説明

化粧床材及び床構造

【課題】 本発明の課題は、適度なクッション性を有し、さらに、構造下地材の不陸の影響を受け難い剛直性を有する化粧床材を提供することである。
【解決手段】 本発明の化粧床材1は、芯材2と、前記芯材2の表面側に設けられたクッション材3と、前記クッション材3の表面側に設けられた表装材4と、を有し、前記芯材2が、曲げ破断強度1N/mm以上とされ、前記クッション材3が、反発弾性率10〜50とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適度なクッション性と強度を有する化粧床材等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などのフローリングの上に、クッション性に優れたフロアマットが敷き詰められる場合がある。
このような用途に使用されるフロアマットとして、表皮材と、所定密度のウレタンフォーム層と、所定密度のチップウレタンフォーム層と、所定密度の圧縮ウレタンフォーム層が順次積層され、JIS K 6400:2004に基づく反発弾性率が30〜45であるフロアマットが知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、近年、住宅などにおいて、二重床構造が採用されつつある。
二重床の構造は、基礎下地(モルタル面など)の上に所定間隔を開けて立設された複数の支柱と、各支柱の上に取り付けられた構造下地材(パーティクルボードなど)と、その構造下地材の上に接着剤などを介して接着された捨て貼り材(合板など)と、その捨て貼り材の上に敷設された化粧床材と、からなる。二重床は、基礎下地と捨て貼り材の間に床下空間を有する。そのため、二重床は、遮音性に優れ、さらに、その床下空間に電気通信用配線や給排水用管などの設備を設けることが可能である。
【0004】
しかしながら、上記二重床においては、構造下地材に捨て貼り材を接着しているので、メンテナンス(例えば、床下空間内の設備の点検、補修及び変更など)を容易に行えない。
この点、捨て貼り材を使用せず、構造下地材の上に化粧床材を直接敷設すれば、メンテナンスなどを容易に行い得る。
【0005】
しかしながら、捨て貼り材を設けずにクッション性に優れた化粧床材を敷設すると、構造下地材の不陸が化粧床材の表面に現れやすい。従って、このような構造下地材の上に敷設した場合でも、その不陸の影響を受け難い化粧床材が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−276135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、適度なクッション性を有し、さらに、施工面の不陸の影響を受け難い剛直性を有する化粧床材及び床構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化粧床材は、芯材と、前記芯材の表面側に設けられたクッション材と、前記クッション材の表面側に設けられた表装材と、を有し、前記芯材が、曲げ破断強度1N/mm以上であり、前記クッション材が、反発弾性率10%〜50%である。
【0009】
本発明の好ましい化粧床材は、前記芯材の曲げ破断強度が20N/mm以上である。
本発明の好ましい化粧床材は、前記クッション材が、合成樹脂発泡体又は不織布から形成され、前記表装材が、畳表、織物、編物、不織布、タフト生地、及び合成樹脂シートから選ばれる少なくとも1種から形成されている。
本発明の好ましい化粧床材は、施工の際に施工面と接する部分に、防滑性又は吸着性を有する層が設けられている。
【0010】
本発明の別の局面によれば、床構造を提供する。
この床構造は、同じ厚みの上記化粧床材の複数が、施工面に並んで敷設されている。好ましくは、前記施工面は二重床構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧床材は、適度なクッション性を有するので、使用時に適度に変形する。従って、本発明の化粧床材を用いれば、その上に座る又は歩行する使用者に対して、良好な使用感を与えることができる。
さらに、本発明の化粧床材は、施工面の不陸の影響を受け難いので、前記不陸に起因する凹凸が表面に現れにくい。従って、本発明の化粧床材を用いれば、敷設後も表面平滑性に優れ、綺麗な床を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る化粧床材の断面図。
【図2】化粧床材の二重床に敷設した状態を示す参考側面図。
【図3】同参考平面図。
【図4】実施例及び比較例の化粧床材の不陸発現性試験の実施状況を示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の化粧床材の層構成]
図1において、本発明の化粧床材1は、芯材2と、芯材2の表面側に設けられたクッション材3と、クッション材3の表面側に設けられた表装材4と、を有する。さらに、芯材2の裏面側には、必要に応じて、下地層5が設けられている。
化粧床材1は、通常、平面視四角形状に形成される。もっとも、化粧床材1の平面視形状は、四角形状に限定されるわけではない。
【0014】
クッション材3は、芯材2の表面に載置されている。必要に応じて、クッション材3の裏面の全体又は一部分が、芯材2の表面に接着剤を用いて接着されていてもよい。
表装材4は、クッション材3の表面に載置されている。必要に応じて、表装材4の裏面の全体又は一部分が、クッション材3の表面に接着剤を用いて接着されていてもよい。
表装材4の周囲は、クッション材3及び芯材2に巻き込まれ、表装材4の四方の下端部4aが、芯材2の裏面の四方辺部2aに取り付けられている。従って、表装材4は、クッション材3の表面だけでなく、クッション材3の周側面及び芯材2の周側面までも被覆している。表装材4の各下端部4aを芯材2の裏面の四方辺部2aに取り付ける方法としては、接着剤を用いた接着、又は、鋲などの固定具を用いた止着などが挙げられる。
【0015】
下地層5は、例えば、芯材2の裏面に貼り付けられた第1層51と、前記第1層51の下面に貼り合わされた第2層52と、を有する。第2層52の裏面は、施工面(床面)に接地する面であるので、第2層52は、防滑性又は吸着性を有することが好ましい。
【0016】
[芯材]
上記芯材は、主として化粧床材に剛直性を付与し、化粧床材の形状を維持するための層である。
本発明の化粧床材の芯材は、その曲げ破断強度が1N/mm以上とされており、好ましくは20N/mm以上であり、より好ましくは100N/mm以上である。このような曲げ破断強度を有する芯材を用いれば、施工面に存する不陸の影響を受け難い、剛直性を有する化粧床材を構成できる。
芯材の曲げ破断強度の上限は特に限定されない。その曲げ破断強度の一般的な上限は、200N/mm程度である。
ここで、上記曲げ破断強度は、JIS K 7221−2:2006に準拠して測定された値をいう。
【0017】
芯材の形成材料は、芯材の曲げ破断強度が上記の値を有するものを形成できることを条件として特に限定されない。芯材の形成材料としては、例えば、MDF、インシュレーションボード、合板、合成樹脂製硬質発泡体、セラミックボードなどが挙げられる。
比較的軽量で、破断強度が高く、更に柔軟性を有することから、芯材としてMDFを用いることが好ましい。
前記合成樹脂製硬質発泡体の主成分としては、特に限定されず、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。発泡体の発泡倍率は、5〜30倍が好ましく、8〜15倍がより好ましい。発泡倍率が大きすぎると剛直性が低下してしまう。一方、発泡倍率が小さすぎると、軽量性及び切断容易性などの発泡体としての特性を殆ど有さなくなる。
【0018】
芯材は、2種以上の複合構造でもよい。例えば、芯材は、上記MDFと合成樹脂製硬質発泡体が貼り合わされた複合体、上記MDFなどに合成樹脂製フィルムや織布などが貼り合わされた複合体などでもよい。
【0019】
なお、芯材の厚みは、芯材の曲げ破断強度が上記の値を有することを条件として特に限定されないが、例えば、1〜20mmであり、好ましくは2〜10mmである。
【0020】
[クッション材]
クッション材は、主として化粧床材に適度なクッション性を付与し、化粧床材に対する使用感を向上させる層である。つまり、表装材上に載った使用者の荷重によってクッション材が少し凹むので、化粧床材に対する使用感(化粧床材に対する座り心地や歩行感など)が向上する。
本発明のクッション材は、その反発弾性率が10%〜50%とされており、好ましくは20〜50%である。このような反発弾性率を有するクッション材は、適度なクッション性を有し、化粧床材の使用感を向上させ得る。ただし、前記反発弾性率は、JIS K 6400−3に準拠して測定された値をいう。
【0021】
クッション材の形成材料は、適度な弾性を有していれば特に限定されず、例えば、合成樹脂製発泡体、各種の不織布などが挙げられる。クッション材を形成する発泡体の主成分としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリエチレン、アクリル系樹脂などが挙げられ、その発泡倍率としては、2〜50倍が好ましい。適度なクッション性を有し、凹み回復性も良好であることから、クッション材としてポリウレタン製の発泡体を用いることが好ましい。クッション材を形成する不織布としては、各種の合成樹脂繊維、ガラス繊維、天然繊維などが挙げられる。
【0022】
クッション材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2mm〜15mmであり、より好ましくは4mm〜10mmである。クッション材の厚みが余りに厚いと、化粧床材に荷重が加わったときに沈み込みが大きくなり過ぎて使用感が悪くなり、一方、余りに薄いと殆ど沈み込まず使用感の向上が期待できない。
【0023】
[表装材]
表装材は、主として化粧床材の表面に化粧を付与し、使用者が直に接触する層である。
表装材の形成材料は、特に限定されず、例えば、畳表、織物、編物、不織布、タフト生地、合成樹脂シートから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
畳表としては、例えば、イ草畳表、イ草を模倣した人工イ草畳表(合成樹脂、無機材料などから形成されたイ草似の繊維からなる畳表)などが挙げられる。織物としては、天然繊維又は合成繊維を織り込んだ模様生地又は無模様生地が挙げられ、必要に応じて、薄いシート(薄い紙など)が貼り合わされていてもよい。編物としては、天然繊維又は合成繊維を編み込んだ模様生地又は無模様生地が挙げられ、必要に応じて、薄いシート(薄い紙など)が貼り合わされていてもよい。不織布としては、天然繊維又は合成繊維からなる不織布生地が挙げられ、必要に応じて、不織布に模様を印刷したり、或いは、不織布に薄いシート(薄い紙など)を貼り合わしてもよい。
【0024】
表装材の引裂き強度は、特に限定されないが、5N/1.5cm以上が好ましく、10N/1.5cm以上がより好ましい。このような強度の表装材は、良好な耐久性を有する。前記引裂き強度は、JIS P 8116に準じて測定された値をいう。
表装材の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5mmが好ましく、0.1〜2mmがより好ましい。表装材の厚みが余りに厚いと、表装材をクッション材及び芯材に巻き込み難く、一方、余りに薄いと表装材の耐久性が低くなる。
【0025】
[下地層]
下地層は、主として化粧床材に下地追従性を付与し、さらに、施工後の化粧床材の位置ずれを防止するための層である。
下地層の形成材料は、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂などの合成樹脂製発泡体、不織布などが挙げられる。下地層が上記第1層と第2層を有する場合には、例えば、第1層として合成樹脂製発泡シートを用い、第2層として不織布を用いることができ、或いは、第1層として不織布を用い、第2層として合成樹脂製発泡シートを用いることができる。
【0026】
また、第2層として、防滑性を有する素材(例えば、ポリ塩化ビニルやポリ酢酸ビニルなどの樹脂、又は、発泡樹脂など)を不織布に含浸又は不織布の裏面に付着させたものを用いてもよい。このような防滑性を有する第2層は、施工後の化粧床材の位置ずれを効果的に防止できる。
さらに、第2層として、吸着性を有する層を用いてもよい。吸着性を有する第2層としては、例えば、複数の微細な穴が開口された柔軟な発泡体(合成樹脂製発泡体など)などが挙げられる。このような発泡体は、床材を施工面に施工したときに、微細な穴から空気が逃げる。従って、この発泡体から形成された第2層は、その吸盤機能により施工面に対して吸着力を発揮し、施工後の化粧床材の位置ずれを効果的に防止できる。
下地層の厚みは、特に限定されないが、下地追従性を考慮すると、0.5mm〜5mmが好ましい。
【0027】
上記構成からなる化粧床材の反発弾性率(JIS K 6400−3に準拠)は、例えば、10〜50%であり、好ましくは20〜40%であり、より好ましくは20〜30%である。かかる化粧床材は、適度なクッション性を有する。
さらに、上記構成からなる化粧床材の曲げ破断強度(JIS K 7221−2:2006に準拠)は、例えば、1N/mm以上であり、好ましくは20N/mm以上であり、より好ましくは100N/mm以上である。かかる化粧床材は、施工面に存する不陸の影響を受け難い(剛直性を有する)。
従って、上記化粧床材を施工面上に敷設することによって、使用者に対して良好な使用感を与え、さらに、表面平滑性に優れた綺麗な床を構成できる。
【0028】
[化粧床材の使用例]
本発明の化粧床材1は、住宅の床面などのような、所望の場所に施工される。
図2及び図3は、乾式二重床上に本発明の化粧床材を施工する一例を示している。
この二重床9は、次のような構造からなる。モルタル面のような基礎下地91上の束92の上に支柱93が立設されている。この支柱93は、所定間隔を開けて複数配置されている。この支柱93の上端部には、支柱93の上端面(支持面)の受け面積を広くするため、固定部材94が設けられている。各固定部材94の上には、パーティクルボードのような構造下地材95が載せられている。構造下地材95の大きさは特に限定されないが、例えば、500mm角、厚み25mmである。
この構造下地材95は、固定部材94に対して着脱可能とするために、ビス止めにて固定部材94に固定されている。この構造下地材95と基礎下地91の間は、床下空間96を有する。この床下空間96に、電気通信用配線や給排水用管などの設備(図示せず)を設けることが可能である。
【0029】
この構造下地材95の上に、本発明の化粧床材1を敷設する。
具体的な施工方法としては、まず最初に化粧床材1を載せる施工面(構造下地材95)に、墨(位置決め用の目印線)を引き、その墨に沿って化粧床材1を軽く置く。化粧床材1を位置合わせした後、この上から押さえて敷設し、これを順次繰り返していく。図3に示すように、隣接する構造下地材95の接合部95aを覆うように、化粧床材1を位置合わせして敷設することが好ましい。また、化粧床材1の敷設順序は、二重床9の中央部から敷設し、壁面97の方に順次化粧床材1を敷設することが好ましい。壁面97に接する化粧床材1については、必要に応じて、壁面97の形状に合わせて切断した後、敷設される。
化粧床材1は、構造下地材95上に並べて載せていくだけでよい。もっとも、着脱可能な固定具を用いて構造下地材95に化粧床材1を固定してもよい。
【0030】
また、化粧床材1の施工に際して、構造下地材95に下地処理(例えば、構造下地材95にフィルムを貼付、或いは、構造下地材95に下地処理剤の塗布など)を行ってもよい。このような下地処理の実施は、化粧床材1の施工後、その表面を特に平滑にできるので好ましい。
【0031】
構造下地材95に着脱可能な化粧床材1は、その上から容易に取り外すことができる。前記構造下地材95は、ビスを外せば簡単に取り外すことができる。また、従って、床下空間96にアクセスでき、床下空間96に設けられた設備のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、化粧床材1が下地層5を有する場合、施工後の化粧床材1の位置ズレを防止できる。特に、アクリル系樹脂の発泡樹脂を有する下地層5が設けられた化粧床材1は、位置ズレ防止効果に優れ、且つ、メンテナンスの際に施工面(構造下地材95上など)から容易に引き剥がすことができる。
本発明の化粧床材1は、施工面の不陸の影響を受け難いので、捨て貼り材が接着されていない構造下地材95の上にそれを敷設した場合であっても、表面平滑性に優れた綺麗な床を構成できる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明を更に詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例及び比較例で使用した表装材]
紙布:ムライ(株)製、商品名「WEN6420」。
織物:小嶋織物(株)製、商品名「WEN6039」。
【0034】
[実施例及び比較例で使用したクッション材]
ウレタンチップ発泡体(A):ブリジストン化成品(株)製。厚み5mm。発泡倍率5倍。比重0.15。
ウレタンチップ発泡体(B):ブリジストン化成品(株)製。厚み5mm。発泡倍率5倍。比重0.20。
【0035】
アンダーレイシート:東リ(株)製、商品名「アンダーレイシート」。塩化ビニル製。厚み4.5mm。
テンダーシート:東リ(株)製、商品名「デンダーシート」。塩化ビニル製。厚み9mm。
ポリエチレン発泡体:積水化学工業(株)製、商品名「ソフトロン」。厚み5mm。発泡倍率30倍。
不織布:サンケミカル(株)製。ニードルパンチによるポリエチレンテレフタレート繊維不織布。目付量900g/m
ポリエチレンエラストマー発泡体:(株)第一化学製、商品名「タフフォーム15」。厚み5mm。発泡倍率15倍。
【0036】
上記各クッション材の反発弾性率を、JIS K 6400−3に準拠して測定した。その結果を、表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
[実施例及び比較例で使用した芯材]
MDF:(株)ノダ製。厚み5.5mm。
オレフィン系硬質発泡体:積水化学工業(株)製、商品名「ゼットロン」。厚み5mm。発泡倍率30倍。
NGPボード:日本グラスファイバー工業(株)製、商品名「NGPボード」。厚み5mm。
合板:厚み12mmの市販品。
セラミックタイル:(株)INAX製、商品名「ストロータッチ」。厚み7mm。
ウレタンチップ発泡体(A):クッション材で使用したウレタンチップ発泡体(A)と同じ製品。
ウレタンチップ発泡体(B):クッション材で使用したウレタンチップ発泡体(B)と同じ製品。
アンダーレイシート:クッション材で使用したアンダーレイシートと同じ製品。
テンダーシート:クッション材で使用したテンダーシートと同じ製品。
【0039】
上記各芯材の曲げ破断強度を、JIS K 7221−2:2006に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
[実施例1〜8及び比較例1〜7]
表3及び表4に示す表装材、クッション材、芯材及び下地層を、上から順に積層接着して化粧床材を作製した。ただし、表3及び表4には、下地層を記載していないが、各実施例及び各比較例の何れも、同一の下地層を使用した。その下地層は、太さ100デニール、長さ40〜60mmのポリエステル繊維からなる不織布(目付量100g/m)の裏面に、アクリル系発泡樹脂を付着させたものである。
なお、各材間の接着にあたっては、変性エチレン酢酸ビニル系接着剤を使用した。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
[反発弾性率及び曲げ破断強度の測定]
実施例1〜8及び比較例1〜7の化粧床材について、それぞれ反発弾性率及び破断強度を測定した。その結果を、表3及び表4に示す。
なお、上記各床材の反発弾性率は、JIS K 6400−3に準拠し、表装材側の反発弾性率を測定した。
各床材の曲げ破断強度は、JIS K 7221−2:2006に準拠して測定した。
【0045】
[歩行試験]
実施例1〜8及び比較例1〜7の化粧床材をそれぞれ4枚準備し、この4枚の床材をコンクリート面上に直列に敷設した。各実施例及び比較例の化粧床材の上を、素足で歩き、そのときの歩行感をそれぞれ評価した。その結果を表3及び表4に示す。
ただし、表中の記号は下記評価を意味する。
◎:適度な沈み込みと適度な反発があり、歩行したときの感触が非常に良かった。
○:適度な沈み込みと適度な反発があり、歩行したときの感触が良かった。
△:反発を感じ、歩き難かった。
×:沈み込み量が大きく、歩き難かった。
【0046】
[不陸発現性試験]
実施例1〜8及び比較例1〜7の化粧床材を、図4に示すように、2mmの段差がある施工面の該段差を覆うようにそれぞれ敷き詰めた。各実施例及び比較例の化粧床材の表面を観察し、不陸が現れているかどうかをそれぞれ評価した。その結果を表3及び表4に示す。
ただし、表中の記号は下記評価を意味する。
○:隣接する床材の突き合わせ端部が綺麗に収まっていた。
×:段差に追従し過ぎて、床材の表面に段差が生じていた。
【0047】
特に、実施例1及び2の化粧床材は、適度な沈み込みと適度な反発があり、歩行したときの感触が非常に良く、軽量でありながら床材として十分な剛直性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の化粧床材は、一般住宅、マンション、オフィスビルなどの室内の床面に敷いて使用される。
【符号の説明】
【0049】
1…化粧床材、2…芯材、3…クッション材、4…表装材、5…下地層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、前記芯材の表面側に設けられたクッション材と、前記クッション材の表面側に設けられた表装材と、を有し、
前記芯材が、曲げ破断強度1N/mm以上であり、
前記クッション材が、反発弾性率10〜50である、化粧床材。
【請求項2】
前記芯材の曲げ破断強度が20N/mm以上である、請求項1に記載の化粧床材。
【請求項3】
前記クッション材が、合成樹脂発泡体又は不織布から形成され、前記表装材が、畳表、織物、編物、不織布、タフト生地、及び合成樹脂シートから選ばれる少なくとも1種から形成されている、請求項1又は2に記載の化粧床材。
【請求項4】
施工の際に施工面と接する部分に、防滑性又は吸着性を有する層が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の化粧床材。
【請求項5】
同じ厚みの請求項1〜4のいずれかに記載の化粧床材の複数が、施工面に並んで敷設されている床構造。
【請求項6】
前記施工面が二重床構造である請求項5記載の床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−246914(P2011−246914A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119323(P2010−119323)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】