説明

化粧目地付き化粧板及び化粧目地加工方法。

【課題】 建具扉、家具扉、内装材等に用いられる表面化粧板において、高価な木工機械を導入しないで、加工精度の良い目地付き化粧板を複雑な目地デザインであっても、安価に作業性良く作製可能とし、合わせて、精度、作業性が良好で安価な目地加工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 基材とその表面又は表裏面両面に張り付けられる表面材からなり、該表面材に化粧目地を設けてなる化粧板において、前記表面材が複数個の化粧ユニットと該複数個の表面化粧ユニットの間に設けられる化粧目地棒からなり、化粧ユニットと端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に化粧目地棒を介在させることによって、所定の寸法、形状の化粧目地が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は開戸、引き戸、折れ戸等の建具扉の表面化粧板、または、収納家具、厨房家具等の扉に用いられる表面化粧板、又は、住宅の内装材に使用される表面化粧板等で、化粧板表面に目地や溝等が施されている化粧目地付き化粧板及びその化粧目地加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具扉、家具扉、内装材等に用いられる化粧目地付き化粧板の化粧目地を加工するには、基材表面に化粧シ−ト等を貼着し、化粧シ−トの継ぎ目に、ル−タ−等の溝加工用の木工機械を用いて所望の形状に溝や目地を加工し、該溝や目地部に塗料を塗工したり又は溝や目地に化粧モ−ルをホットメルト系接着剤等で固着することが開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−182146号公報(第2−5頁、第1−7図)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、目地幅そのものが極めて細いものであることもあり、溝や目地の加工される予定位置に精度よく目地加工することは、極めて困難な作業であった。また、目地は幅が小さいわりには、長さが長すぎるので、途中で蛇行したり、湾曲したり、また、目地幅の均一性が失われたり、複数本の目地幅を加工する際は、それぞれの目地において、目地幅が不揃いになったり、また、目地の長手方向が全て同一一定の方向であれば、まだしも、互いに直交したり、斜行したり、また、交差したりする場合は、加工作業性に劣るのみならず、加工精度においても劣るものとなり、しかも、精度、仕上がり良く加工するには、熟練工を必要とするので、製造コスト的にも高価なものとなっていた。
【0005】
また、T字状デザインになるように目地加工する必要がある場合などにおいては、T字状デザインの縦方向の目地が横方向の目地と接する箇所で、突き抜けて交差してしまうことが多々あり、精度良くT字状デザインの目地を加工することは至難の業であった。
【0006】
また、T字状デザインや例えば木目方向が直交したり、斜行したりする複雑なデザインの場合、接着剤を塗布した基材の上で、所定デザインに仕組むことは仕組み時間がかかり、接着剤のポットライフをオ−バ−し、乾燥接着が原因の接着不良が生じてしまう恐れがあるばかりでなく、作業性に劣り、製造コスト的にも高価なものについていた。
【0007】
また、ル−タ−、テノ−ナ−、グル−バ−等の高価で高精度の木工機械を必ず必要とし、そのための熟練工も必要となり、それらの設備投資の負担も大きくなり、大きな問題点となっていた。
【0008】
本発明の目的は、建具扉、家具扉、内装材等に用いられる表面化粧板において、複雑な目地デザインであっても、高価な木工機械を導入しないでも、さらに、熟練工がいなくても製造可能で、しかも、加工精度と作業性に優れた安価な化粧目地付き化粧板及びその化粧目地加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の化粧目地付き化粧板は、基材とその表面又は表裏面両面に張り付けられる表面材からなり、該表面材に化粧目地を設けてなる化粧板において、前記表面材が複数個の化粧ユニットと該複数個の化粧ユニットの側端面間に設けられる化粧目地棒からなり、化粧ユニットの側端面と化粧目地棒の側端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に化粧目地棒を介在させることによって、所定の寸法、形状の化粧目地が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成を有する本発明によれば、建具扉、家具扉、内装材等に用いられる表面化粧板において、化粧ユニットと化粧目地棒を、その側端面どうしを当接させて、化粧目地棒を化粧ユニット間に介在させるので、高価で高精度の木工機械など使用しなくても、また、熟練工がいなくても、前記化粧目地棒によって、複雑な形状の化粧目地を形成することが可能で、しかも、蛇行、湾曲、幅不揃い等のない精度の良好な化粧目地を有する化粧板が、極めて簡単に作業性良く、しかもコスト的にも安価に作製可能となる。
【0011】
本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載の化粧目地付き化粧板において、前記化粧目地棒が、断面視凹部を有する形状で、該凹部の底面を下面側にして、化粧ユニット側端面と化粧目地棒側端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に介在させられていることを特徴としている。
【0012】
このような構成を有する本発明によれば、建具扉、家具扉、内装材等に用いられる表面化粧板において、化粧目地棒を、凹部側を下面にして、化粧ユニットと化粧目地棒の側端面どうしを当接させて、化粧目地棒を化粧ユニット間に介在させるので、高価で高精度の木工機械など使用しなくても、また、熟練工がいなくても、前記化粧目地棒によって、簡単に作業性良く、断面視凹部を有する複雑な形状の化粧目地を極めて簡単に形成することが可能で、しかも、蛇行、湾曲、幅不揃い等がなく、化粧目地の精度仕上がりにとって、よりいっそう好適な化粧目地付き化粧板が、よりいっそう簡単に安価に作製可能となる。
【0013】
さらに、表面化粧板の表面から木工機械によって目地の溝形成を精度良く作業性良く加工することが困難な形状の目地、例えば、断面視、目地開口箇所の目地幅寸法よりも目地底の目地幅寸法の方が大きいような複雑な形状の目地であっても、高価な木工機械と熟練工無しで、極めて簡単に精度仕上がり良く、しかも安価に加工可能となる。
【0014】
本発明の請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の化粧目地付き化粧板において、前記表面材が、前記複数個の化粧ユニット及びその間に側端面当接状態で介在させる前記化粧目地棒とによって、あらかじめ所定のデザインに仕組み構成されていることを特徴としている。
【0015】
このような構成を有する本発明によれば、化粧ユニットと化粧目地棒とが、所定デザインで、あらかじめ仕組み構成されているので、基材上で、デザインを考慮しつつ仕組むための作業性低下が防止でき、例えば木目方向が直交したり、斜行したりする複雑な目地デザインであっても化粧目地付き化粧板を精度良く、作業性良く、短時間で、安価に作製可能となる。すなわち、T字状デザインや例えば木目方向が直交したり、斜行したりする複雑なデザインの場合、接着剤を塗布した基材の上で、所定デザインに仕組むことは仕組み時間がかかり、接着剤のポットライフをオ−バ−し、乾燥接着が原因の接着不良が生じてしまう恐れがあるばかりでなく、作業性に劣り、製造コスト的にも高価なものについていた。こういった問題点解消にとって好適である。
【0016】
本発明の請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧目地付き化粧板の化粧目地を加工するに際し、
1.所定の寸法及び形状の基材を用意し、
2.表面材として、所定の寸法及び形状の化粧ユニット及び化粧目地棒を必要個数だけ用意し、
3.前記基材表面に表面材固定手段を設け、
4.前記化粧ユニット間に前記化粧目地棒を、それぞれの側端面を当接させて、基材表面の前記固定手段を利用して所定のデザインに配置し張り付け、
5.前記化粧目地棒によって所定の寸法、形状の化粧目地を形成させる。
以上の手順で加工されることを特徴とする。
【0017】
このような化粧目地加工手順に従えば、化粧目地付き化粧板が、複雑な目地デザインであっても、高価で高精度の木工機械など用いなくても、また、熟練工がいなくても、精度仕上がり良く、作業性良く、しかも安価に加工可能となる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、建具や、家具や、内装材等の表面の扉に用いられる表面化粧板において、化粧目地棒と化粧ユニットの側端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に化粧目地棒を介在させるので、高価で高精度の木工機械など使用しなくても、また、熟練工がいなくても、前記化粧目地棒によって、化粧目地を極めて簡単に形成することが可能で、しかも、蛇行、湾曲、幅不揃い等のない精度仕上がりの良好な化粧目地を有する化粧板が、作業性良く、精度仕上がり良く、しかも安価に作製可能となる。
【0019】
請求項2の発明によれば、建具や、家具の表面扉や、内装材等の表面材料に用いられる表面化粧板において、化粧目地棒の凹部側を下面にして、化粧ユニット間にその側端面どうしを当接させるようにして介在させるので、前記化粧目地棒の凹部による複雑な化粧目地であっっても、高価で高精度の木工機械など使用しなくても、また、熟練工がいなくても、化粧目地を形成することが可能で、しかも、蛇行、湾曲、幅不揃い等がなく、化粧目地の精度仕上がりにとって、よりいっそう好適な化粧目地を有する化粧板が、よりいっそう簡単に安価に作製可能となる。
【0020】
また、表面化粧板の表面から木工機械によって目地の溝形成が精度良く作業性良く加工することが困難な形状の目地、例えば、断面視、目地開口箇所の目地幅寸法よりも目地底の目地幅寸法の方が大きいような複雑な形状の目地であっても、高価で高精度の木工機械と熟練工無しで、極めて簡単に精度仕上がり良く、しかも安価に加工可能となる。
【0021】
請求項3の発明によれば、化粧ユニットと化粧目地棒とが、所定デザインで、あらかじめ仕組み構成されているので、接着剤を塗布した基材上で、デザインを考慮しつつ仕組むために生じる作業性の低下が有効に防止でき、接着剤のポットライフをオ−バ−する危険もなく、短時間で、安価に作製可能となる。また、例えば、T字状デザインの目地や木目方向が直交したり、斜行したりする、複雑な目地デザインであっても、接着剤を塗布した基材の上で、所定デザインに仕組むための仕組み時間が、短縮でき、接着剤のポットライフをオ−バ−する危険がなく、乾燥接着が原因の接着不良が生じてしまう恐れが解消するばかりでなく、作業性に優れた化粧目地付き化粧板を精度仕上がり良く、作業性良く、製造コスト的にも安価に作製可能となる。
【0022】
請求項4に記載の化粧目地加工手順によれば、化粧目地付き化粧板の化粧目地の加工が、複雑な化粧目地デザインであっても、高価で高精度の木工機械など用いなくても、また、熟練工がいなくても、精度仕上がり良く、作業性良く、しかも安価に加工可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態の一例を図面に従って詳細に説明する。図1は、本発明の化粧目地付き化粧板の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2の要部拡大断面図、図4はあらかじめ仕組み構成された本発明の表面材を基材に張り付ける場合を示す斜視図、図5は本発明の化粧目地の断面形状の例を示し、(イ)はU型化粧目地、(ロ)はV型化粧目地、(ハ)は平型化粧目地、(ニ)は角型化粧目地、(ホ)は丸型化粧目地の例を示す。また、図6は本発明の化粧目地棒と化粧ユニットの当接関係を示す説明図であり、(イ)は当接前の状態を示し、(ロ)は当接後の状態を示す。また、図4〜図6においては、裏面側を省略して図示している。
【0024】
図1〜図6において、本発明の化粧目地付き化粧板1の一実施形態の一例を示す。本発明の化粧目地付き化粧板1は、本例では、基材4の表裏面両面に表面材2が固定手段Fによって張り付け固定されている。もちろん、表裏面いずれか片面であっても良いものとする。前記表面材2は、複数個の化粧ユニットKの間に化粧目地棒Pを介在させて、しかも、化粧ユニットKの側端面KSと化粧目地棒Pの側端面PSを互いに当接させた状態で、当接面Gを形成し、該当接面形成状態で、本発明の化粧目地3が形成されている。
【0025】
本例では、表面材2の長手方向、即ち化粧目地棒Pの長手方向と化粧板1の長手方向とが直交しているが、本例で示すように直交していてもよく、また、平行であっても、また、斜行していてもよい。
【0026】
本願発明の化粧目地棒Pとそれによって形成される化粧目地3の形状は、断面視、図5に例示すように、さまざまなパタ−ンがあり、化粧目地棒Pは、細長い棒状形態を有している。化粧目地3の形状は、断面視、図5に示す例の形状に限定されるものではない。化粧目地棒Pは、表面から見て、凹部Uが形成されているものと、図5の(ハ)に示すような平型のように、前記凹部Uが存在せず、平担なものがある。図示しないが、前記凹部の代わりに凸部を有するものや、これらの混在したものが可能である。いずれにしても、図6に示すように、本例においては、前記凹部Uを有する化粧目地3の場合、化粧目地棒Pの表面に凹部Uが形成されており、前記凹部Uの対面に相当する面は平担な底面Bとなっている。また、化粧目地棒Pの、左右両側端面は平担な側端面PSが形成されており、また、化粧ユニットKの側端面KSも平担であり、これらの側端面PSとKSどうしが互いに当接し、当接面Gが形成されている。もちろん、図示しないが、前記側端面が、平担でなく、互いに嵌合可能な嵌合凹凸面であっても良いものとする。また、前記底面Bが平担面でなく、下方の基材4と嵌合する嵌合凹凸面であっても良いものとする。
【0027】
化粧目地棒Pの材質は、例えば、檜、ナラ、ケヤキ、杉、チ−ク、カリン、紫檀、黒檀等の銘木を用いた木質材からなるもの、アルミ、ステンレス、真鍮、亜鉛引き鋼板等の金属製からなるもの、無色又は着色された透明若しくは半透明のアクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリエステル樹脂等の合成樹脂成型体からなるもの、ガラス体、窯業系材料等の無機材料からなるもの等が好適なものとして例示できる。しかし、これらの材料に限定されるものではない。
【0028】
また、本願発明の化粧ユニットKは、形状として、正方形、長方形等の矩形の他、三角形、平行四辺形、円形、楕円系等、又はそれらを組み合わせた形状のものが例示できる。材質としては、木質化粧材の例としては、約2.5〜6.0mm程度の比較的厚みの薄い合板、中比重繊維板、パ−ティクルボ−ド等の表面に、オレフィン樹脂シ−ト、塩ビシ−ト、薄葉紙等の表面に木目、抽象柄等の印刷を施した化粧シ−トの他、ナラ、ケヤキ、杉、チ−ク、カリン、紫檀、黒檀等の銘木の突板又は単板を貼着したものが例示できる。この他、透明又は半透明で、無色又は着色されたアクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂等の合成樹脂製のもの、アルミ、ステンレス、亜鉛引き鋼板等の金属製のもの等が好適なものとして例示できる。もちろん、これらに限定されるものではない。
【0029】
基材4としては、本例では、図4に示すようなフラッシュの芯組構造を用いているが、フラッシュ構造でなく、ベタ芯による密実構造であってもよいものとする。また、フラッシュの芯組構造の場合も、本例に示す形状の芯組構造に限定されるものではない。ただ、化粧目地棒Pの位置する箇所に基材4を構成する芯材Sが位置するようにした方が、化粧板1の仕上がり精度、強度、耐久性にとって好適である。また、基材4の材質としては、合板、平行合板、中比重繊維板、パ−ティクルボ−ド、集成材、木材無垢、等が好適なものとして例示できる。これらの木質基材以外に、熱や炎に強いケイカル板、パルプセメント板、石膏ボ−ド等非木質系の無機系基材、アルミ、ステンレス、亜鉛引き鋼板等の金属製基材等が好適なものとして例示できる。もちろん、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の化粧目地棒Pの断面形状は図5に示すように、さまざまな形状が可能であり、例えば、(イ)に示すU型目地、(ロ)に示すV型目地、(ハ)に示す平型目地、(ニ)に示す角型目地、(ホ)に示す丸型目地等が例示できる。もちろん、これら以外であってもよいものとする。(ハ)に示す平型目地以外の、U型目地、V型目地、角型目地、丸型目地等の凹部Uを有する化粧目地3の場合は、化粧目地棒Pの表面に形成されている前記凹部Uの対面に形成されている底面Bを下面側にして、また、(ハ)に示す平型目地の場合は、化粧目地棒Pの上下いずれが底面Bであっても良く、前記化粧ユニットK間に化粧目地棒Pの側端面PSと化粧ユニットKの側端面KSどうしを当接させ、当接面Gを形成した状態で介在させることが必要で、前記平型目地以外の場合は、本例においては、化粧目地棒Pの前記凹部Uを外側(外部から見える側)にして、化粧目地棒Pの凹部Uの対面に形成されている底面Bの平担面を内側(外部から隠れる側)にして、また、前記側端面PSとKSを平担面にして、化粧ユニットKと化粧目地棒Pを当接させ、当接面Gを形成し、基材4上に固定手段Fを利用して張り付けている。
【0031】
前記側端面PS、KS及び底面Bは、本例に示すように、平担面であっても良いし、互いに嵌合可能な凹凸嵌合面(図示せず)であっても良いものとする。このようにすることで、複雑な形状の化粧目地3の形成が、高価で高精度の木工機械や熟練工がなくても、精度仕上がり良く、簡単に安価に加工可能となる。
【0032】
この時、固定手段Fとしては、例えば、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ユリア、メラミン共縮合樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤等の、木工用の接着剤が好適なものとして例示できる。もちろん、これらの接着剤以外の粘着材等であっても良いものとする。
【0033】
さらに、図5の(ホ)に示すような断面視丸形形状の化粧目地3の場合、断面で見て、表面開口部の目地幅寸法よりも、目地内部の目地幅寸法の方が大きいので、木工機械で目地を精度作業性良く加工することは、至難の業である。しかし、本発明の化粧目地棒Pを利用すれば、極めて簡単に、しかも精度良く化粧目地3の形成が可能となる。このように、化粧目地3の断面形状として、従来からある木工切削機械を用いて表面材2の上に目地溝加工を精度良く作業性良く加工することが困難な断面形状の化粧目地3を形成する必要がある場合、本願発明の化粧目地棒方式が、作業性、仕上がり精度、品質、コスト等を考えると、極めて好適な加工方法であるといえる。
【0034】
また、図4に示すように、化粧ユニットKを、あらかじめ、所定の配置、デザインに仕組み構成しておいて、表面材2を作製し、仕組み構成済みの表面材2を基材4上に固定手段Fを利用して張り付けるようにすれば、複雑な化粧目地デザインであっても、精度、作業性良く、安価に化粧目地の形成が可能となる。
【0035】
すなわち、化粧ユニットKと化粧目地棒Pとが、所定デザインで、あらかじめ仕組み構成されていると、接着剤を塗布した基材上で、デザインを考慮しつつ仕組むために生じる作業性の低下が有効に防止でき、接着剤のポットライフをオ−バ−する危険もなく、短時間で、安価に作製可能となる。また、例えば、T字状デザインの目地や木目方向が直交したり、斜行したりする、複雑な目地デザインであっても、接着剤を塗布した基材の上で、所定デザインに仕組むための仕組み時間が、短縮でき、接着剤のポットライフをオ−バ−する危険がなく、乾燥接着が原因の接着不良が生じてしまう恐れが解消するばかりでなく、作業性に優れた化粧目地付き化粧板1を精度仕上がり良く、作業性良く、製造コスト的にも安価に作製可能となる。
【0036】
前記化粧ユニットKをあらかじめ、所定の配置、デザインに仕組み構成する方法としては、一例として、化粧ユニットKを所定のデザインに配置し、その間に化粧目地棒Pを介在させ、互いにその端面どうしを隙間なく当接させ、当接面Gを形成し、所定のデザインに仕組み構成された表面材2を作製し、その表裏両面、又は、表面若しくは裏面のいずれか片面に、仕組みテ−プTを貼着し、仮固定する。仕組みテ−プTとして、例えば、クラフト紙の裏面に、アクリル樹脂系粘着材(商品名:DF370、日東電工株式会社製)を塗布して作製されたものが、作業性、接着性、品質上、好適なものとして例示できる。
【0037】
このようにして作製する方法以外に、例えば、前記表面化粧ユニットKと化粧目地棒Pの当接面Gにホットメルト系接着剤(図示せず)で仮固定してもよい。ホットメルト系接着剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル系ホットメルト接着剤(商品名:ナイメルト#575、日東化成株式会社製)が好適なものとして例示できる。この時、化粧目地棒Pの裏面に例えば10〜60ミクロン程度の厚さのアルミ箔(図示せず)を貼着しておく。このようにして、ホットメルト系接着剤であらかじめ仕組み構成された表面材2の化粧目地3の部分に、高周波加熱機(図示せず)により、高周波磁界を発生させる。このようにすると、誘電体であるアルミ箔は、高周波加熱機から発生した磁界から供給されるエネルギ−により発熱する。こうして、発熱した熱により、化粧ユニットKと化粧目地棒Pの当接面Gに塗布されているホットメルト接着剤を溶融させた後、高周波加熱機(図示せず)の照射を止めると、ホットメルト接着剤が冷却固化され、接着力を発揮する。このようにして、あらかじめ所定のデザインに仕組み構成された表面材2が作製される。ホットメルト樹脂として、上記のものが、作業性、接着性、品質上好適なものとして例示できる。もちろん、これ以外であっても良いものとする。もちろん、表面材2の仕組み構成方法は、上記の材料、方法に限定されるものではない。
【0038】
また、本願発明の化粧目地付き化粧板1の化粧目地3を加工する手順は下記のとおりである。すなわち、
1.所定の寸法及び形状の基材4を用意し、
2.表面材2として、所定の寸法及び形状の化粧ユニットK及び化粧目地棒Pを必要個数だけ用意し、
3.前記基材4の表面に表面材固定手段Fを設け、
4.前記化粧ユニットK間に前記化粧目地棒Pを、それぞれの側端面KSとPSを当接させて、基材4の表面の前記固定手段Fを利用して所定のデザインに配置し張り付け、
5.前記化粧目地棒Pによって所定の寸法、形状の化粧目地3を形成させる。
以上の手順で加工される。
【0039】
このような化粧目地3の加工手順で本願発明の化粧目地3を加工する。この手順によれば、化粧目地付き化粧板1が、複雑な目地デザインであっても、高価で高精度の木工機械など用いなくても、また、熟練工がいなくても、精度仕上がり良く、作業性良く、しかも安価に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の化粧目地付き化粧板の正面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図2の要部拡大断面図。
【図4】あらかじめ仕組み構成した表面材の基材上への張り付け状態を示す斜視図。
【図5】本発明の化粧目地の断面形状。
【図6】本発明の化粧目地棒と化粧ユニットの当接関係を示す説明図。(イ)は当接前の状態を示し、(ロ)は当接後の状態を示す。
【符号の説明】
【0041】
1 化粧板
2 表面材
3 化粧目地
4 基材
S 芯材
P 化粧目地棒
PS 側端面
U 凹部
B 底面
K 化粧ユニット
KS 側端面
G 当接面
F 固定手段
T 仕組みテ−プ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とその表面又は表裏面両面に張り付けられる表面材からなり、該表面材に化粧目地を設けてなる化粧板において、前記表面材が複数個の化粧ユニットと該複数個の化粧ユニットの側端面間に設けられる化粧目地棒からなり、化粧ユニットの側端面と化粧目地棒の側端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に化粧目地棒を介在させることによって、所定の寸法、形状の化粧目地が形成されていることを特徴とする化粧目地付き化粧板。
【請求項2】
前記化粧目地棒が、断面視凹部を有する形状で、該凹部の底面を下面側にして、化粧ユニット側端面と化粧目地棒側端面を互いに当接させた状態で、化粧ユニット間に介在させられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧目地付き化粧板。
【請求項3】
前記表面材が、前記複数個の化粧ユニット及びその間に側端面当接状態で介在させる前記化粧目地棒とによって、あらかじめ所定のデザインに仕組み構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧目地付き化粧板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化粧目地付き化粧板の化粧目地を加工するに際し、
1.所定の寸法及び形状の基材を用意し、
2.表面材として、所定の寸法及び形状の化粧ユニット及び化粧目地棒を必要個数だけ用意し、
3.前記基材表面に表面材固定手段を設け、
4.前記化粧ユニット間に前記化粧目地棒を、それぞれの側端面を当接させて、基材表面の前記固定手段を利用して所定のデザインに配置し張り付け、
5.前記化粧目地棒によって所定の寸法、形状の化粧目地を形成させる。
以上の手順で加工することを特徴とする化粧目地付き化粧板の化粧目地加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−9463(P2007−9463A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189291(P2005−189291)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(398051497)株式会社パル (65)
【Fターム(参考)】