説明

化学化合物

アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する式(I)の化合物、又はその塩:


〔式中、例えばRは、所望により置換されていてもよいアリール又は所望により置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Yは、直接結合、又は定義された連結基であり、そしてRは、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいシクロアルキル又は所望により置換されていてもよい複素環基である〕が、その調製のための方法、これを含有する医薬組成物及び医薬としてのその使用と一緒に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する化合物、それの調製のための方法、それを活性成分として含有する医薬組成物、DGAT1活性に伴う疾病状態の治療のための方法、医薬としてのその使用、及びヒトのような温血動物におけるDGAT1の阻害における使用のための医薬の製造におけるその使用に関する。特に本発明は、ヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害及び肥満症の治療のために有用な化合物に、更に特にヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害及び肥満症の治療における使用のための医薬の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、細胞のミクロソームの画分中に見出される。これは、細胞中のトリグリセリド合成の主経路と考えられるグリセロールリン酸経路における最後の反応を、ジアシルグリセロールの脂肪のアシルCoAとの結合を容易にすることによって触媒し、トリグリセリドの形成をもたらす。DGATが、トリグリセリド合成の律速であるか否かは不明であるが、これは、経路のこの種の分子を産生することに拘束する工程のみを触媒する[Lehner & Kuksis(1996)Biosynthesis of triacylglycerols.Prog.Lipid Res.35:169−201]。
【0003】
二つのDGAT遺伝子をクローン化し、そして特徴づけした。コードされたタンパク質の両方は、これらが、配列の相同性を共有していないが、同じ反応を触媒する。DGAT1遺伝子は、そのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子との類似性のために、配列データベースの検索から確認された。[Cases et al(1998)Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase,a key enzyme in triacylglycerol synthesis.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13018−13023]。DGAT1活性は、脂肪細胞を含む多くの哺乳動物の組織中に見出されている。
【0004】
従来の分子プローブの欠如のために、DGAT1の制御については、僅かしか知られていない。DGAT1は、脂肪細胞の分化中に有意に上方制御されることが知られている。
遺伝子ノックアウトマウスにおける研究は、DGAT1の活性の調節因子が、II型糖尿病及び肥満症の治療において価値を有するものであることを示している。DGAT1ノックアウト(Dgat1−/−)マウスは、生存可能であり、そして正常な空腹時血清トリグリセリドレベル及び正常な脂肪細胞組織の組成によって証明されるように、トリグリセリドを合成することが可能である。Dgat1−/−マウスは、基線において野生型マウスより少ない脂肪細胞組織を有し、そして食事誘導性肥満症に抵抗性である。代謝速度は、Dgat1−/−マウスにおいて、通常及び高脂肪食の両方において野生型マウスより約20%高い[Smith et al(2000)Obesity resistance and multiple mechanisms of triglyceride synthesis in mice lacking DGAT.Nature Genetics 25:87−90]。Dgat1−/−マウスにおける身体活動性の増加は、部分的にそのエネルギー消費の増加を説明する。Dgat1−/−マウスは、更にインスリン感受性の増加及び20%の糖処理速度の増加を示す。レプチンのレベルは、Dgat1−/−マウスにおいて、体脂肪量の50%の減少と一致して、50%減少する。
【0005】
Dgat1−/−マウスがob/obマウスと交雑した場合、これらのマウスは、ob/ob表現型を示し[Chen et al(2002)Increased insulin and leptin sensitivity in mice lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J.Clin.Invest.109:1049−1055]、Dgat1−/−マウス表現型が、インタクトなレプチン経路を必要とすることを示す。Dgat1−/−マウスが、Agoutiマウスと交雑した場合、野生型のagouti又はob/ob/Dgat1−/−マウスと比較して、正常な糖レベル、及び70%減少したインスリンレベルを伴う体重の減少が見られる。
【0006】
Dgat1−/−マウスから野生型マウスへの脂肪細胞組織の移植は、これらのマウスの食事誘導性の肥満症に対する抵抗性及び糖代謝の改良を与えた[Chen et al(2003)Obesity resistance and enhanced glucose metabolism in mice transplanted with white adipose tissue lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J.Clin.Invest.111:1715−1722]。
【0007】
国際特許出願WO2004/047755(Tularik及び日本タバコ)及びWO2005/013907(日本タバコ及びAmgen)は、DGAT−1の阻害剤である縮合二環式窒素含有ヘテロシクリルを記載している。特開平16−67635号(大塚製薬)は、チアゾールアミド置換フェニル化合物を記載し、これは、アルキルホスホン酸塩で更に置換され、そしてこれはDGAT−1を阻害する。WO2004/100881(バイエル)は、イミダゾール、オキサゾール又はチアゾールで置換されたビフェニルアミノ化合物を記載し、これはDGAT−1を阻害する。本出願人等の同時係属中の国際特許出願PCT/GB2005/004726は、DGAT−1を阻害するオキサジアゾール化合物を記載している。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、以下の式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中:
は、所望により置換されていてもよいアリール又は所望により置換されていてもよいヘテロアリール基であり、ここにおいて、所望による置換基は、−Z基、−X−(CR5253−Z基、−X−(CR5253−X−Z基、−(CR5253−Z基或いは官能基(これは、−X−(CR5253−Z基又は−X−(CR5253−X−Z基以外である)から選択される一つ又はそれより多い基であり;
Yは、直接結合、或いは(CR4041又は−X(CR4041基であり、ここで、それぞれのR40及びR41は、水素、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(1−4C)アルキル、アミノ、シアノ、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)ハロアルコキシ又は((1−3C)アルキル)CONH−から独立に選択され、sは、1ないし6の整数であり、そしてtは、1ないし6の整数であるが、但し、−X(CR4041−基のX原子が、R基に接続し、そして単一のsp混成炭素原子は、異種原子がハロでない限り、異種原子に対する二つ又はそれより多い結合を保有しないことを条件とし;
は、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいシクロアルキル又は所望により置換されていてもよい複素環基であり、ここにおいて、所望による置換基は、−Z基、−X−(CR4243−Z基、−X−(CR4243−X−Z基又は−(CR4243−Z基或いは官能基(これは、−X−(CR4243−Z基又は−X−(CR4243−X−Z基以外である)から選択される一つ又はそれより多い基であり;
ここにおいて、Z及びZは、ヒドロカルビル基又は複素環基或いはこれらの組合せから独立に選択され、ここにおいて、Z及びZ基は、一つ又はそれより多い官能基によって、或いは一つの−X−(CR626364基によっていずれもの利用可能な原子において所望により置換されていてもよく;
X、X、X、X、X及びXは、−C(O)−、−O−、−S(O)−、−NR44−、−C(O)NR44−、−OC(O)NR44−、−CH=NO−、−NR44C(O)−、−NR44CONR45−、−S(O)NR44−又は−NR44S(O)−から独立に選択される連結基であり、ここで、xは、1又は2の整数であり、yは、0、1又は2であり、そしてR44及びR45は、水素又は(1−6C)アルキルから独立に選択され、
u及びwは、0又は1ないし6の整数から独立に選択され;
v、a及びbは、1ないし6の整数から独立に選択され;
それぞれのR42、R43、R52、R53、R62及びR63は、水素、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(1−4C)アルキル、アミノ、シアノ、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)ハロアルコキシ、((1−3C)−アルキル)CONH−、カルボキシ又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体から独立に選択され、そして
64は、官能基である;]
の化合物又はその塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中で使用する場合、用語“官能基”は、カルボキシ、ハロ、ハロ(1−6C)アルキル、シアノ、ニトロ、−C(O)20、カルボン酸模倣体又はその生物学的等価体、−OR20、−S(O)20、−OS(O)20、−NR2122、−C(O)NR2122、−OC(O)NR2122、−CH=NOR20、−NR21C(O)20、−NR20CONR2122、−N=CR2122、−S(O)NR2122又は−NR21S(O)22を含み;ここで、R20、R21及びR22は、水素或いは所望により置換されていてもよいヒドロカルビル又は所望により置換されていてもよいヘテロシクリルから独立に選択されるか、或いはR21及びR22は、これらが接続している窒素原子と一緒に、3ないし10個の原子を有する所望により置換されていてもよい環を形成し、これは、S(O)、酸素及び窒素のような更なる異種原子を所望により含有していてもよく、nは、1又は2の整数であり、mは、0又は1−2の整数である。
【0012】
ヒドロカルビル基又は複素環基R20、R21及びR22のために適した所望による置換基(NR2122によって形成される環に対するものを含む)は、ハロ、ハロ(1−4C)アルキル(トリフルオロメチル、ジフルオロメチル又はフルオロメチルのような)、メルカプト、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、ヘテロアリールオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ(ここで、アリール基はハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ(1−4C)アルキル、ハロ(1−4C)アルキル、アミノ、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)ハロアルコキシ、((1−3C)アルキル)CONH−、カルボキシ又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体によって置換されていることができる)、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−アルキルアミノ、アルキルアミド、オキシイミノ(例えばヒドロキシイミノ又はアルキルオキシイミノ)、カルバモイル、カルボキシ又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体、或いは−S(O)23[ここで、mは上記で定義したとおりであり、そしてR23はアルキル(ヒドロキシ、ハロ、アミノ、シアノ、((1−3C)アルキル)CONH−、カルボキシ又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体から選択される一つ又はそれより多い基によって所望により置換されていてもよい)である]、(1−6C)アルコキシ、(1−6C)アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−((1−6C)アルキル)カルバモイル、ハロ(1−6C)アルキル(トリフルオロメチルのような)、(1−6C)アルキルスルホニル、(1−6C)アルキルスルフィニルを含む。複素環基R20、R21及びR22も、更に一つ又はそれより多い(1−4C)アルキルのようなヒドロカルビル基によって所望により置換されていることができる。
【0013】
本明細書中で、用語“アルキル”は、直鎖及び分枝鎖アルキル基の両方を含むが、しかし“プロピル”のような個々のアルキル基に対する言及は、直鎖変種のみに対して特定的である。類似の慣例は、他の一般的な用語に適用される。他に記述しない限り、用語“アルキル”は、都合よくは1−10個の炭素原子、適当には1−6個の炭素原子、好ましくは1−4個の炭素原子を持つ鎖を指す。
【0014】
本明細書中で、用語“アルコキシ”は、酸素原子に連結した本明細書中で先に定義したとおりのアルキル基を意味する。
いずれもの基上の所望による置換基が、他に規定しない限り、適宜に異種原子を含むいずれもの利用可能な原子に、これらがこれによって第四化合物化しないことを条件に、接続することができることは理解されることである。
【0015】
本明細書中で、用語“異種原子”は、酸素、窒素又は硫黄原子のような非炭素原子を指す。更に、異種原子が単一の電荷を有することができる場合、これは、ハロを含んでなることができる。用語“アルケニル”及び“アルキニル”は、他に規定しない限り、例えば2ないし10個の、好ましくは2ないし6個の炭素原子を含有する不飽和の直鎖又は分枝鎖の構造を指す。シクロアルキル及びシクロアルケニルのような環式分子は、特質において同様であるが、しかし少なくとも3個の炭素原子を有する。アルキル、アルケニル及びシクロアルキル基の例は、(1−6C)アルキル、(3−8C)シクロアルキル等の例のように、本明細書中で以下に与えられる。
【0016】
アリール基に対する言及は、フェニル及びナフチルのような芳香族の炭素環式基、並びにインデニル及びインダニルのような部分的な芳香族基を含む。用語“アラルキル”は、ベンジルのようなアリール置換アルキル基を指す。
【0017】
用語“ヘテロシクリル”又は“複素環”は、例えば3ないし20個、適当には4ないし10個の環の原子を含有し、少なくともその一つが酸素、硫黄又は窒素のような異種原子である芳香族、非芳香族環又は部分的に芳香族であることができる飽和又は不飽和の環を含む。これらは、単環又は二環式環系であることができ、ここにおいて、一つ又は両方の環が飽和又は不飽和であることができ、例えばこれらは、芳香族であることができる。特に、二環式環系は、縮合5、6員の又は6、6員の環を含んでなるものである。
【0018】
“ヘテロアリール”は、芳香族の特徴を有する上記に記載した複素環式基を指す。“ヘテロアリール”が、二環式環系である場合、少なくとも一つの環は芳香族であり、そして一つ又は両方の環は、環の異種原子を含有する。
【0019】
一般的に、単環式ヘテロシクリル環のヘテロアリールの例は、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル及びトリアジニルを含む。
【0020】
非ヘテロアリールの単環式複素環の例は、モルホリノ、チオモルホリノ(及び硫黄が酸化されたその変種)、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピペラジニル及びピペリジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、アゼチジニル、ホモモルホリニル、ジアゼピニル並びにアゼピニルを含む。
【0021】
二環式ヘテロアリール環の適した例は、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキソラニル、ピロロピリジル、キナゾリニル、プリニル、及びナフチリジニルを含む。用語ヘテロアリールの定義に入る2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾリル及びオキソチアジアゾリルのような構造が、互変異性によって両方の環にその芳香族の特徴を保持していることは理解されるものである。二環式複素環の適した例は、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、クロマニル及びイソクロマニルを含む。
【0022】
本明細書中で使用される他の表現は、“ヒドロカルビル”を含み、これは、炭素及び水素原子を含んでなるいずれもの構造を指す。これらは、環又は鎖或いは組合せで配列されることができ、これらにおいて、環は、鎖に又は更なる環に結合するか、或いは更なる環に縮合することができる。一般的に、ヒドロカルビル基は、1ないし20個の、例えば1−12個の炭素原子を含有するものである。これらは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル又はシクロアルケニルであることができ、ここにおいて、アリール、アラルキル、シクロアルキル又はシクロアルケニルのようないずれもの環式分子は、アルキル、アルケニル、アルキニルで及び/又は更なる環式分子で所望により置換されていてもよく、そしてここで、いずれものアルキル、アルケニル又はアルキニル基は、シクロアルキル、又はシクロアルケニルで所望により置換されていてもよい。用語シクロアルキルは、更にアダマンチル及びビシクロ[2.2.2]オクタニルのようなビ−及びトリ−シクロアルキル環も含む。
【0023】
用語ヒドロカルビルによって含まれる環及び鎖の適した組合せは:
a)一つの(1−6C)アルキル基、又は二つの(1−6C)アルキル基に連結したシクロアルキル(特にシクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロブチルメチル、シクロヘキシルエチル、又は例えばメチルシクロブチルメチル);
b)直接結合によって、又は(1−6C)アルキル基のリンカーで、第2のシクロヘキシル又はシクロペンチル基に連結したシクロヘキシル;
c)直接結合によって、又は(1−6C)アルキル基のリンカーで、第2のフェニル基に連結したフェニル基;
d)直接結合によって、又は(1−6C)アルキル基のリンカーで、フェニル基に連結した(3−8C)シクロアルキル基(シクロヘキシル又はシクロペンチル基のような);
e)ベンジル又はメチルフェニル(トリルのような)基;
を含む。
【0024】
ヒドロカルビルと複素環基の“組合せ”に対する言及は、一緒に結合した一つ又はそれより多い複素環基、或いは一つ又はそれより多いヒドロカルビル基に結合した一つ又はそれより多い複素環基を含有する分子を指す。
【0025】
ヒドロカルビルと複素環基の適した組合せは、ヒドロカルビル基((1−6C)アルキル基及び/又は(3−8C)シクロアルキル基のような;特に(1−6C)アルキル基)に連結した(又はそれによって置換された)ヘテロシクリル基(ピリジル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル又はピペリジニルのような)を含む。例えば、メチルピリジル(ここにおいて、メチルは、カルボキシのような官能基によって更に置換されていることができる)、ベンジルピペラジン、(メチル)オキソピリダジン、(メチル)オキソチアジアゾール、(所望によりカルボキシで置換されていてもよい)メチルピペリジル、(所望によりカルボキシで置換されていてもよい)メチルピペリジルメチル、(所望によりカルボキシで置換されていてもよい)ジメチルピペリジル、(所望によりカルボキシで置換されていてもよい)エチルピペリジル及び(シクロプロピルメチル)ピペラジニル。
【0026】
他に規定しない限り、表現“ハロアルキル”は、少なくとも一つのハロ置換基を保持するアルキル基を指す。これは、全ての水素原子が、フルオロのようなハロによって置換されたペルハロ基を含む。
【0027】
いずれもの基の上の所望による置換基が、他に規定しない限り、適宜に異種原子を含むいずれもの利用可能な原子に、これらがこれによって第四化合物化されないことを条件に、接続することができることは理解されることである。
【0028】
本明細書内で、−(1−6C)アルキルNHSO(1−6C)アルキルのような一つより多い官能基を含んでなる基を記載するために、合成語が使用される。このような用語は、それぞれの成分の部分に対して当業者によって理解される意味によって解釈されるべきである。例えば、−(1−6C)アルキルNHSO(1−6C)アルキルは、−メチルアミノスルホニルメチル、−メチルアミノスルホニルエチル、−エチルアミノスルホニルメチル、及び−プロピルアミノスルホニルブチルを含む。
【0029】
所望による置換基が、“0、1、2又は3個”の基から選択される場合、この定義が、全ての置換基が規定された基の一つから選択されるか、或いは置換基が規定された基の二つ又はそれより多くから選択されることを含むことは理解されることである。類似の慣例は、“0、1又は2個”の基、及び“1又は2個”並びにいずれもの他の類似の基から選択される置換基に適用される。
【0030】
置換基は、例えばアルキル基のいずれもの適した位置に存在することができる。従って、ヒドロキシ置換(1−6C)アルキルは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル及び3−ヒドロキシプロピルを含む。
【0031】
(1−4C)アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを含む;(1−6C)アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、1−2−ジメチルプロピル及びヘキシルを含む;(2−6C)アルケニルの例は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−メチルプロペニル及びヘキセニルを含む;(2−6C)アルキニルの例は、エチニル、プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル及びヘキシニルを含む;(1−4C)アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシを含む;(1−6C)アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ及びペントキシを含む;(1−6C)アルコキシ(1−6C)アルキルの例は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ペントキシエチル、メトキシヘキシル及びtert−ブトキシブチルを含む;(3−8C)シクロアルキルの例は、(3−6C)シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブツル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む;(3−8C)シクロアルコキシの例は、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ及びシクロオクチルオキシを含む;(3−8C)シクロアルキル(1−6C)アルキルの例は、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチル及びシクロオクチルプロピルを含む;(3−8C)シクロアルコキシ(1−6C)アルキルの例は、シクロプロポキシメチル、シクロプロポキシエチル、シクロプロポキシブチル、シクロブトキシメチル、シクロペントキシメチル、シクロヘキシルオキシメチル、シクロペントキシエチル及びシクロオクチルオキシプロピルを含む;(3−8C)シクロアルコキシ(1−6C)アルコキシの例は、シクロプロポキシメトキシ、シクロプロポキシエトキシ、シクロプロポキシブトキシ、シクロブトキシメトキシ、シクロペントキシメトキシ、シクロヘキシルオキシメトキシ シクロペントキシエトキシ及びシクロオクチルオキシプロポキシを含む;(3−8C)シクロアルコキシ(1−6C)アルコキシ(1−6C)アルキルの例は、シクロプロポキシメトキシメチル、シクロプロポキシエトキシメチル、シクロプロポキシブトキシメチル、シクロブトキシメトキシエチル、シクロペントキシメトキシプロピル、シクロヘキシルオキシメトキシメチル シクロペントキシエトキシメチル及びシクロオクチルオキシプロポキシメチルを含む;ハロの例は、クロロ、ブロモ、ヨード及びフルオロを含む;ハロ(1−6C)アルキルの例は、クロロメチル、フルオロエチル、フルオロメチル、フルオロプロピル、フルオロブチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、1,2−ジフルオロエチル及び1,1−ジフルオロエチルのようなハロ(1−4C)アルキル、並びにトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及びヘプタフルオロプロピルのようなペルハロ(1−6C)アルキル(ペルハロ(1−4C)アルキルを含む)を含む;ハロ(1−6C)アルコキシの例は、クロロメトキシ、フルオロエトキシ及びフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシのようなハロ(1−4C)アルコキシ、並びにペンタフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ及びヘプタフルオロプロポキシのようなペルハロアルコキシを含む;ヒドロキシ(1−6C)アルキルの例は、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル及び3−ヒドロキシブチルのようなヒドロキシ(1−4C)アルキルを含む;カルボキシ(1−6C)アルキルの例は、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル及びカルボキシブチルのようなカルボキシ(1−4C)アルキルを含む;アミノ(1−6C)アルキルの例は、アミノメチル、アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、2−アミノイソ−プロピル、アミノブチル及び2−アミノtert−ブチルを含む;(1−6C)アルキルアミノの例は、メチルアミノ、エチルアミノ及びプロピルアミノのような(1−4C)アルキルアミノを含む;ジ−((1−6C)アルキル)アミノの例は、ジメチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ及びジイソプロピルアミノのようなジ−((1−4C)アルキル)アミノを含む;(1−6C)アルキルカルボニルの例は、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソ−プロピルカルボニル及びtert−ブチルカルボニルのような(1−4C)アルキルカルボニルを含む;(1−6C)アルキルカルボニルオキシの例は、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソ−プロピルカルボニルオキシ及びtert−ブチルカルボニルオキシのような(1−4C)アルキルカルボニルオキシを含む;(1−6C)アルコキシカルボニル(N−(1−6C)アルキルカルバモイル)の例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ−プロポキシカルボニル及びtert−ブトキシカルボニルのような(1−4C)アルコキシカルボニルを含む;(1−6C)アルコキシカルボニルアミノの例は、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、イソ−プロポキシカルボニルアミノ及びtert−ブトキシカルボニルアミノのような(1−4C)アルコキシカルボニルアミノを含む;(1−6C)アルコキシカルボニル(N−メチル)アミノの例は、メトキシカルボニル(N−メチル)アミノ、エトキシカルボニル(N−メチル)アミノ、プロポキシカルボニル(N−メチル)アミノ、イソ−プロポキシカルボニル(N−メチル)アミノ及びtert−ブトキシカルボニル(N−メチル)アミノのような(1−4C)アルコキシカルボニル(N−メチル)アミノを含む;(1−6C)アルキルチオの例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ及びブチルチオを含む;(1−6C)アルキルスルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル及びブチルスルフィニルを含む;(1−6C)アルキルスルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル及びブチルスルホニルを含む;(1−6C)アルコキシスルホニルの例は、メトキシスルホニル、エトキシスルホニル、プロポキシスルホニル、イソプロポキシスルホニル及びブトキシスルホニルを含む;(1−6C)アルキルカルボニルアミノの例は、(1−3C)アルキルCONH)(メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、イソ−プロピルカルボニルアミノ)及びtert−ブチルカルボニルアミノのような(1−4C)アルキルカルボニルアミノを含む;(1−6C)アルキルアミノカルボニルの例は、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、イソ−プロピルアミノカルボニル及びtert−ブチルアミノカルボニルのような(1−4C)アルキルアミノカルボニルを含む;ジ−(1−6C)アルキルアミノカルボニルの例は、ジメチルアミノカルボニル、N−メチル−N−エチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、N−メチル−N−プロピルアミノカルボニル及びジ−イソプロピルアミノカルボニルのようなジ(1−4C)アルキルアミノカルボニルを含む;(1−6C)アルキルアミノカルボニルオキシの例は、メチルアミノカルボニルオキシ、エチルアミノカルボニルオキシ、プロピルアミノカルボニルオキシ、イソ−プロピルアミノカルボニルオキシ及びtert−ブチルアミノカルボニルオキシのような(1−4C)アルキルアミノカルボニルオキシを含む;−S(O)p(1−4C)アルキル(ここで、pは0、1又は2である)の例は、(1−6C)アルキルチオ、(1−6C)アルキルスルフィニル及び(1−6C)アルキルスルホニルを含む;(1−6C)アルキルアミノスルホニルの例は、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、プロピルアミノスルホニル、イソ−プロピルアミノスルホニル及びtert−ブチルアミノスルホニルのような−SONH(1−4C)アルキルを含む;ジ(1−6C)アルキルアミノスルホニルの例は、ジメチルアミノスルホニル、N−メチル−N−エチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、N−メチル−N−プロピルアミノスルホニル及びジ−イソプロピルアミノスルホニルのようなジ(1−4C)アルキルアミノスルホニルを含む;(1−6C)アルキルスルホニルアミノの例は、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、プロピルスルホニルアミノ、イソ−プロピルスルホニルアミノ及びtert−ブチルスルホニルアミノのような(1−4C)アルキルスルホニルアミノを含む。
【0032】
式(I)の化合物中の可変基の特別な意義は、以下のとおりである。このような意義は、本明細書中で先に又は以下に定義される、他の意義、定義、側面、特許請求の範囲又は態様のいずれかと共に適宜に使用することができる。
【0033】
特別な態様において、Rは、所望により置換されていてもよいフェニル又はナフチルのような所望により置換されていてもよいアリール基である。所望により置換されていてもよいアリール基としてのRは、更にインダニルであることもできる。Rがインダニルのような部分的に飽和のアリール基である場合、連結窒素原子に直接接続しているものは、Rの芳香族環部分であることは理解されるものである。
【0034】
別の場合、Rは、所望により置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして特に所望により置換されていてもよいピリジルのような単環式ヘテロアリール基である。ヘテロアリール環としてのRのための適した意義は、ピリミジニル、ピリジル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル及びチアジアゾリルを含む。
【0035】
が、ベンゾジオキソラニルのような部分的に飽和の二環式ヘテロアリール基である場合、連結窒素原子に直接接続しているものは、Rの芳香族環部分であることは理解されるものである。
【0036】
二環式ヘテロアリール環としてのRのために適した意義は、ピロロピリジル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びキノリルを含む。
のための更に適した意義は、フェニル、ナフチル、インダニル、ピリミジニル、ピリジル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピロロピリジル、1,3−ベンゾジオキサン−5−イル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びキノリルを含む。
【0037】
一つの態様において、Rは、ピロロ(1,2−b)ピリダジンであることはできない。
のために適した所望による置換基は、官能基又はメチルのような(1−6C)アルキル基を含む。R上の置換基のための特別な官能基は、ハロ、−C(O)20又は−OR20を含み、ここで、R20は、上記で定義したとおりであり、そして特にアリール又はアラルキル基である。
【0038】
上の置換基として適した官能基は、ハロ、−OR20(ここにおいて、R20は、水素、フェニル、或いは例えばR20が、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであるように、一つ又はそれより多いハロによって所望により置換されていてもよいか、或いは(1−4C)アルコキシによって所望により置換されていてもよい(1−4C)アルキルである)、シアノ、ハロ(1−4C)アルキル、−S(O)20(ここにおいて、R20は、フェニル又は(1−4C)アルキル、特にメチル又はエチルであり、mは、0、1又は2、特に0又は2である)、トリフルオロメチルチオ、−NR20CONR2122(ここにおいて、R20、R21及びR22は、適当には全て水素である)、−C(O)20(ここにおいて、nは、1又は2、特に2であり、そしてR20は、(1−4C)アルキル又はフェニルである)、−OS20(ここにおいて、R20は、適当には(1−4C)アルキルである)、−SONR2122(ここにおいて、R21及びR22は、適当には両方とも水素である)、−NR21C(O)20(ここにおいて、nは、1又は2、特に1であり、R21は適当には水素であり、そしてR20は、適当にはフェニル又は(1−4C)アルキルである)、及び−CONR2122(ここにおいて、R21及びR22は、適当には水素である)を含む。
【0039】
のための適した意義は、フェニル(本明細書中で先に定義したとおりの官能基、例えば−COMe、又はカルボキシによって所望により置換されていてもよい)、ベンジル、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジル((1−4C)アルキルによって所望により置換されていてもよい)、トリアゾリル、モルホリノ、(2−4C)アルキニル(例えばエチニル)及び(1−4C)アルキル(−COMe、カルボキシ、メトキシ、ヒドロキシ及びシアノから選択される置換基によって所望により置換されていてもよい)を含む。
【0040】
が、−X−(CR5253−Z基によって置換されている場合、適当にはwは、0又は1であり;Zは、上記に与えた適した意義、特にヒドロカルビル(所望により置換されていてもよいアルキル、フェニル又はベンジルのような)又はピリジルから選択され、そして更に適当には所望により置換されていてもよいフェニルであり;Xは、適当には−SO−、−CO−、NHCO−、−NH−、−O−であり、そしてR52及びR53は、適当には両方とも水素である。
【0041】
もう一つの側面において、R上の所望による置換基は、アルキル(例えばメチル又はエチルのような(1−6C)アルキル)、ハロ、ハロアルキル(ハロメチル、例えばトリフルオロメチルのようなハロ(1−6C)アルキルのような)、ハロアルコキシ(ハロメトキシ、例えばトリフルオロメトキシのようなハロ(1−6C)アルコキシのような)及びシアノから独立に選択される1、2又は3個の置換基である。
【0042】
もう一つの側面において、R上の所望による置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、エチル、エチニル、ベンジルオキシ、3−クロロベンジルオキシ、フェノキシ、4−クロロフェノキシ、フェニル、ベンゾイル及びアニリノから独立に選択される1、2又は3個の置換基である。
【0043】
もう一つの側面において、R上の所望による置換基は、フルオロ、シアノ及びトリフルオロメチルから独立に選択される1、2又は3個の置換基である。Rが二又は三置換されている場合、特に少なくとも1個の置換基はフルオロである。Rが二又は三置換されている場合、好ましくはそれぞれの置換基はフルオロである。この側面において、特にRはフェニルである。
【0044】
一つの側面において、Rは、NHへの結合に関して3位において一置換されている;もう一つの側面において、Rは、4位において一置換されている。更なる側面において、Rは、本明細書中の先の又は以下の可能な置換基、しかし特に上記の好ましい所望による置換基のいずれか、そして更に特にジ−ハロ、例えばジ−フルオロによって2,4−二置換、2,6−二置換、3,4−二置換、2,4−二置換又は2,5−二置換されている。更なる側面において、Rは、三置換、例えば2,4,5−トリハロ(例えば2,4,5−トリフルオロ)のように2,4,5−三置換されている。
【0045】
が二又は三置換されている場合、置換基は、適当には官能基、Z及び−X−(CR5253−Zから、例えばこれらの基のために本明細書中で与えられた意義のいずれかから独立に選択される。例えば、Rは、ジ−ハロ(ジフルオロ、ジクロロ、モノ−フルオロ モノ−クロロ及びモノ−クロロ モノ−ブロモのような)、トリ−ハロ(トリフルオロのような)、モノ−ハロ モノ−アルキル(モノ−メチル、モノ−クロロのような)、モノ−ハロ(フルオロ又はクロロのような)、モノ−トリフルオロメチル、モノ−アルキル(メチルのような)モノ−シアノ、ジ−メトキシ、モノ−クロロ モノ−メトキシ、ジ−ハロ モノ−ヒドロキシ(2−F、4−Cl、5−OHのような)によって置換されていることができるか、或いは例えばジ−ハロ モノ−O−Z(−OCHCOMeのような)であることができる。Rが二置換されている場合、一つの側面において、置換基の少なくとも一つは、ハロ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、トリフルオロメチル及びシアノから選択される。Rが三置換されている場合、一つの側面において、置換基の少なくとも一つ、例えば少なくとも二つは、ハロ、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ、トリフルオロメチル及びシアノから選択される。
【0046】
が、−X−(CR5253−Z基、−X−(CR5253−X−Z基又は−(CR5253−Z基によって置換されている場合、R52及びR53は、適当には水素である。
【0047】
が、Zがモルホリノ環のようなヘテロシクリル環であるZによって置換されている場合、好ましくはZは、連結窒素原子への結合に対してortho位であるRの炭素原子に接続していない。
【0048】
一つの態様において、Yは、直接結合である。
Yが、−X(CR4041基である場合、Xは、適当には酸素であり、そしてtは、適当には2ないし6の整数である。
【0049】
別の場合、Yは、(CH基、又は更に好ましくは−O(CHであり、ここで、sは、1ないし6の整数であり、そしてtは、2ないし6の整数であり、そして特にs又はtは、3である。
【0050】
が、非置換のアリール又は非置換のシクロアルキルである場合、Yは、好ましくは直接結合以外である。
は、適当には置換されたフェニル又は置換されたヘテロアリール基(例えば本明細書中で先に収載されたヘテロアリール基のいずれか)である。Rの適した例は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、インダニル、シクロヘキシル、ピペリジニル及びベンゾチアゾリルを含む。
【0051】
が所望により置換されたシクロアルキル基である場合、これは、好ましくは(3−8C)シクロアルキル又は(3−6C)シクロアルキルのような単環式基である。
が置換された基である場合、これは、適当には少なくとも一つの、そして所望により一つより多い、置換基−Z基、−X−(CR4243−Z基、−X−(CR4243−X−Z基又は−(CR4243−Z基によって置換され、ここで、一つ又はそれより多い更なる置換基は、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ又はハロ(1−6C)アルキルから選択される。好ましくはRは、本明細書中で先に又は以下に定義されるものから独立に選択される1又は2個の、更に好ましくは1個の基によって置換されている。Rが2個の基によって置換されている場合、好ましくは一つはハロ、−CO20(ここにおいて、R20は、ハロゲン、(1−4C)アルキル又はアリルである)又はシアノのような本明細書中で先に定義したとおりの官能基であるか、或いは一つの置換基は(1−4Cアルキルである。
【0052】
Z又はZ基の特別な例は、以下の下位式(x)、(y)又は(z):
【0053】
【化2】

【0054】
の基を含む。
式中、それぞれの環A又はA’は、所望により置換されていてもよい複素環、所望により置換されていてもよいシクロアルキル環又は所望により置換されていてもよいアリール環から独立に選択され、それぞれのR60は、所望により置換されていてもよい(1−6C)アルキル、所望により置換されていてもよい(2−6C)アルケニル又は所望により置換されていてもよい(2−6C)アルキニルであり、そしてR61は、所望により置換されていてもよい(1−6C)アルキレン、所望により置換されていてもよい(2−6C)アルケニレン又は所望により置換されていてもよい(2−6C)アルキニレンである。
【0055】
A、A’、R60及びR61基のために適した所望による置換基は、官能基である。
Z又はZ基の更なる特別な例は、以下の下位式(zz):
【0056】
【化3】

【0057】
の基を含み、式中、A、R60及びR61、並びにその中の適した所望による置換基は、下位式(x)、(y)及び(z)のために上記で定義したとおりである。
特に好ましい態様において、Zは、上記の下位式(x)の基である。一つの態様において、Rは、以下の下位構造(a):
【0058】
【化4】

【0059】
の5−又は6−員の芳香族環であり、
、Z、Z 及びZは、−CH−、−CR−又は−O−、−S−、−N(R50−から選択される異種原子から独立に選択され、ここで、rは、芳香族環の要求によって0又は1であり、そしてR50は、水素又は(1−6C)アルキルであり、そしてZは、更に直接結合であることができ;
は、−Z基、−X−(CR4243−Z基、−X−(CR4243−X−Z基又は−(CR4243−Z基であり、ここにおいて、Z、X、X42、R43、u及びvは、上記で定義したとおりであり;
それぞれのRは、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、ハロC1−6アルキル、−Z基、−X−(CR4243−Z基、−X−(CR4243−X−Z基又は−(CR4243−Z基から独立に選択され、ここにおいて、Z、X、X42、R43、u及びvは、上記で定義したとおりである。
【0060】
適当には、Zが直接結合である場合、Z又はZの片方は異種原子、特に酸素又は硫黄である。
好ましくはZは、直接結合以外である。
【0061】
適当にはこの場合、Z及びZは、−CH−、−CR24−又は窒素原子から独立に選択される。
適当にはZは、−CH−基である。
【0062】
好ましいR基は、以下にR6aとして収載される。
適当には、Z、Z、Z及びZは、−CH−である。
適当にはR42及びR43は、水素である。
【0063】
ないしZの一つがN(R50である場合、好ましくはこれは、Z又はZである。ZないしZの一つがCRである場合、好ましくはこれは、Z又はZである。
【0064】
一つの別の態様において、Rは、以下の下位式(b):
【0065】
【化5】

【0066】
のシクロヘキシルのようなシクロアルキル基であり、
式中、Rは、上記で定義したとおりであり、そしてR、R、R及びRは、水素又は上記で定義したとおりのRから独立に選択される。
【0067】
なお更なる態様において、Rは、二環式環であり、これは、二環式アリール環又は二環式複素環であることができる。例えば、Rは、縮合した6,6−員の環、又は縮合した5,6−員の環を含んでなり、前記の環の一つ又は両方は、不飽和であることができる。このような環の例は、ベンゾイミダゾール(好ましくはベンゼン環によって−Y−NH−基に連結している)、インダニル、インデニルを含む。特に適した二環式環は、−Y−NH−基に連結した環が飽和であり、そしてこれが、芳香族環に縮合するように、部分的に不飽和である。このような環の特別な例は、2−インダニルのようなインダニル環である。一つの態様において、Rは、ピロロ(1,2−b)であることができない。
【0068】
特に、Rは、Z基である。
適当には、Zは、アリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル基であり、これのいずれもは、官能基或いは(1−6C)アルキル、(2−6C)アルケニル又は(2−6C)アルキニル基によって所望により置換されていてもよい。
【0069】
好ましくはZは、官能基によって又は官能基によって置換された(1−6C)アルキル基によって置換されている。このような官能基の特別な例は、−C(O)20又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体、−C(O)NR2122及び−NR21C(O)20を含み、ここにおいて、R20、R21及びR22は、上記で定義したとおりである。
【0070】
もう一つの態様において、Rは、Zによって置換され、そしてZは、所望により置換されていてもよいヘテロシクリル基である。所望により置換されていてもよいヘテロシクリル基としてのZの適した例は、本明細書中で先に与えたヘテロシクリルのための適した意義のいずれもを含み、そして特にピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペラジニル、チアジアゾリル、(オキソ)ピリダジニル及び(オキソ)チアジアゾリルを含む。
【0071】
もう一つの態様において、Rは、Zによって置換され、そしてZは、所望により置換されていてもよいヒドロカルビル基である。所望により置換されていてもよいヒドロカルビル基としてのZの適した例は、(全て所望により置換されていてもよい)(1−6C)アルキル((1−4C)アルキルのような)、フェニル、シクロアルキル(アダマンチル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルのような)、(1−4C)アルキルと結合したシクロアルキル(メチルシキロヘキシル、エチルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、エチルシクロブチル、シクロブチルメチル及びメチルシクロペンチルのような)及び(1−4C)アルキルと結合したフェニル(ベンジル及びメチルフェニル(トリルのような)ような)を含む。
【0072】
もう一つの態様において、Rは、Zによって置換され、そしてZは、所望により置換されていてもよいヒドロカルビル及びヘテロシクリル基の組合せである。所望により置換されていてもよいヒドロカルビル及びヘテロシクリル基の組合せとしてのZの適した例は、(1−4C)アルキル(例えばメチル、エチル及びイソプロピル)、ベンジル又はシクロアルキル(1−4C)アルキル(例えばシクロプロピルメチル)によって置換されたピペラジニル又はピペリジルのような非芳香族ヘテロシクリル;一つ又は二つの(1−4C)アルキル(メチルのような)によって置換されたオキソピリダジン又はオキソチアジアジンのような酸化されたヘテロシクリル;一つ又は二つの(1−4C)アルキル(メチルのような)によって置換された芳香族ヘテロシクリル(ピリジルのような)を含む。例えばピリジルメチル(ここにおいて、このメチルは、カルボキシのような官能基によって更に置換されていることができる)、ベンジルピペラジニル、(メチル)オキソピリダジニル、(メチル)オキソチアジアゾリル、(所望によりカルボキシ置換されていてもよい)メチルピペリジニル、(所望によりカルボキシ置換されていてもよい)メチルピペリジルメチル、(所望によりカルボキシ置換されていてもよい)ジメチルピペリジル、(所望によりカルボキシ置換されていてもよい)エチルピペリジル及び(シクロプロピルメチル)ピペラジニル。
【0073】
もう一つの態様において、Rは、Zによって置換され、そしてZは、所望により置換されていてもよい二つのヘテロシクリル基の組合せ、例えばピペラジニルと組合されたピリジルである。
【0074】
Z基上の適した置換基は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、−CO20[ここにおいて、R20は、水素、所望により置換されていてもよいヒドロカルビル((1−4C)アルキル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、フェネチルのような)、又は所望により置換されていてもよいヘテロシクリル(ピリジルのような)であり、そしてここにおいて、nは、1又は2である]、−CONH、CONHR21(ここにおいて、R21は、水素、アルキル及びベンジルから選択される)、シアノ、アミノ、−NHCO(1−4C)アルキル、及び−CONR2122(ここにおいて、NR2122は、所望により置換されていてもよいヘテロシクリル環を形成する)を含む。
【0075】
適当にはNR2122によって形成される環は、0又は1個の、O、N及びSから選択される更なる異種原子を含有し、そして例えばピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル又はモルホリノであることができる。NR2122によって形成される環は、更にもう一つの環に縮合することができ、例えばこれによってジオキソランと縮合したピロリジニル環を構成する。
【0076】
一般的に、適当には、R20は、水素であるか、又は(全て所望により置換されていてもよい)(1−4C)アルキル、フェニル、ピリジル、ベンジル、フェネチル、メチルフェニル及びアリルから選択される。
【0077】
一般的に、R21及びR22は、適当にはそれぞれ独立に水素であるか、又は(所望により置換されていてもよい)フェニル、(1−4C)アルキル、及びベンジルから選択される。
【0078】
適当には、R20、R21及びR22(及びNR2122によって形成された環)は、非置換であるか、或いは1又は2個の置換基によって置換されている。R20、R21及びR22のための適した所望による置換基は、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、(1−4C)アルコキシ、カルボキシ及び−CO(1−4C)アルキルを含む。R21及びR22のための特別な置換基は、ヒドロキシである。NR2122によって形成された環のための特別な置換基は、ヒドロキシ、カルボキシ及び−CO(1−4C)アルキルである。
【0079】
もう一つの態様において、Rは、−X−(CR4243−Zによって置換され、ここにおいて、Xは、好ましくはO、−NH−、−NMe−、又は−SONH−であり、uは、0、1又は2であり、R42及びR43は、それぞれ水素であり、そしてZは、本明細書中で先に記述した意義のいずれも、特にモルホリノ又は所望により置換されていてもよいフェニル(メトキシフェニルのような)或いはメチルフェニルから選択される。
【0080】
もう一つの態様において、Rは、本明細書中で先に定義したとおりの官能基によってのみ置換されている。特に、官能基は、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)アルキルチオ及び(1−4C)アルキルスルホニルから選択することができ、ここにおいて、前記の(1−4C)アルキル基は、カルボキシ又は(1−4C)アルコキシカルボニルによって所望により置換されていることができる。
【0081】
本明細書中で使用される場合、カルボン酸模倣体又は生物学的等価体に対する言及は、The Practice of Medicinal Chemistry,Wermuth C.G.Ed.:Academic Press:New York,1996,p203中で定義されている基を含む。このような基の特別な例は、−SO-H、S(O)NHR13、−S(O)NHC(O)R13、−CHS(O)13、−C(O)NHS(O)13、−C(O)NHOH、−C(O)NHCN、−CH(CF)OH、C(CFOH、−P(O)(OH)及び以下の下位式(a)−(i’):
【0082】
【化6】

【0083】
【化7】

【0084】
の基を含み、式中、R13は、(1−6C)アルキル、アリール又はヘテロアリールであり;そしてR27は、水素又は(1−4C)アルキルである。上記の下位式(a)ないし(i’)中で、ケト−エノール互変異性が可能であることができ、そして下位式(a)ないし(i’)が、その全ての互変異性体を包含すると解釈されるべきであることは理解されることである。
【0085】
本発明の更なる側面において、以下の式(IZA):
【0086】
【化8】

【0087】
の化合物、又はその塩が提供され、式中、Rは、フェニル(フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、メチル、エチル、エチニル、ベンジルオキシ、3−クロロベンジルオキシ、フェノキシ、4−クロロフェノキシ、フェニル、ベンゾイル及びアニリノから独立に選択される1、2又は3個の置換基で、所望により置換されていてもよい)、2−ピリジル(所望により、クロロフェノキシ、クロロベンジルオキシ又はメトキシフェノキシによって置換されていてもよい、及び/又はハロ、トリフルオロメチル、(1−4C)アルキル、(1−4C)アルコキシ及びシアノから選択される一つの置換基で置換されていてもよい)、3−ピリジル(2−ピリジルのためのように所望により置換されていてもよい)、ハロピリミジニル及びトリフルオロメチルチアゾリルから選択され;
は、N又はCHであり;
ZA1及びRZA2は、それぞれ独立に水素又はメチルであり;
ZA3は、水素又はメチルであり;
6ZAは、水素、フルオロ、クロロ又はメチルであり;
Aは、N又はCHであり;
ZAは、直接結合、−CH−又は−O−(AがNである場合を除く)であり;
mは、0、1又は2であり;
nは、0又は1であり;
但し、m+n=0、1又は2であることを条件とし;
pは、0又は1である。
【0088】
一つの側面において、Aが−CH−である式(IZA)の化合物中で、Aを含有する環上の複数の置換基(即ちXZA−ピリジル/フェニル基及びカルボキシ(アルキル)基)は、お互いにtransである。
【0089】
一つの側面において、Aが−CH−である式(IZA)の化合物中で、Aを含有する環上の複数の置換基(即ちXZA−ピリジル/フェニル基及びカルボキシ(アルキル)基)は、お互いにcisである。
【0090】
一つの態様において、
が、本明細書中で先に定義したとおりであり;
が、CHであり;
ZA1及びRZA2は、両方とも水素であり;
ZA3は、水素であり;
6ZAは、水素、フルオロ、クロロ又はメチルであり;
Aは、CHであり;
ZAは、直接結合、又は−O−であり;
mは、1であり;
nは、1であり;
pは、0又は1である;
式(IZA)の化合物、又はその塩が提供される。
【0091】
もう一つの態様において、Rがフェニルであり、そしてpが1である直ぐ上で定義したとおりの式(IZA)の化合物、又はその塩が提供される。
もう一つの態様において、XZAが直接結合であり、そしてR6ZAが水素又はフルオロである直ぐ上で定義したとおりの式(IZA)の化合物、又はその塩が提供される。
【0092】
疑義の回避のために、本明細書中で一つの基が‘本明細書中で先に定義した’又は‘先に本明細書中で定義した’によって制限された場合、前記の基が、最初に現れた、そして最も幅広い定義を、並びにその基に対する特別な定義のそれぞれを、そして全てを包含することは理解されることである。
【0093】
置換基がアルキル鎖上に二つの置換基を含有し、その両方が異種原子(例えば二つのアルコキシ置換基)によって連結している場合、これらの二つの置換基が、アルキル鎖の同一炭素原子上の置換基ではないことは理解されることである。
【0094】
どこにも記述されていない場合、特定の基のために適した所望による置換基は、本明細書中で同様な基のための記述されたようなものである。
式(I)の化合物は、安定な酸又は塩基の塩を形成することができ、そしてこのような場合、塩としてのこのような化合物の投与が、適当であることができ、そして医薬的に受容可能な塩は、以下に記載されるもののような慣用的な方法によって製造することができる。
【0095】
適した医薬的に受容可能な塩は、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、α−グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩及び(やや好ましくないが)臭化水素酸塩のような酸付加塩を含む。更に適したものは、リン酸及び硫酸と形成された塩である。もう一つの側面において、適した塩は、(I)族(アルカリ金属)塩、(II)族(アルカリ土類金属)塩、有機アミン、例えばトリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−メチル d−グルカミン及びリシンのようなアミノ酸塩のような塩基塩である。荷電された官能基の数及びカチオン又はアニオンのイオン価によるが、一つより多いカチオン又はアニオンが存在することができる。
【0096】
然しながら、調製中に、塩の単離を容易にするために、医薬的に受容可能であるか否かに関わらず、選択された溶媒中により可溶性ではない塩が好ましいものであることができる。
【0097】
本発明において、式(I)の化合物又はその塩が、互変異性の現象を示すことができ、そして本明細書内の式の図面が可能な互変異性の形態の一つのみを表すことができることは理解されることである。本発明が、DGAT1活性を阻害するいずれもの互変異性の形態を包含し、そして式の図面に使用されたいずれか一つの互変異性の形態に単に制約されるものではないことは理解されることである。
【0098】
式(I)の化合物のプロドラッグ、又は医薬的に受容可能なその塩も、更に本発明の範囲内である。
プロドラッグの各種の形態は、当技術において既知である。このようなプロドラッグ誘導体の例については:
a)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)and Methods in Enzymology,Vol.42,p.309−396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs”,by H.Bundgaard p.113−191 (1991);
c)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,,1−38(1992);
d)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);及び
e)N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32,692(1984)
を参照されたい。
【0099】
このようなプロドラッグの例は、本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルである。カルボキシ基を含有する本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で開裂して、母体酸を産生する医薬的に受容可能なエステルである。カルボキシのために適した医薬的に受容可能なエステルは、(1−6C)アルキルエステル、例えばメチル又はエチル;(1−6C)アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル;(1−6C)アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;(3−8C)シクロアルコキシカルボニルオキシ(1−6C)アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソラン−2−イルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル;(1−6C)アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチル;アミノカルボニルメチルエステル及びそのモノ−又はジ−N−((1−6C)アルキル)変種、例えばN,N−ジメチルアミノカルボニルメチルエステル及びN−エチルアミノカルボニルメチルエステルを含み;そして本発明の化合物中のいずれものカルボキシ基において形成することができる。ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルは、例えばヒト又は動物の体内で開裂して、母体ヒドロキシ基を産生する医薬的に受容可能なエステルである。ヒドロキシのために適した医薬的に受容可能なエステルは、(1−6C)アルカノイルエステル、例えばアセチルエステル;及びフェニル基がアミノメチル或いはN−置換されたモノ−又はジ−(1−6C)アルキルアミノメチルで置換されていることができるベンゾイルエステル、例えば4−アミノメチルベンゾイルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノメチルベンゾイルエステルを含む。
【0100】
式(I)のある種の化合物が、不斉的に置換された炭素及び/又は硫黄原子を含有し、そして従って光学的に活性な及びラセミの形態で存在し、そして単離することができることは当業者によって認識されるものである。いくつかの化合物は、多形を示すことができる。本発明が、いずれものラセミ、光学的に活性、多形又は立体異性体の形態、或いはこれらの混合物を包含し、これらの形態が、DGAT1活性の阻害において有用である特性を保有することは理解されることであり、光学的に活性な形態を調製するための方法(例えば、再結晶技術によるラセミの形態の分割、光学的に活性な出発物質からの合成、キラル合成、酵素的分割、生体内変換、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフ的分離によって)及び本明細書中で以下に記載される標準的な試験によりDGAT1活性の阻害のための効力を決定するための方法は、当技術において公知である。
【0101】
式(I)のある種の化合物及びその塩が、例えば水和された形態のような溶媒和された、並びに溶媒和されていない形態で存在することができることも更に理解されることである。本発明が、DGAT1活性を阻害する全てのこのような溶媒和された形態を包含することは理解されることである。
【0102】
先に記述したように、本出願人等は、良好なDGAT1阻害活性を有するある範囲の化合物を発見した。これらは、一般的に、良好な物理的及び/又は薬物動態学的特性を有する。以下の化合物は、好ましい医薬的及び/又は物理的及び/又は薬物動態学的特性を保有する。
【0103】
本発明の一つの態様において、式(I)の化合物が提供され、別の態様において、式(I)の化合物の医薬的に受容可能な塩が提供される。更なる態様において、式(I)の化合物のプロドラッグ、特にin−vivoで開裂可能なエステルが提供される。更なる態様において、式(I)の化合物のプロドラッグの医薬的に受容可能な塩が提供される。式(I)の化合物に対する本明細書中の言及は、一般的に式(IZA)の化合物にも、更に適用されると解釈されるべきである。
【0104】
本発明の更なる好ましい化合物は、実施例のそれぞれであり、そのそれぞれは、本発明の更なる独立の側面提供する。更なる側面において、本発明は、更に実施例の化合物のいずれか二つ又はそれより多くを含んでなる。
【0105】
製法
式(I)の化合物及びその医薬的に受容可能な塩は、化学的に関連する化合物の調製に適用可能なことが知られているいずれかの方法によって調製することができる。このような方法は、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩を調製するために使用される場合、本発明の更なる特徴として提供される。
【0106】
更なる側面において、本発明は、更に式(I)の化合物及びその塩が、以下のとおりの方法a)ないしf)によって調製することができることを提供する(ここにおいて、他に記述しない限り、全ての可変基は、本明細書中で先に式(I)の化合物のために定義したとおりである):
a)もう一つの式(I)の化合物を形成するための、式(I)の化合物の反応;
b)以下の式(2)の化合物の、以下の式(3)のカルボン酸化合物との反応;
【0107】
【化9】

【0108】
c)Rがピペラジニルによって置換されている場合、ピペラジンの窒素の、R−LG[ここにおいて、LGはハロのような適した脱離基であり、そしてRはヒドロカルビル又はアシルのような適した官能基である]との反応、例えば以下の式:
【0109】
【化10】

【0110】
による;
d)Rがアリールであり、そしてアリールによって置換されている場合、遷移金属で触媒された芳香族置換(必要な場合NH保護を伴う)、例えば以下の式:
【0111】
【化11】

【0112】
による;
e)Rが、ピペラジニルによって置換されている場合、R−CHO(ここにおいて、Rは、例えばヒドロカルビルである)によるピペラジンの窒素の還元的アルキル化、例えば以下の式:
【0113】
【化12】

【0114】
による;
f)ハロゲン化された(例えばヨードで)Rの、式(7)のアミドとの、例えば以下の式:
【0115】
【化13】

【0116】
[式中、Halは、ハロゲンである]
の反応、それに続くPが例えばベンジル又はトリメチルシリルエトキシメチル(SEM)である保護基Pのその後の除去;
そしてその後、必要な場合、いずれもの保護基を除去し、及び/又はその塩を形成する。
【0117】
上記のスキームにおいて、R、R、Y及びRは、上記で定義したとおりである。Yが直接結合である場合、方法a、b及びfが、式(IZA)の化合物に適用されることは理解されるものである。
【0118】
方法a)
当業者にとって公知の、式(I)の化合物のもう一つの式(I)の化合物への転換の例は、加水分解(特にエステルの加水分解)、酸化又は還元のような官能基の内部転換(酸のアルコールへの還元、又はN保護基の除去のような)、及び/又はアミド又は金属で触媒されたカップリング、或いは求核置換反応のような標準的な反応による更なる官能付与を含む。
【0119】
方法b)
Yが直接結合ではないか、又はRが芳香族ではない、式(2)の化合物は、当技術において公知の標準的な合成法の適用によって製造することができる。例えば、アンモニア(或いはベンジルアミン又はN,N−ジベンジルアミンのような適したアミン)の、ケトン又はアルデヒドRY=Oによる還元的アルキル化(続いて適宜に脱保護)は、R−Y−NHを与える。別の方法として、アミン又はアミン等価物(ガブリエル試薬又はグアニジンのような)の、ハロゲン化物R−Y−X(ここで、Xはハロゲン化物である)によるアルキル化(続いて適宜にN−脱保護又は加水分解)は、必要な式(2)の化合物を与える。
【0120】
Y又はRの他の定義に対する式(2)の化合物は、他の方法の中でも、金属で触媒されたカップリング又は求核置換反応によって製造することができる。特に、式(2)の化合物は、以下の式(2A):
−Y−NO (2A)
の化合物の還元によって調製することができる。
【0121】
式(2A)の化合物は、R基及びYの特質によるが、金属で触媒されたカップリング又は求核置換反応によって製造することができる。例えば、式(2A)の化合物の製造は、以下の式:
【0122】
【化14】

【0123】
のように表すことができる。
Yが直接結合である場合の方法(b)の例を、以下のスキーム1ないし3(式中、Rは、R上の所望による置換基を表す):
【0124】
【化15】

【0125】
【化16】

【0126】
【化17】

【0127】
に示す。
式(2)のある種の化合物は、更にキラル中心を有するか、又はcis/trans異性体のような異なった異性体の形態で存在することもでき、そして以下のスキーム4中に例示するように個々の異性体として調製することができる。
【0128】
【化18】

【0129】
スキーム4中に例示された方法は、更にシクロヘキセノンを出発物質として使用することもできる。逆の立体構造は、既知の別のキラル触媒及び/又はキラル試薬を使用することによって得ることができる。二環式ケトン中間体の合成は、当技術において既知の方法によって、例えばWittig又はエノラート/エノールエーテル化学反応によって、所望により続いて所望されるような機能付与(アルキル化のような)、及び官能基の内部転換を行って、式(2)の化合物を得ることができる(式中、Ra及びRbは、それぞれ水素又は(所望により置換されていてもよい)アルキル基であることができる)。ジアステレオ異性体の混合物は、標準的な方法によって分離することができる。
【0130】
ある種の式(2)の化合物を製造するために、以下のスキーム5:
【0131】
【化19】

【0132】
に例示するように、SAr化学反応を(当技術において公知の条件下で)使用することができる(式中、Rは、例えばアルキル基であり、Xは、例えばBr又はClであり、nは、例えば0ないし4であり、A基は、(ヘテロ)アリール環、飽和環又はアルキル鎖であることができ、そしてRは、R上の所望による置換基を表す)。
【0133】
式(3)の化合物は、以下のエステル(8)のアルカリ性の加水分解によって製造することができる。エステル(8)は、以下の式(9)の化合物の、以下の式(10)の化合物との、例えば高温(150℃のような)における反応によって製造することができる。あるいは、式(9)の化合物を、以下の式(11)の化合物と反応させて、オキサゾール環を形成し、そして次いでXがハロのような脱離基である式R−Xの化合物と反応させて、例えば遷移金属の触媒反応を使用して、式(8)の化合物を得ることができる。
【0134】
【化20】

【0135】
式(2)の化合物を、式(3)の化合物と、アミド結合の形成のための標準的な条件下でカップリングさせることができる。例えば、所望によりDMAPの存在中で、DCM、クロロホルム又はDMFのような適した溶媒中の室温における、EDACと共に行われるカルボジイミドカップリング反応のような適当なカップリング反応を使用して。
【0136】
が芳香族であり、そしてYが直接結合である場合以外(即ち、アニリノ化合物のような化合物以外)の式(2)の化合物において、式(8)のエステル誘導体(又は等価物)を、式(2)の化合物とカップリングさせるための式(3)の化合物の代わりに使用することができる。このような反応は、適した溶媒中の加熱(熱的又はマイクロ波によって)によるような当技術において既知の、いずれかの方法によって行うことができる。
【0137】
方法c)
式(5)の化合物を、酸塩化物又は塩化スルホニルと、トリエチルアミン又はピリジンのような塩基の存在中で、DMFのような適した溶媒中で反応させることができる。
【0138】
方法d)
式(6)の化合物を、アリールボロン酸と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような適した触媒及びリン酸カリウムのような適した塩基の存在中で、DME−水(2:1)のような適した溶媒中で、0ないし110℃におけるマイクロ波加熱下で反応させることができる。
【0139】
方法e)
式(5)の化合物を、アルデヒドと、酢酸のような適した酸、及び水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在中で、DCMのような適した溶媒中で反応させることができる。
【0140】
方法f)
式(7)の化合物を、アリール臭化物、アリールヨウ化物、アリールメタンスルホン酸塩、ヘテロアリール臭化物又はヘテロアリールヨウ化物と、ヨウ化銅(i)のような適した触媒、trana−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキシルジアミンのような適したジアミンリガンド及びリン酸カリウムのような適した塩基の存在中で、DMF又はジオキサンのような適した溶媒中で、80−110℃に加熱して反応させることができる。
【0141】
本発明の化合物中の各種の環の置換基のあるもの、例えばZ、Za、及び/又はRを、標準的な芳香族置換反応によって導入するか、或いは上述の方法の前又は直後のいずれかの慣用的な官能基改変によって産生することができ、そしてこのようなことが、本発明の方法の側面に含まれることは認識されるものである。このような反応は、式(I)の一つの化合物を、式(I)のもう一つの化合物に転換することができる。このような反応及び改変は、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化及び置換基の酸化を含む。このような方法のための試薬及び反応条件は、化学技術において公知である。芳香族置換反応の特別な例は、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えば、アシルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアシル基の導入;アルキルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアルキル基の導入;及びハロゲン基の導入を含む。改変の特別な例は、例えばニッケル触媒による接触水素化、又は加熱を伴う塩酸の存在中の鉄による処理によるニトロ基のアミノ基への還元;アルキルチオのアルカンスルフィニル又はアルカンスルホニルへの酸化を含む。
【0142】
商業的に入手可能でない場合、先に記載したもののような方法のために必要な出発物質は、標準的な有機化学の技術、既知の構造的に同様な化合物の合成と類似である技術、上記に与えた参考文献中に記載又は例示されている技術、或いは先に記載した方法又は実施例中に記載される方法に類似である技術から選択される方法によって製造することができる。読者は、反応条件及び試薬の一般的指導に関して、Advanced Organic Chemistry,5th Edition,by Jerry March and Michael Smith,published by John Wiley & Sons 2001を更に参照されたい。
【0143】
式(I)の化合物へのいくつかの中間体も更に新規であり、そしてこれらは、本発明の別個の独立な側面を提供することは認識されるものである。
本明細書中で記述した反応のいくつかにおいて、化合物中のいずれもの感受性の基を保護することが必要/好ましいことであることができることも更に認識されるものである。保護が必要である又は所望される場合は、このような保護のために適した方法のように、当業者にとって既知である。慣用的な保護基は、標準的な慣例によって使用することができる(例示として、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991を参照されたい)。
【0144】
保護基は、文献中に記載されているような、又は当業者にとって当該保護基の除去のために適当であることが知られたいずれもの慣用的な方法によって除去することができ、このような方法は、保護基の除去が、分子中の他の場所の基に最小の妨害を伴って行われるように選択される。
【0145】
従って、反応物が、例えば、アミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基を含む場合、本明細書中に記述された反応のいくつかにおいて、これらの基を保護することが好ましいことであることができる。
【0146】
ヒドロキシ基のために適した保護基の例は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、トリメチルシリルのようなシリル基、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記の保護基のための脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変化するものである。従って、例えば、アルカノイル基のようなアシル基又はアロイル基は、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、トリメチルシリル又はSEMのようなシリル基は、例えば、フッ化物又は酸水溶液によって除去することができ;或いはベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素上のパラジウムのような触媒の存在中の水素化によって除去することができる。
【0147】
アミノ基のために適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチル、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はtert−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニルのようなアルカノイル基、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記の保護基に対する脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基或いはアロイル基は、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば塩酸、硫酸又はリン酸或いはトリフルオロ酢酸のような適した酸による処理によって除去することができ、そしてベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって、或いはルイス酸、例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素による処理によって除去することができる。第一アミノ基のために適した別の保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン又は2−ヒドロキシエチルアミンによる、或いはヒドラジンによる処理によって除去することができる。
【0148】
カルボキシ基のために適した保護基は、例えば、例えば水酸化ナトリウムのような塩基による加水分解によって除去することができるエステル化基、例えばメチル又はエチル基、或いは例えば、例えば酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処理によって除去することができるt−ブチル基、或いは例えば、例えば炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって除去することができるベンジル基である。
【0149】
樹脂も、更に保護基として使用することができる。
保護基は、合成のいずれもの都合のよい段階で、化学技術において公知の慣用的な技術を使用して除去することができるか、或いはこれらは、後の反応工程又は仕上げ中に除去することができる。
【0150】
当業者は、上記の参考文献内に含有され、そして言及されている情報、並びにその中に付属された実施例を、そして更に本明細書中の実施例を使用及び適合して、必要な出発物質、及び生成物を得ることが可能であるものである。
【0151】
いずれもの保護基の除去及び医薬的に受容可能な塩の形成は、標準的な技術を使用する当業者の技術の範囲内である。更に、これらの工程の詳細は、本明細書中で以下に与えられる。
【0152】
本発明の化合物の光学的に活性な形態が必要である場合、これは、光学的に活性な出発物質(例えば、適した反応工程の不斉導入によって形成される)を使用して上記の方法の一つを行うことによって、或いは標準的な方法を使用する化合物又は中間体のラセミの形態の分割によって、或いはジアステレオ異性体(生成された場合)のクロマトグラフ的分離によって得ることができる。酵素的技術も、更に光学的に活性な化合物及び/又は中間体の調製のために有用であることができる。
【0153】
同様に、本発明の化合物の純粋な位置異性体が必要な場合、これは、純粋な位置異性体を出発物質として使用して上記の方法の一つを行うことによって、或いは位置異性体又は中間体の混合物の標準的な方法を使用する分割によって得ることができる。
【0154】
本発明の更なる側面によれば、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)及び(IZA)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0155】
先に記載した方法において使用されるある種の中間体は、新規であり、そしてこれらは、本発明の更なる側面を形成する。特に、式(4)の化合物は、本発明の更なる側面を形成する。
【0156】
本発明の組成物は、経口使用(例えば錠剤、ロゼンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所使用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、或いは水性又は油性溶液若しくは懸濁液として)、吸入による投与(例えば微細に分割された粉末又は液体エアゾールとして)、通気による投与(例えば微細に分割された粉末として)、又は非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内又は筋肉内投与のための滅菌水性又は油性溶液として、或いは直腸投与のための座薬として)のために適した形態であることができる。
【0157】
本発明の組成物は、慣用的な方法によって、当技術において公知の慣用的な医薬的な賦形剤を使用して得ることができる。従って、経口使用を意図した組成物は、例えば一つ又はそれより多い着色剤、甘味剤、芳香剤及び/又は保存剤を含有することができる。
【0158】
錠剤の製剤のために適した医薬的に受容可能な賦形剤は、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムのような不活性な希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸のような顆粒化及び崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような潤滑剤;−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような保存剤、及びアスコルビン酸のような抗酸化剤を含む。錠剤の製剤は、被覆されていないか、或いはその崩壊及び胃腸管内における活性成分のその後の吸収を改変するか、或いはその安定性及び/又は外観を改良するいずれかのために、いずれの場合も、慣用的な被覆剤及び当技術において公知の方法を使用して被覆することができる。
【0159】
経口使用のための組成物は、活性成分が不活性な固体の希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル、或いは活性成分が水或いはラッカセイ油、液体パラフィン、又はオリーブ油のような油と混合された軟質ゼラチンカプセルの形態であることができる。
【0160】
水性懸濁液は、一般的に活性成分を、微細に分割された粉末の形態で、一つ又はそれより多い、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような懸濁剤;レシチン、或いはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン);又はエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのようなエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのようなエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、或いはエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトール酸無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンのような分散又は湿潤剤と一緒に含有する。水性懸濁液は、更に一つ又はそれより多い保存剤(−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、着色剤、芳香剤、及び/又は甘味剤(スクロース、サッカリン又はアスパルテームのような)を含有することもできる。
【0161】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油のような)又は鉱油(液体パラフィンのような)中に懸濁することによって調合することができる。油性懸濁液は、更に蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含有することもできる。先に記載したような甘味剤及び芳香剤を加えて、口当たりのよい経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0162】
水の添加による水性懸濁液の調製のために適した分散性粉末及び顆粒は、一般的に活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び一つ又はそれより多い保存剤と一緒に含有する。適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したものによって例示される。甘味剤、芳香剤及び着色剤のような更なる賦形剤も、更に存在することができる。
【0163】
本発明の医薬組成物は、更に水中油乳液の形態であることもできる。油相は、オリーブ油若しくはラッカセイ油のような植物油、又は例えば液体パラフィンのような鉱油或いはこれらの混合物であることができる。適した乳化剤は、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、ダイズ、レシチンのような天然に存在するリン脂質、脂肪酸及びヘキシトール酸無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)並びにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンのような前記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物であることができる。乳液は、更に甘味剤、芳香剤及び保存剤を含有することもできる。
【0164】
シロップ及びエリキシルは、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルターム又はスクロースのような甘味剤と調合することができ、そして更に粘滑剤、保存剤、芳香剤及び/又は着色剤を含有することもできる。
【0165】
医薬組成物は、更に滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であることもでき、これは、既知の方法によって、上述した適当な分散又は湿潤剤の一つ若しくはそれより多く及び懸濁剤を使用して調合することができる。滅菌注射用製剤は、更に非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であることもできる。
【0166】
吸入による投与のための組成物は、活性成分を、微細に分割された固体又は液滴を含有するエアゾールのいずれかとして分配するために手配された慣用的な加圧式エアゾールの形態であることができる。揮発性のフッ素化炭化水素又は炭化水素のような慣用的なエアゾール噴射剤を使用することができ、そしてエアゾールデバイスは、都合よくは活性成分の計量された量を分配するために手配される。
【0167】
製剤に関する更なる情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990の5巻の25.2章を参照されたい。
【0168】
単一の剤形を製造するために一つ又はそれより多い賦形剤と混合される活性成分の量は、治療される宿主及び投与の特定の経路によって必然的に変化するものである。例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は、一般的に、例えば、0.5mgないし2gの活性剤を、全組成物の約5ないし約98重量パーセントで変化することができる適当な、そして都合のよい量の賦形剤と配合されて含有するものである。単位剤形は、一般的に約1mgないし500mgの活性成分を含有するものである。投与の経路及び投与管理に関する更なる情報については、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990の5巻の25.3章を参照されたい。
【0169】
本発明の更なる側面によれば、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法における使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩が提供される。
【0170】
式(I)の化合物に対する本明細書中の言及は、式(I)及び(IZA)の化合物を、同等に指すと理解するべきである。
本出願人等は、本発明の化合物が、DGAT1活性を阻害し、そして従ってその血糖値低下の効果のために興味あるものであることを見出した。
【0171】
本発明の更なる特徴は、医薬としての使用のための式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩である。
都合よくは、これは、ヒトのような温血動物における、DGAT1活性の阻害を産生するための医薬としての使用のための、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩である。
【0172】
特に、これは、ヒトのような温血動物における、糖尿病及び/又は肥満症を治療するための医薬としての使用のための、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩である。
【0173】
従って、本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物におけるDGAT1活性の阻害の産生における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0174】
従って、本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩の使用が提供される。
【0175】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物におけるDGAT1の阻害を産生することにおける使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0176】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療における使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0177】
本発明の更なる側面によれば、DGAT1活性の阻害を産生するための、そのような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0178】
本発明の更なる側面によれば、糖尿病及び/又は肥満症を治療する、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0179】
先に記述したように、特定の疾病状態の療法的又は予防的治療のために必要な投与量のサイズは、治療される宿主、投与の経路及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。好ましくは1−50mg/kgの範囲の日量が使用される。然しながら、日量は、治療される宿主、投与の特定の経路、及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。従って、最適な投与量は、いずれかの特定の患者を治療する医師によって決定されることができる。
【0180】
先に記述したように、本発明中で定義された化合物は、DGAT1の活性を阻害するその能力のために興味あるものである。従って本発明の化合物は、糖尿病、更に具体的には2型糖尿病(T2DM)及びそれから起こる合併症(例えば網膜症、神経障害及び腎症)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常、代謝性アシドーシス、ケトーシス、代謝異常症候群、関節炎、骨粗鬆症、肥満症及び肥満関連疾患(これは、末梢血管性疾患(間欠性跛行症を含む)、心不全及びある種の心筋症、心筋虚血、脳虚血及び血流再開、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、不妊症並びに多嚢胞性卵巣症候群を含む)を含むある範囲の疾病状態の予防、遅延又は治療のために有用であることができ;本発明の化合物は、更に筋力低下、挫瘡のような皮膚の疾病、アルツハイマー病、各種の免疫調節性疾病(乾癬のような)、HIV感染、炎症性大腸症候群並びにクローン病及び潰瘍性大腸炎のような炎症性大腸炎のために有用であることもできる。
【0181】
特に、本発明の化合物は、糖尿病及び/又は肥満症及び/又は肥満関連疾患の予防、遅延又は治療のために興味あるものである。一つの側面において、本発明の化合物は、糖尿病の予防、遅延又は治療のために使用される。もう一つの側面において、本発明の化合物は、肥満症の予防、遅延又は治療のために使用される。更なる側面において、本発明の化合物は、肥満症関連疾患の予防、遅延又は治療のために使用される。
【0182】
本明細書中に記載されるDGAT1活性の阻害は、単独の療法としてか、或いは治療される兆候のための一つ又はそれより多い他の物質及び/又は治療との組合せで適用することができる。このような併用治療は、治療の個々の成分の同時、連続又は別個投与によって達成することができる。同時治療は、単一の錠剤又は別個の錠剤であることができる。例えばこのような併用治療は、代謝症候群[腹部肥満(民族及び性別に特定的な分割点に対して腰周りによって測定される)、並びに次のいずれか二つ:高トリグリセリド血症(>150mg/dl;1.7mmol/l);低HDLc(男性に対して<40mg/dl、又は<1.03mmol/l及び女性に対して<50mg/dl又は1.29mmol/l)又は低HDL(高密度リポタンパク質)に対する治療中;高血圧(SBP≧130mmHg、DBP≧85mmHg)又は高血圧に対する治療中;及び高血糖(空腹時血漿糖≧100mg/dl若しくは5.6mmol/l又は耐糖能障害或いは既存の糖尿病)として定義される−国際糖尿病連合及びIAS/NCEPから提供]の治療において利益があることができる。
【0183】
このような併用治療は、以下の主要な分類:
1)食物摂取、栄養吸収又はエネルギー消費による影響による体重減少を起こすもののような、オルリスタット、シブトラミン等のような抗肥満療法。
【0184】
2)スルホニル尿素(例えばグリベンクラミド、グリピジド)、食後血糖調節剤(例えばレパグリニド、ナテグリニド)を含むインスリン分泌促進物質;
3)インクレチンの作用を改良する薬剤(例えばジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、及びGLP−1アゴニスト);
4)PPARガンマアゴニスト(例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン)を含むインスリン増感剤、並びに組合されたPPARアルファ及びガンマ活性を持つ薬剤;
5)肝臓の糖バランスを調節する薬剤(例えばメトホルミン、フルクトース1、6ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤);
6)腸からの糖の吸収を減少するために設計された薬剤(例えばアカルボーズ);
7)腎臓による糖の再吸収を防止する薬剤(SGLT阻害剤);
8)長期の高血糖の合併症を治療するために設計された薬剤(例えばアルドースレダクターゼ阻害剤);
9)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えばスタチン)、PPARα−アゴニスト(フィブラート、例えばゲムフィブロジル);胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害剤(植物スタノール、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)並びにニコチン酸及び類似体(ナイアシン及び徐放製剤)のような抗異脂質血症剤;
10)β−遮断剤(例えばアテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えばリシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン);アンジオテンシン受容体アンタゴニスト(例えばカンデサルタン)、αアンタゴニスト及び利尿剤(例えばフロセミド、ベンズチアジン)のような血圧降下剤;
11)抗血栓剤、線維素溶解の活性化剤及び抗血小板剤;トロンビンアンタゴニスト;活性化第Xa因子阻害剤;活性化第VIIa因子阻害剤);抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル);抗凝血剤(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン)及びワルファリンのような止血調節剤;
12)グルカゴンの作用と拮抗する薬剤;並びに
13)非ステロイド系抗炎症性薬物(例えばアスピリン)及びステロイド系抗炎症剤(例えばコルチゾン)のような抗炎症剤;
を含むことができる。
【0185】
その治療的薬剤における使用に加えて、式(I)の化合物及びその医薬的に受容可能な塩は、更に、新しい治療剤のための探査の一部としてのネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウスのような実験室動物におけるDGAT1活性の阻害剤の効果の評価のためのin virto及びin vivoの試験系の開発及び標準化における薬理学的手段としても有用である。
【0186】
上記で示したように、化合物の全て、及びその対応する医薬的に受容可能な塩は、DGAT1を阻害することにおいて有用である。DGAT1を阻害する式(I)の化合物、及びその対応する医薬的に受容可能な酸付加塩の能力は、以下の酵素アッセイを使用して証明することができる:
ヒト酵素アッセイ
DGAT1阻害剤を確認するためのin vitroのアッセイは、酵素源として昆虫細胞膜中に発現したヒトDGAT1を使用する(Proc.Natl.Acad.Sci.1998,95,13018−13023)。簡単には、sf9細胞を、ヒトDGAT1をコードする配列を含有する組換えバキュロウイルスで感染させ、そして48時間後に収穫した。細胞を超音波処理によって溶解し、そして膜を遠心によって28000rpmで1時間4℃で41%のスクロースの勾配で単離した。界面における膜画分を収集し、洗浄し、そして液体窒素中で保存した。
【0187】
DGAT1活性を、Coleman(Methods in Enzymology 1992,209,98−102)によって記載された方法の改変によって分析した。化合物を、1−10μMで、0.4μgの膜タンパク質、5mMのMgCl、及び100μMの1,2ジオレオイル−sn−グリセロールと共に200μlの全アッセイ体積で、プラスチック試験管中でインキュベートした。反応を、14Cオレオイル補酵素A(30μMの最終濃度)を加えることによって開始し、そして室温で30分間インキュベートした。反応を、1.5mLの2−プロパノール:ヘプタン:水(80:20:2)を加えることによって停止した。放射性トリオレイン産物を、1mLのヘプタン及び0.5mLのpH9.5の0.1Mの炭酸塩緩衝液を加えることによって有機相に分離した。DGAT1活性を、上部のヘプタン層のアリコートを液体シンチグラフィー(scintillography)によって計数することによって定量した。
【0188】
このアッセイを使用した場合、化合物は、一般的にIC50<20μM、特に<10μM、更に特に<1μMを持つ活性を示した。実施例1は、IC50=0.1μMを示した。
【0189】
DGAT1を阻害する式(I)の化合物、及びその対応する医薬的に受容可能な酸塩の能力は、更に以下の全細胞アッセイ1)及び2)を使用して証明することができる:
1)3T3細胞中のトリグリセリド合成の測定
マウスの脂肪細胞3T3細胞を、6ウェルプレート中の新生ウシ血清を含有する培地中で密集まで培養した。細胞の分化を、10%の胎児ウシ血清、1μg/mLのインスリン、0.25μMのデキサメタゾン及び0.5mMのイソブチルメチルキサンチンを含有する培地中でインキュベートすることによって誘発した。48時間後、細胞を、10%の胎児ウシ血清及び1μg/mLのインスリンを含有する培地中で更に4−6日間維持した。実験のために、培地を血清を含まない培地に変更し、そして細胞を、DMSO中で可溶化した化合物(最終濃度0.1%)で30分間予備インキュベートした。新規な脂質生合成を、0.25mMの酢酸ナトリウム及び1μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムのそれぞれのウェルへの添加によって更に2時間測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、そして1%のドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。アリコートを、Lowryの方法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質推定キット(Perbio)を使用するタンパク質決定のために取り出した。脂質を、ヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)の混合物を、続いて水及びヘプタンのアリコートを使用して、Colemanの方法(Methods in Enzymology,1992,209,98−104)によって有機相に抽出した。有機相を収集し、そして溶媒を窒素の流れ下で蒸発した。抽出物を、イソ−ヘキサン:酢酸(99:1)中に可溶化し、そして脂質を、正常相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、Lichrospher diol−5、4×250mmカラム並びにイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)及びイソ−ヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)の勾配の溶媒系を、1mL/分の流量で使用して、Silversand及びHaux(1997)の方法によって分離した。放射性標識のトリグリセリド画分への組込みを、HPLC装置に接続されたRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を使用して分析した。
【0190】
2)MCF7細胞中のトリグリセリド合成の測定
ヒト乳腺上皮(MCF7)細胞を、6ウェルプレート中の胎児ウシ血清を含有する培地中で密集まで培養した。実験のために、培地を血清を含まない培地に変更し、そして細胞をDMSO中に可溶化した化合物(最終濃度0.1%)と共に30分間予備インキュベートした。新規な脂質生合成を、50μMの酢酸ナトリウム及び3μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムのそれぞれのウェルへの添加によって更に3時間の測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、そして1%のドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。アリコートを、Lowryの方法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質推定キット(Perbio)を使用するタンパク質決定のために取り出した。脂質を、ヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)の混合物を、続いて水及びヘプタンのアリコートを使用して、Coleman(Methods in Enzymology,1992,209,98−104)の方法によって有機相に抽出した。有機相を収集し、そして溶媒を窒素の流れ下で蒸発した。抽出物をイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)中に可溶化し、そして脂質を正常相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、Lichrospher diol−5、4×250mmカラム並びにイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)及びイソ−ヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)の勾配溶媒系を、1mL/分の流量で使用して、Silversand及びHaux(1997)の方法によって分離した。放射性標識のトリグリセリド画分への組込みを、HPLC装置に接続されたRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を使用して分析した。
【0191】
上記において、他の医薬組成物、過程、方法、使用及び医薬製造の特徴、本明細書中に記載された本発明の化合物の別の及び好ましい態様も、更に適用される。
【実施例】
【0192】
本発明は、ここに以下の実施例によって例示されるものであり、これらにおいて、他に記述しない限り:
(i)温度は、摂氏の度(℃)で与えられる;操作は、室温又は周囲温度、即ち18−25℃の範囲の温度で、そしてアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で行った;
(ii)有機溶液は、無水の硫酸マグネシウムで乾燥した;溶媒の蒸発は、回転蒸発器を使用して減圧下(600−4000Pa;4.5−30mmHg)で、60℃までの浴温で行った;
(iii)クロマトグラフィーは、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味する;Biotageカートリッジが言及された場合、これは、Biotage,a division of Dyax Corp.,1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USAによって供給される、60Aの、粒子サイズ32−63mMのKP−SILTMシリカを含有するカートリッジを意味する;
(iv)一般的に、反応の経過は、TLCによって追跡され、そして反応時間は、例示のみのために与えられる;
(v)収率は、例示のみのために与えられ、そして必ずしも入念な過程開発によって得ることができるものではない;調製は、更なる物質が必要な場合繰り返した;
(vi)与えられた場合、NMRデータ(H)は、他に記述しない限り、ペルジューテリオジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として使用する300又は400MHz(他に記述しない限り)で決定された、トリメチルシラン(TMS)に対するパーツパーミリオン(ppm)で与えられる主要な診断プロトンに対するデルタ値の形態である;ピークの多重度は:s、単一線;d、二重線;dd、二重線の二重線;dt、三重線の二重線;dm、多重線の二重戦;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、幅広線のように示す;
(vii)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号が使用される;
(viii)溶媒比は、容積:容積(v/v)の表記で与えられる;
(ix)質量スペクトル(MS)(ループ)は、HP1100検出器を備えたMicromass Platform LCで記録した;他に記述しない限り、引用された質量イオンは、(MH)である;
(x)LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分光測定)は、Waters 996 Photodiodeアレイ検出器を備えた、Waters 2790 LC、及びPhenomenex(登録商標)Gemini 5u C18 110A 50×2mmカラムを使用し、そして1.1ml/分の流量で、5%の(水/アセトニトリル(1:1)+1%ギ酸)及びアセトニトリルの0−95%の、残部(95−0%)が水である増加する勾配で最初の4分にわたって溶出する、Micromass ZMD MSを含んでなる装置で記録され、そしてここで、HPLCの滞留時間が報告されている場合、これは、他に記述しない限り、この装置における分である;他に記述しない限り、引用される質量イオンは、(MH)である;
(xi)相分離カートリッジが記述された場合、Argonaut Technologies,New Road,Hengoed,Mid Glamorgan,CF82 8AU,United Kingdomによって供給されるISOLUTE Phase Separatorの70mlカラムを使用した;
(xii)SiliCycleカートリッジが言及された場合、これは、SiliCycle Chemical Division,1200 Ave St−Jean−Baptiste,Suite 114,Quebec City,Quebec,G2E 5E8,CANADAによって供給される、粒子サイズ230−400メッシュの40−63umのポアサイズのUltra Pure Silica Gelを含有するカートリッジを意味する;
(xiii)Isco Companionが言及された場合、ISOC Inc.、住所Teledyne ISOC Inc,4700 Superior Street,Lincoln,NE 68504,USAによって供給されるCombiflashコンパニオンクロマトグラフィー装置を使用した;
(xiv)マイクロ波が言及された場合、これは、Biotage,a division of Dyax Corp.,1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USAによって供給されるBiotage Initiator sixty又はSmith Creatorマイクロ波を意味する;
(xv)GCMSが言及された場合、ガスクロマトグラフィー−質量分光分析は、AOC 20i自働サンプラーを備え、そしてShimadzu,Milton Keynes,MK12 5RE,UKによって供給され、‘GCMS solutions’ソフトウェア、バージョン2.0で制御される、QP−2010 GC−MS装置で行なった;GCカラムは、J & W Scientific,Folsom,CA,USAによって供給された長さ25m、内径0.32mm、フィルム厚さ0.52μmのDB−5MSであった;
(xvi)遠心分離が言及された場合、これは、Genevac Limited,The Soveriegn Centre,Farthing Road,Ipswich,IP1 5AP,UKによって供給されたGenevac EZ−2plusを意味する;
(xvii)キラルクロマトグラフィーが言及された場合、これは、一般的に20mmのMerckの50mmのChiralpak ADカラム(Chiral Technologies Europe,Parc d’Innovation,Bd.Gonthier d’Andernach,67404 Illkirch Cedex,Franceによって供給されたChiral Stationary Phase)を使用して、MeCN/2−プロパノール/AcOH(90/10/0.1)を溶出剤として使用して、80mL/分の流量、300nmの波長で、Gilson分離用HPLC装置(200mlヘッド)を使用して行った;
(xviii)融点は、Buchi 530装置を使用して決定し、そして未補正である;
(xix)逆相分離用HPLCによる分離は、標準的なGilsonTMHPLC装置で、150×21.2mmのPhenomenex Lunaの10ミクロンC18(2)の100Aのカラム、及びUnipointソフトウェアで操作される、標準的な勾配溶出法(共溶媒としての水及び改良剤としての0.2%のトリフルオロ酢酸とのアセトニトリルの5−95%勾配、95%アセトニトリルにおける2.5分の保持を伴う12.5分の勾配)を使用して行った;
(xx)以下の略語を、以下において、又は本明細書中の先の方法の部において使用することができる:
EtO又はエーテル ジエチルエーテル
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
DME 1,2−ジメトキシエタン
MeOH メタノール
EtOH エタノール
O 水
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDCI(EDAC) 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ−イミド塩酸塩
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
EtOAc 酢酸エチル
NaHCO 重炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム
PO リン酸カリウム
PS ポリマーで支持された
BINAP 2,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’ビナフチル
Dppf 1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
dba ジベンジリデンアセトン
PS−CDI ポリマー支持カルボニルジイミダゾール
CHCN又はMeCN アセトニトリル
h 時間
min 分
HATU へキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
NaOH 水酸化ナトリウム
AcOH 酢酸
DMA ジメチルアセトアミド
nBuLi n−ブチルリチウム
MgSO 硫酸マグネシウム
NaSO 硫酸ナトリウム
CDCl ジューテロクロロホルム
CDOD 過重水素化メタノール
Boc tert−ブトキシカルボニル
HCl 塩酸
全ての最終化合物の名称は、ACD NAMEコンピューターパッケージを使用して得た。
【0193】
実施例1:[4−(4−{[(2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)シクロヘキシル]酢酸
【0194】
【化21】

【0195】
水酸化リチウム一水和物(16mg、0.38mmol)を、[4−(4−{[(2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)シクロヘキシル]酢酸エチル(中間体1、1,93mg、0.21mmol)の撹拌された溶液に加え、そして反応混合物を85℃で5時間攪拌した。混合物を周囲温度に冷却し、そして2NのHClの水溶液で酸性化した。得られた沈澱物を濾過して、表題化合物を、白色の固体(60mg、68%)として得た。
H NMR(400MHz,DMSO)δ 1.07−1.23(m,2H),1.44−1.59(m,2H),1.76−1.96(m,5H),2.13(d,2H),2.44−2.53(m,1H),7.02−7.09(m,1H),7.23−7.31(m,2H),7.35−7.43(m,2H),7.61−7.78(m,4H),7.88−7.94(m,1H),10.03(s,1H),10.21(s,1H),10.81(s,1H);MS m/e MH 420。
【0196】
中間体1:[4−(4−{[(2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)シクロヘキシル]酢酸エチル
i)2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸エチル
【0197】
【化22】

【0198】
2−クロロ−3−オキソプロパン酸エチル(参考文献:Heterocycles,1991,32(4),693、520mg、3.47mmol)を、水(1mL)中のN−フェニル尿素(566mg、4.16mmol)に一度に加え、そして反応混合物を150℃で5分間マイクロ波中で加熱した。得られた沈澱物を水で洗浄し、そして次いでEtOAcで摩砕した。濾液を真空中で濃縮し、そして逆相分離用HPLCによって精製して、生成物を、白色の固体(130mg、16%)として得た。
H NMR δ 1.26(t,3H),4.21(q,2H),7.07(t,1H),7.33(t,2H),7.46(d,2H),8.19(s,1H),9.42(s,1H);MS m/e MH 233。
【0199】
ii)2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸
【0200】
【化23】

【0201】
水酸化リチウム一水和物(167mg、3.97mmol)を、2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸エチル(184mg、0.79mmol)のTHF(2mL)及び水(2mL)中の撹拌された溶液に一度に加え、そして反応混合物を70℃で1時間攪拌した。混合物を2NのHClの水溶液で酸性化し、そして得られた懸濁液を濾過して、粗製の生成物を、白色の固体(57mg、35%)として得た。
H NMR δ 6.95−7.06(m,1H),7.27−7.39(m,2H),7.60(d,2H),7.72(s,1H),10.71(s,1H),12.98(s,1H);MS m/e MH 205。
【0202】
iii)[4−(4−{[(2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)シクロヘキシル]酢酸エチル
【0203】
【化24】

【0204】
EDCI(175mg、0.91mmol)を、2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸(93mg、0.46mmol)、HOBt(123mg、0.91mmol)、[4−(4−アミノフェニル)シクロヘキシル]酢酸エチル(178mg、0.68mmol)及びDIPEA(238μL、1.37mmol)のDMF(5mL)中の撹拌された溶液に一度に加えた。反応混合物を周囲温度で16時間、窒素雰囲気下で攪拌した。水(10mL)を加え、そして得られた沈澱物を濾過し、そしてジエチルエーテル(10mL)で洗浄して、表題化合物(中間体1)を、白色の固体(120mg、59%)として得た。
H NMR δ 1.20(t,3H),1.38−1.53(m,2H),1.54−1.69(m,2H),1.70−1.87(m,5H),2.21(d,2H),2.36−2.46(m,1H),4.07(q,2H),7.00(t,1H),7.18(d,2H),7.34(t,2H),7.53−7.69(m,4H),7.87(s,1H),9.93(s,1H),10.65(s,1H);MS m/e MH 448。
【0205】
中間体2:[4−(4−アミノフェニル)シクロヘキシル]酢酸エチル
【0206】
【化25】

【0207】
硝酸(65%、3.5mL)及び硫酸(95%、4.4mL)の四塩化炭素(5mL)中の混合物を、2−(4−フェニルシクロヘキシル)酢酸エチル(W02004/047755中に記載されている化合物3、4.43g、18.0mmol)の四塩化炭素(10mL)中の5℃の撹拌された溶液に10分かけて滴下により加えた。溶液を周囲温度に温め、そして16時間攪拌した。5℃に冷却された水(50mL)及びDCM(40mL)を反応混合物に加えた。層を分離し、そして水層をDCM(40mL)で抽出した。有機層を混合し、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮して、油状物を得た。油状物をフラッシュクロマトグラフィーによって、イソヘキサン中の0%から20%へのEtOAcの勾配を溶出剤として使用して精製して、中間体のニトロフェニル化合物を、粗製の固体(4.68g)として得て、これを更なる精製なしに使用した。炭素上の10%パラジウム(500mg)を、粗製のニトロフェニル中間体(4.66g)のEtOAc(30mL)中の溶液に周囲温度で加えた。反応混合物を周囲温度で16時間、水素雰囲気下で攪拌した。反応混合物を濾過し、そして真空中で濃縮して、固体を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーによって、イソヘキサン中の0から60%へのEtOAcの勾配を溶出剤として使用して精製して、表題化合物を、固体(2.20g、47%)として得た。
H NMR(CDCl) δ 1.07−1.18(m,2H),1.27(t,2H),1.39−1.70(m,4H),1.78−1.94(m,2H),2.18−2.55(m,3H),3.52(幅広s,2H),4.13(五重線,2H),6.63(d,2H),7.01(d,2H);MS m/e MH 262。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

[式中:
は、所望により置換されていてもよいアリール又は所望により置換されていてもよいヘテロアリール基であり、ここにおいて、所望による置換基は、−Z基、−X−(CR5253−Z基、−X−(CR5253−X−Z基、−(CR5253−Z基或いは官能基(これは、−X−(CR5253−Z基又は−X−(CR5253−X−Z基以外である)から選択される一つ又はそれより多い基であり;
Yは、直接結合、或いは(CR4041又は−X(CR4041基であり、ここで、それぞれのR40及びR41は、水素、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(1−4C)アルキル、アミノ、シアノ、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)ハロアルコキシ又は((1−3C)アルキル)CONH−から独立に選択され、sは、1ないし6の整数であり、そしてtは、1ないし6の整数であるが、但し、−X(CR4041−基のX原子が、R基に接続し、そして単一のsp混成炭素原子は、異種原子がハロでない限り、異種原子に対する二つ又はそれより多い結合を保有しないことを条件とし;
は、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいシクロアルキル又は所望により置換されていてもよい複素環基であり、ここにおいて、所望による置換基は、−Z基、−X−(CR4243−Z基、−X−(CR4243−X−Z基又は−(CR4243−Z基或いは官能基(これは、−X−(CR4243−Z基又は−X−(CR4243−X−Z基以外である)から選択される一つ又はそれより多い基であり;
ここにおいて、Z及びZは、ヒドロカルビル基又は複素環基或いはこれらの組合せから独立に選択され、ここにおいて、Z及びZ基は、一つ又はそれより多い官能基によって、或いは一つの−X−(CR626364基によっていずれもの利用可能な原子において所望により置換されていてもよく;
X、X、X、X、X及びXは、−C(O)−、−O−、−S(O)−、−NR44−、−C(O)NR44−、−OC(O)NR44−、−CH=NO−、−NR44C(O)−、−NR44CONR45−、−S(O)NR44−又は−NR44S(O)−から独立に選択される連結基であり、ここで、xは、1又は2の整数であり、yは、0、1又は2であり、そしてR44及びR45は、水素又は(1−6C)アルキルから独立に選択され、
u及びwは、0又は1ないし6の整数から独立に選択され;
v、a及びbは、1ないし6の整数から独立に選択され;
それぞれのR42、R43、R52、R53、R62及びR63は、水素、(1−4C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロ(1−4C)アルキル、アミノ、シアノ、(1−4C)アルコキシ、(1−4C)ハロアルコキシ、((1−3C)−アルキル)CONH−、カルボキシ又はカルボン酸模倣体或いはその生物学的等価体から独立に選択され、そして
64は、官能基である;]
の化合物又はその塩。
【請求項2】
[4−(4−{[(2−アニリノ−1,3−オキサゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}フェニル)シクロヘキシル]酢酸である、請求項1に記載の化合物、又はその塩。
【請求項3】
医薬として使用するための、請求項1又は2のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項4】
DGAT1活性の阻害を産生するための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の請求項1ないし2のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項5】
糖尿病及び/又は肥満症を治療する、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の請求項1ないし2のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項6】
ヒトのような温血動物におけるDGAT1活性の阻害の産生における使用のための医薬の製造における、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に受容可能なその塩の使用。
【請求項7】
前記医薬が、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療における使用のためのものである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
請求項1ないし2のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
以下の(a)〜(f)の工程の一つ:
a)式(I)のもう一つの化合物を形成するための、式(I)の化合物の反応;
b)以下の式(2)のアミンの以下の式(3)のカルボン酸化合物との反応;
【化2】

c)Rがピペラジニルによって置換されている場合、ピペラジンの窒素の、R−LG[ここにおいて、LGはハロのような適した脱離基であり、そしてRは、ヒドロカルビル、又はアシルのような適した官能基である]との反応、例えば以下の式:
【化3】

による;
d)Rがアリールであり、そしてアリールによって置換されている場合、遷移金属で触媒された芳香族置換(必要な場合NH保護を伴う)、例えば以下の式:
【化4】

による;
e)Rが、ピペラジニルによって置換されている場合、R−CHO(ここにおいて、Rは、例えばヒドロカルビルである)によるピペラジンの窒素の還元的アルキル化、例えば以下の式:
【化5】

による;
f)ハロゲン化された(例えばヨードで)Rの、式(7)のアミドとの反応の後、続いて保護基Pの除去(ここで、Pは例えばベンジル又はトリメチルシリルエトキシメチル(SEM)である)、例えば以下の式:
【化6】

[式中、Halは、ハロゲンである]
による;
を含み(ここにおいて、全ての可変基は、他に記述しない限り、式(I)の化合物のために本明細書中で先に定義したとおりである);
そしてその後、必要な場合、いずれもの保護基を除去し、及び/又はその塩を形成する、請求項1に記載の化合物を調製するための方法。
【請求項10】
請求項9に記載の式(3)の化合物を調製するための方法であって、高温(150℃のような)での、以下の式(9)の化合物と式(10)の化合物との反応:
【化7】

{式中、Rは、請求項1において定義したとおり(特にフェニル)である}
を含む前記方法。

【公表番号】特表2009−539816(P2009−539816A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513752(P2009−513752)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002048
【国際公開番号】WO2007/141502
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】