説明

化石燃料燃焼排ガス中のNOxの選択的接触還元のための高温触媒及びプロセス

排ガスの希釈を必要とすることなく、300℃〜700℃超の運転温度で燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元するための安定な高温触媒を生産するプロセス。ゼオライト材料が、ゼオライトを部分的に脱アルミニウム化してほぼ定常状態とするのに十分であるがその化学構造を完全に崩壊させるには十分ではない温度及び継続時間で、蒸気処理される。鉄がゼオライト材料に添加される。ゼオライト材料は、そのゼオライト材料を安定化するのに十分な温度、湿度及び継続時間で焼成される。蒸気処理ステップ、焼成ステップ及び他のステップの範囲、順序及び継続時間についての例及び詳細が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、300℃〜600℃超の温度の燃焼排ガス中で、NH等の還元剤を使用して、NOを還元するための触媒及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
選択的接触還元(SCR)は、複合サイクル発電所及び単純サイクル発電所並びに石炭燃焼ボイラからの窒素酸化物(NO)排出を低減する技術である。そのプロセスは、触媒反応器の上流で排ガスにNHを注入することを伴う。触媒床内で、NOは、Oの存在下で、吸着されたNHと反応して、主にN及び水を形成する。そのプロセスで採用される従来の触媒は、高表面積TiO上に担持されたVからなる。そのプロセスは、低温〜中温の反応温度(300℃〜420℃)において、最高90〜95%までのNO還元効率を達成する。従来のSCRプロセスは、80〜90%のNO還元に一致する化学量論的NH/NO比で操作される。より高いNH/NO比で操作すると、NO還元効率が向上するが、2〜5ppm未満に抑える必要のある場合が多い、アンモニアスリップが犠牲になる。NHスリップは、雰囲気中への窒素化合物排出の一因となり、SCRの下流において、腐食性の硫酸アンモニウム及び重硫酸アンモニウムの形成を引き起こす。これらの化合物は、また、熱回収蒸気発生器(HRSG:heat recovery steam generator)内の熱交換面を塞ぐ恐れがある。
【0003】
複合サイクル発電所では、SCR反応器は、HRSGに組み込まれる。この方式では、50〜100%負荷の標準的な運転条件下の触媒温度は、300℃〜370℃の間である。しかし、単純サイクル発電所では、高効率ガスタービンから出ていく排ガスの温度は、600℃を超えることがある。タービンエンクロージャの後に何らかの熱交換表面がないときには、アンモニアとNOとの間の反応は、これらの高温に直面する。このことから、ガスタービンの排ガス温度が10分といった短い時間でその最高値に達するので、高温及び熱衝撃に対して耐久性のあるSCR触媒が必要である。
【0004】
排ガスが高温であるので、500℃を上回る温度でのアンモニアの実質的な分解を最小限に抑えるために、NH注入面とSCRの面との間の距離の縮小が必要となる。アンモニア注入グリッドとSCRの面との間の距離が短いので、アンモニア及びNOの上流での混合のための縮小領域(shrinking zone)に起因する分散不良の問題を軽減するために、特別な分配/混合デバイスの設置が必要となる。
【0005】
550℃を上回る温度のガスタービンの下流にV/TiO SCR触媒を配置することは、煙道ガスの温度が、高表面積アナターゼ相から低表面積ルチル相へのTiOの変態により、V/TiO触媒を急速に失活させるので、実現可能ではない。
【0006】
/TiO SCR触媒の代替物として、酸性化し、金属含浸を施した、ゼオライトベースのSCR触媒が、研究されてきた(ファルノス(Farnos)ら、1996;パヴレスク(Parvulescu)ら、1998;スティーブンソン(Stevenson)及びヴァルチュリ(Vartuli)、2002;チー(Qi)及びヤン(Yang)、2004)。ゼオライトベースの触媒は、それらがV/TiO SCR触媒に優る利点、即ち、より広い運転温度範囲、より高い熱安定性及び使用済触媒に付随する廃棄問題の軽減、をもたらすという理由から、研究されている。多くのタイプのゼオライトがNHとNOとの間の反応を促進することが判明しているが(ロング(Long)及びヤン(Yang)、2002;デラヘイ(Delahay)ら、2004;モレノ=トスト(Moreno−Tost)ら、2004;リュー(Liu)及びテン(Teng)、2005)、ゼオライトZSM−5及びゼオライトベータが、最も有望と思われる。V/TiO SCR触媒とは異なり、ゼオライトベースの触媒は、NOを効果的に酸化することができない。従って、NOをNOに酸化するために、鉄、コバルト等の金属機能(metal function)が酸性化ゼオライトに添加され、これは、以下の反応スキームに従って分解される(ロング(Long)及びヤン(Yang)、2002):
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】
【化4】

【0011】
反応シーケンスにおける速度制限段階は、NOからNOへの酸化である。式1〜式4において、アンモニアは、ゼオライト表面上のブレンステッド酸サイト上に急速に吸着されて、吸着されたアンモニウムイオンを生成する。NOは、金属機能(酸化鉄)上で酸化されて、NOを生成する。NOは、吸着されたアンモニウムイオンと相互作用して、吸着された亜硝酸アンモニウム錯体を形成し、この錯体がNOと反応して分解してN及びHOを生成し、かくして、触媒サイクルが完了する。全体の反応は、従来のV/TiO SCR触媒の反応と同一である。
【0012】
【化5】

【0013】
トラン(Tran)ら(特許文献1及び特許文献2)は、NHを使用したNOの選択的接触還元における、鉄交換ゼオライトベータ及び鉄/セリウム交換ゼオライトベータの使用について報告している。その触媒は、セリウムを使用してゼオライトベータをイオン交換し、その後、鉄でイオン交換することによって、調製された。その触媒は、セリウムの添加なしに調製された材料よりも安定性が向上された。トラン(Tran)らは、また、650℃、10%HOでの、2時間に亘る蒸気処理によって安定性が改善されたことについても報告している。全ての事例で、触媒材料は、時間経過により活性を失う。
【0014】
アブシル(Absil)ら(特許文献3)は、リンを使用して処理したときのゼオライトベータの耐久性改善について報告している。得られた材料は、接触分解研究中、安定性及び活性の向上を示した。ゼオライトを高温の水蒸気に曝露すると、骨格アルミニウムの除去を引き起こす。但し、一部の条件下での水熱処理は、ゼオライトの構造的安定性及び酸性度の両方を高めることが知られている(カー(Kerr)ら、1970;ブレック(Breck)、1974;チェン(Chen)及びマクレン(McCullen)、1988;スティーブンソン(Stevenson)ら、2002)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6689709号明細書
【特許文献2】米国特許第6914026号明細書
【特許文献3】米国特許第5710085号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】K・J・ロジャース(K.J.Rogers)、NOx制御のための選択的接触還元及び選択的非触媒還元についての2002会議会報(Proceedings of the 2002 Conference on Selective Catalytic Reduction and Selective Non-Catalytic Reduction for NOx Control)、米国エネルギー省(US DOE)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以上の改善にもかかわらず、従来の触媒は、約550℃を上回る温度では、不安定であり、NO除去効率が十分ではない。
【0018】
従って、それらの触媒は、より低温の空気で排ガスを希釈しなければ、単純サイクル発電所等で、直接ガスタービン排ガス中のNO排出を効率的に低減することができない。しかし、排ガスの希釈は、全体のガスタービン効率を著しく低下させ、費用効果の高い選択肢ではない。
【0019】
本発明について、以下の記載で諸図面を考慮して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】排ガスが選択的接触還元によって浄化される、ガスタービンの概略図である。破線は、いくつかの曲線について、それらの曲線を他の交差する曲線と区別するために使用されている。
【図2】試験を実施した本発明の8つの例及び本発明による改良なしのベースライン例について、経時的なNO還元効率を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、空気入口22、燃料入口24、ガスタービン26、燃焼排ガス28、還元剤(アンモニア)入口30、選択的接触還元床32及び浄化された排ガス34を備えた、ガスタービンシステム20を示す。SCR床32の表面から短い距離のところに配置されたアンモニア分配グリッド内に設置されたノズルを通じて、アンモニアが注入される。アンモニア注入グリッドとSCRの面との間の短い距離は、550℃を上回る高温の排ガスにおけるアンモニアの分解を最小限に抑えるために、必要とされる。結果として、短いNH/NO混合ゾーンが、深刻な分布不良効果を引き起こす恐れがあり、SCR下流の性能を著しく低下させる恐れがある。この問題を克服するために、SCRの上流でNHとNOとの良好な混合をもたらすように、SCR床の上流に特別な分配/直線化及び混合デバイスを設置する必要がある。このような混合デバイスは、従来技術でよく知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0022】
本発明者らは、生産プロセスを工夫して高温における触媒安定性を改善し、図2に示したように劇的な成果を達成した。下記実施例1に記載した既知の方法によって、ベースライン触媒を生産した。ベースラインサンプルについての605℃におけるNO除去効率が、曲線E1によって表されている。他の8つの触媒は、以下の実施例2〜9に従って調製した。それらのNO除去効率は、それぞれ、曲線E2〜E9によって表されている。ベースライン曲線E1は、常に降下し続け、決して安定しない。対照的に、本発明の諸実施例は、長時間に亘って、完全な又は大きく改善された安定性を示す。本発明のサンプルでは、アンモニアスリップが低減されており、これについては以下の表に詳細に記載する。調製プロセスにおいて或る特徴的な範囲を使用して、以下の3つのステップを組合せて調製された触媒だけが、最良の改善を示した。
【0023】
本発明の基本的側面は、(1)ゼオライトの蒸気処理、(2)蒸気処理されたゼオライトの細孔容積への鉄の添加及び(3)高温焼成によって、金属含有ゼオライト触媒材料を調製することである。上記諸ステップの順序及び数は、以下で例示するように、変えることもできる。全ての実施例において、500℃〜600℃、5〜15時間に亘る蒸気処理後に、750℃〜900℃、1〜5時間に亘る高温焼成を実施した。本発明者らは、ステップ2において様々な代替的な卑金属又は白金族金属を使用でき、それらのうちの少なくともいくつかが同様の効率を示すことを、期待した。しかし、高温において安定性を最良とするためには、少なくとも鉄が不可欠であることが分かった。後述するように、鉄に加えて他の金属を添加して、強化してもよい。
【0024】
本発明の一側面によれば、ゼオライト、例えば、ゼオライトY、ゼオライトベータ及び/又はゼオライトZSM−5、が初めに高温で蒸気(例えば、水蒸気)処理される。約400℃を超える温度の水蒸気へのゼオライトの曝露は、ゼオライトを不安定化することが知られており(ブレック(Breck)、1974)、従って、本発明のこのステップは、直観に反するように思われる。水蒸気への曝露は、ゼオライトの脱アルミニウム(骨格アルミニウムの除去)を引き起こす。ゼオライトの脱アルミニウムは、以下の反応によって起こる(ブレック(Breck)、1974):
【0025】
【化6】

【0026】
上記処理は、水酸化アルミニウム及び「ヒドロキシルネスト(hydroxyl nest)」の形成、即ち、ヒドロキシル基による骨格ケイ素原子の終結に至るゼオライト格子内の欠陥、を引き起こす。処理条件が極端なものではない場合、蒸気曝露時の脱アルミニウムの程度は、出発ゼオライトのSiO/Al比、曝露温度、空気中の水蒸気の濃度及び曝露の継続時間によって定まる骨格アルミナの残存量を有する、定常状態に達するであろう。条件が極端なものである場合、ゼオライト構造全体が崩壊することになる。従って、本明細書で必要とされる結果を与えるためには、温度、水蒸気及び継続時間の最適な範囲が必要である。
【0027】
ここでのゼオライト(例えば、ゼオライトベータ)の蒸気処理は、約400℃〜約800℃の間、好ましくは500℃〜600℃の間、の温度で、約5%〜100%の間、好ましくは約10%〜25%の間、の水蒸気を用いて、30分間〜48時間、好ましくは2時間〜24時間、より好ましくは5時間〜15時間、に亘って実施することができる。
【0028】
蒸気処理後、ゼオライトには、好ましくは、式2に記載のようにNOからNOへの酸化を触媒するために必要な鉄が充填される。また、タングステン、ランタン、セリウム、バリウム、バナジウム、リン、セシウム等の促進剤をこの時点で添加することができる。ゼオライトへの金属の充填に使用される技術としては、これだけに限るものではないが、イオン交換、含浸及び金属蒸着が挙げられる。これらの技術は、当該技術分野で公知である。
【0029】
或いは、触媒は、初めに金属充填ステップを実施し、その後、蒸気処理を行うことによって、調製することもできる。或いは、蒸気処理に先立って金属の一部分及び/又は特定の金属を組み込み、蒸気処理後に残りの金属を組み込んでもよい。
【0030】
金属充填後、ゼオライトは、高められた温度の乾燥空気(2%未満のHO)中で焼成することによって安定化される。高温焼成は、本明細書に開示の触媒の調製における重要なステップである。焼成は、約500℃〜1100℃、好ましくは約750℃〜900℃の間、で実施される。焼成の継続時間は、約30分間〜約72時間、好ましくは約1時間〜5時間である。
【0031】
この高温焼成は、ゼオライトの脱ヒドロキシル化、即ち、ヒドロキシルネストからの水の除去、を生じる。何らの理論に拘束されることを望むものではないが、高温での熱処理は、「欠陥」部位を閉じ、それにより単位セルのサイズを縮小させることによって、ゼオライトを安定化させると考えられている。
【0032】
【化7】

【0033】
更に、高温焼成に先立ってゼオライト内に金属を導入することによって、触媒金属又は、その一部分が欠陥部位に導入されて、高度に安定化した金属相を生じると考えられている。
【0034】
材料調製中のある時点で、NOをNOに酸化する(式2)ために必要な触媒金属、特に鉄、を触媒に組み込まなければならない。金属は、触媒製造中のいくつかのステップで組み込んでもよい。例えば、酸化機能又は安定化機能のいずれかを与える金属を、高温焼成に先立って、蒸気処理前又は蒸気処理後に組み込むことができる。あまり好ましくはないが、金属は、高温焼成後に、ゼオライトに組み込むこともでき、又はゼオライトのウォッシュコーティングに用いられる結合剤に添加することもできる。この最後の技術によって、金属又はその一部分を、結合剤の格子に組み込むことができる。結合剤の例としては、当該技術分野で公知のように、アルミニウム、ジルコニウム及びシリコンベースの材料が挙げられる。やはりあまり好ましくはないが、金属は、例えば、ビーズ、リング、球体、押出物、顆粒、モノリス、ウォッシュコートされたモノリス等の、成形された材料へと、調製された後に、触媒に添加することができる。
【0035】
ゼオライトベータは、約10〜100超の範囲、好ましくは約15〜約25の範囲、に亘るシリカ対アルミナ(SiO/Al)比で、合成することができる。触媒中に用いられる酸化用金属のタイプ及び濃度は、変えることもできる。式2のための酸化用金属の例としては、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅等の卑金属が挙げられ、白金族金属の例としては、白金及びパラジウムが含まれる。それらの混合物も、また、使用することができる。式2のようにNOからNOへの酸化を促進するために必要な金属を選択する際には、金属のタイプ及び金属の充填量は、触媒の運転温度によって決まることになる。運転温度が上昇するにつれて、特に、プロセスの温度が約450℃を超えると、酸化用金属によるNHの分解は顕著になり、プロセスの温度が約550℃を超えると、より顕著になる。
【0036】
結果として、酸化用金属のタイプ及び濃度は、かなり変えることもできる。従って、卑金属の充填量は、0.01%と低くすることもでき、又は約10%と高くすることもできる。より反応性の高い酸化触媒であることで知られている、白金族金属の充填量は、0.001%という低いものから1%という高いものまでにすることができる。触媒組成への白金族金属の添加は、また、CO及び非メタン炭化水素の分解を促進すると予想される。
【0037】
促進剤及び安定化剤を触媒に加えることによって、ゼオライトの構造的完全性を安定化させ、ゼオライトのブレンステッド酸性度を安定化させ、酸化用金属を安定化させ、ゼオライトの全体的な酸性度を高め、及び/又は、開始時のゼオライトの孔隙内でのコークス形成を低減することができる。このような剤としては、タングステン、バナジウム、ランタン、セリウム、リン、バリウム、ジルコニウム及びセシウム、又はそれらの混合物が挙げられる。金属の濃度及びタイプは、変えることもできる。例えば、濃度は、0.01%という低いものにすることもでき、また、10%という高いものにすることもでき、好ましくは、0.3%〜3%の間である。促進剤は、また、結合剤材料の水熱安定性を高めるために、触媒の調製の際に用いられる結合剤に加えることができる。
【0038】
本発明に記載の触媒は、触媒とプロセス流れとの間の接触をもたらすのに十分な様々な幾何学的形態で用いることができる。これらの形態としては、ビーズ、リング、球体、顆粒等が挙げられる。或いは、触媒は、モノリスとして押し出すこともでき、又は、例えば以上で列挙したような幾何学的形態の表面上にウォッシュコートすることもできる。好ましくは、触媒は、セラミックモノリスの外表面上にウォッシュコートすることができる。モノリスは、例えば、一連の真直な非相互連結チャンネルを有する、ハニカム形態であってもよい。モノリスの表面上に、当該技術分野で「ウォッシュコート」と呼ばれる、触媒材料の薄いコーティングが堆積される。モノリスは、低い熱質量、触媒材料の優れた利用、低い圧力降下及び予測可能な流れ特性を始めとする、いくつかの利点を提供する。
【0039】
本明細書に記載の触媒を使用する本発明のSCRプロセスは、NO(NOとNOとの混合物)と、好ましくはNH等の、還元剤との間の反応を促進するのに必要な方式で、燃焼排ガス流れと触媒とを接触させることを含んでなる。反応温度は、約300℃から700℃超まで、好ましくは500℃〜650℃、より好ましくは550℃〜620℃に、変化させることができる。ガスの毎時空間速度(GHSV:gas hourly space velocity)は、毎時約2,000体積から150,000体積超まで、好ましくは毎時6,000体積〜50,000体積、更に好ましくは毎時15,000体積〜30,000体積、に変えることができる。プロセス流れ中のNOの濃度は、10ppm未満から数百ppm超までに亘ることができる。
【実施例】
【0040】
以下の諸実施例で報告する全てのゼオライトベータは、アンモニウム形態で得られ、使用前に焼成して有機鋳型剤を除去した。
【0041】
実施例1
蒸気なし、僅かな焼成によって得られたFeを含むベースラインゼオライトベータ
ベースラインの鉄含有ゼオライトベータは、焼成したゼオライトベータ15gを、100mlビーカーに加えることによって調製した。そのビーカーに、蒸留(DI)水60ml、酢酸ジルコニウム溶液15g(ZrO 20重量%)及び硝酸鉄(III)九水和物0.109g(鉄13.8重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、ゼオライトベータ1部当たり鉄0.001部を含有するスラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積21.4cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0042】
前述のベースライン触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。このベースライン触媒を、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、60ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率率及びNHの排出濃度を報告する。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例2
蒸気、焼成、Fe添加によって得られた0.6%Feを含むゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ18gを、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露し、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。得られたゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト17.6gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水50ml及び硝酸鉄(III)九水和物0.764g(鉄13.8重量%)を加えた。1時間後、酢酸ジルコニウム溶液17.6gをスラリーに加え、次いで混合した(ZrO 20重量%)。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積26.2cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0045】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を、評価した。この触媒を、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例3
Fe添加、蒸気、焼成によって調製した、0.6%Feを含むゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ25gを、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水50mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物1.0853g(鉄13.8重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。3時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られた材料を、DI水で洗浄し、再び濾過した。乾燥した材料を、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露し、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。蒸気処理後、材料は茶色であった。高温焼成後、材料は白色になった。
【0048】
得られた材料粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト20.0gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水65ml及び酢酸ジルコニウム溶液20g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積26.2cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0049】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。注:実施例1と比較して、ゼオライトは、遥かに安定である。アンモニアスリップが実施例2よりも少なく、これは、鉄相の反応性がより高いことを示している。
【0050】
【表3】

【0051】
実施例4
蒸気、Fe添加、焼成によって調製した、0.6%Feを含むゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ20gを、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露することによって蒸気処理した。得られたゼオライト粉末を、次いで、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水100mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物0.8683g(鉄13.8重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。3時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られた材料を、DI水で洗浄し、再び濾過した。得られた乾燥した鉄含有ゼオライトを、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。蒸気処理後、材料は茶色であった。高温焼成後、材料は白色になった。
【0052】
得られた鉄含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト15.0gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水50ml及び酢酸ジルコニウム溶液15g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積26.2cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0053】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0054】
【表4】

【0055】
この触媒について、前述のプロセス流れにおいて60ppm及び70ppmのNHを用いて、NHを用いてNOを分解する能力を評価した。
【0056】
【表5】

【0057】
その触媒について、前述のプロセス流れを用いて、反応温度を変えて、60ppmの入口NHを用いて、NOを分解する能力を評価した。
【0058】
【表6】

【0059】
実施例5
0.6%のFe、5%のWを含む、ゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ50gを、500mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水400mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、メタタングステン酸アンモニウム2.6g(WO 94.0重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。4時間後、スラリーを濾過した。得られた固体を、DI水で洗浄し、次いで乾燥した。乾燥したタングステンゼオライトを、次いで、500℃で6時間に亘って15%HO/空気に曝露することによって蒸気処理し、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。
【0060】
得られたタングステン含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト15gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水80ml、硝酸鉄(III)九水和物0.661g(鉄13.8重量%)及び酢酸ジルコニウム溶液15g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、ゼオライトベータ1部当たり鉄0.006部を含有するスラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積25.9cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0061】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、60ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0062】
【表7】

【0063】
その触媒について、前述のプロセス流れを用いて、反応温度を変えて、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。
【0064】
【表8】

【0065】
その触媒について、前述のプロセス流れにおいて60ppm及び70ppmのNHを用いて、空間速度15,000、温度605℃で、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。
【0066】
【表9】

【0067】
実施例6
0.6%のFe、5%のLaを含む、ゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ100gを、800mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水700mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸ランタン九水和物15.5gを加えた。次いで、そのスラリーを95℃に加熱した。6時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られた固体を、DI水で洗浄し、次いで乾燥した。
【0068】
このランタンゼオライトベータ25gを、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水150mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物1.09g(鉄13.8重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。2時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られた固体を、DI水で洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した固体を、次いで、500℃で14時間に亘って15%HO/空気に曝露することによって蒸気処理し、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。
【0069】
得られた鉄−ランタン含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト12.25gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水60ml及び酢酸ジルコニウム溶液12.25g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積25.9cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0070】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0071】
【表10】

【0072】
実施例7
1.0%のFe、5%のLaを含む、ゼオライトベータ
実施例6のランタンゼオライトベータ25gを、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水150mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物1.81g(鉄13.8重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。3時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られた材料を、DI水で洗浄し、次いで乾燥した。乾燥した材料を、次いで、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露することによって蒸気処理し、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で焼成した。
【0073】
得られた鉄−ランタン含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト15.0gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水60ml及び酢酸ジルコニウム溶液15.0g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積25.9cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0074】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、82ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0075】
【表11】

【0076】
その触媒を、前述のプロセス流れにおいて、60ppm、70ppm及び82ppmのNHを用いて、NHを使用してNOを分解する能力について評価した。
【0077】
【表12】

【0078】
実施例8
1.0%のFe、2.5%のWを含む、ゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ26gを、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露した。得られた材料を、次いで、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水100mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物1.809g(鉄13.8重量%)及びメタタングステン酸アンモニウム1.066g(WO 94.0重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。3時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られたゼオライトを、DI水で洗浄し、再び濾過した。得られた乾燥した鉄−タングステン含有ゼオライトを、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で再び焼成した。蒸気処理後、材料は茶色であった。高温焼成後、材料は白色になった。
【0079】
得られた鉄−タングステン含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト23.0gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水70ml及び酢酸ジルコニウム溶液23g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積26.2cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0080】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0081】
【表13】

【0082】
その触媒について、前述のプロセス流れを用いて、反応温度を変えて、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。
【0083】
【表14】

【0084】
その触媒について、前述のプロセス流れを用いて、反応温度を変えて、60ppmの入口NHを用いてNOを分解する能力を評価した。
【0085】
【表15】

【0086】
触媒を、次いで、温度605℃において、70ppmの入口NHで前述のプロセス流れを用いて、空間速度15,000時間−1で評価した。
【0087】
【表16】

【0088】
触媒を、次いで、温度605℃において、60ppmの入口NHで前述のプロセス流れを用いて、空間速度15,000時間−1で評価した。
【0089】
【表17】

【0090】
実施例9
1%のFe、1%のPを含む、ゼオライトベータ
焼成したゼオライトベータ25gを、525℃で5時間に亘って15%HO/空気に曝露することによって、蒸気処理した。得られたゼオライト粉末を、次いで、200mlビーカーに加えた。そのビーカーにDI水100mlを加え、スラリーを撹拌した。得られたスラリーに、硝酸鉄(III)九水和物1.881g(鉄13.8重量%)及びリン酸アンモニウム1.066g(リン23.4重量%)を加えた。次いで、そのスラリーを90℃に加熱した。3時間後、スラリーを取り出し、濾過した。得られたゼオライトを、DI水で洗浄し、再び濾過した。得られた乾燥した鉄−リン含有ゼオライトを、次いで、825℃で2時間に亘って乾燥空気中で再び焼成した。蒸気処理後、材料は茶色であった。高温焼成後、材料は白色になった。
【0091】
得られた鉄−リン含有ゼオライト粉末を使用して、モノリス触媒を調製した。上記ゼオライト22.44gを、100mlビーカーに加えた。そのビーカーに、DI水70ml及び酢酸ジルコニウム溶液22.44g(ZrO 20重量%)を加えた。得られた溶液を混合して、スラリーを形成した。そのスラリーを使用して、セル密度230セル/in、体積25.9cmの、1片のモノリスをウォッシュコートした。ウォッシュコート後、そのモノリスを乾燥し、次いで、525℃で1時間に亘って焼成した。
【0092】
前述の触媒について、NHを使用してNOを分解する能力を評価した。その触媒は、10%のO、6.8%のHO、50ppmのNO、70ppmのNH及び残部のNからなる供給流れを用いて、空間速度20,000時間−1で、605℃において評価した。以下の表は、時間の関数として、NOの転換率及びNHの排出濃度を報告する。
【0093】
【表18】

【0094】
これらの諸実施例は、本発明の触媒が、高温の燃焼ガスを処理する際に、従来技術に優る改善された安定性をもたらすことを実証している。従来の触媒とは異なり、本発明の触媒を使用して、550℃超における安定した長期運転の間、NOの排出を約2〜5ppmに低減することができる。用途としては、これだけに限るものではないが、発電所等の燃焼排ガスの固定源の処理、及び、ディーゼル排ガス等n移動源の処理が挙げられる。
【0095】
本発明の様々な実施形態を、本明細書で示し、記載したが、そのような諸実施形態が単に一例として与えられるにすぎないことが明らかである。本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更及び置換を行うことができる。従って、本発明は、特許請求の範囲の趣旨及び範囲によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0096】
20 ガスタービンシステム
22 空気入口
24 燃料入口
26 ガスタービン
28 燃焼排ガス
30 還元剤(アンモニア)入口
32 選択的接触還元床
34 浄化された排ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ゼオライト材料を約500℃〜600℃で約5〜15時間に亘って蒸気処理する工程;
b)0.01%〜10%の間の鉄充填量で、前記ゼオライト材料に鉄を添加する工程;及び
c)前記ゼオライト材料を約750℃〜900℃で約1〜5時間に亘って焼成する工程;によって触媒を調製し、
ここで、工程a)及び工程b)の順序は変えてもよく、その後に工程c)が続き、
500℃超で燃焼排ガス流れに60〜82ppmのアンモニアを混入し、
前記排ガス流れの中のNO及びNOと前記アンモニアとの間の反応を促進するために必要な方式で、前記燃焼排ガス流れを前記触媒と500℃〜650℃で接触させる、
ことを含んでなる燃焼排ガス流れの中のNOの選択的接触還元プロセス。
【請求項2】
ゼオライト材料を約400℃〜800℃で蒸気処理すること;
0.01%〜10%の間の鉄充填量で、前記ゼオライト材料に鉄を添加すること;及び、
前記ゼオライト材料を約500℃〜1,100℃で焼成すること;
を含んでなり、
ここで、上記各ステップの順序を変えてもよい、
燃焼排ガス中のNOの還元のための触媒を調製するプロセス。
【請求項3】
少なくとも1つの蒸気処理が、500℃〜600℃で約5〜15時間に亘って実施され、その後、800℃〜900℃で1〜5時間に亘って少なくとも1つの焼成が実施される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも2つの焼成ステップを含んでなり、そのうちの少なくとも1つの焼成ステップが、750℃〜900℃の範囲内で約1〜5時間に亘って実施され、少なくとも最後の焼成ステップが、鉄添加ステップ後に実施される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記焼成ステップの前に、前記ゼオライト材料にタングステン及び/又はリンを添加することを更に含んでなる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記蒸気処理が、約500℃〜600℃で約5〜15時間に亘って、約10〜25%の水蒸気を含む空気中で実施され、前記焼成が、約750℃〜900℃で約1〜5時間に亘って、約2%未満の水蒸気を含む空気中で実施される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
請求項1に従って調製された触媒を液体と混合してスラリーを形成すること;
前記スラリーで触媒コンバータ床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた床フォームを焼成して、触媒コンバータ装置のための触媒床を製造すること、
を更に含んでなる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
アルミノシリケートゼオライト材料に鉄を添加すること;
前記ゼオライト材料をほぼ定常状態へと部分的に脱アルミニウムするのに十分であるが前記ゼオライト材料の化学構造を完全に崩壊させるには十分ではない温度及び継続時間で、前記ゼオライト材料を蒸気処理すること;
前記ゼオライト材料を安定化するのに十分な温度、湿度及び継続時間で、前記ゼオライト材料を焼成すること;を含んでなり、
ここで、上記各ステップの順序を変えてもよい、
燃焼排ガス中のNOの還元のための触媒を調製するプロセスであって、
これによって、300℃〜700℃超の温度で燃焼排ガス中のNOをN及びHOに転換するための安定で効率的な触媒を作り出す、プロセス。
【請求項9】
少なくとも1つの蒸気処理が、500℃〜600℃で約5〜15時間に亘って実施され、その後、800℃〜900℃で約1〜5時間に亘って少なくとも1つの焼成が実施される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ゼオライトベータ材料を約525℃で約5時間に亘って蒸気処理すること;
前記ゼオライトベータ材料を約825℃で約2時間に亘って焼成すること;
前記ゼオライトベータを鉄(III)九水和物と水中で混合して、スラリーを形成すること;
約1時間後、前記スラリーに酢酸ジルコニウムを混合すること;
前記スラリーで触媒床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた触媒床フォームを約525℃で約1時間に亘って焼成して、触媒床を形成すること、
を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
ゼオライトベータ材料を約525℃で約5時間に亘って蒸気処理すること;
前記ゼオライトベータ材料を鉄(III)九水和物と水中で混合して第1のスラリーを形成すること;
前記第1のスラリーを約90℃に加熱すること;
約3時間後、前記第1のスラリーを約825℃で約2時間に亘って焼成して、鉄含有ゼオライト材料を形成すること、
を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記鉄含有ゼオライト材料を酢酸ジルコニウムと水中で混合して、第2のスラリーを形成すること;
前記第2のスラリーで触媒床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた触媒床フォームを約525℃で約1時間に亘って焼成して、触媒床を形成すること、
を更に含んでなる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ゼオライトベータ材料を硝酸ランタン九水和物と水中で混合して、第1のスラリーを形成すること;
前記第1のスラリーを約6時間に亘って約95℃に加熱すること;
得られたゼオライト材料を鉄(III)九水和物と水中で混合して、第2のスラリーを形成すること;
前記第2のスラリーを約2時間に亘って約90℃に加熱すること;
得られたゼオライト材料を約500℃で約14時間に亘って蒸気処理すること;
得られたゼオライト材料を約825℃で約2時間に亘って焼成して、ランタンゼオライトベータ材料を形成すること、
を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ランタンゼオライトベータ材料及び追加の硝酸鉄(III)九水和物を水と混合して、第3のスラリーを形成すること;
前記第3のスラリーを約90℃に加熱すること;
約3時間後、得られたゼオライト材料を約525℃で約5時間に亘って蒸気処理すること;及び、
得られたゼオライト材料を約825℃で約2時間に亘って焼成して、鉄−ランタン含有ゼオライト材料を形成すること、
を含んでなる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記鉄−ランタン含有ゼオライト材料を酢酸ジルコニウムと水中で混合して、第4のスラリーを形成すること;
前記第4のスラリーで触媒床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた触媒床フォームを約525℃で約1時間に亘って焼成して、触媒床を形成すること、
を更に含んでなる、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
予め焼成したゼオライトベータ材料を約525℃で約5時間に亘って蒸気処理すること;
得られたゼオライト材料を鉄(III)九水和物及びメタタングステン酸アンモニウムと水中で混合して、第1のスラリーを形成すること;
前記第1のスラリーを約3時間に亘って約90℃に加熱し;及び、
得られたゼオライト材料を約825℃で約2時間に亘って焼成して、鉄−タングステン含有ゼオライト材料を形成すること、
を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項17】
前記鉄−タングステン含有ゼオライト材料を酢酸ジルコニウムと水中で混合して、第2のスラリーを形成すること;
前記第2のスラリーで触媒床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた触媒床フォームを約525℃で約1時間に亘って焼成して、触媒床を形成すること、
を更に含んでなる、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
ゼオライトベータ材料を約525℃で約5時間に亘って蒸気処理すること;
前記ゼオライトベータ材料を鉄(III)九水和物及びリン酸アンモニウムと水中で混合して、第1のスラリーを形成すること;
前記第1のスラリーを約3時間に亘って約90℃に加熱すること;
得られたゼオライト材料を約825℃で約2時間に亘って焼成して、鉄−リン含有ゼオライト材料を形成すること、
を含んでなる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項19】
前記鉄−リン含有ゼオライト材料を酢酸ジルコニウムと水中で混合して、第2のスラリーを形成すること;
前記第2のスラリーで触媒床フォームをウォッシュコートすること;及び、
前記ウォッシュコートされた触媒床フォームを約525℃で約1時間に亘って焼成して、触媒床を形成すること、
を更に含んでなる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
500℃超で燃焼排ガス流れに60〜82ppmのアンモニアを混入すること;及び、
前記排ガス流れの中のNO及びNOと前記アンモニアとの間の反応を促進するために必要な方式で、500℃〜650℃で前記燃焼排ガス流れを前記触媒床と接触させること、
を更に含んでなる、請求項10に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−510808(P2011−510808A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544936(P2010−544936)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/013812
【国際公開番号】WO2009/099426
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(599078705)シーメンス エナジー インコーポレイテッド (57)
【Fターム(参考)】