説明

化学物質吸着フラップ及びその応用商品

【課題】住宅やオフィスの壁や什器から発生するホルムアルデヒド等のシックハウス症候群の原因物質をすみやかに吸着し、日常生活の場面で人体が吸気しないことがシックハウス対策では必要である。よってシックハウス症候群の主要因であるホルムアルデヒドを吸着する塗布構造物を提供する。
【解決手段】高効率にホルムアルデヒドを吸着する吸着剤を塗布したフラップaを空調機あるいは空気清浄機の室内に装着することで、専門知識のない生活者が日常生活において簡便にかつ安全に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シックハウス症候群の原因を解消するための、主要因であるホル
ムアルデヒドを吸着する塗布構造物を簡便にかつ安価に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の新築やリフォーム、家の中においてホルムアルデヒドに代表される揮発性有機化合物(以下VOCと呼ぶ。)が室内に発散し健康を損ねる。目や皮膚
を刺激する化学物質および化学物質を多量に含む品物が多く使用されている。
高気密性・高断熱性の住宅になり、シックハウス症候群に悩まされる人は少な
くない。シックハウス症候群が社会的問題となっている。
【0003】
VOCとは空気中に、放散される揮発性有機化合物の総称。
【0004】
シックハウス症候群とは、室内に放散されるVOCにより空気汚染で、健康を害されること。
【0005】
VOCが多量に含む新しい住宅や建築物に入居した家族が、長時間生活していると食欲がない、よく眠れない、寝覚めが悪い、イライラする、のどが痛む、頭痛がする、ボーッとする、めまい、目の痛み、かゆみ、涙が出る、充血、チカチカする、よく風邪をひく、鼻水、鼻づまり、鼻血、だるい、疲れやすい、アレルギーに似た症状で湿疹、鼻炎、皮膚がカサカサする、体がかゆい、せき、乾燥肌、くしゃみ、喘息、のどが痛む、吐き気、不眠、耳鳴り、動悸息切れ等の症状が起こる。
これらの症状が単独、あるいは複合して病状を示す。
空気中に放出されているだけでなく、体内にも蓄積される。
症状も様々なものがあり、この限りではない。
放っておくとどんどん症状は悪化し、健康を損なう恐れがある。
【0006】
原因は、ホルムアルデヒドを主とする揮発性有機化合物である。
【0007】
身の回りにある具体的なものは、合板や壁紙の接着剤が蒸発、防カビ・防虫剤が蒸発、接着剤が蒸発、ビニールクロス、プラモデルの接着剤が蒸発、家具の接着剤、コーティング剤、殺虫剤からの蒸発、防虫シート、ドライクリーニングした洋服の有機洗浄剤が蒸発、可塑剤、防蟻剤、壁や床、天井等の木材、建材等に使用されている接着剤、印刷物のインク、たばこの煙、スプレー製品の使用等が原因である。
原因も様々なものがあり、この限りではない。
【0008】
現在の安全度を測る基準として厚生省のホルムアルデヒドに関するガイドライン値0.08ppm以下となっている。1ppmは0.0001%である。空気中に0.000008%以下が指針値である。
【0009】
強制的な換気をしない限り、有害化学物質は外へ逃げて行かない。
有害化学物質は、いったん換気しても、又徐々に揮発性有機化合物がにじみ出る為、長期に渡り換気をこまめに、継続しなければならない。
【0010】
従来は、ベークアウト法といって、室内の温度を強制的に上げて、有害化学物質を一気に高温加熱で、蒸発させた後、換気により、VOCを除去する方法があった。
ホルムアルデヒドは徐々ににじみ出るために1度では結果が出にくい、又効果も低い。この対策では、必ずしも一般の家庭、オフィスで簡便にかつ安全に安価に利用されるものではない。部屋全体を簡易に安価に除去出来る装置、機材はなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
住宅やオフィスの壁や什器から発生するホルムアルデヒドをすみやかに吸着
し、日常生活の場面で人体が吸気しないことがシックハウス対策では必要であ
る。また取り扱い上で安全な物質でなければならない。消費者の側に立った、安全性と健康への配慮を最優先にすべきである。ホルムアルデヒドを含む空気
がホルムアルデヒドを吸着、除去する場合には、その物質に空気の流れを与
えれば、吸着効率があがるのは自明である。
【0012】
高効率にホルムアルデヒドを吸着する吸着剤をあらかじめ含浸、スプレー塗布、はけ塗り等の手段で塗布し、装着した空調用フラップを空調機あるいは各種空気清浄機の装置内に装着し、電源を入れ使用することで、専門知識のない生活者が日常生活において簡便にかつ安全に使用できる。室内の空気の流れの中に吸着物質を含む層を持つフラップをおく事により、効率よく除去する事が出来る。本発明は最近の高効率な吸着効果を有する非揮発性薬剤又は吸着末端を持つグラフト重合による樹脂化合物をフラップに含浸、スプレー塗布、はけ塗り、等の手段で塗布することで徐々に生成するホルムアルデヒドを空気循環の中で速やかに除去する構造物を提供するものである。快適な暮らしを望めば、このホルムアルデヒドを除去した室内空間なしには考える事ができない。
消費者は住まいや健康の面で快適なツールになる。
【0013】
またホルムアルデヒドを吸着するのに適した塗布用材料はいろんな企業が製品
化している。それらの吸着化合物を活用することでホルムアルデヒドを高効率
に吸着する材料を選択することが出来る。例えば物産グラフトン株式会社製のグラフトン等を使用できる。グラフトンはホルムアルデヒドのみならずアンモニア等の悪臭成分を強力に吸着する。
本発明が特定の材料に限定するものでないことは自明である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
近年では、エアコンや、空調設備が整っており、その各種エアコンや空調のスイッチを入れて室内の空気の流れを作り、その流れの中に装置に装着されたフラップ基材にホルムアルデヒドを吸着する吸着剤を含浸、スプレー塗布、はけ塗り、等の手段で塗布しておれば、フラップ上で空気が流動することでホルムアルデヒド吸着薬剤の効果でホルムアルデヒドを吸着、除去することができる。
【0015】
エアコン(エアーコンディショナーの略で、冷房・暖房・除湿の室内の空気を電気又はガスで調整出来る装置)。
空気清浄機(空気清浄機=空中にあるほこりや花粉をきれいにする装置)、
集塵機(電気集塵・機械集塵=ほこり集める装置)。
脱消臭機(脱消臭機=においを取り去る、消し去る装置)。
空調とは、空気調和という言葉を略したもので、建物内の空気を、中にいる人間や生物、物のために、機械を使って最適の状態に保つ設備である。
【0016】
上記装置にはフラップがあり、フラップとは、吹き出し口に装着するものである。可動なタイプもあり、風向きをかえることもできる。
【0017】
エアコンや空気清浄機、各種の空調の吹き出し口にフラップがあり、本発明を含浸、スプレー塗布、はけ塗り、等の手段で取り扱う事が出来る。
【発明の効果】
【0018】
室内にホルムアルデヒドが発生している場合に、あらかじめフラップに本発明の含浸、スプレー塗布、はけ塗り、等の手段で塗布したものを装着し、上記機器を稼動することで、すみやかにホルムアルデヒドを含む物質を除去し、シックハウス症候群から住居する人間や生物を保護することが出来る。
【0019】
塗布する際には吸着物質溶液を含浸、スプレー塗布、はけ塗り、等の手段を用いることで本発明の吸着、除去の効果を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
フラップの表、裏、両面など可能な限りに塗布出来ることで、空調機が限定されず、どんなタイプの空調機の様式(例:天井埋込型、天井吊下型、壁掛型、床置型)にも実現しうる。
【0021】
実施例で使用したフラップはポリプロピレン製である。本発明の適用にあたっ
ては材質はこの限りではないことは自明である。
【実施例1】
【0022】
図1は天井埋込型空調カセットへのフラップ基材の装着の例を示す。実際の応
用では、図1に限定されるものではなく、壁掛型の空調室内機のフラップ基材に塗布あるいは、空気清浄機のフラップ基材に塗布しても効果を示すものであ
る。気流をフラップに集めることで、空気接触を狙っている。室内に浮遊しているホルムアルデヒドを捕集し空気を呼び込んで、吸着の増大も狙う。
【0023】
図2はフラップ基材への塗布の例の模式図を示した。
図2はフラップにホルムアルデヒド吸着薬剤を塗布して試験材料とする。
【0024】
図3はフラップ表面における吸着剤とホルムアルデヒドの化学吸着メカニズム
を例示した。吸着薬剤を塗布すると、薬剤が層になり、空気の循環により薬剤が化学物質と結合して、化学反応で強力に吸着除去する。空気中に浮遊する化学物質を吸着剤でキャッチし、捕集し不活化する。
【0025】
図4は吹き出し口付近の吸着想像図を示した。吸着薬剤を塗布すると、薬剤が
層になり、空気を吹き出す際に風量と気流で循環し、吸着剤が更に効果を発揮する。無駄が無く、より効率的に空気を呼び込んで、外側へ押し出しながら、
空気の流れに渦ができ、吸着剤に気流を当てて除去効率の向上を狙う。
【0026】
化学吸着の為、風量の強弱によって左右されることなく、再飛散する恐れもなく、化学物質を捕らえて抱き込み離さない。
【0027】
試験フラップ1の製造。物産グラフトン株式会社製のグラフトン原液;8%水溶液を8枚のフラップに表、裏、スプレー塗布した。図3を参照。その後風乾した。合計重量増加は8gであった。
【0028】
試験フラップ2の製造。三木理研製のリケンレヂンFC−8G;6%溶液をスプレーし、風乾した。合計重量増加は7gであった。
【0029】
試験方法。90m3の部屋にて試験を行った。比較例の場合は無処理のフラップを使用し、それぞれ天井空調カセットに装着した。空調の室内機は2台あり、各4枚で8枚装着した。図4の吹出口より、天井空調カセットの風量は風速測定に面積をかけて20m3/分であった。2台で40m3/分となる。
【0030】
電熱ヒーター板にパラホルムアルデヒドを0.2g置き、150℃にて熱分解した。直後はほぼ1ppmであった。壁への吸着があり、試験は熱分解後、2時間たってから、ホルムアルデヒドの濃度を測定した。測定は理研計器製のFP−30型ホルムアルデヒド検知器を使用した。
【0031】
試験結果を表1にまとめた。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は天井空調カセットの斜視図である。
【図2】図1の空調カセットに用いられるフラップ平面図である。
【図3】化学物質を吸着する状態を示すフラップの拡大図である。
【図4】図1の空調カセットの吹き出し口付近の拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
a フラップ基材
b ホルムアルデヒド吸着剤 塗布 層
c 表
d 裏
e 揮発性有機化合物 VOC 化学物質




【特許請求の範囲】
【請求項1】
表または裏、もしくは両方の面にホルムアルデヒドを化学吸着する非揮発性物質を有する層を持つフラップ。
【請求項2】
請求項1のフラップを装着した空気清浄機。
【請求項3】
請求項1のフラップを装着したエアコン室内機。
【請求項4】
請求項1のフラップを装着した脱消臭機。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−717(P2006−717A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177724(P2004−177724)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(304021325)CROSSEED株式会社 (6)
【Fターム(参考)】