説明

化粧品組成物

【課題】皮膚の刺激感が少なく、古い角質や汚れを効率良く除去できる化粧品組成物を提供すること。
【解決手段】火山噴出物発泡体を高分子化合物に分散して、固形状、ゲル状、又はクリーム状とした化粧品組成物。火山噴出物発泡体は好適にはシラス発泡体、黒曜岩発泡体および真珠岩発泡体のうちのいずれか一種または2種以上であり、その平均粒子径が30μm以下である。また、高分子化合物は好適にはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルポキシメチルセルロースおよび蜜ロウから選ばれる1種または2種以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品組成物に関し、特に、古い角質を除去し、皮膚の健康を維持するための化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、皮膚の健康維持に係る組成物は多数提案されている。例えば、古い角質剥離促進作用を有する洗浄料として、ポリアルキレングリコールとアニオン性界面活性剤を含み、さらに脂肪酸または塩を顆粒形態で含有させた角質剥離洗浄料(特許文献1)、界面活性剤とともに多糖類粉末や寒天を配合した皮膚洗浄用組成物(特許文献2)等が提案されている。また、摩擦型皮膚外用剤として、二酸化珪素、植物種子粉砕物及び結晶セルロースの固体のうちの1種または2種以上を含む組成物(特許文献3)が、無機粉末を含む組成物の例としては、タルク、カオリン、各種の雲母類、炭酸マグネシウム等を主成分とした洗浄料(特許文献4)が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1、3、4に提案されている固体粉末を含む組成物は固体粉末の形状の点で問題がある。例えば、無機質や脂肪酸塩類の粉末の場合、結晶形を微細にしたものか、もしくは結晶自体であるので、一般的には、その表面は鋭角に尖っている。また、植物種子粉砕物の場合は粉砕しているので、粒子の表面は突起のある破砕状になっている。従って、これらの粉末はいずれも滑らかな表面をもっているとはいえず、そのため、特許文献1、3、4に提案の組成物では、皮膚に塗って摩擦したとき、敏感な皮膚細胞に対して損傷を与える虞がある。また、特許文献2に提案の組成物では、軟弱な寒天が添加されており、固い角質を剥離するためには効率が悪いと考えられる。
【特許文献1】特開2004−277295号公報
【特許文献2】特開2003−342162号公報
【特許文献3】特開2003−81881号公報
【特許文献4】特開平8−67622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、皮膚の刺激感が少ないにもかかわらず、古い角質や汚れを効率良く除去できる化粧品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、火山噴出物発泡体を高分子化合物に分散して得られる組成物を皮膚に摩擦することにより、十分に高い角質剥離促進作用を示し、しかも、皮膚への刺激が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は次の通りである。
(1)火山噴出物発泡体を高分子化合物に分散して、固形状、ゲル状又はクリーム状とした化粧品組成物。
(2)火山噴出物発泡体がシラス発泡体、黒曜岩発泡体および真珠岩発泡体のうちのいずれか一種または2種以上であって、その平均粒子径が30μm以下である、上記(1)記載の化粧品組成物。
(3)高分子化合物が、ポリビニルアルコールと、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび蜜ロウから選ばれる少なくとも1種とを含む上記(1)または(2)記載の化粧品組成物。
(4)火山噴出物発泡体がシラス発泡体であり、高分子化合物がポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールを含有し、組成物が固形状である、上記(1)記載の化粧品組成物。
(5)火山噴出物発泡体がシラス発泡体であり、高分子化合物がポリビニルアルコールおよび蜜ロウを含有し、組成物がゲル状またはクリーム状である上記(1)記載の化粧品組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皮膚への刺激感が少なく、古い角質の除去効率に優れ、しかも、洗浄能も良好であり、さらには高いマイナスイオンの放出および遠赤外線効果による皮膚のマッサージ効果をも併せもつ、高機能の化粧品組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の化粧品組成物は、火山噴出物発泡体を高分子化合物に分散して、固形状、ゲル状又はクリーム状とした組成物である。
【0009】
ここで、「固形状」は弾力性のある固体、「ゲル状」は弾力性のある軟らかい固体、「クリーム状」は不定形のペーストを意味する。
【0010】
本発明で使用する火山噴出物発泡体とは、シラス、黒曜岩、真珠岩等の火山噴出物の粉末を焼成処理して製造される発泡体を意味する。当該発泡体は公知であり、例えば、シラスの焼成発泡体はシラスバルーンとして、また、黒曜岩又は/及び真珠岩の焼成発泡体はパーライトなどとして知られている。
【0011】
これらの焼成発泡体(以下、単に「発泡体」ともいう。)は、いずれも、球形粒子が主体の粉体(微粒子)である。また、シラスの焼成発泡体においては高いマイナスイオンの放出性(約14,000個/cm)を示し、また、高い遠赤外線放出性を示す。図1はシラス発泡体のマイナスイオンの放出量を示すイオンカウンタ測定グラフである。
【0012】
本発明において、火山噴出物発泡体は平均粒子径が30μm以下であるのが好ましく、平均粒子径が15μm以下であるのがより好ましい。なお、平均粒子径が小さすぎる場合、発泡粒子による皮膚への刺激が強くなり過ぎる傾向となるので、平均粒子径は5μm以上であるのが好ましい。
【0013】
ここでいう、「平均粒子径」は以下の方法(ふるい分け法)による測定値である。
電磁式ふるい振とう器((株)井内盛栄堂製))に標準ふるいを5〜10段装着し、試料をふるい振とうすることで分級し、各粒子区分の重量比を測定する。すなわち、標準ふるいを目開きの大きいものを上にして順次重ね、上段に試料20gを入れ15分間ふるい振とうさせ、各メッシュ毎の試料の重量を測定し、粒度分布を求める。
次に、各メッシュ毎に篩い分けられた粒子の試料全体に対する割合(重量%)を算出し、各メッシュ毎の割合(重量%)を上段から足していき、50%超えになる前の数値を[d]、50%超えになる数値を[e]とし、50%超えにならないメッシュのアンダー値(μm)を[a]とする。そして、50%超えになるメッシュを特定し、そのメッシュのオーバー値(μm)を[b]、アンダー値を[c]として、下記式(I)より重量平均粒子径を求める。
平均粒子径(μm)=a−〔(b−c)×{(50−d)/e}〕・・・(I)
【0014】
本発明において、火山噴出物発泡体は1種または2種以上を混合して用いることができる。なお、2種以上の混合物である場合、上記平均粒子径は混合物の平均粒子径である。
【0015】
シラス、黒曜岩及び真珠岩のそれぞれの粉末自体も化粧品用粉末として使用可能であるが、これらの粉末の表面は滑らかではない。これに対し、火山噴出物発泡体は球形粒子が主体の粉体(粉末)であるため、表面が滑らかであり、しかも、高いマイナスイオンの放出性及び遠赤外線放出性を示す。本発明の組成物は、皮膚に接触して、摩擦をしても刺激は感じられないものの、角質の除去効率がよく、しかも、高いマッサージ効果が得られる。
【0016】
本発明で使用する高分子化合物としては、化粧品のベース成分として使用されている公知の高分子化合物を使用できるが、少なくともポリビニルアルコールを使用するのが好ましく、ポリビニルアルコールと、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび蜜ロウから選ばれる少なくとも1種とを併用するのが特に好ましい態様である。
【0017】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、その粘度は重合度やケン化によって変化する。本発明の化粧品組成物の好ましい形態は、前述のとおり、固形状、ゲル状もしくはクリーム状であり、組成物をかかる好ましい形態とするには、ポリビニルアルコールのケン化度は90〜99.4モル%が好ましい。特に固形状の組成物とする場合、ケン化度は98〜99モル%がより好ましい。ケン化度が90モル%未満であると、特に組成物を固形〜ゲル状に保つことが困難になる。また、ケン化度が99.4モル%を超えると、組成物(特に固形状組成物)表面に火山噴出物発泡体が表出しにくくなるため、好ましくない。なお、ポリビニルアルコールの市販品は粉末であるので水溶液にして用いる。
【0018】
天然由来の高分子化合物であるメチルセルロースやカルボキシメチルセルロースは水溶液にして用い、これらを先述のポリビニルアルコール水溶液に混合した溶液に、火山噴出物発泡体を加えて分散することで、固形状、ゲル状またはクリーム状の組成物を容易に調製できる。
【0019】
また、ポリエチレングリコールは組成物の主に保湿機能向上や粘度調整のために使用される。平均分子量が500〜1500であるのが好ましく、なかでも900〜1100のものがより好ましい。平均分子量が500未満であると、組成物の粘度が低下して、組成物(特に固形状組成物)から保湿成分が出過ぎる傾向となり、1500以上であると粘度が高くなりすぎて、組成物(特に固形状組成物)の保湿機能が低下する傾向となるため、好ましくない。
【0020】
また、蜜ロウは組成物の主に保湿機能向上のために使用され、特にゲル状またはクリーム状の組成物において配合される。
【0021】
本発明の組成物には、上記の高分子化合物以外に、保湿材として、グリセロール、キシリトール、プロピレングリコール、マルチトールなどの多価アルコール、アスパラギン酸、グリシン、グルタミン酸などのアミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類などを配合することができる。該保湿剤の配合量は、組成物全体当たり5〜10重量%程度である。
【0022】
本発明の組成物では、界面活性剤の添加によって、組成物の形態を固形状からゲル状に変化させることができる。該界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤が使用できる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムなどがあげられる。カチオン系界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどが、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエートなどが、また両性界面活性剤としては、各種のベタイン化合物などが挙げられる。該界面活性剤の配合量は、組成物全体当たり3〜5重量%程度である。
【0023】
また、本発明の組成物には、防腐剤を配合できる。防腐剤の配合によって本発明の化粧品組成物の長期安定性が向上する。かかる防腐剤としては、例えば、ソルビン酸やクエン酸などがあげられる。該防腐剤の配合量は、組成物全体当たり1〜2重量%程度である。
【0024】
本発明の化粧品組成物は、前記のとおり、固形状、ゲル状、又はクリーム状の組成物形態が好ましいが、以下に各形態の組成物についての好ましい製造方法を説明する。
【0025】
(イ)固形状化粧品組成物の製法
まず、ポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)
ポリビニルアルコール水溶液は、例えば、ポリビニルアルコールの粉末を精製水に加え、ゆっくり攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させることで調製することができる。ポリビニルアルコールの濃度は5〜30重量%が好ましい。濃度が5%未満であると、組成物が固形状を維持できなくなり、濃度が30%を超えると、組成物が逆に固すぎて使用に耐えられなくなる。
【0026】
次に、上記で調製したポリビニルアルコール水溶液に、ポリエチレングリコールを混合する(工程2)。具体的には、ポリビニルアルコール水溶液を70〜80℃に加熱しながらポリエチレングリコールを加えて混練りして均一化する。ポリエチレングリコールは、ポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。ポリエチレングリコールが5重量部未満であると、得られた組成物は滑らかさが無くなる傾向となり、30重量部を超えると、固形状物が固くなって、肌への刺激が強くなり過ぎる傾向となるため、好ましくない。
【0027】
次に、上記で調製された混合液を70〜80℃に加熱しながら火山噴出物発泡体を添加して、均一に分散するまで混練りする(工程3)。添加する火山噴出物発泡体は、上記混合液100重量部に対して3〜30重量部が好ましい。3重量部未満であると、得られる組成物は、十分に高い角質や汚れの除去効果が得られにくくなり、30重量部を超えると、組成物による肌への刺激が強くなり過ぎる傾向となるため、好ましくない。
【0028】
最後に、上記の工程3で得られた混練り物を所望の型枠に注入して固形化させる(工程4)。この固形化は、自然放置もしくは5〜10℃で冷蔵し、引き続き、温風による通風乾燥を行う。
以上の工程1〜4により、本発明の固形状の化粧品組成物を製造することができる。
【0029】
(ロ)ゲル状化粧品組成物の製法
先ず、上記(イ)で述べた方法でポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。
次に、70〜80℃に加温したポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して、1〜5重量部の蜜ロウを加えて均一になるまで混練りする(工程2)。
次に、上記の混練り物100重量部に対して火山噴出物発泡体10〜50重量部を添加する(工程3)。10重量部未満であると、得られる組成物は、十分に高い角質や汚れの除去効果が得られにくくなり、50重量部を超えると、組成物による肌への刺激が強くなり過ぎる傾向となるため、好ましくない。
【0030】
最後に、上記の工程で得られた組成物を所望の型枠に注入してゲル化させる(工程4)。このゲル化は、自然放置もしくは5〜10℃で冷蔵することで行う。
以上の工程1〜4により、本発明のゲル状の化粧品組成物を製造することができる。
【0031】
(ハ)クリーム状化粧品組成物の製法
先ず、(イ)で述べた方法によりポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。
次に、70〜80℃に加温したポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して1〜5重量部の蜜ロウを加えて均一になるまで混練りする(工程2)。
最後に、上記の混練り物100重量部に対して火山噴出物発泡体10〜50重量部を添加する(工程3)。このようにして得られた組成物はクリーム状の形態をなす。
以上の工程1〜3により、本発明のクリーム状の化粧品組成物を製造することができる。
【0032】
本発明の組成物の調製では、上記(イ)〜(ハ)の各製造例に示されるように、高分子化合物水溶液に火山噴出物発泡体を分散する際、温度を70〜80℃に設定するのが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下に実施例により本発明を具体的に例示するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
精製水1000gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)200gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、ポリエチレングリコール(第一工業製薬(株)製)200gを加えた。次に攪拌しながら、シラス発泡体(シラスバルーン:平均粒子径13μm、豊和直(株)製)200gを添加し、均一な混合物になるまで混練りした。組成物を直径7cm、深さ3cmの円筒形容器に注入して24時間放置したあと、容器から組成物を取り出し、送風乾燥機に移したあと、50℃の温風で5時間乾燥して、本発明の固形状の化粧品組成物を得た。
【0034】
(実施例2)
精製水1000gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)200gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、蜜ロウ(三木化学工業製)20gを加えた。次に攪拌しながら、シラス発泡体(シラスバルーン:平均粒子径13μm、豊和直(株)製)200gを添加し、均一な混合物になるまで混練した。組成物を直径7cm、深さ3cmの円筒形容器に注入して24時間放置したあと、容器から組成物を取り出し、送風乾燥機に移したあと、50℃の温風で5時間乾燥して、本発明のゲル状の化粧品組成物を得た。
【0035】
(実施例3)
精製水1000gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)200gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、蜜ロウ(三木化学工業製)50gを加えた。次に攪拌しながら、シラス発泡体(シラスバルーン:平均粒子径13μm、豊和直(株)製)200gを添加し、均一な混合物になるまで混練りした。これを放冷することで、本発明のクリーム状の化粧品組成物を得た。
【0036】
(比較例1)
精製水500gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)100gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、ポリエチレングリコール(第一工業製薬(株)製)100gを加えた。次に攪拌しながら、シラス(平均粒子径15μm、豊和直(株)製)100gを添加し、均一な混合物になるまで攪拌した。組成物を直径7cm、深さ3cmの円筒形容器に注入して24時間放置した後、容器から組成物を取り出し、送風乾燥機に移したあと、50℃の温風で5時間乾燥して、固形状の組成物を得た。
【0037】
(比較例2)
精製水500gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)100gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、蜜ロウ(三木化学工業製)10gを加えた。次に攪拌しながら、シラス(平均粒子径15μm、豊和直(株)製)100gを添加し、均一な混合物になるまで混練りした。組成物を直径7cm、深さ3cmの円筒形容器に注入して24時間放置したあと、容器から組成物を取り出し、送風乾燥機に移したあと、50℃の温風で5時間乾燥して、ゲル状の組成物を得た。
【0038】
(比較例3)
精製水500gを5リットルのステンレス容器に移し、これにポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製)100gを加え、攪拌しつつ温度を上げた。70〜80℃で完全に溶解していることを確認後、蜜ロウ(三木化学工業製)25gを加えた。次に攪拌しながら、シラス(平均粒子径15μm、豊和直(株)製)100gを添加し、均一な混合物になるまで混練りした。放冷後、クリーム状の組成物を得た。
【0039】
(評価試験)
1試験につき10名のモニターにより、皮膚の改善およびマッサージ効果について評価した。
実施例1の固形状化粧品組成物は硬い角質を対象に、踵と肘の角質落しを試験した(表1)。実施例2のゲル状化粧品組成物は、洗顔による顔の古い角質を取る目的で試験を行った(表2)。また、実施例3のクリーム状化粧品組成物については、頭皮マッサージおよびボディマッサージ効果を調べた(表3)。
評価の基準は、改善や効果があった人数が6名以上を○、3〜5名が△、2名以下を×とした。
以下に試験結果を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
表1〜3が示すように、本発明の化粧品組成物は、皮膚の改善効果及びマッサージ効果に優れていることが分かった。特に、固形状の化粧品組成物は、肘、膝、踵の厚い角質層から、古い角質を効率よく除去し、滑らかな皮膚の状態に変えた。また、ゲル状の組成物を使用することで、滑らかな皮膚に変わり、脂性が改善され、化粧の乗りがよくなった。また、クリーム状の組成物は、頭皮およびボディに対してマッサージ効果を発揮することが分った。
なお、全てのモニターにおいて皮膚の損傷はなく、皮膚の刺激感はないものの、マイナスイオンの放出および遠赤外線効果によると思われるマッサージ効果があること、使用後皮膚のしっとり感が持続し保湿効果があること、などが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】シラス発泡体のマイナスイオンの放出量を示すイオンカウンタ測定グラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火山噴出物発泡体を高分子化合物に分散して、固形状、ゲル状又はクリーム状とした化粧品組成物。
【請求項2】
火山噴出物発泡体がシラス発泡体、黒曜岩発泡体および真珠岩発泡体のうちのいずれか一種または2種以上であって、その平均粒子径が30μm以下である、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項3】
高分子化合物が、ポリビニルアルコールと、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび蜜ロウから選ばれる少なくとも1種とを含む請求項1または2記載の化粧品組成物。
【請求項4】
火山噴出物発泡体がシラス発泡体であり、高分子化合物がポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールを含有し、組成物が固形状である、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項5】
火山噴出物発泡体がシラス発泡体であり、高分子化合物がポリビニルアルコールおよび蜜ロウを含有し、組成物がゲル状またはクリーム状である請求項1記載の化粧品組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−1671(P2008−1671A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175280(P2006−175280)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(597086863)豊和直 株式会社 (11)
【Fターム(参考)】