説明

化粧料及びパーソナルケア製品における超保湿剤として使用するためのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメート及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル

【課題】化粧料若しくはパーソナルケア製品における超保湿剤の提供。
【解決手段】超保湿剤としてγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、及び/又は一以上のその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)、及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料若しくはパーソナルケア製品に高い保湿性、保水性、良好な濡れ性(wet-ability)と低いTEWL(経表皮水分喪失量)、ソフトで柔軟性のある感触、滑らかさやサッパリ感、効果持続性、皮膚弾性向上、良好な生体適合性、及び皮膚の健康状態改善等の所望の機能を与えるための、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、Mg++体及び/又はγ−ポリグルタメートCa++体、及び/又は(γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及び/又はγ−ポリグルタメートCa++体から調製した)架橋されたγ−ポリグルタメートヒドロゲルの化粧料若しくはパーソナルケア製品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚や毛髪を健康に且つ美しく維持するためには適度な保湿と栄養が必要である。低湿度による過剰な乾燥は、皮膚や毛髪の状態に好ましくない場合が多い。特に冬場には、低温と空気の乾燥とにより特に皮膚と毛髪が乾燥し、皮膚の健康状態が悪化して表皮の硬化や損傷に至ったり、毛髪に静電気が起きたりする。皮膚や毛髪、爪の乾燥を防ぐため、スキンエッセンス、ハンド/ボディローション、浴用石鹸、スキン/ボディクリーム、ヘアジェル、ヘアシャンプー、ムース等の化粧料製品や他の多くのパーソナルケア製品には、必要な保湿状態を皮膚や毛髪に与えると共に皮膚や毛髪を保護し且つ美しくするために何らかの保湿剤が含まれている場合が多い。
【0003】
市販の各種化粧料及び洗面用化粧品に使用されている有機系保湿剤には数多くの種類がある。しかしながら吸水性や保湿剤としての安全性要件、長期安定性の面から、実際に使用できる保湿剤の種類はかなり限定されている。優れた保湿剤というのは、高い保水性を有すると同時に、皮膚や毛髪からの蒸散による水分の喪失を減少させることができるものでなければならない。化粧品業界で使用されている従来の保湿剤としては、グリセリン、ジグリセロール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、プロピレングリコール、及びアミノ酸が挙げられる。中でも乳酸ナトリウムの保水性はより優れているが、最終製品の製造において乳化させにくいため、限られた用途でしか用いられておらず使用頻度も低い。ポリオール類の保湿効果はより優れているが、化粧料製品として使用しても殆ど効果はない。ヒアルロン酸、コラーゲン及びスクアレンは、保水性は良好であるが、皮膚表面からの水分の蒸散を低減する効果は低い上に、皮膚表面ではべたついてしまう。上に述べた保湿剤の他に、エラスチン、グルコサミン、ポリアスパラギン酸(特許文献1参照)、プラセンタ、コンドロイチン、アロエベラエキス、アミノ酸エステル(特許文献2参照)も、化粧料やパーソナルケア用組成物において保湿成分として使用されている。より優れ、改善された保湿剤の研究が世界中で続けられている。
【0004】
1,3−ブチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等のポリオール類は一定の保湿性を有することが認識され、いくつかの微生物の増殖を阻害し、混和性と粘性を改善し、トニックエッセンス、スキンクリーム、スキン/ボディローション、ジェル、ヘアシャンプー、コンディショナー、抗乾燥トリートメント、ヘアトニック、バス用/保湿用クリーム等の化粧料若しくはパーソナルケア製品に使用されている他の成分に一定の安定性を与える。ポリオール類にはこのような利点があるが、上に述べたポリオール類を含有するスキンケア若しくはヘアケア用化粧料製品は、皮膚に使用した場合に感触がそれ程良くなく、毛髪の場合は若干乾燥した感触であり、ポリオール類を含有しない化粧料製品の方が良いと消費者に感じさせてしまう。更にしばしば、このようなスキンローション等のリンス・クレンジング化粧品、フェイスクリーム、ヘアセット剤は、毛髪内や皮膚にポリオール類が残ってしまい使用者の感触が悪いことがあるため、使用を継続したいという要求が減退してしまう。
【0005】
ヒアルロン酸(HA)の吸水性及び保水性は比較的良い。HAは、非毒性の天然のバイオポリマーで人体に対して完全な生体適合性を有し、皮膚や毛髪の乾燥を防ぐ効果があるため、殆どの高品質化粧料製品に使用されている。ヒアルロン酸の使用の不利な点は、高価であることと、入手しにくいということである。HAは皮膚を過剰な乾燥状態から保護するという点で優れた保湿機能を有しているが、価格が非常に高いため、最終製品の化粧料組成物のコストは高くなってしまう。また、最近のBSEウイルスタンパク−プリオンの脅威やアジアにおける鳥インフルエンザの蔓延により、HAの安全性に関し重大な懸念が浮上してきた。スクアレンは、皮膚表面からの水分の蒸発を防ぐことにより皮膚表面を保湿するという利点があるが、油性であるため、使用者は皮膚がべたつくと感じてしまう。市販のコラーゲンは動物源から抽出されているため、BSEタンパクプリオンによる汚染、広く蔓延した鳥インフルエンザウイルスによる感染又は不純物が含まれる等の高い危険性に曝されている。
【0006】
本発明においては、皮膚及び毛髪に対し妥当なコストで優れた保湿効果を示すγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、及びγ−ポリグルタメートヒドロゲルを保湿剤として使用することにより、化粧料及びパーソナルケア製品に対し健康面での価値を付加する。
【特許文献1】JP61−033107
【特許文献2】JP10−251402
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、γ−ポリグルタメートMg++体)のバイオポリマーを使用することにより優れた保湿剤が得られることを見出した。これらはいずれも、天然であって、生分解可能であり、非毒性であり、完全に生体に適合している。γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩の典型的な化学構造を図1に示す。典型的な1H−NMR、13C−NMR、及びFT−IRをそれぞれ図2、図3、及び図4に示す。表1は、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR吸収ピークの化学シフト及び熱分析の概要データを示す。上述のバイオポリマーを含有する製品は、優れた吸水性を有すると共に良好な保水性が長期に持続し、ソフトで柔軟性があり滑らかなマトリックス構造の薄膜を形成して水分と水分に含まれる栄養分とを抑制して放出する機能を有し、皮膚弾性を改善し、老化過程においてシワの発生を抗ラジカル作用により抑え、角質層内の天然保湿因子(NMF)(JP2002−145723参照)を増加することにより皮膚の健康状態を改善すると共に皮膚を美化し、表皮からの経表皮水分喪失量(TEWL)を減少させる。
【0008】
【表1】

【0009】
とりわけγ−ポリグルタミン酸及びその塩は、優れた水分結合性と保湿性とを有しており、化粧料製品若しくはパーソナルケア製品に用いるため、これらの生化学的機能及び生物学的機能を調査しているところである。最近、γ−ポリグルタミン酸及びその塩は、繊維芽細胞の増殖を促進し、スキンケア用途において保湿性が長期に持続すると共に良好な美白効果を示すことがわかった。本発明の目的は、優れた保湿性を有し、柔軟性があって滑らかでソフトな感触を与え、皮膚の健康を改善する、化粧料製品及びパーソナルケア製品に使用するための経済的で非常に有効な保湿剤組成物系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一実施形態において、化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)若しくはその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、γ−ポリグルタメートMg++体)又はこれらの混合物の使用に関する。
【0011】
また本発明は、化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としてのγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物と架橋されたγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである使用に関する。
【0012】
更に本発明は、化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物及びγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物と架橋されたγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである使用に関する。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としてのγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用に関する。前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ガンマ線照射又は電子線照射により架橋したγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである。
【0014】
更に本発明は、化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物及びγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ガンマ線照射又は電子線照射により架橋したγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである使用に関する。
【0015】
本発明によると、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、及びγ−ポリグルタメートMg++体は、それぞれ独立して100,000〜500,000の低分子量或いは106〜3×106の高分子量を有する。架橋されたγ−ポリグルタメートヒドロゲルは15×106〜200×106の分子量を有する。本発明に用いるγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、及びγ−ポリグルタメートMg++体は、L−グルタミン酸及びグルコースを主要な栄養源として用いるか固体発酵大豆である納豆のエキスを用いて液中発酵プロセスにより製造できる。更に、架橋されたγ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ガンマ線又は電子線の照射により架橋した、或いはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物等の多官能化学架橋剤と架橋したγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、γ−ポリグルタメートMg++体、又はこれらの混合物から調製することができる。
【0016】
一般に、保湿剤の量は、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である。更に、化粧料若しくはパーソナルケア製品は、ハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品を含むが、これらに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)やその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)の大量生産は、主要な原料としてL−グルタミン酸及びグルコースを用いた枯草菌(Bacillus subtilis)、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)(JP01−174397参照)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(JP11−343339参照)による液中発酵プロセスによって行うことができる。この微生物培養の培地には炭素源、窒素源、無機ミネラル分、及びその他の栄養素が適量含まれている。通常、L−グルタミン酸は3〜12%、グルコースは5〜12%の濃度で使用され、炭素源の一部としてクエン酸を0.2〜2%の濃度で使用する。窒素源としてはペプトンと硫酸アンモニウム或いは尿素が用いられる。栄養源としては酵母抽出物が用いられる。ミネラル源としてはMn++、Mg++及びNaClが用いられる。適切な通気と攪拌を行いながら、培養温度を30〜40℃に維持し、尿素溶液或いは水酸化ナトリウム溶液によりpHを6〜7.5に維持する。培養時間は通常、48〜84時間である。γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)及びその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は細胞外に蓄積される。
【0018】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩は通常、超遠心分離又は加圧ろ過による細胞分離、次いで3〜4倍のエタノール添加によるγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩の析出工程などを含む一連の手順により培養液から抽出される。析出物を水に再度溶解し、新たにエタノールを使用してγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩を析出させる。純粋なγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩を回収するため、この溶解−析出ステップを数回繰り返す。
【0019】
通常、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩は、水、エタノール又はメタノール等の適切な溶媒に溶解され、pHは5.0〜7.5に調節される。次にこの溶液を、照射光を透過させうる適切なガラス製或いはプラスチック製の容器に移し、そして排気し、ヒドロゲルの要求品質に応じてガンマ線或いは電子線を全照射量0.5〜5.0.Mradで照射する(JP11−343339号、JP2001−354542及びJP06−322358参照)。一般に使用されるガンマ線照射源は、照射速度が0.1〜0.15Mrad/時間のコバルト60或いは同様の容量の電子線である。次に、形成されたヒドロゲルを凍結乾燥し、乾燥架橋されたγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩を生成する。この生成物は、超吸水能を有し、不溶性であり、水中で完全に膨張すると無色透明の生分解可能なヒドロゲルとなる。
【0020】
通常、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩は、水、エタノール又はメタノール等の適切な溶媒中に溶解され、pHは5.0〜7.5に調節される。絶えず攪拌しながら、この溶液に、適切に選択した多官能化学架橋剤、例えばジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、或いはこれらの混合物を添加する。添加量は、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩の重量の0.1〜20%であるが、これは架橋剤の種類やヒドロゲルの要求品質により異なる。ゲル化反応は、使用する装置や条件によって異なるが、通常は、50〜120℃の反応温度では1〜4時間で完了する。次に、形成したヒドロゲルを凍結乾燥し、乾燥架橋したγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩、即ちγ−ポリグルタメートヒドロゲルを生成する。この生成物は、超吸水能を有し、不溶性であり、水中で完全に膨張すると無色透明の生分解可能なヒドロゲルとなる。
【0021】
このようにガンマ線又は電子線の照射により生成されたγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)及びその塩の架橋ヒドロゲル、又は多官能化学架橋剤を用いて生成されたγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)及びその塩の架橋ヒドロゲルはいずれも、超吸水及び保水能を有し、柔軟で滑らかで柔らかくソフトな膜を皮膚や毛髪に形成し、ハンドケア、フェイスケア、ボディケア、フットケア、ヘッドケア、ヘアケア、ネイルケア、マウスケア等のスキンケア用及びヘアケア用の化粧料及びパーソナルケア製品に使用するのに特に好適である。化粧料及びパーソナルケア製品に用いるためにγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩から調製した架橋ヒドロゲルの量は、製品の要求品質に依存して、最終製品の0.005〜5重量%である。
【0022】
低乃至中程度の分子量のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)及びその塩(分子量5,000〜900,000)は、特定の選択した反応条件(pH、温度、反応時間、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)濃度)において制御された酸加水分解を行うことによって生成できる。pHは、HCl、H2SO4或いはその他の有機酸等の適切な酸類でpH1.5〜5.5に調節できる。加水分解温度は、50〜110℃の範囲で制御できる。反応時間は0.5〜5時間、分子量1×106以上のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)の濃度は任意とすることができる(必要に応じ)(JP06−322358、「N−カルボキシブチルキトサンの特性(Characteristic Properties of N-carboxybutyl Chitosan)」Carbohydr.Polym.11:307〜320、1989、ムザレリ(Muzzarelli)、R.A.A.ら、「食品、薬品、化粧料における化学物質の安全性評価(Appraisel of the Safety of Chemicals in Food, Drugs and Cosmetics)」Pharmacolo.93:377〜392、1948、ドレイズ(Draize)、Fら参照)。高純度の低乃至中程度の分子量のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び意図するその塩を得るためには、反応終了後、透析又は膜濾過による更なる精製と乾燥とを行う必要がある。酸加水分解速度は、pHが低い程、温度が高い程、またγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)の濃度が高い程、速い。γ−ポリグルタメート塩の生成は、選択したγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)を、目的のNa+、K+、NH4+、Ca++或いはMg++金属イオンの塩基性水酸化物溶液或いはこれらイオンの酸化物と反応させることにより行うことができる。pHは、必要に応じ5.0〜7.2の所望の状態に調節される。
【実施例】
【0023】
更に本発明を詳細に説明するために以下実験例を記載し、本発明を用いて如何にして最良の保湿効果を達成し、化粧料及びパーソナルケア製品に健康面での価値を付加するかを示す。しかしながら、本発明の範囲はこれら実験例に限定されるものではない。
【0024】
実験例1
この実験例においては、次の組成を有する標準的な皮膚用栄養保湿クリームを調製し、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)による保湿効果を検証した。比較対照としてプロピレングリコールを用いた。また、ヒアルロン酸(HA)を比較参照として使用した。200,000〜400,000ダルトンの低分子量γ−ポリグルタメートMg++体(LMとする)、1.15×106〜1.35×106ダルトンの高分子量γ−ポリグルタメートMg++体(HMとする)、及び(ポリグリセロールポリグリシジルエーテルと架橋した)分子量15×106〜100×106以上のγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)を超保湿剤として用いた。例示したクリーム組成物の成分の種類及び組成比を表2に示す。
【0025】
【表2】

【0026】
実験例2
皮膚への保湿効果について実験例1の化粧料製品を評価した。5種類の製品の各々の0.2gを被験者の腕内側の皮膚表面に約25cm2の面積で均一に塗布した。この試験には10名のパネラーの群が参加した。皮膚表面における保湿性を23℃、相対湿度60%の環境でSkin Analysis SHP88(ドイツ国、Courage+Khazaka Electronic Gmbh製)のプローブを用いて測定した。保湿効果は、表3に示すように、キャパシタンス増加率(%)として表した。この結果は、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)を含有する製品は、保湿性持続効果がずっと長いことを示す。
【0027】
【表3】

【0028】
実験例3
実験例1の化粧料製品を、皮膚弾性の改善効果についても評価した。5種類の製品の各々の0.25gを被験者の腕外側の皮膚表面に25cm2の面積で均一に塗布した。塗布は、1日1回、1ヶ月継続して行った。この試験には10名のパネラーが参加した。見掛けの(apparent)皮膚弾性の測定は、23℃、相対湿度(RH)60%で、キュートメーター(Cutometer)SEM575(ドイツ国、Courage+Khaazaka Electronic Gmbh)のプローブを用いて、週に一回行い、見掛けの弾性指数R2値で示した。見掛けの弾性指数R2値が高い程、皮膚弾性は良好である。結果を表4に示す。この結果から、皮膚弾性の改善に関しては、γ−ポリグルタメートMg++体(HM)、γ−ポリグルタメートMg++体(LM)、及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)4%1CLを含有する化粧料組成物の方が、ヒアルロン酸(HA)或いはプロピレングリコールを含有する化粧料組成物よりも良いことがわかる。γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)は、皮膚弾性の改善に関して最も良い結果を示している。
【0029】
【表4】

【0030】
実験例4
この実験例では、γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)による保湿効果を検証するため、次の組成を有する標準顔用保湿マスク組成物を調製した。200,000〜400,000ダルトンの低分子量γ−ポリグルタメートCa+体(LMと云う)、1.15×106〜1.35×106ダルトンの高分子量γ−ポリグルタメートCa++体(HMと云う)、及び分子量15×106〜100×106以上のγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)(ガンマ線照射により架橋)を超保湿剤として使用した。例として用いる顔用保湿マスク組成物に含まれる成分の種類及び組成比を表5に示す。
【0031】
【表5】

【0032】
実験例5
実験例4から試料0.2gを取り、被験者の腕外側の皮膚表面に約25cm2の面積で均一に塗布した。23℃、相対湿度(RH)65%での膜形成時間を綿密に観察し記録した(「N−カルボキシブチルキトサンの特性(Characteristic Properties of N-carboxybutyl Chitosan)」.Carbohydr.Polym.11:307〜320、1989、ムザレリ(Muzzarelli)、R.A.A.ら参照)。この試験には10名のパネラーが参加した。別の実験として、15分後に形成されたマスクの膜を剥がした後、皮膚のpH値を23℃、相対湿度65%の環境下でドイツ国Courage+ Khazaka Electronic GmbhのSkin Analysis SHP88のプローブを用いて測定した。直ちに皮膚の保湿性を23℃、相対湿度65%の環境下でSkin Analysis SHP88のプローブを用いて測定し、キャパシタンス増加率(%)の単位で表した。
【0033】
実験例4から保湿マスク試料25cm2を取り、被験者の上腕外側の皮膚表面に均一に貼り付けた。この試験には10名のパネラーが参加した。24時間後、マスク試料を取り除き、皮膚を注意深く観察し、いくらかの程度の刺激が生じていないかを調べた。結果は、ドレイズ法(「食品、薬品、化粧料における化学物質の安全性評価(Appraisel of the Safety of Chemicals in Food, Drugs and Cosmetics)」Pharmacolo.93:377〜392、1948、ドレイズ(Draize),Fら参照)に従って記録した。結果を表6に示す。
【0034】
【表6】

【0035】
表6からわかるように、キャパシタンス増加率で表されている皮膚の保湿性は、γ−ポリグルタメートCa++体(HM)を含有する顔用保湿マスクは89.6%、γ−ポリグルタメートCa++体(LM)は83.0%、γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)(2%2M)は94.7%、γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)(6%1M)は83.9%であり、対照(73.2%)よりもずっと良い。皮膚のpH値は、対象がpH6.0であるのに対し、pH6.5未満の弱酸性の範囲に維持されている。ドレイズスコアが「ゼロ」であることは、γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル類(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)は皮膚に対して何ら発疹や刺激症状を惹き起こさないことを示唆する。
【0036】
実験例6
この実験例では、次の組成を有する標準的な皮膚栄養保湿クリームを調製し、γ−ポリグルタメートK+体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートK+体から調製)による保湿効果を検証した。比較対照としてグリセロールを使用した。1.15×106〜1.45×106ダルトンの高分子量γ−ポリグルタメートK+体(HMと云う)及び分子量15×106〜100×106以上のγ−ポリグルタメートヒドロゲル類(γ−ポリグルタメートK+体から調製)(ガンマ線照射により架橋)を超保湿剤として用いた。例として用いるクリーム組成物に含まれる成分の種類及び組成比を表7に示す。
【0037】
【表7】

【0038】
実験例7
皮膚保湿効果について実験例6の化粧料製品を評価した。この実験には5名のパネラーの群が参加した。まず、被験者を22℃、相対湿度(RH)60%の部屋に15分間入れておいた。ドイツ国、Courage+Khazaka Electronic GmbhのコルネオメータHM99のプローブを用いて、被験者の腕外側の皮膚表面の皮膚水分を測定し、ベースラインを(CU1)とした。実験例6の組成物の試料0.2gを皮膚表面の25cm2に2分間均一に塗布し、その後、余分な組成物試料を取り除いた。2時間後、皮膚の水分を再び測定し、(CU2)として記録した。測定前の15分間は、被験者を22℃、RH60%の部屋に入れておいた。皮膚水分の変化をΔCU=CU2−CU1として計算する。結果として得た皮膚水分の増加を表8に示す。
【0039】
【表8】

【0040】
表8からわかるように、γ−ポリグルタメートK+体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートK+体から調製)は、従来の各保湿剤と比較して、使用量が1/10以下である場合でも皮膚水分量を増加させる。皮膚水分の相対増加量ΔCUは、5%グリセロールが100%、2%天然ベタインが164%であるのに対し、0.2%γ−ポリグルタメートK+体は147%、0.2%γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートK+体から調製)は180%である。更に、γ−ポリグルタメートK+体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートK+体から調製)は外側皮膚表面に新規なマトリックス膜を形成し、殆どの使用者にとって好ましい、心地よくソフトで柔軟性がある滑らかな質感を与える。
【0041】
実験例8
この実験では、次の組成を有する標準的な皮膚栄養保湿クリームを調製し、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートMg++体から調製)による保湿効果を検証した。比較対照としてグリセロールを用いた。1.15×106〜1.45×106ダルトンの高分子量γ−ポリグルタメートMg++体(HM)、及び分子量15×106〜100×106以上のγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートMg++体から調製)(グリセロール系架橋剤を用いて架橋)を超保湿剤として用いた。例として用いるクリーム組成物に含まれる成分の種類及び組成比を表9に示す。
【0042】
【表9】

【0043】
実験例9
皮膚水分蒸発量の低減効果及び皮膚における水分保持の効果について実験例8の化粧料製品を評価した。この実験にはブタの皮膚を使用した。皮膚水分の測定は、23℃、相対湿度(RH)60%の環境下で、ドイツ国Courage+Khazaka Electronic GmbhのコルネオメータHM99のプローブを用いて行った。実験例7と同様の手順を行った。経表皮水分喪失量(TEWL)及び皮膚保湿性の結果を表10a及び10bに示す。
【0044】
【表10】

【0045】
同一気候条件(23℃、RH60%)下での皮膚保湿性は、組成物塗布後約4時間で横ばいになった。0.5%γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートMg++体から調製)を含有する化粧料組成物の皮膚保湿性が最もよく、1時間後に84%、2時間後に34%であった。これに対し0.5γ−ポリグルタメートMg++体を含有する化粧料組成物は1時間後に36%、2時間後に22%であり、6.5%グリセロールを含有する化粧料組成物に至っては1時間後に32%、2時間後に20%という低さであった。
【0046】
【表11】

【0047】
TEWLが低い程、皮膚からの水分の蒸発による水分喪失量が少ないことは明らかである。また、TEWLは、保湿組成物の塗布後4時間で横ばいになった。0.5%γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートMg++体から調製)を含有している組成物のTEWL値が最も低く、1時間後13.0、2時間後12.5であった。これに対し0.5%γ−ポリグルタメートMg++体を含有する組成物は、1時間後19.5、2時間後17.5であり、6.5%グリセロールを含有する組成物は1時間後19.5、2時間後10.0であった。γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートMg++体から調製)は、皮膚の保湿性を向上させTEWLを減少させることがよくわかる。これは、化粧料及びパーソナルケア製品に用いる場合により優れた保湿剤であってより優れた水分バリアであることを意味する。
【0048】
実験例10
このイン ビトロの細胞培養実験では、繊維芽細胞(細胞株L−929)を単層培養した。培養は、24ウェルの細胞培養プレートの各ウェルにおいて10%ウシ胎児血清添加DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)中で、ほぼコンフルーエントになるまで(細胞数約2×105個)行った。対照として、単層培養を1mLのDMEM培地で行ったものを用いた。200,000〜350,000ダルトンの低分子量γ−ポリグルタメートNa+体(LMと云う)10mgを1mLのDMEM中に含有する試料を被検物質として用いた。三連の培養物を調製した。培養物は5%CO2雰囲気下、37℃で24時間インキュベートした。次に単層を顕微鏡で検査し、トリプシン処理を行って細胞密度を計数した。それぞれの単層に含まれていた細胞数を表11に示す。
【0049】
【表12】

【0050】
表11に示す結果は、200,000〜350,000ダルトンの低分子量γ−ポリグルタメートNa+体(LMと云う)は繊維芽細胞の増殖を促進したことを示し、これは、γ−ポリグルタメートNa+体、LMは繊維芽細胞の増殖を助けることを示している。
【0051】
実験例11
皮膚における黒色色素メラニンの形成は複雑ではあるが、一般には、メラノサイトのメラノソームからのチロシナーゼの触媒作用によりチロシンが酸化されてDOPA(ジヒドロキシフェニルアラニン)になると理解されている。DOPAは更に酸化され、最終的には有色のメラニン−タンパク質複合体に転換される。この実験では、200,000〜350,000ダルトンの低分子量γ−ポリグルタメートNa+体(LMと云う)及び1.15×106〜1.35×106ダルトンの高分子量γ−ポリグルタメートNa+体(HMと云う)を用いてチロシナーゼ活性阻害効果を測定した。
a.波長475nmでの全吸光度の測定:
25mLの試験管に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)(0.9mL)、γ−ポリグルタメート(Na+体)試料(1mL)及び0.25mg/mLのチロシン溶液(1mL)を添加し、十分に混合した後、37℃で10分間インキュベートする。8.55unit/mLのチロシナーゼ溶液(0.1mL)を添加し十分に混合した後、混合物を更に25分間、37℃で再度インキュベートする。反応液の試料を取って、吸光度(475nm)を測定しAtとして記録する。
b.チロシナーゼ溶液のブランク吸光度の測定:
チロシナーゼ溶液の代わりに0.1mLの緩衝液を用いて上記(a)と同じ操作を繰返し、475nmでの吸光度をA1として記録する。
c.試料溶液(1mL)の代わりに緩衝液を用いて上記(a)と同じ操作を繰返し、475nmでの吸光度をAbとして記録する。
d.試料溶液の全ブランク吸光度の測定:
試料溶液(1mL)の代わりに緩衝液を用い、チロシナーゼ溶液(0.1mL)の代わりに緩衝液を用いて上記(a)の操作を繰返し、475nmでの吸光度をA0として記録する。
e.チロシナーゼ活性阻害率の計算:
チロシナーゼ活性阻害率(%)=[(Ab-Ao)-(At-A1)]/(Ab-Ao)×100%
γ−ポリグルタメート(Na+体)によるチロシナーゼ活性阻害率(%)を表12に示す。
【0052】
【表13】

【0053】
表12からわかるように、γ−ポリグルタメートNa+体HMとγ−ポリグルタメートNa+体LMの両者とも、チロシナーゼ活性を阻害するのに比較的有効である美白剤である。阻害率は、1.0%コウジ酸が100.0%、1.0%ビタミンCが99.4%であるのに対し、0.5%γ−ポリグルタメートNa+体HMは52.6%、1.0%γ−ポリグルタメートNa+体LMは34.3%である。分子量の大きいγ−ポリグルタメートNa+体HMの方が、分子量の低いγ−ポリグルタメートNa+体LMよりも美白効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(A)γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、(B)γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNa+体、及びγ−ポリグルタメートNH4+体、(C)γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートMg++体の化学構造を示す。M(I)はK+、Na+或いはNH4+であり、M(II)はCa++或いはMg++である。
【図2】D2O中の中性pH、30℃における(A)γ−ポリグルタメートNa+体、(B)γ−ポリグルタメートK+体、及び(C)γ−ポリグルタメートNH4+体の1H−NMRスペクトル(400MHz)である。化学シフトは内部標準に対するppm単位で測定した。Xは不純物のピークを示す。
【図3】D2O中の中性pH、30℃における(A)γ−ポリグルタメートK+体、(B)γ−ポリグルタメートNa+体、(C)γ−ポリグルタメートCa++体、及び(D)γ−ポリグルタメートMg++体の13C−NMRスペクトルである。化学シフトは内部参照に対するppm単位で測定した。
【図4】KBrペレット中の(C)γ−ポリグルタメートCa++体及び(D)γ−ポリグルタメートMg++体の赤外(FT−IR)吸収スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物の使用。
【請求項2】
前記製品がハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記保湿剤の量が、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及びγ−ポリグルタメートCa++体が、それぞれ独立して100,000〜500,000の範囲の低分子量か又は106〜3×106の範囲の高分子量を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としてのγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物と架橋されたγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製される使用。
【請求項6】
前記製品がハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記保湿剤の量が、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及びγ−ポリグルタメートCa++体が、それぞれ独立して分子量が100,000〜500,000の範囲の低分子量か又は106〜3×106の範囲の高分子量を有し、前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルが15×106〜200×106の範囲の分子量を有する、請求項5に記載の使用。
【請求項9】
化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物及びγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はこれらの混合物と架橋されたγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製される使用。
【請求項10】
前記製品がハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記保湿剤の量が、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及びγ−ポリグルタメートCa++体が、それぞれ独立して100,000〜500,000の範囲の低分子量か又は106〜3×106の範囲の高分子量を有し、前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルは15×106〜200×106の範囲の分子量を有する、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としてのγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルが、ガンマ線照射又は電子線照射により架橋したγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである使用。
【請求項14】
前記製品がハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記保湿剤の量が、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及びγ−ポリグルタメートCa++体が、それぞれ独立して100,000〜500,000の範囲の低分子量か又は106〜3×106の範囲の高分子量を有し、前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルが15×106〜200×106の範囲の分子量を有する、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
化粧料若しくはパーソナルケア製品における保湿剤としての、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物及びγ−ポリグルタメートヒドロゲルの使用であって、該γ−ポリグルタメートヒドロゲルが、ガンマ線照射又は電子線照射により架橋したγ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物から調製されたものである使用。
【請求項18】
前記製品がハンドケア製品、フェイスケア製品、ボディケア製品、フットケア製品、ヘッドケア製品、及びヘアケア製品、ネイルケア製品、又はマウスケア製品である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記保湿剤の量が、化粧料若しくはパーソナルケア製品の0.005重量%〜5重量%である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、及びγ−ポリグルタメートCa++体が、それぞれ独立して100,000〜500,000の範囲の低分子量か、又は106〜3×106の範囲の高分子量を有し、前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルが15×106〜200×106の範囲の分子量を有する、請求項17に記載の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−193451(P2006−193451A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−5473(P2005−5473)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(503467920)トン ハイ バイオテクノロジー コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】TUNG HAI BIOTECHNOLOGY CORPORATION
【Fターム(参考)】