説明

化粧料

【課題】ネフライト粉が含有されており、美容効果の優れた化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明の化粧料は、テラヘルツ波を吸収するネフライトの粉末を含有することを特徴とする。好ましくは、ネフライトは、テラヘルツ波帯において、少なくとも2カ所のピークでテラヘルツ波を吸収するとよい。好ましくは、ネフライトは、周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するテラヘルツ波を吸収するとよい。好ましくは、ネフライトは、平均粒径50μm以下0.1μm以上の粒子であるとよい。好ましくは、化粧料基材として、ワセリンを用いるとよい。ネフライトの粉末は、化粧料基材に対して、0.1重量%〜20重量%含有されているとよい。好ましくは、ネフライトの粉末は、化粧料基材に対して、0.1重量%〜1重量%含有されているとよい。好ましくは、温感クリームとして提供されるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、皮膚及び毛髪の美容と健康に優れた効果を与える化粧料に関し、より特定的には、ネフライトの粉末を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の健全な生理機能を維持し、健康な美肌を維持するため、化粧料中に、ビタミン、コラーゲン、ヒアルロン酸その他各種の添加物を加えることは公知である。
【0003】
また、皮膚を害することなく、皮膚の働きを活性化し、皮膚の再生を助け、皮膚を滑らかにすると共に、肌荒れや老化の治療・予防にも効果を示す薬用化粧料も提案されているが、その効果の点で、未だ十分満足すべきものではない。一方、ネフライト(軟玉)を粉砕して得られた微粒子は、シリカ(珪素)、マグネシウム、カリウム、カルシウム等の天然ミネラル成分約80%からなるが、人体には、大変有益性が高いと考えられている。そのため、特許文献1に示すように、軟玉粉含有の化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−226247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者は、ネフライト粉が含有された従来の化粧料を試用してみたが、美容効果はあまり優れていないことを確認した。
【0006】
それゆえ、本発明は、ネフライト粉が含有されており、美容効果や保温効果の優れた化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、テラヘルツ波を吸収するネフライトの粉末を含有することを特徴とする化粧料である。これにより、血行促進効果が得られ、美容効果得られる。
【0008】
好ましくは、ネフライトは、テラヘルツ波帯において、少なくとも2カ所のピークでテラヘルツ波を吸収するとよい。好ましくは、ネフライトは、周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するテラヘルツ波を吸収する、又は、周波数略2.35THz及び略2.75THzにおいてピークを有するテラヘルツ波を吸収するとよい。これにより、テラヘルツ波の放射帯域が広くなり、より多くのテラヘルツ波が放射されることが期待できることとなるので、美容効果が増す。
【0009】
好ましくは、ネフライトは、平均粒径50μm以下0.1μm以上の粒子であるとよい。これにより、テラヘルツ波が効果的に放射されると期待できる。
【0010】
好ましくは、化粧料基材として、ワセリンを用いるとよい。これにより、保温効果が得られる。
【0011】
好ましくは、ネフライトの粉末は、化粧料基材に対して、0.1重量%〜20重量%含有されているとよい。これにより、ざらざら感がなくなる。
【0012】
好ましくは、ネフライトの粉末は、化粧料基材に対して、0.1重量%〜1重量%含有されているとよい。このように、ごく少量のネフライト粉末であったとしても、美容効果が得られることが確認されている。
【0013】
好ましくは、温感クリームとして提供されるとよい。ネフライト粉末を含有すると保温効果が期待できるので、冷え性の者への適用や寒冷地や寒い条件下で過ごさなければならない者への適用など、保温効果を有する化粧料が提供される。
【0014】
なお、ネフライトは、軟玉と称される場合もある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧料を皮膚に用いれば、テラヘルツ波の放射によって、皮膚の血行が良くなり、美肌効果や保温効果が得られる。また、本発明の化粧料を毛髪に用いれば、頭皮の血行が良くなり、毛髪が健康になる。このように、本発明によれば、ネフライト粉が含有されており、美容効果や保温効果の優れた化粧料が提供されることとなる。
【0016】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、吸光度測定の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、吸光度測定の他の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る化粧料は、公知の化粧基材にネフライトの粉末を含有させることによって製造される。ネフライト粉末の平均粒径は、特に限定されてないが、50μm以下0.1μm以上であるとよい。本実施形態で用いるネフライトの粉末は、少なくともテラヘルツ波を吸収する。ここで、テラヘルツ波とは、ミリ波と赤外線の中間帯域にある電磁波のことをいい、一般的におおよそ0.1THz〜10THzの周波数(約30μm〜3mmの波長範囲)を有する。好ましくは、ネフライトは、テラヘルツ波帯において、少なくとも2カ所のピークでテラヘルツ波を吸収するとよい。また、ネフライトは、周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するテラヘルツ波を吸収する、又は、周波数略2.35THz及び略2.75THzにおいてピークを有するテラヘルツ波を吸収するとよい。このようなネフライトは、韓国などの鉱脈で採掘することが可能である。本実施形態に係る化粧料の剤型は、特に限定されず、例えば、クリーム、温感クリーム(ハンドクリームを含む)、ローション、パック、ファンデーション、シャンプー、リンス、ヘアートニック、浴剤、石鹸及び歯磨等があげられる。本実施形態に係る化粧料は、皮膚や毛髪に使用可能である。また、ネフライトの粉末単体を化粧料として、直接、皮膚に塗布してもよい。
【0019】
吸光度測定によって、周波数略3.34THz及び略4.78THzの二つのピークでテラヘルツ波を吸収することを、本発明者は、確認した。そのため、平均粒径50μm以下0.1μm以上のネフライト粒子は、周波数略3.34THz及び略4.78THzに二つのピークを有するテラヘルツ波を放射すると考えられる。このような特徴を有するネフライト粉末は、少なくとも韓国の鉱脈から採取することができる。また、韓国以外の鉱脈から採取したネフライト鉱石自体は、吸光度測定によって、周波数略2.35THz及び略2.75THzの二つのピークでテラヘルツ波を吸収することを、本発明者は、確認した。そのため、ネフライトの採掘場所などによっては、吸収するテラヘルツ波の周波数は異なる可能性がある。
【0020】
したがって、本発明において、ネフライト粉末が吸収するテラヘルツ波の周波数は特に限定されるものではない。少なくとも2カ所の周波数において、テラヘルツ波の吸収のピークを有すれば、広帯域にテラヘルツ波を放射していることが期待できることになる。したがって、本発明で使用するネフライトは、テラヘルツ波帯において、2カ所のピークでテラヘルツ波を吸収するとよい。
【0021】
なお、本願の出願段階において、テラヘルツ波の吸収を測定することができる器具は、一般に入手可能であった。しかし、テラヘルツ波の放射を測定することができる器具は、一般には入手困難である。しかも、放射を安定的かつ正確に測定することができる器具は未だ実用化されていないのが現実である。また、テラヘルツ波が吸収されているということは、テラヘルツ波を放射していると推定されるに過ぎず、テラヘルツ波の吸収をもってして、テラヘルツ波の放射とは断定できない状況である。しかし、本発明者は、テラヘルツ波を吸収するネフライトを用いれば、健康増進、美容増進、血行増進等が図られるは事実であり、実験によって確認している。したがって、本発明では、テラヘルツ波を吸収するネフライトとして発明を特定することとするが、テラヘルツ波を放射するネフライトを本発明に用いることを決して排除するものではない。
【0022】
本発明者は、地球上の全てのネフライトがテラヘルツ波を吸収するか否かについて、地質学的・化学的・物理的見地から分析したわけではない。したがって、本発明を実施するためには、たとえば、入手したネフライトの鉱石自体(又は粉末にしてペレット状に固めたもの)がテラヘルツ波を吸収しているか、若しくは、少なくとも二つのピークで吸収しているかを測定し、テラヘルツ波の吸収が確認できたネフライトを粉末状にして、下記に示す方法で、化粧料基材に含有させればよい。なお、テラヘルツ波の吸収は、大塚電子株式会社(大阪府枚方市招提田近3丁目26−3)製のテラヘルツ分光システムTR−1000を用いれば、確認可能である。ただし、ネフライトによるテラヘルツ波吸収の確認方法は、一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0023】
化粧料基剤へのネフライトの粉末の添加量は、広範囲に変化させることができるが、0.1重量%〜20重量%が好ましい。また、化粧料基材へのネフライトの粉末の添加量が1重量%以下であったとしても、血行促進が図られ、リンパの流れが良くなり、老廃物の排出が促進される。
【0024】
また、化粧料基材として、ワセリン(ペトロラタム)を使用すると保温効果が得られる。ただし、本発明の化粧料基材は、ワセリンのみに限定されるものではない。また、ワセリン以外の化粧料基材であったとしても、ネフライトの粉末と混合することによる相乗効果によって、保温効果を発揮する化粧料基材が存在する可能性はある。
【0025】
ネフライトの粉末を化粧料基材に含有させると保温効果が得られるので、本発明は、温感クリーム(ハンドクリームを含む)として適用すると良い。ただし、本発明が温感クリームに限定されるものではないことは言うまでもない。たとえば、温感クリームの化粧料基材として、ワセリンを用いることができる。
【実施例】
【0026】
図1は、吸光度測定の結果を示すグラフである。図1に示す測定結果では、韓国で採取した健然石(登録商標)と呼ばれるネフライトを平均粒径略4μmの粉末にし、ネフライト粉末の割合を5wt%となるようにして、ポリエチレンの粉末と混ぜて厚さ1mmの錠剤に成型し、テラヘルツ波の透過率を確認した。図1に示すグラフにおいて、横軸がテラヘルツ波の周波数を示し、縦軸が透過率(吸収率)を示す。図1に示す実験結果によって、略3.34THz及び略4.78THzに非常に強い吸収(透過)が確認できた。また、略5.17THzに若干の強い吸収(透過)が確認できた。したがって、平均粒径4μmのネフライト粉末は、吸光度測定により周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するテラヘルツ波を放射していることが期待できる。この測定結果により、平均粒径が4μmになるように粉砕したときに、吸光度測定により周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するネフライト粉末を用いることが好ましいことが確認できた。よって、ネフライト粉末の好ましい平均粒径は、50μm以下0.1μm以上であると推測される。
【0027】
韓国で採取した健然石(登録商標)と呼ばれるネフライトを平均粒径325メッシュ(約44μm)となるように粉砕し、平均粒径略44μmのネフライト粉末を得た。このネフライト粉末を用いて、下記のような実験1〜6を行った。
【0028】
(実験1)
約35重量%のネフライト粉末をワセリンに含有させたクリームを製作した。このクリームについて、約50名に使用したときの感想を調査した。このとき、80%の被験者が、「少しザラザラした感じがする。手先に塗ると暖かくなる。」という感想を持った。
【0029】
(実験2)
約10重量%のネフライト粉末をワセリンに含有させたクリームを製作した。このクリームについて、約50名に使用したときの感想を調査した。このとき、80%の被験者が、「ザラザラ感もなく滑らかで暖かさを感じる。」という感想を持った。
【0030】
この実験1及び2により、化粧料基材へのネフライト粉末の含有量は、0.1重量%〜20重量%が好ましいことが確認できた。また、ネフライト粉末が放射すると期待できるテラヘルツ波によって、保温効果が得られることが確認できた。このような保温効果によって、血行が良くなり、美肌効果が得られることとなる。
【0031】
(実験3)
また、ネフライト粉末を化粧パウダーとして使用する実験も行った。この実験によって、刺激、発赤、痒みは現れないことが確認できた。温かさは感じなかった。毛穴が目立たなくなった。肌が柔らかくなった。皮脂やテカリが気にならなくなった。顔がリフトアップした。顔のむくみがなくなった。シミが薄くなった。
【0032】
(実験4)
また、ネフライト粉末をグリセリンに混ぜてローションとして使用する実験も行った。刺激、発赤、痒みは現れないことが確認できた。温かさは感じなかった。アトピー性皮膚炎の人の肘に直接塗布したが、痒みが緩和した。また、塗布面の状態がひどくなることはなかった。
【0033】
(実験5)
また、ネフライト粉末を少量の水で溶き顔全体に塗り、パック剤として使用する実験も行った。刺激、発赤、痒みは現れないことが確認できた。温かさは感じなかった。毛穴がきれいになり、美肌効果が確認できた。
【0034】
実験3〜5によって、ネフライト粉末を単体で用いた場合や、各種化粧料基材に混ぜた場合に、一定の美容効果が得られることが確認できた。
【0035】
実験1及び2と実験3〜5との比較によって、少なくともワセリンとネフライト粉末とを混合することによって、保温効果が得られることが確認できた。ただし、体感の個人差が存在するので、グリセリンにネフライト粉末を混ぜた場合にも、保温効果がある可能性は否定できない。
【0036】
(実験6)
ミルクローションやマッサージオイルに、1重量%以下のネフライト粉末を混ぜて、片足だけに塗る実験を数人の被験者に対して行った。その上で、塗っていない側の足と塗った側の足との感覚の違いを比べてもらった。すると、塗った側の足の方が、足が軽くなったという感覚を得ることができた。したがって、1重量%以下という少量のネフライト粉粉末が化粧料基材に含有されているだけであったとしても、血行が良くなり、リンパの流れが良くなり、老廃物の排出が促進されることが確認できた。
【0037】
図2は、吸光度測定の他の結果を示すグラフである。図2に示す測定結果の内、矢印で示すAは、韓国以外の鉱脈から採取されたネフライトの鉱石自体のテラヘルツ波の吸収を示す。図2に示すグラフにおいて、横軸がテラヘルツ波の周波数を示し、縦軸が透過率(吸収率)を示す。図2に示すように、周波数略2.35THz及び略2.75THzにおいて、吸収のピークが二つ存在していることが確認できた。
【0038】
なお、本発明者は、図1の測定で用いたネフライトと、図2の測定で用いたネフライトとは、X線解析の結果、同じ結晶構造を持つことを確認している。したがって、ネフライトの採掘場所によっては、吸収するテラヘルツの波長帯は異なる可能性があるが、少なくとも、本発明において、テラヘルツ波を吸収するネフライトを用いればよく、さらに、少なくとも二つのピークでテラヘルツ波を吸収するネフライトを用いればよいことが確認できた。
【0039】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、化粧料として、産業上利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ波を吸収するネフライトの粉末を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記ネフライトは、テラヘルツ波帯において、少なくとも2カ所のピークでテラヘルツ波を吸収することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記ネフライトは、周波数略3.34THz及び略4.78THzにピークを有するテラヘルツ波を吸収する、又は、周波数略2.35THz及び略2.75THzにおいてピークを有するテラヘルツ波を吸収することを特徴とする、請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記ネフライトの粉末は、平均粒径50μm以下0.1μm以上の粒子であることを特徴する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
化粧料基材として、ワセリンを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
前記ネフライトの粉末は、化粧料基材に対して、0.1重量%〜20重量%含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】
前記ネフライトの粉末は、前記化粧料基材に対して、0.1重量%〜1重量%含有されていることを特徴とする請求項6に記載の化粧料。
【請求項8】
温感クリームとして提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−6904(P2012−6904A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207615(P2010−207615)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://www.thz−tec.com/ http://www.thz−tec.com/business.html http://www.thz−tec.com/business−1.html http://www.thz−tec.com/business−2.html http://www.thz−tec.com/business−3.html http://www.thz−tec.com/business−4.html http://www.thz−tec.com/teraheltz.html http://www.thz−tec.com/kennenseki.html http://www.thz−tec.com/collabo.html 掲載日 平成22年3月20日
【出願人】(510146469)
【Fターム(参考)】