説明

化粧シート

【課題】 オレフィン系樹脂を用いた従来の化粧シートの持つ上記のような不都合を解消し、オレフィン系樹脂を用いるにもかかわらず、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートと同等の耐熱性及び耐候性、透明性を持つ化粧シートを提供する。
【解決手段】 主原料がポリプロピレン、エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色基材シート1上に、直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3が形成されている。該電離放射線硬化型樹脂中にアクリル共重合体が混合されている。本発明の化粧シート10は、熱成形性及び耐候性に優れ、電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3は従来の化粧シートのトップフィルムに比べ透明性に優れ、電離放射線硬化型樹脂層の硬化物層3と着色基材シート1との接着性に優れ、耐擦傷性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートに関し、特に、建築物の内装、建具の表面化粧、車輛内装等に用いるのに適した化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような用途に用いる化粧シートとしては、ポリ塩化ビニルフィルムを使用し、これに印刷、エンボス加工等で装飾した化粧シート(特公昭28−5036号公報、特公昭58−14312号公報等)が用いられてきたが、近年、これに代わるものとして、次のような樹脂を用いた化粧シートが提案されている。
【0003】
(I)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルムを使用した化粧シート(特開昭54−62255号公報参照)。
【0004】
(II)前記(I)の改良仕様として、極性官能基をグラフト重合させたポリオレフィン系樹脂に、オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合させたもの(特開平6−210808号公報、特表平4−504384号公報等)、あるいは、ポリオレフィン系樹脂に相溶化剤を用いてポリウレタン樹脂を混合させたもの(特開平7−26038号公報等)を使用した化粧シート。
【0005】
【特許文献1】特公昭28−5036号公報
【特許文献2】特公昭58−14312号公報
【特許文献3】特開昭54−62255号公報
【特許文献4】特開平6−210808号公報
【特許文献5】特表平4−504384号公報
【特許文献6】特開平7−26038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来提案されている上記のようなポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートは次に述べる理由で必ずしも満足できるものではない。すなわち、建築物の内外装用、建具、家具等の表面化粧用、車輛内装用等に用いる表面化粧シートには、通常、下記(1)〜(10)のような機能が要求されており、前記従来提案されているものは必ずしもこれらの要求を満足していないからである。
【0007】
(1)ポリ塩化ビニル並みの熱成形性:温度上昇に伴う、シートの弾性、伸度、粘性等の力学的パラメータが連続的に且つ穏やかに変化すること、及び加熱→冷却に伴って、強度低下等の材料力学的特性の劣化が生じないことが求められる。
【0008】
(2)耐クリープ変形性:外装材や内装材には建具や家具による定荷重が長時間かけられる場合が多く、クリープ変形が生じると、荷重部分がめくれたり剥がれたりする。従って、極力クリープ変形が生じない材料であることが求められる。
【0009】
(3)耐寒折り曲げ強度:寒冷時にVカット加工等の折り曲げ加工を行うと応力緩和が不十分な場合は、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等が生じ易くなるので、耐寒折り曲げ強度が求められる。
【0010】
(4)耐有機溶剤性:化粧シートと被着体を接着する接着剤中の溶剤により化粧シートが膨潤・変形するのを防止することが求められる。多層構造の化粧シートを得る場合も同様である。
【0011】
(5)破断時伸度、耐衝撃強度:Vカット加工時の折り曲げ部の亀裂を防止するために、この特性が求められる。
【0012】
(6)曲げ加工適性:適度な曲げ弾性率を持つこと。曲げ加工部での化粧シートの追従性を十分なものとするために必要とされる。
【0013】
(7)透明性:表面シート/絵柄/基材シートからなる化粧シートの場合、高い透明性が表面シート(トップフィルム)に求められる。
【0014】
(8)エンボス加工適性:エンボス加工等にともなう加熱と冷却が加わっても、再結晶による白化、濁りを生じないことが求められる。
【0015】
(9)易接着性:易接着性に優れることが求められる。特に、基材シートと被着体との接着の場合、より広範囲の接着剤に対して良好な接着性を持つこと、即ち、接着に対する選択肢が広いことが要望される。即ち、日光、風雨に曝露した際に、層間剥離、変褪色、亀裂等を生じ難いことが求められる。
【0016】
(10)耐候性:耐候性に優れることが求められる。
【0017】
従来の前記(I)の仕様の化粧シートは、工業的に量産が難しく、かつ、ポリオレフィン系樹脂は結晶化度が高いため等の理由から、上記の条件の内、特に、(1)、(5)〜(10)の条件は十分には満足していない。また、従来の前記(II)の仕様のものは、オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合しているので、上記(1)、(5)、(6)、(9)の条件は改善され、熱成形性、エンボス加工性等は向上するが、耐熱性、耐候性、及び透明性は不十分である。
【0018】
本発明は、オレフィン系樹脂を用いた従来の化粧シートの持つ上記のような不都合を解消することを目的としており、具体的には、オレフィン系樹脂を用いながらポリ塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートと同等の耐熱性及び耐候性、透明性を持つ化粧シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記問題点を解決するために、本発明の化粧シートは、主原料がポリプロピレン、エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色基材シート上に、直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂の硬化物層が形成され、該電離放射線硬化型樹脂中にアクリル共重合体が混合されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の化粧シートに使用される基材シートにおいて、その配合ベースとなるポリオレフィンに、基本的性能が優れるものとしてポリプロピレン(PP)を選択する。下記の表1に、化粧シートに求められる前記(1)〜(10)の条件のポリプロピレンの充足程度を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
*1:エンボス加工時、融点の前後でシートの軟化度合、流動性が急峻に変化するため、加工条件の管理幅が狭く条件制御が難しい。また冷却による結晶化向上により、伸度が低下する。
*2:降伏点応力高い。
*3:曲弾性率高すぎる。
*4:微結晶粒による白濁の傾向がある。
そこで、エラストマーを添加することにより、結晶化を阻害すると共に、応力の吸収・緩和を行った。その結果を下記の表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
表2に示すように各条件は変化していることが分かる。これにより前記(1)、(5)、(6)の条件は満足するものとなったが、前記(2)の耐クリープ性が幾分低下した。この耐クリープ性を改善するために、さらに、無機質微粒子体質顔料を加えた。その結果を下記の表3に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
表3に示すように各条件は変化したことが分かる。これにより、耐クリープ変形も良好となり、基材シートとしての性能(1)〜(6)、(9)を満足するものが得られることを確認した((7)については着色基材シートには必要とされない。また(10)については基材シートの表面に形成される層によって十分補い改善できるため、許容可能な欠点と判断される。)。
【発明の効果】
【0027】
本発明の化粧シートは、従来のポリオレフィン系樹脂を使用した化粧シートの性質に加えて、熱成形性及び耐候性に優れ、電離放射線硬化型樹脂の硬化物層は従来の化粧シートのトップフィルムに比べ透明性に優れている。また、電離放射線硬化型樹脂層と基材シートとの接着性に優れ、耐擦傷性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は上記の実験結果に基づくものであり、基本的に、本発明による化粧シートは、主原料がポリプロピレン、エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含んだ材料を用いて製造した着色基材シート上に、直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂の硬化物層が形成され、該着色基材シート及び/又は該電離放射線硬化型樹脂の硬化物層上に模様層が設けられたものである。
【0029】
着色基材シート
本発明の化粧シートの着色基材シートに含まれるポリプロピレンとしては、好ましくは、結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子であるアイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
【0030】
本発明におけるエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、ポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性をアップさせる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。
【0031】
その他に、ポリオレフィン樹脂にEPDM(エチレンプロピレンジエンメチレンリンケージ)を架橋重合させたもの:ポリオレフィン樹脂にEPR(エチレンプロピレンラバー)を混合して重合させたもの:アモルファス化させたポリオレフィン樹脂:が挙げられる。これらのエラストマーは必要に応じて適度に架橋させる。架橋剤としては、硫黄、脂肪族有機過酸化物、芳香族有機過酸化物等の公知のものが用いられる。
【0032】
エラストマーの添加量としては、基材シート中に10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重時伸度の温度変化に伴う変化等で評価される力学的パラメータの温度変化が急峻になり過ぎ、易接着性の向上も不十分となる。また、破断時伸度、耐衝撃性の低下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生じる。
【0033】
本発明における無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、クレー、タルク等の粉末が用いられる。平均粒径は0.1〜10μm程度とする。添加量としては、基材シート中に1〜60重量%、より好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%より低いと耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと引張強度、破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0034】
本発明における着色剤は基材シートに化粧シートとして必要な色彩を持たせるためのものであり、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料、あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも可であるが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
【0035】
さらに、必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ラジカル捕捉剤等を添加する。熱安定剤は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系等公知のものであり、熱加工時の熱変色等の劣化の防止性をより向上させる場合に用いられる。
【0036】
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられ、これらは、難燃性を付与する必要がある場合に添加する。
【0037】
これらの材料をブレンドしたものをカレンダー製法等の常用の方法により製膜して不透明着色基材シートを得る。前記のように、得られる基材シートは化粧シートの基材シートに求められる前記(1)〜(6)、(9)の条件を満足する。基材シートの厚みは50〜300μm程度、好ましくは100μm程度である。
【0038】
易接着層
基材シートの表面には、好ましくは、易接着性樹脂の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理が施される。本明細書においては、「易接着性」とは、易接着性樹脂の塗布のみならず、コロナ放電処理や、プラズマ処理、溶剤処理等の各種表面処理によって得られた易接着性表面が付与される場合も含む。
【0039】
易接着層(プライマー層、或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用でき、特に、ウレタン樹脂が望ましい。
【0040】
これら易接着層は、基材シートに先ずコロナ放電処理、プラズマ処理、あるいはオゾン処理等により、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基等の極性官能基を表面に付与し、しかる後に形成するとより有効である。
【0041】
易接着層に使用できるアクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(ただし、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味する)等が用いられる。
【0042】
易接着層に使用できるウレタン樹脂、としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを挙げることができ、該ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。また、前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環族)イソシアネートが用いられる。或いはこれらイソシアネートの多量体又は付加体を用いてもよい。
【0043】
電離放射線硬化型樹脂層
電離放射線硬化型樹脂の硬化物層は、耐汚染性、及び耐スクラッチ性等の表面物性を付与するために、さらに或いは、エンボス加工性、耐熱性、熱可塑性を付与するために設ける。電離放射線硬化型樹脂に使用可能な樹脂は具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有するプレポリマー、ポリマー及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により架橋反応、重合反応等を起こして硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
【0044】
電離放射線硬化型樹脂の硬化物層の厚みは10μm〜100μmが好ましい。また、電離放射線硬化型樹脂の硬化物層に耐候性を付与するためにUV吸収剤が添加されていてもよい。UV吸収剤が添加されている場合には、電子線を照射させて硬化させる。
【0045】
硬質塗膜を形成する電離放射線硬化型樹脂は、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオールを2個以上有する単量体、プレポリマー又はポリマーが挙げられる。これら単量体、プレポリマー又はポリマーは単体で用いるか、或いは複数種混合して用いることができる。なお、ここで、例えば、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いている。
【0046】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜10000程度のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマーとしては、上記ポリマーの重合度を10000程度以上としたものが用いられる。
【0047】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
【0048】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
カチオン重合性官能基を有する単量体の例としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0051】
電離放射線硬化型樹脂層に特にエンボス加工性を付与するためには、ウレタン(メタ)アクリレート、より好ましくはアクリレートの1官能モノマーが使用され、熱可塑性を付与するためにはアクリル共重合体を混合する。ウレタン(メタ)アクリレートとアクリル共重合体との混合比率は2:8〜8:2であることが望ましい。しかしながら、耐折り曲げ性を考慮するとウレタン(メタ)アクリレート比率は4以上が好ましく、また耐汚染性を考慮すると6以下が好ましい。この場合、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量が100〜300、アクリル共重合体の分子量が10000〜30000であることが望ましい。
【0052】
紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量%に対して、0.1〜10重量%程度である。
【0053】
上記電離放射線硬化型樹脂にさらに耐擦傷性を付加する目的で球状粒子を混合分散してもよい。球状粒子の材質は架橋硬化性樹脂よりも高硬度であればよく、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれでも用いることができるが、耐摩耗性、硬度の点で、無機物粒子が推奨される。球状粒子の架橋硬化性樹脂との硬度の差は、硬度はモース硬度、ビッカース硬度等の方法で計測され、例えば、モース硬度で表した場合、1以上が好ましい。
【0054】
球状粒子の材質は、具体的には、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛等の無機粒子、及び架橋アクリル等の合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。特に好ましい粒状粒子は、非常に硬度が高く耐摩耗性に対する効果が大きいことと、球形状のものが比較的容易に得やすい等の理由から、球形のα−アルミナを挙げることができる。
【0055】
球状粒子は、真球状、あるいは球を偏平にした回転楕円状ならびに該真球や回転楕円状に近い形状等のように、表面が滑らかな曲面で囲まれていればよい。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角あるいは谷間や凹陥部のない、いわゆるカッティングエッジのない球状が好ましい。球状粒子は同じ材質の不定形の粒子と比較して、表面樹脂層それ自体の耐摩耗性を大きく向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗膜の硬化後もこれと接する他の物を磨耗させず、さらに塗膜の透明度も高くなるという特徴があり、カッティングエッジがない場合、特にその効果が大きい。
【0056】
これら球状粒子は、平均粒径1〜10μm程度のものを用い、その添加量は、通常樹脂100重量部に対し5〜30重量部程度とする。
特に、電離放射線硬化型樹脂の硬化物層にエンボス加工及びワイピング加工を施すには、次の1)〜3)の方法が挙げられる。
【0057】
1)特開昭57−87318号公報、特公昭57−22755号公報、特公昭63−50066号公報等に開示の如く、電離放射線硬化型樹脂をロール凹版の少なくとも凹部に充填させると共に該樹脂に基材シートを接触させて該樹脂が基材シートとロール凹版の間に保持されている状態で電離放射線を照射して該樹脂を硬化させた後、該ロール凹版から基材シート及び硬化物層を剥離して凹凸模様を有する基材シートを形成し、該基材シートに特公昭58−14312号公報等に記載の公知方法によりワイピングを施して凹凸模様の凹部に着色インキを充填する方法である。
【0058】
2)別のエンボス加工及びワイピング加工には、電離放射線硬化型樹脂をロール凹版の少なくとも凹部に充填させると共に該樹脂に基材シートを接触させて該樹脂が基材シートとロール凹版の間に保持されている状態で電離放射線を照射して該樹脂を半硬化させて凹凸模様を有するシートを形成し、該シートにワイピングを施して凹凸模様の凹部に着色インキを充填した後、半硬化状態の凹凸模様に電離放射線を再度照射して電離放射線硬化型樹脂を完全に硬化させる方法である。
【0059】
3)さらに物のエンボス加工及びワイピング加工方法としては、基材シート上に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、電離放射線を照射して電離放射線硬化型樹脂を完全硬化又は不完全硬化せしめて、室温で非粘着固体とし、しかる後、該樹脂層、後述の如きエンボス加工を施した凹凸模様を形成させる方法である。
【0060】
模様層
模様層は基材シート又は電離放射線硬化型樹脂層のいずれか一方、あるいは両方に形成することができる。模様形成処理としては、模様の印刷、エンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹凸模様賦形等であってもよく、さらに、凹凸模様の凹部に公知のワイピング法によって、着色インキを充填することもできる。
【0061】
模様印刷としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等公知の印刷法を用いインキ、或いは塗料にて模様を形成することができる。模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、或いは全面ベタ等があげられる。
【0062】
インキ或いは塗料には、バインダー樹脂として、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を用い、一種又は二種以上混合して用いる。これに前記に列挙したような公知の顔料を添加した物を用いる。
【0063】
基材シートに直接印刷する場合は、バインダー樹脂として塩素化ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等が接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選択して層形成すれば、その他のバインダー樹脂を用いても十分な接着性を与える。
【0064】
エンボス加工としては、基材シートを加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固定して形成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。又、ミラーフラット面でも良い着色インキは前記と同様のものが可能である。但し、耐摩耗性の点で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダー樹脂とすることが好ましい。
【0065】
電離放射線硬化型樹脂の硬化物層に凹凸模様を施すこには、エンボス加工の他、前記の如き方法も適用できる。
【0066】
また模様層として金属薄膜を、例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で金属薄膜を製膜して設けてもよい。或いはこれらの組み合わせでも良い。該金属薄膜は全面に設けても、或いは部分的にパターン状に設けても良い。
【0067】
化粧シートの適用
図1は、以上説明した本発明の化粧シート10の層構成の1態様を代表的に示したものであり、着色基材フィルム1上に、必要に応じて印刷による模様層2が形成されており、この上に、電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3が形成されており、さらに該電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3上には、必要に応じて凹凸模様4が形成されていてもよい。
【0068】
図2は、図1に示す本発明の化粧シート10を被着体(裏打材)20に接着した状態を示す。化粧シート10自体では被着体20と接着しない場合は、適当な易接着層又は接着剤層5を介して積層する。被着体20に化粧シート10自体が(熱融着等で)接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層5は省略してもよい。
【0069】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象となる。例えば、図3に示すように、凹凸立体物21に対して、着色基材フィルム1、該着色基材フィルム1上に形成された電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3及び該電離放射線硬化型樹脂の硬化物層3上に形成された模様層2からなる本発明の化粧シートを接着することができる。
【0070】
被着体として、板材或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0071】
被着体として専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、硅酸カルシウム、石膏等の非セラミックス窯業系材料が挙げられる。
【0072】
被着体として専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等が挙げられる。
【0073】
これら各種被着体への積層方法としては、例えば、次の1)〜5)の方法を挙げることができる。すなわち、
1)接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、
2)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、いわゆる射出成形同時ラミネート法、
3)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、化粧シートを成形品の表面に接着剤を介して対向なしいは載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、
4)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、多数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、いわゆるラッピング加工方法、
5)実公大15−31122号公報、特開昭48−47972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ、箱体又は柱状体を成形するいわゆる、Vカット又はUカット加工方法等が挙げられる。
【0074】
図4及び図5に、Vカット加工法を行う被着体へ本発明の化粧シートを適用する説明図を示す。図4は、化粧シート10を接着剤層5を介して被着体22に貼り合わせたものの断面図を示し、該被着体22にはV字状溝6が切削されている状態を示している。図5は、図4の貼り合わせ体を被着体22のV字状溝において折り曲げ加工した状態を示す。
【0075】
本発明の化粧シートは各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いることができる。例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、箪笥等の家具又はテレビジョン受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、船舶の内装、窓硝子の化粧等に利用できる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0077】
〔実施例1〕
アイソタクチックポリプロピレン60重量部をベースにし、エラストマーとしてスチレン−ブタジエンゴムを30重量部、無機添加剤として炭酸カルシウム10重量部、また、着色顔料としてチタン白と弁柄とカーボンブラックとを計5重量部添加して熱安定剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を5重量部ブレンドしたものをカレンダー製法にて厚み100μmに成膜し、不透明な着色基材シートを製造した。
【0078】
前記工程で製造された着色基材シートの表裏両面を易接着処理のためにコロナ放電処理し、その上にバインダーがヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオールからなり、顔料が弁柄からなるインキで杉板目の木目柄模様をグラビア印刷した。次いで、該印刷面上に、ウレタンアクリレートの1官能モノマーとアクリル共重合体との混合比率が3:2の電子線硬化型樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を3重量部、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2重量部添加した混合物をコンマコート方式で50μm厚塗布し、次いで電子線照射によって架橋硬化させた。次いで、電子線硬化型樹脂塗布面をミラーロールによる熱エンボスにより鏡面仕上げとした。
【0079】
得られた本実施例1の化粧シートの耐折り曲げ性、耐汚染性、エンボス加工性(シボ転移性,エンボス堅牢度)を調べた。その結果を下記の表4に示す。なお、耐折り曲げ性については、Vカット加工時のシートの亀裂・破断の有無を調べた。
【0080】
〔比較例1〕
前記実施例1の着色基材シートとして延伸倍率3倍の2軸延伸アイソタクチックポリプロピレンの厚さ100μmのシートを用いた以外は、前記実施例1と同様に易接着処理をし、抽象柄模様を印刷した。該印刷面上に延伸倍率3倍の2軸延伸アイソタクチックポリプロピレンの厚さ50μmのシートをその裏面にコロナ処理を施したのち、ヘキサメチレンジイソシアネートとアクリルポリオールとからなる2液硬化型ウレタン樹脂の接着剤を用いてラミネートした。次いで、表面に、実施例1と同様にミラーロールによる熱エンボスにより鏡面仕上げし、比較例1の化粧シートを製造した。得られた比較例1の化粧シートの耐折り曲げ性、耐汚染性、エンボス加工性(シボ転移性,エンボス堅牢度)を調べた。その結果を下記の表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
〔性能評価試験〕
前記実施例1と比較例1の各化粧シートの諸物性について次に説明する試験法に基づいて比較した結果を下記の表5に示す。
【0083】
1.透明性
ヘイズ値を東洋精機株式会社製の直読式ヘイズメーターにて測定する。装飾処理無しのポリオレフィン樹脂シート層単層で測定する。
【0084】
2.耐候性
カーボンアーク燈型サンシャインウエザメータで最長3000時間(照射条件:ブラックパネル温度63℃;水スプレー12分間/1時間中)迄照射し、亀裂、白化、変色等の外観変化が著しくなった所(目視測定)で停止する。照射した後のサンプルを目視にて評価する。
【0085】
3.耐熱性
80℃雰囲気中で3分間加熱し、その前後での変色状態を目視で確認する。
【0086】
4.Vカット加工時のシート亀裂・破断
化粧シートの基材シート側を、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を用い、厚さ10mmのラワン合板に接着、積層し、該合板の化粧シート側と反対側に、合板と接着剤層との界面に迄達する断面V字型状の溝を切削し、該溝内にエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンの接着剤を塗布し、該溝を閉じる様にして合板を折り曲げて合板をL字型(断面)に折り曲げる。加工時の雰囲気温度は10℃とする。
【0087】
5.加熱寸法収縮率
化粧シートを100℃雰囲気中で30分間加熱して、長手方向(MD)及び幅方向(TD)の各々について、次式(1)で示される加熱寸法収縮率(%)を測定する。
【0088】
【数1】

【0089】
6.接着力
Vカット加工を評価したものと同様の化粧シート積層合板を用意し、化粧シートとラワン合板との接着力を測定するために、化粧シートと合板とのなす接触角度が180度のピーリング試験にて引張試験を行う。具体的には、幅10mmに切り抜いた化粧シートのサンプルを、幅方向と直交する方向に且つ各層の引張方向が180度になるように、引張速度50m/分、雰囲気温度20℃の条件で引っ張って層間界面の剥離時の張力を測定する。
【0090】
7.耐擦傷性
♯0000のスチールウールで10回サンプルの表面を往復し、摩擦する。
【0091】
【表5】

【0092】
表5によれば、本発明の化粧シートにおける電離放射線硬化型樹脂の硬化物層は透明性に優れ、及び耐候性に優れており、しかも耐熱性、加熱寸法収縮性等の熱成形性に優れ、更には、Vカット時のシート亀裂・破断が無く、表面全面にエンボス版による凹凸模様を忠実に再現することができ、層間の接着力及び耐擦傷性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の化粧シートの層構成の1態様を示す。
【図2】図1に示す本発明の化粧シートを被着体(裏打材)に接着した状態を示す。
【図3】凹凸立体物に対して、本発明の化粧シートを接着した状態を示す。
【図4】Vカット加工法を行う被着体へ本発明の化粧シートを適用する説明図を示し、化粧シートを接着剤層を介してV字状溝が切削されている被着体に貼り合わせたものの断面図を示す。
【図5】Vカット加工法を行う被着体へ本発明の化粧シートを適用する説明図を示し、V字状溝において折り曲げ加工した状態を示す。
【符号の説明】
【0094】
1 着色基材フィルム
2 模様層
3 電離放射線硬化型樹脂の硬化物層
4 凹凸模様
5 接着剤層
6 V字状溝
10 化粧シート
20,22 被着体
21 凹凸立体物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主原料がポリプロピレン、エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色基材シート上に、直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂の硬化物層が形成され、該電離放射線硬化型樹脂中にアクリル共重合体が混合されていることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記電離放射線硬化型樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートとアクリル共重合体とを含み、両者の混合比率が2:8〜8:2であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記アクリル共重合体の分子量が10000〜30000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの分子量が100〜300であることを特徴とする請求項2又は3に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記ポリプロピレンが、アイソタクチックポリプロピレンであることをを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記無機充填剤が、1〜60重量%であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の化粧シート。
【請求項7】
着色基材シートが、ラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記電離放射線硬化型樹脂の硬化物層には球状α−アルミナ粒子が添加されている請求項1乃至7の何れか1項に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記電離放射線硬化型樹脂の硬化物層には紫外線吸収剤が添加されている請求項1乃至8の何れか1項に記載の化粧シート。
【請求項10】
該着色基材シート及び/又は該電離放射線硬化型樹脂の硬化物層上に模様層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の化粧シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−30493(P2008−30493A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248509(P2007−248509)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【分割の表示】特願平10−38137の分割
【原出願日】平成10年2月4日(1998.2.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】