説明

化学エッチング支援放電加工ヘッド

【課題】電解液の使用を最適化し、作業ゾーン内へのその分散の最小にしながら、産業的な要求に適合する速度で大きな寸法のガラス板を処理できる機械加工ヘッドを提供すること。
【解決手段】本発明は、内部に電極(4)が延びており、この電極(4)の周囲に放射状に延びている対向電極(14)を収容する本体(2)を備え、本体(2)が電極(4)と対向電極(14)によって区画された空間内に電解質液体を供給する手段(6)を備えることを特徴とする化学エッチング支援放電加工ヘッドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学エッチング支援放電加工ヘッドに関する。本発明は、特に、ガラス板などの非導電性材料内に孔を機械加工するためのこのタイプのヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板内に小さい寸法の孔をあけるための電解液内の電気化学反応で生じる放電の使用が最初に開示されたのは、1968年であった。このような既知の方法は、この日から改良されてきている。その現在の形態においては、この方法では、たとえば、30%の濃度の苛性ソーダNaOHで形成された電解槽内に、機械加工されるガラス板を浸漬させる。通常25Vから40Vの間で構成される一定の電圧が、エッチング機器の間に印加され、これが、カソード電極と、電解液に接触しているが作業ゾーンからある距離にあるアノードの対極とを形成する。エッチング機器上に形成される水素の泡がくっつきあって集まって電極を覆う気体の膜を形成する。膜の内部に出現する放電が、ガラスを局所的に腐食させる。
【0003】
上記で説明された方法は、電解液内への機械加工されなければならない部品の表面全体の浸漬を必要とするという欠点を有する。苛性ソーダなどの液体は極めて腐食性があり、飛び散って目の中に入った場合、特に危険である。広い表面を有する大きな寸法の部品が処理されなければならない工業生産中、この方法は、大きな容積の槽を使用する必要があり、その上大量の電解液を使用する必要があり、この方法の実施を非常に危険なものとする。
【0004】
電気化学放電を用いてガラス板内に孔をあける方法と装置が、Nippon Sheet Glass Corp.Ltd(日本板硝子株式会社)の名での特開平9−234629号で公知である。その装置は、機械加工されるガラス板と同一平面上に配置されたリング状の対向電極によって包囲された直線状の棒の形態の作業電極を備えている。管状のパイプから、対向電極によって形成される環状の空間内に電解液を滴下する。余分な電解液は対向電極の上縁から流れ出て、機械加工されるガラス板が配置されたタンクの上面に向かって排出される。
【0005】
上記で説明された装置は、有利には、機械加工されるガラス板の全体が電解槽内に浸漬される必要がなく、したがって使用される電解液の量を減少させることができることを意味する。このようにして電解液の飛散のリスクが制限される。しかし、これは、実験装置に過ぎず、工業用の大きさに変換するのは困難である。実際、電極と対向電極によって形成されたアセンブリを、ガラス板上の他の場所に孔を機械加工するためにいかにして移動させることができるのかを想像することは困難である。逆に、電極/対向電極アセンブリを静止させながらガラス板を移動させることを想定することができる。この解決法も、ガラス板の対向電極に対する相対運動中に電解液を無駄にすることを含むため、あまり便利とはいえない。
【特許文献1】特開平9−234629号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電解液の使用を最適化し、作業ゾーン内へのその分散を最小にしながら、大きな寸法のガラス板を産業的な要求に適合する速度で処理できる機械加工ヘッドを提供することによって、他の欠点に加えて上述の欠点を克服することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、内部に電極が延びており、この電極の周囲に放射状に延びている対向電極を収容する本体を備え、この本体が、電極、対向電極によって区画された空間内に電解質液体を供給する手段を備えることを特徴とする化学エッチング支援放電加工ヘッドに関する。
【0008】
これらの特徴によって、本発明は、3次元で移動させることができる本体によって本質的に形成された、化学エッチング支援放電加工ヘッドを提供する。このようにして、大きなガラス板を、それらを不動に保持し、正確に機械加工ヘッドのみを移動させながら機械加工することを想像することができ、このことは、本発明による機械加工ヘッドに使用の大きな柔軟性を与える。また、電解質液体が、電極の周囲に放射状に延びる対向電極によって区画された空間内に閉じ込められ、それによって使用される電解液の量が少なく、電解液の飛散のリスクが低減される。
【0009】
本発明の相補的な特徴によると、この機械加工ヘッドはまた、使用後の電解質液体を排出する手段を備える。
【0010】
この特徴は、電解質液体が使用後直ちに排出されるという点で、本発明による機械加工ヘッドのさらに安全な使用を保証する。電解質液体との接触のいかなるリスクもしたがって回避される。さらに、電解液の強制された流れが、作業ゾーン内の電解液の恒久的な更新に至り、それによって放電加工法の物理化学パラメータの優れた安定性を確実にする。
【0011】
本発明の別の特徴によると、電解液の排出流速は、電解液の供給流速よりも大きい。
【0012】
したがって、使用済みの電解液だけでなく機械加工法によって生成された気体も排出することが可能である。また、機械加工されるガラス板が水中に浸漬される場合、作業ゾーンの近傍に存在する水が、使用済みの電解液と同時に排出され、それによって槽の水は常に清浄なままである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、対向電極は、電極の周囲に配置された回転体部分と、排出の際の電解液の閉じ込めを担い、電気的な機能は有さない最も外側の部分の形状を有する。本発明の機械加工ヘッドでは、電解液は、機械加工されるガラス板に対向する電極の端部によって区画された作業ゾーンのすぐ近傍に存在するのみである。したがって、対向電極は、作業電極の近傍になければならず、そうでない場合その電気化学的機能を行うことはできない。このため、その回転体の形状により、対向電極は電極に極めて近接し、したがって、作業ゾーンの周囲の電解質液体の流れを閉じ込めおよび監視する機能を行う。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、本発明による機械加工ヘッドの実施形態の以下の詳細な説明で、より明確になるであろう。この例は、添付の図面とともに限定されない例として与えられているに過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、大きなガラス板を容易にかつ正確に、産業的な規模の生産性で機械加工できるように3次元で移動することができる化学エッチング支援放電加工ヘッドを提供する、一般的な創意に由来している。さらに、本発明の好ましい変形形態では、機械加工ヘッドによれば、使用される電解液の量を減少させることができ、電解液の飛散のいかなるリスクも回避する、電解液を供給し、排出する手段を備える。
【0016】
本発明を、ガラス板内への孔または空洞の機械加工に関連して説明する。本発明がこの材料に限定されないこと、およびプラスチック材料、セラミックなどの非導電性材料または半導体材料内への穿孔に適用できることは、言うまでもない。
【0017】
本明細書に添付の図1、2は、全体を通じて符号1によって全体として示されている本発明による機械加工ヘッドを示している。この機械加工ヘッド1は、作業電極4が通って延びている本体2を備える。本体2は、苛性ソーダNaOHなどの電解質流体を供給する手段6と排出する手段8を備える。機械加工ヘッド1の本体2は、固定ブラケット10を介して三軸機械(図示せず)の枠と接続されている。この目的のために、固定ブラケット10は、ねじを介した組立てのための通し孔12を備える。
【0018】
本発明の簡略化された変形形態によると、本体2は、本発明による機械加工ヘッド1のアノードの対極を形成する。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によると、対向電極は、中空の円筒の形態である回転体形状14の一部である。これは、作業電極4の周囲に放射状に配置されている本体2とは別体とされ、それに係合されている。対向電極14の上端は、電圧源と電気的に接続されるために部分的に切り取られている。
【0020】
以下でわかるように、作業電極4は、対向電極14と同じ電圧源に電気的に接続されるが、それ自体を中心に回転することができなければならない。簡単な解決法は、2つの直線状スロット18を有し、対向電極14上に装着された、たとえばねじ20を介してねじ付けされた接点ストリップ16を設けることである。絶縁板22が、2つの部品間のいかなる短絡も防止するために接点ストリップ16と対向電極14の間に配置されている。接点ストリップ16に形成された2つの直線状スロット18は、接点ストリップ16を3つの分岐に分離する。その中央分岐24は2つの端部分岐26よりも幅広である。直線状の棒の形態をとる作業電極4は、接点ストリップ16の端部分岐26の上側と中央分岐24の下側を通り、軽く挟まれ、電極4と接点ストリップ16の間の摩擦によってそれらの電気的接触が形成される。対向電極14上に接点ストリップ16を固定するねじ20は、作業電極4を電源30と接続するための電気接続ワイヤ28を固定するためにも使用される(図8参照)。
【0021】
同様に、対向電極14に直接ねじ付けされたねじ32が、電線34を介して対向電極を電源30と接続するために使用される。
【0022】
最後に、作業電極4は、結合部材38を介してモータ36(図8参照)によって回転駆動させられる。
【0023】
作業電極4は、たとえば、ステンレス鋼またはタングステンでもよい円形の直線状の棒である。この後者の材料は、優れた電気導体であり、高い溶融温度を有し、良好な耐化学性を有するという利点を有する。作業電極4の直径は、0.1mmから1mmの間で構成されるのが好ましい。対向電極14は、たとえば、腐食に抵抗するためにニッケル・メッキ鋼である。
【0024】
図3から7を参照して、本発明による機械加工ヘッド1の構造の詳細を議論する。
【0025】
機械加工ヘッド1の本体2は、固定ブラケット10に装着するための平坦な部分40を有するほぼ円形の中空の部品である。この目的のために、平坦な部分40は、ブラケット10内にねじ付けするための2つの孔42を有する。本体2は、内部空間へ開いており、電解質流体のための供給パイプ52と排出パイプ54がそれぞれ固定される2つの挿入部48、50を装着するために使用される2つの孔44、46があけられている。これらのパイプ52、54は、図8を参照して以下で詳細に説明するように、ポンプ56に接続される。
【0026】
本体2は、これもほぼ円形の中空の部品である対向電極14と軸方向に係合されている。本体2は、対向電極14の上端部を向くように設けられた環状のショルダ58と当接している対向電極14に対して軸方向に不動である(図6参照)。対向電極14の内部空間内へ開いている、1つ、および好ましくはいくつかの規則的に離隔された通し孔62を形成させた円形の溝60を対向電極の所定の高さの位置に備えている。これらの通し孔62は、本体2が対向電極14に軸方向に不動であるとき、本体2に形成され、電解質液体が来る孔44が、通し孔62と同じ高さになるような高さに設けられている。したがって電解質液は、円形の溝60に沿って流れ、複数の通し孔62を介して対向電極の内部空間へ入り込む。したがって複数の通し孔62によって、電解液をより良好に流し込むことができる。さらに、電解液供給孔44が、対向電極14内に機械加工される単一の孔62と確実に向き合わせるために、本体2の内部の対向電極14の位置を指示することは必要ない。
【0027】
対向電極14は、本体2よりも背が高い。本体2から突き出している対向電極14の部分64は、本体2を対向電極14に押し付け、それを不動にするロッキング・ナット68内にねじ止めするための外側ねじ溝66を有してもよい。
【0028】
対向電極14は、電解質液体の排出のために、本体2の厚さを貫通する孔46と連絡している環状の室72を、本体2の内壁とともに形成する減少した直径70を下側の部分に有する。
【0029】
対向電極14は、外向きに傾斜された円形の縁部74と内向きに傾斜された円形の縁部76を底部に有する。その簡略化された実施形態では、対向電極14の円形の縁部は平坦であってよい。それにもかかわらず、吸引による電解質液体の排出をより困難にする。これが、外側の傾斜された縁部74が設けられる理由であり、電解液の通過のためにより大きな空間を残すことができる。同様に、内側の縁部76もまた、尖端現象を防止するために、電極4と対向電極14の間に形成される電界線が分配される表面を、できる限り大きくするために傾斜されている。放電電気化学反応が生じることがある対向電極上での電界線の過度の集中を防止することが望ましい。
【0030】
最後に、対向電極14は、2つの密封ガスケット82、84が収容される2つの円形の溝78、80を有する。これら2つの密封ガスケット82、84の機能は、供給孔44を通って到達する電解質液体が、機械加工ヘッド1の内側で上昇したり下降するのを防止することである。
【0031】
電極4の挿入のために対向電極14内に小さい直径の長い孔を機械加工することは困難である。このことが、対向電極内により大きい直径の孔を機械加工し、その中に電極4のためのガイド・アセンブリ86を軸方向に挿入する理由である。ガイド・アセンブリ86は、底部から上部へ連続した以下の部材からなる。すなわち、電解質液体が流出することができ、中央に電解液4の通過のための孔90が設けられている切欠き底部ディスク88と、スペーサとして使用され、所定の高さに、電解液の通過のための対向電極14の孔62と本体2の孔44に向き合う複数の通し孔94を有する第1の中間チューブ92と、電極4の通過とガイドのために1つのみの中央孔98を穿孔され、電解質液体が上昇するのを防止するための円形の中間スペーサ96と、スペーサとしてのみ使用される第2の中間チューブ100と、電極4をガイドするために1つのみの中央孔104を穿孔された最上部円形スペーサ102とから成る。ガイド・アセンブリ86は、対向電極14の内側面の底部に配置されたショルダ106と当接する底部ディスク88と、対向電極14の内側壁に形成された円形の溝内に収容された弾性のリング87によって対向電極14の内部で軸方向に閉じ込められている。
【0032】
最後に、電極4が、ガイド・アセンブリ86の内側に軸方向に挿入されている。したがって、電極4がガイド・アセンブリ86の内側に同心状に延びており、ガイド・アセンブリ86が対向電極14の内側に同心状に延び、対向電極14が本体2の内側に同心状に延びている。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によると、作業電極4は、ガラスなどの非導電性材料製のスリーブ108内に導入されることによって電解液から絶縁され、作業ゾーンにすぐ近接している電極4の端部部分のみが、露出されている。したがって、このことは、電解液と接触している作業電極4の表面積と、同じ電解液と接触している対向電極14の表面積との間の比が、十分低い、通常1:100のオーダーであることを保証し、それによって、本発明による機械加工ヘッド1を、十分小さい寸法で製造することができる。作業電極4を電解質液体から絶縁するための他の方法があることは理解できるであろう。たとえば、テフロン(登録商標)などの非導電性の化学エッチング抵抗被覆を電極4上に直接被着させてもよい。このようにして被覆された電極4が、次に、金属チューブ内に導入される。
【0034】
図8は、ポンプ56と制御監視コンピュータ100と接続された機械加工ヘッド1の概略図である。機械加工されるガラス板112が、水で満たされるのが望ましい作業タンク114内に配置される。電源30が、電極4と対向電極14の間に電位差を印加する。対向電極14がアースと接続され、アノード電極4とカソードの対向電極14の間の電位差が約−30Vであるることが望ましい。2つの別個のポンプ、すなわち機械加工ヘッド1へ電解質液体を供給するためのものと、使用済みの電解液を排出するためものを、設けることができる。しかし、好ましくは、電解質液体のための供給パイプ52と排出パイプ54にそれぞれ連結された2つのステージ56a、56bを備えた単一のぜん動(peristaltic)ポンプ56を使用することである。
【0035】
電解質液体が予熱されていれば機械加工はより迅速である。実際、電解液が冷たいと、機械加工の開始が数十秒だけ遅れ、本発明による機械加工ヘッド1の産業上の使用に対して明らかな問題が生じる。機械加工ヘッド1は、予熱された電解液を機械加工ヘッド1内へ直接供給するように容易に適応させることができる。電解液が加熱される場所と作業ゾーンの間の熱損失を防止するために、加熱体を機械加工ヘッド1内に直接一体化させて設けるか、または、図8に示すように、加熱体116を機械加工ヘッド1の外側に設けるが、電解液供給パイプ52上でヘッドに近接して配置させるか、のいずれでもよい。加熱体116は、コンピュータ100によって調整された電源118に接続されている。電解液の温度を調整するために、熱センサを機械加工ヘッド1内に配置することが望ましい。
【0036】
ぜん動ポンプ54のステージ56aは、電解質流体をタンク120内へ取り入れるが、一方ポンプ56のステージ56bは、使用済みの電解液をタンク122へ排出する。
【0037】
コンピュータ100によって制御されたモータ36が作業電極4を回転駆動する。この回転駆動が、より規則的な機械加工を確実にし、かつ作業ゾーンの領域内での電解液のより良好な流れを確実にする。最後に、図8の点線で示された矩形に含まれる機械加工ヘッド・アセンブリ1を、これもコンピュータ100によって制御された三軸機械124を用いて3次元で移動させることができる。電極4とそのガラス・スリーブ108は、機械加工ヘッド1内へ引き込ませることが望ましい。このことは、機械加工ヘッドが速く降下し過ぎた場合、電極4とスリーブ108が破壊されないことを意味する。後者の下降速度を穿孔速度に対して調節するために、機械加工ヘッド1の内部の電極4とそのスリーブ108によって形成されたアセンブリに及ぼされる運動または力を計測することも想定内である。
【0038】
使用済みの電解液の排出流速は、作業ゾーン内への供給流速よりも大きくすることができる。この流速の差は、異なる直径の電解液供給パイプと排出パイプ52、54を選択することによって得ることができる。機械加工プロセスによって発生された気体がこのようにして排出され、使用済みの電解液とともに少量の汚染された水が排出されるため、機械加工されなければならないガラス板が浸漬される水は清浄なままである。
【0039】
作業電極4の端部の代替となる3つの実施形態が予定されている。図9Aに示された第1の変形形態によると、電極4は平坦な端部を有する。この幾何形状は、機械加工された孔の底部が平坦であることを保証する。しかし、電界線の集中の観点からは最適ではない。この問題点は、作業電極4の端部が点に切り込まれた図9Bに示された変形形態によって克服される。電界線は尖端効果によって集中される。それにもかかわらず、機械加工された孔の底部は、電極4の端部の形状と相補的なコーン形状を有する。図9Cに示された第3の変形形態は作業電極の端部を斜めにされている。電界線を集中させる尖端効果が、電極4が回転駆動されるとき平坦な底部の孔を得る可能性と有利に組み合わされる。
【0040】
本発明が説明された実施形態に限定されないこと、および様々な簡単な変更や変形形態が、添付の特許請求の範囲で定義されたような本発明の範囲から逸脱することなく当業者に想定できることは、いうまでもない。特に、加熱された鉛筆タイプの素子を、本体2内または対向電極14内に導入することができる。別の解決法は、ディスク96、102内に密封された通路を設けて、加熱体をスリーブ108とチューブ92の間に設けられた空間内に配置することである。さらに別の解決法は、本体2の周囲全体に加熱体を配置することである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による機械加工ヘッドの第1の角度からの斜視図である。
【図2】本発明による機械加工ヘッドの第1の角度とは異なる第2の角度からの斜視図である。
【図3】本発明による機械加工ヘッドの分解斜視図である。
【図4】本発明による機械加工ヘッドの立面図である。
【図5】図4に示した機械加工ヘッドの上面図である。
【図6】本発明による機械加工ヘッドの断面図である。
【図7】本発明による機械加工ヘッドの別の斜視図である。
【図8】ポンプおよび制御監視コンピュータと接続された機械加工ヘッドの概略図である。
【図9】作業電極の様々な実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 機械加工ヘッド、2 本体、14 対向電極、42、44、46 孔、48、50 挿入部、58 環状のショルダ、78、80 円形の溝、87 弾性リング、88 切欠き底部ディスク、94 通し孔、96 中間スペーサ、98、104 中央孔、100 第2の中間チューブ、102 最上部円形スペーサ、 106 ショルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極(4)が内部に延びており、前記電極(4)の周囲に放射状に延びている対向電極(14)を収容する本体(2)を備え、前記本体(2)が、前記電極(4)と前記対向電極(14)によって区画された空間内に電解質液体を供給する手段(6)を備えることを特徴とする化学エッチング支援放電加工ヘッド。
【請求項2】
電極(4)の周りに放射状に配置され、本体(2)の内側に軸方向に係合された対向電極(14)を備え、前記本体(2)が、電解質液体を前記電極(4)と前記対向電極(14)によって区画された空間内に供給する手段(6)を備えることを特徴とする化学エッチング支援放電加工ヘッド。
【請求項3】
使用後の電解質液体を排出する手段(6)も備えることを特徴とする請求項1または2に記載の機械加工ヘッド。
【請求項4】
電解液排出流速が、前記電解液の供給流速よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の機械加工ヘッド。
【請求項5】
前記電極(4)のためのガイド・アセンブリ(86)が、前記対向電極(14)内へ軸方向に導入されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項6】
電解質液体を供給するための少なくとも1つの通し孔(44)が、前記本体(2)内に設けられ、その孔(44)が、電極(4)のためのガイド・アセンブリ(86)内に形成された少なくとも1つの通し孔(94)とそれ自体連絡している前記対向電極(14)内に形成された少なくとも1つの通し孔(62)に連絡していることを特徴とする請求項5に記載の機械加工ヘッド。
【請求項7】
前記電解質液体を排出するための第2の孔(46)が本体(2)に設けられ、前記孔(46)が、前記本体(2)と前記対向電極(14)によって区画された環状の空間(72)と連絡していることを特徴とする請求項6に記載の機械加工ヘッド。
【請求項8】
前記ガイド・アセンブリ(86)が、中央に電極(4)の通過のための孔(90)を有する少なくとも1つの切欠き底部ディスク(88)と、電極(4)の通過とガイドのためのただ1つの中央孔(98)を穿孔された中間スペーサ(96)を備え、少なくとも1つの通し孔(94)が穿孔された中間チューブ(92)が、前記底部ディスク(88)と前記中間スペーサ(96)の間に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の機械加工ヘッド。
【請求項9】
前記電極(4)が円形の棒であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項10】
前記電極(4)の端部が平坦である、点に切り込まれている、または斜めにされていることを特徴とする請求項9に記載の機械加工ヘッド。
【請求項11】
前記電極(4)の直径が、0.1mmから1mmの間で構成されていることを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項12】
前記電極(4)が、その下端部分で電解液と接触するのみであるように絶縁されていることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項13】
前記電極(4)が、電気絶縁スリーブ(108)内に導入されることを特徴とする請求項12に記載の機械加工ヘッド。
【請求項14】
前記電極(4)が、電解質生成物によるエッチングに対して非導電性の被覆抵抗性材で被覆されることを特徴とする請求項12に記載の機械加工ヘッド。
【請求項15】
前記電極(4)が金属製チューブ内に導入されることを特徴とする請求項13に記載の機械加工ヘッド。
【請求項16】
前記電極(4)が、ステンレス鋼またはタングステンであることを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項17】
使用前に電解液を加熱する手段を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項18】
加熱体(116)が、機械加工ヘッド(2)に電解液を供給するパイプ(52)上に配置されていることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項19】
前記対向電極(14)が、その底部に内側に傾斜した円形の縁部(76)を有することを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項20】
前記対向電極(4)が、その底部に外側に傾斜した円形の縁部(74)を有することを特徴とする請求項19に記載の機械加工ヘッド。
【請求項21】
電解液を供給するためのパイプ(52)と排出するためのパイプ(54)の2本のパイプを備え、前記2本のパイプ(52、54)が、第1の端部で前記通し孔(44、46)と接続され、第2の端部でぜん動ポンプ(56)の2つのステージ(55a、56b)と接続されていることを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項22】
前記電極(4)が回転駆動されることを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項23】
前記電極(4)が、軸方向に移動することができることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の機械加工ヘッド。
【請求項24】
前記電極に及ぼされる軸方向の運動または軸方向の力を測定する手段を備えることを特徴とする請求項23に記載の機械加工ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−297591(P2006−297591A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116447(P2006−116447)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591077058)
【氏名又は名称原語表記】ASULAB SOCIETA ANONYME
【Fターム(参考)】