説明

化粧品の製造方法

【課題】人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品の製造方法を提供すること。
【解決手段】この発明の化粧品は、酸素及び/又は水蒸気の透過度が少ないプラスチックで形成された、1回の使用量を充填するに足る容量の小型容器10に、無菌状態に保持された状態で、防腐剤を含有しない液状の化粧液が、無菌充填され、且つ小型容器10の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材102をシールされて、小型容器の開口部を密封されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の製造方法に関し、特に例えばカップ状の容器内に化粧液を充填した後、この容器の開口部を蓋材によってシールして、その蓋となる部分をカットして化粧液が充填された化粧品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防腐剤(パラペン等)を使用しない化粧品は「パラペンフリー」と称して数多く発売されているが、無菌充填されていないため、実際にはパラペンの効果に匹敵する防腐効果がある他の添加物、例えばフェノキシエタノールなどが添加されている場合が多い。
また、一般的に化粧品には防腐剤以外にも安定性向上のため、食することができないような化学的合成品が含まれている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−188441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬事法に規定されている化粧品は、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」と定義されているが、それからは逸脱しない内容物でなければならない。
そのため、効果効能のある原材料は添加するが、水溶液にすると微生物により腐敗し、長時間保存することは困難である。
防腐剤を用いることは可能であるが、人体に影響を与える可能性がある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の請求項1にかかる化粧品の製造方法は、次のように構成されている。
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)コラーゲンペプチド及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)コラーゲンペプチド10重量%ないし50重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.285重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
化粧品の製造方法。
この発明の請求項2にかかる化粧品の製造方法は、次のように構成されている。
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、ヘアケア液であって、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる、ヘアケア液である、請求項1に記載の化粧品。
(1)水溶性ケラチン1.5重量%ないし5.8重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.315重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
請求項1に記載の化粧品の製造方法。
この発明の請求項3にかかる化粧品の製造方法は、容器成形材を殺菌するステップは、容器成形材を過酸化水素槽に浸漬してその表面を殺菌するとともに殺菌された容器成形材を無菌化されたエアをエアーナイフにより吹き付けて容器成形材の表面の過酸化水素を除去することを含む、請求項1または請求項2に記載の化粧品の製造方法である。
この発明の請求項4にかかる化粧品の製造方法は、容器成形材は、ポリエチレンテレフタレートのシート状物からなる、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化粧品の製造方法である。
この発明の請求項5にかかる化粧品の製造方法は、小型容器は、化粧液を充填した後、無菌エアーを収容凹部内に供給して密封されて、陽圧を維持した状態にされた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化粧品の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明にかかる化粧品の製造方法は、次のように構成されているので、人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品を製造できる。
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)コラーゲンペプチド及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)コラーゲンペプチド10重量%ないし50重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.285重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
化粧品の製造方法。
請求項2の発明によれば、次のように構成されているので、人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品を製造できる。
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、ヘアケア液であって、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる、ヘアケア液である、請求項1に記載の化粧品。
(1)水溶性ケラチン1.5重量%ないし5.8重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.315重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
請求項1に記載の化粧品の製造方法。
請求項3の発明によれば、容器成形材を殺菌するステップは、容器成形材を過酸化水素槽に浸漬してその表面を殺菌するとともに殺菌された容器成形材を無菌化されたエアをエアーナイフにより吹き付けて容器成形材の表面の過酸化水素を除去することを含むので、人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品を製造できる。
請求項4の発明によれば、容器成形材は、ポリエチレンテレフタレートのシート状物からなるので、水蒸気透過度及び酸素透過度が低く、湿気を防ぐとともに化粧品の酸化を抑制する。
請求項5の発明によれば、小型容器は、化粧液を充填した後、無菌エアーを収容凹部内に供給して密封されて、陽圧を維持した状態にされているので、無菌状態を維持して化粧品を製造できる。
【0007】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明からいっそう明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】この発明の一実施の形態であるポーションパックに充填されたヘアケア製品の斜視図解図である。
【図1B】この発明の一実施の形態であるポーションパックに充填されたヘアケア製品の平面図解図である。
【図1C】この発明の一実施の形態であるポーションパックに充填されたヘアケア製品の縦断面図解図である。
【図2】実施例をパーマ剤に用いた場合と用いていない場合のパーマ後の状態を示す写真(1)である。
【図3】実施例をカラー剤に用いた場合と用いていない場合のカラー後の状態を示す写真(2)である。
【図4】電子顕微鏡による毛髪検証結果を示す写真(3)である。
【図5】実施例をパーマ剤に用いた場合と用いていない場合のパーマ後の状態を示す写真(4)である。
【図6】実施例をカラー剤に用いた場合と用いていない場合のカラー後の状態を示す写真(5)である。
【図7】電子顕微鏡による毛髪検証結果を示す写真(6)である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る充填シール装置の全体の構成を示す正面図解図である。
【図9】容器成形材供給機構112の正面図解図である。
【図10】第1無菌化機構118の正面図解図である。
【図11】第1無菌化機構118の斜視図解図である。
【図12】容器成形機構114及び蓋材供給機構122の正面図解図である。
【図13】容器成形機構の斜視図解図である。
【図14】蓋材供給機構122の正面図解図である。
【図15】容器成形材100に蓋材102を接着した状態を示す斜視図解図である。
【図16】搬送手段及び巻き取り手段を示す正面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明にかかる化粧品は、酸素及び/又は水蒸気の透過度が少ないプラスチックで形成された、1回の使用量を充填するに足る容量の小型容器に、無菌状態に保持された状態で、防腐剤を含有しない液状の化粧液が、1回の使用量を無菌充填され、且つ小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて、小型容器の開口部を密封されている。
小型容器は、胴部の上端に開口部を有し胴部の収容凹部の中に化粧液が充填される容器本体と、容器本体の胴部の上端から外側に延びるつばとを備え、容器本体の開口部を閉塞するために、つば部に蓋材をヒートシールされて密封されているので、人体に有用な効果・効能が期待される原材料のみで構成して、防腐剤を用いない安全な化粧品を提供できる。
【0010】
この小型容器10は、その上端に開口部12aを有するカップ状の容器本体12を含む。
容器本体12の胴部16は、底14の縁部14cから上方に延びて形成される。この胴部16は、その機械的強度を上げるために、その中央部から下部にわたる部分をひだ状に形成してもよい。
また、胴部16の上端から外側に延びて、つば部18が形成されている。このつば部18は、そこに後述する蓋22を取り付けるためのものである。
さらに、つば部18の一端から外側に延びて、つまみ部20が形成されている。また、つば部18と蓋部22との間が溶着され、容器本体12の開口部12aの上面を閉塞するように、蓋22が形成される。つまみ部20の中央から先端にかけては、段差部24が形成され、蓋22をつば部18から切り離しやすくするように構成されている。
この容器本体12は、たとえばA−PET(非結晶(アモルファス)ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂などのように溶着可能な容器成形材を、たとえば圧空成形(プラグアシスト付)、真空成形などの成形方法で、成形することによって形成される。
容器成形材は、水蒸気透過度が45cc/m2・24hr/atmであり且つ酸素透過度が43cc/m2・24hr/atmである。
この実施の形態の容器成形材は、水蒸気透過度及び酸素透過度が低く、湿気を防ぐとともに、酸化しにくい。
また、熱収縮は4〜5/1000で、成形適正温度は120〜130℃で、軟化温度(ガラス転移点)は70〜81℃で熱伝導率(J/m・s・cc)0.29である。
【0011】
さらに、つば部18およびつまみ部20の表面には、平面的にみてつば部18およびつまみ部20と同じ形状の蓋22が取り付けられる。この蓋22は、たとえば4層構造に形成され、その上層が、たとえばポリエチレンテレフタレート、次にアルミニウムなどの熱を伝えやすい材料で形成され、その下層が、たとえばポリエチレンテレフタレート、次にポリエチレンなどの合成樹脂などのように溶着可能な材料で形成され、例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)接着剤で、つば部18に接着されている。
【0012】
(実施の形態)
本発明にかかるヘアケア液50は、下記の構成を備える。
水に、下記の(1)コラーゲンペプチド及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)コラーゲンペプチド10重量%ないし50重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.285重量%
(3)水 残量
【0013】
白金ナノコロイドが0.035重量%を下回ると白金の作用である酸化を抑える働きが極端に減少し、また、0.285重量%を超えると、効果としてはそれ以上増加することはない。
【0014】
コラーゲンペプチド及びプラチナは、化粧品に用いるグレードである。
コラーゲンペプチドは、髪に潤いと栄養を与え、髪の保護役であるキューティクルを頑丈に作る働きがある。
プラチナ(白金)は、ナノレベル(10億分の3m)にまで超微粒子化した白金ナノコロイドであり、これは、抗酸化作用があり、パーマやカラーによる髪の酸化を抑える働きがあり、髪の毛に充分に浸透させることができる。
液体なのでパーマ液(髪の毛にカールやしなやかさ、コシを与える)またはカラー液(髪の毛に色をつける)には容易に溶解する。
無菌充填ポーションパック包装とすれば、保存料を使用せず、液体でも腐敗の心配がなく、開封前であれば長期間衛生的である。
【0015】
本発明にかかるヘアケア液50は、特に、例えばコールドパーマ及びアイロンパーマに使用するパーマ液に添加する添加剤に関する。
本発明にかかるヘアケア液に関する背景技術について説明すると、従来は、髪に「艶」「潤い」「しっとり感」を与えるため粉末のコラーゲンペプチドをパーマ液またはカラー液に溶かして用いている(特開2006−188441号公報)。
本発明にかかるヘアケア液は、次のような課題を解決するものである。
コラーゲンペプチドは、通常粉末のため、パーマ液に溶けづらいという問題があった。
また、髪の毛が、酸化により痛むことに対しての対応は充分なされていなかった。
パーマ液またはカラー液に添加する、ヘアケア製品は、短時間で溶解させる必要がある。そのため、添加するものはパーマ液またはカラー液同様の液体が好ましい。
ところが、コラーゲンペプチド水溶液は、微生物により腐敗し、長時間保存することは困難である。
保存料を用いることは可能であるが、髪にダメージを与える可能性がある。
このように、パーマ液またはカラー液による髪の酸化に対しては、コラーゲンペプチドでは解決できない状況である。
そのために、このヘアケア液の発明の主たる目的は、髪に「艶」「潤い」「しっとり感」を与え、髪の酸化を抑えることができるヘアケア液を提供することである。
本発明にかかるヘアケア液の奏する効果は、次の通りである。
パーマ液やカラー液による髪の酸化に対しては、ナノレベル(10億分の3m)にまで超微粒子化した抗酸化作用を有した白金ナノコロイドを配合することにより、パーマ液やカラー液による髪の酸化を抑える働きが付加される。
そして、実際にパーマ液に添加して利用したところ、従来の粉末コラーゲンと比べてツヤ感、しっとり感が上昇し、指どおりもスムーズになった。また、仔細に髪の毛を観察すると、キューティクルの損傷が少ないことが確認された。
【実施例1】
【0016】
下記の(1)コラーゲンペプチド(分子量5000)及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体12に無菌充填され、蓋をヒートシールした、ヘアケア液。
(1)コラーゲンペプチド30重量%
(2)白金ナノコロイド0.19重量%
(3)水 残量
この実施例1のヘアケア液は、無菌充填がされているので、保管状況に関係なく、長期間の保存が可能になり、腐敗の心配がなく、保存料が無添加で製造が可能となっている。
【0017】
実施例1のヘアケア液10mlを、パーマ液50mlに混ぜて使用いただき、髪へもたらす効果を検証したところ、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。又、実施例1のヘアケア液10mlを、カラーリング時にカラー液50mlに混ぜて使用いただき、髪へもたらす効果を検証したところ、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。
1回の使用量、10mlに容器充填しているので、使いやすく、無駄がない。
【0018】
添付の図2(写真1)及び図3(写真2)において、プラチナ使用としているのが、実施例1のヘアケア液を用いた例を示す。
図2(写真1)において示すように、プラチナを用いた本実施例の方が、プラチナを用いない比較例に比して、艶感、しっとり感が上昇し、指どおりもスムーズになっている。
図3(写真2)において示すように、プラチナを用いた本実施例の方が、プラチナを用いない比較例に比して、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。
【0019】
プラチナ+コラーゲンとあるのが、実施例1のヘアケア液を用いた例を示す。
電子顕微鏡による毛髪検証結果は、添付の図4(写真3)の通りである。
図4(写真3)において示すように、プラチナを用いた本実施例の方が、プラチナを用いない比較例に比して、シャンプとリンスをしたときに用いた場合も、またパーマ液に一定の割合(パーマ液5重量部、本実施例品1重量部)で溶解して用いた場合も、キューティクルの損傷が少ない。
【実施例2】
【0020】
下記の(1)コラーゲンペプチド(分子量5000)及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体12に無菌充填され、蓋をヒートシールした、ヘアケア液。
(1)コラーゲンペプチド30重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%
(3)水 残量
【実施例3】
【0021】
下記の(1)コラーゲンペプチド(分子量3000)及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体12に無菌充填され、蓋をヒートシールした、ヘアケア液。
(1)コラーゲンペプチド30重量%
(2)白金ナノコロイド0.19重量%
(3)水 残量
【0022】
実施例1のヘアケア液10mlをパーマ液50mlに溶かして、パーマをしたところ表1に示すような結果が得られた。
【0023】
【表1】

【0024】
この発明は、前記実施の形態のヘアケア液に限らず、この発明の思想に基づき種々変更することが可能である。
【0025】
容器本体12に代えて、ストリップ包装、すなわち、主として、ポリエチレンフィルム、防湿セロハン、ポリエチレン加工セロハン(いわゆるポリセロ)、アルミはくなどを用い、1回の使用量のヘアケア液を三方シールにより区分包装して、各区分を簡単に切り取れるようにしてもよい。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミはく、ポリアミド、ポリエチレンをラミネートしたフィルムなどを用い、1回の使用量のヘアケア液を三方シールにより区分包装して、各区分を簡単に切り取れるようにしてもよい。その他、包装容器は、例えば、130℃〜150℃に加熱し、4〜5秒間加熱状態を継続した、ヘアケア液50を充填するに適したものであれば、他の形状でもよい。また、遮光性及び密封性に優れたものがよい。
【0026】
(実施の形態)
本発明にかかるヘアケア液52は、下記の構成を備える。
水に、下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)水溶性ケラチン1.5重量%ないし5.8重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.315重量%
(3)水 残量
【0027】
白金ナノコロイドが0.035重量%を下回ると白金の作用である酸化を抑える働きが極端に減少し、また、0.315重量%を超えると、効果としてはそれ以上増加することはない。
【0028】
水溶性ケラチンは、食品に用いるグレードであり、プラチナ(白金)は、化粧品に用いるグレードである。
水溶性ケラチンは、髪に潤いと栄養を与え、髪の保護役であるキューティクルを頑丈に作る働きがある。
プラチナ(白金)は、ナノレベル(10億分の3m)にまで超微粒子化した白金ナノコロイドであり、これは、抗酸化作用があり、パーマやカラーによる髪の酸化を抑える働きがあり、髪の毛に充分に浸透させることができる。
ケラチンは、毛髪成分の90%を占めるたんばく質であり、水には溶けないたんばく質であるが、水溶性ケラチンは、ケラチンを加水分解したもので、毛髪に近いアミノ酸で構成され、毛髪への収着力が高く、施術による強度低下を防止し、毛髪に腰を出すことができる。
液体なのでパーマ液(髪の毛にカールやしなやかさ、コシを与える)またはカラー液(髪の毛に色をつける)には容易に溶解する。
特に、軟毛やポーラス毛(ダメージが大きい毛髪)に対して、パーマ前のプレシャンプー、パーマ液またはカラー剤およびパーマ処理後のシャンプートリートメントに混合することにより、ダメージが補完され、髪に「ハリ」「コシ」「カール感(リッヂ感)」を与える働きがある。
「ハリ」「コシ」「カール感(リッヂ感)」を増強させたい普通毛や健康毛にも美しく仕上がる働きがある。
無菌充填ポーションパック包装とすれば、保存料を使用せず、液体でも腐敗の心配がなく、開封前であれば長期間衛生的である。
【0029】
本発明にかかるヘアケア液52は、特に、例えばコールドパーマ及びアイロンパーマに使用するパーマ液に添加する添加剤に関する。
発明にかかるヘアケア液に関する背景技術について説明すると、従来、ケラチンは、PPT〈ポリペプチド前処理剤再生)処理やトリートメントの主成分として、パーマやカラーを施術する前段階で使用していた(特開2003−138296号公報)。
本発明にかかるヘアケア液は、次のような課題を解決するものである。
パーマ液またはカラー液に添加する、ヘアケア製品は、短時間で溶解させる必要がある。そのため、添加するものはパーマ液またはカラー液同様の液体が好ましい。
ところが、水溶性ケラチン水溶液は、微生物により腐敗し、長時間保存することは困難である。
保存料を用いることは可能であるが、髪にダメージを与える可能性がある。
また、髪の毛が、酸化により痛むことに対しての対応は充分なされていなかった。
このように、パーマ液またはカラー液による髪の酸化に対しては、水溶性ケラチンでは解決できない状況である。
そのために、このヘアケア液の発明の主たる目的は、髪に「ハリ」「コシ」「カール感(リッヂ感)」を与え、髪の酸化を抑えることができるヘアケア液を提供することである。
本発明にかかるへアケア液の奏する効果は、次の通りである。
パーマ液やカラー液による髪の酸化に対しては、ナノレベル(10億分の3m)にまで超微粒子化した抗酸化作用を有した白金ナノコロイドを配合することにより、パーマ液やカラー液による髪の酸化を抑える働きが付加される。
そして、実際にパーマ液に添加して利用したところ、従来の水溶性ケラチンと比べて「ハリ」「コシ」「カール感」がアップした。また、仔細に髪を観察すると、キューティクルの損傷が少ないことが確認された。
【実施例4】
【0030】
下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体に無菌充填され、蓋をヒートシールした、ヘアケア液。
(1)水溶性ケラチン2.90重量%
(2)白金ナノコロイド0.21重量%
(3)水 残量
この実施例4のヘアケア液は、無菌充填がされているので、保管状況に関係なく、長期間の保存が可能になり、腐敗の心配がなく、保存料が無添加で製造が可能となっている。
【0031】
実施例4のヘアケア液10mlを、パーマ液50mlに混ぜて使用いただき、髪へもたらす効果を検証したところ、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。又、カラーリング時に施術材に混ぜて使用いただき、髪へもたらす効果を検証したところ、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。
また、仔細に髪を観察すると、キューティクルの損傷が少ないことが確認された。
1回の使用量として、10mlを容器充填しているので、使いやすく、使い切るので無駄がない。
【0032】
添付の図5(写真4)及び図6(写真5)において、プラチナケラチンありとしているのが、実施例4のヘアケア液を用いた例を示す。
図5(写真4)及び図6(写真5)において示すように、プラチナを用いた本実施例の方が、プラチナを用いない比較例に比して、「ハリ」「コシ」「カール感」がアップしている。
また、プラチナを用いた本実施例の方が、プラチナを用いない比較例に比して、毛先のパサツキがなくなり、毛先が落ち着き、まとまりやすくなっている。
【0033】
電子顕微鏡による毛髪検証結果は、添付の図7(写真6)の通りである。図7においてプラチナケラチンとあるのが、実施例4のヘアケア液を用いた例を示す。
図7(写真6)において示すように、プラチナを用いていない比較例に比して、パーマ液に一定の割合(パーマ液5重量部、本実施例品1重量部)で溶解して用いた方が、キューティクルの損傷が少ない。
【実施例5】
【0034】
下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体に無菌充填され、蓋をヒートシールしたヘアケア液。
(1)水溶性ケラチン2.90重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%
(3)水 残量
【実施例6】
【0035】
実施例4のヘアケア液10mlをパーマ液50mlに添加して、パーマを受けた人にアンケートをとったところ、表2〜表7に示すような結果が得られた。
【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
この発明は、前記実施の形態のヘアケア液に限らず、この発明の思想に基づき種々変更することが可能である。
【0043】
容器本体12に代えて、ストリップ包装、すなわち、主として、ポリエチレンフィルム、防湿セロハン、ポリエチレン加工セロハン(いわゆるポリセロ)、アルミはくなどを用い、1回の使用量のヘアケア液を三方シールにより区分包装して、各区分を簡単に切り取れるようにしてもよい。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミはく、ポリアミド、ポリエチレンをラミネートしたフィルムなどを用い、1回の使用量のヘアケア液を三方シールにより区分包装して、各区分を簡単に切り取れるようにしてもよい。その他、包装容器は、例えば、130℃〜150℃に加熱し、4〜5秒間加熱状態を継続した、ヘアケア液52を充填するに適したものであれば、他の形状でもよい。また、遮光性及び密封性に優れたものがよい。
【0044】
(実施の形態)
本発明にかかる化粧水54は、下記の構成を備える。
水に、下記の(1)ヒアルロン酸及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)ヒアルロン酸0.05重量%ないし0.22重量%
(2)白金ナノコロイド0.025重量%ないし0.285重量%
(3)水 残量
【0045】
白金ナノコロイドが0.025重量%を下回ると白金の作用である酸化を抑える働きが極端に減少し、また、0.285重量%を超えると、効果としてはそれ以上増加することはない。
【0046】
ヒアルロン酸及びプラチナ(白金)は、化粧品に用いるグレードである。
ヒアルロン酸は、肌に潤いと栄養を与える。
ヒアルロン酸は、平均分子量85万〜160万のヒアルロン酸と、角質層まで浸透する平均分子量1万以下のヒアルロン酸とを混合している。平均分子量85万〜160万のヒアルロン酸は、分子量が大きいので、角質層まで入り込めない。
プラチナ(白金)は、ナノレベル(10億分の3m)にまで超微粒子化した白金ナノコロイドであり、これは、抗酸化作用があり、肌の酸化を抑える働きがあり、肌に充分に浸透させることができる。
無菌充填ポーションパック包装とすれば、保存料を使用せず、液体でも腐敗の心配がなく、開封前であれば長期間衛生的である。
【実施例7】
【0047】
下記の(1)ヒアルロン酸及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体に無菌充填され、蓋をヒートシールした、化粧水。
(1)ヒアルロン酸0.05重量%
(2)白金ナノコロイド0.21重量%
(3)水 残量
この実施例7の化粧水は、無菌充填がされているので、保管状況に関係なく、長期間の保存が可能になり、腐敗の心配がなく、保存料が無添加で製造が可能となっている。
【実施例8】
【0048】
下記の(1)ヒアルロン酸及び(2)白金ナノコロイドが、截頭円錐状の容器本体に無菌充填され、蓋をヒートシールした、化粧水。
(1)ヒアルロン酸0.22重量%
(2)白金ナノコロイド0.285重量%
(3)水 残量
この実施例8の化粧水は、無菌充填がされているので、保管状況に関係なく、長期間の保存が可能になり、腐敗の心配がなく、保存料が無添加で製造が可能となっている。
【0049】
次に、本件発明の化粧品の製造方法について、図面に示す製造装置に基づいて説明する。
図8は、本発明の一実施の形態に係る充填シール装置の全体の構成を示す正面図解図である。
この成型充填シール装置110は、容器本体12を成形するための容器成形材100を供給する容器成形材供給機構112と、前記容器成形材供給機構112にて供給された容器成形材100により小型容器を成形する容器成形機構114と、容器成形材100を搬送する容器成形材搬送機構116と、容器成形材100を無菌化する第1無菌化機構118と、ヘアケア液50,52又は化粧水54を容器本体12に充填する充填機構120と、蓋材102を搬送する蓋材供給機構122と、蓋材102を無菌化する第2無菌化機構124と、容器本体12に蓋材102を溶着するシール機構126と、容器成形材100及び蓋材102を切断して適宜な形状に整形するカット機構128とを備える。
そして、容器成形機構114により成形された複数列の容器本体12を所定間隔で供給して、これら容器本体12を間欠的に搬送される容器搬送経路の、所定の容器停止部に設けた充填機構120により化粧液50,52又は化粧水54を充填し、蓋材102を搬送する蓋材供給機構122により容器本体12に蓋材102を供給し、シール機構126により、蓋材102を容器本体12のつば部に熱溶着し、その後、カット機構128等により容器成形材100及び蓋材102をカットして、次の工程に送るようになっている。
【0050】
前記容器成形材供給機構112は、上流に設けられた容器成形材100の原反を保持し供給する容器成形材保持供給手段130と、下流に設けられた巻き取り手段132と、中流に設けられた搬送手段134とを備える。容器成形材供給機構112の搬送手段134は、等間隔で複数個(この実施の形態では6個×3列)のカップ状の容器本体12を搬送する。この搬送手段134は、間欠的に走行するようになっており、例えば、1秒間停止し、0.8秒間移動するというサイクルで容器本体12を搬送する。
【0051】
容器成形材保持供給手段130は、ロール状に巻回された容器成形材100すなわちポリエチレンテレフタレートシートを保持する保持機136と、保持機136に保持された容器成形材100を引き出し、下流に送られる容器成形材100の下方に設けられた容器成形材交換台138と、容器成形材交換用スペース140とを備える。
【0052】
容器成形材保持供給手段130の下流には、容器成形材100を無菌化するための第1無菌化機構118は、過酸化水素(H2O2)に容器成形材100を浸漬して無菌化するための容器成形材過酸化水素槽142を備える。
更に、第1無菌化機構118は、容器成形材過酸化水素槽142に浸漬されて殺菌された容器成形材100に、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146aを備える。
第1無菌化機構118には、送り出される容器成形材100のテンションを調節するダンサローラ154aが設けられており、容器成形材100は、このダンサローラ154aを介して上方に送られ、容器成形機構114に供給される。
【0053】
一方、容器本体12となる容器成形材100は、第1無菌化機構118に設けられたダンサローラ154aに送られる。ダンサローラ154aは、上下動を繰り返して容器成形材100のテンションを調節しており、このダンサローラ154aは上昇し上限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を開始する。このダンサローラ154aが最も低位置まで下降すると、下限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を停止させる。
【0054】
容器成形機構114は、容器成形材100を加熱し軟化させるための加熱装置170と、無菌環境下で、前記加熱装置170により軟化させられた容器成形材100を成形プラグ178により延伸させ、容器成形材100に無菌エアーを吹き込み、成形型で連続して圧空成形することにより、容器本体12を成形するための成形装置172とを備える。
【0055】
成形装置172は、上型174と下型176とを備え、下型176の雌型内に容器成形材100を入り込ませる成型プラグ178を備える。
上型174と下型176とは、開封部分たるつまみ部20を成形する合わせ面に上型174の段落とし部174a及び176の段落とし部176aを備える。
段落とし部174a及び段落とし部176aは、容器成形材100を構成するA‐PET(非結晶ポリエチレンテレフタレート)が、溝をつけて折ることにより、蓋22を容器本体12のつば部18から剥離することができないので、容器本体12のつまみ部20を形成する部分の一部を段付けする、すなわち下方に垂れ下がらせて、後述するように蓋22を容器本体12に接着するときに蓋22のつまみ部20部分の一部が容器本体12のつまみ部20の一部と接着しないように構成している。
なお、上型174の開口部に嵌挿された成型プラグ178は、上型174の開口部との間に隙間が形成されるように構成され、その隙間から容器成形材100の成形時に無菌エアーを吹き込み、容器成形材100を容器本体12の形状に膨張させるように構成されている。
容器成形材100の加熱(加熱装置)は、容器成形材100を成型適正温度に加熱するためにヒーターの温度を125〜127℃に設定し、容器成形材100を125℃(目安)迄加熱する。
但し、130℃以上で結晶化する(白くなり脆くなる)ので、適正温度に保つ必要がある。
成形装置を構成する成型プラグ178は、ポリアセタール製である。これは、熱伝導率が高いため、成型プラグ178との接触時に容器成形材100を冷却する。そのために、先端部分の角を大きく取り、容器成形材100を滑り易くするように構成している。
【0056】
充填機構120は、無菌環境下で連続成型された容器本体12の収容凹部に、化粧液を無菌充填するための定量型充填ポンプ180及びそれに連結された充填装置182を備える。
加熱殺菌処理された化粧液(ヘアケア液50,52又は化粧水54)を、予め蒸気滅菌により無菌化されたタンクに保管し、充填装置182までの配管及び充填装置182無菌チャンバー間を蒸気及び過酸化水素により滅菌し、無菌状態にする。
無菌状態になったところで、タンクより化粧液(ヘアケア液50,52又は化粧水54)を送液し、無菌化された充填装置182にて、無菌充填包装を行うように構成されている。
【0057】
前記充填機構120の下流側に所定の間隔を開けて、シール機構126およびカット機構128が順に設けられている。充填機構120とシール機構126の間に、後に説明する蓋材供給機構122(全体として符号122で示す)によって上方から蓋22を構成する蓋材102が供給されるようになっており、この蓋22を構成する蓋材102が、シール機構126を構成するプレシール装置126aの上流でその下流側(図1の左方)に向けて方向を変えられ、下流のシール機構126およびカット機構128に向けて、下方の搬送手段134によって搬送される容器本体12の上面との間に送られる。
蓋22を構成する蓋材102は、容器本体12の停止位置でシール機構126によって容器本体12の開口部のつば部18に熱圧着された後、カット機構128で小型容器10、つば部18及びつまみ部20の形状に沿って蓋22となる部分の周囲が打ち抜かれる。
【0058】
次に、前記図8および蓋材供給機構122の要部を示す図14に基づき、蓋材供給機構122の構成について説明する。
前記成型充填シール装置110の本体部が設けられている機枠110Aの上部に突設されて、蓋材供給機構122の供給スタンド(蓋材ロール支持手段)152が設置されている(図14参照)。この供給スタンド152には、駆動軸152Aによって前記蓋材102がロール状に巻かれた蓋材ロール102Aが支持されている。この蓋材ロール102Aから引き出された蓋材102は、供給スタンド152に支持された複数のローラ152aを介して送られる。なお、小型容器10の蓋22として使用される蓋材102は、前記したように、アルミや樹脂製のフィルムあるいはこれらをコーティングしたもの等が一般に用いられる。
【0059】
第2無菌化機構124は、蓋22を形成するための蓋材102を、無菌化するために設けられる。
蓋材102を無菌化するための第2無菌化機構124は、過酸化水素(H2O2)に蓋材102を浸漬して無菌化するための蓋材過酸化水素槽144を備える。
更に、第2無菌化機構124は、蓋材過酸化水素槽144に浸漬されて殺菌された蓋材102に、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146bを備える。
【0060】
前記無菌温風エアー装置146bの上方側には、搬送手段134の搬送方向Aと平行な第1上部ローラ156が設置されている。前記第1上部ローラ156によって送り方向をほぼ90度変更された蓋材102は、第2上部ローラ158によってほぼ垂直方向下方に向けて方向を変えられる。さらに、この第2上部ローラ158の下方の、前記搬送手段134の搬送面のやや上方に下部ローラ160及びローラ162が配置される。
【0061】
前記蓋材供給機構122には、送り出される蓋材102のテンションを調節するダンサローラ154bが設けられており、蓋材102は、このダンサローラ154bを介して上方に送られ、前記機枠110A内に設置されたシール機構126に供給される。
【0062】
機枠110Aの側部フレーム110Bの下方の、前記シール機構126のプレシール装置126aが設けられている位置の後方付近に、搬送手段134による容器搬送方向(図8および図14の矢印A参照)と平行に設置されたローラ162(図14参照)が取り付けられており、前記ダンサローラ154bを介して送られた蓋材102は、この容器搬送方向Aと平行に設置されたローラ162によって、容器搬送方向Aと直交する方向に向けて成型充填シール装置110の本体部内に供給される。
【0063】
容器本体12の搬送方向Aと平行に設置されたローラ162を介して成型充填シール装置110内に送り込まれた蓋材102は、下部ローラ160によってほぼ90度方向を変換され、搬送手段134の上流側に向けられ、下流方向に送られる。上方から下方へ向けて送られてきた蓋材102は、この下部ローラ160によって搬送手段134の搬送方向下流側に向けてほぼ水平に方向を変えられ、容器本体12に沿って水平方向に送られる。
【0064】
前記第2上部ローラ158と下部ローラ160との間にローラ162が設けられている。前記蓋材102は、シール機構126において小型容器10のつば部18に接着された後、走行する搬送手段134によって搬送される容器本体12とともに前進するが、容器本体12の移動に引っ張られることがないように、この駆動軸152Aが回転する。駆動軸152Aの回転は、ダンサローラ154bを上限センサが検出することで送られ、下限センサが検出することで停止するように構成されている。
【0065】
前記下部ローラ160の下流において、蓋材102に所定のピッチで印刷されているマークを検出するマークセンサ164が設けられている(図14参照)。前述のように駆動軸152Aはモータによって搬送手段134の移動に同期して作動されるようになっているが、蓋材102の送り量は、マークセンサ164によるマーク位置の検出結果に応じて増減される。
【0066】
搬送手段134は、走行および停止を繰り返して前記容器本体12を間欠的に搬送しており、搬送される小型容器10は、容器搬送経路上の、容器成形材供給機構112の下流側に順に設けられている充填機構120、シール機構126およびカット機構128の位置に停止する。小型容器10は先ず充填機構120の下方に停止して、液体等の内容物を充填される。内容物が充填された小型容器10は、搬送手段134によって次のシール機構126の下方へ搬送される。
【0067】
前記ローラ162の下方には下部ローラ160が設けられており、第2上部ローラ158およびローラ162から垂直方向下方に向けて送られてきた蓋材102は、この下部ローラ160によって、水平な状態に方向を変えられて下流方向に送られる。この下部ローラ160の下流には、シール機構126を構成するプレシール装置126aが設けられており、容器成形材100と蓋材102の両端部を熱圧着してサイドシール(プレシール)される。
【0068】
容器成形材供給機構112の第1無菌化機構118、容器成形機構114の加熱装置170及び成形装置172、充填機構120、蓋材供給機構122の第2無菌化機構124、プレシール装置126aは、無菌状態にするための密閉された無菌室190内に収容されており、その無菌状態の維持は、クリーンエアー(無菌エアー)を供給することによる、陽圧によって維持されている。
容器成形材100は、無菌室190の容器成形材入口192から無菌室190に入り、蓋材102は、無菌室190の蓋材入口194から無菌室190に入るが、無菌室190は、その内部に無菌エアー(無菌フィルタを通過させた外部からの空気)を送り込み、容器成形材入口及び蓋材入口194から無菌エアーを放出し、無菌室190内を外部より陽圧にし、外部からの菌の進入を防いでいる。
プレシールされた容器成形材100及び蓋材102は、無菌室190の出口から次のシール機構126のシール装置126bに送られるが、その出口は、無菌室出口シャッター196が設けられ、無菌状態の維持を図るように構成されている。
【0069】
無菌室190内において、容器成形材100及び蓋材102の端縁をプレシール装置126aによりバーシールして容器成形材100と蓋材102の中を陽圧で維持し、無菌保持のまま無菌室190より外に出すように構成されている。
【0070】
搬送手段134の下流側に向けられ、ほぼ水平状態で供給される蓋材102は、シール機構126によって、容器搬送手段134上を搬送されてこの位置に一時停止した容器本体12の開口部に設けられているつば部18に熱圧着される。このとき、つば部18と蓋材102との接着には、エチレンビニルアセテート(EVA)接着剤が用いられる。
【0071】
続いて、シールされた容器成形材100と蓋材102とは、冷却盤200に送られ、熱圧着された部分を冷却される。
【0072】
続いて、容器成形材100にノッチを入れるときには、容器成形材100と蓋材102とは、ノッチ装置210に送られるが、この実施の形態においては容器成形材100に段差部24が刻設されるので、ノッチを刻設しない。
【0073】
続いて、次のカット機構128において、蓋材102の容器本体12の口部に貼り付けられて蓋22となる部分の周囲がカットされる。
打抜かれたポーション容器である容器本体12の開封部分であるつば部18の部分が、打抜き時の圧力により容器本体12と蓋22が付着した状態になる。その対応として、開封部であるつば部18部に連続するつまみ部20に形成される段差部24を、0.5mmから1.3mmに広げることにより、つまみ部20における容器本体12を構成する容器成形材100と底材22を構成する蓋材102同士の付着を防止した。
この現象は、容器成形材100と蓋材102が持つ特性に由来する。容器本体12を構成するA−PETは、粘着性の有る材料であり、蓋材102のエチレンビニルアセテート(EVA)層は、低温での接着性に優れる。そのお互いの特性が、打抜き時の圧力により、仮接着の様な状態になっていた。段差を大きくすることにより、容器成形材100と蓋材102とを離れ易くすることでこの問題を解決した。
【0074】
開封部容器成形材100と蓋材102の段差部24の部分が、機械の搬送時に振動の原因となり充填物を容器本体12外に溢れさせてた。特に、ガイドの乗り継ぎ部分で影響が大きく出ていた。その影響を無くす為、段差部24の部分が通過する箇所を全て研削し振動が発生し無い様な構成にする。
【0075】
次のカット機構128において、容器本体12の上面に貼り付けられている蓋材102の、小型容器10の蓋22となる部分の周囲をカットされた後、切り取られた蓋材102から成る蓋22によってシールされた小型容器10は、そのまま搬送手段134によって搬送され、下流側で取り出されて次の工程に送られる。
一方、容器成形材100の容器部分と蓋材102の蓋の部分が切り抜かれた容器成形材100及び蓋材102の残りの部分102aは、ローラ220を介して巻き取り手段132に巻き取られる。
【0076】
この実施の形態では、容器成型を行う上で、加熱温度の確認を行なう。容器成形材100を125℃に加熱することを目指し、加熱装置170の温度を127℃にする。
機械のサイクルスピードが遅いとインターバル中にドローダウンが大きくなり、下型176のボトムヒータに容器成形材100が付着しシワが発生する。
サイクルスピードを上げることにより、ドローダウンの状態が安定しボトムヒータに付着することを防止できる。
サイクルスピードは、充填する化粧液(ヘアケア液50,ヘアケア液52,化粧水54)の粘性が大きく影響する。粘度が低い場合は、充填時に容器本体12より溢れる為、充填時の速度を遅くする必要がある。この速度が、機械のサイクルスピードに影響を与える。
成型の出来具合を調整するために成型プラグ178の入り込み量の調整を行なう。入り込みが多いと成型底部の容器成形材100厚みが厚くなりすぎる。また、底部にウエーブが出来易い。
成型プラグ178の入り込み量を少なくし圧空エアーで膨らませると、綺麗な形状に仕上げることをできる。A-PETの場合、ポリスチレンと異なり外圧による潰れ、変形に強く、シートの厚みが薄くてもポリスチレン容器と同等の強度を維持することができる。
成型プラグ178によるドラッグラインについても入り込み量が浅いほど厚みが薄くなり目立ちにくくなる。
【0077】
機械停止中に、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部分の乾燥エアーで、容器成形材100は、伸びによる変形が発生する。その為、乾燥エアーの温度を70℃に変更し過酸化水素の除去と容器成形材100のダメージを最小限に抑えるようにしている。
また、停止中、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部にあった箇所は、加熱装置170を通過するまで成型を行なわない。熱負荷を受けている為、加熱装置170で付着し容器成形材100にシワが入り易くなる為である。
【0078】
「無菌充填」は、充填後の内容物には細菌類は一切なしという意味であり、また、小型容器10の容器本体12の内部にも細菌類は一切なしという意味である。細菌が一つでも残留すると、内容物自体が細菌にとっての栄養分になるので、たちまち増殖し、腐敗する。
充填後の検査で、細菌ゼロを確認しており、経時的にも細菌が増殖する要素がないので、製造後1年経時したものについても無菌性が確保できている。
【符号の説明】
【0079】
10 小型容器
12 容器本体
12a 開口部
14 底
14c 縁部
16 胴部
18 つば部
20 つまみ部
24 段差部
22 蓋
50,52 ヘアケア液
54 化粧水
100 容器成形材
102 蓋材
102a 容器成形材100及び蓋材102の残りの部分
102A 蓋材ロール
110 成型充填シール装置
110A 機枠
110B フレーム
112 容器成形材供給機構
114 容器成形機構
116 容器成形材搬送機構
118 第1無菌化機構
120 充填機構
122 蓋材供給機構
124 第2無菌化機構
126 シール機構
126a プレシール装置
126b シール装置
128 カット機構
130 容器成形材保持供給手段
132 巻き取り手段
134 搬送手段
136 保持機
138 容器成形材交換台
140 容器成形材交換用スペース
142 容器成形材過酸化水素槽
144 蓋材過酸化水素槽
146a,146b 無菌温風エアー装置
148 送りローラ
152 供給スタンド
152A 駆動軸
152a ローラ
152b 導入ローラ
154a,154b ダンサローラ
156 第1上部ローラ
158 第2上部ローラ
160 下部ローラ
162 ローラ
164 マークセンサ
170 加熱装置
172 成形装置
174 上型
176 下型
174a,176a 段落とし部
176b ボトムヒータ
178 成型プラグ
180 充填ポンプ
182 充填装置
190 無菌室
192 容器成形材入口
194 蓋材入口
196 無菌室出口シャッター
200 冷却盤
210 ノッチ装置
220 ローラ
A 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)コラーゲンペプチド及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる。
(1)コラーゲンペプチド10重量%ないし50重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.285重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
化粧品の製造方法。
【請求項2】
(一)プラスチック製容器成形材を殺菌するステップと、
(二)無菌環境下で、容器成形材を加熱して軟化させ、軟化した容器成形材を無菌エアーの吹き込みにより圧空成型して1回の使用量を充填するに足る容量の収容凹部を形成するステップと、
(三)無菌環境下で、連続成形された収容凹部に、防腐剤を含有しない、殺菌された下記の液状の化粧液を、無菌充填するステップと、
化粧液は、ヘアケア液であって、防腐剤は含有されず、水に、下記の(1)水溶性ケラチン及び(2)白金ナノコロイドを混合してなる、ヘアケア液である、請求項1に記載の化粧品。
(1)水溶性ケラチン1.5重量%ないし5.8重量%
(2)白金ナノコロイド0.035重量%ないし0.315重量%
(3)水 残量
(四)無菌環境下で、小型容器の開口部の周囲において、無菌状態に保持された蓋材をシールされて小型容器の開口部を閉塞するステップと、
(五)化粧液が充填された各小型容器を、収容凹部の周囲と蓋材とをともに切り離すステップとを含む、
請求項1に記載の化粧品の製造方法。
【請求項3】
容器成形材を殺菌するステップは、容器成形材を過酸化水素槽に浸漬してその表面を殺菌するとともに殺菌された容器成形材を無菌化されたエアをエアーナイフにより吹き付けて容器成形材の表面の過酸化水素を除去することを含む、請求項1または請求項2に記載の化粧品の製造方法。
【請求項4】
容器成形材は、ポリエチレンテレフタレートのシート状物からなる、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化粧品の製造方法。
【請求項5】
小型容器は、化粧液を充填した後、無菌エアーを収容凹部内に供給して密封されて、陽圧を維持した状態にされた、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化粧品の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−83586(P2010−83586A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289612(P2009−289612)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【分割の表示】特願2008−155181(P2008−155181)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(391009501)メロディアン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】