説明

化粧料

【課題】肌上へのつき、のびが良く、色むらカバー力と肌の凹凸カバー力が高く、均一で自然な仕上がりで、さらに経時での色変化の少ない化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径1〜5μmであるポリマー粉体、
(B)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径8〜15μmであるポリマー粉体、
(C)顔料を含まず、平均粒径1〜15μmであるポリマー粉体
を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の色むらと肌の凹凸を目立たなくさせる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しわ、小じわ、毛穴等による肌の凹凸を見えにくくする化粧料として、体質顔料の光学特性を利用する試みがなされている。例えば、特許文献1では、拡散反射型粉体として、顔料の表面を無機珪素化合物で被覆した粉体を配合した化粧料が提案されている。また、特許文献2では、粒径の異なる球状粉体を組み合わせることにより、しわ、毛穴等の肌の凹凸を見えにくくする試みがなされている。一方、特許文献3及び特許文献4では、白色顔料をポリマー粒子内に分散させた複合粉体が提案されている。
【0003】
しかしながら、いずれの化粧料も肌の凹凸を目立たなくする効果は、十分ではなかった。また、色むらカバー力と凹凸カバー力を両立させるため、粉体を高濃度で配合すると、使用感が重く肌上で均一に付着せず、仕上がりが厚ぼったく粉っぽい、凹凸を目立たなくする効果が長時間持続しないなどの問題があり、いずれも満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開昭60−228406号公報
【特許文献2】特開平10−338616号公報
【特許文献3】特開2003−192538号公報
【特許文献4】特開2004−323473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、肌上へのつき、のびが良く、色むらカバー力と肌の凹凸カバー力が高く、均一で自然な仕上がりで、さらに経時での色変化の少ない化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、3種の異なるポリマー粉体を組合わせて用いることにより、肌上へのつき、のびが良く、色むらカバー力と肌の凹凸や毛穴カバー力が高く、均一で自然な仕上がりで、さらに経時での色変化の少ない化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径1〜5μmであるポリマー粉体、
(B)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径8〜15μmであるポリマー粉体、
(C)顔料を含まず、平均粒径1〜15μmであるポリマー粉体
を含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料は、肌の色むらと肌の凹凸を目立たなくさせ、透明で自然な仕上がりが得られ、塗布時のムラづきが少なく、経時での色変化が少なく、使用感に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)及び(B)のポリマー粉体は、ポリマーを母材として、その中に(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料を内包するものである。好ましくは、ポリマー粒子中に、(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料が分散して存在するものや、ポリマー粒子表面に、(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料が存在するもの等が挙げられ、特に、ポリマー粒子中に、(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料が均一に分散しているものが好ましい。
【0009】
(a)白色無機顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型等)等の金属酸化物;酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物、酸化アルミニウム/酸化マグネシウム複合酸化物、酸化カルシウム/酸化ジルコニウム複合酸化物等の複合金属酸化物;硫酸バリウム等の硫酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩などが挙げられ、これらの白色無機顔料は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、化粧料中における安定性等の観点から、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物が好ましく、特に、二酸化チタンが好ましい。
【0010】
(b)赤色無機顔料としては、例えば、ベンガラ、酸化鉄/酸化チタン焼結物、カドミウムレッド、モリブデンレッド等が挙げられ、ベンガラが好ましい。
(c)黄色無機顔料としては、例えば、黄色酸化鉄、酸化セリウム、ビスマスバナジウムイエロー、黄鉛、カドミウムイエロー等が挙げられ、黄色酸化鉄が好ましい。
【0011】
(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料の平均粒径は、それぞれ0.01〜0.5μmであるのが、ポリマー粉体中に均一に分散させる点から好ましい。
【0012】
(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料、(c)黄色無機顔料のポリマー粉体中の質量割合は、光の短波長側をカットして、毛穴が目立たないようにさせる観点から、70〜99:0.1〜10:0.1〜20、特に70〜97:1〜10:2〜20、更に80〜97:1〜5:2〜15が好ましく、90〜97:1〜3:2〜7であるのがより好ましい。
【0013】
無機顔料には、例えば、撥水性を付与するシリコーン処理、撥水・撥油性を付与するフッ素処理等の表面処理が施されていることが好ましい。シリコーン処理が施された無機顔料は、一般的な有機溶媒中への分散性に優れ、フッ素処理が施された無機顔料は、フッ素系溶媒中への分散性に優れている。
【0014】
成分(A)及び(B)のポリマー粉体中における無機顔料の含有量は、合計で5〜40質量%、特に10〜20質量%であるのが、粉体の光透過性と光散乱性のバランス面で好ましい。
なお、無機顔料としては、前記(a)、(b)、(c)以外に、黒色無機顔料(黒酸化鉄等)や、セラミック顔料(陶磁器顔料)などを含有することができる。
【0015】
一方、母材となるポリマーとしては、疎水的な性質を示し、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂等をはじめ、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマー、イソステアリルアクリレート−ジビニルベンゼンコポリマー、架橋ポリウレタン等の架橋ポリマーが挙げられる。これらのポリマーの中では、重合体が透明又は半透明であり、その製造が容易であって、粒子強度及び耐溶剤性に優れるものが好ましく、架橋ポリマーが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマーが特に好ましい。
【0016】
ポリマーに無機顔料を内包させる方法は、用いられるポリマーの種類により適宜選択することができる。例えば、ポリマーの種類がナイロン樹脂の場合、パラフィン等と環状ラクタムとを混合して、加熱、溶解させ、得られた混合物に、所望量の無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)の粉末を添加する。これを、かき混ぜながら、重合促進剤、例えば、三塩化リン等を添加してアルカリ重合を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を、有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、ベンゼン等又は水で洗浄し、次いで、乾燥する方法等が挙げられる。
【0017】
また、例えば、ポリマーの種類がシリコーン樹脂の場合、アンモニア、アミン等の水溶液と無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)の粉末とを混合し、得られた混合物に加水分解性シラン、アルコキシシラン、アセトキシシラン等を混合してアルコキシシラン等を加水分解する。次いで、アルコキシシラン等の加水分解物と、アルコキシシラン等の加水分解物又は加水分解されていないアルコキシシラン等との縮合反応を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0018】
さらに、例えば、ポリマーの種類が、アクリル酸系樹脂の場合、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステル、重合開始剤としてのラウロイルパーオキサイドを混合して溶解し、得られた混合物に、所望量の無機顔料(成分(a)、(b)、(c)を含む)を添加して分散させる。得られた分散液をポリビニルアルコール水溶液に添加して分散させ、撹拌しながら加熱して重合(懸濁重合)を行ない、粒子を得る。該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0019】
また、ポリマー粒子内における無機顔料の分散状態は、高分散状態であることが好ましく、分散状態をコントロールする方法としては、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、アトライターミル、ボールミル等の機械を用いる分散方法;低分子界面活性剤〔例えば、アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等)、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等〕、高分子分散剤〔例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルポリシロキサン等〕などを用いる分散方法等が挙げられる。
【0020】
成分(C)のポリマー粉体は、顔料を含まない以外は、成分(A)及び(B)と同様にして製造される。
【0021】
成分(A)のポリマー粉体は、平均粒径1〜5μm、好ましくは3〜5μmであり、成分(B)のポリマー粉体は、平均粒径8〜15μm、好ましくは8〜10μmであり、成分(C)のポリマー粉体は、平均粒径1〜15μm、好ましくは3〜10μmである。
なお、本発明において、平均粒径とは、エタノールを溶媒とし、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定された体積基準平均粒径をいう。なお、ポリマー粉体中の顔料の粒子径は、電子顕微鏡観察により測定しても良い。
【0022】
ポリマー粉体の形状は、球状、紡錘状、棒状、板状、不定形状などいずれでも良く、光散乱効果と使用感に優れる点から、球状、紡錘状が好ましい。「球状」とは、真球である必要はなく、例えば、真球状のもの;略球状のもの;正反射及び/又は乱反射を抑制する性質を発現する回転楕円体;球状のものの表面に凹凸があるもの等をいう。
【0023】
また、本発明のポリマー粉体は、肌の色むらと肌の凹凸や毛穴を目立たなくさせる効果の点から、全透過率は40%以上80%未満、特に、50%以上80%未満であるのが好ましく、ヘイズ値は45以上100未満、特に、60以上100未満であるのが好ましい。全透過率とヘイズ値の測定は、粉体0.4g、アミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社製)1.6gを良く練り込んだものをガラス板へ塗布して、サンプルとし、Haze−meter HM−150(村上色彩技術研究所社製)にて行なう。測定には、波長550nmをピークとした光、8°視野光を用いる。
【0024】
ポリマー粉体は、そのままの状態で用いることができるが、更にその表面に、通常用いられている疎水化処理剤で疎水化処理を施して用いることもできる。
疎水化処理剤としては、通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン等のシリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、炭素数8〜22のN−モノ脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステル等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。疎水化処理剤のうち、特に、シリコーン油及びパーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルが好ましい。
【0025】
成分(A)のポリマー粉体は、全組成中に0.01〜50質量%、特に0.1〜25質量%含有するのが好ましく、成分(B)のポリマー粉体は、全組成中に0.01〜50質量%、特に0.1〜25質量%含有するのが好ましく、成分(C)のポリマー粉体は、全組成中に0.01〜50質量%、特に0.1〜25質量%含有するのが好ましい。これらの範囲内であれば、使用感が良好であり好ましい。
また、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合は、(A):(B):(C)=1〜10:1〜10:1〜10であるのが、色むら隠し、肌の凹凸や毛穴隠し、塗布のし易さの点で好ましい。
【0026】
本発明の化粧料は、更に板状粉体を含有することができ、球状粉体の乾いたさらさら感に、塗布時のしっとり感、滑らか感を付与することができる。
【0027】
板状粉体は、板状面の正射投影面の長径と厚みのアスペクト比(以下、単に「アスペクト比」と言う)が3〜100程度であり、板状粉体は、皮丘部から皮溝部にかけて均一に付着する。好適な板状粒子としては、平均粒径が1〜20μm、特に2〜9μmであるのが好ましい。また、板状粉体の平均粒子径がこの範囲内であれば、毛穴、小じわ等と皮丘部の境界部をぼかして見えにくくする「ぼかし効果」を発現し、球状粉体との組み合わせでその効果感も向上する。
【0028】
このような板状粉体の具体例として、例えば硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ジークライト、バリウムフェライト、窒化ホウ素、ゼオライト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、含水珪酸、無水珪酸、酸化マグネシウム、ベントナイト、セラミクスパウダー、水酸化アルミニウム等の無機粉体などが挙げられ、硫酸バリウム、タルク、マイカが好ましい。
【0029】
このような板状粉体は、全組成中に0.1〜30質量%、特に0.5〜10質量%含有されるのが、毛穴、小じわ等の目立ち等の形態上の難点を見えにくくする効果に優れるとともに、使用感も良好であり好ましい。
【0030】
本発明の化粧料は、必要により、その他の成分として、通常の化粧料に用いられる成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形・半固形の油性成分;オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセリド、トリグリセリド等の液状油;メチルポリシロキサン等のシリコーン油;パーフルオロポリエーテル、フッ素変性シリコーン等のフッ素系油剤;水溶性及び/又は油溶性ポリマー;水;マイカ、タルク、セリサイト、硫酸バリウム等の体質顔料;赤色226号、黄色401号等の有機着色顔料;防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、殺菌剤、制汗剤、保湿剤などが挙げられる。
これらの成分の含有量は、その種類によって異なるが、通常、本発明の目的及び効果が損なわれない範囲内で用いることができる。
【0031】
本発明の化粧料は、前記各成分を用い、常法に従って製造することができ、粉末固形型、高含油粉末固形型、油分散型、水分散型、油中水乳化液、水中油乳化液等の任意の剤型とすることができる。
【0032】
本発明の化粧料は、特に液状ファンデーション、乳化液状ファンデーション、油性ファンデーション、パウダーファンデーション、口紅、アイシャドー、頬紅等のメークアップ化粧料;サンスクリーン乳液等の薬用化粧料などにすることができ、特に、液状ファンデーション及び乳化液状ファンデーションとして好適である。
【実施例】
【0033】
製造例1(ポリマー粉体の製造)
1300mL容のビーカーに、ラウリルメタクリレート 56g、エチレングリコールジメタクリレート 19g及びラウロイルパーオキシド 1.5gを仕込み、溶液を得た。また、平均粒径0.25μmの酸化チタン(CR−50、石原産業社製)、平均粒径0.38μmのベンガラ(ベンガラ七宝、森下ベンガラ社製)、平均粒径0.07×0.7μm(針状のため)の黄酸化鉄(イエローLLXLO、チタン工業社製)を、表1に示す割合で混合し、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて撥水処理(無機粉体に対して2%)した。次に、得られた溶液と、撥水処理した無機顔料とを、表1に示す内包率になるよう混合し、分散させて、分散液を得た。この分散液に1質量%ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−17、日本合成化学工業社製)水溶液750gを添加し、超音波分散機を用いて分散した(時間と強度で粒径がコントロールできる)。得られた分散液を1000mL容のセパラブルフラスコに仕込み、その後、該セパラブルフラスコ内の気相を窒素置換した。次いで、前記分散液を150r/minで撹拌しながら、75℃で8時間、窒素雰囲気下に維持して、重合を行なった。重合終了後、得られた産物を濾過して固体を回収し、水で洗浄し、次いで、減圧乾燥して、表1に示す平均粒径のポリマー粉体120gを得た。
得られたポリマー粉体について、透過率及びヘイズ値を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0034】
(測定方法)
各粉体の全透過率及びヘイズ値は、Haze−meter HM−150(村上色彩技術研究所社製)を用いて測定した。測定には、波長550nmをピークとした光を用いた。
試料の調製は以下のように行った。粉体を0.4g秤取り、これをアミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社製)1.6gに練り込み、ガラス板へ塗布する。練り込みはフーバーマーラー(混錬機:YOSHIMITSU社製、フーバーマーラー)を用いて100回転で行い、1回かきとりを入れた後、更に100回転で練り込んだ。またガラス板への塗布は、0.025mmのコーター(YOSHIMITSU社製、コーター)を用いて行った。
【0035】
なお、ヘイズ値(H)は拡散透過率(Td)を全透過率(Tt)で割った値に100を掛けることで算出されるが、本発明(実施例)に記載するヘイズ値(H)は各サンプルの厚さによる測定誤差をなくすため、各サンプルが15μmのときの値に換算した値(H15)である。換算式は以下のとおりである。サンプルの厚さは、透過率、ヘイズ値測定後、膜厚計(YOSHIMITSU社製)を用いて測定する。
【0036】
【数1】

【0037】
式中、Ttは全透過率、Tdは拡散透過率、Lは膜厚である。膜厚は測定後の塗布膜を膜厚計で測定した値を用いる。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1
製造例1で得られた表1に示すポリマー粉体を用い、表2〜表3に示す組成のW/O型ファンデーションを下記方法により製造した。得られたW/O型ファンデーションについて、仕上がり(色むらの目立ち難さ、自然な仕上がり、透明感、毛穴の目立ち難さ、保湿感)、化粧膜の色変化のし難さ、及び使用感(つきの良さ、のびの良さ)を評価した。結果を表2〜表5に併せて示す。
【0040】
(製造方法)
表2〜表3に示す組成で、油相成分である成分(20)〜(22)を、室温にて混合した。得られた混合物に、成分(1)〜(19)を添加し、ディスパーで分散させた。得られた組成物に、水相成分である成分(23)及び(24)を撹拌しながら添加し、得られた混合物を乳化させ、W/O型ファンデーションを得た。
【0041】
(評価方法)
(1)仕上がりの評価:
専門パネラー20名が各ファンデーションを使用し、仕上がり(色むらの目立ち難さ、自然な仕上がり、透明感、毛穴の目立ち難さ、保湿感(しっとりした感触))について官能評価し、効果が非常に高い場合を7点、非常に低い場合を1点とする7段階評価を行い、平均点を求めた。
【0042】
(2)化粧塗膜の色変化のし難さ:
専門パネラー20名が各ファンデーションを使用し、経時による化粧塗膜の色変化のし難さについて官能評価し、効果が非常に高い場合を7点、非常に低い場合を1点とする7段階評価を行い、平均点を求めた。
【0043】
(3)使用感:
専門パネラー20名が各ファンデーションを使用し、使用感(つきの良さ、のびの良さ)について官能評価し、効果が非常に高い場合を7点、非常に低い場合を1点とする7段階評価を行い、平均点を求めた。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径1〜5μmであるポリマー粉体、
(B)(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料を内包し、平均粒径8〜15μmであるポリマー粉体、
(C)顔料を含まず、平均粒径1〜15μmであるポリマー粉体
を含有する化粧料。
【請求項2】
成分(A)及び(B)のポリマー粉体において、(a)白色無機顔料、(b)赤色無機顔料及び(c)黄色無機顔料の質量割合が70〜99:0.1〜10:0.1〜20である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
成分(A)及び(B)のポリマー粉体それぞれが、無機顔料を合計で5〜40質量%含有する請求項1又は2記載の化粧料。

【公開番号】特開2008−162942(P2008−162942A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354119(P2006−354119)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】