説明

化粧品および医薬品を送達するための装置

【課題】1種以上の活性な作用物を対象に送達するための装置の提供。
【解決手段】少なくとも1種の活性な作用物を局部的体表面に送達するための装置であって、
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、水溶性かまたは水分散性の担体と、
前記担体の前記第1表面の少なくとも一部の上に配置され、かつ前記担体の第1表面と接触している担体面および前記担体面に対向する適用面を有する、水溶性かまたは水分散性の接着剤と、
前記担体の前記第2表面に剥離可能に接着された支持層と、
を含む装置。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
皮膚、爪、毛髪、または歯等の、特定の体表面を、医薬品、化粧品または装飾用作用物で処置することが望ましい場合がしばしばある。このような処置を行うためには、1種以上の医薬品、化粧品または装飾用作用物を含有するローション、クリーム、軟膏、フォーム、粉末、絆創膏、乳液、包帯または粘着性パッチの局所適用を、このような処置が望まれる体表面に施与することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ローション類、クリーム類、軟膏類、フォーム類、乳液類および粉末類は、所期の処置の十分な恩恵が送達される前に、皮膚等の体表面から除去されやすいため、活性な作用物の送達には望ましくない組成物であろう。このような組成物は、たとえば、衣類または身体の他の部分と接触することにより、皮膚からの物理的除去を受ける。このような除去は、所期の処置を妨害するのみならず、組成物を除去する衣類または身体部分に、望ましくない散らかりを作る。また、投与が重要な用途では、まさにその性質上、正確に測定した用量の処置を確実に投与することが困難なことが多く、処置を送達する組成物が、処置の完了前に除去される可能性があるときは、なおいっそう困難になる。このような組成物は、処置した体表面を離れる可能性があり、脂っこい感じ、湿った感じ、くっつく感じまたは滑りやすい感じがするため、やはり望ましくないであろう。
【0003】
活性な作用物の早期除去を減少させ、より確実な投与を可能にし、散らかりを減少させる様式で、活性な作用物を体表面に送達するために、包帯および接着剤パッチが使用されてきた。しかし、このような処置装置はかさばることが多く、従って、ユーザーにとって不愉快である。また、処置後、包帯または粘着パッチを体表面から剥がすことは、多くの場合不愉快であり、苦痛でさえ伴う。
【0004】
医薬品を粘膜表面に送達するための装置は、水溶性であってもよく、従って、医薬品の送達後、溶解することができる。たとえば、水溶性ポリマーの単層、活性な作用物、および場合によって1種以上の補足的成分を含むフィルムは、粘膜付着性であり、医薬品または化粧品を、口腔の粘膜内層に速やかに送達するために使用することが可能である。このようなフィルムは、口腔内で速やかに溶解し、その結果、ユーザーにとって長期にわたる不快を最小限に抑えるためのものである。本装置を粘着性にさせるためには、このような装置は、一般に、フィルムと、唾液および粘膜内層によって提供される口腔の水分との間の相互作用に依存するため、乾いた体表面上に使用するのに適さない。また、このような装置は、一般に、口腔内での急速な溶媒和に適するように具体的にはっきり限定してデザインされるため、長期にわたる処置に適さない。
【0005】
医薬品または化粧品の局所送達にある程度適した他の水溶性送達装置が知られている。たとえば、ポリオキサゾリンポリマー組成物および接着剤層を含むフィルムは、ある抗菌薬の送達に使用することができる。しかし、このようなフィルムの長期保存中に、接着剤層からの粘着付与剤がフィルム層に拡散し、その結果、装置の接着性の一部が接着剤層からフィルム層に移動する可能性がある。従って、望ましい粘着力が接着剤層から多少失われ、フィルム層はタック増強を示し、その結果、装置は、扱いがさらに困難になる。医薬品は、医薬品の懸濁液、フィルム形成ポリマー、および、場合によって、剥離剤またはフィラーから作製されるフィルムを介して、体表面に送達することができる。しかし、このようなフィルムは、一般に乾いた体表面にうまく付着せず、湿潤化工程がなければ、活性な作用物は乾いた体表面に容易に送達されない。入浴用製剤および任意の水溶性保護材を含有する水溶性接着剤シートを使用することによって、入浴用製剤を体表面に同時に送達し、風呂水に溶解することが可能である。しかし、このようなパッチは浴槽内で溶解するため、明確に規定された特定の部位に処置を直接送達する実効性は限定される。
【0006】
広範囲の処置を様々な体表面に送達することができる単式装置の継続した必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多数の様々な活性な作用物の送達に有利な特性を有するようにデザインすることが可能な、活性な作用物を送達するための単式装置を提供する。一般に、本発明の装置は、適用しやすくかつ除去やすいようにデザインすることが可能である。幾つかの実施形態では、本装置は、予め計測された単位用量の作用物を、限定された特定の部位に送達するようにデザインすることが可能である。本装置のある実施形態は、乾いた皮膚、毛髪または爪に適用することが可能であり、本装置の他の実施形態は、歯または粘膜組織等の湿った表面に適用することが可能である。本発明の装置は、長期処置を施すために、または水に速やかに溶解または分散するために、様々にデザインすることが可能である。
【0008】
本発明は、少なくとも1種の活性な作用物を、対象に送達するための装置であって、少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体と;上記担体の第1表面の少なくとも一部の上に配置され、担体の第1表面と接触している担体面および一般にその担体面に対向する適用面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の接着剤と;接着剤の適用面、担体の第2表面、またはその両者に剥離可能に接着された少なくとも1層の支持層とを含む装置を提供する。別の態様では、本装置は、担体、接着剤、またはその両者と関連している、少なくとも1種の活性な作用物も含む。
【0009】
本発明は、少なくとも1種の活性な作用物を、対象に送達する方法であって、i)少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体、ii)上記担体の第1表面の少なくとも一部に配置され、担体の第1表面と接触している担体面、および一般にその担体面に対向する適用面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の接着剤、iii)上記担体、接着剤、またはその両者と関連している少なくとも1種の活性な作用物、およびiv)接着剤の適用面、担体の第2表面、またはその両者に剥離可能に接着された少なくとも1層の支持層を含む送達装置を提供する工程と、上記装置を対象に接着する工程と、上記活性な作用物を、上記局部的体表面に送達させる工程と、本装置を除去する工程と、を含む方法も提供する。
【0010】
本発明の様々な他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲および添付の図面を参照することにより、容易に明白になるであろう。本明細書を通して数箇所で、実施例のリストによって指針を提供する。いずれの場合にも、列挙したリストは、代表群の役割を果たすにすぎず、排他的なリストとして解釈してはならない。
【0011】
定義
本発明のために、以下の定義は、記載の意味を有するものとする。
【0012】
単数(「a」または「an」)は、列挙した要素の1つ以上を指す。
【0013】
「活性な作用物」は、その作用物が生物活性を有していても有していなくても、ユーザーに処置を施すあらゆる作用物を広く指す。従って、活性な作用物は、抗菌薬、抗真菌薬、ステロイド類および他の抗炎症薬等を含むがこれらに限定されない、局所用医薬品;ホルモン類、ビタミン類または薬剤等を含むがこれらに限定されない全身用医薬品;および着色剤、漂白剤または装飾用処置剤を含むがこれらに限定されない化粧品を含む。
【0014】
「関連している」、「関連して」またはそれらの変形は、活性な作用物を担体または接着剤中に組み込む、または活性な作用物を担体または接着剤上に配置する、任意の形態を含むものとする。このような形態は、無制限に、活性な作用物が担体または接着剤中で懸濁液または乳液を形成するか、または活性な作用物が担体または接着剤に吸着するかまたは吸収される場合を含むものとする。活性な作用物は、担体または接着剤の表面に適用されたコーティングとして、担体または接着剤と関連していてもよい。
【0015】
「冷水可溶性」または「冷水分散性」は、そのように定義された材料は、2.5cm×2.5cmのサンプルを、穏やかに撹拌(たとえば、フィルラインの75%まで渦巻を引き起こす、マグネティックスターラーで撹拌)しながらビーカー内の水または他の水溶液500mlに浸漬したとき、約40℃未満の温度の水または他の水溶液に、約2分未満で、場合によって、溶解または分散することを意味するものとする。
【0016】
「可塑剤」は、ポリマーフィルムまたは生地の柔軟性を高める材料を広く指す。
【0017】
「処置」は、活性な作用物によってユーザーに提供される所望の作用を広く指す。処置は、薬剤、ホルモン類、抗菌薬等々の送達を含むがこれらに限定されない薬品治療;および毛髪または皮膚着色剤の送達および観賞用デザイン、マスク、タトゥーまたはアップリケの移動を含むがこれらに限定されない、化粧法を含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、1種以上の医用、化粧用または装飾用の活性な作用物を送達するための新規な装置を提供する。本発明の装置は、多種多様の処置で使用するのに適しており、取扱いやすく、使いやすく、また処置剤を限定された特定の部位に送達するようにデザインすることが可能である。以下により十分に説明する通り、本発明の装置は、全身用処置剤を送達するようにデザインすることも可能である。
【0019】
本装置は、1種以上の活性な作用物を送達するための、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体を含む。この担体は、フィルム、生地、テープ、または活性な作用物の送達に適した任意の他の形態であってもよい。本装置は、担体の一表面の少なくとも一部の上に配置された接着剤も含む。活性な作用物は、1種以上の医用、化粧用、装飾用または他の好適なタイプの作用物を含んでもよい。活性な作用物は、担体、接着剤、またはその両者の上に塗布するか、その中に溶解するか、その中に懸濁するか、それと乳化するか、または別の方法で適用することが可能である。本装置は、場合によって、担体、接着剤またはその両者に剥離可能に接着された1種以上の支持層を含む。その結果として、本明細書で使用される「装置」は、支持層を含むかまたは含まないかのいずれかの、担体、接着剤および少なくとも1種の活性な作用物の組合せを指す。支持層は、存在するのであれば、装置に支持および構造を提供し、それによって、装置を扱いやすくすることが可能である。
【0020】
より詳細に後述するが、本発明の装置は、局部的体表面上に載せ、それによって活性な作用物の局部的送達を提供することが可能である。本装置は、活性な作用物の送達が即刻であるか遅延するか、長期に及ぶか短命であるかという具合に、構成することが可能である。個々の用途に応じて、担体が所望の程度まで速やかに溶解または分散するように、水を装置に加えてもよい。活性な作用物が担体より水溶解性が低い場合、担体が完全に溶解するのであれば、活性な作用物のみを残して、担体を洗い流すことも可能である。担体または接着剤が完全に溶解しないのであれば、たとえば、粘着力および染色性を提供する、活性な作用物のためのバインダーの役割をすることが可能である。このような方法で使用されるとき、バインダーおよび活性な作用物は、皮膚に擦り込んで、たとえば、所望の処置提供することが可能である。
【0021】
本発明の装置には、広い有用性がある。本装置を使用して、アクネ処置剤、魚の目除去剤、イボ除去剤、たこ除去剤、毛髪コンディショナー、歯のホワイトニング剤、または皮膚、毛髪、爪または歯の他の処置剤を含むがこれらに限定されない処置剤を送達することが可能である。本装置は、たとえば、皮膚、足指の爪、指の爪または歯の上の一時的なタトゥー、マスクまたは装飾用アップリケとして、またはヘア・カラーまたはスキン・カラーを送達することにより、装飾用の有用性も有することが可能である。本装置は、傷、瘢痕、または醜い跡を隠し、それによって、平滑化した表面を提供するのにも役立ち、その上に旧来の粉末または液体の化粧品を塗ることができる。本装置は、抗菌薬、抗生物質、成長因子等々の活性な作用物を、火傷および擦過傷等の局所創傷ならびに慢性的損傷に送達する上で、独特の有用性を有する可能性もある。本装置は、創傷患部からの壊死組織の除去を促進することができる酵素または他の活性な作用物を供給することによる、創傷壊死組織除去を促進する上で、独特の有用性を有する可能性もある。本発明の装置は、他の有用性も有する。本発明の装置は、非限定的な例として、皮膚傷の被覆またはカムフラージュ、触痛の緩和、脱毛、または日焼け止めまたは虫除け剤の適用に、有用な可能性がある。特許請求の範囲に記載の装置は、薬学的に活性な作用物の局所送達または全身送達に有用な可能性もある。本装置が製造されるとき、必要に応じて、活性な作用物を単位投与量で提供することが可能である。
【0022】
本発明の装置は、活性な作用物を実質的に乾燥した状態で、特定の部位に送達することを可能にする。接着剤テープ、包帯および既知のパッチは、実質的に乾いた皮膚に適用することが可能であるが、一度適用すると非常に目立ち、装着することが不愉快であり、剥がすのが苦痛である。対照的に、本発明の装置は、薄く、柔軟で、実質的に透明で、かつ実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性であるようにデザインすることが可能な担体を含む。従って、本発明の装置は、一度適用すると実質的に目立たず、装着中、不快感を引き起こさないほど十分に薄く柔軟であるようにデザインすることが可能であり、使用後容易にかつ苦痛なく除去することが可能である。また、本装置は、水を使用して除去するとき、溶解または分散するため、本発明の装置を使用することによって、残りの活性な作用物を含む可能性がある廃棄物が生じない。その結果、小さな子供およびペットが、このような廃棄物にうっかり暴露されることがなくなる。本装置は、衣類にくっついたり吸収されたりしない送達媒体を提供するようにデザインすることが可能である。投与が重要な考慮すべき要件である、活性な作用物を送達するとき、本装置は、予め計測された用量の活性な作用物の送達を可能にさせるようにデザインすることが可能である。他の水溶性フィルムと対照的に、本発明の装置は、長期処置に使用することが可能であり、湿らせずに乾いた体表面に適用することが可能であり、取扱いやすい。接着剤および担体は、化学的または機械的な皮膚刺激を実質的に制限し、水分を皮膚から容易に逃がすことができ、それによって浸軟を防止するように選択することが可能である。本装置は、このような構造を有するため、長期装着が可能である。
【0023】
担体
本発明の担体を作製するために使用される材料は、既知の天然または合成の水溶性または水分散性のフィルム形成ポリマーおよびオリゴマーであってもよい。ある実施形態では、この担体材料は、冷水可溶性であるように選択される。好適なポリマーおよびオリゴマーとしては、アルギン酸誘導体化ポリマー、アルギン酸誘導体化ポリマー、アラビノガラクタン、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースを含むがこれらに限定されないセルロース誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体等の植物性天然ポリマー;多糖類等の微生物由来の天然ポリマー、ゼラチン、コラーゲン、ムコ多糖類等々を含む動物由来のポリマー;ポリオキシアルキレン類;ビニル系モノマー、アクリレート類およびメタクリレート類、アクリルアミド類およびメタクリルアミド類等々を含むがこれらに限定されないエチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマーおよびコポリマー;ポリエチレンイミン類;および前述の1種以上を含む混合物などがあるが、この限りではない。ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびコラーゲン等のタンパク質およびこれらの誘導体等のポリマー、またはアラビノガラクタン等の炭水化物は、独特の有用性があるとして認められてきた。
【0024】
ポリビニルアルコールのポリマーは、ポリ酢酸ビニルから調製することが可能であり、様々な分子量および加水分解レベルで商業的に入手することができる。加水分解レベルは、ポリマーが冷水可溶性かまたは温水可溶性であるかをある程度決定し、約87%を超える加水分解は、より結晶質のポリマーを生じ、それによってポリマーを溶解するためにより高い温度を必要とする結果となる。ポリマーが溶解する速度は、ポリマーの分子量および可塑剤または架橋剤等のさらなる添加物の存在によって、ある程度決定される。担体フィルムを作製するためにポリビニルアルコールのポリマーを使用するさらなる一利点は、そのフィルムの酸素透過度が低い結果として、ビタミンCおよびその誘導体等の酸素感受性材料を保護できることである。加えて、ある可塑化ポリビニルアルコール樹脂は熱可塑性であるため、フィルムに溶融押出または流延することが可能である。
【0025】
可塑剤を使用して、担体フィルムの脆性を低下させ、それによってそのフィルムをより強靭でより従順にし、かつ一般にその取扱特性を向上させることができる。ある可塑剤は、必要に応じて、担体にある程度の粘着性を与えることもできる。可塑剤として水のみを使用すると、環境条件に暴露されたとき、急速に水分を喪失しやすくかつ同時にガラス質材料、すなわち脆弱な材料に変化しやすい担体が生じる。従って、好適な可塑剤は、一般に、アルコール類、アルコール類の混合物、および水とアルコール類との混合物を含む。本発明で使用するのに好適な可塑剤としては、グリセリン、ポリグリセロール、アルキルポリグリコシド類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムコポリマー、プルロニック(Pluronic)の商品名でBASFから入手可能なもの等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、プロピレングリコール、ソルビトール、ソルビトールエステル類、ブタンジオール等の、およびそれらのアルコキシル化誘導体等の多価アルコール類;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、アルキルエーテルエトキシレート類、アルキルエステルエトキシレート類、アリールエーテルエトキシレート類、アリールエステルエトキシレート類、アラルキルエーテルエトキシレート類またはアラルキルエステルエトキシレート類等の一価アルコール;尿素、ピロリドンカルボン酸類、ピロリドンカルボン酸塩、トリエタノールアミン、エタノールアセトアミド、水、ある種の活性な作用物、たとえば、ビタミンE(α−トコフェロール)および多くの一般的な皮膚軟化剤;または前述の1種以上を含む任意の混合物などがあるが、これらに限定されない。可塑剤の一部または全部として、少なくとも約8の親水性−親油性バランス(「HLB」)値を有する非イオン性界面活性剤を含むことにより、無極性の活性な作用物を担体中に懸濁または乳化することが可能である。少なくとも約12のHLB値を有する非イオン性界面活性剤は、独特の多方面にわたる有用性を有することが明らかにされている。HLB値は、所与の界面活性剤が、イリノイ州キャロル・ストリームのアルレッド出版社(Allured Publishing Corp.(Carol Stream,Illinois)により2000年に発行された、「化粧品の化学および製造(The Chemistry and Manufacture of Cosmetics)」I巻、第3版、Mitchell L.Schlossman編に記載の、油溶性対水溶性タイプの乳化剤として機能する程度を示す。代表的な非イオン性界面活性剤は、C8〜C22アルキルエーテルエトキシレート類、C8〜C22アルキルエステルエトキシレート類、ソルビトールC8〜C22アルキルエステル類、ソルビトールC8〜C22アルキルエステルエトキシレート類、および前述の1種以上を含む混合物を含むがこれに限定されるものではない。
【0026】
担体中に存在する可塑剤の量は、とりわけ、担体を形成するために使用されるポリマー、およびやはり担体を構成することが可能な個々の活性な作用物によって様々であってもよい。重量基準で少なくとも約5%の可塑剤が存在してもよい担体もあり、また、重量基準で少なくとも約3%または少なくとも約1%の可塑剤が存在してもよい担体もある。重量基準で30%もの可塑剤が存在してもよい担体もあれば、重量基準で約40%または約50%もの可塑剤が存在してもよい担体もある。ある担体は、重量基準で約5%〜約30%の範囲の可塑剤を含んでもよい。このような担体は、一般に、強さを落とすことなく、良好な柔軟性を提供する。
【0027】
担体フィルムは、少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を、水または他の適切な溶媒中に溶解することによって作製することが可能である。このように調製された溶液を、フィルムに流延し、次いで乾燥させることが可能である。ビタミンC、ヒドロキノン、およびサリチル酸等の水溶性材料は、ポリマー溶液中に直接溶解してもよい。ビタミンE、ベンゾイルペルオキシドおよびシリコーン流体等の水不溶性材料は、界面活性剤を添加して、ポリマー溶液中に乳化してもよい。あるいは、担体フィルムを流延して乾燥させた後、その担体フィルムに活性な作用物を提供してもよい。この場合、活性な作用物を、フィルムの表面上に塗布する。送達装置においてある特徴が望ましい場合、所望の特徴を担体フィルムに与えるために、さらなる添加物をポリマー溶液と混合してもよい。たとえば、低レベルのシリコーン流体またはシリコーンコポリオール類を添加すると担体に滑らかな感触を与え、殺生物剤を添加すると保存中に担体上でカビまたは細菌が成長するのを防止、ペイント業界で使用される艶消し剤等の粒状材料を添加すると、乾燥した担体に、光沢のないつや消し仕上げを提供する。
【0028】
担体の柔軟性、強さまたは障壁特性を改良するためならびにその溶解度特性(たとえば溶解時間)を調節するために、水不溶性のフィルム形成ポリマーも担体中に含まれていてもよい。この水不溶性ポリマーを導入する一法は、水不溶性ポリマーの水性乳液を、水溶性ポリマーの溶液に加えることによる。この水溶性ポリマーが十分な濃度で存在する場合、結果として生じる担体の水分散性が維持される。
【0029】
熱可塑性担体を、乾燥後、熱、圧力またはその両者を使用してエンボス加工し、担体に表面構造または模様を与えることが可能である。担体は、織目加工された表面を有する表面上で流延して乾燥させ、たとえば、つや消し表面構造を提供することも可能である。従って望ましい添加物としては、界面活性剤、シリコーンオイル、殺生物剤、および粒状材料などが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本装置の担体として有用な生地は、織布、不織布、編地、または開放気泡フォームおよび独立気泡フォームを含む他のタイプの生地などを製造するための任意の既知の技術で構築することが可能である。不織布技術としては、スパンボンド法、メルトブローイング法、ウエットレイ法、水絡法(たとえば、冷水、比較的高い塩濃度、またはその両者を使用する)、サーマルボンド法、または前述の任意の組合せなどがある。生地の製造に有用なポリマー繊維は市販されている。
【0031】
あるいは、既知の技術を使用して、フィルムまたは生地を適切なポリマー組成物とともに溶融加工してもよい。たとえば、ある種の可塑化ポリビニルアルコールを溶融加工することが可能である。耐熱性の活性な作用物をポリマー溶融物に直接加えてもよい。あるいは、1997年11月18日発行の米国特許第5,688,523号に報告されているような技術を使用して、活性な作用物を、水溶性または水分散性のフィルムまたは繊維に塗布してもよく、吸収させてもよい。結果として生じる担体の溶解性、柔軟性、強さ、障壁、または他の特性を変えるために、水不溶性熱可塑性ポリマーが、溶融物中に含まれてもよい。
【0032】
担体の個々の形態および担体を作製するために使用される材料は、担体に所望の特徴を与えるように選択することが可能である。たとえば、装置が使用時に実質的に目立たないことを必要とする処置剤には、薄い透明なフィルム担体が望ましいであろう。高い有孔性を必要とする処置剤には、織布または不織布担体が望ましいであろう。より頑丈な装置が望ましい処置剤には、フィルムまたはより高い基本重量の不織布が望ましいであろう。このような処置剤には、着色剤、染料または漂白剤を送達するために毛髪に編み込まれるストリップ、またはマスク向けのような、担体上に印刷が施される場合などが含まれるであろう。
【0033】
接着剤
本発明で使用するのに適した水溶性または水分散性の接着剤組成物を提供する、多種多様の化学が知られている。一般に、このような接着剤は、僅かに架橋されているか未架橋の、極性ポリマー、およびある程度の感圧タックを提供するのに十分な量の可塑剤を含んでもよい。好適な接着剤は、水を含んでもよく、含まなくてもよい。本発明で使用するのに適したある接着剤は、冷水可溶性であってもよい。一実施形態では、この接着剤は、水の非存在下で、未架橋の極性ポリマーおよび相溶性可塑剤を含む。このような接着剤は、フィルムに悪影響を及ぼすことなく、良好な粘着力および速やかな水溶解性を与える。別の実施形態では、この接着剤は、1990年6月5日発行の米国特許第4,931,282号、1993年7月6日発行の米国特許第5,225,473号、および1994年1月4日発行の米国特許第5,276,079号に報告されているような、架橋したポリビニルピロリドンのポリマー、グリコール可塑剤および場合によって水を含む。
【0034】
本接着剤で使用するのに適したポリマーとしては、ポリ(エチレンオキシド);天然および合成の多糖類およびそれらの誘導体;および(メタ)アクリル酸およびそれらの塩類等の、3〜8個の炭素原子を有するエチレン性不飽和カルボン酸を含む、エチレン性不飽和親水性モノマーのホモポリマーおよびコポリマーならびに無水マレイン酸および無水イタコン酸等の不飽和無水物の重合および後続の加水分解により誘導されるポリマー等;アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびそれらの塩類;メチルビニルエーテル;エチルビニルエーテル;およびアミン含有モノマーとアルキル化剤またはプロトン酸との反応により誘導されるアンモニウム官能性を有するポリマー、たとえばN,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその誘導体、およびビニルピリジンなどがあるが、これらに限定されない。本発明の装置の一実施形態では、ポリマーは、1989年7月18日発行の米国特許第4,848,353号に報告されているような、酸性基を0.5〜95%中和することが可能なアクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーを含む。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の水酸化アルカリを、酸性基の中和剤として使用することが可能である。代替実施形態では、ポリマーは、N−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーを含む。別の代替実施形態では、ポリマーは、1981年6月16日発行の米国特許第4,273,135号に報告されているような、凝集性の、従順な、非イオン性、親水性合成ポリマーを含む。また別の代替実施形態では、ポリマーは、1982年10月5日発行の米国特許第4,352,359号に報告されているような、カルボン酸の塩を含有するモノマー単位を少なくとも5モル%含む凝集性の、従順な、親水性合成ポリマーを含む。
【0035】
接着剤で使用するのに適したポリマーは、10,000〜100,000ダルトンの全数平均分子量を有する、未架橋のポリマーまたはポリマーの混合物であってもよい。このようなポリマーは、凝集強さおよび水溶解性の良好なバランスをもたらす。
【0036】
本発明の装置の接着剤組成物は、接着剤組成物の約10〜約60重量%という相対量のポリマーを含んでもよい。本発明のある実施形態は、約20〜約50重量%のポリマーを含有する接着剤組成物を含んでもよい。このレベルの親水性ポリマーマトリックスを含有する接着剤組成物は、タック、柔らかさ、粘着性、および凝集強さの望ましいバランスを有する。この接着剤組成物は、実質的に均質な外観を有することが可能である。すなわち、水性の液体相が、ポリマーマトリックス内に保留され、本質的に相分離を眼で確認することはできない。
【0037】
接着剤組成物は、(接着剤の総重量に比して)約10〜約80重量%の極性有機化合物および約0〜60重量%の水を含む可塑剤をさらに含んでもよい。これらの重量%は全て、全接着剤組成物の総重量に基づく。
【0038】
可塑剤に使用するのに適した化合物としては、一価アルコール類および多価アルコール類などがあるが、これらに限定されない。低分子量ポリオキシエチレン(平均分子量600ダルトンまで)、グリセロール、モノメトキシポリオキシエチレンおよびプロパンジオールは、良好な接着剤性能を与えるため、好適である。
【0039】
可塑剤は、相溶性の、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または両性の界面活性剤も含んでもよい。このような界面活性剤の使用は、2000年9月19日発行の米国特許第6,121,508号に報告されている通り、接着剤親油性特性を提供することにより、油性表面への接着剤の粘着力を改良する。接着剤と油性表面との間の相溶性は、界面活性剤を接着剤に組み込むことによって改良される。界面活性剤は、疎水性有効成分を接着剤とより相溶性にさせるのにも役立つ。
【0040】
本発明の装置の接着剤組成物は、約80重量%までの量の可塑剤および約60重量%までの量の水を含んでもよい。ある実施形態は、約10〜約50重量%の可塑剤および約10重量%までの水を含んでもよい。このような接着剤は、一般に、良好な水溶解性を維持しながら、感圧接着剤性能の良好なバランスを備える。
【0041】
活性な作用物
本発明の装置は、1種以上の活性な作用物を、特定の限定された体表面に送達するようにデザインすることが可能である。ある実施形態の場合、送達される活性な作用物は、送達部位に限局化されたまま残留することが可能である。他の実施形態の場合、活性な作用物は、全身処置を施すために血流に入ることが可能である。
【0042】
特許請求の範囲に記載の本発明の単式装置は、任意の数の活性な作用物を送達することが可能である。各活性な作用物が、同一装置で同時に送達される他の各活性な作用物と相溶性である限り、1種より多い活性な作用物を一緒に混合してもよい。あるいは、第2の活性な作用物と反応する活性な作用物を使用し、担体、接着剤、またはその両者によって第2の活性な作用物から分離されるように装置内に組み込み、加湿によって装置が活性化されたときに限って反応を可能にすることができる。これは、たとえば、オーラルケアのための、重炭酸ナトリウムおよび過酸化水素水のin situ混合に特に有用な可能性がある。
【0043】
本装置が所望の体表面に適用されたとき、担体フィルム、接着剤、またはその両者と関連していることによって、1種以上の活性な作用物を、本発明の装置で送達することが可能である。活性な作用物と担体フィルムまたは接着剤との間の関係は、コーティング、懸濁液、乳液、または溶液を含むが、これらに限定されない。
【0044】
本発明の装置は、多数かつ種々様々な処置のいずれにも有用な可能性があり、その一部を以下に記載する。本発明による可能な処置の説明は本質的に代表であることを意図し、発明の範囲を多少なりとも不当に制限する意図のないことを理解すべきである。当業者は、記載の処置または他の処置で使用するのに適した特性を備えた、本明細書に開示の装置をデザインすることができるであろう。
【0045】
本発明の装置を使用して、多種多様に揃えた活性な作用物を皮膚に送達することが可能である。特許請求の範囲に記載の装置は、柔軟かつ従順であることが可能であり、それによって、本装置の快適な処置を様々な皮膚輪郭に提供することができる。皮膚を処置する場合、本装置は乾いた皮膚に付着できることが望ましいであろうが、湿ったまたは予め湿らせた皮膚への適用も特許請求の範囲に記載の発明の範囲内である。本装置は乾いた皮膚に対して粘着力を有するため、長期処置が望ましいであろう様々な用途で本装置を使用することが可能である。たとえば、一晩皮膚処置向けの活性な作用物を適用するために、本装置を使用することが可能である。一実施形態では、本装置は乾いた皮膚に適用され、長期処置を施し、次いで容易に洗い流され、処置後直ちに完了する。この様式で皮膚に送達することが可能な活性な作用物としては、皮膚軟化剤、湿潤剤、コンディショナー、保湿剤、ビタミン類、ハーブエキス、酸化防止剤、ステロイド類または他の抗炎症薬、血管拡張薬、α−ヒドロキシ酸またはβ−ヒドロキシ酸等の角質除去剤、成長因子類、酵素類、漂白剤または着色剤、抗真菌薬または抗菌薬(ポビドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、p−クロロ−m−キシエノル(p−chloro−m−xyenol)、グリセリンおよびプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル、ベンゾイルペルオキシド、過酸化水素、銀、および塩化銀、酸化銀、およびスルファジアジン銀を含むがこれらに限定されない銀塩、フェノール類、ミコナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ウンデシレン酸等々を含む、抗生物質および防腐剤)、乳化剤、人工日焼け剤、日焼け促進剤、皮膚鎮痛薬、皮膚引き締め薬、皺とり薬、皮膚修復薬、皮脂抑制薬、皮脂刺激薬、プロテアーゼインヒビター、鎮痒成分、発毛阻害剤、育毛剤、皮膚知覚薬(skin sensate)、抗アクネ処置剤、脱毛剤、収斂剤、除毛剤、または魚の目、たこまたはイボ除去剤などがあるが、これらに限定されない。観賞用または装飾用デザイン、着色剤、タトゥーまたは光物も、この様式で皮膚に適用することが可能である。たとえば、顔を含む、皮膚の少なくとも一部を装飾するための、水除去可能なマスクを作るために、特許請求の範囲に記載の装置を使用することができる。
【0046】
あるいは、水または他の水分で装置の表面部位を少なくとも部分的に活性化することによって、活性な作用物を皮膚に送達することが可能である。このようにして、接着剤、担体、またはその両者の少なくとも一部を、溶解または分散させる。一部の処置では、接着剤および担体を完全に溶解または分散させ、それによって活性な作用物を即時にかつ完全に送達できることが望ましいこともある。あるいは、担体、接着剤、またはその両者の一部だけを溶解または分散させることが望ましい処置もある。残りの担体または接着剤を、活性な作用物とともに皮膚に擦り込み、それによって、活性な作用物に、ある程度の染色性および持続性を提供するバインダーの役割をすることが可能である。この様式で皮膚に送達することが可能な活性な作用物としては、光物、アロマテラピー剤を含む芳香、香水、日焼け止め剤、虫除け剤、デオドラントおよび制汗剤などがあるが、これらに限定されない。
【0047】
本装置は、様々な処置を毛髪に提供するために使用することも可能である。また、個々の用途に応じて、処置は長期であっても即時であってもよく、また本発明の装置は、所望の処置を施すようにデザインすることが可能である。本装置は柔軟かつ従順であることが可能であり、多種多様の毛髪処置を送達するために使用することが可能である。たとえば、本装置は、毛髪着色剤または漂白剤を長期にわたって送達するために、毛髪に編み込むことが可能である。このような用途では、不織布生地を含む装置は、より良好な快感を与えることが可能である。本装置の1種以上の着色ストリップを毛髪に編み込み、続いて水で活性化することにより、「絞り染め」の様相を作ることができる。本発明の装置で可能な他の毛髪処置としては、コンディショナー、保湿剤、湿潤剤、ふけ取り剤、ビタミン類、芳香、香水、ハーブエキス、毛髪着色剤、漂白剤、きめ付与剤および光物を含む装飾用作用物の長期または即時の送達などがあるが、これらに限定されない。
【0048】
本装置は、指の爪または足指の爪に処置を施すために使用することも可能である。皮膚および毛髪への類似した処置に関して上述したものと類似した様式で特許請求の範囲に記載の装置を使用して、装飾用着色またはアップリケを爪に送達することが可能である。抗真菌剤、抗菌薬、または他の薬剤も、本装置で爪に送達することが可能である。
【0049】
本装置は、歯または粘膜組織等の湿った表面に処置を送達するために使用することも可能である。このような処置は、当然湿った環境で行われるため、本装置がゆっくり溶解または分散するように、本装置をこのような処置に合わせてデザインすることが望ましいこともある。歯科処置の例としては、フッ素処理、ホワイトニング、着色漂白剤、着色除去、フッ素リン灰石を形成するための再石灰化、プラーク除去、および歯石除去などがあるが、これらに限定されない。好適な医薬品の例としては、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、ピロリン酸塩、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリリン酸塩、トリクロサン、酵素類、およびこれらの組合せなどがあるが、これらに限定されない。その他の有用な医薬品としては、抗炎症薬、抗菌薬、皮膚軟化剤、香味料、気分転換剤、鎮痒薬、および軟組織を処置するための他の作用物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本装置は、水に浸すことによって優しく実質的に苦痛なく除去することが可能な創傷包帯、救急手当て用品包帯、またはアスレチックテープラップとしての有用性も備える。こうした医用品は、無制限に、抗菌薬、抗生物質または創傷治癒剤等の活性な作用物を含むことが可能である。こうした創傷包帯は、水溶性吸収剤をさらに含んでもよい。
【0051】
本発明の装置は、全身処置を施す活性な作用物を送達するために使用することも可能である。全身的な活性な作用物の送達は、皮膚または粘膜組織を通してであってもよい。このような処置の場合、全身的に活性な作用物を運ぶ本発明の装置を、局部的体表面に適用する。本装置の適用は長期間であってもよく、または、代わりに、装置および活性な作用物を、本装置が適用される皮膚または粘膜組織に擦り込んでもよい。活性な作用物は皮膚または粘膜組織に吸収され、血流に到達する。この血流が活性な作用物を全身にくまなく運び、それによって、活性な作用物が全身処置を提供することが可能になる。全身的処置を施すためにこの様式で送達することが可能な活性な作用物としては、2000年2月1日発行の米国特許第6,019,997号に報告されているようなホルモン類、ビタミン類、薬剤、およびこれらの組合せなどがあるが、これらに限定されない。
【0052】
全ての処置に関して、活性な作用物は、担体、接着剤および支持層と相溶性でなければならない。活性な作用物、接着剤および担体は、保存中、それぞれが安定なままであるように、選択しなければならない。
【0053】
支持層
本発明の装置は、担体、接着剤、またはその両者に剥離可能に接着された1種以上の支持層を含んでもよい。支持層は、一般に、処置が開始される頃に、担体および接着剤から剥離される。本装置の担体および接着剤は、薄く、柔軟かつ従順であってもよく、支持層を使用して、構造的支持を装置に提供し、それによって、本装置を取り扱い易くすることが可能である。また、ユーザーが、処置のために装置を局部的体表面に適用する準備の整うまで、支持層は、接着剤を覆っていることが可能である。このようにして、支持層は、所望の処理のために選択された体表面以外の表面と接触することから、接着剤層を保護することが可能である。このことは、処置前の装置の扱い方を改良し、ごみを減らす。第2の支持層は、担体に付着していて、第1の支持層を接着剤から剥離した後、本装置に剛性を提供することが可能である。このことは、装置が皺になったりまるまったりするのを防止し、滑らかに、容易に皮膚に配置することを可能にする。いったん本装置が所望の体表面に適用されるとその後は、第2の支持層を除去してもよい。このような支持付装置を製造する一方法が、2001年1月2日発行の米国特許第6,169,224号に報告されている。
【0054】
支持層に使用される材料は、制限を受けない。支持層で使用するのに適した材料としては、紙、ホイル、およびポリマーフィルムならびにそれらの多層積層品などがあるが、これらに限定されない処置を受けようとしている体表面に本装置を適用することができるように、支持層は、担体または接着剤から容易に剥離できなければならない。支持層用の材料は、支持層を容易に除去できるようにデザインされた1種以上の材料で被覆されていてもよい。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明の特徴、利点および他の詳細をさらに例を挙げて説明するために選択されているに過ぎない。しかし、実施例はこの目的に役立つが、使用される個々の成分および量ならびに他の条件および詳細は、本発明の範囲を不当に制限する意味でとらえるべきではないことを、明確に理解すべきである。
【0056】
実施例1〜6
活性な作用物の水溶性フィルムへの組み込み
2種類のポリマー溶液を調製した。特に記載がない限り、全てのパーセンテージは重量基準である。分子量10,000のポリ(ビニルピロリドン)(ミズーリ州セント・ルイスのシグマ・アルドリッヒ・ファイン・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Fine Chemicals,St.Louis,Missouri))から市販されている、PVP)の55%水溶液を、55gを脱イオン水45gに溶解することによって調製した。分子量9,000〜10,000の80%加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(シグマ・アルドリッヒ・ファイン・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Fine Chemicals)から市販されている、9K PVA)の35%水溶液を、35gを脱イオン水65gに溶解することによって調製した。
【0057】
活性な作用物として以下の溶液を調製した:(A)イソプロパノール中、10%サリチル酸、(B)水中、10%アスコルビン酸リン酸ナトリウム(ニュージャージー州マウント・オリーブのBASFコーポレーション(BASF Corporation(Mount Olive,New Jersey))、および(C)酢酸トコフェロール(シグマ・アルドリッヒ・ファイン・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Fine Chemicals)5gと、ソルビタンラウレート(デラウェア州ニュー・キャッスルの、ユニケマ(Uniqema(New Castle,Delaware))0.5gとの混合物。
【0058】
表1は、水溶性フィルムを形成するために使用した6種の各配合物を形成するために、ポリマー溶液5gに添加した活性な作用物の量を示す。各配合物をポリエステルフィルム上に塗布し、65℃で10分間乾燥させ、冷却後、コーティングの外観を評価した。
【0059】
【表1】

【0060】
以上の結果から、水溶性(A)、アルコール可溶性(B)、および水不溶性(C)の活性な成分は、担体中に溶解または分散させることができること、および担体は、2種の異なるポリマーの高固形分溶液から便利に調製できることがわかる。PVPで作られたフィルムは柔軟で、かつ取り扱いおよび加工が容易である。PVAで作られたフィルムは、PVPで作られたフィルムより柔軟性が低い傾向がある。
【0061】
実施例7〜10
水溶性フィルムへの可塑剤の添加
2種のポリマー配合物を使用して、表2に示す可塑化水溶性フィルムを形成した。上記実施例5の場合と同様に、35% 9K PVAを調製した。また、30% 13K PVA を、以下の通りに調製した。分子量13,000の、87%加水分解されたポリビニルアルコール(シグマ・アルドリッヒ・ファイン・ケミカルズ(Sigma−Aldrich Fine Chemicals)から市販されている、13K PVA)の30%水溶液を、13K PVA 30gを脱イオン水70gに溶解することによって調製した。この溶液10gを、イソプロパノール中10%のサリチル酸0.6gと混合した。
【0062】
グリセリンの25%水溶液を調製した。実施例7(最終濃度、2%)の場合には、グリセリン溶液0.28gを、35%9K PVA 10.7gに加え、実施例8(最終濃度5%)の場合には、グリセリン溶液0.70gを、35%9K PVA 10.7gに加えた。実施例9(最終濃度、2%)の場合には、グリセリン溶液0.24gを、30%13K PVA 10.6gに加え、実施例10(最終濃度、5%)の場合には、グリセリン溶液0.60gを、30%13K PVAに加えた。
【0063】
実施例1〜6に関する記載どおりに塗布および乾燥して、透明なフィルムを得たが、実施例7および9(2%グリセリンを含む)は未だ少し脆弱であり、実施例8および10(5%グリセリンを含む)は、より柔らかく、より強靭、より柔軟なフィルムを提供した。水1、2滴で、これらのフィルムを分散させることが可能になり、また、乾燥中、多くの粘着性を感知することなく擦り込むことが可能になる。
【0064】
【表2】

【0065】
以上の結果から、低レベルの可塑剤を添加することによって、PVAで作られたフィルムの柔軟性および強さを改良できることが分かる。
【0066】
実施例11
2種の活性な作用物を含む水溶性フィルムの作製
加熱および撹拌しながら、9K PVA40gを、グリセリン2gおよび脱イオン水58gの混合物に溶解した。この溶液10gに、アラビノガラクタン(ミネソタ州ホワイト・ベア・レイク・タウンシップのラレックス・カンパニー(Larex Company,White Bear Lake Township,Minnesota))1gおよびイソプロパノール中10%のサリチル酸1gを入れて、濁った溶液を得た。上記の通りに塗布および乾燥して、濁った幾分脆弱なフィルムを得た。
【0067】
実施例12および13
担体および接着剤中に活性な作用物を含む水分散性テープの作製
実施例11で調製された9K PVA/グリセリン/水溶液20gに、イソプロパノール中10%のサリチル酸1.6gを入れた。これを、シリコーン化処理したポリエステルライナー上に、75μmの湿潤厚さに塗布し、65℃で7分間乾燥させて、実施例12用の担体を得た。同様に、実施例9および10で調製された13K PVA/水溶液20gと、グリセリン0.30gおよびイソプロパノール中10%のサリチル酸1.2gとを混合した溶液から、実施例13用の担体を作製した。活性な作用物を含有する接着剤を、1994年1月4日発行の米国特許第5,276,079号および1995年8月8日発行の米国特許第5,438,988号に従って調製した。γ線照射により架橋しておいたポリビニルピロリドン粉末14gを、分子量300のポリエチレングルコール(PEG 300)26gに懸濁した。オムニ・マクロ・ホモジナイザー(Omni Macro Homogenizer)(コネチカット州ウォーターベリーの、オムニ・インターナショナル(Omni International,Waterbury,CT))を使用して、高剪断で混合しながら、水60gを加えた。このようにして得られた40%溶液20gを、イソプロパノール10%のサリチル酸1.6gと混合し、上述の通りに塗布して乾燥させた。次いで、この担体を接着剤に積層し、2層のポリエステル支持層の間に挟まれたテープを得た。この積層品は、完全に安定しているようで、2層間の可塑剤の移動は全く見られなかった。
【0068】
実施例14〜18
接着剤中のみに活性な作用物を含む水分散性テープの作製
実施例14用に、実施例12および13からの接着剤を、可塑化ポリビニルアルコールフィルム(ニューヨーク州ホワイト・プレインズのミツイ・プラスティックス(Mitsui Plastics,White Plains,New York)から市販されているソリュブロン・SA−17(Solublon SA−17))のストリップに積層した。未架橋のポリビニルピロリドン(ニューヨーク州マウント・オリーブのBASF(BASF,Mount Olive,New York)から市販されている、PVP K30)20g、脱イオン水10g、分子量400のポリエチレングルコール(PEG 400)8g、およびイソプロパノール中20%のサリチル酸2.8gの溶液から得られた低タック接着剤を使用して、別のテープ(実施例15)を作製し、上述の通りに塗布して乾燥させた。PVP K30 10g、脱イオン水10g、PEG 400 5g、デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ(Uniqema,New Castle,Delaware)から市販されているブリジ56(Brij 56)2g、およびイソプロパノール中20%のサリチル酸3.4gの溶液から得られた皮膚温度活性化接着剤を使用して別のテープ(実施例16)を作製し、上述の通りに塗布して乾燥させた。PVP K30 20g、PEG 400 10g、脱イオン水10g、およびイソプロパノール中20%のサリチル酸3gの溶液から得た代替の高タック接着剤を使用して別のテープ(実施例17)も作製し、上述の通りに塗布して乾燥させた。この接着剤も、織目加工した水溶性可塑化ポリビニルアルコールフィルム(クリスト・クラフト(Chris Craft)から市販されているモノゾルE6030(Monosol E6030))に積層した。このようにして得られたテープは、皮膚 に対して良好な粘着力を有し、快適に数時間装着でき、次いで、水を使用して除去することができた。あるいは、皮膚に付着させた後、このテープに数滴の水を加え、擦り込むことによって、より多くの水ですすぐことにより除去することが可能な、柔軟な二重フィルムが得られる。
【0069】
本発明に対する様々な修飾および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明白になるであろう。本発明は、説明に役立つ実施形態および本明細書に記載の実施例によって不当に限定されないこと、またこのような実施例および実施形態は、ほんの一例として示したにすぎず、発明の範囲は、本書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図することを理解すべきである。
【0070】
本願発明に関連する実施態様を以下に列挙する。
[実施態様1]
少なくとも1種の活性な作用物を局部的体表面に送達するための装置であって、
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体と、
前記担体の前記第1表面の少なくとも一部の上に配置され、かつ前記担体の第1表面と接触している担体面および一般に前記担体面に対向する適用面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の接着剤と、
前記接着剤の前記適用面、前記担体の前記第2表面、またはその両者に剥離可能に接着された少なくとも1層の支持層と、
を含む装置。
[実施態様2]
前記担体が、ポリマーフィルム、織布、編物、不織布、開放気泡フォームまたは独立気泡フォームを含む、実施態様1に記載の装置。
[実施態様3]
前記少なくとも1種のポリマーが、1種以上の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のモノマーで作られる、実施態様1に記載の装置。
[実施態様4]
前記少なくとも1種のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、タンパク質、炭水化物、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリオキシアルキレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマーを含む、実施態様1に記載の装置。
[実施態様5]
前記タンパク質が、コラーゲン、ゼラチン、それらの任意の誘導体、または前述のいずれかの任意の組合せである、実施態様4に記載の装置。
【0071】
[実施態様6]
前記炭水化物がアラビノガラクタンを含む、実施態様4に記載の装置。
[実施態様7]
前記少なくとも1種の可塑剤が、一価アルコール、多価アルコール、ポリエチレングルコール、ポリエーテル、界面活性剤、アミド、ラクタム、アミン、アミン塩、α−トコフェロール、または前述のいずれかを含む任意の混合物である、実施態様1に記載の装置。
[実施態様8]
前記一価アルコールが、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、アルキルエーテルエトキシレート、アルキルエステルエトキシレート、アリールエーテルエトキシレート、アリールエステルエトキシレート、アラルキルエーテルエトキシレート、またはアラルキルエステルエトキシレートである、実施態様7に記載の装置。
[実施態様9]
前記多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセロール、アルキルポリグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、プロピレングリコール、ソルビトール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、または前述のいずれかのアルコキシル化誘導体である、実施態様7に記載の装置。
[実施態様10]
前記接着剤が感圧接着剤を含む、実施態様1に記載の装置。
【0072】
[実施態様11]
前記感圧接着剤が、
i)少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーと、
ii)所望の程度の感圧タックを提供するのに十分な量の、少なくとも1種の可塑剤と、
の混合物を含む、実施態様10に記載の装置。
[実施態様12]
前記少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーが、少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のモノマーで作られる、実施態様11に記載の装置。
[実施態様13]
前記少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、多糖類、多糖類誘導体、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマーである、実施態様11に記載の装置。
[実施態様14]
前記少なくとも1層の支持層が、紙、ポリマーフィルム、ホイル、または前述の任意の組合せである、実施態様1に記載の装置。
[実施態様15]
少なくとも1種の活性な作用物を局部的体表面に送達するための装置であって、
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体と、
前記担体の第1表面の少なくとも一部の上に配置され、かつ前記担体の第1表面と接触している担体面および一般に前記担体面に対向する適用面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の接着剤と、
前記担体、前記接着剤、またはその両者と関連している少なくとも1種の活性な作用物と、
前記接着剤の適用面、前記担体の前記第2表面、またはその両者に剥離可能に接着された少なくとも1層の支持層と、
を含む装置。
【0073】
[実施態様16]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、皮膚、毛髪、指の爪、足指の爪、歯、または粘膜組織の処置に有効である、実施態様15に記載の装置。
[実施態様17]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、染料、顔料、漂白剤、または毛髪着色料である、実施態様16に記載の装置。
[実施態様18]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、気分転換剤、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、ピロリン酸塩、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリリン酸塩、トリクロサン、香味料、フッ素処理剤、歯のホワイトニング剤、歯科用着色除去剤、プラーク除去剤、または歯石除去剤である、実施態様16に記載の装置。
[実施態様19]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、光物、装飾的意匠、マスク、アップリケまたはタトゥーである、実施態様16に記載の装置。
[実施態様20]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、芳香、香水、皮膚軟化剤、湿潤剤、コンディショナー、保湿剤、界面活性剤、ハーブエキス、皮膚着色料、色彩化粧品、乳化剤、皮膚鎮痛薬、皮膚引き締め剤、人工日焼け剤、日焼け促進剤、皺とり薬、剥脱剤、皮脂抑制薬、皮脂刺激薬、プロテアーゼインヒビター、鎮痒成分、発毛阻害剤、育毛剤、除毛剤、皮膚知覚薬、脱毛剤または収斂剤である、実施態様16に記載の装置。
【0074】
[実施態様21]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、日焼け止め剤、虫除け剤、制汗剤またはデオドラントである、実施態様16に記載の装置。
[実施態様22]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、薬剤、ビタミン、ホルモン、酸化防止剤、抗炎症薬、ステロイド、鎮痒薬、抗真菌薬、抗生物質、抗菌薬、ふけ取り剤、抗アクネ剤、皮膚修復剤、たこ除去剤、イボ除去剤または魚の目除去剤である、実施態様16に記載の装置。
[実施態様23]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記担体と関連している、実施態様15に記載の装置。
[実施態様24]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記担体の少なくとも1つの表面上にコーティングを形成する、実施態様23に記載の装置。
[実施態様25]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記担体内に溶解、懸濁または乳化される、実施態様23に記載の装置。
【0075】
[実施態様26]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記接着剤と関連している、実施態様15に記載の装置。
[実施態様27]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記接着剤の前記適用面上にコーティングを形成する、実施態様26に記載の装置。
[実施態様28]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記接着剤内に溶解、懸濁、または乳化される、実施態様26に記載の装置。
[実施態様29]
前記担体が、ポリマーフィルム、織布、不織布、開放気泡フォームまたは独立気泡フォームを含む、実施態様15に記載の装置。
[実施態様30]
前記少なくとも1種のポリマーが1種以上の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のモノマーで作られる、実施態様15に記載の装置。
【0076】
[実施態様31]
前記少なくとも1種のポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、タンパク質、炭水化物、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリオキシアルキレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマーを含む、実施態様15に記載の装置。
[実施態様32]
前記少なくとも1種の可塑剤が、一価アルコール、多価アルコール、ポリエチレングルコール、ポリエーテル、界面活性剤、アミド、ラクタム、アミン、アミン塩、α−トコフェロール、または前述のいずれかを含む任意の混合物を含む、実施態様15に記載の装置。
[実施態様33]
前記一価アルコールが、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、アルキルエーテルエトキシレート、アルキルエステルエトキシレート、アリールエーテルエトキシレート、アリールエステルエトキシレート、アラルキルエーテルエトキシレート、またはアラルキルエステルエトキシレートである、実施態様32に記載の装置。
[実施態様34]
前記多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセロール、アルキルポリグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダムコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、プロピレングリコール、ソルビトール、ソルビトールエステル、ブタンジオール、または前述のいずれかのアルコキシル化誘導体である、実施態様32に記載の装置。
[実施態様35]
前記接着剤が感圧接着剤を含む、実施態様15に記載の装置。
【0077】
[実施態様36]
前記感圧接着剤が
i)少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーと、
ii)所望の程度の感圧タックを提供するのに十分な量の、少なくとも1種の可塑剤と、
の混合物を含む、実施態様35に記載の装置。
[実施態様37]
前記少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーが、少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のモノマーで作られる、実施態様36に記載の装置。
[実施態様38]
前記少なくとも1種の実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性のポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、多糖類、多糖類誘導体、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマーを含む、実施態様36に記載の装置。
[実施態様39]
前記少なくとも1層の支持層が、紙、ポリマーフィルム、ホイル、または前述のいずれかの任意の組合せである、実施態様15に記載の装置。
[実施態様40]
少なくとも1種の活性な作用物を局部的体表面に送達するための装置を作製する方法であって、
第1表面および第2表面を有する水溶性または水分散性の担体を提供する工程と、
少なくとも1種の水溶性または水分散性のポリマーを溶媒に溶解して溶液を作る工程と、
可塑剤を前記溶液に加え、この溶液を乾燥させて感圧接着剤を形成したとき、可塑剤が所望の程度の感圧タックを提供するように、可塑剤を選択する工程と、
所望の程度の感圧タックを感圧接着剤に提供するのに十分な量の前記可塑剤を前記溶液に加える工程と、
前記溶液を乾燥させて感圧接着剤を形成する工程と、
少なくとも1種の活性な作用物を前記担体、前記感圧接着剤、またはその両者に加える工程と、
前記感圧接着剤を、前記担体の第1表面の少なくとも一部に塗布し、それによって前記担体の第1表面と接触している前記感圧接着剤の担体面および一般に前記担体面に対向する感圧接着剤の適用面を画定する工程と、
少なくとも1層の支持層を、前記担体の前記第2表面、前記感圧接着剤の前記適用面、またはその両者に、剥離可能に接着する工程と、
を含む方法。
【0078】
[実施態様41]
前記担体が少なくとも1種の活性な作用物をさらに含む、実施態様40に記載の方法。
[実施態様42]
前記少なくとも1種の活性な作用物を前記感圧接着剤に加える工程が、乾燥前に、少なくとも1種の活性な作用物を前記溶液に加えることを含む、実施態様40に記載の方法。
[実施態様43]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、前記担体、前記感圧接着剤、またはその両者の少なくとも1つの表面上のコーティングである、実施態様40に記載の方法。
[実施態様44]
前記少なくとも1種の活性な作用物が、皮膚、毛髪、指の爪、足指の爪、歯、または粘膜組織の処置に有効である、実施態様40に記載の方法。
[実施態様45]
少なくとも1種の活性な作用物を、局部的体表面に送達する方法であって、
i)少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の担体と、
ii)前記担体の前記第1表面の少なくとも一部の上に配置され、かつ前記担体の第1表面と接触している担体面、および一般に前記担体面に対向する適用面を有する、実質的に水溶性かまたは実質的に水分散性の接着剤と、
iii)前記担体、前記接着剤、またはその両者と関連している少なくとも1種の活性な作用物と、
iv)前記接着剤の前記適用面、前記担体の前記第2表面、またはその両者に剥離可能に接着された少なくとも1層の支持層と、
を含む送達装置を提供する工程と、
前記装置を対象に接着する工程と、
前記活性な作用物を局部的体表面に送達させる工程と、
前記装置を除去する工程と、
を含む方法。
【0079】
[実施態様46]
活性な作用物を局部的体表面に擦り込むことをさらに含む、実施態様45に記載の方法。
[実施態様47]
前記装置を、局部的体表面に接着する工程が、本装置を、乾いた皮膚、乾いた毛髪、乾いた指の爪または乾いた足指の爪に接着することを含む、実施態様45に記載の方法。
[実施態様48]
前記活性な作用物を、前記局部的体表面に送達させる工程が、本装置を除去する前に少なくとも約1時間、本装置を局部的体表面と接触させておくことを含む、実施態様47に記載の方法。
[実施態様49]
前記少なくとも1種の活性な作用物が全身処置を提供する、実施態様45に記載の方法。
[実施態様50]
前記本装置を除去する工程が、本装置を水性媒体中に溶解または分散させることを含む、実施態様45に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性な作用物を局部的体表面に送達するための装置であって、
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含み、かつ第1表面および第2表面を有する、水溶性かまたは水分散性の担体と、
前記担体の前記第1表面の少なくとも一部の上に配置され、かつ前記担体の第1表面と接触している担体面および前記担体面に対向する適用面を有する、水溶性かまたは水分散性の接着剤と、
前記担体の前記第2表面に剥離可能に接着された支持層と、
を含む装置。

【公開番号】特開2008−150396(P2008−150396A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50592(P2008−50592)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【分割の表示】特願2002−588968(P2002−588968)の分割
【原出願日】平成14年4月11日(2002.4.11)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】