説明

化粧フィルム

【課題】立体感に優れた模様を現すことが可能な化粧フィルムを提供することである。
【解決手段】透明性を有した上層フィルム2と、透光性を有した中間層フィルム3と、隠蔽性を有した下層フィルム4とを有し、中間層フィルム3の下側には下層フィルム4が設けられ、中間層フィルム3の上側には上層フィルム2が設けられており、中間層フィルム3の表面5または裏面6の少なくとも一方には凹凸7が形成されており、上層フィルム2側から中間層フィルム3を通して下層フィルム4を見ると模様が現れ、且つ見る角度によって模様が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧フィルムに関し、さらに詳細には、立体感に優れた模様を現すことが可能な化粧フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室やバスユニットの壁面パネルとして、意匠性を有したものが市場から求められている。壁面パネルには、意匠性を有した化粧シートが貼付されていることが多い。特許文献1には、深み感、立体感のある積層シートが開示されている。特許文献1の積層シートは、樹脂層と、接着剤層と、基材層とが積層されている。基材層の表面には、深み感、立体感のあるエンボス加工が施されている。このことにより、前記積層シートにおいては、樹脂層側から接着剤層を通して、深み感、立体感を有した基材層を直接見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−289697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示された積層シートでは、例えばエンボス加工によって凹凸模様の輪郭がくっきりと出過ぎた基材層であっても、樹脂層側から基材層が直接見えてしまうため、深み感、立体感を与えたはずの基材層がかえって安く見える場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、立体感に優れた模様を現すことが可能な化粧フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、透明性を有した上層フィルムと、透光性を有した中間層フィルムと、隠蔽性を有した下層フィルムとを有し、中間層フィルムの下側には下層フィルムが設けられ、中間層フィルムの上側には上層フィルムが設けられており、中間層フィルムの表面または裏面の少なくとも一方には凹凸が形成されており、上層フィルム側から中間層フィルムを通して下層フィルムを見ると模様が現れ、且つ見る角度によって模様が変化することを特徴とする化粧フィルムである。
【0007】
「透光性を有する」とは、「透明」と同様に光が透過する性質のほかに、透過する光を拡散する性質を指す。すなわち、本発明の透光性を有した中間層フィルムにおいて、中間層フィルムを透かすと向こう側の形状等は明確に認識できない。つまり、下層フィルム側の形状等の輪郭が出過ぎない。さらに、中間層フィルムの表面または裏面の少なくとも一方に形成された凹凸は、入射光と反射光をランダムに屈折させる。すなわち、中間層フィルムを通すと向こう側の形状等は立体感のある模様となって現れ、且つ見る角度によって、変化する模様を見ることができる。
【0008】
なお、「隠蔽性」とは、化粧フィルムが貼付される対象物の下地の色等を隠蔽可能な性質を指す。すなわち、本発明の隠蔽性を有した下層フィルムは、下地の色等が透けることによる安っぽさが出ることを防止している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧フィルムによれば、立体感に優れた模様を現すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る化粧フィルムの積層構造を示す断面図である。
【図2】図1の化粧フィルムの製造方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の化粧フィルムの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0012】
図1に示すように、化粧フィルム1は、上層フィルム2と、中間層フィルム3と、下層フィルム4とを有している。中間層フィルム3の下側には下層フィルム4が設けられ、中間層フィルム3の上側には上層フィルム2が設けられている。化粧フィルム1の厚みは、200μm(マイクロメートル)以下であることが好ましい。
【0013】
なお、図1の断面図においては、化粧フィルム1の構造の理解を容易にするため、ハッチングを省略している。
【0014】
上層フィルム2は、透明性を有しており、クリア層と呼ばれている。上層フィルム2は、光沢を有したシート状のフィルムである。上層フィルム2は、ポリエステル系樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)で構成されることが好ましい。また、上層フィルム2は、化粧フィルム1の最上面に位置するため、耐薬品性に優れていることが好ましい。上層フィルム2の厚みは、20〜100μm(マイクロメートル)程度であることが好ましい。
【0015】
中間層フィルム3は、透光性を有している。中間層フィルム3は、表面5に凹凸7が形成されている。凹凸7は、入射光と反射光をランダムに屈折させるものである。また、凹凸7は、中間層フィルム3の下側に位置する下層フィルム4が見える深度(奥行き感)を変化可能なように、厚みをバラつかせた部位である。凹凸7は、中間層フィルム3の裏面6に形成しても構わない。
【0016】
中間層フィルム3は、ポリエステル系樹脂かポリプロピレン系樹脂で構成されることが好ましい。また、中間層フィルム3は、前記樹脂に、顔料を添加しても構わない。中間層フィルム3の厚みは、10〜50μm(マイクロメートル)程度であることが好ましい。
【0017】
下層フィルム4は、隠蔽性を有している。下層フィルム4は、化粧フィルム1が貼付される対象物の下地の色等を隠蔽可能である。下層フィルム4は、顔料が添加されたポリエステル系樹脂で構成されることが好ましい。下層フィルム4の厚みは、30μm(マイクロメートル)以上であることが好ましい。
【0018】
図2は、化粧フィルム1の製造方法を示す説明図である。図2において、上層フィルム2と、中間層フィルム3と、下層フィルム4を、押圧ローラ10,11で上下から押圧しながら押し出すことによって、一体化することができる。
【0019】
上記のように、本発明の実施形態に係る化粧フィルム1において、透光性を有した中間層フィルム3を透かすと、下層フィルム4を見ることができるが、下層フィルム4側の形状等は明確に認識できない。つまり、下層フィルム4側の形状等の輪郭が出過ぎない。換言すれば、下層フィルム4側の形状等の輪郭の角が取れて、やわらかく、淡い印象に見える。
【0020】
また、上層フィルム2側から入射する入射光は、中間層フィルム3の凹凸7で屈折し、下層フィルム4で反射する。反射光は、中間層フィルム3を通って、上層フィルム2から外側へ放出される。換言すれば、中間層フィルム3の表面5に形成された凹凸7は、入射光と反射光をランダムに屈折させる。すなわち、中間層フィルム3を通すと、下層フィルム4側の形状等は立体感のある模様となって現れ、且つ見る角度によって、変化する模様を見ることができる。
【0021】
なお、化粧フィルム1は、隠蔽性を有した下層フィルム4を有していることにより、下地の色等が透けることによる安っぽさが出ることを防止している。
【0022】
前述のように、本発明の実施形態に係る化粧フィルム1によれば、立体感に優れた模様を現すことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 化粧フィルム
2 上層フィルム
3 中間層フィルム
4 下層フィルム
5 表面
6 裏面
7 凹凸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有した上層フィルムと、透光性を有した中間層フィルムと、隠蔽性を有した下層フィルムとを有し、中間層フィルムの下側には下層フィルムが設けられ、中間層フィルムの上側には上層フィルムが設けられており、中間層フィルムの表面または裏面の少なくとも一方には凹凸が形成されており、上層フィルム側から中間層フィルムを通して下層フィルムを見ると模様が現れ、且つ見る角度によって模様が変化することを特徴とする化粧フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−25024(P2012−25024A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165475(P2010−165475)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】