説明

化粧品の機構

化粧品の機構は、
・製品を供給するために開口部(16)を呈する容器と、
・浮き彫り(62)の内側部分、例えば縁部を呈する蓋(26)とを備え、前記部分は、前記蓋で前記容器を閉じる間に前記開口部を通り越し、かつ前記蓋が前記容器を閉じているときには前記開口部から間隔を空けて位置するように配置されている。前記蓋(26)は、前記容器を閉じている間には前記開口部(16)のそばに位置してかつそれを閉じるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を含む化粧品の機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧用の流体をノズルの開口部を介して供給するために液状又は粘りけのある形態で収容する物品が知られている。例えばポンプ等の手段が前記開口部を介して前記流体を供給するために命令で作動する。その組立品は、前記開口部と物品外部の部品との間の接触を回避する機能を有する蓋によって覆われるかもしれない。例として、このタイプの機構が特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0277893号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用後ノズルの中に流体が残るということが一般に生じる。残念なことに、このことが種々の問題を招き得る。
【0005】
まず第1に、この一部分の液が、周辺部に接触することで汚されうる箇所を構成する。
【0006】
したがって、このように構成された流体の付着物の外観は、次に使用者が前記流体を得るために蓋を取り外したときに美しくない。このことは、前記流体が周りの空気に接触して乾燥しきったときに特にあてはまる。さらにその後、その付着物は、前記開口部を介して供給される供与量のきれいな流体に混ざるかもしれない。
【0007】
その上、使用される前記流体に相当する配合によっては、前記流体が乾くことによって前記開口部に蓄積してそれを徐々に完全又は部分的に塞ぐ筋状のものを構成することが起こりうる。結果として、前記開口部から放出された前記流体がかなり大きく向きをそらされたり、又は実際に流体が不十分な量供給されるかもしれない限りにおいて、供給はもはや完全にはコントロールされていない。
【0008】
それらの問題を緩和するため、ノズルの開口部を内部で塞ぐために装置が提案されている。このような装置は、特に、前記開口部と前記流体を収容している容器との間のあらゆる通路を遮断するために一時的に役割を果たす。このような装置は、例えばピストン装置であってもよい。とはいえ、このような装置は、一般に複雑な設備であり、注意深い組み付けを必要とし、その結果高額となる。その上、それらは大幅かつ特有の開発を必要とし、小さくかつ常には適合できない容量内に収容される必要がある。なによりも、それらは、所定量の前記流体が前記開口部の外側で付着物を構成することを妨げない。
【0009】
前記蓋自体が前記ノズルの開口部を覆う機構も知られている。それは、上述した文献においてもいえる。しかしながら、このような閉鎖は、前記ノズル上及び前記蓋の内面上で前記付着した流体を、該流体が前記機構の使用回数が増えるにつれてそれらの場所の中と上述したように特に開口部自体の上とに蓄積してまたもやその外観をかなり美しくなくならせるように広がらせる。
【0010】
本発明の目的は、前記ノズルの手入れを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、
・製品を供給するために開口部を呈する容器と、
・浮き彫りの内側部分、例えば縁部を呈する蓋とを備え、前記部分は、前記蓋で前記容器を閉じる間に前記開口部を通り越し、かつ前記蓋が前記容器を閉じているときには前記開口部から間隔を空けて位置するように配置され、前記蓋は、前記容器を閉じている間には前記開口部のそばに位置してかつそれを閉じるように配置された化粧品の機構を提供する。
【0012】
このように、浮き彫りの前記部分が、使用後に前記開口部から突き出るかもしれないあらゆる製品を、前記蓋が前記容器を閉める位置に到達するまでに拭き取り又はこすり取ることによって前記開口部から除去する。前記開口部から突き出るすべての残りの製品は、このように前記ノズルから取り除かれる。このような状況下では、次に前記使用者が前記蓋を取り外したときに、前記ノズルは製品がなく、かつ良好な外観を呈する開口部を呈することがわかる。その上、前記蓋は、前記開口部を拭き取り又はこすり取るだけでなく、引き続き、前記容器内側に位置しているあらゆる製品と外部環境との間の通路を制限するようにそれを閉じ、これにより前記製品の特性を維持する。本発明は、さらに外部の媒体に接触する製品の量をさらに減らし、そうして前記物品の寿命全体を通してこの種の機構内の前記ノズルの前記開口部の魅力的な外観を維持するという効果を有している。
【0013】
好ましくは、前記蓋は、可撓性の材料のシャッターによって前記開口部を閉じるように配置される。
【0014】
このことは、たとえ前記開口部と前記シャッターとが静止状態でちょうど合致しなくても、前記ノズルが適正に閉じられることを保証する。
【0015】
都合のいいことに、浮き彫りの前記部分は、前記蓋の自由端から離れて延びている。
【0016】
このように、拭き取り又はこすり取りは、前記蓋の下端縁の近くではなく、むしろ、前記蓋の内側で前記使用者に見えない形で行われる。
【0017】
都合のいいことに、浮き彫りの前記部分は、前記蓋の軸周りの回転体を構成する。
【0018】
したがって、前記容器上に前記蓋を、前記容器の主軸周りの他方を基準とした一方の角度の位置決めを独自に必要とすることなく設置できる。例えば、前記蓋はその最初の位置を基準として4分の1回転で相殺される位置を占めるかもしれない。すべての状況下において、浮き彫りの前記部分がその拭き又はこすり作用を果たし、それにより前記開口部をきれいに維持する。
【0019】
好ましくは、前記蓋は、浮き彫りの前記部分に近接した少なくとも1つのくぼみを呈し、例えばこのようなくぼみが2つあるときには、それらくぼみはそれぞれ浮き彫りの前記部分の上方及び下方で延びていることが好ましい。
【0020】
このように、前記くぼみは、浮き彫りの前記部分により前記開口部から取り除かれた前記製品を受け得る入れ物を構成する。このことが、前記製品が前記蓋内側において制御できない位置を占拠することを回避するが、その制御できない位置とは、そこから前記製品が続けて剥がれ落ちるか、あるいは前記使用者又は前記容器のどこか他の部分に接触し得る位置である。前記くぼみが下部くぼみであるとき、それは前記蓋が前記容器の上に設置される間にその蓋の動きの結果として得られた製品を受ける。前記くぼみが上部くぼみである場合、それは前記蓋が前記容器から取り外される間に浮き彫りの前記部分により前記開口部から取り除かれた製品を受ける。
【0021】
好ましくは、前記蓋は、外カバーと、該カバー内側に完全に収容され、かつ浮き彫りの前記部分を保持する内部部品とを備え、前記カバーと前記部品とが別個の部分を構成する。
【0022】
このことは、前記カバーと前記内部部品とを、それぞれの機能を果たすことを可能にするように配置するために大きい余裕を与える。特に、これらの部分は互いに異なる材料から作られることができ、それらの各々が果たすべき役割により適切に適応できる。
【0023】
都合のいいことに、前記内部部品は、前記カバーの材料よりも柔らかい材料で作られ、例えば、前記内部部品はエラストマーで作られる。
【0024】
しばしば、前記蓋は、前記機構の全体の外観に大きく寄与する限りにおいて、特に美的作用を発揮する。この目的のため、前記カバーは例えば比較的固く、良い外観(表面状態、オプションの印刷、絵、・・・)を比較的得やすいプラスチック材料で作られてもよい。さらに、浮き彫りの前記部分を保持する前記部品は、浮き彫りの前記部分がその拭き取り又はこすり取り作用を果たすのに有効なようにエラストマーなどの比較的柔らかい材料で作られてもよい。
【0025】
都合のいいことに、前記蓋は、前記蓋及び前記内部部品とは別個の部分を構成し、かつ前記内部部品を前記蓋の内側で支えるのに役立つ挿入物を含む。
【0026】
このことは、前記内部部品及び前記蓋が比較的簡単な方法で一緒に組み立てられることを可能にし、これらの部分が異なる材料で作られるときに特に有利である。
【0027】
都合のいいことに、前記機構は、液状の又は糊のような化粧用の流体を収容できる。
【0028】
前記機構が、ポンプなど、前記流体を供給する装置を含むように備えがなされてもよい。
【0029】
本発明は、本発明の物品向けの蓋に組み立て方法を提供し、その方法においては、挿入物と浮き彫りの部分、例えば縁部を保持する内部部品とが一緒に組み立てられ、その後、浮き彫りの前記部分が前記蓋の内側で浮き彫りの部分を構成するような方法で、その組立品が前記蓋を構成するようにカバー内に挿入される。
【0030】
本発明の他の特徴及び利点は、限定しない例として与えられた実施形態及び変形例の後続の記述から、及び添付図面に照らしてさらに現れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施形態における化粧用の流体の機構の全体の軸方向断面図である。
【図2】図2は、図1の機構の上端部拡大図である。
【図3】図3は、図2の機構の詳細Dを示す拡大図である。
【図4】図4は、図2の機構の詳細Eを示す拡大図である。
【図5】図5は、図1の機構のカバーの斜視図である。
【図6】図6は、図1の機構の挿入部の斜視図である。
【図7】図7は、図6の挿入部の軸方向断面図である。
【図8】図8は、図1の機構のリングを示す図6に類似した図である。
【図9】図9は、図1の機構のリングを示す図7に類似した図である。
【図10】図10は、図9のリングの詳細Fを示す拡大図である。
【図11】図11は、前記容器上に前記蓋が設置される間に図1の機構においてどのように前記開口部が浮き彫りの前記部分により拭き取られるかを示す断面図である。
【図12】図12は、前記容器上に前記蓋が設置される間に図1の機構においてどのように前記開口部が浮き彫りの前記部分により拭き取られるかを示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の機構の異なる実施形態を示す図6に類似する図である。
【図14】図14は、本発明の機構の異なる実施形態を示す図8に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
前記図面は、化粧用の流体6を収容できる機構4を備えた物品2を示す。
【0033】
前記流体は、顔又は体用のケア商品及び/又は化粧落としであってもよく、あるいは例えば薬などの医薬品の流体であってもよい。それは、液状又は糊のようであり、かつその形状で前記物品により前記使用者に供給される流体である。前記流体は、水溶液、油状の溶液、又は実のところ乳濁液によって構成されてもよい。
【0034】
前記物品2は、ここでは前記流体6の入れ物8を含むボトルによって構成された本体を備える。前記入れ物には、前記本体の上端で延びるノズル14を介して前記流体を供給するための装置10が載せられている。前記ノズルは、流体供給開口部16を呈する。特に、前記開口部を介して前記流体を供給するための装置10は、前記入れ物から前記流体を抽出して前記開口部16に運ぶのに適したポンプを備える。前記ポンプは、従来型であり、ここで詳細には説明しない。前記ノズル14は、前記物品2の垂直主軸22に沿って前記本体を基準として滑りながら動くように装着された押しボタン18に固定されている。前記物品は、前記使用者が前記本体の上部を構成する前記ボタンの上面20を押したときにその圧力が前記本体内側で前記ボタン18を下げるとともに同時に前記開口部16を介して前記ポンプ手段により1回分の流体が処理されるように配置される。前記入れ物8を前記ポンプ10及び前記開口部に連絡させるための回路の詳細は、従来型であるので示さない。
【0035】
この例において、前記押しボタン18は一般に、前記軸22周りの回転体の形状を呈する。特に、それは、前記軸22に対して垂直な平面における円形部分の円筒形の側面24を呈する。前記ノズルは、前記ボタンの片側で上記面から突き出て、前記軸22周りで概して円筒形状をなす面のそばに形成され、その開口部は前記ノズルの自由端に配置される。前記押しボタン18が、前記入れ物を基準として前記軸22周りを回るのに適するように備えがなされるが、この特徴は必須ではない。
【0036】
前記物品2は、それぞれ図5,6,及び8に示され、かつ互いに確実に固定された別個の部分を構成するカバー28、挿入物30、及びリング32を備えた蓋26を含む。前記挿入物及び前記リングは、前記カバーの内側で延びている。前記蓋をその外側から見たとき、図5に示すように、前記カバー28しか見えない。これは、前記容器に常時固定されているわけではない蓋であり、その上に取り外しのきくように組み付けられている。要するに、前記流体を得るために、前記蓋は完全に前記容器から分離されている。
【0037】
前記カバーは、特に、前記軸22に対して垂直な平面における概して四角形状である部分の,筒形状の側壁又はすそ部34を呈する。前記すそ部は、その上端で平らな壁36により閉じられる。例として、前記カバーは、金属又は熱可塑性材料等の比較的固い材料で作られる。
【0038】
図6及び7に照らして、前記挿入物30は、同様に、前記軸22に対して垂直な平面における概して四角形状の部分の,前記軸22周りで概して筒形状をなす側壁又はすそ部40を備える。しかし、前記挿入部30は前記軸22に対して交差する範囲を呈し、該範囲は前記挿入物の上端に近付くにつれて先細りになっているので、この壁の形は、正確には筒状ではない。前記上端に近接して、前記挿入部は、前記軸22に対して垂直な平面で広がる平坦な端壁42を含む。この壁の先端面44は前記壁40の先端46から少し離れて位置している。したがって、前記壁42は、上記縁から少し後退している。前記壁42は、この壁の領域の大部分を占める大きい円形の開口部47を呈する。前記挿入部は、例えば、熱可塑性材料等の比較的固い材料で作られる。
【0039】
図8及び9に照らして、前記リング32は、当該リングの上端に向けて先細りになる部分の,前記軸22周りで概して截頭円錐形をなす端面51を呈する側壁又はすそ部50を備える。この上端は端壁52のそばに形成され、該端壁52は、該壁52が上記端で前記すそ部50から半径方向に張り出す外周リム54を構成するように、その上端縁から半径方向に張り出すことによって該上端縁で前記すそ部50を閉じるものである。平面図において、前記壁52は、4つの角72を呈するように形状において概して四角形状をなしている。前記壁52とは独立して、前記リング32は概して前記軸22周りの回転体の形態となる。
【0040】
前記壁40及び50の間の形の違いは、図1及び2において特に認めることができ、図2では、前記ノズルが前記入れ物を基準とし、かつその図1における位置を基準として45°回転していることが理解される。前記ノズルは、図2では前記壁の垂直2等分線に沿って延びているのに対し、図1では前記壁36の四角の対角線に沿って延びている。
【0041】
前記すそ部50の外面51は形状において截頭円錐形であるが、その内面56は前記端壁52と隣接する上端部分にわたって、前記軸22周りで筒状をなし、かつ上記軸に対して垂直な平面の円形部分に属する形状を呈する。
【0042】
この部分の下では、前記内面が、この部分から前記すそ部50の下端縁58まで連続して上部くぼみ60、上端縁部62、下部くぼみ64、及び下端縁部66を呈し、これらくぼみ及び浮き彫りの部分がこの順でお互い連続して隣接している。前記縁部62及び66、及びさらにくぼみ60及び64はすべて形の点で環状であり、前記くぼみが平行なグルーブの境界を定めている。
【0043】
前記くぼみ60は、前記面56の筒状の部分から前記軸22に対して半径方向に後退したところ、つまり前記部分よりも前記軸から離れたところに設けられている。
【0044】
その一方、前記上端縁部62は、前記面56の筒状の部分から、その結果前記上部くぼみ60の筒状の部分から前記半径方向に突き出している。図10で拡大して示すように、前記縁部は、2つの主面、すなわち円錐の狭い端を下に向けた截頭円錐形の上面68、及び前記軸22に対して垂直な平面形状の下面70で定義される。
【0045】
前記くぼみ60と同様に、前記下部くぼみ64は、前記部分56から前記半径方向に後退したところに設けられ、それは、前記くぼみ60よりも更に遠くに後退している。前記軸22と平行に計測されたこのくぼみの高さは、同様に前記くぼみ60の高さよりも大きく、特にこの例では、上記高さの2倍に等しい。
【0046】
前記下端縁部66は、前記部分56から前記半径方向に後退し、したがって前記縁部62から前記半径方向に後退し、かつ前記上部くぼみ60からも後退している。それでも、それとともに隣接する下部くぼみ64から突き出ている。それは、前記上端縁部62の形状と類似した形状を呈している。
【0047】
前記中央のリングの外面51は、図4で特に認識可能な浮き彫り72の環状の部分を呈し、それは円弧状でかつ上記壁から突き出す外形を有している。
【0048】
この例において、前記リング32は、比較的柔らかいすなわち、前記挿入物30及び前記カバー28の材料よりも柔らかいか又は固くない材料で作られている。一例として、この例では、それはシリコンのような無機又は有機のエラストマーであってもよい。そうでなければ、熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
【0049】
特に図2及び3で認識可能なように、前記リング32は、その上端壁52が前記カバーの上端壁36に抗する迫台をなし、表面をそれに接触させるような位置で前記カバー28内に収容される。前記挿入物30は、まず第1にその外側の前記カバーと、第2にその内側の前記リングとの間に、その上端部分によって半径方向に介在している。前記挿入物の壁42が、前記カバーの上端36に押し付けられる前記壁52を保持するためにその先端面44によって前記軸22の方向に前記リングの縁54を支えるように、前記リングのすそ部50は、シンブルとして参照され得る形状を呈し、前記挿入物の開口部47を通り抜ける。この構成を維持するため、前記挿入物の縁46は、前記壁36からゼロでない間隔dを隔てて延びている。前記リングのリム54は、前記面44と端46との間の間隔よりも大きい厚さfとなり、その間隔は、間隔f−dと等しくなる。
【0050】
図3に示すように、前記シンブルの浮き彫り72の前記部分は、前記挿入物と前記リングとが前記軸方向に分離する危険性を低減するため、前記挿入物の壁42に前記軸方向に抗して延びている。
【0051】
図4を参照すると、前記カバー28は、半径方向に延びる円環形の同様の浮き彫り76の部分を呈し、該部分は、前記カバーの内面から突き出している。浮き彫りのこの部分は、前記挿入物のすそ部40の端縁を、それが前記カバーに対して前記軸22の方向に沿って滑るのを防止するために支えるようになる。
【0052】
特に図2及び3で認識可能なように、前記上端縁部62は前記軸22から、該同じ軸から前記開口部16までの間隔よりも短い間隔をおいて配置される。図11及び12に示すように、したがって、前記蓋が前記容器上の所定の位置に置かれる、又は取り去られるという理由で前記ノズルを通過するときに前記縁部が前記開口部に干渉する。
【0053】
前記シンブルの筒状の面56は、前記軸22から、前記開口部16と前記同じ軸との間の間隔と実質的に等しく、かつ好ましくは上記間隔よりもわずかに短い間隔を隔てたところで広がっている。したがって、前記蓋が図2に示す前記容器を閉じる位置にあるときに、前記筒状の部分は前記ノズル14に接触してその開口部16をそれとの表面同士の接触により閉じる。前記シンブルは、比較的柔らかい材料で作られるので、たとえ静止した前記開口部の形状が静止した前記シンブルの形状と同じでなくても、有効な方法で前記開口部を閉じるシャッターをこの位置で形成する。
【0054】
前記機構の動作を以下に説明する。前記使用者は、前記押しボタン18を動かすことによって前記開口部16を介して1回分の流体6を供給するものと仮定する。前記使用者が前記容器上の蓋26を交換するとき、図11に示すように、前記上端縁部62が前記ノズルの上面の端を押圧し、それによって上記縁部が、前記上部くぼみ60を変形させることによって筒状の部分56に寄りかかって変形して平らになる。前記動作が継続するのに従って、前記縁部62はこのように変形させられながら前記開口部16上をそれを拭き又はこすりながら移動し、それにより、そこで見つけられ得るあらゆる余分な流体を除去する。この流体は、前記縁部が前記静止位置に戻るときに前記下部くぼみ64に入る。図11は、この拭き取り動作の開始時におけるノズル上の前記縁部の位置を示し、図12は、前記拭き取り動作の終了時における同じ構成を示す。一度前記縁部が前記ノズルを通過すると、前記ノズルが前記面56の筒状の部分に接触するようになる一方で、前記縁部が弾性的にその元の形状に戻り、それからその開口部が前記リングによって密閉された方法で閉じられる。前記蓋が前記容器を閉じる図2に示す位置を占めている限りは、この外形が存続する。したがって、前記動作の間中、前記縁部は初めに、余分な流体をそこから除去するために前記ノズルの開口部を拭きかつこすり、そして前記開口部が前記上部くぼみ60を通過した後、前記蓋は、前記シンブルの材料の比較的柔らかい性質ゆえに、漏れない方法で前記開口部を閉じる。
【0055】
特に、図1に示すように、前記機構4は、浮き彫り76の部分を有し、前記蓋は、該蓋が前記容器を閉じているときに前記本体上に該蓋を保持するように該蓋を前記機構上にパチンと留めるための手段を構成する補完的なくぼみ78を呈する。
【0056】
その後、前記使用者が前記容器から前記蓋を取り去るときに、前記上端縁部62がもう一度前記開口部16を拭き、今度は前記下部くぼみ64を下に変形させて平らにする。前記容器から前記蓋が一度取り外されると、前記使用者は完全にきれいな開口部16を呈するノズルを目にする。
【0057】
前記拭き又はこすり作用は、前記カバー28が変形させられることを要しないことが認められるであろうし、実際にカバーは実質的に堅い。本発明は、前記使用者が前記蓋に作用する方法を変更せず、何か特別の動作を実施することを前記使用者に要求しない。前記開口部がきれいにされ、その後閉じられるのは、前記容器上に前記蓋を置き直すための動作の間である。これらの動作は、前記使用者がそれらを意識することを伴わずに実施される。その上、前記上端縁部62は、前記蓋の下端縁から相当な距離をおいている。それは、前記蓋の上部半分に収容され、人が前記蓋の内側を特に覗かない限り、通常の使用ではほとんど見えないままである。
【0058】
浮き彫り62の前記部分は、前記カバー28の内面の下部、前記挿入物の内面の下部、及び前記リングの下端縁部66及びくぼみ64によって、前記蓋の下端の自由縁から分離されていることがわかる。それは、それらすべての構成を基準として半径方向に突き出している。
【0059】
本発明は、前記形状と、前記物品及び特に前記容器を作るために使用される材料とに対するどんな特別な制約の増大も招かない。特に、前記すそ部34には、前記軸22に垂直な面で円形又は正方形の形状、又は他の何らかの形状が自由自在に与えられ、それにより、前記蓋の外観が決定し得る。
【0060】
同様に、本発明は、前記蓋が前記容器上で前記軸22周りのいずれかの特定の角度位置に配置されることを要求しない。反対に、前記リングは回転体であるので、前記蓋は前記容器上の任意の位置にあって、なお上述した効果を獲得し得ることが分かる。
【0061】
前記蓋を作るため、前記リング32は前記挿入物30に初めに組み付けられる。この目的で、前記リングのリム54が浮き彫り72の前記部分を通過した後に前記軸22の方向に前記壁42を支えるまで前記リングの下端が前記挿入物の前記開口部47に挿入される。その後、前記生じた組立品が、前記カバーの最上部に前記壁52を押し付け、かつ前記挿入物に浮き彫り76の前記部分を通過させるように、前記カバーの内側に挿入される。これら組立品の操作は、それらが粘着性を全く必要としないように3つの部分の間のしっかりした適合性を得るために力任せに実行されてもよい。
【0062】
前記リングをエラストマーのような材料で作ることは、それが成形によって作られることを容易にする。前記材料によって前記部分に与えられた前記柔らかくて変形しやすい性質は、たとえそれがアンダーカットの形状を呈している場合でも、型から取り出すことを容易にする。さらに、この比較的柔らかい材料のせいで、前記リングの材料は選択された形状に常に適合するので、前記開口部を含む前記ノズルの表面の形状を自由に選択することが可能である。前記挿入物30を構成するのに使用される前記材料の相対的なかたさは、前記カバー28の内側の前記リングの強靱な固着を助長する。
【0063】
本発明の機構の変形実施例を以下に説明する。
【0064】
上記のごとく、前記機構は、蓋を有するボトルを含み、それぞれ、前記垂直な主軸22に垂直な平面内で概して四角い断面の部分を呈する。前記ボトルの4表面、及び前記蓋の4表面が外側に膨れ出るように備えがなされてもよい。
【0065】
上記のごとく、前記ノズルは、前記軸22に沿って前記本体を基準として滑るように進んで移動するように組み付けられた押しボタンに固定されている。この変形では、上述の変形とは違って、前記押しボタンが前記容器を基準として前記軸22周りを回転できるように組み付けられていない。前記押しボタンのノズルは、前記主軸周りで固定された位置を占め、前記ボトルの4表面のうちの1つに対して垂直な方向に向いている。前記ノズルの自由端は前記主軸22に対して垂直に直線方向に延びている。したがって、前記ノズルの供給開口部は、前記ボトルの面のうちの1つに対して平行な平面に広がっている。
【0066】
上記のごとく、前記蓋は、前記図に示されるようにその中に挿入物130及びリング132を収容するカバーを含む。また、前記リングが可撓性の材料で作られているのに対し、前記挿入物は比較的堅い材料で作られている。
【0067】
上記のごとく、前記挿入物の開口部47は、前記軸22周りの円筒形の面180によって境界を定められ、前記軸に対して垂直な面の中の円形の部分である。これは、前記挿入物の最上部の内面である。
【0068】
この例において、前記挿入物130は、前記軸22と共軸の截頭円錐形の形状の下部内面182を呈する。この面の上端縁は、形の点では円形である。それは、前記表面の最小直径部分に対応する。この縁では、前記截頭円錐形の面182がこの位置で前記円筒形の面180から前記軸22を基準として半径方向に突き出るように配置される肩を構成する段184によって、前記截頭円錐形の面182が前記円筒形の面180から隔てられている。前記挿入物の外側面は、大まかに言えば矩形の平行六面体を占めているので、これら面と前記截頭円錐形の面182との間の交線は、双曲線の形状の4本のアーチ186で構成されている。これらのアーチは、前記下部内面182の下端縁を構成する。これらのアーチ間の交点は、前記蓋の端と一致する先端187を構成する。
【0069】
したがって、前記截頭円錐形の面182の部分は、上の方に向かって先細りになっている。それは、前記蓋が前記押しボタンの上で前記ボトル上の所定の位置に戻されたときに、中心となる案内面を構成する。この面は、前記蓋の中心を押さえるように前記押しボタンを案内する。
【0070】
さらに、前記ボトルが前記蓋で閉じられるとき、前記段184は、前記ノズルが前記リングの下縁に当たることを防ぐ。
【0071】
上記のごとく、前記リング132は、前記ノズルの開口部の上を、閉じる間にそれを拭き又はこするように通る縁部62を呈している。
【0072】
前記機構はさらに、前記挿入物130を基準として前記リング132に対し、一方が他方の内側に組み付けられたときに前記軸22周りに角度割り出しを行う手段を備えている。具体的には、これらは、補足的な形状によって作用する手段である。したがって、前記リング132は、前記すそ部の外側面51から半径方向に突き出す1以上のグルーブ196を呈している。具体的に言えば、この表面は、形状において筒状であり、前記軸22に垂直な平面で円形をなす部分を呈している。各グルーブは、形状においてまっすぐであり、前記軸22に平行に延びている。詳細に述べると、前記グルーブは数の上で2本であり、それらは前記軸周りに全く反対の位置にある。前記挿入物130は、その上部内面180に、該挿入物の中に前記リングが組み付けられたときに前記グルーブ196を収容するようにそれらグルーブ196の形状及び配置を補足する形状及び配置のスプライン198を呈する。
【0073】
特に、前記すそ部50の内面の上端部156は、前記軸22周りに規則正しく割り当てられた4つの平らな面192を、連続する2つの平らな面の中央が上記軸周りに90°の角度の間隔をあけるように呈している。向かい合う平らな面は、2つ一組になって互いに平行をなすのに対して、連続する平らな面はお互い垂直をなし、各平らな面は前記軸22に平行な面で広がり、その垂線は上記軸に交差する。前記円周方向に連続する平らな面の縁間の境界は、前記軸22に垂直な平面で円形に弓状に曲がった断面を呈する4つの円筒形状の小平面194を介してある。
【0074】
前記4つの平らな面192は、前記軸22周りで前記蓋の4つの外側面と重なり、各平らな面は、それら側面の1つと平行である。これら平らな面は、前記シンブルの厚さを局部的に増大させ、中でもそれらは、それぞれ平行でかつ前記軸22に直交する2方向の直線で囲まれ、かつ上記軸を基準として半径方向に広がる平面の中の直線で囲まれた平らな接触面を前記ノズルに提供する。したがって、この面は、前記ノズルの自由端の平面に平行である。
【0075】
前記機構は、前記蓋が前記ボトルを基準として異なる4つだけの位置を占めることができ、かつそれら各々で前記ボトルと前記蓋の表面が重なる方法で配置される。前記ノズルは、前記ボトルの主表面の1つに垂直な方向に延びるので、前記4つの位置のそれぞれの中のノズルは、それが接触する前記平らな面192の1つに垂直である。したがって、前記平らな面は、前記ボトル上で前記蓋の位置に関わらず、前記ノズルの供給開口部を閉じるのに役立つ。
【0076】
もちろん、本発明にその範囲を超えることなく多数の改良がもたらされてもよい。
【0077】
前記ノズルを前記面24から突き出させないために、前記開口部が上記面の平面に位置するように備えがなされてもよい。
【0078】
前記容器には、さまざまな形状が与えられてもよい。前記部分の一部にとっては、回転体を構成する形状が与えられることが有利であるが、それは本発明の範囲で必須ではない。
【0079】
前記ポンプはオプションである。例として、前記機構は、前記流体を押し出すために押しつぶされるか又は平らにされるチューブを含み得る。それは、可動ピストンに適合するつぼであり得る。
【0080】
前記蓋を前記本体にねじで留めるために備えがなされてもよい。
【0081】
前記蓋は、前記カバー、前記挿入物、及び前記リングを内蔵し、材料の燃料噴射によって製作される単一の部分として構成されてもよい。例えばエラストマーにより一体化して製造される等、無傷で製造される単一の部分をなす蓋を提供することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・製品(6)を供給するために開口部(16)を呈する容器と、
・浮き彫り(62)の内側部分、例えば縁部を呈する蓋(26)とを備え、前記部分は、前記蓋で前記容器を閉じる間に前記開口部を通り越し、かつ前記蓋が前記容器を閉じているときには前記開口部から間隔を空けて位置するように配置され、前記蓋(26)は、前記容器を閉じている間には前記開口部(16)のそばに位置してかつそれを閉じるように配置されていることを特徴とする化粧品の機構(4)。
【請求項2】
前記蓋(26)は、可撓性の材料のシャッターによって前記開口部(16)を閉じるように配置された上記請求項による機構。
【請求項3】
浮き彫り(62)の前記部分は、前記蓋の自由端から離れて延びている上記いずれか一方の請求項による機構。
【請求項4】
浮き彫り(62)の前記部分は、前記蓋(26)の軸(22)周りの回転体を構成する上記いずれかの請求項による機構。
【請求項5】
前記蓋(26)は、浮き彫り(62)の前記部分に近接した少なくとも1つのくぼみ(60,64)を呈し、例えばこのようなくぼみが2つあるときには、それらくぼみは好ましくはそれぞれ浮き彫り(62)の前記部分の上方及び下方で延びている上記いずれかの請求項による機構。
【請求項6】
前記蓋(26)は、外カバー(28)と、該カバー内側に完全に収容され、かつ浮き彫り(62)の前記部分を保持する内部部品(32)とを備え、前記カバーと部品とが別個の部分を構成している上記いずれかの請求項による機構。
【請求項7】
前記内部部品(32)は、前記カバー(28)の材料よりも柔らかい材料で作られ、例えば、前記内部部品はエラストマーで作られた上記請求項による機構。
【請求項8】
前記蓋(26)は、前記蓋(28)及び前記内部部品(32)とは別個の部分を構成し、かつ前記内部部品を前記蓋の内側で支えるのに役立つ挿入物(30)を含む請求項6又は請求項7による機構。
【請求項9】
液状の又は糊のような化粧用の流体(6)を収容できる上記いずれかの請求項による機構。
【請求項10】
上記いずれかの請求項による物品用の蓋(26)の製造方法であって、挿入物(30)と浮き彫り(62)の部分、例えば縁部を保持する内部部品(32)とが一緒に組み立てられ、その後、浮き彫り(62)の前記部分が前記蓋の内側で浮き彫りの部分を構成するような方法で、その組立品が前記蓋を構成するようにカバー(28)内に挿入されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−500912(P2013−500912A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523365(P2012−523365)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051634
【国際公開番号】WO2011/015777
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(506273087)シャネル パルファン ボーテ (20)
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F−92200 Neuilly sur Seine,France
【Fターム(参考)】