説明

化粧料のぬるつきの評価方法

【課題】客観的にかつ再現性よく、化粧料のぬるつきの程度を評価することができる方法を提供すること。
【解決手段】本発明の化粧料のぬるつきの評価方法は、化粧料の損失正接tanδ値に基づき、該化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する。角周波数0.01〜10s-1での損失正接tanδ値に基づき、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価することが好適である。tanδ値が小さいほどぬるつきの程度が低いと評価し、tanδ値が大きいほどぬるつきの程度が大きいと評価する。パラレルプレート型又はコーンプレート型のセルを有するレオメータを用いてtanδ値を測定することが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を客観的に評価し得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美容液などの化粧料を肌へ塗布したときの使用感を向上させることは、化粧料の商品価値を高めるために重要な要素である。化粧料の使用感の一つとして、化粧料を塗布したときのぬるつきの無さが挙げられる。塗布したときのぬるつき感を低減させることを目的とした種々の処方の化粧料が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかし、ぬるつき感の程度には個人差があるので、その評価は一般に習熟した開発技術者(化粧料の開発に従事して5年以上の経験を有するような習熟した開発技術者)による官能評価が主であった。習熟した開発技術者は多様な化粧料の評価を日常行っているので、この種の評価には極めて精通している。しかしながら、個々の評価結果の経験の蓄積は各評価者に属しているため、客観的数値化や一般化ができないこと、ぬるつき感の評価が化粧料の持つ力学特性と対応して解析されていないために、ぬるつき感を支配する力学的要素に関する知見が得られないこと、あるいは安全性の確認されていない素材の評価は行えないこと等の課題を有していた。
【0003】
ところで化粧料の使用感を客観的に評価する方法として、脳波データから定量化される脳波感性スペクトルを測定する評価方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法によれば、官能評価よりも客観的な評価が可能かもしれないが、被験者に化粧料を塗布するということ自体は官能評価と変わるところがないので、先に述べたとおりの課題、すなわち安全性の確認されていない素材の評価は行えないという課題は依然として解決されない。
【0004】
化粧料の持つ粘弾性特性に着目して、化粧料の心地よい使用感を客観的に評価する方法も提案されている(特許文献5参照)。また、使用感を高めることを目的とした特定の範囲の粘弾性特性を有する化粧料も提案されている(特許文献6参照)。これらの技術は、化粧料の持つ粘弾性特性に着目したのではあるものの、粘弾性特性が化粧料のぬるつきの有無とどのように相関しているかについては何ら検討されていない。
【0005】
化粧料のぬるつき感の評価とは別に、本出願人は先に、化粧料に外力を加えたときに該化粧料のせん断変形が線形域から非線形域に移行するときの移行せん断応力を求め、該移行せん断応力と官能評価者による前記化粧料の使用感の官能評価の評点との相関に基づいて、前記化粧料の使用感を評価する方法を提案した(特許文献7参照)。ここで言う使用感とは、化粧料を肌に塗布したときのさらっとした感覚をいい、本発明に言うぬるつき感とは異なる概念である。そこで、ぬるつき感に関しても、使用感と同様に客観的な評価方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−87132号公報
【特許文献2】特開2002−265352号公報
【特許文献3】特開2003−267855号公報
【特許文献4】特開2000−354588号公報
【特許文献5】特開2007−147342号公報
【特許文献6】特開2010−515720号公報
【特許文献7】特開2008−64722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、これまでに行われていなかった、化粧料を肌に塗布したときのぬるつきの程度を客観的に評価する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度が該化粧料の損失正接tanδ値に基づき評価できることを知見した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)に係るものである。
(1)化粧料の損失正接tanδ値に基づき、該化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する化粧料のぬるつきの評価方法。
(2)角周波数0.01〜10s-1での損失正接tanδ値に基づき、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する(1)記載の化粧料のぬるつきの評価方法。
(3)10〜35℃における角周波数0.01〜10s-1での損失正接tanδ値に基づき、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する(1)又は(2)記載の化粧料のぬるつきの評価方法。
(4)tanδ値が小さいほどぬるつきの程度が低いと評価し、tanδ値が大きいほどぬるつきの程度が大きいと評価する(1)ないし(3)のいずれかに記載の評価方法。
(5)パラレルプレート型又はコーンプレート型のセルを有するレオメータを用いてtanδ値を測定する(1)ないし(4)のいずれかに記載の評価方法。
(6)レオメータにおける測定セルとして、上部プレートのサンプル接触面の表面粗さが1〜10μmのものを用いる(1)ないし(5)のいずれかに記載の評価方法。
(7)化粧料がO/Wエマルション又はW/Oエマルションからなる(1)ないし(6)のいずれかに記載の評価方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、客観的にかつ再現性よく、化粧料のぬるつきの程度を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、レオメータにおけるパラレルプレート型セルの構造例を示す模式図である。
【図2】図2(a)〜(c)はそれぞれ、市販の数種の化粧料乳液を対象として測定された損失正接tanδ、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の角周波数依存性を示すグラフである。
【図3】図3(a)〜(c)は、市販の数種の化粧料乳液について専門パネラーに官能評価させたぬるつきの程度と、20℃、25℃及び30℃における角周波数0.1s-1での該化粧料乳液の損失正接tanδ値との関係を示すグラフである。
【図4】図4(a)〜(g)は、市販の数種の化粧料乳液について専門パネラーに官能評価させたぬるつきの程度と、種々の角周波数における20℃での該化粧料乳液の損失正接tanδ値との関係を示すグラフである。
【図5】図5(a)〜(g)は、市販の数種の化粧料乳液について専門パネラーに官能評価させたぬるつきの程度と、種々の角周波数における25℃での該化粧料乳液の損失正接tanδ値との関係を示すグラフである。
【図6】図6(a)〜(g)は、市販の数種の化粧料乳液について専門パネラーに官能評価させたぬるつきの程度と、種々の角周波数における30℃での該化粧料乳液の損失正接tanδ値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、化粧料を肌に塗布したときのぬるつきの程度を客観的に評価することができる方法に関するものである。肌に化粧料を塗布する場合、化粧料が薄く塗り広げられるにつれ、肌と手との間に上滑り感を感じる薄い膜が介在したかのような触感を受ける。この感覚のことを「ぬるつき」という。ぬるつきの程度が大きい化粧料は、使用感が良好でないと使用者に知覚される。
【0013】
本発明の評価の対象となる化粧料は、一般に乳液や化粧水と呼ばれる範疇の液体の化粧料である。これらの化粧料は、一般に25℃における粘度(ずり速度1s-1)が0.1〜40Pa・sのものである。また、本発明の評価の対象となる化粧料には、例えばO/WエマルションやW/Oエマルションが含まれる。塗布に際して良好な流動性は有するが、例えばクリーム等の降伏値を有する化粧料は本発明の評価の対象外である。
【0014】
本発明の評価方法においては、物の粘弾性測定に用いられる装置であるレオメータによって、化粧料のぬるつきの程度を評価する。レオメータに測定サンプルをマウントし、サンプルに歪み又は応力を印加してレオロジー測定を行うセルとしては、(i)円形の平行平板間に測定試料を配置するパラレルプレート型のセル、(ii)円形の平板と円錐形のコーンプレートとの間に測定試料を配置するコーンプレート型のセル、(iii)2つの同軸円筒の隙間に測定試料を配置する同心円筒回転型(クエット)のセルなどのタイプが知られている。本発明においてはこれらのセルを特に制限なく用いることができる。特に本発明においては、パラレルプレート型又はコーンプレート型のセルを用いることにより、数ml程度の少量の測定サンプルで化粧料のぬるつきの程度を精度良く、かつ再現性よく評価できる。以下にパラレルプレート型のセルを用いた場合を説明するが、コーンプレート型についても同様である。
【0015】
パラレルプレート型のセルにおいては、2枚のパラレルプレートとして、図1に示すように下部プレート1と上部プレート2が用いられる。一般に一方のプレートは固定状態になっており、もう一方のプレートは回転又は振動可能になっている。下部プレート1と上部プレート2における互いに対向する板面は平行になっている。下部プレート及び上部プレートの組を本発明ではセルと称する。
【0016】
本発明においては、上述のセルを用い、評価対象とする化粧料について損失正接tanδの角周波数依存性を測定する。測定条件は、線形歪み領域で測定することを除き、本発明において特に臨界的でない。測定温度は、一定温度であれば、温度自体に特に制限はない。化粧料使用時の環境を考慮すると、10〜35℃が好ましく、20〜30℃がより好ましく、特に測定中の結露や水分蒸発の抑制という点で室温(25℃)が好ましい。環境の相対湿度は30〜65%RHが好ましい。角周波数は、必要なデータが得られることと市販レオメータの性能を考慮すると、6.28×10-3〜6.28×101-1が好ましく、0.01〜10s-1がより好ましく、0.01〜3s-1が更に好ましく、0.01〜1s-1がより好ましく、0.03〜1s-1が特に好ましい。レオメータとしては、例えばPaar Physica製のMCR300又はMCR500を用い、歪み制御モードで測定を行うことができる。なお、線形歪み領域での測定が行えるならば、応力制御で測定を行うこともできる。
【0017】
図2(a)は、市販の数種の化粧料乳液を対象として測定されたtanδの角周波数依存性を示すグラフである。同図から明らかなように、tanδ値と角周波数との関係は品種によってまちまちであり、明確な相関関係は観察されない。また、図2(b)及び(c)には、図2(a)に示すtanδ値の測定の対象となった化粧料乳液を対象として測定された貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の角周波数依存性を示すグラフである。これらの図からも、G’やG”と、角周波数との関係が品種によってまちまちであり、両者間に明確な関係が観察されないことが判る。なお図2(a)〜(c)に示す結果は、25℃・55%RHにおいて線形歪み領域にて測定された結果である。
【0018】
これに対して、市販の数種の化粧料乳液について専門パネラーにぬるつきの程度を官能評価させ、その結果と、20℃、25℃及び30℃それぞれにおける角周波数0.1s-1でのtanδの常用対数値とをプロットしたところ、意外にも図3(a)〜(c)に示すように、各温度において両者間には一次の負の相関関係があることが判明した。しかし、貯蔵弾性率G’や損失弾性率G”と官能評価の結果には明確な相関関係は認められなかった。なお図3(a)〜(c)における横軸のぬるつきの無さは、その数値が大きいほど、ぬるつきの程度が低く、化粧料乳液としての使用感が高いことを意味している。
【0019】
図3(a)〜(c)の相関図を作成するにあたり行った官能評価の方法は以下のとおりである。評価は、官能評価を行うようにトレーニングを受けた専門評価者10〜13名によって行った。
〔ぬるつきの無さの評価〕
専門評価者10〜13名が、化粧料の塗布中に手と肌の間で化粧料が上滑りする感じをぬるつきとして評価した。標準品を0として9段階評価を行った。全くぬるつかないものを+4、非常にぬるつくものを−4とした。各専門評価者から得られた結果を平均し、ぬるつきのスコアとした。なお、スコア値+4、+3、+2、+1については、それぞれ100%、90%、80%、70%の回答者(一般パネラー)がぬるつかないと答えるレベルで、逆に、−1、−2、−3、−4については70%、80%、90%、100%の回答者(一般パネラー)がぬるつくと答えるレベルである。
【0020】
前記の評価法に従う官能評価の結果は以下のとおりであった。
【表1】

【0021】
図3(a)〜(c)に示す結果を踏まえ、本発明者らが更に検討を進めたところ、専門パネラーによるぬるつきの程度の官能評価の結果と、tanδの常用対数値との相関関係は、角周波数(歪み)に依存することが判明した。図4(a)〜(g)は、官能評価の結果と20℃での種々の角周波数の値におけるtanδの常用対数値との関係を示すグラフである。同図に示す結果から明らかように、角周波数が0.01〜3s-1の範囲で、官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.7以上で相関している領域が存在することが判る。特に、角周波数が0.01〜1s-1の範囲内で官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.87以上のより高い相関関係を有していることが判る。
【0022】
測定点は、例えば前記の角周波数0・01〜100s-1の範囲を常用対数で12等分して、計13点とする。各点の測定時間は少なくとも2周期分は取るように設定する。測定は、20℃・60%RHにおいてセルにサンプルをマウント後、30分間静置してから行った。
【0023】
図4(a)〜(g)に示す測定と同様の測定を、25℃及び30℃においても行った。その結果を図5(a)〜(g)及び図6(a)〜(f)にそれぞれ示す。図5(a)〜(g)に示す結果から明らかように、温度25℃においては、角周波数が0.01〜10s-1の範囲で、官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.7以上で相関している領域が存在することが判る。特に角周波数が0.01〜1s-1の範囲で、官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.87以上のより高い相関関係を有していることが判る。また、図6(a)〜(g)に示す結果から明らかように、温度30℃においては、角周波数が0.01〜10s-1の範囲で、官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.7以上で相関している領域が存在することが判る。特に0.1〜1s-1の範囲で、官能評価の結果とtanδの常用対数値とが相関係数0.87以上のより高い相関関係を有していることが判る。
【0024】
図4〜図6に示す結果から、角周波数が0.01〜10s-1の範囲で、より好ましくは0.01〜3s-1の範囲で、更に好ましくは0.01〜1s-1、特に好ましくは0.03〜1s-1の範囲で測定された化粧料のtanδ値が小さいほど、該化粧料はぬるつきの程度が低く、使用感が良好であると評価することができる。また、tanδ値が大きいほど、該化粧料はぬるつきの程度が高く使用感が良好でないと評価することができる。
【0025】
以上のとおり、本発明の評価方法によれば、ぬるつきの程度が低く、使用感が良好な化粧料を設計する場合に、tanδ値を目安に、化粧料を構成する成分の処方を調整して、適切な化粧料の設計を行うことができるので、設計の簡素化や短縮化を図ることができる。具体的な手法としては、tanδ値を小さくするために、化粧料を構成する成分の処方を調整するか又は化粧料の調製条件を調整すればよい。化粧料を構成する成分の処方を調整する場合には、例えば液体油の量と水溶性高分子のバランス、液体油と固体脂のバランス、活性剤とポリオールのバランスなどを調整すればよい。
【0026】
官能評価の結果とtanδ値との相関を一層高め、ぬるつきの程度を一層客観的に評価できるようにする観点から本発明者らが更に検討を重ねたところ、粘弾性測定に用いるセルにおけるサンプルと接触する面(以下「サンプル接触面」という)の表面粗さを適切にコントロールすることが有利であることが判明した。具体的には、粘弾性測定に用いるセルのサンプル接触面は一般に表面粗さの値が小さい平滑な面であるが、本発明の評価方法においては、サンプルの上部と接するプレートである上部プレートの下面を意図的に粗くしたセルを用いることが有利であることが判明した。なお、本明細書において表面粗さとは、JIS B0601に規定される中心線表面粗さRaを言う。
【0027】
本発明において、表面粗さRaの測定は、例えば表面粗さ測定機(surfcom−590A、株式会社 東京精密製)を用いて行う。測定子はメーカー型式0102501の円錐角90度の円錐ダイヤで、先端の曲率半径は5μmであった。測定条件は、測定長さ4.0mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ波長0.8mmとした。
【0028】
本発明の評価方法に用いられるセルとして例えば図1に示す形態のセルを用いる場合には、(イ)下部プレート1及び上部プレート2のうち、上部プレート2のみのサンプル接触面の表面粗さの値を大きくして、下部プレート1のサンプル接触面の表面粗さの値を小さく(つまり、従来のサンプル接触面の表面粗さと同程度に)することができる。また(ロ)下部プレート1及び上部プレート2の両方のサンプル接触面の表面粗さの値を大きくすることもできる。(ロ)の場合には、下部プレート1のサンプル接触面の表面粗さの値と、上部プレート2のサンプル接触面の表面粗さの値とは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0029】
前記の(イ)及び(ロ)のいずれの場合であっても、大きな表面粗さの値を有するサンプル接触面における該表面粗さの値は、Raで表して1〜10μm、特に3〜7μmに設定することが好ましい。なお、下部プレート1及び上部プレート2のサンプル接触面の面積は、適切なトルク出力が得られる限り、本発明において臨界的ではなく、市販のレオメータのパーツをそのまま用いてもよい。
【0030】
特に(イ)の場合には、小さな表面粗さの値を有するサンプル接触面における該表面粗さの値は、大きな表面粗さの値を有するサンプル接触面における該表面粗さの値よりも小さいことを条件として、Raで表して0.01〜0.5μm、特に0.08〜0.2μmに設定することが好ましい。一方、セルとしてコーンプレート型のセルを用いる場合には、平板プレート及びコーンプレートのうちコーンのサンプル接触面を、大きな表面粗さの値を有するサンプル接触面、すなわちサンプルの上部と接する面として用いることが、レオメータの構造上必要になる。
【0031】
下部プレート1及び上部プレート2の板面の表面粗さを所望の値に設定するためには、使用しているレオメータのオプションパーツのリストから標準パラレルプレートやサンドブラスト処理パラレルプレートを購入してもよいし、例えば該板面をサンドブラスタ処理に付して板面を粗くしたり、逆に研磨材を用いた研磨によって板面を平滑にしたりすればよい。
【0032】
先に説明した図4〜図6に示す測定結果は、直径50mmのコーンプレート型のセルを用い、平板プレートのRaを0.14μmに設定し、かつコーンプレートのRaを5.5μmに設定して測定された結果である。
【0033】
本発明の評価の対象となる化粧料は、先に述べたとおりO/WエマルションやW/Oエマルションからなる乳液が代表的なものである。O/Wエマルションの一般的な処方としては、油性成分が1〜50質量%、ポリオール成分が0.1〜20質量%、活性剤成分が0.01〜10質量%、ポリマー成分が0〜10質量%であり、残部が水である処方が挙げられる。一方、W/Oエマルションの一般的な処方としては、水が1〜60質量%、ポリオール成分が0.1〜20質量%、活性剤成分が0.1〜10質量%、固体脂成分が0〜20質量%であり、残部が油性成分である処方が挙げられる。
【符号の説明】
【0034】
1 下部プレート
2 上部プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料の損失正接tanδ値に基づき、該化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する化粧料のぬるつきの評価方法。
【請求項2】
角周波数0.01〜10s-1での損失正接tanδ値に基づき、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する請求項1に記載の化粧料のぬるつきの評価方法。
【請求項3】
10〜35℃における角周波数0.01〜10s-1での損失正接tanδ値に基づき、化粧料の肌への塗布時のぬるつきの程度を評価する請求項1又は2に記載の評価方法。
【請求項4】
tanδ値が小さいほどぬるつきの程度が低いと評価し、tanδ値が大きいほどぬるつきの程度が大きいと評価する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項5】
パラレルプレート型又はコーンプレート型のセルを有するレオメータを用いてtanδ値を測定する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項6】
レオメータにおける測定セルとして、上部プレートのサンプル接触面の表面粗さが1〜10μmのものを用いる請求項1ないし5のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項7】
化粧料がO/Wエマルション又はW/Oエマルションからなる請求項1ないし6のいずれか一項に記載の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−47667(P2012−47667A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191885(P2010−191885)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】