構造式(100)〜構造式(
203)に示されるジベンゾフラン誘導体、構造式(300)〜構造式(400)に示さ
れるジベンゾチオフェン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定され
ない。
【0053】
【化14】

【0054】
【化15】

【0055】
【化16】

【0056】
【化17】

【0057】
【化18】

【0058】
【化19】

【0059】
【化20】

【0060】
【化21】

【0061】
【化22】

【0062】
【化23】

【0063】
【化24】

【0064】
【化25】

【0065】
【化26】

【0066】
【化27】

【0067】
【化28】

【0068】
【化29】

【0069】
【化30】

【0070】
【化31】

【0071】
【化32】

【0072】
【化33】

【0073】
【化34】

【0074】
【化35】

【0075】
【化36】

【0076】
【化37】

【0077】
【化38】

【0078】
【化39】

【0079】
【化40】

【0080】
【化41】

【0081】
【化42】

【0082】
【化43】

【0083】
【化44】

【0084】
【化45】

【0085】
【化46】

【0086】
【化47】

【0087】
【化48】

【0088】
本発明の一態様である複素環化合物の合成方法としては種々の反応を適用することができ
る。例えば、以下に示す合成反応を行うことによって、一般式(G1)で表される本発明
の一態様の複素環化合物を合成することができる。合成方法1では、一般式(G1)にお
いて、Aに一般式(S1)が置換された本発明の一態様の複素環化合物(G2−1)の合
成方法を示す。また、合成方法2では、一般式(G1)において、Aに一般式(S2)が
置換された本発明の一態様の複素環化合物(G2−2)の合成方法を示す。なお、本発明
の一態様である複素環化合物の合成方法は、以下の合成方法に限定されない。
【0089】
<一般式(G1)で表される複素環化合物の合成方法1>
はじめに、合成スキーム(A−1)を以下に示す。
【0090】
【化49】

【0091】
本発明の一態様の複素環化合物(G2−1)は、合成スキーム(A−1)のようにして合
成することができる。すなわち、アントラセン誘導体のハロゲン化物(化合物A)と、ジ
ベンゾフラン誘導体、又はジベンゾチオフェン誘導体(化合物B1)の有機ホウ素化合物
とを、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、本実施の
形態で示す複素環化合物(化合物G2−1)を得ることができる。
【0092】
合成スキーム(A−1)において、Xは酸素又は硫黄を表す。また、合成スキーム(A−
1)において、Dはハロゲンを表し、ハロゲンとしては、ヨウ素、臭素が好ましい。
【0093】
合成スキーム(A−1)において、R101及びR102は、水素、又は炭素数1〜6の
アルキル基を表し、R101とR102は同じであっても異なっていても良く、互いに結
合して環を形成していても良い。
【0094】
合成スキーム(A−1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パ
ラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げら
れる。また、合成スキーム(A−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配
位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリ
シクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
【0095】
また、合成スキーム(A−1)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム
tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0096】
また、合成スキーム(A−1)において、用いることができる溶媒としては、トルエンと
水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混
合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒
、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、1,2−ジメトキシエタン等の
エーテル類と水の混合溶媒などが挙げられる。また、トルエンと水、又はトルエンとエタ
ノールと水の混合溶媒がより好ましい。
【0097】
以上によって、本実施の形態の複素環化合物を合成することができる。
【0098】
<一般式(G1)で表される複素環化合物の合成方法2>
はじめに、合成スキーム(B−1)を以下に示す。
【0099】
【化50】

【0100】
本発明の一態様の複素環化合物(G2−2)は、合成スキーム(B−1)のようにして合
成することができる。アントラセン誘導体のハロゲン化物(化合物A)と、ジベンゾフラ
ン誘導体、又はジベンゾチオフェン誘導体(化合物B2)の有機ホウ素化合物とを、パラ
ジウム触媒を用いた鈴木・宮浦反応によりカップリングすることで、本実施の形態で示す
複素環化合物(化合物G2−2)を得ることができる。
【0101】
合成スキーム(B−1)において、Xは酸素又は硫黄を表す。また、合成スキーム(B−
1)において、Dはハロゲンを表し、ハロゲンとしては、ヨウ素、臭素が好ましい。
【0102】
合成スキーム(B−1)において、R101及びR102は、水素、又は炭素数1〜6の
アルキル基を表し、R101とR102は同じであっても異なっていても良く、互いに結
合して環を形成していても良い。
【0103】
合成スキーム(B−1)において、用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パ
ラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げら
れる。合成スキーム(B−1)において、用いることができるパラジウム触媒の配位子と
しては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロ
ヘキシルホスフィン等が挙げられる。
【0104】
合成スキーム(B−1)において、用いることができる塩基としては、ナトリウム te
rt−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。
【0105】
合成スキーム(B−1)において、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混
合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒
、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベン
ゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、1,2−ジメトキシエタン等のエーテ
ル類と水の混合溶媒などが挙げられる。また、トルエンと水、又はトルエンとエタノール
と水の混合溶媒がより好ましい。
【0106】
以上によって、本実施の形態の複素環化合物を合成することができる。
【0107】
本実施の形態の複素環化合物は、青色の発光を呈し、正孔輸送性を有する。また、本実施
の形態の複素環化合物は、高い発光効率を示す。したがって、本実施の形態の複素環化合
物を、発光素子に用いることにより、発光効率の高い発光素子を得ることができる。また
、本実施の形態の複素環化合物を用いることにより、消費電力の低減された発光装置、電
子機器及び照明装置を得ることができる。
【0108】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の複素環化合物をEL層に用いた発光素子について図
1を用いて説明する。
【0109】
本実施の形態の発光素子は、一対の電極間に少なくとも発光層を有するEL層を挟持して
形成される。EL層は発光層の他に複数の層を有してもよい。当該複数の層は、電極から
離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再
結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる
層を組み合わせて積層されたものである。本明細書では、キャリア注入性の高い物質やキ
ャリア輸送性の高い物質からなる層をキャリアの注入、輸送などに機能する、機能層とも
よぶ。機能層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを用いる
ことができる。
【0110】
図1(A)に示す本実施の形態の発光素子において、第1の電極101及び第2の電極1
03の一対の電極間に発光層113を有するEL層102が設けられている。EL層10
2は、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注
入層115を有している。図1(A)における発光素子は、基板100上に、第1の電極
101と、第1の電極101の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、
発光層113、電子輸送層114、電子注入層115と、さらにその上に設けられた第2
の電極103から構成されている。なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の
電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
【0111】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えばガラス、
石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可
撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンからなるプラスチック基板等
が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビ
ニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。なお、発光
素子の支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0112】
第1の電極101としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金
、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば
、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若し
くは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO
:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸
化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッ
タにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、IZ
Oは、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパ
ッタリング法により形成することができる。また、IWZOは、酸化インジウムに対し酸
化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを
用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt
)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄
(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物
(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0113】
但し、EL層102のうち、第1の電極101に接して形成される層が、後述する有機化
合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合に
は、第1の電極101に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、
電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウ
ム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(Al−Si等)等も用いることもで
きる。
【0114】
第1の電極101上に形成されるEL層102は、少なくとも発光層113を有しており
、またEL層102の一部には、本発明の一態様である複素環化合物を含んで形成される
。EL層102の一部には公知の物質を用いることもでき、低分子系化合物及び高分子系
化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層102を形成する物質には、有機化
合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0115】
また、EL層102は、発光層113の他、図1に示すように正孔注入層111、正孔輸
送層112、電子輸送層114、電子注入層115などを適宜組み合わせて積層すること
により形成される。
【0116】
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質とし
ては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、
ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸
化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることがで
きる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:C
uPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン系の化合物を
用いることができる。
【0117】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ
)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メ
チルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4
,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニ
ル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−
N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTP
D)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミ
ノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル
)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,
6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−
フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(
9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:P
CzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0118】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる
。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフ
ェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニ
ルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド]
(略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビ
ス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられ
る。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)
(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PS
S)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0119】
また、正孔注入層111として、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合して
なる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に
正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物と
しては、発生した正孔の輸送に優れた材料(正孔輸送性の高い物質)であることが好まし
い。
【0120】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香
族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合
物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高
い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動
度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれ
ば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化
合物を具体的に列挙する。
【0121】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA
、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN
1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:
NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニ
ル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族アミン
化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5
−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4
−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzP
A)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフ
ェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0122】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−
BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9
,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−t
ert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−B
uDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−
ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(
略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン
(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert
−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン
、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香
族炭化水素化合物を用いることができる。
【0123】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、
9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,
10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス
[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アン
トラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブ
チル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)
ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)
フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることが
できる。
【0124】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフ
ルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属
酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属
の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタ
ル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電
子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸
湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0125】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物
と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111に用いてもよい。
【0126】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。実施の形態1で示した本発
明の一態様の複素環化合物は、正孔輸送性に優れているため、正孔輸送層112として好
適に用いることができる。
【0127】
正孔輸送性の高い物質としては、例えば、NPB、TPD、4,4’−ビス[N−(9,
9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFL
DPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N
―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いること
ができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物
質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用い
てもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質か
らなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0128】
また、正孔輸送層112には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDな
どの高分子化合物を用いることもできる。
【0129】
発光層113は、発光物質を含む層である。発光物質としては、実施の形態1で示した本
発明の一態様の複素環化合物の他に、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光
する燐光性化合物を用いることができる。
【0130】
発光層113に用いることができる蛍光性物質としては、例えば、青色系の発光材料とし
て、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジ
フェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾ
ール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略
称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−
9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げ
られる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル
)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N
−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−
ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,
10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニ
レンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−
2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジ
アミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2
−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルア
ントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアント
ラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材
料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−
ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料とし
て、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジ
アミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラ
キス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジア
ミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0131】
また、発光層113に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光
材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’
イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス
[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(II
I)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオ
ロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略
称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニ
ル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FI
r(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェ
ニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス
(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミ
ダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(ac
ac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート
(略称:Ir(bzq)(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料と
して、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(I
II)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4
’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセト
ナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチ
アゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt
(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フ
ェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス
(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:Ir(pq)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として
、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジ
ウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(
1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート
(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス
(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdp
q)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21
H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げら
れる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(II
I)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3
−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(
DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロ
アセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)
(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間
の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0132】
なお、発光層113としては、上述した発光物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料
)に分散させた構成としてもよい。本発明の一態様の複素環化合物を発光層113に用い
ることにより、正孔輸送性の高い発光層とすることができる。発光層113は、実施の形
態1で示した本発明の一態様の複素環化合物をホスト材料に用いることができ、実施の形
態1の複素環化合物に発光物質であるゲスト材料を分散させた構成とすることで、ゲスト
材料からの発光を得ることができる。
【0133】
本発明の一態様の複素環化合物をホスト材料(他の発光物質を分散させる材料)として用
いる場合、他の発光物質に起因した発光色を得ることができる。また、本発明の一態様の
複素環化合物に起因した発光色と、その複素環化合物中に分散されている発光物質に起因
した発光色との混色の発光色を得ることもできる。
【0134】
発光物質を分散させるための物質としては、実施の形態1で示した本発明の一態様の複素
環化合物の他に、各種のものを用いることができ、発光物質よりも最低空軌道準位(LU
MO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ま
しい。
【0135】
発光物質を分散させるための物質としては、本発明の一態様の複素環化合物の他に、例え
ば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4
−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(1
0−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビ
ス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III
)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス
[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビ
ス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)など
の金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチ
ルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7
)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)
−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベン
ゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI
)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)な
どの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H
−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル
−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10
−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ
(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ
(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略
称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称
:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:
DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略
称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12
−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェ
ニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール
−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフ
ェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル
−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)
、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル
]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,1
0−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−ア
ミン(略称:2PCAPA)、NPB(又はα−NPD)、TPD、DFLDPBi、B
SPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0136】
また、発光性の物質(ゲスト材料)を分散させるための物質(ホスト材料)は複数種用い
ることができる。
【0137】
また、発光物質として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材
料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、
ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキ
シベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチ
ルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1
,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系
の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9
−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チ
アジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−
2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチ
ルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発
光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニ
レンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイ
ル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノ
ビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルア
ミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキ
シ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビ
ス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−D
PD)などが挙げられる。
【0138】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノ
リノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベ
リリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル
フェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨
格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロ
キシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール
系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体
以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3
,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチ
ルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7
)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)
−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhe
n)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質
は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層
は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0139】
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、リ
チウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、
フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx
)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができ
る。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができ
る。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
【0140】
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複
合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が
発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては
、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した
電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができ
る。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的
には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、Li、Cs、マグネシ
ウム(Mg)、Ca、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。ま
た、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシ
ウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩
基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物
を用いることもできる。
【0141】
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114
、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗
布法等の方法で形成することができる。
【0142】
第2の電極103は、第2の電極103が陰極として機能する際は仕事関数の小さい(好
ましくは3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用
いて形成することができる。具体的には、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、
すなわちLiやCs等のアルカリ金属、及びMg、Ca、ストロンチウム(Sr)等のア
ルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム(E
u)、Yb等の希土類金属及びこれらを含む合金の他、AlやAgなどを用いることがで
きる。
【0143】
但し、EL層102のうち、第2の電極103に接して形成される層が、上述する有機化
合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いる場合には、仕事関数の大
小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−
酸化スズ等様々な導電性材料を用いることができる。
【0144】
なお、第2の電極103を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いるこ
とができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを
用いることができる。
【0145】
上述した発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に生じた電位差により
電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そし
て、この発光は、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方又は両方を通っ
て外部に取り出される。従って、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方
、又は両方が可視光に対する透光性を有する電極となる。
【0146】
なお、第1の電極101と第2の電極103との間に設けられる層の構成は、上記のもの
に限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、第
1の電極101及び第2の電極103から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領
域を設けた構成であれば上記以外のものでもよい。
【0147】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質又は正孔輸送性
の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正
孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料等から成る層を、実施の形態1に示し
た複素環化合物を含む発光層と自由に組み合わせて構成すればよい。
【0148】
図1(B)に示す発光素子は、基板100上に、第1の電極101及び第2の電極103
の一対の電極間に、EL層102が設けられている。EL層102は、正孔注入層111
、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を有している
。図1(B)における発光素子は、基板100上に、陰極として機能する第2の電極10
3と、第2の電極103上に順に積層した電子注入層115、電子輸送層114、発光層
113、正孔輸送層112、正孔注入層111と、さらにその上に設けられた陽極として
機能する第1の電極101から構成されている。
【0149】
以下、具体的な発光素子の形成方法を示す。
【0150】
本実施の形態の発光素子は一対の電極間にEL層が挟持される構造となっている。EL層
は少なくとも発光層を有し、実施の形態1に示した複素環化合物を用いて形成される。ま
た、EL層には、発光層の他に機能層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入
層など)を含んでもよい。電極(第1の電極及び第2の電極)、発光層、及び機能層は液
滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、印刷法などの湿式法を用いて形成して
もよく、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの乾式法を用いて形成してもよい
。湿式法を用いれば、大気圧下で形成することができるため、簡易な装置及び工程で形成
することができ、工程が簡略化し、生産性が向上するという効果がある。一方乾式法は、
材料を溶解させる必要がないために溶液に難溶の材料も用いることができ、材料の選択の
幅が広い。
【0151】
発光素子を構成する薄膜のすべての形成を湿式法で行ってもよい。この場合、湿式法で必
要な設備のみで発光素子を作製することができる。また、発光層を形成するまでの積層を
湿式法で行い、発光層上に積層する機能層や第1の電極などを乾式法により形成してもよ
い。さらに、発光層を形成する前の第2の電極や機能層を乾式法により形成し、発光層、
及び発光層上に積層する機能層や第1の電極を湿式法によって形成してもよい。もちろん
、本実施の形態はこれに限定されず、用いる材料や必要とされる膜厚、界面状態によって
適宜湿式法と乾式法を選択し、組み合わせて発光素子を作製することができる。
【0152】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製し
ている。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の
発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、
例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光
素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティ
ブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。ス
タガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の
結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用い
てもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型及びP型のTFT
からなるものでもよいし、若しくはN型又はP型のいずれか一方からのみなるものであっ
てもよい。
【0153】
実施の形態1に示した本発明の一態様の複素環化合物は、高い正孔輸送性と高い発光効率
を示す。したがって、実施の形態1に示した複素環化合物を発光素子に用いることで、発
光効率の高い発光素子を得ることができる。
【0154】
また、このようにして得られた本発明の一態様の発光素子は発光効率が高いため、この発
光素子を用いた発光装置(画像表示デバイス)は低消費電力を実現できる。
【0155】
なお、本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス型の発光装置や、T
FTによって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発光装置を作製する
ことができる。
【0156】
本実施の形態においては、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0157】
(実施の形態3)
本実施の形態は複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という
)の態様について、図2を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極
との間に複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0158】
図2(A)において、第1の電極301と第2の電極303との間には、第1の発光ユニ
ット311と第2の発光ユニット312が積層されている。本実施の形態において、第1
の電極301は陽極として機能する電極であり、第2の電極303は陰極として機能する
電極である。第1の電極301と第2の電極303は実施の形態2と同様なものを適用す
ることができる。また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312は同じ構
成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用す
ることができる。
【0159】
また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312の間には、電荷発生層31
3が設けられている。電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極303に電圧
を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注
入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極303よ
りも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層313から第1の発光ユニット
311に電子が注入され、第2の発光ユニット312に正孔が注入される。
【0160】
なお、電荷発生層313は、光の取り出し効率の点から、可視光に対する透光性を有する
ことが好ましい。また、電荷発生層313は、第1の電極301や第2の電極303より
も低い導電率であっても機能する。
【0161】
電荷発生層313は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含
む構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む構成で
あってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0162】
正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体とを含む構成とする場合において、正孔輸送性
の高い有機化合物としては、本発明の一態様の複素環化合物の他、例えば、NPBやTP
D、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレ
ン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミ
ン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上
の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であ
れば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0163】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフ
ルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。ま
た、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に
属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、
酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レ
ニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定
であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0164】
一方、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体とを含む構成とする場合において、電子
輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlq
など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。
また、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子
を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOX
D−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、
主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子
の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0165】
また、電子供与体としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は希土類金属又は元素
周期表における第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具
体的には、Li、Cs、Mg、Ca、Yb、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セ
シウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を
電子供与体として用いてもよい。
【0166】
なお、上述した材料を用いて電荷発生層313を形成することにより、EL層が積層され
た場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0167】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、
図2(B)に示すように、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様
に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複
数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、
高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる

【0168】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として
、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子に
おいて、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になる
ようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。
なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にあ
る色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、
3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニッ
トの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニッ
トの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0169】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0170】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の、発光素子を有する発光装置について図3を用いて
説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面図、図3(B)は図3(A)をA−
B及びC−Dで切断した断面図である。
【0171】
図3(A)において、点線で示された401は駆動回路部(ソース側駆動回路)、402
は画素部、403は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、404は封止基板、
405はシール材であり、シール材405で囲まれた内側は、空間407になっている。
【0172】
なお、引き回し配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入力
される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリ
ントサーキット)409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等
を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配
線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装
置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとす
る。
【0173】
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板410上には駆動回路部
及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路401と
、画素部402中の一つの画素が示されている。
【0174】
なお、ソース側駆動回路401はnチャネル型TFT423とpチャネル型TFT424
とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、TFTで形成される種
々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施
の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要は
なく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0175】
また、画素部402はスイッチング用TFT411と、電流制御用TFT412とそのド
レインに電気的に接続された第1の電極413とを含む複数の画素により形成される。な
お、第1の電極413の端部を覆って絶縁物414が形成されている。ここでは、ポジ型
の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0176】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部又は下端部に曲率を有する
曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物414の材料としてポジ型の感光性アクリ
ルを用いた場合、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する
曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物414として、光の照射によってエッチャ
ントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ
型のいずれも使用することができる。
【0177】
第1の電極413上には、発光層416、及び第2の電極417がそれぞれ形成されてい
る。ここで、陽極として機能する第1の電極413に用いる材料としては、仕事関数の大
きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、又は珪素を含有したインジウム錫
酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、Cr膜、
W膜、亜鉛(Zn)膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分と
する膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層
構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好
なオーミックコンタクトがとれる。
【0178】
また、発光層416は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法などの液滴吐出法
、印刷法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光層416は、実施の
形態1で示した複素環化合物を含んでいる。また、発光層416を構成する他の材料とし
ては、低分子材料、オリゴマー、デンドリマー、又は高分子材料であっても良い。
【0179】
さらに、発光層416上に形成され、陰極として機能する第2の電極417に用いる材料
としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、又はこれらの合金や化合物
、Mg−Ag、Mg−In、Al−Li、LiF、CaF等)を用いることが好ましい
。なお、発光層416で生じた光が第2の電極417を透過させる場合には、第2の電極
417として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化
亜鉛を含む酸化インジウム、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ
、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0180】
さらにシール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより、素
子基板410、封止基板404、及びシール材405で囲まれた空間407に発光素子4
18が備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されており、
不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材405で充填される場
合もある。
【0181】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料は
できるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404に
用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rein
forced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又
はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0182】
以上のようにして、本発明の一態様の発光素子を有するアクティブマトリクス型の発光装
置を得ることができる。
【0183】
また、本発明の発光素子は、上述したアクティブマトリクス型の発光装置のみならずパッ
シブマトリクス型の発光装置に用いることもできる。図4に本発明の発光素子を用いたパ
ッシブマトリクス型の発光装置の斜視図及び断面図を示す。なお、図4(A)は、発光装
置を示す斜視図、図4(B)は図4(A)をX−Yで切断した断面図である。
【0184】
図4において、基板501上の第1の電極502と第2の電極503との間にはEL層5
04が設けられている。第1の電極502の端部は絶縁層505で覆われている。そして
、絶縁層505上には隔壁層506が設けられている。隔壁層506の側壁は、基板面に
近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。つ
まり、隔壁層506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層505と接する辺
)の方が上辺(絶縁層505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層506を設
けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
【0185】
以上により、本発明の一態様の発光素子を有するパッシブマトリクス型の発光装置を得る
ことができる。
【0186】
なお、本実施の形態で示した発光装置(アクティブマトリクス型、パッシブマトリクス型
)は、いずれも本発明の一態様の発光素子を用いて形成されることから、発光効率の高い
発光装置を得ることができる。
【0187】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0188】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示す本発明の一態様の発光装置をその一部に含む電子
機器について説明する。電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、
ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オ
ーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ
、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的
には、Digital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し
、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の
具体例を図5に示す。
【0189】
図5(A)は本発明の一態様に係るテレビ装置であり、筐体611、支持台612、表示
部613、スピーカー部614、ビデオ入力端子615等を含む。このテレビ装置におい
て、表示部613には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一
態様の発光装置は、高い発光効率が得られるという特徴を有していることから、本発明の
一態様の発光装置を適用することで消費電力の低減されたテレビ装置を得ることができる

【0190】
図5(B)は本発明の一態様に係るコンピュータであり、本体621、筐体622、表示
部623、キーボード624、外部接続ポート625、ポインティングデバイス626等
を含む。このコンピュータにおいて、表示部623には、本発明の発光装置を適用するこ
とができる。本発明の一態様の発光装置は、高い発光効率が得られることから、本発明の
一態様の発光装置を適用することで消費電力の低減されたコンピュータを得ることができ
る。
【0191】
図5(C)は本発明の一態様に係る携帯電話であり、本体631、筐体632、表示部6
33、音声入力部634、音声出力部635、操作キー636、外部接続ポート637、
アンテナ638等を含む。この携帯電話において、表示部633には、本発明の発光装置
を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、高い発光効率が得られることか
ら、本発明の一態様の発光装置を適用することで消費電力の低減された携帯電話を得るこ
とができる。
【0192】
図5(D)は本発明の一態様に係るカメラであり、本体641、表示部642、筐体64
3、外部接続ポート644、リモコンからの信号受信部645、受像部646、バッテリ
ー647、音声入力部648、操作キー649、接眼部650等を含む。このカメラにお
いて、表示部642には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の
一態様の発光装置は、高い発光効率が得られることから、本発明の一態様の発光装置を適
用することで消費電力の低減されたカメラを得ることができる。
【0193】
以上の様に、本発明の一態様の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆ
る分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の一態様の発光装置を用いること
により、消費電力の低減された電子機器を得ることができる。
【0194】
また、本発明の一態様の発光装置は、照明装置として用いることもできる。図6は、本発
明の一態様の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図6に示
した液晶表示装置は、筐体701、液晶層702、バックライト703、筐体704を有
し、液晶層702は、ドライバIC705と接続されている。また、バックライト703
は、本発明の一態様の発光装置が用いられおり、端子706により、電流が供給されてい
る。
【0195】
このように本発明の一態様の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることに
より、低消費電力のバックライトが得られる。また、本発明の一態様の発光装置は、面発
光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化も可能である。
従って、低消費電力であり、大面積化された液晶表示装置を得ることができる。
【0196】
図7は、本発明の一態様の発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例であ
る。図7に示す電気スタンドは、筐体801と、光源802を有し、光源802として、
本発明の一態様の発光装置が用いられている。本発明の一態様の発光装置は発光効率の高
い発光素子を有しているため、低消費電力の電気スタンドとして用いることが可能となる

【0197】
図8は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置901として用いた例である。本
発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いるこ
とができる。また、本発明の一態様の発光装置は、発光効率の高い発光素子を有している
ため、低消費電力の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明の一態
様の発光装置を、室内の照明装置901として用いた部屋に、図5(A)で説明したよう
な、本発明の一態様のテレビ装置902を設置して公共放送や映画を鑑賞することができ
る。
【0198】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0199】
≪合成例1≫
本実施例では、下記構造式(100)で示される4−[3−(9,10−ジフェニル−2
−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA−II)の合成方法
について説明する。
【0200】
【化51】

【0201】
2mDBFPPA−IIの合成方法を合成スキーム(C−1)に示すと共に、その反応に
関し以下において詳述する。
【0202】
【化52】

【0203】
2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン1.2g(3.0mmol)、3−(ジ
ベンゾフラン−4−イル)フェニルボロン酸0.87g(3.0mmol)、トリ(オル
ト−トリル)ホスフィン0.23g(0.75mmol)を、100mL三口フラスコに
入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、トルエン15mL、エタノール5.0
mL、2.0mol/L炭酸カリウム水溶液3.0mLを加えた。この混合物を減圧しな
がら攪拌することで脱気した。
【0204】
この混合物に酢酸パラジウム(II)34mg(0.15mmol)を加え、窒素気流下
、80℃で4時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液
と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、
乾燥後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにより精製した。クロマトグラフィーは、ヘキサン:トルエン=5:
1の混合溶媒を展開溶媒に用いて行った。得られた固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒
により再結晶化したところ、目的物の黄色粉末を1.4g、収率79%で得た。
【0205】
得られた黄色粉末状固体1.4gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇
華精製条件は、圧力3.0Pa、アルゴンガスを流量4.0mL/minで流しながら、
270℃で黄色粉末状固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を1.1g、収率
81%で得た。
【0206】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である4−[3−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA−II
)であることを確認した。
【0207】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.31−7.67(m,19H),
7.69−7.73(m,3H),7.80−7.86(m,2H),7.95(dd,
=0.90Hz,J=1.8Hz,1H),7.98−8.01(m,2H),8
.07(s,1H)
【0208】
また、H NMRチャートを図9(A)(B)に示す。なお、図9(B)は、図9(A
)における7.2ppm〜8.2ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0209】
得られた2mDBFPPA−IIの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Therm
ogravimetry−Differential Thermal Analysi
s)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社
製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下
(流速200mL/min)の条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)
から、測定開始時における重量に対し5%の重量減少が見られる温度(5%重量減少温度
)は418.0℃であり、良好な耐熱性を示した。
【0210】
また、2mDBFPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図10(A)に、発光
スペクトルを図10(B)にそれぞれ示す。また、2mDBFPPA−IIの薄膜の吸収
スペクトルを図11(A)に、発光スペクトルを図11(B)にそれぞれ示す。吸収スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶
液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定を行った。吸収
スペクトルについては、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収ス
ペクトルを差し引いた吸収スペクトル、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し
引いた吸収スペクトルを示した。図10及び図11において横軸は波長(nm)、縦軸は
強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では406nm付近に吸収が見られ、発光
波長は424、及び447nm(励起波長384nm)であった。また、薄膜の場合では
246、289、371、391、及び413nm付近に吸収が見られ、発光波長は43
7、及び458nm(励起波長392nm)であった。
【0211】
また、2mDBFPPA−IIの薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を
行った。HOMO準位の値は、大気中の光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)で測
定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO
準位の値は、図11(A)に示した2mDBFPPA−IIの薄膜の吸収スペクトルのデ
ータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学
的エネルギーギャップとしてHOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、2
mDBFPPA−IIのHOMO準位は、−5.66eVであり、LUMO準位は、−2
.79eVであった。
【0212】
また、2mDBFPPA−IIの酸化反応特性及び還元反応特性を測定した。酸化反応特
性及び還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定によって調べた。な
お測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル6
00A)を用いた。
【0213】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(S
igma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号:22705−6)を用い、
支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)(
(株)東京化成製、カタログ番号:T0836)を100mmol/Lの濃度となるよう
に溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補
助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(
5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5
非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。なお、CV測定の
スキャン速度は0.1V/sに統一した。
【0214】
2mDBFPPA−IIの還元反応特性については、参照電極に対する作用電極の電位を
−1.48Vから−2.27Vまで変化させた後、−2.27Vから−1.48Vまで変
化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。酸化反応特性については、同
様に0.18Vから1.02Vまで変化させた後、1.02Vから0.18Vまで変化さ
せる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。
【0215】
測定結果により、0.89V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示すピーク電流が、−
2.16V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示すピーク電流が観測された。得られた
グラフを図12に示す。
【0216】
100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、2mDBFPPA−IIは酸
化反応及び還元反応におけるCV曲線のピーク位置に大きな変化が見られず、ピーク強度
も酸化側でイニシャルの76%、還元側で90%の強度を保っていた。これにより2mD
BFPPA−IIは、中性状態から酸化状態への酸化反応と酸化状態から中性状態への還
元反応の繰り返し、及び中性状態から還元状態への還元反応と還元状態から中性状態への
酸化反応の繰り返しに対して比較的安定な物質であることがわかった。
【実施例2】
【0217】
≪合成例2≫
本実施例では、下記構造式(300)で表される4−[3−(9,10−ジフェニル−2
−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:2mDBTPPA−II)の合成
方法について説明する。
【0218】
【化53】

【0219】
2mDBTPPA−IIの合成方法を合成スキーム(D−1)に示すと共に、その反応に
関し以下において詳述する。
【0220】
【化54】

【0221】
2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセン1.6g(4.0mmol)、3−(ジ
ベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸1.2g(4.0mmol)、トリ(オ
ルト−トリル)ホスフィン0.30g(1.0mmol)を、100mL三口フラスコに
入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、トルエン25mL、エタノール5.0
mL、2.0mol/L炭酸カリウム水溶液5.0mLを加えた。この混合物を減圧しな
がら攪拌することで脱気した。
【0222】
この混合物に酢酸パラジウム(II)45mg(0.20mmol)を加え、窒素気流下
、80℃で5時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と
有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾
燥後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して、油状物を得た。得られた油状
物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。クロマトグラフィーは、ヘ
キサン:トルエン=5:1の混合溶媒を展開溶媒として用いて行った。得られた固体をト
ルエンとヘキサンの混合溶媒により再結晶化したところ、目的物の黄色粉末を1.6g、
収率70%で得た。
【0223】
得られた黄色粉末状固体1.6gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇
華精製条件は、圧力3.0Pa、アルゴンガスを流量4.0mL/minで流しながら、
290℃で黄色粉末状固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を1.4g、収率
87%で得た。
【0224】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である4−[3−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:2mDBTPPA−
II)であることを確認した。
【0225】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.33(q,J=3.3Hz,2
H),7.46−7.73(m,20H),7.80−7.87(m,2H),7.99
(st,J=1.8Hz,1H),8.03(sd,J=1.5Hz,1H),8.
14−8.20(m,2H)
【0226】
また、H NMRチャートを図13(A)(B)に示す。なお、図13(B)は、図1
3(A)における7.2ppm〜8.3ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0227】
得られた2mDBTPPA−IIの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Therm
ogravimetry−Differential Thermal Analysi
s)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社
製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下
(流速200mL/min)の条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)
から、5%重量減少温度は441.1℃であり、良好な耐熱性を示した。
【0228】
また、2mDBTPPA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図14(A)に、発光
スペクトルを図14(B)にそれぞれ示す。また、2mDBTPPA−IIの薄膜の吸収
スペクトルを図15(A)に、発光スペクトルを図15(B)にそれぞれ示す。吸収スペ
クトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶
液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定を行った。吸収
スペクトルについては、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収ス
ペクトルを、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示
した。図14及び図15において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。
トルエン溶液の場合では407nm付近に吸収が見られ、発光波長は423、及び446
nm(励起波長385nm)であった。また、薄膜の場合では244、293、371、
392、及び414nm付近に吸収が見られ、発光波長は437、及び459nm(励起
波長391nm)であった。
【0229】
また、2mDBTPPA−IIの薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を
行った。HOMO準位の値は、大気中の光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)で測
定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO
準位の値は、図15(A)に示した2mDBTPPA−IIの薄膜の吸収スペクトルのデ
ータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学
的エネルギーギャップとしてHOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、2
mDBTPPA−IIのHOMO準位は、−5.71eVであり、LUMO準位は、−2
.85eVであった。
【0230】
また、2mDBTPPA−IIの酸化反応特性及び還元反応特性を測定した。酸化反応特
性及び還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定によって調べた。な
お測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル6
00A)を用いた。
【0231】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(S
igma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号:22705−6)を用い、
支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)(
(株)東京化成製、カタログ番号:T0836)を100mmol/Lの濃度となるよう
に溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補
助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(
5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5
非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。なお、CV測定の
スキャン速度は0.1V/sに統一した。
【0232】
2mDBTPPA−IIの還元反応特性については、参照電極に対する作用電極の電位を
−1.46Vから−2.25Vまで変化させた後、−2.25Vから−1.46Vまで変
化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。酸化反応特性については、同
様に0.32Vから1.00Vまで変化させた後、1.00Vから0.32Vまで変化さ
せる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。
【0233】
測定結果により、0.88V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示すピーク電流が、−
2.16V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示すピーク電流が観測された。得られた
グラフを図16に示す。
【0234】
100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、2mDBTPPA−IIは酸
化反応及び還元反応におけるCV曲線のピーク位置に大きな変化が見られず、ピーク強度
も酸化側でイニシャルの76%、還元側で90%の強度を保っていた。これにより2mD
BTPPA−IIは、中性状態から酸化状態への酸化反応と酸化状態から中性状態への還
元反応の繰り返し、及び中性状態から還元状態への還元反応と還元状態から中性状態への
酸化反応の繰り返しに対して比較的安定な物質であることがわかった。
【実施例3】
【0235】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(A)を用いて説明する。本実
施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0236】
【化55】

【0237】
以下に、本実施例の発光素子1及び比較発光素子1の作製方法を示す。
【0238】
(発光素子1)
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパ
ッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nm
とし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽
極として機能する電極である。
【0239】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し
、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0240】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を3
0分程度放冷した。
【0241】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形
成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4
a程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、正孔
輸送性の高い物質である9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9
H−カルバゾール(略称:CzPA)とアクセプター性物質である酸化モリブデン(VI
)とを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、
CzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=CzPA:酸化モリ
ブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源
から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0242】
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン
−9−イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)を10nmの膜厚
となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0243】
さらに、実施例1にて合成した2mDBFPPA−IIと、4−(10−フェニル−9−
アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルア
ミン(略称:PCBAPA)と、を共蒸着し、正孔輸送層上に発光層1113を形成した
。ここで、2mDBFPPA−IIと、PCBAPAとの重量比は、1:0.1(=2m
DBFPPA−II:PCBAPA)となるように調節した。また、発光層1113の膜
厚は30nmとした。
【0244】
その後、発光層1113上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)
を10nmの膜厚となるように成膜し、続いてAlq層の上にバソフェナントロリン(略
称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhenからなる電
子輸送層1114を形成した。
【0245】
さらに、電子輸送層1114上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、
電子注入層1115を形成した。
【0246】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
【0247】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0248】
(比較発光素子1)
比較発光素子1の発光層1113は、発光素子1に用いた材料に替えて、4−[4−(9
,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2DBFPP
A−II)と、PCBAPAとを共蒸着することで形成した。ここで、2DBFPPA−
IIと、PCBAPAとの重量比は、1:0.1(=2DBFPPA−II:PCBAP
A)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。発光層11
13以外は発光素子1と同様に作製した。
【0249】
以上により得られた発光素子1、比較発光素子1の素子構造を表1に示す。
【0250】
【表1】

【0251】
発光素子1及び比較発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子
が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業を行った後、これらの発光素子
の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行っ
た。
【0252】
発光素子1及び比較発光素子1の輝度−電流効率特性を図17に示す。図17において、
横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特
性を図18に示す。図18において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m
)を表している。また、輝度―外部量子効率特性を図19に示す。図19において、横
軸は輝度(cd/m)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流
を流したときの発光スペクトルを図20に示す。図20において、横軸は波長(nm)、
縦軸は強度(任意単位)を表す。また、各発光素子における輝度1000cd/m付近
のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率
(cd/A)、外部量子効率(%)を表2に示す。
【0253】
【表2】

【0254】
図20及び表2のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子1及び比較発光素
子1は青色の発光を示している。図17〜19及び表2からわかるように、発光素子1は
比較発光素子1に比べ、色度が良好で、電流効率及び外部量子効率が高い。
【0255】
以上示したように、実施例1で作製した2mDBFPPA−IIを発光層のホスト材料と
して用いることにより、色度が良好で発光効率の高い発光素子を作製することができた。
【0256】
次に、発光素子1及び比較発光素子1の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図21
に示す。図21において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し
、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/m
設定し、電流密度一定の条件で本実施例の発光素子1及び比較発光素子1を駆動した。図
21から、発光素子1及び比較発光素子1の410時間後の輝度は初期輝度の86%を保
っていた。したがって、発光素子1は比較発光素子1よりも色度が良く発光効率が高いこ
とに加えて、比較発光素子1と同等の信頼性を示すことが明らかとなった。
【0257】
発光素子1と比較発光素子1を比べると、発光素子1の方が、色度が良好で高い発光効率
を示した。発光素子1と比較発光素子1における発光層のホスト材料の構造の違いは、ホ
スト材料であるジベンゾフラン誘導体が有するアントラセン骨格の2位とジベンゾフラン
骨格の4位が、比較発光素子1ではパラ位のフェニレン基を介して結合しているが、発光
素子1ではメタ位のフェニレン基を介して結合している点である。パラ位のフェニレン基
を介するか、メタ位のフェニレン基を介するか、によって発光素子1と比較発光素子1の
発光効率に差が生じた。従って、本発明の一態様のジベンゾフラン誘導体において、アン
トラセン骨格の2位とジベンゾフラン骨格の4位がメタ位のフェニレン基を介して結合し
ている点は、高い発光効率の実現に効果があることが明らかとなった。また、本発明の一
態様のジベンゾフラン誘導体を発光素子に用いることにより、色度が良好で発光効率の高
い発光素子を提供できることが明らかとなった。
【実施例4】
【0258】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(B)を用いて説明する。
【0259】
以下に、本実施例の発光素子2及び比較発光素子2の作製方法を示す。本実施例で用いた
材料は実施例3で用いた材料と同じであるため、化学式は省略する。
【0260】
(発光素子2)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1
101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした
。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
【0261】
次に、基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200
℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0262】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度
放冷した。
【0263】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された
基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧し
た後、第1の電極上に、正孔輸送性の高い物質であるCzPAとアクセプター性物質であ
る酸化モリブデン(VI)とを共蒸着し、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、
50nmとし、CzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=Cz
PA:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0264】
次に、正孔注入層1111上に、BPAFLBiを10nmの膜厚となるように成膜し、
正孔輸送層1112を形成した。
【0265】
さらに、正孔輸送層1112上に、PCBAPAを25nmの膜厚となるように成膜し、
第1の発光層1113aを形成した。そして、第1の発光層1113a上に、実施例1に
て合成した2mDBFPPA−IIと、PCBAPAと、を共蒸着することにより、第2
の発光層1113bを形成した。ここで、2mDBFPPA−IIと、PCBAPAとの
重量比は、1:0.1(=2mDBFPPA−II:PCBAPA)となるように調節し
た。また、第2の発光層1113bの膜厚は30nmとした。
【0266】
その後、第2の発光層1113b上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、続い
てAlq層の上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhen
からなる電子輸送層1114を形成した。
【0267】
さらに、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115
を形成した。
【0268】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
【0269】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0270】
(比較発光素子2)
比較発光素子2の第2の発光層1113bは、発光素子2に用いた材料に替えて、2DB
FPPA−IIと、PCBAPAと、を共蒸着することで形成した。ここで、2DBFP
PA−IIと、PCBAPAとの重量比は、1:0.1(=2DBFPPA−II:PC
BAPA)となるように調節した。また、第2の発光層1113bの膜厚は30nmとし
た。第2の発光層1113b以外は発光素子2と同様に作製した。
【0271】
以上により得られた発光素子2、比較発光素子2の素子構造を表3に示す。
【0272】
【表3】

【0273】
発光素子2及び比較発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子
が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業を行った後、これらの発光素子
の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行っ
た。
【0274】
発光素子2及び比較発光素子2の輝度−電流効率特性を図22に示す。図22において、
横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特
性を図23に示す。図23において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m
)を表している。また、輝度―外部量子効率特性を図24に示す。図24において、横
軸は輝度(cd/m)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流
を流したときの発光スペクトルを図25に示す。図25において、横軸は波長(nm)、
縦軸は強度(任意単位)を表す。また、各発光素子における輝度1000cd/m付近
のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率
(cd/A)、外部量子効率(%)を表4に示す。
【0275】
【表4】

【0276】
図25及び表4のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子2及び比較発光素
子2は青色の発光を示している。図22〜24及び表4からわかるように、発光素子2は
比較発光素子2に比べ、電流効率及び外部量子効率が高い。
【0277】
以上示したように、実施例1で作製した2mDBFPPA−IIを発光層のホスト材料と
して用いることにより、二層構造の発光層を有する発光素子においても、発光効率の高い
発光素子を作製することができた。
【0278】
次に、発光素子2及び比較発光素子2の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図26
に示す。図26において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し
、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/m
設定し、電流密度一定の条件で本実施例の発光素子2及び比較発光素子2を駆動した。図
26から、発光素子2及び比較発光素子2の170時間後の輝度は初期輝度の91%を保
っていた。したがって、発光素子2は比較発光素子2よりも発光効率が高いことに加えて
、比較発光素子2と同等の信頼性を示すことが明らかとなった。また、この信頼性試験の
結果から、本発明の一態様を適用した発光素子は、長寿命な発光素子の実現に効果がある
ことが明らかとなった。
【0279】
発光素子2と比較発光素子2を比べると、発光素子2の方が、色度が良好で高い発光効率
を示した。発光素子2と比較発光素子2における発光層のホスト材料の構造の違いは、ホ
スト材料であるジベンゾフラン誘導体が有するアントラセン骨格の2位とジベンゾフラン
骨格の4位が、比較発光素子2ではパラ位のフェニレン基を介して結合しているが、発光
素子2ではメタ位のフェニレン基を介して結合している点である。パラ位のフェニレン基
を介するか、メタ位のフェニレン基を介するか、によって発光素子2と比較発光素子2の
発光効率に差が生じた。従って、本発明の一態様のジベンゾフラン誘導体において、アン
トラセン骨格の2位とジベンゾフラン骨格の4位がメタ位のフェニレン基を介して結合し
ている点は、高い発光効率の実現に効果があることが明らかとなった。また、本発明の一
態様のジベンゾフラン誘導体を発光素子に用いることにより、色度が良好で発光効率の高
い発光素子を提供できることが明らかとなった。
【実施例5】
【0280】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(A)を用いて説明する。本実
施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、既に示した材料については省略する。
【0281】
【化56】

【0282】
以下に、本実施例の発光素子3の作製方法を示す。
【0283】
(発光素子3)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1
101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした
。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
【0284】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し
、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0285】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を3
0分程度放冷した。
【0286】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形
成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4
a程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、正孔
輸送性の高い物質であるCzPAとアクセプター性物質である酸化モリブデン(VI)と
を共蒸着することにより、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、
CzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=CzPA:酸化モリ
ブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源
から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0287】
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−
イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を10nmの膜厚となるように成膜し
、正孔輸送層1112を形成した。
【0288】
さらに、正孔輸送層1112上に、実施例2にて合成した2mDBTPPA−IIと、P
CBAPAと、を共蒸着することにより、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成
した。ここで、2mDBTPPA−IIと、PCBAPAとの重量比は、1:0.1(=
2mDBTPPA−II:PCBAPA)となるように調節した。また、発光層1113
の膜厚は30nmとした。
【0289】
その後、発光層1113上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、続いてAlq
層の上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhenからなる
電子輸送層1114を形成した。
【0290】
さらに、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115
を形成した。
【0291】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子3を作製した。
【0292】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0293】
以上により得られた発光素子3の素子構造を表5に示す。
【0294】
【表5】

【0295】
発光素子3を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されない
ようにガラス基板により封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定
を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0296】
発光素子3の輝度−電流効率特性を図27に示す。図27において、横軸は輝度(cd/
)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特性を図28に示す。
図28において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表している。
また、輝度―外部量子効率特性を図29に示す。図29において、横軸は輝度(cd/m
)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流を流したときの発光
スペクトルを図30に示す。図30において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単
位)を表す。また、発光素子3における輝度810cd/m付近のときの電圧(V)、
電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部量
子効率(%)を表6に示す。
【0297】
【表6】

【0298】
図30及び表6のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子3は青色の発光を
示している。図27〜29及び表6からわかるように、発光素子3は、色度が良好で、電
流効率及び外部量子効率が高い。
【0299】
以上示したように、実施例2で作製した2mDBTPPA−IIを発光層のホスト材料と
して用いても、発光効率の高い発光素子を作製することができた。
【0300】
次に、発光素子3の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図31に示す。図31にお
いて、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動
時間(h)を示す。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一
定の条件で本実施例の発光素子3を駆動した。図31から、発光素子3の220時間後の
輝度は初期輝度の80%を保っていた。したがって、発光素子3は高い信頼性を示すこと
が明らかとなった。また、この信頼性試験の結果から、本発明の一態様を適用した発光素
子は、長寿命な発光素子の実現に効果があることが明らかとなった。
【実施例6】
【0301】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(B)を用いて説明する。
【0302】
以下に、本実施例の発光素子4の作製方法を示す。本実施例で用いた材料は実施例5で用
いた材料と同じであるため、化学式は省略する。
【0303】
(発光素子4)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1
101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした
。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
【0304】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し
、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0305】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を3
0分程度放冷した。
【0306】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形
成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4
a程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、正孔
輸送性の高い物質であるCzPAとアクセプター性物質である酸化モリブデン(VI)と
を共蒸着することにより、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、
CzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=CzPA:酸化モリ
ブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源
から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0307】
次に、正孔注入層1111上に、BPAFLPを10nmの膜厚となるように成膜し、正
孔輸送層1112を形成した。
【0308】
さらに、正孔輸送層1112上に、PCBAPAを25nmの膜厚となるように成膜し、
第1の発光層1113aを形成した。そして、第1の発光層1113a上に、実施例にて
合成した2mDBTPPA−IIと、PCBAPAと、を共蒸着することにより、第2の
発光層1113bを形成した。ここで、2mDBTPPA−IIと、PCBAPAとの重
量比は、1:0.1(=2mDBTPPA−II:PCBAPA)となるように調節した
。また、第2の発光層1113bの膜厚は30nmとした。
【0309】
その後、第2の発光層1113b上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、続い
てAlq層の上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhen
からなる電子輸送層1114を形成した。
【0310】
さらに、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115
を形成した。
【0311】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子4を作製した。
【0312】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0313】
以上により得られた発光素子4の素子構造を表7に示す。
【0314】
【表7】

【0315】
発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されない
ようにガラス基板により封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定
を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0316】
発光素子4の輝度−電流効率特性を図32に示す。図32において、横軸は輝度(cd/
)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特性を図33に示す。
図33において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表している。
また、輝度―外部量子効率特性を図34に示す。図34において、横軸は輝度(cd/m
)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流を流したときの発光
スペクトルを図35に示す。図35において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単
位)を表す。また、発光素子4における輝度1100cd/m付近のときの電圧(V)
、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部
量子効率(%)を表8に示す。
【0317】
【表8】

【0318】
図35及び表8のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子4は青色の発光を
示している。図32〜34及び表8からわかるように、発光素子4は、色度が良好で、電
流効率及び外部量子効率が高い。
【0319】
以上示したように、実施例2で作製した2mDBTPPA−IIを発光層のホスト材料と
して用いることにより、二層構造の発光層を有する発光素子においても、発光効率の高い
発光素子を作製することができた。
【0320】
次に、発光素子4の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図36に示す。図36にお
いて、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動
時間(h)を示す。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一
定の条件で本実施例の発光素子4を駆動した。図36から、発光素子4の170時間後の
輝度は初期輝度の80%を保っていた。したがって、発光素子4は高い信頼性を示すこと
が明らかとなった。また、この信頼性試験の結果から、本発明の一態様を適用した発光素
子は、長寿命な発光素子の実現に効果があることが明らかとなった。
【実施例7】
【0321】
≪合成例3≫
本実施例では、実施の形態1に構造式(147)で示した4−[3−(9,10−ジフェ
ニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフラン(略称:2mD
BFPPA−III)の合成方法について説明する。
【0322】
【化57】

【0323】
<ステップ1:2,8−ジブロモジベンゾフランの合成>
ステップ1の合成スキームを(E−1)に示す。
【0324】
【化58】

【0325】
500mL三口フラスコに8.4g(50mmol)のジベンゾフランと、100mLの
四塩化炭素を入れた。このフラスコに50mLのクロロホルムに17g(110mmol
)の臭素を溶かした溶液を滴下ロートにより20分ほどかけて滴下した。滴下後、この溶
液を室温で7日間攪拌した。攪拌後、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と、チオ硫
酸ナトリウム水溶液と、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し
、この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体をクロロホルムにより再
結晶化したところ、目的物の白色粉末を6.4g、収率40%で得た。
【0326】
<ステップ2:2,8−ジフェニルベンゾフランの合成>
ステップ2の合成スキームを(E−2)に示す。
【0327】
【化59】

【0328】
300mL三口フラスコに4.0g(12mmol)の2,8−ジブロモジベンゾフラン
と、3.0g(24mmol)のフェニルボロン酸と、0.55g(1.8mmol)の
トリ(オルト−トリル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、
45mLのトルエンと、15mLのエタノールと、15mLの炭酸カリウム水溶液(2.
0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合
物に81mg(0.36mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80
℃で6時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層
を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合
物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物を約20mLのトルエンに溶解し
、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、
アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)
を通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物にトルエンとヘキサンの混合
溶媒を加えて超音波を照射したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引ろ過により
回収したところ、目的物の白色粉末を2.4g、収率63%で得た。
【0329】
<ステップ3:2,8−ジフェニルジベンゾフラン−4−ボロン酸の合成>
ステップ3の合成スキームを(E−3)に示す。
【0330】
【化60】

【0331】
200mL三口フラスコに2.4g(7.5mmol)の2,8−ジフェニルジベンゾフ
ランを入れて、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに40mLのテトラヒドロフラ
ン(THF)を加え、この溶液を−80℃に冷却した。この溶液に5.6mL(9.0m
mol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴
下して加えた。滴下終了後、この溶液を室温に戻しながら2時間攪拌した。攪拌後、この
溶液を再び−80℃まで冷却し、この溶液に1.7mL(15mmol)のホウ酸トリメ
チルを加え、室温に戻しながら3日間攪拌した。攪拌後、この溶液に約30mLの希塩酸
(1.0mol/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチ
ルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネ
シウムにより乾燥し、乾燥後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ
、油状物を得た。得られた油状物に酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒を加えて超音波を照
射したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引ろ過により回収したところ、目的物
の白色粉末を2.2g、収率82%で得た。
【0332】
<ステップ4:4−(3−ブロモフェニル)−2,8−ジフェニルジベンゾフランの合成

ステップ4の合成スキームを(E−4)に示す。
【0333】
【化61】

【0334】
100mL三口フラスコに1.7g(6.0mmol)の3−ブロモヨードベンゼンと、
2.2g(6.0mmol)の2,8−ジフェニルジベンゾフラン−4−ボロン酸を入れ
、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に30mLのトルエンと、6.0mLの炭酸ナ
トリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌すること
で脱気した。この混合物に0.35g(0.30mmol)のテトラキス(トリフェニル
ホスフィン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、110℃で4時間還流した。反応後
、この混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗
浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られた
ろ液を濃縮して得た油状物を約10mLのトルエンに溶解し、この溶液を、セライト(和
光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(
和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引ろ過した。得
られたろ液を濃縮して得られた油状物にヘキサンを加えて超音波を照射したところ、固体
が析出した。析出した固体を吸引ろ過により回収したところ、目的物の白色粉末を1.2
g、収率44%で得た。
【0335】
<ステップ5:3−(2,8−ジフェニルジベンゾフラン−4−イル)フェニルボロン酸
の合成>
ステップ5の合成スキームを(E−5)に示す。
【0336】
【化62】

【0337】
50mL三口フラスコに1.2g(2.5mmol)の4−(3−ブロモフェニル)−2
,8−ジフェニルジベンゾフランを入れて、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに
15mLのテトラヒドロフラン(THF)を加え、この溶液を−80℃に冷却した。この
溶液に1.9mL(3.0mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン
溶液)を、シリンジにより滴下して加えた。滴下終了後、この溶液を同温度で1時間攪拌
した。攪拌後、この溶液に0.56L(5.0mmol)のホウ酸トリメチルを加え、室
温に戻しながら18時間攪拌した。攪拌後、この溶液に約10mLの希塩酸(1.0mo
l/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有
機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥
後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、固体を得た。得られた固
体にクロロホルムとヘキサンの混合溶媒を加えて超音波を照射し、固体を吸引ろ過により
回収したところ、目的物の淡褐色粉末を0.62g、収率58%で得た。
【0338】
<ステップ6:4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−2,
8−ジフェニルジベンゾフラン(2mDBFPPA−III)の合成>
ステップ6の合成スキームを(E−6)に示す。
【0339】
【化63】

【0340】
50mL三口フラスコに0.62g(1.3mmol)の2−ヨード−9,10−ジフェ
ニルアントラセンと、0.60g(1.3mmol)の3−(2,8−ジフェニルジベン
ゾフラン−4−イル)フェニルボロン酸と、99mg(0.33mmol)のトリ(オル
ト−トリル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、10mLの
トルエンと、3.0mLのエタノールと、2.0mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mo
l/L)を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に1
5mg(0.065mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で
4時間攪拌した。得られた混合物の水層をトルエンで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせ
て、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然
ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで
精製したところ、黄色油状物を得た。クロマトグラフィーでは、展開溶媒に、ヘキサンと
トルエンの混合溶媒(ヘキサン:トルエン=3:1)を用いた。得られた油状物をトルエ
ンとヘキサンの混合溶媒で再結晶化したところ、目的物の黄色粉末を0.55g、収率5
8%で得た。
【0341】
得られた黄色粉末状固体0.55gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。
昇華精製条件は、圧力3.0Pa、アルゴンガスを流量4.0mL/minで流しながら
、320℃で黄色粉末状固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を0.50g、
収率90%で得た。
【0342】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である4−[3−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)フェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフラン(略称:2
mDBFPPA−III)であることを確認した。
【0343】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.31−7.65(m,21H),
7.69−7.74(m,8H),7.81−7.84(m,2H),7.95(dt,
=1.8Hz,J=7.5Hz,1H),8.03(sd,J=1.5Hz,1
H),8.10(s,1H),8.03(dd,J=1.5Hz,J=12.3Hz
,2H)
【0344】
また、H NMRチャートを図38(A)(B)に示す。なお、図38(B)は、図3
8(A)における7.2ppm〜8.3ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0345】
得られた2mDBFPPA−IIIの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Ther
mogravimetry−Differential Thermal Analys
is)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会
社製、TG−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流
下(流速200mL/min)の条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定
)から、測定開始時における重量に対し5%の重量減少が見られる温度(5%重量減少温
度)は448℃であり、良好な耐熱性を示した。
【0346】
また、2mDBFPPA−IIIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図39(A)に、発
光スペクトルを図39(B)にそれぞれ示す。また、2mDBFPPA−IIIの薄膜の
吸収スペクトルを図40(A)に、発光スペクトルを図40(B)にそれぞれ示す。吸収
スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた
。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定を行った。
吸収スペクトルについては、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸
収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを、薄膜については石英基板の吸収スペクトル
を差し引いた吸収スペクトルを示した。図39及び図40において横軸は波長(nm)、
縦軸は強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では365、385、及び406n
m付近に吸収が見られ、発光波長は423、及び447nm(励起波長385nm)であ
った。また、薄膜の場合では288、371、391、及び414nm付近に吸収が見ら
れ、発光波長は439、及び459nm(励起波長413nm)であった。
【0347】
また、2mDBFPPA−IIIの薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定
を行った。HOMO準位の値は、大気中の光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)で
測定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUM
O準位の値は、図40(A)に示した2mDBFPPA−IIIの薄膜の吸収スペクトル
のデータを用い、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を
光学的エネルギーギャップとしてHOMO準位の値に加算することにより得た。その結果
、2mDBFPPA−IIIのHOMO準位は、−5.77eVであり、LUMO準位は
、−2.92eVであった。
【0348】
また、2mDBFPPA−IIIの酸化反応特性及び還元反応特性を測定した。酸化反応
特性及び還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定によって調べた。
なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル
600A)を用いた。
【0349】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(S
igma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号:22705−6)を用い、
支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)(
(株)東京化成製、カタログ番号:T0836)を100mmol/Lの濃度となるよう
に溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補
助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(
5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5
非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。なお、CV測定の
スキャン速度は0.1V/sに統一した。
【0350】
2mDBFPPA−IIIの還元反応特性については、参照電極に対する作用電極の電位
を−1.59Vから−2.25Vまで変化させた後、−2.25Vから−1.59Vまで
変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。酸化反応特性については、
同様に0.25Vから1.00Vまで変化させた後、1.00Vから0.25Vまで変化
させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。
【0351】
測定結果により、0.88V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示すピーク電流が、−
2.16V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示すピーク電流が観測された。得られた
グラフを図41に示す。
【0352】
100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、2mDBFPPA−IIIは
酸化反応及び還元反応におけるCV曲線のピーク位置に大きな変化が見られず、ピーク強
度も酸化側でイニシャルの81%、還元側で87%の強度を保っていた。これにより2m
DBFPPA−IIIは、中性状態から酸化状態への酸化反応と酸化状態から中性状態へ
の還元反応の繰り返し、及び中性状態から還元状態への還元反応と還元状態から中性状態
への酸化反応の繰り返しに対して比較的安定な物質であることがわかった。
【実施例8】
【0353】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(A)を用いて説明する。本実
施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0354】
【化64】

【0355】
以下に、本実施例の発光素子5の作製方法を示す。
【0356】
(発光素子5)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1
101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした
。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
【0357】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し
、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0358】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を3
0分程度放冷した。
【0359】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形
成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4
a程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、正孔
輸送性の高い物質である9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)
フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)とアクセプター性物質である酸化
モリブデン(VI)とを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は
、50nmとし、PCzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=
PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理
室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0360】
次に、正孔注入層1111上に、PCzPAを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔
輸送層1112を形成した。
【0361】
さらに、実施例7にて合成した4−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フ
ェニル]−2,8−ジフェニルジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA−III)と、
N,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,
N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)と、を共
蒸着し、正孔輸送層上に発光層1113を形成した。ここで、2mDBFPPA−III
と、1,6FLPAPrnとの重量比は、1:0.05(=2mDBFPPA−III:
1,6FLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nm
とした。
【0362】
その後、発光層1113上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、続いてAlq
層の上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhenからなる
電子輸送層1114を形成した。
【0363】
さらに、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115
を形成した。
【0364】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子5を作製した。
【0365】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0366】
以上により得られた発光素子5の素子構造を表9に示す。
【0367】
【表9】

【0368】
発光素子5を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されない
ようにガラス基板により封止する作業を行った後、発光素子5の動作特性について測定を
行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0369】
発光素子5の輝度−電流効率特性を図42に示す。図42において、横軸は輝度(cd/
)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特性を図43に示す。
図43において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表している。
また、輝度−外部量子効率特性を図44に示す。図44において、横軸は輝度(cd/m
)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流を流したときの発光
スペクトルを図45に示す。図45において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単
位)を表す。また、発光素子における輝度780cd/cm付近のときの電圧(V)、
電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部量
子効率(%)を表10に示す。
【0370】
【表10】

【0371】
図45及び表10のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子5は青色の発光
を示している。図42〜44及び表10からわかるように、発光素子5は色度が良好で、
電流効率及び外部量子効率が高い。
【0372】
以上示したように、実施例7で作成した2mDBFPPA−IIIを発光層のホスト材料
として用いることにより、色度が良好で発光効率の高い発光素子を作製することができた

【0373】
次に、発光素子5の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図46に示す。図46にお
いて、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動
時間(h)を示す。信頼性試験は、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一
定の条件で本実施例の発光素子5を駆動した。図46から、発光素子5の1300時間後
の輝度は初期輝度の81%を保っていた。したがって、発光素子5は高い信頼性を示すこ
とが明らかとなった。また、この信頼性試験の結果から、本発明の一態様を適用した発光
素子は、長寿命な発光素子の実現に効果があることが明らかとなった。
【実施例9】
【0374】
≪合成例4≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(158)に示した2−[3−(9,10−ジフェ
ニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA)の合成方
法について説明する。
【0375】
【化65】

【0376】
<ステップ1:ジベンゾフラン−2−ボロン酸の合成>
ステップ1の合成スキームを(F−1)に示す。
【0377】
【化66】

【0378】
300mL三口フラスコに3.6g(14mmol)の3−ブロモジベンゾフランを入れ
、フラスコ内を窒素置換した。このフラスコに70mLのTHFを加えて、この溶液を−
80℃に冷却した。この溶液に10mL(16mmol)のn−ブチルリチウム(1.6
mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下した。滴下終了後、この溶液を同温度
で2時間攪拌した。攪拌後、この溶液に3.4mL(30mmol)のホウ酸トリメチル
を加え、室温に戻しながら4日間攪拌した。攪拌後、この溶液に約30mLの希塩酸(1
.0mol/L)を加えて、1時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで
抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗
浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後この混合物を自然ろ過した。得
られたろ液を濃縮したところ、固体を得た。得られた固体をヘキサンにより洗浄したとこ
ろ、目的物の白色粉末を0.70g、収率27%で得た。
【0379】
<ステップ2:2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ジベン
ゾフラン(略称:2mDBFPPA)の合成>
ステップ2の合成スキームを(F−2)に示す。
【0380】
【化67】

【0381】
50mL三口フラスコに1.2g(2.4mmol)の2−(3−ブロモフェニル)−9
,10−ジフェニルアントラセンと、0.52g(2.4mmol)のジベンゾフラン−
2−ボロン酸と、0.18g(0.60mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィン
を入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に10mLのトルエンと、3.0mLの
エタノールと、3.0mLの炭酸ナトリウム水溶液(2.0mol/L)を加えた。この
混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に27mg(0.12mmo
l)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で3時間攪拌した。攪拌後、
この混合物の水層をトルエンにより抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で
洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、この混合物を自然ろ過した。得られ
たろ液を濃縮して得た油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製したところ、
黄色油状物を得た。クロマトグラフィーでは、展開溶媒に、ヘキサンとトルエンの混合溶
媒(ヘキサン:トルエン=5:1)を用いた。得られた油状物をトルエンとヘキサンの混
合溶媒により再結晶化したところ、目的物の黄色粉末を0.40g、収率29%で得た。
【0382】
得られた黄色粉末状固体0.40gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。
昇華精製条件は、圧力2.6Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら
、270℃で黄色粉末を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を0.35g、収率8
7%で得た。
【0383】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物である2−[3−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)フェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA)であ
ることを確認した。
【0384】
得られた物質のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.32−7.38(m,3H),7
.43−7.74(m,20H),7.81−7.83(m,2H),7.98−8.0
1(m,2H),8.13(sd,J=1.8Hz,1H)
【0385】
また、H NMRチャートを図47(A)(B)に示す。なお、図47(B)は、図4
7(A)における7.2ppm〜8.2ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0386】
得られた2mDBFPPAの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogr
avimetry−Differential Thermal Analysis)を
行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、T
G−DTA2410SA)を用いた。常圧、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速
200mL/min)の条件で測定したところ、重量と温度の関係(熱重量測定)から、
測定開始時における重量に対し5%の重量減少が見られる温度(5%重量減少温度)は4
15℃であり、良好な耐熱性を示した。
【0387】
また、2mDBFPPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図48(A)に、発光スペク
トルを図48(B)にそれぞれ示す。また、2mDBFPPAの薄膜の吸収スペクトルを
図49(A)に、発光スペクトルを図49(B)にそれぞれ示す。吸収スペクトルの測定
には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セル
に入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製して測定を行った。吸収スペクトルに
ついては、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差
し引いた吸収スペクトルを、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収
スペクトルを示した。図48及び図49において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意
単位)を表す。トルエン溶液の場合では291、366、384、及び406nm付近に
吸収が見られ、発光波長は423、及び446nm(励起波長385nm)であった。ま
た、薄膜の場合では246、293、371、及び413nm付近に吸収が見られ、発光
波長は437、及び459nm(励起波長413nm)であった。
【0388】
また、2mDBFPPAの薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を行った
。HOMO準位の値は、大気中の光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)で測定した
イオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO準位の
値は、図49(A)に示した2mDBFPPAの薄膜の吸収スペクトルのデータを用い、
直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求め、その吸収端を光学的エネルギー
ギャップとしてHOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、2mDBFPP
AのHOMO準位は、−5.71eVであり、LUMO準位は、−2.85eVであった

【0389】
また、2mDBFPPAの酸化反応特性及び還元反応特性を測定した。酸化反応特性及び
還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定によって調べた。なお測定
には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A
)を用いた。
【0390】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(S
igma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号:22705−6)を用い、
支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)(
(株)東京化成製、カタログ番号:T0836)を100mmol/Lの濃度となるよう
に溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補
助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(
5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5
非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温で行った。なお、CV測定の
スキャン速度は0.1V/sに統一した。
【0391】
2mDBFPPAの還元反応特性については、参照電極に対する作用電極の電位を−1.
56Vから−2.27Vまで変化させた後、−2.27Vから−1.56Vまで変化させ
る走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。酸化反応特性については、同様に0
.20Vから1.05Vまで変化させた後、1.05Vから0.20Vまで変化させる走
査を1サイクルとし、100サイクル測定した。
【0392】
測定結果により、0.95V(vs.Ag/Ag)付近に酸化を示すピーク電流が、−
2.22V(vs.Ag/Ag)付近に還元を示すピーク電流が観測された。得られた
グラフを図50に示す。
【0393】
100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、2mDBFPPAは酸化反応
及び還元反応におけるCV曲線のピーク位置に大きな変化が見られず、ピーク強度も酸化
側でイニシャルの73%、還元側で89%の強度を保っていた。これにより2mDBFP
PAは、中性状態から酸化状態への酸化反応と酸化状態から中性状態への還元反応の繰り
返し、及び中性状態から還元状態への還元反応と還元状態から中性状態への酸化反応の繰
り返しに対して比較的安定な物質であることがわかった。
【実施例10】
【0394】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について図37(A)を用いて説明する。本実
施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0395】
【化68】

【0396】
以下に、本実施例の発光素子6の作製方法を示す。
【0397】
(発光素子6)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1
101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした
。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
【0398】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し
、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0399】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着
装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を3
0分程度放冷した。
【0400】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形
成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4
a程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、正孔
輸送性の高い物質であるPCzPAとアクセプター性物質である酸化モリブデン(VI)
とを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、P
CzPAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2(=PCzPA:酸化モ
リブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発
源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0401】
次に、正孔注入層1111上に、PCzPAを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔
輸送層1112を形成した。
【0402】
さらに、実施例9にて合成した2−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フ
ェニル]ジベンゾフラン(略称:2mDBFPPA)と、1,6FLPAPrnと、を共
蒸着し、正孔輸送層上に発光層1113を形成した。ここで、2mDBFPPAと、1,
6FLPAPrnとの重量比は、1:0.05(=2mDBFPPA:1,6FLPAP
rn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0403】
その後、発光層1113上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、続いてAlq
層の上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、Alq及びBPhenからなる
電子輸送層1114を形成した。
【0404】
さらに、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115
を形成した。
【0405】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜
厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子6を作製した。
【0406】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0407】
以上により得られた発光素子6の素子構造を表11に示す。
【0408】
【表11】

【0409】
発光素子6を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されない
ようにガラス基板により封止する作業を行った後、発光素子6の動作特性について測定を
行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0410】
発光素子6の輝度−電流効率特性を図51に示す。図51において、横軸は輝度(cd/
)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧―輝度特性を図52に示す。
図52において、横軸は印加した電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表している。
また、輝度−外部量子効率特性を図53に示す。図53において、横軸は輝度(cd/m
)、縦軸は外部量子効率(%)を表している。また、1mAの電流を流したときの発光
スペクトルを図54に示す。図54において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単
位)を表す。また、発光素子6における輝度1200cd/m付近のときの電圧(V)
、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部
量子効率(%)を表12に示す。
【0411】
【表12】

【0412】
図54及び表12のCIE色度座標からわかるように、作製した発光素子6は青色の発光
を示している。図51〜53及び表12からわかるように、発光素子6は色度が良好で、
電流効率及び外部量子効率が高い。
【0413】
以上示したように、実施例9で作成した2mDBFPPAを発光層のホスト材料として用
いることにより、色度が良好で発光効率の高い発光素子を作製することができた。
【0414】
(参考例1)
上記実施例3及び4で用いた4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン−9
−イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)の合成方法について具
体的に説明する。BPAFLBiの構造を以下に示す。
【0415】
【化69】

【0416】
[ステップ1:9−(4’−ブロモ−4−ビフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成
法]
500mL三口フラスコに、2−ブロモビフェニルを5.1g(22mmol)入れ、フ
ラスコ内の雰囲気を窒素置換したのち、テトラヒドロフラン(略称:THF)200mL
を加えて−78℃にした。この混合液に1.59mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサ
ン溶液14mL(22mmol)を滴下し、2.5時間撹拌した。この混合物に9−(4
’−ブロモビフェニリル)−9−フェニルフルオレンを6.7g(20mmol)を加え
、−78℃で2時間、室温で85時間撹拌した。
【0417】
反応後、この反応溶液に1N−希塩酸を酸性になるまで加えて4時間撹拌した。これを水
で洗浄した。洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し
、得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)
による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけ
たのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を得た。
【0418】
200mLなすフラスコに、この白色粉末と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLとを入
れ、窒素雰囲気下、130℃で2.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0419】
反応後、この反応混合液をろ過してろ物を得た。得られたろ物を100mLのトルエンに
溶かし、水、水酸化ナトリウム水、水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取
り除いた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、アセトン、メタノールを加えて
超音波をかけたのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を収量6.3g、収率67
%で得た。また、上記反応スキームを下記(J−1)に示す。
【0420】
【化70】

【0421】
[ステップ2:4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン−9−イル)フェ
ニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)の合成法]
100mL三口フラスコへ、9−(4’−ブロモ−4−ビフェニル)−9−フェニルフル
オレンを3.8g(8.0mmol)、4−フェニル−ジフェニルアミンを2.0g(8
.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.0g(10mmol)、ビス
(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を23mg(0.04mmol)加え、フ
ラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン20mLを加えた。この
混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(1
0wt%ヘキサン溶液)0.2mL(0.1mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰
囲気下、110℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
【0422】
反応後、この反応混合液にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール(和光
純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式
会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過した。得られたろ液を濃縮し、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による
精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波を
かけたのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を収量4.4g、収率86%で得た
。また、上記合成法の反応スキームを下記(J−2)に示す。
【0423】
【化71】

【0424】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキ
サン=1:10)は、目的物は0.51、9−(4’−ブロモ−4−ビフェニル)−9−
フェニルフルオレンは0.56、4−フェニル−ジフェニルアミンは0.28だった。
【0425】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定
データを示す。測定結果から、フルオレン誘導体であるBPAFLBi(略称)が得られ
たことがわかった。
【0426】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.04(t、J=6.6
、1H)、7.12−7.49(m、30H)、7.55−7.58(m、2H)、7.
77(d、J=7.8、2H)。
【0427】
(参考例2)
上記実施例5及び6で用いた4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル
)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)の合成方法について具体的に説明する。B
PAFLPの構造を以下に示す。
【0428】
【化72】

【0429】
[ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成法]
100mL三口フラスコにて、マグネシウムを1.2g(50mmol)減圧下で30分
加熱撹拌し、マグネシウムを活性化させた。これを室温に冷まして窒素雰囲気にした後、
ジブロモエタン数滴を加えて発泡、発熱するのを確認した。ここにジエチルエーテル10
mL中に溶かした2−ブロモビフェニルを12g(50mmol)ゆっくり滴下した後、
2.5時間加熱還流撹拌してグリニヤール試薬とした。
【0430】
4−ブロモベンゾフェノンを10g(40mmol)、ジエチルエーテルを100mL、
を500mL三口フラスコに入れた。ここに先に合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴
下した後、9時間加熱還流撹拌した。
【0431】
反応後、この混合液をろ過して濾物を得た。得られた濾物を酢酸エチル150mLに溶か
し、ここに1N−塩酸を酸性になるまで加えて2時間撹拌した。この液体の有機層の部分
を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し、得ら
れたろ液を濃縮しアメ状の物質を得た。
【0432】
500mLなすフラスコに、このアメ状物質と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLとを
入れ、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0433】
反応後、この反応混合液をろ過して濾物を得た。得られた濾物を水、水酸化ナトリウム水
、水、メタノールの順で洗浄したのち乾燥させ、目的物の白色粉末を収量11g、収率6
9%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(J−3)に示す。
【0434】
【化73】

【0435】
[ステップ2:4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニ
ルアミン(略称:BPAFLP)の合成法]
100mL三口フラスコへ、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンを3
.2g(8.0mmol)、4−フェニル−ジフェニルアミンを2.0g(8.0mmo
l)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.0g(10mmol)、ビス(ジベンジ
リデンアセトン)パラジウム(0)を23mg(0.04mmol)加え、フラスコ内の
雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン20mLを加えた。この混合物を、
減圧下で攪拌しながら脱気した後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘ
キサン溶液)0.2mL(0.1mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、1
10℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
【0436】
反応後、この反応混合液にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール(和光
純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式
会社、カタログ番号:531−16855)を通してろ過した。得られたろ液を濃縮し、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による
精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波を
かけたのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を収量4.1g、収率92%で得た
。また、上記合成法の反応スキームを下記(J−4)に示す。
【0437】
【化74】

【0438】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキ
サン=1:10)は、目的物は0.41、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフ
ルオレンは0.51、4−フェニル−ジフェニルアミンは0.27だった。
【0439】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定
データを示す。測定結果から、フルオレン誘導体であるBPAFLP(略称)が得られた
ことがわかった。
【0440】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=6.63−7.02(m、
3H)、7.06−7.11(m、6H)、7.19−7.45(m、18H)、7.5
3−7.55(m、2H)、7.75(d、J=6.9、2H)。
【0441】
(参考例3)
上記実施例8及び実施例10で用いたN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フル
オレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略
称:1,6FLPAPrn)を製造する例を示す。
【0442】
【化75】

【0443】
[ステップ1:4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(
略称:FLPA)の合成法]
【0444】
9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン5.8g(14.6mmol)、
アニリン1.7mL(18.6mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド4.2g
(44.0mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。こ
の混合物にトルエン147.0mLとトリ(tert−ブチル)ホスフィンの10wt%
ヘキサン溶液0.4mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセ
トン)パラジウム(0)66.1mg(0.1mmol)を加え3.5時間攪拌した。攪
拌後、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セ
ライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通し
て吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃縮し得た固体を
、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=2:1)によ
り精製し、得られたフラクションを濃縮し、目的物の白色固体6.0gを収率99%で得
た。上記ステップ1の合成スキームを下記(E1−2)に示す。
【0445】
【化76】

【0446】
[ステップ2:4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H
−フルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:FLPAPA)の合成法]
【0447】
1,6−ジブロモピレン0.4g(1.2mmol)、4−(9−フェニル−9H−フル
オレン−9−イル)ジフェニルアミン(略称:FLPA)1.0g(2.4mmol)、
ナトリウム tert−ブトキシド0.3g(3.6mmol)を50mL三口フラスコ
に入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン11.5mLとトリ(ter
t−ブチル)ホスフィンの10wt%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を7
0℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)31.1mg(0.05m
mol)を加え4.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール、セライト、アルミナを通し
て吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃縮し得た固体を
、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はクロロホルム)により精製し、得ら
れたフラクションを濃縮し、黄色固体を得た。得られた固体を、トルエンとヘキサンの混
合溶媒により洗浄した後、吸引ろ過をおこない黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロ
ロホルムとヘキサンの混合溶媒で洗浄したところ、目的物の淡黄色粉末状固体0.8gを
、収率68%で得た。
【0448】
得られた黄色固体0.8gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精
製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガスを流量5mL/minで流しながら、360℃
で加熱した。昇華精製後、目的物を0.4g、収率56%で得た。上記ステップの合成ス
キームを下記(E2)に示す。
【0449】
【化77】

【0450】
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、この化合物が目的物であるN,N
’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−
ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)であることを確
認した。
【0451】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.88−6.91(m、6H)、7
.00−7.03(m、8H)、7.13−7.40(m、26H)、7.73−7.8
0(m、6H)、7.87(d、J=9.0Hz、2H)、8.06−8.09(m、4
H)
【符号の説明】
【0452】
100 基板
101 第1の電極
102 EL層
103 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
301 第1の電極
303 第2の電極
311 第1の発光ユニット
312 第2の発光ユニット
313 電荷発生層
401 ソース側駆動回路
402 画素部
403 ゲート側駆動回路
404 封止基板
405 シール材
407 空間
408 配線
409 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
410 素子基板
411 スイッチング用TFT
412 電流制御用TFT
413 第1の電極
414 絶縁物
416 発光層
417 第2の電極
418 発光素子
423 nチャネル型TFT
424 pチャネル型TFT
501 基板
502 第1の電極
503 第2の電極
504 EL層
505 絶縁層
506 隔壁層
611 筐体
612 支持台
613 表示部
614 スピーカー部
615 ビデオ入力端子
621 本体
622 筐体
623 表示部
624 キーボード
625 外部接続ポート
626 ポインティングデバイス
631 本体
632 筐体
633 表示部
634 音声入力部
635 音声出力部
636 操作キー
637 外部接続ポート
638 アンテナ
641 本体
642 表示部
643 筐体
644 外部接続ポート
645 信号受信部
646 受像部
647 バッテリー
648 音声入力部
649 操作キー
650 接眼部
701 筐体
702 液晶層
703 バックライト
704 筐体
705 ドライバIC
706 端子
801 筐体
802 光源
901 照明装置
902 テレビ装置
1100 基板
1101 第1の電極
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1113a 第1の発光層
1113b 第2の発光層
1114 電子輸送層
1115 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G1)で表される構造を有する化合物。
【化1】



(式中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基を表し、R〜R11は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基のいずれかを表し、Aは、一般式(S1)又は一般式(S2)で表されるいずれかの置換基を表す。一般式(S1)及び一般式(S2)において、Xは、酸素又は硫黄を表し、R12〜R18は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項2】
一般式(G2−1)で表される構造を有する化合物。
【化2】



(式中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表し、R〜R18は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項3】
一般式(G3)で表される構造を有する化合物。
【化3】


(式中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表し、R〜R及びR12〜R18は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項4】
一般式(G4)で表される構造を有する化合物。
【化4】



(式中、Ar、Arは、それぞれ独立に、炭素数6〜13の置換又は無置換のアリール基を表し、Xは、酸素又は硫黄を表す。)
【請求項5】
構造式(100)で表される化合物。
【化5】

【請求項6】
構造式(300)で表される化合物。
【化6】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2013−79251(P2013−79251A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265334(P2012−265334)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2010−251608(P2010−251608)の分割
【原出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】