説明

化粧料

【課題】化粧料に高濃度で配合しやすい植物繊維微粉砕粉末は、未だ十分な検討が行われていなかった。また、植物繊維の機能性も有効に利用されてこなかった。
【解決手段】非水溶性の植物繊維を、不定形の形状になるまで粉砕した植物微粉砕粉末を配合することで、肌への付着性、肌上での伸び、保温性、保湿性、感触に優れ、肌が明るく見え、化粧持ちに優れ、耐皮脂性にも優れた化粧料が得られる。さらに、肌の湿度コントロール作用と皺の隠ぺい効果に優れた化粧料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末を配合した化粧料に関する。
さらに詳しくは、非水溶性の植物繊維を、不定形の形状になるまで粉砕した植物微粉砕粉末を配合することで、肌への付着性、肌上での伸び、保温性、保湿性、感触に優れ、肌が明るく見え、化粧持ちに優れ、耐皮脂性にも優れた化粧料に関する。特に、肌の湿度コントロール作用と皺の隠ぺい効果に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明の技術的背景について説明する。繊維形状を持つ粉末は化粧料において、植物性、合成物共に良く使用されている。特に眉目料であるマスカラにおいては、特許文献1にあるように、睫毛の長さを擬似的に伸ばす効果がある材料として多用されている。 眉目料以外にも、特許文献2にあるように、合成により得られた光学干渉機能を有する複合繊維をファンデーションなどの化粧料に配合することが知られている。繊維と粉体の違いは、その形状にあり、例えば特許文献3によれば、化粧料に好ましい繊維とは、繊維長で10〜500μmの範囲にあり、繊維の平均直径aと繊維長bの比a/bが0.001〜1の範囲にあるものと示されている。一般的には、化粧料では、有機素材で作られた棒状形状を持つ粉体は繊維(短繊維)として扱われることが多い。
特許文献4には、化粧料に配合可能な植物起源パウダーの例としては、結晶セルロース粉末、トウモロコシデンプン粉末、小麦デンプン粉末、海藻末、ビート繊維粉末、アルギン酸カルシウム粉末が例示されている。この内、海藻末、ビート繊維粉末が植物繊維を粉砕した粉末に該当する。また、化粧料に配合可能な非繊維状の植物繊維微粉砕粉末としては、特許文献5にあるような麻セルロースパウダーが知られている。
特許文献6には、粉末状の水溶性繊維を含有させることによりゲル化又はペースト化された水性の化粧料が記載されている。
【0003】
こうした技術的背景の中で、近年、非特許文献1の欧州のCOSMOS(Cosmetic Organic Standard)のように、化粧品での植物の利用に関するオーガニック認証制度が強化され、化粧品において植物の利用がより促進される環境が整ってきている。COSMOSでは認証にあたり、極めて高濃度の植物由来原料の使用を求めており、従来の「化粧料に配合可能な原料」から、「化粧料に高濃度に配合可能な原料」の開発が求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−277378号公報
【特許文献2】特開2006−233357号公報
【特許文献3】特開2004−231539号公報
【特許文献4】特開2000−327517号公報
【特許文献5】特開2000−327519号公報
【特許文献6】特開平6−219920号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.cosmos-standard.org/ (2009年8月16日検索)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
短繊維を化粧料に配合すると、独特のツヤや感触が得られる一方で、肌への付着性が悪く、肌にうまくつきにくいなどの問題がある。そこで、植物繊維を粉砕により平均一次粒子径を小さくしていくと、ツヤは無くなる一方で、付着性が改善され、塗布時の感触もすべすべしたものに変化してくる。この傾向は、化粧料への配合比率が増えるに従って顕著に差がでてくるため、化粧料の品質を高いレベルで維持しながら、配合比率を増やしたい場合には、微粉砕粉末単独か、微粉砕粉末と短繊維との併用が有効な手段となる。
しかしながら、単純に微粉砕粉末を配合しても問題は解決しない場合もある。例えば、特許文献5の麻セルロースパウダーのように、加水分解処理を併用した粉砕により製造された植物微粉砕粉末は、一次粒子が凝集した凝集粒子を形成しやすく、肌への密着性が低下する問題を依然として抱えている。また、特許文献4の海藻末やビート繊維粉末のように水に溶解、膨潤したり、防腐が難しいような特性を持つ場合も、化粧料に高濃度で配合しやすいとは言えない。従って、化粧料に高濃度で配合しやすい植物微粉砕粉末は未だ十分な検討が行われていない状況にあると言える。また、本発明者の検討によれば、植物の微粉砕粉末の粒子径をどんどん小さくしていったものを化粧料に配合すると、一次粒子径が1μmを下回ったあたりから、一次粒子が凝集した粒子が化粧料を肌に塗布する過程で形成されやすく、色ムラ、ざらつき、きしみ感などの問題が発生することが見出された。 この現象は従来の化粧品用粉末に比べてかなり顕著な特性であり、水溶性の粉末に見られる特性に近いものであった。この問題から、植物繊維微粉砕粉末においては、粒子径の範囲は大きくても小さくても問題があり、最適の粒子径範囲に制御しなければならない。 しかしながら、粉砕法で製造されたもので、大きな粒子、小さい粒子をカットしたようなものを製造することは、高い技術力とコストを必要とするため、従来、粉末自体の検討が十分にされておらず、最適の粒子径範囲を見出すことはかなりの困難が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明人は鋭意検討した結果、非水溶性で、不定形状を有し、加水分解処理されていない特定の粒子径範囲の植物繊維微粉砕粉末を用いることで、肌への付着性、肌上での伸び、保温性、保湿性、感触、耐皮脂性、化粧持続性に優れ、肌が明るく見える化粧料が得られること、そして、同植物繊維微粉砕粉末は化粧料に高濃度に配合することが可能であることを見出した。特に肌の湿度コントロール作用と皺の隠ぺい効果に優れた化粧料が得られることを見いだした。湿度コントロールについては、今までは保湿剤か油剤で対応したものが殆どであり、非水溶性の粉末で有効な特性を有しているものは少なく、新たな化粧料のコンセプトとして有効であることも見いだした。また、植物繊維微粉砕粉末は吸油性に大変富むため、化粧料に油剤を高濃度に配合しても、感触がべたついてこない特徴があることを見出した。また逆に、化粧料に油剤を高濃度に配合しない場合では、吸油量に余裕がでるため、耐皮脂性、化粧持続性に優れた化粧料が得られることも見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末を配合した化粧料にある。
【0009】
第2の本発明は、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末が、1〜15μmの平均粒子径を持つことを特徴とする上記の化粧料にある。
【0010】
第3の本発明は、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末が、凝集していない、不定形の形状を有することを特徴とする上記の化粧料にある。
【0011】
第4の本発明は、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末が、加水分解処理されていないことを特徴とする上記の化粧料にある。
【0012】
第5の本発明は、植物がカポック(C.pentandra)であることを特徴とする上記の化粧料にある。
【0013】
第6の本発明は、化粧料中の植物繊維微粉砕粉末の質量に対して、不揮発性油剤の質量の範囲が、100:20〜100:65の範囲にあることを特徴とする上記の化粧料にある。
【発明の効果】
【0014】
以上説明するように、本発明は、非水溶性で、不定形状を有し、加水分解処理されていない特定の粒子径範囲の植物繊維微粉砕粉末を用いることで、肌への付着性、肌上での伸び、保温性、保湿性、感触、耐皮脂性、化粧持続性に優れ、肌が明るく見える化粧料が得られることは明らかである。特に肌の湿度コントロールと皺の隠ぺい効果に優れた効果を有する化粧料が得られることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】麻セルロースパウダーの走査型電子顕微鏡写真の例
【図2】麻セルロースパウダーの造粒物の走査型電子顕微鏡写真の例
【図3】カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの走査型電子顕微鏡写真の例
【図4】カポック(木綿)繊維微粉砕粉末bの走査型電子顕微鏡写真の例
【図5】麻繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例
【図6】ミツマタ繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例
【図7】葦繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例
【図8】亜麻繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例
【図9】エジプト綿繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例
【図10】カポック(木綿)繊維の走査型電子顕微鏡写真の例
【図11】カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの吸湿性を示すグラフ
【図12】カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの吸湿性と外界の湿度との関係を示すグラフ
【図13】カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの吸湿性と外界の温度との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料では、非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末を用いる。非水溶性とは、水に24時間浸漬しておいても溶解せず、形状が変化しないことを示す。不定形状とは、断面の形状は問わず、明らかな繊維状の形状を持つ粉体ではないことを示す。より詳しくは、繊維とは、長径方向に垂直にカットした場合に、その断面の形状がほぼ同じであるが、ここで言う非繊維形状とは、上記のカット時にも断面の形状が異なっていることを示す。本発明の化粧料で用いる植物繊維微粉砕粉末の形状は、基本的に周辺部が不定形である板状の形状か不定形状である。
これは植物繊維を微粉砕した時に得られる形状がこのような形状になることが原因である。ここでいう植物繊維とは、植物由来の非水溶性繊維を示す。植物の例としては、木綿、綿、麻、亜麻、ミツマタ、コウゾ、ガンピ、葦などが挙げられ、特に木綿の一種であるカポック(バンヤ綿、C.pentandraの実から得られる繊維)が好ましい。植物繊維は、植物の種子、茎、表皮、根などから得られるものを使用することが好ましい。植物繊維微粉砕粉末は、例えば植物から繊維を単離した後、数mmの大きさにカットし、それをボールミル、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル、アトライタなど粉砕装置を用いて粉砕することで得られるものを用いることが好ましい。
また、ふるいや分級装置を用いることも可能であり、これらの粉砕装置、ふるい、分級装置の1種以上を組み合わせて用いても構わない。さらに、植物繊維は、漂白、洗浄、異物除去、滅菌などの行為がなされていても、いなくても構わない。
【0017】
本発明の化粧料では、粉砕後に植物繊維微粉砕粉末の平均粒子径が1〜15μmの範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、肌への付着性、肌上での伸び、保温性、保湿性、感触に優れた化粧料が得られるが、平均粒子径が15μmを超えると、化粧料に高濃度配合した際に、肌への付着性に問題が生じる場合がある。また、平均粒子径が1μm未満になると、肌上での伸びが悪くなり、感触が悪くなる場合がある。好ましくは3〜15μmである。
ここで、形状については電子顕微鏡による観察から確認することが好ましく、平均粒子径は、粒度分布計の測定値から求めることが好ましく、 本発明における平均粒子径は平均一次粒子径を示す。
その測定方法として、溶媒を用いた湿式のレーザー回折・散乱法を用いる。具体的には、イソプロピルアルコール、エタノールなどの低級アルコール中に試料を超音波で分散させ、その分散溶液にレーザーを照射し、レーザー光の回折、散乱から粒度分布を測定して、その累積50%粒子径を平均一次粒子径とする。
【0018】
本発明の化粧料で用いる植物繊維微粉砕粉末は、さらに各種の表面処理方法にて表面処理されていても構わない。特に、天然物による表面処理は、天然物のイメージに優れることから好ましい。
【0019】
植物としてカポックを用いた場合では、カポック由来の植物繊維微粉砕粉末は大変かさが高いため、化粧料の比重を小さくすることができ、粉末化粧料では、製造コストが安くできるメリットがある。
【0020】
本発明の化粧料では、微粉砕の方法として特許文献5にあるような加水分解処理を行わないことが好ましい。加水分解処理を行った場合、一次粒子の造粒が生じやすく、造粒した場合には、肌への付着性に問題が生じる場合が多い。また、化粧料に高濃度で造粒した植物微粉砕粉末を配合すると、化粧料の塗膜が厚く見えてしまう場合がある。なお、ここで言う造粒とは、意図的に粒子を凝集させたものであっても、非意図的に一次粒子が集まって二次粒子を形成したものであっても構わないが、一次粒子が複数集まって二次粒子を形成したものを指し、特にその大きさを縦、横、高さで示した際に、その中で一番小さな大きさが10μmを超えてくると、化粧塗膜の膜厚が厚くなる結果、上記のような問題が生じてくる場合が多い。従って、このような粒子はできるだけ排除することが好ましい。
【0021】
本発明の化粧料では、こうして得られた植物繊維微粉砕粉末を化粧料の質量に対して
0.1〜100.0質量%の範囲で配合することが可能であり、好ましくは0.5〜95質量%、さらに好ましくは1〜90質量%の範囲が挙げられる。また、肌の保湿性コントロール作用を期待する場合は、植物繊維微粉砕粉末を化粧料の質量に対して1.0〜100.0質量%の範囲で配合することが好ましい。特に、植物繊維微粉砕粉末は吸油性に富むため、通常化粧料に用いられる各種の顔料と比べてより多くの油分を配合することができる。ここで、植物繊維微粉砕粉末を化粧料の質量に対して100.0質量%の範囲で配合する場合とは、化粧料には植物繊維微粉砕粉末以外に何も含有しないことを意味している。
この特性を利用した場合、植物繊維微粉砕粉末の質量に対して、25℃で液状〜ペースト状の形態を有する不揮発性油剤の質量の範囲が、100:20〜100:65の範囲にある高い油分の配合割合の場合でも、感触がべたつかず、さらっとした感触を有し、保湿性にも富んだ、従来にない形態の化粧料が得られる特徴がある。
従来の化粧料では、この高油分配合の製剤はサンスクリーン剤など高吸油性のナノサイズの微粒子粉体を多用した特殊な製剤には見られたが、ミクロンサイズの粒子径を有するタルク、セリサイトなどを用いるような製剤、特に粉体化粧料では実現できない剤型であった。これは、例えばタルクやセリサイトに上記のような多量の油剤を混合した場合、粉体は凝集して砂粒状に変化するか、吸油量以上になって、油剤と粉体の分離が生じ、感触面、剤型の安定性が悪く、製剤が成立しなかったためである。植物繊維微粉砕粉末、特にカポック由来の植物繊維微粉砕粉末を用いた場合では、このような高油分配合製剤を容易に実現できる特徴がある。
【0022】
本発明の化粧料では、上記植物繊維微粉砕粉末以外の成分として、通常化粧料で使用される各種の素材、例えば粉体、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、油剤、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、生理活性成分等の成分を使用することができる。特に天然由来の成分、より好ましくは天然由来の油剤と組み合わせて用いることが好ましい。
【0023】
本発明で用いる油剤の例としては、通常化粧料で使用される油剤であり、その油剤の例としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソプチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、べヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラフィノース、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルランなどの多価アルコール、ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、ジメチコノール、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンなどのオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0024】
本発明で用いる粉体の例としては、通常化粧料で使用される粉体でよく、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、天然色素等があげられる。具体的には、無機粉体としては、顔料級酸化チタン、酸化ジルコニウム、顔料級酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンパウダー、6ナイロン等のナイロンパウダー、シリコーンエラストマー、ポリメルシルセスキオキサン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体が挙げられる。これらの粉体は従来公知の表面処理がされていても、いなくても構わない。例えば、無機酸化物処理、フッ素化合物処理、シリコーン樹脂処理、シリコーン処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理などが挙げられる。
【0025】
本発明で用いる紫外線吸収剤の例としては、通常化粧料で使用される紫外線吸収剤で良く、例えばサリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ビスエチルへキシロキシフェノールメチキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾルイルテトラメチルブチルフェノール、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる生理活性成分の例としては、公知のものを使用することができ、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、火棘エキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、コラーゲン分解物、エラスチン分解物、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子及びその分解物;エストラジオール、エテニルエストラジオールなどのホルモン;アラニン、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイなどの保湿剤;ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤;ビタミンA,B2,B6,C,D,K,ビタミンC配糖体等のビタミンC誘導体などのビタミン類;ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩等のムコ多糖類;グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及びそれらの塩等のヒドロキシ酸、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、メバロン酸、N−メチルセリン、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体などの細胞賦活剤;γ−オリザノールなどの血行促進剤;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル;l−メントール、カンフルなどの清涼剤等が挙げられる。
【0027】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、マスカラ、頬紅、白粉、ネイルカラー、コンシーラーなどのメイクアップ化粧料以外にも、クリーム、乳液、クレンジング料、洗顔料、サンスクリーン剤、パックなどの基礎化粧料、シャンプー、染毛料、コンディショナーなどの頭髪化粧料、石鹸、ボディソープ、ボディパウダーなどの全身化粧料においても有効に利用することができる。また、クレンジング料やボディソープ、シャンプーなどの洗浄料に配合した場合は、炭粉末と同様に、皮脂吸着能に優れるため、洗い上がりがさっぱりした、洗浄能力に優れた化粧料が得られる。基礎化粧料やベースメイク料に配合した場合は、皺の隠ぺい効果に優れた化粧料が得られる。これは植物繊維微粉砕粉末が半透明で、光の拡散効果に優れることから得られる性質であると考えられる。また、口紅に配合した場合では、植物繊維微粉末が口紅の折損強度を向上させるため、口紅中のワックスの配合量を減らせる効果があり、折損強度を維持しながら、よりなめらかで使い心地の良い製品が得られる特徴がある。
【0028】
以下に実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
〔実施例1〜4〕
表1に示す処方と製造方法により、ファンデーションを得た。尚、配合比率の単位は質量%である。実施例で用いた各植物繊維微粉砕粉末は、非水溶性で、加水分解されておらず、凝集していないものを用いた。
【0030】
【表1】

【0031】
製造方法
粉体成分をミキサーを用いて良く混合した。ここに、均一に溶解、混合した油性成分を加え、良く撹拌混合した。ついで、金型を用いて金皿に打型して製品(ファンデーション)を得た。
【0032】
〔比較例1〕
実施例2の植物繊維微粉砕粉末の代わりに、市販のトスコ社製麻セルロースパウダーを用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。トスコ社製麻セルロースパウダーは、加水分解処理されて製造されたものであり、図1の走査型電子顕微鏡写真に示すように、繊維形状の粉末を含み、さらに、図2に示すように部分的に激しく凝集した粒子を含んでいた。
【0033】
実施例で用いた植物繊維微粉砕粉末の走査型電子顕微鏡写真の例を図3〜図9に示す。実施例で用いた植物繊維微粉砕粉末は、凝集しておらず、明らかな繊維状の形状を有していないことから、不定形の形状であることが判る。また、実施例及び比較例で用いた植物繊維微粉砕粉末の粒子径を表2に示す。平均粒子径(表2における累積50%粒子径)は、各繊維微粉砕粉末が1〜15μmの範囲に入っていることが判る。なお、測定は、日機装社製マイクロトラックMT3300EXII型を用い、イソプロピルアルコールを用いてレーザー回折・散乱法にて測定した。
例えば、カポック繊維の直径は15〜30μm、エジプト綿や麻は繊維の直径が16μm程度、みつまた繊維の直径は10〜30μm、亜麻繊維の直径は10μm程度なので、下記の表に示す粒子径であれば、下記表の微粉砕粉末は明らかに繊維の形状を有しておらず不定形であることが理解できる。
【0034】
【表2】

【0035】
〔比較例2〕
実施例2の植物繊維微粉砕粉末の代わりに、平均粒子径17μmで短繊維を含む亜麻繊維粉砕粉末を用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。その結果を表4に示す。
【0036】
〔実施例5、比較例3〜6〕
表3に示す処方と製造方法により、W/O型リクイドファンデーションを得た。尚、比較例3で用いた麻セルロースパウダーは比較例1で用いたものを使用した。比較例4で用いたタルクは無機の板状粉末であり、通常化粧料に多用される顔料である。比較例5で用いた海藻末は水溶性の繊維である。比較例6で用いたカポック(木綿)繊維は、起原はカポック(木綿)繊維微粉砕粉末と同じであるが、粉砕の程度が異なり、図10に示すように外観が繊維の形状を有し、微粉砕粉末になっていないものである。また、表3における配合比率の単位は質量%である。
【0037】
【表3】

【0038】
製造方法
油相を70℃に加熱し、均一に混合した後、良く混合しておいた粉体成分を加え、攪拌する。次いで、70℃に加熱し、均一に混合した水相を加え、攪拌した後、室温まで冷却し、容器に充填して製品を得た。
【0039】
実施例及び比較例の評価
パネラー10名を用い、アンケート形式にて、各実施例及び各比較例ファンデーションの評価を実施した。そのファンデーションは各実施例及び各比較例の組成物を金皿に打型して製品(ファンデーション)としたものである。アンケートは各評価項目に対して、一番優れた評価を5点、良くも悪くもない普通であるという評価を3点、一番悪い評価を1点として、パネラー全員の平均点を以て評価結果とした。従って、点数が高い方がその評価項目に対して評価が高かったことを示す。評価結果を表4に示す。
【0040】
【表4】

【0041】
表4の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて、各評価項目において優れた性能を示していることが判る。また、本発明で用いた繊維微粉砕粉末は化粧料中に低濃度から高濃度で配合しても化粧料の品質を落とさないことが判る。
具体的には、実施例1〜4及び比較例1及び2についてみると、不定形の植物繊維微粉砕粉末を使用した実施例1〜4のファンデーションは、使用した後の全ての評価項目について、不定形ではなく繊維状である植物繊維を使用した比較例1及び2のファンデーションよりも優れた結果を示している。
W/O型リクイドファンデーションを得た実施例5及び比較例3〜6をみると、本発明に沿った例である実施例5は、不定形ではなく繊維状である麻セルロースパウダー、繊維微粉末ではないタルク、水溶性繊維である海藻末を含む比較例3〜5のW/O型リクイドファンデーションよりも各評価項目において優れた結果を示し、微粉砕されておらず繊維状であるカポックを配合した比較例6のW/O型リクイドファンデーションは総じて他の比較例よりもさらに良くない結果を示している。
また、このような評価項目による結果とは異なり、本発明によれば化粧料の保湿性が高いことが実用試験から確認されたため、追加の保湿性確認試験として、実施例1で用いたカポック(木綿)繊維微粉砕粉末aを用いて、下記の方法で吸湿性の確認を行った。試験結果を図11〜13に示す。
【0042】
試験方法1
カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aを105℃で3時間乾燥し、水分を除去した。
この粉末を湿度39%、温度28℃の乾燥した環境中に放置し、2分ごとの水分量の変化を合計20分まで測定した。結果を図11に示す。図11では、乾燥前の質量を100%として表示している。
【0043】
試験方法2
カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aを105℃で3時間乾燥し、水分を除去した。
この粉末を種々の湿度、温度の環境中に放置して吸湿させ、外界の湿度(相対湿度)、温度と吸湿量との関係を測定した。結果を図12、13に示す。グラフ中の直線は線形近似直線を示している。また、縦軸に示した吸湿の割合とは、乾燥前のカポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの質量を100%とした場合の相対的な質量を示したものである。
【0044】
図12から、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aは低湿度環境でも、短時間に急速に吸湿することが判る。図12から、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末の吸湿性は外界の湿度に応じて一定の範囲をとることから、水分量を一定にコントロールする能力に優れていることが判る。図12と図13から、R乗値(決定係数)が湿度による影響をより強く示していることから、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの吸湿性は外界の温度に影響は受けるが、主に外界の湿度による影響を強く受けることが判る。そして、外界の湿度(生活環境の湿度に相当する)が変化しても、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの吸湿量の絶対値が大きくは変化していないことから、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aは外界の湿度変化の影響をかなり弱める緩衝的な作用があることが判る。このことから、実施例1、2、4、5で肌が乾燥しにくいという結果がでた背景には、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aの高い湿度維持能力が効果的に効いていることが挙げられる。現代では、空調の影響で一年を通して肌の湿度コントロールが重要となっている。本発明の繊維微粉砕粉末を配合した化粧料は、肌の湿度コントロール作用が強力であり、これらの環境に対応した化粧料として有効性が高いことが判る。
【0045】
〔実施例6〜10、比較例7〜11〕
前記実施例1〜4では、植物繊維微粉砕粉末の量に対して、油剤の量が少ないケースについて検討した。次に、植物繊維微粉砕粉末の量に対して、不揮発性の油剤の量が多く含まれているケースについて検討を行った。
表5と表6に示す処方と製造方法により、ファンデーションを得た。尚、配合比率の単位は質量%である。植物繊維微粉砕粉末としては、カポック(木綿)繊維微粉砕粉末aを用いた。また、不揮発性油剤としては、植物性スクワランを用いた。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
製造方法
粉体成分である成分Aをミキサーを用いて良く混合した。ここに、均一に溶解、混合した油性成分(成分B)を加え、良く撹拌混合した。金型を用いて金皿に打型して製品(ファンデーション)を得た。尚、一部製品は凝集などにより、途中の工程以降試作ができない場合があり、その場合は作業を中止した。
【0049】
表7に実施例6〜10の評価結果を示す。評価の基準は前述の方法に準じて実施した。
【0050】
【表7】

【0051】
表7の結果から、本発明の実施例6〜10のファンデーションは比較例と比べて、各評価項目において優れた性能を示していることが判る。比較例で用いた処方は、通常、成分Aと成分Bの混合質量比率が90:10程度の配合比で汎用されているものであるが、比較例7から11を順に見ると判るように、成分Bの配合比が増えてくると製剤として成立できなくなっている。
これに対して、実施例は極めて高い評価結果を得ており、成分Bの量が多いにもかかわらず、油性感がなく、高い機能性も有していた。このことから、本発明の実施例は、従来の化粧料にない組成比の領域を持つ化粧料が得られることが見いだされた。また、実施例6〜10を比較すると実施例8の組み合わせが最もバランスが良かった。油性感がないにもかかわらず、高い保湿性を有するコンセプトは欧州など乾燥した地域やオフィスなどの環境では大変有効であり、本実施例の配合領域は大変注目される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末を配合した化粧料。
【請求項2】
非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末が、1〜15μmの平均粒子径を持つことを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
非水溶性であって、不定形状を有する植物繊維微粉砕粉末が、凝集していない、不定形の形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
非水溶性であって、不定形状状を有する植物繊維微粉砕粉末が、加水分解処理されていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
植物がカポック(C.pentandra)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
化粧料中の植物繊維微粉砕粉末の質量に対して、不揮発性油剤の質量の範囲が、100:20〜100:65の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。


【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−79812(P2011−79812A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178373(P2010−178373)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(500034941)株式会社コスメテクノ (16)
【Fターム(参考)】