説明

化学防護用耐久性被覆

機能層に取り付けられた少なくとも1つの微孔質フィルムを含み、そこを通る毒性物質の通過を阻害することが可能な防護被覆を記載する。好ましくはその機能層は2つの疎油性微孔質フィルムの間に含まれる吸着層である。追加のシェル及び裏当て層を構造体に追加してもよく、良好な耐久性、可撓性及び高い水蒸気透過性を有する防護被覆が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学及び生物防護用の耐久性かつ可撓性の被覆に関する。より詳細には本発明は、液体、エアロゾル、気体又は粒子状の危険又は有毒な物質の暴露からの人間又は内容物の良好な防護を提供するのに使用可能な材料及び物品に関する。さらに本発明は、防護材料の意図する十分な使用期間及び使用条件について防護を提供する被覆に関する。本発明により提供される化学防護用の耐久性かつ可撓性の被覆は、衣服、テント、寝袋などの物品のような用途に特に適している。
【0002】
ここに記載する被覆は、危険又は有毒な化学又は生物物質がその厚みを通って透過することを、そのような物質を反発及び吸着、吸収、反応もしくは結合、分解、又は破壊することによって防ぐために使用される。これらの被覆は、そのような被覆内部に含まれる着用者、使用者又は内容物を、これらの危険又は有毒な化学又は生物物質への暴露から防護するために使用できる。これらの物質は外部環境中、被覆の外側に存在することが多く、被覆内側に含まれる環境をそのような物質への大量の暴露から防護することが望ましい。これから記載するような他の例では、被覆の内部領域にある化学物質を保持、破壊、又は分解することが望ましい。最も重要なことは、意図した使用期間及び使用の厳しさを通じてこの性能を提供することを本発明の目的とすることである。
【背景技術】
【0003】
化学及び生物物質からの十分な防護を提供するために、多くの異なる方法が記載され又は試みられてきた。危険な化学物質を吸着可能な材料を組み合わせる一般的な方法は本技術分野で周知である。化学物質吸着防護システムは危険な化学物質を吸着剤中に吸着することにより機能する。他の方法では、危険性物質の触媒的破壊を含む、そのような物質と反応及び結合し、あるいはそれを分解する化学物質又は他の成分を組み合わせる。これら全ての方法は、有害な物質からの防護に必要とされる水準に効果的に対処するために、十分量の吸着性又は触媒材料を提供することを企図している。しかしながら使用の厳しさに耐えられないために、これらは防護システムの意図した寿命にわたり意図した用途で防護を提供できない。このようにいくつかは初期性能の側面に対処しているが、使用を通じて満足行く性能は実現されていない。そのような方法の例は周知であり、Blucherらの米国特許第4510193号のような多くの特許に見出すことができる。
【0004】
使用中の防護被覆は性能劣化につながる様々の環境及び条件に暴露されている。防護服として使用される防護被覆に関する条件が特に過酷である。防護服は、例えば一般に危険性物質(Hazmat)用途と呼ばれる用途において、危険又は有害な物質を取り扱う場合にしばしば使用される。また防護服は化学兵器、危険な生物兵器、又は他の危険性物質に対する暴露の脅威を受けている間、民間人及び軍人を防護するために使用されている。
【0005】
もしそのような衣服の防護性能が顕著に低下すると、システムの連続使用に伴い着用者にとって危険な又はさらに生死に関わる状況に発展する。初期で良好に機能可能な材料を設計し、長期間使用の厳しさを通じて高い性能水準を維持可能であることが重要である。高水準の長期性能を提供する試みは設計上考慮すべき事項の妥協を招き、望ましくない特性が生じる。例えばモノリシック層を長期防護の提供のため防護服に使用する場合、望ましくない条件が結果として着用者に身体的ストレスを負わせる場合がある。その上、その使用の性質上防護服は可撓性でなければならないが、屈曲が原因で防護部材が押しのけられたりダメージを受けたりすることがある。また防護服は例えばズボンの膝において大量の摩耗及び衝撃を受けることがある。これらの物理的ストレスは構造体から炭素粒子又はビーズが損失する原因となる場合があり防護水準が低下する。さらに炭素化かつ活性化したポリアクリロニトリル布地を含む活性炭布帛は破壊される場合があって、その構造体は分断され、所望の水準未満の吸着性材料を有する局在化した領域を残す可能性がある。吸着剤又は他の防護性材料の損失を生じさせる物理的ダメージは、望ましくなくさらには安全でない防護水準をもたらす場合がある。
【0006】
防護性材料の性能劣化は汚染物質への暴露からも生じる。例えば吸着性材料と接触させた場合、その防護性能を非常に損なうように、様々な液体汚染物質が吸着され又はそれらが吸着剤を被覆しうる。液体汚染物質にはディーゼル燃料及び様々な潤滑剤を含む石油系汚染物質、あるいは例えば消火又は救護用途の場合、消火泡又はさらに人間の血液のような物質が含まれる場合がある。また例えば液滴状の液体の攻撃をもたらす危険性化学物質は、防護性材料内部を濡らして直接吸着剤と接触することが可能である。これは非常に高濃度の攻撃となって、しばしば吸着剤又は他の機能性材料の吸着速度及び容量を圧倒し、防護被覆を通る化学物質の透過水準が望ましくないものとなる。
【0007】
また多くの用途において、場合によっては防護被覆を洗濯及び乾燥の繰り返しサイクルに通す必要がある。とりわけ活性炭のような物質に吸着されうる界面活性剤を添加して洗濯及び乾燥を繰り返すと、物理的なダメージ及び化学汚染物質の攻撃の両方を防護性材料に与えることになり、防護性能の顕著な劣化がしばしば生じうる。
【0008】
また特に防護服は、着用者又は使用者によって作られる環境のような、防護被覆に対して内部にある環境から汚染を受ける。着用者からは大量の汗、皮脂及び他の体の脂が生じうる。これらの物質は衣服に含まれる吸着剤又は他の機能性材料を汚染する能力を有し、及びそれらの効果を劣化させる可能性があり、提供されている防護を低下させる。被覆の内部領域から外部領域への物質の透過を防護被覆が制限することが望まれると思われる例もいくつかある。例えば狩猟のようないくつかの用途では、場合によっては臭気のある気体又は粒子が防護被覆を通ってそれらが検知されると思われる外部環境へと移動するのを防ぐことが望まれる。また使用を通じて化学物質の気体が防護被覆の内部領域に入りうる可能性もある。防護服の場合、物質は袖口あるいはジッパー、又は他の閉鎖部分を通って接近しうる。防護被覆の内部領域への漏えいがある場合、そのような気体は衣服内部の人間の皮膚に吸着される場合がある。着用者と防護服中の吸着性物質との間に配置した接着剤又はフィルムの連続層を用いた現在の防護構造は、着用者から遠ざかる物質の通路を制限して暴露を増大させる可能性がある。
【0009】
Nomiの米国特許第5190806号に記載されているような従来の取り組みは、外層を通り内側の吸着層へと至る液体汚染物質の通過を防ぐために、空気不透過性の連続接着層の追加を教示している。しかしながらポリマーフィルム又は接着剤のモノリシック連続層を組み合わせた構造では、水蒸気の透過率、又は一般に「通気性」としても知られているものが顕著に減少する。防護服の場合、水蒸気透過の減少は身体的ストレスの顕著な増大を招く。空気不透過性連続材料を構造に組み込んでも「通気性」が残存する場合があるが、水蒸気は最初にこの連続層内部に吸着され、これら物理的材料を通って拡散し、さらに続いて溶液拡散機構によりこれらの層から展開する必要がある。水蒸気輸送について溶液拡散プロセスが生じる構造では一般に水蒸気輸送速度が低くなる。
【0010】
防護被覆によって負わされる身体的ストレスを最少化するためには、水蒸気の拡散輸送を可能にする、防護構造体全体に物理的通路を維持することが望ましいと思われる。内部から外部環境への連続的な空気の経路は、空気による拡散モードを介してこれら経路を通る水蒸気の移動を可能にする。空気による拡散輸送を通じて水蒸気輸送が起こりうる空気透過性構造は、水蒸気輸送が溶液拡散による構造よりも高い水蒸気輸送率(MVTR)を有している。身体的ストレスを最少化するためには、水蒸気輸送率を最大化する防護構造を有していることが望ましいと思われ、従って防護被覆構造体を通る連続的な空気の通路を維持することが望ましい。
【0011】
しかしながら危険性物質はエアロゾル又は粒子状でそれ自体が存在しうることも周知である。従って防護被覆構造体を通る連続的な空気の通路は、もし直径が大きすぎればそのような物質を外部から被覆内部の内部環境へと直接通過可能にすることがある。特に物質が風又は他の力を与えられた流れにより運ばれる場合、大きい空気の通路を有する防護被覆はそれら物質の顕著な透過を可能にすることがある。Nilsenの国際公開WO83/02066のような従来の取り組みでは微孔質フィルムを組み合わせてこの問題を克服している。しかしながら、ある物質が記載されたフィルムの内部に通って濡らすことが可能な場合、汚染物質及びいくつかの化学物質の通過は防げなかった。
【0012】
これまでに危険又は有毒な化学物質に対する防護被覆について設計され、物理的な及び汚染物質による性能劣化に対処している他の方法は、劣化が生じなかった場合に必要とされるであろう水準をはるかに超えた水準の防護性材料を組み合わせることである。防護被覆へ活性炭のような吸着性材料を非常に大量に加えると性能劣化の水準を補正できる可能性がある。しかしながら余計なコストがかかることに加えて、得られるものは望んでいたより非常に重く嵩高いシステムである。
【0013】
防護服用途は特に余分な嵩及び重量に敏感である。余分な重量は着用者に大きな身体的負荷を与える。防護服の余分な厚さ及び嵩は着用者から外部環境への水蒸気輸送を実質的に減少し、加えて熱輸送に対する大きい抵抗を作り出して非常に大きな身体的ストレスを生じさせうることが周知である。その上増大した嵩及び重量は、これら材料の包装、貯蔵、取り扱い及び輸送に望ましくない特性でもある。そのため現在の解決方法は、物理的及び汚染物質の攻撃にもかかわらずその使用を通じて防護被覆の性能を維持する必要と、身体的快適さ及び安全性に十分な条件を維持する必要との釣り合いを取ることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
非常に望まれているがこれまでに本技術分野で開示されていないものは、性能劣化を受けない耐久性防護被覆である。すなわち、防護被覆の特性が、物理的な使用、外部汚染物質又は内部汚染物質によって大きく影響されないことが望まれている。さらにこの防護被覆が快適かつ可撓性で、使用者の身体的負荷を最少化することが望まれている。そしてこの防護被覆が、液体、気体、エアロゾル及び粒子といった様々な状態の物質が通過することを防ぐ能力を有することがさらに望まれている。従って本発明の主目的は、危険、有毒又はその他有害な化学及び生物物質に対する耐久性防護被覆を提供し、同時に上述の課題を実現することにある。
【0015】
本発明のこれら及び他の目的は以下の明細書を概観することから明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここに開示する本発明は驚くべきことに、危険な化学及び生物物質に対する非常に耐久性の高い防護を提供する一方、同時に高水準の水蒸気輸送を維持することを可能とする防護被覆を説明する。液体、気体、エアロゾル及び粒子のような様々な状態の物質に対する防護も実現される。さらに本発明により実現される耐久性の水準によって、防護被覆の使用を通じてより軽く、より嵩張らず、さらにより信頼性の高い防護が可能となる。
【0017】
防護被覆の性能は機能性材料を微孔質フィルムで保護すれば向上することが分かっている。微孔質フィルムは空気流を制限し及び粒子を反発して、吹き寄せられた蒸気、エアロゾル、粉末、さらに生物物質に対する防護を付与するために非常に有用であることが見出されている。連続フィルム又はモノリシック被覆とは対照的に、これらの微孔質フィルムは、防護被覆が被覆の厚みを通る連続した空気の通路を維持し、水蒸気輸送を最大化することを可能にする。
【0018】
さらに、疎油性微孔質フィルムの使用により、防護被覆の使用を通じて維持された防護性能が提供されることが見出されている。疎油性微孔質フィルムは、機能性材料の性能を劣化させるであろう汚染物質に対する抵抗性を提供する。これに対処する従来の取り組みではより重く嵩高いシステムとなり、かつ水蒸気輸送が望ましくないほど低い水準のシステムとなっていた。
【0019】
本発明の好ましい防護被覆は2つの微孔質フィルムの間に機能層を含み、これらフィルムの少なくとも1つは疎油性微孔質フィルムである。最も好ましい実施態様は2つの疎油性微孔質フィルムの間にその機能層を含む。2つの疎油性微孔質フィルムの間に機能性材料を含むことにより、機能層の物理的な損失又は劣化からの保護がより高い水準で実現できることが見出されている。
【0020】
上述の物理的及び汚染物質劣化から機能性材料を保護することによって、初期性能の目標に必要な機能性材料を最少量使用しかつ使用を通じてその性能を維持可能な防護被覆材料を設計できる。このことにより他に作られていたものより軽くて薄い材料を作ることが可能になる。さらに防護被覆を通る連続した空気の通路を依然として維持しながらこのことを実現することにより、水蒸気輸送率を最大化して防護服用途に特に顕著な身体的ストレスを最少化する。また空気流の速度及び粒子の輸送を制限しながらこれら連続した通路を維持すると、最も高い水準の防護を提供することになる。同時に実現されたこれら独特かつ有益な属性は本明細書に含まれる例において明確に示される。
【0021】
危険性化学物質であるPMF及び2CESの透過量データは、微孔質フィルムを用いて防護被覆の空気透過性を制限することによって本発明で実現された、改良された防護を表すものである。微孔質フィルムを使用しない場合、防護構造体を通るPMF透過量は70μg/cm2より大きい(例1及び4(比較))。防護構造体に微孔質フィルムを追加した場合、透過量は0.1μg/cm2未満へと劇的に減少する。
【0022】
重要なことに、微孔質フィルムを使用しても水蒸気透過が損なわれないことも示されている。防護構造について微孔質フィルムの有無を比較すると、表5に示すように、防護被覆を通る連続した空気の通路を維持している微孔質フィルムを組み合わせても、水蒸気透過率にほとんど影響を与えないことが読み取れる。しかしながらモノリシック被膜を含む微孔質フィルムを使用した場合、たとえその被膜が高通気性のモノリシック被膜であっても水蒸気透過率はおよそ半分に減少する。
【0023】
汚染物質から機能性材料を防護するための疎油性微孔質フィルムを組み合わせることによる他の特筆すべき利点は、ディーゼル燃料のような汚染物質に暴露した後に見ることができる。疎油性微孔質フィルムを組み合わせた本発明の防護被覆は、ディーゼルの攻撃に暴露された、非疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆よりも非常に良好に機能した。これは2CESに対して暴露した後に特に明らかであった。非疎油性微孔質フィルムを有する構造体は、疎油性微孔質フィルムを有する本発明の防護被覆と比較して、2CESをおよそ4.5倍〜23倍透過させた。
【0024】
同様に化学防護被覆の疎油性微孔質フィルムの有無について比較した場合、防護被覆を皮脂で汚染した後の結果もまた驚くべきものである。疎油性微孔質フィルムのない防護被覆の2CES透過量は皮脂で汚染した後に500μg/cm2より大きかったが、疎油性微孔質フィルムを有する化学防護被覆の2CES透過量は約3μg/cm2未満であった。
【0025】
さらに例に見ることができるのは、2つの微孔質フィルム、特に疎油性微孔質フィルムの間に機能性材料を含ませることにより、被覆の防護性能が洗浄及び乾燥しても維持可能なことである。微孔質フィルムのない防護構造体はその構造体の最大20%の活性炭を失った。本発明の防護被覆について損失は検出されなかった。
【0026】
様々な種類の機能層の防護性能を本発明により顕著に改良できることは明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、化学及び生物物質のような有害物質に対する良好な防護を提供する防護被覆であって、材料を通る空気流を維持して高い水蒸気透過率(MVTR)を有しながら、従来の材料と比べてより少ない質量で、液体の浸透に対する向上した抵抗性及び有毒気体に対する防護を提供するものを対象とする。
【0028】
「防護被覆」とは、有毒又は有害な化学物質及び/又は生物物質の通過を実質的に制限する材料又は物品を意味し、並びにこれら有害な物質と防護されることを意味するものとの間に置くものを意図している。本発明の材料及び物品には、フィルム、ライナー、ラミネート、ブランケットや、履物、手袋、ジャケットのような衣服及びベストを含む衣料品などの形態での被覆が含まれる。従って本発明の防護被覆は、他の衣服と組み合わせて、例えばジャケットのような現存する衣服の下又は内側に配置されるライナーとして使用してもよい。また、完成した最終用途形状に加工するために、シェル及びライナー布帛を防護被覆の外層に追加してもよい。
【0029】
一般に図1〜3、特に図1を参照して、防護被覆が第1及び第2の微孔質フィルム12及び13の間に含まれる機能性材料11を有する機能層10を含んでおり、かつその機能層がその微孔質フィルムに不連続のアタッチメント14で取り付けられている、本発明の一実施態様を説明する。
【0030】
機能層はフォーム、布地、紙などのような自己支持体シートであってよく、少なくとも1種の機能性材料を含んでよい。「機能性材料」とは、有害な薬品又は化学物質の通過を阻害する1種以上の吸着、吸収、反応及び触媒特性を有する材料を意味し、その有害な薬品又は化学物質とはここで使用するような化学又は生物物質を含むことを意図している。反応性材料には、有毒な化学物質を破壊してより有害でないものにする、あるいは生物物質の毒性を低減する材料が含まれる。吸着性材料は有毒な化学物質を吸着できるものである。
【0031】
本発明の使用に適した機能性材料には、ゼオライト、活性粘土、活性アルミナ及びシリカ、珪藻土、モレキュラーシーブ、ナノ粒子、並びに活性炭のような吸着性材料が含まれる。反応性材料は、酸化カルシウム、酸化マグネシウムのような塩基、並びに次亜塩素酸カルシウム、過ホウ素酸塩、過硫酸ナトリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化亜鉛、塩素化及び/又は臭素化ヒダントイン類、過マンガン酸カリウム、モノ過硫酸カリウム、ペルオキシ二硫酸塩などのような酸化性化学物質を含む、化学物質と反応してそれを分解する材料である。触媒性材料の例には、金属銀、パラジウム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マグネシウム又は二酸化チタン(アナターゼ型)上に担持した酸化バナジウム、及び米国特許第6410603号に記載するもののような種々のポリオキソメタレートが含まれる。本発明の使用に適するであろう機能性材料の他の例は、"Development of a Reactive Topical Skin Protectant", E. H. Braue, Jr., J. Appl. Toxicol. 19, S47-S53, (1999, John Wiley & Sons, Ltd.)の表1に記載されている。
【0032】
粉末、顆粒、乾燥スラリー、繊維、球状ビーズなどの形状の活性炭のような炭素を含む機能性材料が好ましい。活性炭を生成するために、ココナッツの殻、木材、ピッチ、石炭、レーヨン、ポリアクリロニトリル、セルロース及び有機レジンのような前駆体を使用できる。活性炭とは、高度の結晶性形状及び広範に展開した内部細孔構造を有する、一群の炭素状吸着剤を表すために使用される総称である。原材料及びその製造に使用される活性化技術に応じて著しく異なる特性を示す、幅広い種類の活性炭製品が入手可能である。活性炭中の細孔は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)によってマクロ孔(半径、r>25nm)、メソ孔(r=1〜25nm)及びミクロ孔(r<1nm)として分類される。ミクロ孔が化学種の吸着に最も効果的である。従ってココナッツの殻から作られるもの、ノボラック樹脂のような有機樹脂からの球状ビーズ、及び活性炭繊維のような、最大量のミクロ孔を有する活性炭が好ましい形状である。活性炭の吸着特性は、ある種の化学物質に対してより適合可能となるように、例えばアンモニア、酸化性反応剤又は塩素を用いた処理によって高めることができる。活性炭材料は、Calgon Carbon Corporation, Norit America Inc., Pica USA Inc., Chemviron Carbon Ltd., Charcoal Cloth International、及びKureha Chemical Industry Co. Ltd.のような数多くの企業から購入できる。
【0033】
活性炭を少なくとも1種の他の機能性材料と合わせてもよい。好ましい実施態様の1つでは、機能性材料がナノ粒子状物体のような吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の材料と合わせてあり、炭素の吸着特性を依然として維持しながら生物及び化学物質に対する付加的な防護を提供するために、その材料が活性炭吸着剤の表面内部及び表面上に担持されていてもよい。ナノ粒子は金属酸化物、水酸化物の金属錯体、金属水和物及びポリオキソメタレートで構成されてもよく、ナノ粒子を反応性ハロゲン原子、アルカリ金属原子、硝酸金属塩及び他の金属酸化物を含むようにさらに処理してもよい。Mg、Ca、Al及びTiからの酸化物で構成されるナノ粒子が好ましい。本発明の使用に適したナノ粒子は、例えば国際公開WO03/072242及び米国特許出願公開2003/0216256に記載されている。
【0034】
上記機能性材料に加えて、難燃剤、抗菌性添加剤、酸化防止剤、UV吸収剤や、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーンなどのような疎水性材料からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を分散してもよい。
【0035】
機能層は用途に応じて機能性材料をある範囲の質量で含んでもよい。有利には、本発明の防護構造体は機能性材料の性能劣化を低減し、加えて使用の厳しさを通じて機能性材料の損失をも低減することによって、物質の攻撃の予想される水準に合致する必要量を超えて炭素を大量に追加する必要性を減少させる。例えば高水準の化学物質の攻撃を対象とする用途については、機能層が炭素を150g炭素/m2より多く、又は200g炭素/m2より多く含むことが望ましいと思われる。低水準の化学物質暴露が予想される場合、必要とされる炭素はかなり少量であってよく、炭素量は10g炭素/m2未満、又は30g炭素/m2未満で足りると思われる。活性炭を含む機能層については、炭素量が約200g炭素/m2未満、約150g炭素/m2未満、及び約100g炭素/m2未満であることが好ましい。
【0036】
「機能層」とは、微孔質フィルムの間に含まれるか、あるいは少なくとも1つの微孔質フィルムに取り付けられた機能性材料で構成される層を意味する。それは主に危険又は有毒な物質の吸着、吸収、反応、触媒作用、又は結合、破壊もしくは分解に関与し、そうしてそのような物質が防護被覆を通って輸送されることを防ぐ。機能性材料がそれ自体で、例えば炭素化及び活性化したポリアクリロニトリル織布を含むがこれに限定されない、活性炭クロス形状の機能層を構成してもよい。しかしながら適当な基材と機能性材料を組み合わせることが望ましいと思われ、この場合は機能性材料を単独で使用したときより強くて耐久性の機能層がもたらされる。好ましくは機能層を形成するために機能性材料が基材内部に又は基材上に組み合わされる。好ましい基材又は形状には布地又はフォームのようなシートが含まれる。例えば活性炭粒子又は粉末はポリマーバインダーと合わせて、多孔質連続気泡フォームシートのようなフォーム内部に含浸させてもよい。好ましいフォームには連続気泡ポリウレタンフォームが含まれる。活性炭粉末又はビーズのような機能性材料を編物又は不織布のような布地シート上にコーティングして機能層を形成してもよい。好ましい編物布地支持体にはポリエステル、ナイロン、綿のような天然繊維、又はこれらの混合物が含まれる。好ましい防護被覆の1つには、第1及び第2の微孔質フィルムの間に含まれた活性炭含有シートを含んでなる機能層が含まれる。
【0037】
複数の機能性材料及び機能層を防護被覆の一部として組み合わせてもよい。当然のことながら、防護被覆の高い水蒸気透過性を維持するために機能層は空気透過性でなければならない。高いMVTRを有する防護被覆を提供しながら、防護しかつ機能層の可使寿命を延長するために、空気透過性で通気性の微孔質フィルムが可撓性構造体の少なくとも1つの面、好ましくは2つの面に付与される。MVTRが少なくとも約2000g/m2/日であるフィルムが好ましい。またMVTRが10000g/m2/日を超えるフィルムが好ましく、より好ましいフィルムのMVTRは少なくとも約40000g/m2/日である。「微孔質」とは非常に小さくて微視的な細孔を有する材料を意味する。本発明の使用に適した「空気透過性」の微孔質材料は、構造体全体に小さい細孔又は通路を有して、ある表面から別の表面への連続した空気の通路を形成している。本発明の使用に適した微孔質フィルムには被膜、層、フィルムなどが含まれ、その平均細孔径は10マイクロメートル未満、好ましくは1マイクロメートル未満であって、細孔体積は10%〜95%、好ましくは50%〜95%でなければならない。フィルムの厚さは約10〜約300マイクロメートルであってよく、好ましくは約20〜100マイクロメートル厚である。
【0038】
本発明の使用に適した微孔質フィルムには、微孔質フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニル)など;ポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン;ポリアミド;ポリエステル;ポリスルホン;ポリ(エーテルスルホン);及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましいフィルムは多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、より好ましくは米国特許第3953566号、第4187390号及び第4194041号に記載される多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンフィルムである。好ましい防護被覆にはePTFEを含む少なくとも1つの微孔質フィルムが含まれる。最も好ましい防護被覆にはePTFEを含む第1及び第2の微孔質フィルムが含まれる。
【0039】
化学物質、石油、油、潤滑剤に加えて汗、皮脂及び/又は他の体の脂のような汚染物質に対する機能層の暴露を低減するフィルムが好ましい。微孔質フィルムは汚染物質からのいくらかの保護を提供するが、微孔質の「疎油性」フィルムは汚染物質からのより大きな保護を機能層にもたらすため最も好ましい。ここで使用する「疎油性」とは約3以上のオイル等級(oil rating)を有する材料を意味する。好ましい実施態様には少なくとも1つの疎油性微孔質フィルムが含まれ、さらに好ましくは第1及び第2の疎油性フィルムが含まれており、その微孔質フィルムのオイル等級は、AATCC試験法118−1983に記載された方法に従って測定したときに、3以上、好ましくは約4以上、最も好ましくは約6以上である。試験で微孔質フィルムに直接接近させることが難しいと思われるラミネートのような複合材料の場合、本発明の目的のために、オイル等級が3以上、好ましくは4以上、最も好ましくは6以上に相当するAATCC試験法118−1983の液体の濡れに抵抗すれば、その微孔質フィルムを疎油性とみなす。「濡れに抵抗する」とは、大気圧付近及びおよそ室温の条件下で、試験液体が微孔質フィルムの細孔内部にほぼ濡れない及び/又はその細孔を通ってほぼ吸い上げられないことを意味する。
【0040】
微孔質ポリマーが元々疎油性でない場合、疎油性材料を用いてそれをコーティングすることにより疎油性にしてもよい。通常疎油性材料は液状で、例えば溶融物、溶液又はラテックス分散液で所望の疎油性となるまでフィルム表面に適用される。微孔質構造体の内部表面はコーティングされているが、フィルムの水蒸気透過性及び空気流特性を実質的に維持するような方法でコーティングされていることが好ましい。好ましい疎油性組成物には、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料が含まれ、最も好ましくはパーフルオロポリエーテル及びパーフルオロポリアクリレートから選択される少なくとも1種の材料を含む組成物である。フルオロアクリレートエマルジョンがさらに好ましい。本発明の使用に適した他の疎油性組成物及び適用方法には、米国特許第6261678号に記載のものが含まれ、参照することによりその内容を本明細書の一部とする。
【0041】
好ましい防護被覆にはオイル等級が約3以上、又は4以上の少なくとも1つの微孔質フィルムが含まれ、その微孔質フィルムは例えば化学物質又はPOLによって最も攻撃を受け易い防護被覆面にて機能層に取り付けられる。そうして疎油性微孔質フィルムはディーゼル燃料などのような汚染物質から機能層を保護する。第2の疎油性微孔質フィルムは、汗及び体の脂に対する暴露が予想される防護被覆面にて機能層に好ましくは取り付けられる。皮脂が機能層内部へ通過するのを防ぐためにオイル等級が約3以上、好ましくは約4以上の微孔質フィルムが好ましい。
【0042】
汗及び皮脂から機能層を防護することに加え、万一なんらかの有毒化学物質が着用者及び防護被覆の間に伝わった場合に、着用者の体及び機能層の間に位置する第2の微孔質層が防護を提供する。例えば袖口を通って化学物質が通過した場合、着用者に隣接する微孔質層は、化学物質を機能性材料に吸着させるために機能層へその化学物質を透過させることがある。対照的に着用者に隣接する連続層は、化学物質がより遅い溶液拡散モードによって浸透するために機能層への化学物質の通過を遅くして、皮膚が物質吸収に暴露されることになる。
【0043】
本発明の別の実施態様の1つでは、1つの微孔質フィルム及び機能層を含む防護被覆が形成される。ただ1つの微孔質フィルムが存在する場合、微孔質フィルムは化学物質から最も攻撃を受け易い被覆面に取り付けられることが好ましい。防護被覆のオイル等級は4以上、6以上又は7以上であることがさらに好ましい。裏当て材料を着用者の体に最も近い面にて防護被覆に取り付けてもよく、その裏当ては疎油性かつ皮脂及び汗に対して抵抗性であることが好ましい。
【0044】
化学防護被覆を通る空気流及び気体25の透過(図2)を混乱させない方法で、機能層を微孔質シートの間に包含させることができる。さらに好ましくは、機能層を包含させることによって防護被覆からの炭素損失をなくすか最少化することが可能となる。1つの又は複数の微孔質フィルムへの機能層の取り付けを例えば周縁部の周りに行ってもよく、あるいはアタッチメントが層全体で不連続であってもよい。適当な手段には、別個の接着剤ドット、別個の接着剤パターン又は点接着のような不連続の接着剤、縫合連結又は他の固定具のような機械的アタッチメント、溶融可能なウェブ及び熱可塑性スクリムを含む、不連続な取り付け手段を用いて層を組み立てることが含まれるがこれらに限定されない。接着剤によって機能層を少なくとも1つの微孔質フィルムに不連続的に取り付けることが好ましい。好ましい接着剤には、材料接合に当該技術分野で既知であるホットメルト、水分硬化型、2成分エポキシなどが含まれる。特に好ましい接着剤にはポリウレタン、ポリエステル及びポリアミドが含まれる。接着剤量は様々であってよいが、防護被覆の空気流及び高いMVTRを保持しながら、例えば洗濯耐久性を構造体に付与し、及び機能性材料の損失を低減するのに十分な接着剤を適用するのが好ましい。接着剤の被覆率は表面の約15%〜約85%であることが一般に好ましい。
【0045】
シェル布帛及び裏当て材料のような少なくとも1種の追加材料を、本発明の防護被覆を形成するために各微孔質フィルムに付与してもよく、さらなる防護特性を付与してもよい。図3に図示した実施態様では、少なくとも1種の追加材料、好ましくはシェル布帛39が第1の微孔質フィルムに隣接しかつ機能層と反対の微孔質フィルム面にあり、防護被覆の外層を形成している。その少なくとも1種の追加材料は、付与されていた空気流の透過が維持されるならば本技術分野で既知の任意の方法で取り付けてよい。例えば少なくとも1種の追加材料はアタッチメントを用いて不連続的に取り付けられていてよい。また少なくとも1つの第2の追加微孔質フィルムである裏当て材料38は第2の微孔質フィルムに隣接しかつ機能層と反対の微孔質フィルム面にあり、反対面に防護被覆の内層を形成している。
【0046】
シェル布帛は、風雨に暴露される、又は最初に化学又は生物物質に暴露される層であることが多い。それは任意の空気透過性布地であってよいが、好ましくはポリアミド、ポリエステル、アラミド、アクリル、綿、ウールなどで作られる織布である。裏当て材料は通常構造体の内層であって、例えば編物、織物又は不織物であってよい。これらの材料は例えば疎水性及び/又は疎油性となるような追加の防護を提供するように処理してもよい。難燃性を付与するため布帛を追加処理してもよい。
【0047】
化学物質の透過に対する防護の向上が本発明の防護被覆によって実現する。その上、酷使しかつ防護衣服の性能を劣化させることが知られている物質に暴露した後で、向上した性能を維持する能力が本発明により実現する。驚くべきことに本発明の防護被覆は、ここに記載する方法に従って試験した場合、ディーゼル燃料、皮脂及び/又は繰り返しの洗濯/乾燥サイクルによって汚染した後でも2CESに対する防護を提供することが見出されている。
【0048】
このように本発明の好ましい防護被覆の2CES及びPMF透過量は、ディーゼル燃料で汚染した後、好ましくはディーゼル燃料の汚染が疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面で起きた場合に100μg/cm2未満、50μg/cm2未満、さらに好ましくは30μg/cm2未満であって、最も好ましくは2CES及びPMFに対する透過量が20μg/cm2未満である。本発明の好ましい防護被覆の2CES及びPMF透過量は、皮脂で汚染した後、好ましくは皮脂の汚染が疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面で起きた場合に50μg/cm2未満、最も好ましくは20μg/cm2未満である。本発明の好ましい防護被覆の2CES及びPMF透過量は、6回の洗濯/乾燥サイクル後で50μg/cm2未満、最も好ましくは20μg/cm2未満である。本目的のためここに記載する試験法に従って、透過量を測定し、ディーゼル燃料及び皮脂による汚染、並びに洗濯/乾燥による酷使を行う。
【0049】
本発明の防護被覆は「空気透過性」であって、ここで使用するように少なくとも1つの微孔質フィルム、好ましくは2つの微孔質フィルム、機能層及び必要に応じて追加材料を有する防護被覆が防護被覆の1つの面から防護被覆の他の面へと連続する空気の通路を有していることを意味する。好ましい防護被覆のガーレー数(Gurley number)は、空気透過性についてここに記載する試験法に従って測定したときに120秒未満である。
【0050】
さらに防護被覆の水蒸気透過率は、MVTRについてここに記載する試験法に従って測定したときに好ましくは2000g/m2/日より大きく、より好ましくは4000g/m2/日より大きく、さらに好ましくは6000g/m2/日より大きい。第1及び第2の微孔質フィルム、並びに必要に応じて追加材料を含んでなる好ましい防護被覆もまた、MVTRが2000g/m2/日より大きく、4000g/m2/日より大きく、さらに好ましくは6000g/m2/日より大きい。
【実施例】
【0051】
試験法
空気透過性 − ガーレー数試験:ガーレー数は次のようにして得た。
【0052】
空気流に対するサンプルの抵抗力を、Teledyne Gurley, Troy, NYの製造するガーレーデンソメーター(Gurley densometer)(ASTM D726−58に従う)により測定した。100cm3の空気が1.215kN/m2の水圧で6.54cm2の試験サンプルを通過する時間(秒)であるガーレー数で表記して結果を報告する。織布を用いたこの試験で良好なシールを得ることは困難なため、一番上にナイロン/綿シェル布帛層のない機能層を試験した。
【0053】
撥油性試験:オイル等級はフィルムを試験するときのAATCC試験法118−1983を用いて測定した。数が大きいほど撥油性が良好である。
【0054】
水蒸気透過率(MVTR)試験:水蒸気透過率(MVTR)は、酢酸カリウムを塩として、及び連続気泡ePTFEを防水性の水蒸気透過性膜として用いる米国特許第4862730号に記載した手順を用いて測定した。環境は相対湿度50%に維持した。水浴は23±0.5℃に維持した。浴全体に伸長された膜を備えた浴の上でサンプルの状態を調整した。公称で膜の気孔率は75%〜80%であり、平均細孔径は0.2μm、厚さはおよそ0.04mmであった。シェル布帛(ナイロン/綿)が上面を向くようにしてサンプルを膜の上に置き、サンプルの上面でシェル布帛上にカップを置いた。試験開始前に約15分間カップをサンプルの上面に置いた。MVTR数はg/m2/日を単位として報告する。
【0055】
ビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)の透過性試験:化学透過試験及び分析は、U.S. Army Test and Evaluation Command, Test Operating Procedure (TOP 8-2-501 Revision 17 January 2002)に概要が示されている、"Permeation and Penetration testing of Air-Permeable, Semi-permeable and Impermeable Materials with Chemical Agents or Simulants (Swatch Testing)"の手順、及びLaboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents, CRDC-SP-84010 (June 1984)を適用した。試験はGeomet Technologies, Inc., Gaithersburg, MDにて完結した。試験装置及び実験条件は以下に記載する。
【0056】
「2CES」と呼ばれるビス−2−クロロエチルスルフィド(化学構造Cl−CH2CH2−S−CH2CH2−Cl)に対する透過性は、サンプルが内部に配置された一連の試験セルからなる装置を用いて測定した。全体の試験セルアセンブリを中の温度が32℃に制御された環境室内部に配置した。各セルはセルトップ及びセルボトムと呼ぶ上部及び下部で構成される。低空気透過性(ΔPが0.19mmHg又は0.1iwgにおいて20cm3/分cm2未満の空気流)のサンプルについてはセルトップにおける空気流を0.25L/分に維持し、セルボトムにおいては0.3L/分に維持する。サンプル全体の圧力差(ΔP)をゼロ(0)に維持する。このモードは「拡散透過試験」とも呼ばれる。これら気流の温度は32±1.1℃に制御され、相対湿度(RH)は80±8%に制御される。わずか8滴の2CES(各1μL)をナイロン/綿シェル布帛を有するサンプル面上に置く。2CESの攻撃に暴露される領域は約10cm2である。
【0057】
トップセルの空気流は排気の流れに送られる。サンプルを通って透過した気体の2CESは下部の空気流中に掃き集められ、固体吸着剤及び液体インピンジャーにより下流で捕捉される。「対流透過試験」として知られる別の設定を、高い空気透過性(ΔPが0.19mmHg又は0.1iwgにおいて20cm3/分cm2超の空気流)のサンプルについて使用する。この設定では0.1iwg(インチ水ゲージ)に等しい圧力差(ΔP)をサンプル全体で維持する。液滴を試験見本の表面上に置き、試験見本を通して対流チューブの上部へと空気を引く。収集及び分析のため、セル下部から流出する空気は固体吸着剤及び液体インピンジャーへと回される。
【0058】
固体吸着剤及びインピンジャーからの液体を、上記参照文献に記載されている比色/蛍光分析法によって分析する。透過量のデータは、各サンプルについて単位をマイクログラム/cm2(μg/cm2)として20時間全体の累積質量として報告する。この試験の検出分解能及び検出下限は約0.1μg2CES/cm2であった。
【0059】
例えばディーゼル汚染後の化学透過試験を望む場合、防護被覆のナイロン/綿チェル布帛層を有する面をディーゼル燃料2mLで攻撃する。約1時間後、2CES液滴を適用する前に過剰の液体を切って吸い取る。その後2CES透過量を上述のように測定する。皮脂汚染後の化学透過試験を望む場合、合成皮脂の適用についてここに記載した方法に従って皮脂を適用し、次に2CES透過量を上述のように測定する。同様にここに記載する洗濯手順に従って洗濯/乾燥サイクルを行った後も化学透過試験を行う。
【0060】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデート(Pinacolyl Methylphosphono Fluoridate)(PMF)の透過性試験:以下を除いて2CES分析について上に概略を示したのと同様の手順を用いてPMF透過量を測定した。2CES8滴のかわりにPMF10滴を使用した。濡れた汗で汚染した後の化学透過測定を望む場合、(上記参照したTOP手順に記載されているように調製した)疑似汗約2mLを見本の内側面上に置く。約1時間後、サンプルを傾けることによりサンプルの過剰の液体を切り、吸い取り、その後PMFの液滴をナイロン/綿シェル布帛面上に置く。使用する環境条件は上述の2CES透過性について記載したものと同様である。PMF透過量測定の前に、いくつかのサンプルはディーゼルで汚染した。PMF透過量測定の前に、他のサンプルは濡れた汗で汚染する前にここに記載する方法に従って洗濯/乾燥サイクルを施した。
【0061】
PMF分析に使用する分析手順は、表題が"Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents", CRDC-SP-84010 (June 1984)である文献に記載される酵素阻害試験法と実質的に同じである。結果は20時間にわたって透過した累積量として報告する。使用する単位はμg/cm2である。この試験法の検出下限は約0.000046μg/cm2であった。
【0062】
合成皮脂の適用手順:ナイロン/綿シェル布帛と反対の見本面にてサンプルを汚染するために合成皮脂10%のエマルジョンを使用する。
【0063】
合成皮脂10%エマルジョン30gを次のように調製した。合成皮脂(Scientific Services S/D Inc., Sparrowbush, NYより購入)3gをガラスバイアル中で蒸留水9gに添加した。蛇口からの熱水で加熱し、振とうして均一な懸濁物を得た。pH10のバッファー溶液(Fisher Scientific, Pittsburgh, PAより購入)18gをバイアルに添加し、手で激しく振とうして均一なエマルジョンを得た。
【0064】
直径2.9インチ(約7.4cm)のサンプルの中央を上記調製した合成皮脂エマルジョン0.4gで攻撃した。4インチ×4インチ(約10cm×10cm)のガラス板を上に置き、次に4ポンド(約1.8kg)の重りを乗せた。アセンブリを32℃に維持した空気循環式オーブンに移し、動かさずに2時間放置した。重り及びガラス板を取り除き、サンプルをさらに2時間オーブン中に放置した。サンプルをオーブンから取り除き、化学透過試験に送る前に状態を周囲条件に調整した。
【0065】
洗濯手順:6回の洗濯/乾燥サイクルを、「Milnor Washer」とも呼ばれるフロントローディング式洗濯機を用いて12インチ×12インチ(約30cm×30cm)の大きさのサンプルに施した。洗濯及び乾燥について使用した詳細な手順は、表題"Detailed Specification JSLIST Coat and Trouser, Chemical Protective"のMIL-DTL 32102 (3 April 2002)に従った。詳細な洗濯の指図書はこの文献の付録Aに見つけることができる。物品を約120°F(約49℃)で乾燥可能な任意の市販の乾燥機を使用できる。
【0066】
洗濯中の質量損失測定:大きさが約12インチ×12インチ(約30cm×30cm)のサンプルを実験室内で2時間、70°F(約21℃)及び65%RHにて状態を調整し、質量を記録した。その後上述の手順により6回洗濯した。洗濯したサンプルの状態を調整し、再び質量を測定した。洗濯/乾燥サイクル中の活性炭損失量は次のように計算した。
【0067】
炭素損失量(%)=(洗濯前のサンプル質量−洗濯後のサンプル質量)/(洗濯前のサンプル質量×0.42)×100
【0068】
ここで0.42はサンプル中のおおよその炭素割合を表している。この計算では洗濯中の全ての質量損失はサンプル中の活性炭の損失によるものと仮定している。
【0069】
例1(比較):微孔質フィルムのない活性炭含浸編物機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過率(MVTR)について試験した。
【0070】
名称が"C-Knit bi-laminate"(型番04.01.07)である市販の活性炭含浸編物機能層をLantor (UK) Ltd, Bolton, UKから入手した。機能層は第2の編物に付着させた活性炭約115gで含浸された編物からなっていた。それを疎水性/疎油性処理を施したナイロン/綿織物シェル布帛(nyco)と重ね合わせた。質量が6.5オンス/平方ヤードであってリップストップを備えた森林迷彩パターンを有するnyco布帛は、Bradford Fabric, Inc., Bradford, RIから購入した。
【0071】
得られた構造体はここに記載した手順を用い化学透過量、水蒸気透過率(MVTR)及び空気透過性(ガーレー法)について試験した。サンプルの化学透過量は6回の洗濯/乾燥サイクルの前後で測定した。洗濯はここに記載した洗濯手順に従い行った。サンプルについては(シェル布帛面上を)ディーゼル及び(シェル布帛の反対面上を)合成汗又は皮脂で汚染して化学透過量を試験した。結果を表1に報告する。PMF透過量の増加はディーゼル燃料での汚染後に検出された。2CES透過量は6回の洗濯/乾燥サイクル後及び皮脂汚染後に高く、ディーゼル汚染後はさらに高かった。
【0072】
表2に示すようにサンプルは良好なMVTR及び高い空気透過性(ガーレー測定)を有していた。報告する値は3回の測定の平均である。サンプルは洗濯中におよそ20%の活性炭を失っていた。
【0073】
例2:2つの疎油性微孔質フィルムの間に活性炭含浸編物機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過率(MVTR)について試験した。
【0074】
微孔質ePTFEフィルム層を例1(比較)に記載した炭素機能層の両面に追加した。ePTFEフィルムの質量は約21g/m2であり、平均気孔径0.2μmで気孔率は70〜85%であった。米国特許第6074738号の教示に実質的に従い、疎油性ポリマーを用いてフィルムを前処理した。得られたフィルムのオイル等級は6より大きかった。30〜40%の表面被覆を提供する不連続ドットを用い、(米国特許第4532316号に従い作られた)ホットメルト水分硬化型ポリエーテルポリウレタン接着剤を用いてフィルムを炭素機能層に付着させた。さらにMilliken & Company, Spartanburg, SCから入手したポリエステル編物(型番P837)を、上述したのと同じ手順を用いて体に向かう面に積層した。ポリエステル編物の反対の多層基材面に(上記例1(比較)に記載した)nycoシェル布帛を重ね合わせて、MVTR及び空気透過性、並びに洗濯/乾燥サイクル及び/又は汚染の前後における化学透過量について試験した。その手順はここに記載した方法に従って行った。化学透過量の結果は表1に含まれている。PMF及び2CES化学物質の透過量は、特にディーゼル及び皮脂汚染後について微孔質フィルム層を有さない構造体(例1(比較))と比較すると低かった。
【0075】
表2に示すようにMVTRの顕著な損失を伴わずに化学透過からの改良された防護が実現された。ガーレー値は微孔質層を有する構造体が空気透過性であることを示している。洗濯後に顕著な炭素損失は検出されなかった。
【0076】
例3:2つの微孔質フィルムの間に活性炭含浸編物機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過について試験した。
【0077】
シェル布帛面に用いたePTFEフィルムに疎油性処理を施さなかったことを除き、炭素機能層を例2と同様に作製した。使用したフィルムの質量は約17g/m2であり、平均気孔径0.2μmで気孔率が70〜85%であった。フィルムは米国特許第3953566号に実質的に従い作製した。得られた機能層をnycoシェル布帛と重ね合わせて、MVTR及び空気透過性、並びに洗濯/乾燥サイクル及び汚染の有無での化学透過量について試験した。その手順はここに記載した方法に従って行った。化学透過量の結果は表1に含まれている。
【0078】
PMF透過量はフィルム層のないサンプル(例1(比較))と比べて低かった。ディーゼル汚染後の2CES透過量は疎油性フィルムを有するサンプル(例2)と比べて高く、微孔質フィルム層のないサンプル(例1(比較))と比べて低かった。
【0079】
表2に含まれる結果は、MVTR及び空気透過性は例2に従って作製したサンプルのそれらと匹敵することを示している。洗濯後に顕著な炭素損失はなかった。
【0080】
表1及び2は、機能層を有するサンプル(例1(比較))、2つの疎油性微孔質シートの間に機能層を有するサンプル(例2)及び2つの微孔質シートの間に機能層を有し、化学物質に暴露される面が疎油性でないサンプル(例3)について、透過量データを報告するものである。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
例4(比較):微孔質フィルムのない活性炭含浸フォーム機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過率(MVTR)について試験した。
【0084】
活性炭含浸フォームは、(フルオロケミカル樹脂である「Scotchgard FC 208」及び「Tinotop T−10」のいずれも使用しなかったことを除き、)カナダ国特許第1107160号の教示に従い作製した。フォームの活性炭含量は約100g/m2であった。これをカレンダー処理して厚さを約20ミル(約500μm)に減らし、Cuyahoga Falls, OHにあるSpunfabから入手した17g/m2のポリアミドホットメルトウェブ接着剤(型番PA1001−050−059H)を用いてポリエステル編物(Milliken & Company、型番P837)に積層した。積層は約150℃、圧力約50psiにて行った。活性炭含有フォームの積層構造体を、ポリエステル編物面がnyco布帛から見て外を向くようにして例1(比較)に記載したnycoシェル布帛に重ね合わせた。この構造体をMVTR及び空気透過性、並びに洗濯/乾燥サイクル及び汚染の前後での化学透過量について試験した。その手順はここに記載したように行った。表3に報告されている化学透過量の結果は、表1にその結果が報告されている例1(比較)に従って作ったサンプルの結果と同等の性能であることを示す。
【0085】
MVTR及び空気透過性は表4に報告してあり、表2に示すように例1(比較)に従って作製したサンプルについて得られた結果と同等である。洗濯後の炭素損失は、例1(比較)のサンプルの炭素損失よりも低かった。
【0086】
例5:2つの疎油性微孔質フィルムの間に活性炭含浸フォーム機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過率(MVTR)について試験した。
【0087】
使用した機能層が例4(比較)で使用したカレンダー処理炭素含浸フォームであったことを除き、手順は上述の例2と同様であった。ホットメルト接着剤を用いて疎油性微孔質ePTFEフィルム層(オイル等級は6より大きい)を両面に追加し、次に編物層を追加した。その後これを例1(比較)に記載したnycoシェル布帛に重ね合わせた。得られた構造体をMVTR及び空気透過性、並びに洗濯/乾燥サイクル及び汚染の前後での化学透過量について試験した。化学透過量の結果を表3に報告する。
【0088】
PMF及び2CESの両方の透過量は、疎油性微孔質フィルムを追加することによりフィルムなしで作製したサンプル(例4(比較))と比べて減少した。
【0089】
表4に示すように、例4(比較)に従い作製したサンプルと比べてMVTRが若干減少した。ガーレー値はこの多層システムが空気透過性であることを示している。洗濯中の炭素損失は観察されなかった。
【0090】
例6:微孔質フィルムの間に活性炭含浸フォーム機能層を作製し、化学透過量、空気透過性及び水蒸気透過率(MVTR)について試験した。
【0091】
シェル布帛面に使用したePTFEフィルムに疎油性処理を施さなかったことを除き、炭素フォーム機能層を例5と同様に作製した。例3に記載した疎油性処理をしていない微孔質フィルムを使用した。得られた構造体をnycoシェル布帛に重ね合わせて、MVTR及び空気透過性、並びに洗濯/乾燥サイクル及び汚染の有無での化学透過量について試験した。化学透過量の結果を表3に報告する。
【0092】
PMF透過量の値は例5に従って作製したサンプルについて得られた値と同等であり、例4(比較)に従って作製したサンプルについて得られた値より低い。ディーゼル汚染後の2CES透過量は例5に従って作製したサンプル(疎油性微孔質フィルムを有するサンプル)より高く、例4(比較)に従って作製したサンプル(微孔質フィルムが存在しないサンプル)より低い。空気透過性及びMVTRは例5に従って作製したサンプルと匹敵した。表4に報告するように洗濯中の炭素損失は観察されなかった。
【0093】
表3及び表4は、機能層を有するサンプル(例4(比較))、2つの疎油性微孔質シートの間に機能層を有するサンプル(例5)及び2つの微孔質シートの間に機能層を有し、化学物質に暴露される面が疎油性でないサンプル(例6)について、データを報告するものである。
【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
例7:活性炭機能層を含む構造体、並びに連続通気性ポリマー層を有し及び有さない2つの微孔質ePTFE層の間に活性炭機能層を含む構造体について、水蒸気透過率(MVTR)測定を行った。
【0097】
市販の活性炭含浸編物機能層を入手して、片面に(例1(比較)に記載した)nyco布帛、反対面に(例2に記載した)P837編物層を重ね合わせた。nyco面を浴から見て外を向くようにしてここに記載した手順を用いてMVTR測定を行った。結果を表5に報告する。第2の構造体を機能層の各面を微孔質ePTFEフィルムと重ね合わせることにより作製した。例3に記載したように使用した非疎油性フィルムの質量は約17g/m2であり、平均気孔径0.2μmで気孔率が70〜85%であった。次にその構造体の片面にnyco、反対面にP837編物を重ね合わせてMVTRを測定した。これらの測定を各場合について行い、平均MVTR値を表5に報告する。
【0098】
通気性連続親水性ポリマー被膜を片面に有する微孔質フィルムを上述の微孔質フィルムの代わりに使用したことを除き、比較サンプルをこの例に実質的に従って作製した。親水層を米国特許第6074738号に従ってコーティングした。上述の炭素機能層を(親水性ポリマー面が炭素に向かうようにして)このフィルムと各面で重ね合わせた。さらにこの構造体の片面にnyco布帛、反対面にP837編物を重ね合わせた。このパッケージのMVTRを測定した。結果は表5に含まれている。
【0099】
【表5】

【0100】
この結果は、微孔質フィルムを有する構造体は微孔質フィルムのないサンプルと比べて同等のMVTRを有することを示している。連続通気性ポリマー層を有するサンプルにおいてMVTRの減少が観察されている。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施態様における防護被覆の横断面図である。
【図2】被覆を通る気体の連続した通路を描いた、本発明の防護被覆の横断面図である。
【図3】シェル布帛及びライナー布帛層を有する、本発明の一実施態様における防護被覆の横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの微孔質フィルム、及び
そこに取り付けられた機能層
を含む防護被覆であって、少なくとも1つの微孔質フィルムが疎油性である、空気透過性を有する防護被覆。
【請求項2】
少なくとも1つの微孔質フィルムが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項3】
少なくとも1つの微孔質フィルムが、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む疎油性被膜を含んでなる、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項4】
前記微孔質ePTFEフィルムが、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む疎油性被膜を含んでなる、請求項2に記載の防護被覆。
【請求項5】
少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が4以上である、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項6】
少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が6以上である、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項7】
前記機能層が前記少なくとも1つの微孔質フィルムに不連続のアタッチメントによって取り付けられている、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項8】
少なくとも1つの微孔質フィルムが前記機能層に不連続の接着剤によって取り付けられている、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項9】
前記機能層が吸着機能性材料を含む、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項10】
前記吸着機能性材料が活性炭を含む、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項11】
前記機能性材料が、吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の他の材料を含む、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項12】
前記機能層がさらに活性炭を含む編物布地シートを含んでなる、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項13】
前記機能層がさらに活性炭を含む連続気泡フォームを含んでなる、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項14】
前記機能層が活性炭を200g/m2未満含む、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項15】
前記機能層が活性炭を150g/m2未満含む、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項16】
前記機能層が活性炭を100g/m2未満含む、請求項9に記載の防護被覆。
【請求項17】
シェル布帛及び裏当て材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項18】
前記防護被覆のガーレー数が120秒未満である、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項19】
前記防護被覆のMVTRが4000g/m2/日より大きい、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項20】
前記防護被覆のMVTRが6000g/m2/日より大きい、請求項1に記載の防護被覆。
【請求項21】
前記防護被覆のMVTRが2000g/m2/日より大きい、請求項17に記載の防護被覆。
【請求項22】
前記防護被覆のMVTRが4000g/m2/日より大きい、請求項17に記載の防護被覆。
【請求項23】
前記防護被覆のMVTRが6000g/m2/日より大きい、請求項17に記載の防護被覆。
【請求項24】
第1及び第2の微孔質フィルム、及び
その間に含まれる活性炭含有シートを含んでなる機能層
を含む防護被覆であって、120ガーレー秒未満の空気透過性を有する防護被覆。
【請求項25】
前記微孔質フィルムの少なくとも1つが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項26】
前記活性炭含有シートが少なくとも1つの微孔質フィルムに不連続のアタッチメントによって取り付けられている、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項27】
少なくとも1つの微孔質フィルムが前記機能層に不連続の接着剤によって取り付けられている、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項28】
前記機能層が、吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の他の機能性材料を含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項29】
前記活性炭含有シートが編物布地シートを含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項30】
前記活性炭含有シートがフォームを含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項31】
前記機能層が活性炭を200g/m2未満含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項32】
シェル布帛及び裏当て材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項33】
水蒸気透過量が4000g/m2/日より大きい、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項34】
水蒸気透過量が6000g/m2/日より大きい、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項35】
前記機能層が活性炭を100g/m2未満含む、請求項24に記載の防護被覆。
【請求項36】
第1及び第2の微孔質フィルム、及び
その間に含まれる機能層
を含む防護被覆であって、少なくとも1つの微孔質フィルムが疎油性である、空気透過性を有する防護被覆。
【請求項37】
少なくとも1つの微孔質フィルムが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項38】
少なくとも1つの微孔質フィルムが、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む疎油性被膜を含んでなる、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項39】
少なくとも1つのePTFEフィルムが、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む疎油性被膜を含んでなる、請求項37に記載の防護被覆。
【請求項40】
少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が4以上である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項41】
少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が6以上である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項42】
前記機能層が少なくとも1つの微孔質フィルムに不連続のアタッチメントによって取り付けられている、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項43】
少なくとも1つの微孔質フィルムが前記機能層に不連続の接着剤によって取り付けられている、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項44】
前記機能層が吸着機能性材料を含む、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項45】
前記吸着機能性材料が活性炭を含む、請求項44に記載の防護被覆。
【請求項46】
前記機能性材料が、吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の他の材料をさらに含む、請求項44に記載の防護被覆。
【請求項47】
前記機能層がさらに活性炭を含む編物布地シートを含んでなる、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項48】
前記機能層がさらに活性炭を含む連続気泡フォームを含んでなる、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項49】
前記機能層が活性炭を200g/m2未満含む、請求項45に記載の防護被覆。
【請求項50】
前記機能層が活性炭を150g/m2未満含む、請求項45に記載の防護被覆。
【請求項51】
前記機能層が活性炭を100g/m2未満含む、請求項45に記載の防護被覆。
【請求項52】
シェル布帛及び裏当て材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項53】
前記防護被覆のガーレー数が120秒未満である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項54】
前記防護被覆のMVTRが4000g/m2/日より大きい、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項55】
前記防護被覆のMVTRが6000g/m2/日より大きい、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項56】
疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面をディーゼル燃料で汚染した後の2CES透過量が50μg/cm2未満である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項57】
疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面を皮脂で汚染した後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項58】
6回の洗濯/乾燥サイクル後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項36に記載の防護被覆。
【請求項59】
第1及び第2の疎油性微孔質フィルム、及び
その間に含まれる活性炭含有シート
を含む防護被覆であって、活性炭を200g/m2未満含み、ガーレー数が120秒未満の空気透過性を有する防護被覆。
【請求項60】
前記第1及び第2の微孔質フィルムが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項61】
前記活性炭含有シートが前記微孔質フィルムに接着剤で接着されている、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項62】
少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が4以上である、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項63】
前記少なくとも1つの微孔質フィルムのオイル等級が6以上である、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項64】
前記第1及び第2の疎油性微孔質フィルムのオイル等級が4以上である、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項65】
前記活性炭含有シートが炭素を150g/m2未満含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項66】
前記活性炭含有シートが炭素を100g/m2未満含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項67】
前記活性炭含有シートが、吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項68】
前記活性炭含有シートが編物布地を含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項69】
前記活性炭含有シートが連続気泡フォームを含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項70】
前記活性炭含有シートが前記微孔質フィルムに不連続のアタッチメントによって取り付けられている、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項71】
シェル布帛及び裏当て材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項59に記載の防護被覆。
【請求項72】
前記防護被覆のMVTRが2000g/m2/日より大きい、請求項71に記載の防護被覆。
【請求項73】
前記防護被覆のMVTRが4000g/m2/日より大きい、請求項71に記載の防護被覆。
【請求項74】
前記防護被覆のMVTRが6000g/m2/日より大きい、請求項71に記載の防護被覆。
【請求項75】
ディーゼル燃料で汚染した後の2CES透過量が50μg/cm2未満である、請求項71に記載の防護被覆。
【請求項76】
皮脂で汚染した後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項75に記載の防護被覆。
【請求項77】
第1及び第2の微孔質フィルム、
該微孔質フィルムの間に含まれる機能層、
該第1の微孔質フィルムに隣接しかつ該機能層の反対にある少なくとも1つの第1の追加材料、並びに
該第2の微孔質フィルムに隣接しかつ該機能層の反対にある少なくとも1つの第2の追加材料
を含む防護被覆であって、該微孔質フィルムの少なくとも1つが疎油性である、空気透過性を有する防護被覆。
【請求項78】
前記第1及び第2の微孔質フィルムの少なくとも1つのオイル等級が4以上である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項79】
前記第1及び第2の微孔質フィルムの少なくとも1つのオイル等級が6以上である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項80】
シェル及び裏当て材料から選択される少なくとも1つの追加材料の層をさらに含む、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項81】
前記微孔質フィルムの少なくとも1つが延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項82】
前記第1及び第2の微孔質フィルムがePTFEを含む、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項83】
前記第1及び第2の微孔質フィルムの少なくとも1つが、フルオロアクリレート、フッ素化ポリエーテル、フルオロウレタン、フルオロシリコーン及び非晶質フルオロポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む疎油性被膜を含んでなる、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項84】
前記機能層が吸着機能性材料を含む、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項85】
前記機能層が活性炭を含む、請求項84に記載の防護被覆。
【請求項86】
前記機能層が、吸着性及び反応性材料から選択される少なくとも1種の追加材料をさらに含む、請求項84に記載の防護被覆。
【請求項87】
前記機能層が炭素を200g/m2未満含む、請求項85に記載の防護被覆。
【請求項88】
前記機能層が炭素を150g/m2未満含む、請求項85に記載の防護被覆。
【請求項89】
前記機能層が炭素を100g/m2未満含む、請求項85に記載の防護被覆。
【請求項90】
前記機能層がフォームシートを含む、請求項85に記載の防護被覆。
【請求項91】
前記機能層が編物布地を含む、請求項85に記載の防護被覆。
【請求項92】
前記機能層が前記微孔質フィルムに不連続のアタッチメントによって取り付けられている、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項93】
前記機能層が前記微孔質フィルムに接着剤によって取り付けられている、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項94】
前記防護被覆のガーレー数が120秒未満である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項95】
疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面をディーゼル燃料で汚染した後の2CES透過量が50μg/cm2未満である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項96】
疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面を皮脂で汚染した後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項95に記載の防護被覆。
【請求項97】
6回の洗濯/乾燥サイクル後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項98】
疎油性微孔質フィルムを有する防護被覆面をディーゼル燃料で汚染した後の2CES透過量が20μg/cm2未満である、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項99】
水蒸気透過量が2000g/m2/日より大きい、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項100】
水蒸気透過量が4000g/m2/日より大きい、請求項77に記載の防護被覆。
【請求項101】
水蒸気透過量が6000g/m2/日より大きい、請求項77に記載の防護被覆。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−500205(P2008−500205A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515247(P2007−515247)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018124
【国際公開番号】WO2005/118280
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】