説明

化学蓄熱材料、化学蓄熱材成形体、及びそれらの製造方法

【課題】撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材料、化学蓄熱材成形体、及びそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】粉体の化学蓄熱材2の少なくとも一部の表面に、難揮発性有機物31を配置して不活性雰囲気で焼成することにより炭化物構造体3を形成してなる。難揮発性有機物31は、多糖類であることが好ましい。難揮発性有機物31は、親水性であることが好ましい。化学蓄熱材2は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることが好ましい。化学蓄熱材料2は、さらに粘土鉱物を含有することが好ましい。粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学蓄熱材料、化学蓄熱材成形体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学蓄熱材は、体積あたりの蓄熱量が大きく、保温の必要もなく、蓄熱損失が少ないため長期間の蓄熱が可能である。そのため、従来から化学蓄熱材を利用する化学蓄熱システムに関する研究開発が進められてきた(特許文献1〜3)。
【0003】
上記特許文献1に記載の発明は、化学蓄熱材及びその製造方法に関するものであり、炭酸カルシウムを焼成し、酸化カルシウム化した後に比表面積を調整する手段が記載されている。
また、上記特許文献2に記載の発明は蓄熱装置に関するものであり、上記特許文献3に記載の発明は、化学蓄熱材カプセルに関するものである。これらの発明は、上述の化学蓄熱材の粉体化に対処する発明である。そこには、細孔径を有する多孔カプセルあるいは多孔筒状体に蓄熱材を封入し、粉体化による剥離や反応性低下の抑制について記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−225686号公報
【特許文献2】特公平6−80395号公報
【特許文献3】特公平8−80394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の化学蓄熱材は、化学蓄熱システムとしての作動中には水和反応と脱水反応を繰り返す。その時、粉体の化学蓄熱材は、各粒子が数十%の体積の膨張収縮を繰り返し、その結果、粒子の割れや、粒子同士が擦れ合うことにより微粉化してしまい、蓄熱システムとしての反応性が低下するという問題がある。
【0006】
また、蓄熱システムでは、反応に伴い熱を系外へと導く熱交換を行うことも重要な要素となる。しかし、上記特許文献2、3に記載の蓄熱装置及び化学蓄熱材カプセルは、カプセルあるいは筒状体封入による熱伝導抵抗の増加や粒子間距離に依存した接触経路の複雑化など熱律束が発生する。そのため、化学蓄熱システムとしては十分な能力を発揮できないという問題がある。
【0007】
また、蓄熱システムでは、始動初期(低温時)等に生じる液飛び現象により、液滴が化学蓄熱材に到達すると化学蓄熱材が溶け出してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材料、化学蓄熱材成形体、及びそれらの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、粉体の化学蓄熱材の少なくとも一部の表面に、難揮発性有機物を配置して不活性雰囲気で焼成することにより炭化物構造体を形成してなることを特徴とする化学蓄熱材料にある(請求項1)。
【0010】
本発明の化学蓄熱材料は、粉体の化学蓄熱材の表面に上記特定の炭化物構造体を形成させてあることにより、以下の効果を得ることができる。
まず、上記炭化物構造体は、難揮発性有機物を不活性雰囲気で焼成することにより形成されるものであり、繊維状の炭化物からなると共に、孔径の小さい孔を多数有するかご状の構造となると考えられる。孔径の小さい孔は水蒸気だけが通過することができ、液滴は孔を通過することができない。つまり、上記炭化物構造体は、上記化学蓄熱材料に撥水性を付与することができる。そのため、化学蓄熱材は上記炭化物構造体に覆われていることにより、液滴と接触することがなく、上述したような、始動初期(低温時)等に生じる液飛び現象により液滴が化学蓄熱材に到達すると化学蓄熱材が溶け出すという問題を抑制することができる。
【0011】
また、上記炭化物構造体は、多数の孔を有するかご状の構造を有しているため、化学蓄熱材を担持することができる。また、上記のように、化学蓄熱材の蓄熱・放熱に必要な水蒸気等が通過する流路は確保されている。そのため、上記化学蓄熱材料を用いて構成した化学蓄熱システムは、当該化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することができる。
【0012】
また、上記炭化物構造体は、脱水・水和反応時に関与しない。そのため、炭化物構造体を化学蓄熱材の表面に形成することで、内部での脱水、水和の体積変化に伴う構造変化による熱的断絶を抑制し、サイクルを重ねても性能低下を最小限に抑えることができる。そのため、耐久性に優れた化学蓄熱材料を提供することができる。また、水和・脱水反応に伴う上記化学蓄熱材の微粉化を抑制することができる。
【0013】
このように、本発明によれば、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムに用いた場合に十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材料を提供することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の化学蓄熱材料を用いて所望形状に成形してなることを特徴とする化学蓄熱材成形体にある(請求項8)。
本発明の化学蓄熱材成形体は、上述の第1の発明の化学蓄熱材料を用いて作製するものである。そのため、本発明の化学蓄熱材成形体は、上記第1の発明の化学蓄熱材と同様に、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材成形体を得ることができる。
【0015】
第3の発明は、粉体の化学蓄熱材を用いて所望形状に成形してなる化学蓄熱材成形体において、
上記化学蓄熱材は、表面に難揮発性有機物を不活性雰囲気で焼成することにより形成した炭化物構造体を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体にある(請求項10)
【0016】
本発明の化学蓄熱材成形体は、粉体の化学蓄熱材の表面に上記特定の炭化物構造体を形成させてあることにより、上述の第1の発明の化学蓄熱材料、及び上記第2の発明の化学蓄熱材成形体と同様の効果を得ることができる。
つまり、本発明の化学蓄熱材成形体も、粉体の化学蓄熱材が、孔径の小さい孔を多数有するかご状の構造の炭化物構造体に覆われた構造を有する。そのため、上記化学蓄熱材成形体は、上記と同様に、撥水性を有することができ、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することができ、耐久性に優れ、また、水和・脱水反応に伴う上記化学蓄熱材の微粉化を抑制することができる。
【0017】
第4の発明は、第1の発明の化学蓄熱材料を製造する方法であって、
上記化学蓄熱材を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
さらに、上記スラリーに難揮発性有機物を接触させる難揮発性有機物接触工程と、
上記スラリーを不活性雰囲気で焼成することにより上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成する焼成工程を有することを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法にある(請求項20)。
【0018】
上記化学蓄熱材料の製造方法は、化学蓄熱材に対して、上記難揮発性有機物接触工程と上記焼成工程とを施して上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成させる。これにより、上述の第1の発明の、粉体の化学蓄熱材の少なくとも一部の表面に、炭化物構造体を形成してなる化学蓄熱材料を製造することができる。
【0019】
そのため、本発明によれば、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材料を製造することができる。
【0020】
第5の発明は、第2の発明の化学蓄熱材成形体を製造する方法であって、
第4の発明の化学蓄熱材料の製造方法によって作製された化学蓄熱材料を所望形状に成形して成形体とする成形工程を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法にある(請求項27)。
【0021】
本発明は、第4の発明の製造方法と同様の方法によって作製した化学蓄熱材料を用いて化学蓄熱材成形体を製造する方法であり、上述の第2の発明の化学蓄熱材成形体を得ることができる。
そのため、本発明によれば、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材成形体を製造することができる。
【0022】
第6の発明は、第3の発明の化学蓄熱材成形体を製造する方法であって、
上記化学蓄熱材を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
上記スラリーを所望形状に成形して成形体とする成形工程とを有し、
さらに、上記スラリー又は上記成形体に難揮発性有機物を接触させる難揮発性有機物接触工程と、
上記成形体を不活性雰囲気で焼成することにより上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成する焼成工程を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法にある(請求項28)。
【0023】
上記化学蓄熱材成形体の製造方法は、スラリー又は成形体に対して上記難揮発性有機物接触工程を施した後、成形体に対して上記焼成工程を施すことによって上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成させる。これにより、上述の上記第3の発明の化学蓄熱材成形体を製造することができる。
【0024】
そのため、本発明によれば、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材成形体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
第1の発明は、上述したように、粉体の化学蓄熱材の少なくとも一部の表面に、難揮発性有機物を配置して不活性雰囲気で焼成することにより炭化物構造体を形成してなる。
上記難揮発性有機物は、不活性雰囲気で焼成することにより、上述したように、孔径の小さいかご状の構造を形成する。
そして、上記炭化物構造体の孔径は0.2μm以下であることが好ましい。
また、形成される炭化物構造体の孔径等は、用いる難揮発性有機物の種類によって調整することができる。
また、上記炭化物構造体は、化学蓄熱材の表面積の少なくとも10面積%以上を占めていることが好ましい。
また、上記不活性雰囲気とは、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素や、窒素等の化学反応を起しにくい気体中のことをいう。
【0026】
また、第1の発明、第3の発明、第4の発明、及び第6の発明において、上記難揮発性有機物としては、例えば、多糖類、グリコール類、アクリル繊維、ピッチ等が挙げられる。
その中でも、上記難揮発性有機物は、多糖類であることが好ましい(請求項2、13、21、31)。この場合には、炭化物構造体を形成する際に、特に良好に孔径が小さいかご状の構造とすることができる。
上記多糖類としては、例えば、ショ糖(スクロース)、セルロース、グリコーゲン、カラギーナン、デンプン等が挙げられる。
【0027】
また、上記難揮発性有機物は、分子量が100000以下のポリマーであってもよい(請求項3、14、22、32)。
この場合には、不活性雰囲気での焼成において、繊維状になりやすく、化学蓄熱材を良好に保持する炭化物構造体を形成することができる。
上記分子量が100000以下のポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、リグニン等を用いることができる。
【0028】
上記難揮発性有機物は、後述するように、化学蓄熱材と水とを混練させたスラリー中に供給することや、水や溶剤に溶解させた溶液を成形体に塗布すること等により、化学蓄熱材の表面に配置される。そして、上記難揮発性有機物を上記化学蓄熱材の表面に均一に配置できるように、上記難揮発性有機物は、水や用いられる溶剤と親和性があることが好ましい。そして、環境対策の観点から、上記難揮発性有機物は水に溶解させることが好ましい。そのため、上記難揮発性有機物は、親水性であることが好ましい(請求項4、15、23、33)。
なお、難揮発性有機物の時点では親水性であっても、焼成後の炭化物構造体は水に不要であり化学蓄熱材料に撥水性を付与することができる。
【0029】
また、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って吸熱すると共に水和反応に伴って放熱する水和反応系化学蓄熱材であることが好ましく、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることがより好ましい(請求項5、16、24、34)。
上記化学蓄熱材は、水和反応及び脱水(逆水和)反応によって放熱・蓄熱を良好に行うことができ、蓄熱システムとしての性能を高めることができる。なお、水和反応及び脱水反応に伴って上記化学蓄熱材の体積が膨張、収縮を繰り返すが、上記化学蓄熱材は炭化物構造体によって良好に担持されているため、上記化学蓄熱材の微粉化を十分に抑制することができる。
【0030】
また、上記化学蓄熱材は、水酸化物からなることが好ましい。
この場合には、化学蓄熱材料を形成する際に、混合・増粘用のバインダとして、上記化学蓄熱材として炭酸化合物を用いた場合には使用することができなかった水の使用が可能となる。これにより、上記化学蓄熱材料を用いて成形する場合の成形性を高めることもできる。また、上記化学蓄熱材として炭酸化合物を用いた場合に必要であった脱炭酸工程時における1000℃付近の高温焼成が不要となる。これにより、焼成温度を低くすることができ、使用材料や工程の自由度を高めることができる。
【0031】
そして、上記水酸化物は、無機化合物であることが好ましい。
蓄熱密度、長期蓄熱安定性、放出速度、安全性の観点から、無機系であることが好ましい。
この場合には、上記化学蓄熱材の蓄熱・放熱反応(脱水・水和反応)に対する材料安定性が高くなる。そのため、上記化学蓄熱材料は、長期間に亘って安定した蓄熱効果を得ることができる。
【0032】
また、上記無機化合物は、アルカリ土類金属水酸化物であることが好ましい。
この場合には、上記化学蓄熱材の蓄熱・放熱反応(脱水・水和反応)に対する材料安定性が高くなる。そのため、上記化学蓄熱材料は、長期間に亘って安定した蓄熱効果を得ることができる。また、上記化学蓄熱材として、環境負荷の小さい安全な材料を用いることにより、製造、使用、リサイクル等を含めた安全性の確保が容易になる。
【0033】
また、上記アルカリ土類金属水酸化物は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化バリウムのうち1種又は2種以上であることが好ましい。
この場合には、上記化学蓄熱材の蓄熱・放熱反応(脱水・水和反応)に対する材料安定性をより一層高めることができ、上記化学蓄熱材料の蓄熱効果を長期間に亘って安定して維持することができる。
また、水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムとの混合物等を用いることもできる。
【0034】
また、上記無機化合物は、アルカリ土類金属水酸化物以外にも、水酸化ニッケル、水酸化アルミニウム、水酸化コバルト、及び水酸化銅のうち1種又は2種以上を用いてもよい。
【0035】
また、上記化学蓄熱材料は、さらに粘土鉱物を含有することが好ましい(請求項6、17、25、35)。
この場合には、粘土鉱物の、繊維質、多孔性、可塑性等という性質により、上記複合体は、粘土鉱物の骨格中に粉対の化学蓄熱材が分散担持された構造となり、上記化学蓄熱材料、化学蓄熱材成形体がさらに構造的に安定になる。
【0036】
また、上記粘土鉱物は、層リボン構造を有する粘土鉱物であることが好ましい。
上記層リボン構造を有する粘土鉱物は、多孔質で比表面積が大きい繊維状形態を有する。そのため、上記粘土鉱物の繊維質、多孔性、可塑性等の性質により、上記化学蓄熱材料を良好に組織化、構造化することができる。
そして、上記層リボン構造を示す粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることが好ましい(請求項7、18、26、36)。
【0037】
ここで、上記セピオライトは、層リボン構造を有する粘土鉱物であり、具体的には、輝石に似た単鎖が複数本結合して四面体リボンを形成してなる粘土鉱物の一つである。セピオライトは、例えば、Mg8Si1230(OH)4(OH24・8H2Oの化学式で表すことができる含水マグネシウム珪酸塩がある。セピオライトは、それ自体が多孔質であり、比表面積が大きい繊維状を呈している。また、セピオライトとしては、上記化学式で表されるものの変種についても含まれる。
【0038】
また、上記粘土鉱物は、ベントナイトであってもよい。
上記ベントナイトは、接着力が強い粘土鉱物であるため、この接着力によって、上記化学蓄熱材を良好に組織化、構造化させることができる。
【0039】
上記第2の発明の化学蓄熱材成形体は、上述したように、第1の発明の化学蓄熱材料を用いて所望形状に成形してなる。
上記化学蓄熱材成形体は、貫通形成された中空部を有することが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記中空部は、水蒸気が出入りする流路となるため、化学蓄熱材の反応性を確保することができ、蓄熱、放熱を良好に行うことができる。
【0040】
また、第3の発明の化学蓄熱材成形体は、上述したように、粉体の化学蓄熱材を用いて所望形状に成形してなる化学蓄熱材成形体であって、上記化学蓄熱材は、表面に難揮発性有機物を不活性雰囲気で焼成することにより形成した炭化物構造体を有する。
そして、上記化学蓄熱材成形体の上記炭化物構造体は、上記成形の後に上記化学蓄熱材成形体を上記難揮発性有機物に接触させ、不活性雰囲気で焼成することにより形成してあることが好ましい(請求項11)。
上記成形体に難揮発性有機物を接触させる場合には、成形体を、シャワー又はディッピング等により、難揮発性有機物を水や溶剤に溶融させた溶液に接触させることが好ましい。
【0041】
また、上記炭化物構造体は、上記粉体の化学蓄熱材を上記難揮発性有機物に接触させ、成形した後に、不活性雰囲気で焼成することにより形成してあってもよい(請求項12)。
上記粉体の化学蓄熱材に難揮発性有機物を接触させる場合には、成形前の化学蓄熱材に
難揮発性有機物を混合させる等して供給することが好ましい。
【0042】
また、上記第2の発明と同様に、上記化学蓄熱材成形体は、貫通形成された中空部を有することが好ましい(請求項19)。
【0043】
また、第4の発明の化学蓄熱材料の製造方法は、上述したように、スラリー作製工程と、難揮発性有機物接触工程と、焼成工程とを有する。
上記スラリー作製工程では、例えば、化学蓄熱材と、水とを混練させたスラリーを作製する。そして、上記スラリーの配合量や粘度等の最適な値は、製造環境などによって変動するため、適宜実験などにより導き出すことが好ましい。
【0044】
また、上記難揮発性有機物接触工程は、上記スラリー作製工程において、スラリー中に難揮発性有機物を供給することにより、化学蓄熱材に難揮発性有機物を接触させることが好ましい。
また、上記難揮発性有機物接触工程は、接触させる難揮発性有機物量を、撥水性を発揮する最低限の量とする必要がある。具体的には、固形分全体を100質量%とすると、上記難揮発性有機物の含有量は5〜10質量%であることが好ましい。
【0045】
また、上記焼成工程は、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素や、窒素等の化学反応を起しにくい気体中において、保持温度500〜2000℃、保持時間0.5〜100時間の条件で行うことが好ましい。
【0046】
また、第5の発明の、化学蓄熱材成形体の製造方法は、上述したように、上記第4の発明の化学蓄熱材料の製造工程に、さらに成形工程を加えたものである。
上記成形工程は、押し出し成形、圧縮成形等により行うことができる。
【0047】
また、第6の発明の化学蓄熱材成形体の製造方法は、上述したように、スラリー作製工程、成形工程、難揮発性有機物接触工程、及び焼成工程を有する。
上記スラリー作製工程での上記スラリーの配合量や粘土等の最適な値は、製造環境などによって変動するため、適宜実験などにより導き出すことが好ましい。
また、上記成形工程は、押し出し成形、圧縮成形等により行うことができる。
【0048】
また、上記難揮発性有機物接触工程は、上記成形工程の後に、上記成形体の表面に難揮発性有機物を塗布することにより行うことが好ましい(請求項29)。この場合には、上記成形工程において得られた成形体を、シャワー又はディッピング等により、難揮発性有機物を溶解させた溶液と接触させることにより、上記成形体の表面に難揮発性有機物を塗布することができる。
【0049】
また、上記難揮発性有機物接触工程は、上記スラリー作製工程において、スラリーに難揮発性有機物を混合することにより行ってもよい(請求項30)。この場合には、上記スラリー作製工程において、混合材料中に難揮発性有機物を供給することにより、上記化学蓄熱材と難揮発性有機物を接触させることができる。
また、上記難揮発性有機物接触工程は、スラリー作製工程中にスラリーに対して行った後に、成形工程後に成形体に対してさらに行ってもよい。
【0050】
そして、上記難揮発性有機物接触工程は、接触させる難揮発性有機物量を、撥水性を発揮する最低限の量とする必要がある。具体的には、固形分全体を100質量%とすると、上記難揮発性有機物の含有量は5〜10質量%であることが好ましい。
【0051】
また、上記焼成工程は、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素や、窒素等の化学反応を起しにくい気体中において、保持温度500〜2000℃、保持時間0.5〜100時間の条件で行うことが好ましい。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
本例は、本発明の実施例にかかる化学蓄熱材料について説明する。
図1(c)に示すように、本例の化学蓄熱材料1は、粉体の化学蓄熱材2の少なくとも一部の表面に、難揮発性有機物31を配置して不活性雰囲気で焼成することにより炭化物構造体3を形成してなる。そして、上記炭化物構造体3は、孔径の小さいかご状の構造を有する。したがって、本例の化学蓄熱材料1は、複数の粉体の化学蓄熱材2が集まってこれらの間及び周りを上記炭化物構造体3によって囲った顆粒状の形状を有するものとなる。
【0053】
まず、図1(a)に示すように、化学蓄熱材2、及び難揮発性有機物31を用意した。
上記化学蓄熱材2として、アルカリ土類金属Caの水酸化物Ca(OH)2を準備した。この化学蓄熱材の平均粒径Dは7μm(レーザー回折式測定法、島津製作所製SALD−2000Aによる)である。
また、上記化学蓄熱材2は、以下に示す反応で蓄熱・放熱を可逆的に繰り返す。
Ca(OH)2 ⇔ CaO + H2
さらに、上記の式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、以下のようになる。
Ca(OH)2 + Q → CaO + H2
CaO + H2O → Ca(OH)2 + Q
また、上記難揮発性有機物31として、ショ糖を用意した。
【0054】
次に、化学蓄熱材料の製造方法について説明する。
まず、図1(b)に示すように、スラリー作製工程において、上記化学蓄熱材2と、上記難揮発性有機物31と水とを混合した。
上記Ca(OH)2と上記ショ糖との合計含有量を100質量%として、上記Ca(OH)2の含有量を90質量%、ショ糖の含有量を10重量%とした。上記Ca(OH)2と上記ショ糖との合計含有量と、水との混合割合は、1:2とした。
その後、焼成工程において、窒素中(不活性雰囲気)で保持温度1000℃、保持時間2時間の焼成を行った。これにより、化学蓄熱材料1を得た。
【0055】
次に、得られた顆粒状の化学蓄熱材料1をケミカル蓄熱反応器に装填した後、脱水(at400℃)・水和(at200℃)サイクルを繰り返し、Ca(OH)2の反応率を熱重量法により評価した。
その結果、1サイクル目のCa(OH)2の反応率は87%であり、10サイクル目の反応率は84%であった。このように、本例の化学蓄熱材料1は、サイクルを重ねても特性低下があまり見られず、サイクル特性に優れていることが確認できた。
【0056】
このように、本発明によれば、撥水性を有し、水和・脱水反応に伴う化学蓄熱材の微粉化を抑制すると共に、化学蓄熱システムとして十分に能力を発揮することが可能な化学蓄熱材料を得られることが分かる。
【0057】
また、本例では、化学蓄熱材として、水酸化カルシウムを用いたが、それに代えて、水酸化マグネシウム、あるいは水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムとの混合物等を用いることも可能である。
【0058】
(実施例2)
本例は、図2(a)〜(c)に示すように、上記実施例1のスラリー作製工程を、化学蓄熱材2、難揮発性有機物31、及び粘土鉱物4を混練しながら水を導入し、さらに混練することとして、化学蓄熱材12を作製した例である。その他は実施例1と同様にして行った。
化学蓄熱材2、難揮発性有機物31は、実施例1と同一のものを用意した。
上記粘土化合物4は、セピオライト(Mg8Si1230(OH)4(OH24・8H2O)を用意した。
【0059】
上記セピオライトは、層リボン構造を有する粘土鉱物である。
上記セピオライトは、水に懸濁した場合の繊維径が化学蓄熱材の平均粒子径よりも小さい径の繊維状を呈する。
具体的には、上記セピオライトは、その線径(繊維径)が1μm以下、その長さ(繊維長)が200μm以下のものが望ましい。本例では、線径が略0.01μmで長さが略数十μmのトルコ産のセピオライトを準備する。
なお、トルコ産のセピオライトに代えて、例えば、線径が0.1μmで長さが略100μmのスペイン産のセピオライトを用いることもできる。
【0060】
上記Ca(OH)2、上記ショ糖、及びセピオライトの合計含有量を100質量%として、上記Ca(OH)2の含有量を84質量%、上記ショ糖の含有量を10質量%、上記セピオライトの含有量を6質量%とした。上記Ca(OH)2、上記ショ糖、及び上記セピオライトの合計含有量と、水との混合割合は、1:2とした。
【0061】
また、本例の化学蓄熱材料12についても、実施例1と同様にCa(OH)2の反応率を評価した。その結果、1サイクル目のCa(OH)2の反応率は88%であり、10サイクル目の反応率は86%であった。このように、本例の化学蓄熱材料1は、サイクルを重ねても特性低下があまり見られず、サイクル特性に優れていることが確認できた。
【0062】
本例の化学蓄熱材料12は、化学蓄熱材2と、炭化物構造体3と、粘土鉱物4とを含む複合体となっている。そのため、粘土鉱物4の、繊維質、多孔性、可塑性等という性質により、上記複合体は、炭化物構造体3及び粘土鉱物4の骨格中に粉体の化学蓄熱材2が分散担持された構造となり、上記化学蓄熱材料12がさらに構造的に安定になり、これにより、上記のごとくより優れたサイクル特性が得られたと考えられる。
なお、本例において、粘土鉱物4として、セピオライトを用いたが、セピオライトに代えて、パリゴルスカイト、ベントナイト等を用いることも可能である。
【0063】
(実施例3)
本例は、上記実施例1において作製した化学蓄熱材料1を用いて化学蓄熱材成形体5を作製した例である。
上記化学蓄熱材料1と水を混合した後、図3に示すように、貫通成形された中空部51を有する形状(外径:100mm×40mmφ、中空部の径:10mmφ)に成形し、その後、80℃、96時間の条件で乾燥することにより、化学蓄熱材成形体5を得た。
【0064】
得られた化学蓄熱材成形体5について、実施例1と同様にCa(OH)2の反応率を評価したところ、1サイクル目のCa(OH)2の反応率は86%であり、10サイクル目の反応率は84%であった。このように、サイクルを重ねても特性低下があまり見られず、サイクル特性に優れていることが確認できた。
【0065】
(比較例1)
本例では、比較のために、上記実施例1〜実施例3において化学蓄熱材として用いたCa(OH)2のみについて、Ca(OH)2の反応率と撥水性の評価を行った例である。
Ca(OH)2をケミカル蓄熱反応器に装填した後、実施例1と同様の方法でCa(OH)2の反応率を熱重量法により評価した。その結果、1サイクル目のCa(OH)2の反応率は80%であり、10サイクル目の反応率は32%であり、サイクルを重ねると、特定低下が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1における、化学蓄熱材料の製造過程を示す説明図。
【図2】実施例2における、化学蓄熱材料の製造過程を示す説明図。
【図3】実施例3における、化学蓄熱材成形体を示す説明図。
【符号の説明】
【0067】
1 化学蓄熱材料
2 化学蓄熱材
3 炭化物構造体
31 難揮発性有機物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の化学蓄熱材の少なくとも一部の表面に、難揮発性有機物を配置して不活性雰囲気で焼成することにより炭化物構造体を形成してなることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項2】
請求項1において、上記難揮発性有機物は、多糖類であることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項3】
請求項1において、上記難揮発性有機物は、分子量が100000以下のポリマーであることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項4】
請求項1〜3において、上記難揮発性有機物は、親水性であることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記化学蓄熱材料は、さらに粘土鉱物を含有することを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項7】
請求項6において、上記粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることを特徴とする化学蓄熱材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学蓄熱材料を用いて所望形状に成形してなることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項9】
請求項8おいて、上記化学蓄熱材成形体は、貫通形成された中空部を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項10】
粉体の化学蓄熱材を用いて所望形状に成形してなる化学蓄熱材成形体において、
上記化学蓄熱材は、表面に難揮発性有機物を不活性雰囲気で焼成することにより形成した炭化物構造体を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項11】
請求項10において、上記炭化物構造体は、上記成形の後に上記化学蓄熱材成形体を上記難揮発性有機物に接触させ、不活性雰囲気で焼成することにより形成してあることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項12】
請求項10において、上記炭化物構造体は、上記粉体の化学蓄熱材を上記難揮発性有機物に接触させ、成形した後に、不活性雰囲気で焼成することにより形成してあることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、多糖類であることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、分子量が100000以下のポリマーであることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、親水性であることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項において、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか1項において、上記化学蓄熱材成形体は、さらに粘土鉱物を含有することを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項18】
請求項17において、上記粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項において、上記化学蓄熱材成形体は、貫通形成された中空部を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体。
【請求項20】
請求項1に記載の化学蓄熱材料を製造する方法であって、
上記化学蓄熱材を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
さらに、上記スラリーに難揮発性有機物を接触させる難揮発性有機物接触工程と、
上記スラリーを不活性雰囲気で焼成することにより上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成する焼成工程を有することを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項21】
請求項20において、上記難揮発性有機物は、多糖類であることを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項22】
請求項20において、上記難揮発性有機物は、分子量が100000以下のポリマーであることを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、親水性であることを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項24】
請求項20〜23のいずれか1項において、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれか1項において、上記スラリーは、さらに粘土鉱物を含有することを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項26】
請求項25において、上記粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることを特徴とする化学蓄熱材料の製造方法。
【請求項27】
請求項8に記載の化学蓄熱材成形体を製造する方法であって、
請求項20〜26のいずれか一項に記載の化学蓄熱材料の製造方法によって作製された化学蓄熱材料を所望形状に成形して成形体とする成形工程を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項28】
請求項10に記載の化学蓄熱材成形体を製造する方法であって、
上記化学蓄熱材を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、
上記スラリーを所望形状に成形して成形体とする成形工程とを有し、
さらに、上記スラリー又は上記成形体に難揮発性有機物を接触させる難揮発性有機物接触工程と、
上記成形体を不活性雰囲気で焼成することにより上記化学蓄熱材の表面に炭化物構造体を形成する焼成工程を有することを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項29】
請求項28において、上記難揮発性有機物接触工程は、上記成形工程の後に、上記成形体の表面に難揮発性の有機物を塗布することにより行うことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項30】
請求項28において、上記難揮発性有機物接触工程は、上記スラリー作製工程において、スラリーに難揮発性有機物を混合することにより行うことを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項31】
請求項28〜30のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、多糖類であることを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項32】
請求項28〜30のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、分子量が100000以下のポリマーであることを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項33】
請求項28〜32のいずれか1項において、上記難揮発性有機物は、親水性であることを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項34】
請求項28〜33のいずれか1項において、上記化学蓄熱材は、脱水反応に伴って酸化物となると共に水和反応に伴って水酸化物となる水和反応系化学蓄熱材であることを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項35】
請求項28〜34のいずれか1項において、上記スラリーは、さらに粘土鉱物を含有することを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。
【請求項36】
請求項35において、上記粘土鉱物は、セピオライト及び/又はパリゴルスカイトであることを特徴とする化学蓄熱材成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−256518(P2009−256518A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109385(P2008−109385)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(591117516)近江鉱業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】